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約7万群体のうち、土砂投入現場と別の区域のわずか9群体を移しただけ。 事実誤認の発言として批判が集まるほか、 「そもそも移植が環境保全に結び付くのか」と勉強不足を指摘する声 も上かっている。
(榊原崇仁)
問題の発言があったのはNHKの「日曜討論」。辺野古の新基地建設をテーマに語っていた首相は、 「土砂を投入するに当たり、あそこのサンゴは移している」 と発言。「環境の負担をなるべく抑える努力をしている」と強調した。
早々に異を唱えたのは沖縄県の玉城デニー知事。7日にツイッターで「安倍総理…。それは誰からのレクチャーでしょうか。現実はそうなっておりません」と疑問を呈した。ネットでは同様の指摘が相次いだ。
防衛省沖縄防衛局などによると、確かに昨年7月から8月にかけて絶滅危惧Ⅱ類「オキナワハマサンゴ」の9群体を移植している。ただ、それがあった海域は、昨年12月14日から土砂を投入している岬先端付近の「埋め立て区域2-1」ではなく、別の区域の数力所。「2-1」は含まれていない。
東京経済大の大久保奈弥准教授(海洋生物学)は「厳密に言うと間違い。事実とは異なる」と首をかしげる。「あそこのサンゴは移した」という首相の発言は「印象操作」のようにも見えるが、沖縄防衛局報道室の徳元強太係長は「『あそこ』というのは、大きく捉えて『埋め立てする区域』ということ。決してウソをおっしゃっているわけではない」と述べる。
そもそも埋め立て予定区域の全域には、膨大な数のサンゴが生息する。沖縄防衛局の公表資料によれば、移植対象として約7万4千群体が確認されており、沖縄防衛局が移植に向けて特別採捕許可を県に申請している分だけで約4万群体になる。県は昨年8月末に埋め立て承認を撤回したため、採捕を許可していない。
国際環境NGO「FoE Japan」の満田夏花理事は、移植した数と生息数の間の大きなギャップを指摘。「首相は『大海の一滴』だけで何もかもやっているように見せているだけ。問題の本質を覆い隠している」と指弾する。
◆宜房長官「問題ない」
官邸は火消しに躍起だ。
菅義偉官房長官は8日の記者会見で「サンゴ移植の現状認識は」と問われ、「(専門家による)環境監視等委員会の指導、助言を受けながら、適切に対応していくということでありますから、全く問題はありません」と述べた。
これに対し、大久保氏は「サンゴの移植自体に問題がある」と指摘する。「サンゴは繊細な生き物。水流や光の強さなどがすみ慣れた環境と少し違うだけでも死んでしまう。移植はほとんどのケースでうまくいっていない」
沖縄防衛局の環境影響評価書によれば、辺野古周辺の海域には絶滅危惧種の262種を含む5千種類以上の生物が確認されている。「生態系はさまざまな生き物がつくりあげているもの。サンゴの他にも守るべき生物は多い」
そう語る大久保氏は首相に注文する。「『沖縄に寄り添う』という言葉を使う割に、沖縄のことに詳しくないように感じる。どこか表面的というか、短絡的というか。寄り添う気持ちがあるなら、しっかり実情に目を向けてほしい」
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