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花びらのじゅうたんの上で、子どもたちが遊んでいる。あっという間に4月も終わりだなあ。 *天気がいいので、愛車オレンジ1号(自転車)で買い物に出かけようと思ったら、前輪がパンクしていた。近くの自転車屋さんで見てもらったら、タイヤが古くなって、取り替えないとだめみたい。東京で暮らしはじめた春からもう3年、同じタイヤで乗りつづけているものなあ。後輪もあわせて交換すると、安いママチャリなら1台買えちゃうくらいの値段。少し迷ったけど、たくさんの時間を共有した思い入れのある自転車なので、思い切って「取り替えてください」とお願いする。作業場の奥にあるソファで、待つこと1時間。タイヤ交換ってずいぶん時間がかかるのね、と思っていたら、おじさんがにこにこ笑いながら顔を出して、わたしを手招きした。店の前にとめられたオレンジ1号を見て、おどろく。タイヤが新しくなっているだけじゃない。大きくゆがんでいた前かごが元のかたちに戻り、全体をおおっていたサビと汚れが落とされ、銀とオレンジの塗装まで新しくなっている。朝の光を受けて、きらりんと光るオレンジ1号。「うわあ、新しい自転車を買ったみたい!」と思わず駆け寄るわたしを、おじさんがにこにこしながら眺めている。「こんなにきれいにしてくれたのにタイヤ代だけでいいんですか」と振り返ってたずねたら、「いいんだいいんだ、たくさん仕事させてもらったから、サービス」って。作業着にも、指先にも黒い機械油の染みこんだおじさんの姿に、一瞬後光がさして見えた。プロ魂!何度もお礼を言って走り出す。ふたつのブレーキも、新品みたいに効きがいい。掃除して、油もさしてくれたんだな。引っかかって鳴りづらくなっていたベルは軽快な音をたて、三段ギアの切り替えも半分の力でできるようになった。さくらんぼの白い花と、ハナミズキのピンクの花がどこまでもつづく下り坂を走りながら、うれしくてつい顔がにやけてしまう。あのとき捨てるって決めなくて、本当によかった。腕のいいおじさんの手を借りて、元気になったオレンジ1号。また一緒にいろんなところへ行こうね、と思う。周りに誰もいないのを確認して、そっとベルを鳴らしてみる。ちりんちりん。自転車が通ります。風を切って青空をのみこんで、どこまでも走りますよ。ちりんちりん。
2009.04.28
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2週間前に届いてから、日が沈むと毎日聴いている音楽。菊地成孔・南博「花と水」。サックスとピアノを中心に構成された、しずかで端整なアルバム。どこまでも透明で、切ない音色。だけどぎりぎりのところで悲しいほうへはゆかず、かぎりなくやさしい。好きなのは「ラッシュ・ライフ」。心がしゃぼん玉になって、都会の夜空に高く、果てしなくのぼってゆくような解放感。高揚と、胸が焼けるような甘さ。それから、バッハのチェンバロ協奏曲。何気なく聴いているつもりだったのに、1分をすぎたあたりで、つつ…と自分の目から水が出てきておどろく。菊地さんのサックス、低音部が木管のようにやわらかいので、はっとしてスピーカーを振り返ってしまう。あたらしいCDを買うと、それが好きなアーティストの作品でも、体の奥に入ってくるまで2、3回は聴き返すことが多い。でも、どういうわけか、菊地さんや南さんの音はちがう。最初の1回で、あっという間にいちばん深いところをさらわれる。水面にあらわれた波紋を見て、わたしは自分の心に泉があったことに気づかされる。ほかの誰も入りこめない、外界の何にも影響されることのない聖域。そのほとりに、ひとり満ち足りてたたずんでいるような気持ちになる。たったひとつの旋律が、明日を生きのびる理由になる夜も、人生にはたしかにある。この世界に彼らの音楽があって、ほんとうによかった。
2009.04.25
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週末はさくらのお祭り。くま父さんと母さんもやってきて、4人で桜のトンネルをくぐりにゆく。よく晴れて、まるで初夏のようにぽかぽかあたたかい、お花見日和のお手本みたいな一日。いちばん後ろを歩いて、ぱしゃぱしゃ写真を撮りながら、そう言えば去年も4人でこのお祭りに来たのだったなあ、と思い出す。コップに水が一滴ずつ満ちてゆくような、かけがえのない1年だったことだ。たとえば来年、また4人でこのお祭りを見ることができたとしても、その花はもう今年と同じではない。今年の桜は、一度きり。さくらトンネルのずっと前のほうで、くまとくま父さんが立ち止まり、わたしとくま母さんが来るのを待っている。最後に一度だけシャッターを切って、あわててくまのほうへ駆けていく。空ばかり見てぼんやりして、気を抜くと風船みたいに飛んでいってしまいそうなわたしを、いつも地面に引きとめていてくれてありがとう、と思いながら、やわらかい春の土を踏んで走る。お花見の後は名物の鳥そばをすすり、おいしいと評判のジェラート屋さんへ足をのばす。どの味もおいしそうで迷ったけれど、さくらんぼとチーズの二色をコーンにのせてもらって、川辺で食べる。みんなでいろんな味を交換して、「どれもはずれなくレベルが高い」という結論をみちびき出す。芝生に足をのばしてアイスをなめている頭の上では、羽をひろげたつがいのとんびが「ピーヒョロヒョロ」と鳴きながら空を旋回している。こんな陽気に空を飛べたら、どんなにかせいせいするだろう。(と、すぐ遠くへ飛んでいこうとするのはわたしのわるい癖だ)それから、初めて行く温泉へ。(サウナがとても熱くて、足の裏が真っ赤になってしまった!)仕上げに夕暮れの公園をうめつくす満開の桜をながめ、インターネットで調べておいた割烹料理屋さんに行く。ヤリイカや穴子、のどくろにふきのとう。春の味覚をたくさんいただいて、ふわふわいい気持ち。ちなみにこれは、翌日のお昼に食べたハンバーグ。ていねいに作られた味で、いつまでも食べていたい…と思うほどおいしかった。こちらはデザート、かぼちゃのプリン。くま母さんと父さんが帰った夜、布団に入って目をつぶったら、まぶたの裏に満開の桜の映像が、スライドショーみたいにどんどん浮かんできた。あんまりたくさん桜を見たので、目の奥に焼きついてしまったらしい。はらはらと散る、うすいピンクの花びらを眺めながら眠りにつく。さて。明日から、またがんばろう!
2009.04.20
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待ちわびた春。雨上がりの青空をねらって、お花見さんぽに出かけました。この季節は毎日外のようすがちがうので、さんぽがとても楽しい。毎日新しい花が咲き、新しい植物が芽を出している。おとといはツクシ、きのうはタンポポだった。そして今日はサクラ。植物は何も言わないけれど、ちゃんと季節を知っている。毎年欠かさず芽が出て、ふくらんで、一斉に花がひらく。それはこの世界の奇跡、そのものだ。
2009.04.17
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最近のできごと。その1髪を切りました。15センチくらい。超ロング→短めのロングになった。頭がとても軽くなって、春らしい気持ち。後ではかったら、ほんとに体重が軽くなっていた!ふらりと入った美容院が、思いがけずよいところだったのもうれしい収穫。その2近くの町に、すてきなカフェを見つけました。これはサンドイッチのランチ。自家製のパンも、ヤリイカのマリネも、厚切りのベーコンも、何もかもが信じられないほどおいしい。次の結婚記念日は、ここでお祝いしようかな。その3くま弟が、恋人ちゃんと遊びにきてくれました。山のお寺を案内し、うまいそばに舌鼓をうち、薬石浴が有名な温泉でたっぷり汗をかき、仕上げにジェラートを食べて、一日真剣にあそぶ。朝ごはんに焼いたミルクブレッドがみんなに大好評で、うれしい気持ち。ヤミーさんのレシピ、わたしは妹に教わったのですが、どれもほんとうにおすすめです!特別な道具や材料がなくてもつくれるし、しかもはずれなくおいしい。最近はすっかりパン作りにはまって、週末にはパンを焼くのがわが屋の定番です。
2009.04.14
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あたらしい料理の本を買いました。「かもめ食堂」や「めがね」のフードスタイリングを担当した飯島奈美さんの「LIFE」。ナポリタンやおいなりさん、おむすびにカレー、ホットケーキなどなど、気取らないふだんのごはんがたくさんのっています。ほぼ日で紹介されているレシピは以前からときどき参考にしていたのだけど、ウェブでは見られない新しいレシピに加え、よしもとばななさんや谷川俊太郎さんのエッセイまで収録されているとあっては、買うしかない!届いたその日にさっそく開いて「まえがき」にあった通り、自己流の手順や工夫を加えずに、レシピ通りの分量と手順でからあげをこしらえる。ひと口食べて、びっくり!お店で食べるからあげみたい。ジューシーで、下味もしっかりついて、ごはんのおかずにも、酒のつまみにも合いそう。同じようにして、「かもめ食堂のしょうが焼き」も作ってみた。わ、わ、しょうが焼きってこんなにやわらかくておいしいものだったのか!誰もが当たり前だと思っているあの手順を、まさかばっさり省いてしまうなんて…じっさいに作ってみてわかったのだけど、飯島さんのレシピはおいしいだけじゃなく、家庭の台所で作る人にやさしい手順になっている。洗いものは最小限ですむし、かぎられたスペースでもあせらずゆっくり作業をすすめられるよう、あちこちにくふうがある。この本とは、これから長い時間を台所で一緒にすごすことになりそうだな。これからお料理をはじめる方にも、お料理はひと通りできるけどもっとおいしく作りたいという方にも、すごくいい本だと思います。おすすめ。
2009.04.12
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初夏の陽気。雪国では、梅が満開です。夕方の道をオレンジ1号(自転車)で走っていたら、この子が「ごきげんいかが?」と話しかけてくれたので、思わず足をとめて撮影。スイセンも、星のかたちの黄色い花をつぎつぎにひらいています。 *ちょっと前まで、買い物はもっぱら自動車だったけど、最近はオレンジ1号の出番が増えました。車を使った移動は、点から点へスキップする感じ。便利だし快適なのだが、今ひとつ味気ない。いっぽう、オレンジ1号は、点と点のあいだに線を引きながら、時間をかけてすすむ。梅の花の、くらくらするようないい香りや、春の土のにおい。ウグイスの声、川の流れる音。青い空を一直線に横切っていくひこうき雲。果樹園の芝生に青い水玉もようをつくる、オオイヌノフグリの群生。田舎ぐらしはつい車にたよりがちになるけれど、春を感じるには、自分の足で地面に立って、太陽の光を浴びて深呼吸するのがいちばん。 *ところで4月に入ってから、時間の流れがますます速くなった気がする。毎日が、あっという間にすぎてゆく。自分にとってほんとうに大事なことは何か、よく見きわめて、直感が正しいと教えるほうへどんどん歩いていこうと思う。
2009.04.11
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この春からくまが一緒にはたらくことになった、山の若ぐまレンジャーズ☆をわが家に招待する。何しろ春のくまが4人(うちのくまを合わせると5人)なので、どれだけ食べてもなくならないように、半日がかりでたっぷり食べ物を用意する。前菜に、青じそトマトサラダ(向田邦子さんのレシピ)、男前豆腐店の冷奴、煮卵の白髪ねぎ添え。どれも山もり。メインは鶏だんご鍋。たたみ半畳ぶんくらいの野菜をざくざく刻んでおく。鶏肉も、鶏だんごもボールいっぱい準備した。忘れちゃいけないのが炭水化物。おもち1袋にうどん4玉、万が一のことを考えておにぎりは8つ握っておく。「これだけ用意すれば絶対安心。さあ、どこからでもかかってきなさい!」と額の汗をぬぐっていたら、たったの2時間足らずで、用意したもの全部、ごはんつぶひとつ残さずにきれいさっぱりなくなってしまった。しかも、まだ物足りなそうな顔をしている若ぐまがちらほら。あわてて冷蔵庫を引っかきまわし、ねぎとニラの切れはしを発掘。つづいて焼きそば3玉を発見。豚肉と一緒にじゃじゃっといためて塩焼きそばを作り、どーんとテーブルにのせるもたちまち焼きそばの山が消え…(以下くり返し)若ぐまたちが帰るころには、わが家の冷蔵庫すっからかん。さすがの野菜おばさんも放心状態。食べざかりの男の子が4、5人いる家のお母さんって、毎日こんな感じかしら。次の対決(?)では、かならず前菜にイモ類(ジャーマンポテトとか、フライドポテトとか)を投入しようと心にちかったのでした。
2009.04.07
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天気がいいので、網戸と窓ガラスを拭く。窓ふきには曇りの日がむいているというけれど、拭きたての窓ごしに見上げるのは、やっぱり青空がいい。雪の季節にたまった汚れを、洗剤でていねいに落とした後、水ぶき。そしてからぶき。空がくっきり見えるようになった。太陽の光がさえぎるものなくまっすぐに差し込んでくると、部屋だけじゃなく気持ちまで明るく、しゃきっとする。音楽はひとつひとつの音が澄んで聴こえるし、活字を読んでもすっと頭に入ってくる。家事ははかどり、いつものお茶もおいしく感じる。ぴかぴかの窓ごしに、青い空をぷかぷかただよう雲をながめつつ、朝こしらえたお弁当をひらく。いつもより、ゆっくり味わって食べる。掃除はやはり、汚れを落としてほこりをとる。というだけのものではないのだなあ。部屋のようすは、わたしの心のありようを、そっくりそのまま映している。悩んだり、うまくいかないことがあったときは、家のなかのふだん掃除しない場所を無心でみがきなさい、と教えてくれたのは学生時代の恩師だった。あのときは「そんなものかな」と思って聞いていたけど、今ならその言葉の意味がわかる。そういえばこのあいだ台所を掃除してから、料理をする時間が前よりもすこし好きになった。そうしたら、料理の味も、なんだかほんのちょっとおいしくなった気がする。日々の暮らしは、「すこし」と「ほんのちょっと」の積み重ね。ささやかな習慣が、人生をがらりと変えてしまうことだって、ある。
2009.04.05
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ヤミーさんのレシピで焼いたミルクブレッド。粉ものは苦手…と勝手に思い込んでいたけれど、やってみると案外かんたん。夕食の後片づけをしながら発酵させて、お風呂に入っているあいだに焼き上がる。右腕にぐっと力を入れてこねるのも、発酵した生地がぷーっとふくらんでくるのも、ふだんのごはん支度とはちがって、なんだか楽しい!焼いているあいだ、部屋いっぱいにただよう甘い香ばしいにおいもうれしいおまけ。ミルクブレッドは翌朝、軽くトーストして、バターとジャムを合わせていただきました。ほんのり甘くて、やさしい味。休日の朝、このパンにおいしいコーヒーでもあれば、ほかには何もいらないなー。
2009.04.04
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すこしのあいだ休んでいたお弁当づくり、くまの職場が変わったので今週から再開しました。めざまし時計は30分早まって、5時20分にリリリ…と鳴る。ねぼけまなこでコーヒー豆をひき、こぽこぽ淹れているあいだに顔をあらう。髪をまとめてエプロンをつける。昨夜のうちにタイマーをセットしておいたごはんをお弁当箱ふたつ(くまと、わたしのぶんも)につめて冷ましておく。おかずはだいたい、前の晩に冷蔵庫をのぞいて見当をつけ、時間がかかりそうなものは下ごしらえしておく。常備菜あれこれをこしらえたり、ゆでた野菜を小分けにして冷凍保存しておく習慣も再開。お弁当づくりは、ふだんの食事より量も少ないし、小さなフライパンでちょこちょこ作るからおままごとみたい。色どりを見て、足りない色を何でおぎなうか、考えるのも楽しい。朝ごはんのメニューと同時進行で考えながら手を動かしていると、だんだん目がさめてしゃきっとしてくる。くまを送りだした後、天気がよければウォーキングをするのも朝の習慣。さくらんぼ畑のあいだを通るとき、農家の人が枝を剪定する姿を見かけるようになった。さくらんぼの芽が出るのはまだもう少し先だけど、木々が根を張る地面のほうは、すっかり準備がととのっている。緑色の下草が生えて、ふかふか気持ちよさそう。さくらんぼの木はまだ裸だから、葉っぱに光をさえぎられることもなくて、朝の光が草の上をきらきら踊っている。すてきな眺め。てくてく歩いていると、さくらんぼカーともすれちがう。さくらんぼカーというのは、わたしが勝手につけた名前。本当は、もっとむずかしい、ちゃんとした名前がある。まっ赤なかまぼこ型の車で、人が運転席に乗り込んで運転する。果樹園に農薬をまくための機械なんだって。道路を走るまっ赤なさくらんぼカーを見ると、「ああ、春だなあ」って思うのです。【サンシュユの花】
2009.04.03
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