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2024年05月06日
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テーマ: ニュース(99611)
カテゴリ: ニュース
2000年代の日本では、それまで「上下・主従」の関係だった国と地方自治体の関係が、地方自治法の改正によって「対等・協力」の関係に変わり、国から地方への財政支援などもそれぞれの地域の実情に合わせたきめ細かな支援が可能になったわけであったが、最近の全国知事会の様子はかつての積極的な姿勢が失われ、下手をすると国の言いなりになりそうな危惧を感じると、沖縄タイムスの阿部岳・記者が4月19日の「週刊金曜日」に書いている;




「沖縄タイムズ」と「朝日新聞」が今月、沖縄を除く46度道府県知事への合同アンケート結果を報じた。沖縄駐留米軍の受け入れに関する質問に、大阪府の吉村洋文氏(維新共同代表)は「国から要請があった場合は市町村とも協議していく」と応えた。

 維新は橋下徹氏が共同代表だった2013年にも、米軍輸送機オスプレイの訓練の一部を大阪府の八尾空港で引き受ける考えを示したことがある。地元が反対し、立ち消えになった。

 今回の吉村氏はもっと慎重で、受け入れ意志の有無は選択肢を選ばず無回答。自由記述で、打診があればいったん検討すると答えたにすぎない。それだけで目立つのは、残りの45氏が全員、受け入れの「意志はない」と言い切るか無回答だったからだ。

 45氏の中には、国政野党の支持を受ける知事もいる。だが、誰かが日米安保体制に反対しているという話はない。米軍基地の必要性も認めている(沖縄の玉城デニー氏もそうだ)。

問題は、基地の70%が沖縄に集中していること。圧倒的不平等を是正する再配置の話がくるなら、吉村氏のように少なくとも検討するのが筋ではないか。 安保体制の「恩恵」を享受しながら「負担」を言下に拒否する45氏は、この点において新自由主義とパフォーマンスの維新政治にも劣る。

「国と沖縄の間でどうにかしておいて」という本音を隠す定番の言い訳は「外交、防衛は国の専管事項だから」。今回の調査でもそう記す知事が目立った。しかし、外交と防衛が一義的に国の責任だとしても、その過程で住民の生命、財産、人権が脅かされるなら、抵抗することはむしろ自治体の責務であるはずだ。

 だから沖縄県は辺野古新基地建設に反対し続けている。一方、国はあらゆる脱法的手段を駆使し、司法のお墨付きを得た。最終的に昨年末、史上初の代執行で県の権限を奪い、自ら工事続行を認める手続きをした。

 この代執行について聞くと、岩手県の達増拓也氏だけが「どちらかといえば不適切」と答えた。「どちらともいえない」が25氏、「無回答」が17氏。「適切」も青森の宮下宗一郎、秋田の佐竹敬久、群馬の山本一太の3氏いた。圧倒的多数が静観している。

2000年の地方分権一括法で、国と地方の関係は「上下・主従」から「対等・協力」に変わった、はずだった。 沖縄県が再び国の「下」「従属的立場」に置かれた今、他府県は国と「対等・協力」な関係でいられるだろうか。

 今国会に、地方自治法改正案が提出されている。非常事態の際、国が地方に指示を出して従わせることを可能にする。今でも感染症法など個別法に指示の仕組みがあるが、それを無限定に広げるものだ。

 この地方自治の危機に、全国知事会は驚くほどおとなしい。指示の必要性に「理解」を示し、「必要最小限度」にするよう提言して終わっている。

 2000年代の「闘う知事会」は歴史のかなだ。沖縄の自治破壊を座視してきた「闘わない知事」たちは、日本全体の自治破壊もまた、見過ごそうとしている。
<あべ・たかし>沖縄タイムス記者。


2024年4月19日 「週刊金曜日」 第1469号 12ページ 「阿部岳の政治時評-『闘わない知事』たち、地方自治破壊を座視」から引用

 日ごろはアンチ・リベラルな発言とパフォーマンスで票を集める維新の会も、米軍基地問題に対する「対応」は、全国知事会の中では目立って、人として正しい「言動」をしているように思えます。日本の国土面積の1%に満たない沖縄県に、在日米軍基地の7割が集中していて、その米軍基地が日本にとって安全保障上必要というのであれば、それを沖縄県にだけ押し付けるのは不公平以外の何ものでもありません。逆に言えば、沖縄県民にも他の県民同様に基地の騒音に悩まされずに暮らす権利があるのですから、「米軍基地は必要」と言いつつ「地元に米軍基地を誘致する気はあるのか」との問には「No」と答えたり無回答だったりするのは、人間として如何なものかと思います。私は個人的には、米軍基地は日本にないほうが東アジアの緊張緩和に役立つと思うので、即刻日米安保条約の破棄をアメリカに通告するべきだと思います。もともとアメリカが日本に軍事基地を置いたのは、スターリン時代のソ連が勢力圏を武力で拡大する政治的方針を掲げていたことに対応することが目的だったのであり、「日本防衛」は単なるリップサービスに過ぎないものだったと思います。今は、そのような敵対勢力も消滅し、ウクライナに侵攻したロシアはNATOの東方進出を阻止するのが目的であり、朝鮮人民民主主義共和国のミサイル実験はアメリカとの話し合い実現のための「圧力」が目的であり、日本のような近隣諸国を武力侵攻するのが目的というわけではありません。したがって、「国防」に必要なのは専守防衛の自衛隊であって、米軍並みの「世界の警察官」が必要なわけではありません。日本は平和憲法の精神を実現するために努力することが、世界の平和に貢献する道だと思います。





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最終更新日  2024年05月06日 01時00分06秒
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