ビストロフの橋

ビストロフの橋

November 23, 2005
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テーマ: 連載(82)
カテゴリ: カテゴリ未分類
 「・・・後をつけたのね」呆れたようにキャロルが言った。
 「だってぇ、きっとあの二人付き合うよ? 恋人たちの初めての出会いに立ち会うなんてなかなかできない経験だと思わない?」
 「付き合うとは限らないでしょうに・・・」
 「絶対付き合うもん。パーシーったらその日からずっとマートルの部屋の前を見回りしてるんだよ。昨日だってマートルのいるトイレの前ウロウロしてたし」
 女子トイレの前をウロウロ? あまり格好のいいものじゃないな。
 「お! ホグワーツの歴史を塗り替えた勇者様の登場だぞ」
 「なんとまぁ、常々お会いしたいと思っておりましたが、ご尊顔を拝し光栄の極み」
 廊下を曲がり、大きな太った婦人の絵が見えたところで、ウィルは仰々しいほどの恭しさで迎えられた。赤毛にそばかす、同じ顔をした二人の上級生が、ウィルを偉人でも見るような目で見ている。
 「我々でさえ、城を抜け出し、森へ入るのに半月を要したと言うのに」

 ウィルが杖の材料を取りに行ったときのことを話しているのだ、見ていたのだろうか?
 「森に!? 危ないからいっちゃ駄目って校長先生が言ってたのに」
 「杖の材料なら、他にも手に入れる方法あるはずよ」
 上級生に深々とお辞儀され、戸惑うウィルの代わりにルビーとキャロルが声を上げた。 ルビーのほうは少し楽しそうな声が含まれていたが、キャロルのは本気の抗議のようだった。言葉から見ても、ウィルが何をしようと森に行ったのか、完全に理解している。
 「杖?」
 双子が同時に反応してキャロルに注意を向け、キャロルが淀みなくウィルの杖づくりのことを話している。ウィルを危険な場所に行かせたくないのだろう、というのはわかるし、気持ちはありがたかったがキャロルの声がウィルの耳には少し痛かった。
 「そんなことは今はどうでもいいんだ。僕らが今日ここに来たのは別の用件で・・・」
 話題を変えさせようと、ウィルが蛮勇を奮って声を上げたとき、キャロルがすでにそのことを話し始めていた。
 「ドリー?」
 「城内の絵という絵は大体知ってるつもりだけど・・・・」
 聞いたことない、という。まぁ気にかけて捜してくれると約束はしてくれた。見つけたら事情をすべて説明する、という条件で。

 「そうさ、森の中ならハグリットの次くらいには詳しいんだぜ」
 もちろん、城の中もな。そう言って双子はニヤリ、と笑うとどこかに行ってしまった。
 「あの二人がウィーズリーの双子なんだ。先輩がフィルチと死闘を演じる英雄たちって呼んでたよ」ルビーがはしゃぎ。
 キャロルはウィルのことについて勝手にしゃべりすぎたと反省している。
 「・・・まぁ、なんにしてもグリフィンドールの中にも協力者を作れたってことで、目的は果たせたんだ。帰ろう、そろそろ戻らないと変身学のクラスに遅れてしまう」






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Last updated  November 23, 2005 08:28:07 PM
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