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その概要はー。
一つは、預金を取り扱う商業銀行にたいしては、投機的なヘッジファンドなどの所有と投資を禁止し、自己勘定での高リスク商品の取引は、顧客の要請に基づく場合に限定すること。二つ目は、投資銀行を含めた全金融機関にたいして、負債の規模の上限を設けることなどです。
世界金融危機の『引き金』となったアメリカの住宅バブルは、
(1)元本保証の預金を取り扱う商業銀行がリスクを取りすぎ
(2)投資銀行が借り入れを激増して、リスク資産への投資をとことん行った
-結果、生じたものです。そんな金融資本の尻ぬぐいを公的資金が行わなければなりませんでした。
このような金融資本への規制は不可欠でした。しかし、オバマ政権は景気浮揚のため、金もうけを阻害するような厳しい金融規制は行いませんでした。
政府と中央銀行による対策によってとりあえず金融危機がおさまると、収益を拡大し、またぞろ金融資本の巨額報酬が問題になりました。保険金融会社AIGの場合、天文学的規模の資金を中央銀行から受け入れているのに、巨額のボーナスを運用部門の社員に支払おうとして世論の反発を受けました。政府は、報酬制限などを行おうとしていますが、その実現は難しい状況にあります。
景気対策を行っても景気がなかなか上向かず、失業率が高止まりしていることもあって、大統領の支持率は下落しています。そこで、オバマ大統領は支持率の回復のために、新たな金融規制案を発表したのです。
元本保証の預金を集める銀行が、ヘッジファンドなどを傘下においてリスクの高い投資を行ったのは、1999年に銀行・証券分離規制が撤廃されてからです。投資銀行も借金を増やしてリスク投資を行うようになりました。AIGは、巨額のデリバティブ取引(CDS)の「胴元的」役割を果たしました。しかし、バブル崩壊で大手銀行や、「大きくてつぶせない」AIGが公的資金で救済され、財政赤字と中央銀行の不良債権が累積したのです。
金融規制案を実現すれば、銀行は、投資銀行部門やヘッジファンドなども切り離さなければならなくなります。自己勘定でリスク資産投資を行って、ポロもうけすることもできなくなります。
他方、金融資本が負債を減らすことで、企業などへの「貸し渋り」やリスク資産投資の減少による金融市場低迷が進むことが予想されます。しかし、金融セクター肥大化の経済成長モデルが破綻(はたん)した現在、健全な金融・経済システムの構築は不可欠です。
新たな金融規制案が実施できるかどうかは、楽観できません。ポロもうけができなくなる金融資本が必死に抵抗するからです。金融資本の収益低下を予測した株式市場で、しばらく株価が暴落しました。とはいえ、アメリカでもヨーロッパ大陸諸国が以前から提唱してきた適切な金融規制による健全な経済システム構築の方向にシフトせざるをえなくなるのは歴史の必然です。
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