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2017年06月02日
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テーマ: 本日の1冊(3777)
カテゴリ: 読書
塚田穂高編著「徹底検証 日本の右傾化」(筑摩選書)について、社会学者の大澤真幸氏が5月21日の東京新聞に、次のような書評を書いている;


この印象は正しいのか。右傾化の具体的な内容は何か。 こうしたことを徹底的に調査し、記録し、検証した論文集が本書である。社会学者、宗教学者、ジャーナリスト等、21名もが寄稿している。「右傾化」の厳密な定義をあえて拒否し、本書はこの語によって指示されている現象を余すところなく包括的・多角的に、つまり社会意識一般から政治行動、メディアや宗教の状況まですべてを論じている。



 ここでは、本書全体から私が学んだことだけを書いておく。一方で、右傾化が進行していることはまぎれもない事実である。ネットにあふれるレイシズムや路上でのヘイトスピーチのような極端なものから、 「日本スゴイ」言説の氾濫、教育や家族についての保守的な法律改正への動き等々、同時多発的な右傾化の潮流 がある。

 しかし、他方で、本書で検討されている意識調査を見ると、市民・有権者の回答は、はっきりとした右傾化を示してはいない。有権者に、自分のイデオロギー的位置を自己判定させても、「右」寄りの人が増えているわけではない。改憲支持者は、13年前の方がずっと多かった。

 この矛盾をどう解釈すればよいのか。右傾化は、意外と根が浅いということなのか。私の考えは逆だ。この「矛盾」は、丸ごと事実とみなさなくてはならない。これこそが現代の右傾化の本性だ。つまり、 無意識の右傾化とでも見なすべきこと が進捗(しんちょく)しているのである。自分が特に「右」であるという自覚はない。しかし、その人の行動-消極的な容認をも含む行動の全体-は「右」を指している。この意識と行動の間のねじれこそ、現代の右傾化を下支えしているのではあるまいか。
(評者大澤真幸=社会学者)

塚田穂高編著「徹底検証 日本の右傾化」(筑摩選書・1944円)
編者のほか、斎藤貴男・島薗進・高史明・早川タダノリ・堀内京子らが執筆。


2017年5月21日 東京新聞朝刊 9ページ「読む人-無意識の容認行動 浮かぶ」から引用

 この記事は21世紀が始まったころから、日本の右傾化が始まったように書いていますが、私の認識では、全共闘運動が挫折した70年代初め頃から、体育会系の右翼学生が大きな顔でものを言うようになった頃が右傾化の始まりではなかったかと思っておりました。ところが、数週間前にラジオ番組に出演した大宅映子氏によると、1970年に亡くなった父の大宅壮一氏が書いた文章に既に「日本の右傾化を憂える」とする文章があったと語るのを聞いて、大変驚きました。戦後70年の平和憲法の歩みは、右傾化との闘いの歴史としてとらえ直す必要があるのかも知れません。





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最終更新日  2017年06月02日 14時12分03秒


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