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2017年05月12日
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テーマ: ニュース(96949)
カテゴリ: ニュース
今から30年前の「国鉄分割・民営化」がどのように実行されたのか、埼玉大学名誉教授の鎌倉孝夫氏は、4月14日の「週刊金曜日」で、次のように述べている;


それまでのケインズ主義による経済政策は、成長の停滞=利潤の低下という現実を前にして機能不全 に陥ったのです。

 ところが、そこからいち早く抜け出したのは日本でした。その背景には、日本経営者団体連盟(日経連。現日本経済団体連合会)が75年に発表した、「労働問題研究委員会報告」があります。

 そこでは、74年の春闘で33%もの賃上げを獲得した労働運動を押さえ込むために財界の労組対策を本格的に強化し、徹底した合理化と減量経営によるコスト切り下げでスタグフレーションを乗り切る方針が示されていました。さらにそのためには、当時の輸出産業の中心だった自動車や造船、鉄鋼、電機等の大企業の労組に協力させる必要性も強調されていたのです。

 結果的にこの方針は、当時の同盟系の労組を抱き込んで成功しますが、 今から見れば労働者を犠牲にしながらコストダウンするというやり方は、新自由主義の先駆け にほかなりませんでした。

◆国労を狙った中曽根

 そして79年に第2次オイルショックが起き、さらなるスタグフレーションに直撃された欧米では、対応策として米国のレーガン大統領、英国のサッチャー首相による本格的な新自由主義政策が打ち出されます。

 そこで共通しているのは、

(1)公的事業の解体・民営化と 不採算部門の切り捨て
(2) 社会福祉・教育の財政支出の削減 と「自助努力」の強調
(3) 規制媛和 の推進

-でした。これらを通して大企業は 徹底した利潤の追求を実現 し、これに反抗する労働組合を攻撃し、解体させようとしたのです。

 日本でも1982年に登場した中曽根康弘内閣がレーガン・サッチャー路線を導入しますが、そこで狙われたのはまだ民間組合と違って資本の支配が及んでいなかった官公労組合、特に国鉄労働組合(国労)でした。今から30年前に強行された国鉄の「分割・民営化」は、こうした当時の背景抜きに理解することはできないでしょう。

 言い換えれば、日本における本格的な新自由主義の基盤を整え、かつ新自由主義が全面的に展開していく契機を作ったのが、国鉄の「分割・民営化」だったのです。 鉄道が本来持つ公共性を否定 して資本の私的利潤追求の場に変え、国労など 抵抗する組合に対しては徹底的に攻撃する。 そして大企業に組み込まれたような組合を、官公労にまで広げていく。

 しかもまがりなりにも原則的な闘争を続けてきた国労は、「電車を動かすのも、鉄道を運営しているのも現場を一番良く知っている自分たちだ」という労働者としての主体的な自覚に基づき、組合が勤務態勢について当局に要求を突き付ける「現場協議制」を維持してきました。そこでは利潤の追求よりも、安全の確保と地域経済・生活が重視されていたのです。新自由主義を導入して、「戦後政治の総決算」を掲げていた中曽根内閣が国労攻撃に総力を挙げたのは、そのためでした。

◆暴力が必ず伴う

 もともと資本による「搾取の自由」を最大限保証する新自由主義を推進すると、必ず暴力が伴います。 新自由主義の「自由」とは「カネ儲けの自由」、「弱肉強食の自由」でもあり、それを「能力主義」「競争原理」という名目で労働者の間にも持ち込んで団結を破壊する。 新自由主義がまだ資本主義化していない国でも暴力で住民の生活とその基盤を破壊しているのはよく知られています。

 そもそも国鉄は当時、実質的に資産が約200兆円ありながら、「37兆円の赤字で倒産した」として 偽装倒産 が行なわれた後、全員解雇--JRへの 選別採用という不当労働行為 によって「分割・民営化」が強行されました。そしてその過程で国労に加えられた攻撃も、暴力そのものでした。

 たとえば、

(1)マスメディアと結託した”ヤミ・カラ”を口実とする既得権の不当な剥奪
(2)「現場協議制」の一方的破棄
(3)組合差別による仕事取り上げと配置転換
(4)リボン・ワッペン着用等の正当な組合活動の制限
(5)業務命令の乱発と従わなかった組合員に対する胴喝(どうかつ)
(6)組合脱退や退職の強要

--等々、ありとあらゆる 国家による不当労働行為・人権侵害が横行 しました。

 その結果、85年から1年半の間に、判明しているだけでも管理者を含め65人の自殺者が出ています。まさに 国鉄の「分割・民営化」こそ、新自由主義の暴力性という本質を如実に示していた のは間違いありません。

 このように新自由主義を推進する資本は、労働者を利潤追求のために「モノ」として扱おうとします。しかし労働者は「モノ」ではなく生きた人間で、生産の主体なのです。したがって人間らしく働ける職場にするためには、これに対する抵抗が必要です。そして労働者の団結・連帯が実現したら、より人間的な職場、そして社会が展望できるはずです。国鉄の「分割・民営化」から30年経ったいま、改めて抵抗--その根拠と目標を認識した抵抗ということの意義を、かみしめたいと思います。(談)
<聞き手・まとめ/成澤宗男(編集部)>

かまくら たかお・埼玉大学名誉教授。


2017年4月14日 「週刊金曜日」 1132号 20ページ「新自由主義の先駆けだった『国鉄分割・民営化』」から引用

 この記事が示唆するように、30年前の国鉄分割・民営化は国家による違法な組合弾圧によって推し進められたもので、当初は抵抗した組合も地方労働委員会や地方裁判所では勝訴しても、最高裁は必ず国の味方だったため、国労がことごとく敗訴し、それが元となって日本の労働組合の衰退を招き、社会の隅々までブラック企業がはびこる事態となっており、労働者の収入は減り続け、政府と日銀が逆立ちして頑張ってもデフレからの脱却はムリ、という状態になっています。





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最終更新日  2017年05月12日 19時48分04秒


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