ビストロフの橋

ビストロフの橋

December 7, 2005
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テーマ: 連載(82)
カテゴリ: カテゴリ未分類
 「マゼンダ」今度は間違いなくスネイプの口から、その人物の名前が出た。
 教室の入り口に目を向けると、モスグリーンのローブを着た割りと若い魔女がいたずらっぽく笑って立っていた。
 朝、自分が手紙を送った相手だと、ウィルは気がついた。
 「はぁーい。セルブル、偽悪趣味は相変わらず健在のようね。も少し素直な言い方覚えないと、そのうち刺されるわよ」
 「セブルス、だ。と、何度言わせる気だ?」 声に温度があるとすれば、口から氷が飛び出しただろうと思えるほどの低い声がウィルの目の前を通過していった。
 「あら、私にファーストネームを覚えて欲しいの?」それすらも、サラリと受け流して微笑むマゼンダ。
 恐ろしさのあまり、ウィルは無意識に首をすぼめてしまった。
 だが、意外にもスネイプは噛み付きもしなければ吠えかかったりもしなかった。
 「授業のじゃまだ。用があるなら後にしろ。ないならとっとと帰れ。我輩としては是非、後者を選んでほしいが」努めて『冷静に』と自分に言い聞かせているのが、ウィルにもわかる口調でそう言っただけだ。

 ウィルに向けてウィンクを一つ投げかけ、マゼンダはこれまでで一番の笑顔を見せた。
 その瞬間、ウィルには結果が読めた。こう言えば、マゼンダに一秒でも早く同じ空間から消えてほしいと願っているらしいスネイプは、ウィルに授業を免除すると言って追い出すに違いない。
 そうなれば誰に気兼ねすることもなく、大手を振って教室を出ていけるというものだ。
 そして、そのとうりになった。
 スネイプは聞き取れないほど低い声で、「あいつをつれて、出ていけ」と唸るとウィルとマゼンダ双方に背を向け、何事もなかったかのように授業を再開したのだ。






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Last updated  December 7, 2005 08:32:41 PM
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