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船 を 編 む
荒木公平の人生はー人生というのがおおげさであるならば
会社人生はー辞書に捧げられてきたと言っても過言ではない。
荒木は幼いころから言葉に興味があった。
たとえば、犬。 そこにいるのに、いぬ。 はは、おかしい。
いまだったら女性社員から、「荒木さん、オヤジギャグはやめて
いただけますか」と言われてしまいそうなことを、子どものくせに
思いついては愉快な気持ちになっていた。
犬は、動物の犬だけを意味する単語ではない。
父親に連れていってもらった映画館のスクリーンで、
「官憲の犬めがぁー」と裏切りに遭った瀕死のヤクザが
血まみれで叫んでいた。そこで荒木は、敵対する組織から
送りこまれたスパイのことも犬と称するのだと知った。
子分が瀕死の状態にあると報を受けた組長は、すくっと
立ちあがって言った。
「 おまえら、なにをボサッとしちょるんじゃー 」
ドスを磨けぃーやつを犬死させちゃいかんでよー」 そこで荒木は、犬という言葉が「 無駄 」に相当する
意味も持つのだと知った。
著者: 三浦しおん ( 1976年東京都生まれ )
2011年9月20日初版発行
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