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2026年04月21日
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テーマ: ニュース(96951)
カテゴリ: ニュース
最近訃報が伝えられた児童文学作家の山中恒氏について、共同通信編集委員の福島聡氏は5日の神奈川新聞に、つぎのように追悼記事を書いている;




 人気テレビドラマ「あばれはっちゃく」シリーズの原作者である児童文学作家の山中恒さんが死去した。軍国主義一色に染まった戦前に少年時代を過ごしたことから、その検証をライフワークとし、収集した膨大な資料を基に著書を次々に刊行した。

 平和の尊さを訴え続けた執念に深い敬意を表するとともに、東アジアの安全保障環境悪化がしきりに叫ばれる今こそ、次世代として遺志を継承したい。

 戦前の歴史、特に子どもの教育や人々の暮らし、言論統制、メディアの状況を調べていると、必ず山中さんの著作に行き当たる。関連の著書は30冊以上。徹底した資料集めと綿密な分析に舌を卷く。

 満州事変が起きた1931年に生まれ、37年に始まった日中戦争、41年開戦の太平洋戦争を少年時代に経験した。「私の子ども期は、べったり、戦争におおわれていた」と著書で回顧する。

当時の子どもは「少国民」と呼ばれ、学校では徹底した軍国主義教育を受けた。 海外侵略を正当化する標語だった「八紘一宇」の精神をたたきこまれた。「疑うことは許されなかった。疑うこと自体、非国民的言動とされた」と記す。

「(敗戦時)負けたら国民全員が切腹して天皇陛下におわびしないといけないと教えられていたから、どうやって死ぬかを考えた」 と共同通信のインタビューで語っている。

しかし友人に「先生たちが死んでからでも良い」と止められた。 それまで「天皇陛下万歳」と叫んでいた先生たちは「民主主義万歳」に、がらっと変わった。 このとき大人に抱いた強い不信感が、その後の旺盛な著述活動の原動力になった。

 手元に著書「新聞は戦争を美化せよ」がある。古書店で入手した本には「日の丸と神の国とをたたえたる あの日の我は今は悲しも」という歌とともに、本人のサインが記されている。千ページ近い同書で、山中さんは当時の徹底した情報統制を詳述し、新聞社の対応も掘り下げている。

軍に批判的なスタンスも見せていた大手紙は、満州事変を境にナショナリズムを鼓吹し、軍を後押しする論調に一変した。29年の世界恐慌以降、販売・広告収入が伸び悩んでいた新聞界はこれで息を吹き返した。 報道・言論への政府の統制が本格化したのは38年の国家総動員法施行以降だが、その前から新聞は軍の「応援団」になっていた。

 山中さんは「あまりにも権力に唯々諾々、ほとんど抵抗らしい抵抗も示すこともできなかった。そればかりか積極的に権力の意を迎えにいくかの如く、お先っぱしりに精を出したとしか思われない部分もあった」と記す。

 この指摘をメディアに身を置く者として重く、切実に受け止めたい。世界で戦禍が絶えず、国際秩序も大きく揺らいでいる。メディアは何を伝えるのか。山中さんは冥界から目を光らせているように思う。
(共同通信編集委員・福島聡)


2026年4月5日 神奈川新聞朝刊 13ページ 「核心評論-平和への執念に敬意」から引用

 山中氏が著書の中で子ども時代を振り返って話しているように、昔の学校教育の現場は教員が生徒を「体罰」と称する「暴力」で支配し、教員の言うことに対して疑問を呈するような発言は現に禁止されていたのが現実であった。なにしろ武士が人殺しの道具を携帯して往来を闊歩している時代から、さしたる社会教育の機会もなく近代国家になってしまったので、「人権思想」などというものが育つような余地もなく、「将軍」の代わりに「天皇」が支配する社会になっただけだったので、どの新聞社も始めのうちは、侵略戦争に批判的な姿勢だったのに、「日本軍が優勢」とか「勝った」と報道すると新聞が売れるというので、戦争批判は次第になくなるという状態であった。そんな調子でやっていくうちに、日中戦争は泥沼状態となり、太平洋戦争では米軍が優勢になり、ついに敗戦となったのであったが、このようにして「敗戦」を経験してもなお、日本人社会はまだ、「戦争は間違い」であることに気付かずに、戦争を放棄した「憲法」をもう一度改悪して再武装しようとする勢力に政権を任せているのは、あまりにも不勉強というものです。自民党の党大会に、現職の自衛官が制服着用で参加し、ステージで「君が代」を歌うというのは、自衛隊の中立性を規定した自衛隊法に違反する事例であるにも関わらず、幕僚長も防衛大臣も、さらには首相まで「自民党大会に現職自衛官が出席して君が代を歌うというのは、事前には聞いていなかったので、まったく知らなかった」などと言って、「知らない」と言えば責任逃れできると踏んでいる。そんなでたらめでいいのかという声がメディアから上がらないという現実は、戦前と何も変わっていないことを示しており、実に危険な状態に私たちの社会はあるということを自覚しなければならないと思います。





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最終更新日  2026年04月21日 01時00分04秒


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