《櫻井ジャーナル》

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

寄付/カンパのお願い

巣鴨信用金庫
店番号:002(大塚支店)
預金種目:普通
口座番号:0002105
口座名:櫻井春彦

2011.07.10
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 福島第一原発で破局的な事故が起こってから4カ月になる。政府、経産省、そして言うまでもなく東京電力は今でも情報の隠蔽、偽情報を流し続けているのだが、事故を収束させられない状況にあることは間違いない。発電所の周辺20キロメートル以内は4月22日から立ち入りが禁止されている状態だ。放射線量の高さを知られる、あるいは知られたくはないものを見つけられる恐れがあると思っているのだろう。80キロメートル近く離れていても深刻な汚染状況の場所もある。

 しかし、それでも今回の事故は運が良かった。圧力容器の内部で水素爆発が起こらず、風が太平洋に向かっていたことから陸の汚染が軽減されたからだ。ともかく最悪の事態には至らずにすんだ。もし水素爆発が起こり、風向きが悪かったなら、日本列島の北半分は壊滅していただろう。

 ただ、それでも事故が深刻な状況にあることは確かだ。燃料棒は溶融し、圧力容器の底から格納容器に漏れ落ちている可能性が高いと考えられている。そうなると、融点の関係で圧力容器の壁は融け、溶融物はコンクリートの中にあると思わなければならない。

 もし溶融物が地下水を汚染すれば地中の汚染は広がり、海もさらに汚すことになる。発電所の周辺は想像を絶する放射能汚染、つまりチェルノブイリ原発の事故を上回る汚染になると覚悟する必要があるだろう。

 原発周辺の深刻な汚染状況を住民へ速やかに伝え、避難させる必要があったのだが、政府/経産省/東電、そしてマスコミは「安全デマ」を流し、被害を拡大させることになった。

 こうしたデマを最初に打ち砕いたと言えるのは、ジャーナリストの広河隆一さんや豊田直己さんたちだろう。事故直後の3月13日、原発から約3キロ離れた病院で1000マイクロシーベルトまで測定できるガイガーカウンターの針が振り切れたことを明らかにしたのである。

 また、京都大学原子炉実験所の今中哲二助教らは3月28、29の両日に現地を調査、飯館村の一部に「避難を考えた方がいいレベルの汚染」があることを突き止め、報告している。旧ソ連のチェルノブイリ原発事故による強制移住基準を上回る汚染だということである。

 菅直人内閣で官房参与を務めていた小佐古敏荘さんは「原発推進派」として知られていた学者だが、ウォール・ストリート・ジャーナルに対し、「菅内閣は海の汚染や魚への影響について迅速な分析ができておらず、汚染除去コストを最小限に抑えるために特定の放射能の危険性を過小評価している」と述べ、「今年後半、特に日本人の主食である米の収穫が始まった頃に、より広範な、憂慮すべき問題が明らかになるだろう」としている。(ウォール・ストリート・ジャーナル、7月2日付)

 チェルノブイリ原発の事故では4、5年後から白血病や甲状腺癌が急速に増え、20年を過ぎたあたりから癌だけでなく心臓病も増えているとする報告が出てきた。IAEA(国際原子力機関)などが広めてきた「安全デマ」が崩れ始めている。



 放射線に対して女性が危機感を持っているのに対し、体制の中で生きてきた男性の中には事実から目を背けようとしている人が少なくない。そうした人々を「煽る」ことにより、家庭内で原発に批判的な声を封印しようとしているのかもしれない。

 それはともかく、放射能汚染の事実は日本人に重くのし掛かってくる。50歳代の人たちは放射能汚染の結果を見ずにすむかもしれないが、30歳代より若い人たちは現実の追いつかれてしまうだろう。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2011.07.11 02:34:43


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: