ビストロフの橋

ビストロフの橋

December 20, 2005
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テーマ: 連載(82)
カテゴリ: カテゴリ未分類
 クィディッチの最初の試合は、生徒のほとんどが満足の行く結果で終わった。満足しなかった一部(全校の四分の一)の生徒がなにものかをあえて言う必要はないだろう。
 観戦すること自体はどんなスポーツであれ、嫌いではないウィルもこの一試合だけでクィディッチがなんでこんなに人気があるのかを理解した。
 スピードだった。特にシーカーと呼ばれるポジションの選手は見てるほうが目を回すくらい早く飛ぶ。それにブラッジャーの存在だ。
 チェイサーがクアッフルを投げあい、ゴールするだけなら空飛ぶバスケットに過ぎないが、そう思っていると突然ブラッジャーが襲いかかってきて、ピーターがすかさず打ち返す。
 一つのフィールド内でいくつもの動きが複雑に、かつ巧妙に絡み合いながらゲームが展開する。観衆が退屈する暇がないのだ。
 野球のように区切りだらけではなく、サッカーや他の球技全般がそうなようにボール一つを目で追っていれば試合展開がわかるほど単純でもない。
 ウィルは生まれて初めてスポーツに熱中し、何日間も興奮から覚め切れないままになった。
 そんなだから、16日の朝。目を覚ましたとき、ベッドの脇に置いてあるカレンダーが赤い光で点滅しているのを見ても、それが何を意味するのかすぐには思い出せなかった。
 ようやく思い出すと、ウィルはローブのポケットから大慌てでキャロルの作ってくれた『復習予定表』を引っ張り出し、時間を確認するためにページをめくった。

 夕食を大急ぎでかっ込み、入浴をさぼればなんとか礼を欠かない程度には出席できる。
 朝食をとっている最中、ウィルはルビーとキャロルに夕食の時は一緒にいられないことを告げた。
 「なんで?」ルビーが無邪気に聞き返すので、ウィルは『絶命日パーティー』に招かれたことを教えた。
 二人とも、驚きで目を丸くした。
 「生きてる人が招かれることってすごく希なのよ」
 「って、いうより。招待されても行く物好きはあまりいないんだよ。生きた人間が行って楽しいとこじゃないから」
 二人とも、ウィルが招待されたことよりも、その招待を受けたことに驚いているらしかったが、直後にはウィルの方が驚いた。二人ともウィルについて行きたがったのだ。
 招待されていないものをつれていくのがいいこととは思われなかったので、初めのうちウィルはいい顔をしなかったが結局二人がついてくることを承諾した。





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Last updated  December 20, 2005 09:42:14 PM
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