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毛さんは北京大卒業後、中国社会科学院哲学研究所などを経て1987年に来日。魚介販売や商社勤務などを経験した後、日中両国で作家活動を開始し、日本を旅して出合った出来事を題材にしたエッセー集「にっぽん虫の眼紀行」で注目を浴びた。
「知日」は2011年1月に創刊した。尖閣諸島沖で10年9月、中国漁船衝突事件が起き、日中の関係が悪化する最中だった。
きっかけは08年、毛さんが北京に講演に訪れた際、日本文化に興味を持つ編集者・蘇静(スジン)さんと出会った。蘇さんが毛さんに「日本文化に関心のある若者は多い」と「知日」の企画を持ち掛けて意気投合した。
日本在住の毛さんと中国在住の蘇さんが話し合って毎回一つのテーマを決め、中国人スタッフが来日して取材、執筆する。取り上げたテーマは現代美術家の奈良美智、漫画、禅といった定番ものから、制服、猫、暴走族まで多岐にわたる。写真やイラストを多用して分かりやすく解説しっつ、「漫画」号では、巻末に日本の代表的な出版社と各社の関係まで紹介した。
テーマは軟らかいが、編集方針は硬派だ。内容の真実性を高めるためスボンサーを求めず、広告は一切なし。価格は35元(約700円)と、一般的な月刊誌よりも高いが、毎号10万部前後を売る。日中友好など関係なく、「あくまでもビジネス。ターゲットは18~35歳」という。同誌は24号を発行し、部数はさらに伸びている。
では、なぜ今回、日本語版を発行することになったのか。毛さんは「現代の日本を知る中国人は今後、どんどん増えていく。一方、日本人は国家関係が悪化しているからと、中国への旅行客は減り、今の中国を勉強しようという人も少ない」と日中の「知のアンバランス」を指摘する。
現在の日中関係は米国に学ぶ日本を米国が軽視し、60年代以降に高度成長を遂げた日本が米国を脅かす存在となったケースとよく似ているという。 「このまま10~20年たてば、日本は確実に中国に置いていかれる。いずれひどい目に遭うのでは」と懸念する。
そのうえで、毛さんは「『知日』はビジネスモデルとして成功した。日本の若者にも中国を知る『知中』に挑戦してもらいたい。そのお手伝いをする用意はある」と語る。 表面的な友好ではなく、ビジネスを通じて「知」の交流を図ることが結果的に日中両国に益する。 「政治も文化の一部。お互いの文化を知り、栄養をもらい合いながら、知のステージを築き上げていかないと、国家の関係も決してよくならない」
日中でお互いに「知日」「知中」の関係が構築できれば、アジア各国とも同様の知の交流を図りたいという。「これは壮大な実験の第一歩なのです」
「知日 なぜ中国人は、日本が好きなのか!」には毛さんと思想家で武道家の内田樹さんの対談も収録している。刊行記念に20日、東京都内で「中国はいま、反日でも親日でもなく、『知日』!」と題して蘇さんらが記者会見を開く。毛さんは「日本の若者を挑発したい」と意気込む。
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