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2014年09月29日
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カテゴリ: 政治問題
 昨今の政治家の発言の軽さについて、杏林大学教授の金田一秀穂氏は4日の朝日新聞で次のように論評している;




 「質問に答えない」と批判されるけど、国会答弁や記者会見を見ていると、ごまかしや言い逃れという感じでもない。ずっとすれ違ったままでかまわないと思ってるんじゃないか。言葉で人を説得しよう、動かそうという気がないみたいに見える。

 言葉には、描写の言葉と行為の言葉があります。「椅子に座る」は描写の言葉です。でも、「椅子に座ってください」とか「ありがとう」と言うのは、それ自体が行為ですよね。

 政治の言葉は、約束するとか、宣言するとか、基本的には行為としての言語です。でも 安倍さんは、言葉は「飾り」のようなもので、行為は別にやればいいと思ってるんじゃないか。

 政治家は、言葉それ自体が行為だと自覚しなくてはいけません。吉田茂や佐藤栄作はそこがわかっていた。安倍さんの祖父・岸信介は「私には声なき声が聞こえる」と言って、安保改定を強行した。善しあしは別として、言葉に重さがありました。

 でも、今の政治家は言葉が軽い。小泉純一郎さんあたりから、白か黒かのデジタル的で単純な言葉が増えました。わかりやすいことはわかりやすいけれど、薄くペンキを塗るような言葉づかいになってきている。

 安倍さんも勇ましい言葉は多い。「まさに」という言葉をよく使うんですね。スパッ、スパッと言い切っていく。 深く考えてないから言い切れるんです。 考えている人間は、なかなか言い切れないですよ。

 その割に失言が目立たないのは、やっぱり言葉が軽いからです。「国民の命を守る」「日本を取り戻す」とか言っておけば文句が出ない。集団的自衛権も「おじいさんやおばあさん、子どもたちが乗る米国の船をいま私たちは守ることができない」といった薄っぺらな言葉で語られる。つるつるした言葉しか使わないから、非難されにくい。

 政治だけでなく、社会全体が耳に快い言葉しか受け付けなくなってしまった。 反感を買うような「強い言葉」は排除されて、誰も傷つけない言葉が受け入れられる。だから安倍さんに人気があるのかもしれません。

 昔のように政治が小難しい言葉で語られ、政治家が強い言葉で人々を熱狂させるのもどうかとは思いますけど、ふわふわした言葉ばかりになるのもすごく危なっかしい。誰も反対できない言葉だけを言っていればいいという雰囲気になると、何かあれば一気に流されてしまう。

 安倍さんは言葉に鈍感すぎる。広島と長崎の原爆式典のあいさつが昨年と同じコピペではないかと指摘されたのがいい例で、さすがにみんな気づいてきたんじゃないか。結局、あの人は言葉の力を信じていないんですね。(聞き手・尾沢智史)

     *

 きんだいちひでほ 53年生まれ。専門は日本語学。「金田一家、日本語百年のひみつ」など著書多数。海外での日本語教育の経験も豊富。言語学者の金田一京助氏は祖父、春彦氏は父。


2014年9月4日 朝日新聞朝刊 13版 19ページ「言葉の力、信じない首相」から引用

 政治家が強い言葉で国民の心を一つにまとめなくてもよい時代は、平和でよいのではないかと思いますが、そう思って油断していると、正当な手続きを踏まないで憲法の中身を変えてしまうというペテンが実行されてしまいます。いつの時代も権力の監視は大事な仕事ですから、特にメディアは視聴率や販売部数も大事かも知れませんが、それ以上に真実に報道という使命を忘れないでほしいと思います。






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最終更新日  2014年09月30日 18時40分22秒


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