《櫻井ジャーナル》

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2024.07.09
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 次の東京都知事を決める選挙の投票が7月7日にあり、自民党、公明党、国民民主党都連、地域政党の都民ファーストの会を後ろ盾とする現職の小池百合子が当選、立憲民主党、共産党、社民党が支援した蓮舫は小池に敗れただけでなく、石丸伸二の後塵を拝した。「リセット」なるフレーズを使う時点でアウトである。

 石丸は三菱UFJ銀行の元社員で、2020年7月から安芸高田市の市長を務めていたが、今年5月に辞職して都知事選へ立候補していた。政治家として目立った業績はないようだが、経歴を見る限り、現支配体制に従っているように判断できる。

 この選挙結果からいくつかのことがわかる。例えば有権者は政治家の嘘に寛大だが、印象には敏感。今回の場合、2020年から現在に至るまで政府が強引に推進している「COVID-19ワクチン」と称する遺伝子操作薬の問題がある。この薬物の危険性を知る人が増える中、与党の自民党や公明党だけでなく、野党の立憲民主党、共産党、社民党も危険薬物を国民に打たせようとしてきた。

 小池が初めて東京都知事になったのは2016年8月のことである。その当時、築地市場を閉場して豊洲に新市場を作るという計画が進められていたのだが、この計画には例によって黒い噂が流れていた。しかも移転先は豊洲ガス埠頭跡地で、豊洲の安全性が懸念されていたのである。

 東京都が豊洲へ市場を移転させると決めたのは2001年のこと。同年7月に東京ガスと基本合意し、12月に正式決定したのだが、創業時のガス製造過程で排出されたベンジンや重金属などは工場の敷地内に放棄され、そのまま封じ込められていた。

 問題の土地が汚染されていることは明白で、東京ガスの調査でもベンゼンが環境基準の1500倍、ヒ素が49倍、水銀が24倍、六価クロムが15倍、鉛が9倍といった数値が出ている。その結果、東ガスは都と契約を結ぶ前に「豊洲用地の対策工事」を開始、地区全体の汚染土壌を掘削除去し、新しい汚染されていない土壌に入れ替える手法を採用したとされていた。

 2007年に再選された石原慎太郎都知事は土地の再調査を指示、その結果、ベンゼンは環境基準の4万3000倍、シアン化合物は860倍。しかも床の耐荷重が弱く、仲卸店舗の1区画の間口が狭くてマグロ包丁が使えないうえ、交通アクセスが貧弱で円滑な輸送は望めそうにないといったことが指摘された。汚染対策として盛り土をすることになっていたのだが、実際はコンクリートで囲まれた空間になっていたことが明らかにされ、移転を予定通りに行うことは不可能になった。

 ​ 小池知事は2017年の東京都議会議員選挙の際、築地市場で豊洲市場の土壌汚染問題を謝罪した上で、築地のブランド力を守ると述べた ​。築地跡地の市場機能を有した「食のテーマパーク」構想をぶち上げ、築地市場へ戻ってくるかのようなことを口にしたのである。

 そして2018年10月、築地市場が閉場し、洲新市場が誕生、小池知事の約束は雲散霧消した。この時から小池百合子が嘘つきなことははっきりしていた。その後、東京の有権者は彼女の嘘を許してきたのである。その都民にとって学歴詐称など大した問題ではないのかもしれない。

 石原が市場を築地から豊洲へ移転させると強引に決めた背景には臨海副都心開発の赤字がある。この事実を誤魔化すために「臨海副都心事業会計」を黒字の「埋立事業会計」や「羽田沖埋立事業会計」と統合、帳簿の上で赤字と借金の一部を帳消しにするという詐欺的なことを東京都は行っている。勿論、地方債と金利負担がなくなるわけではない。

 都の財政にとって大きな負担になった臨海副都心開発は鈴木俊一知事の置き土産である。1979年に初当選した鈴木は巨大企業が求める政策を打ち出し、新宿へ都庁を移転させて巨大庁舎を建設したほか、江戸東京博物館や東京芸術劇場も作り、臨海副都心開発の検討を開始、1989年には臨海副都心で建設を始めている。

 臨海副都心の台場エリアにカジノを建設しようとした人物がいる。シオニストの富豪で、ドナルド・トランプに対する最大のスポンサーだったシェルドン・アデルソンである。

 彼はアメリカのラスベガス(ネバダ州)、ベスレヘム(ペンシルベニア州)、さらにマカオ(中国)、マリナ湾(シンガポール)でカジノを経営、日本にもカジノを作らせるように要求していた。

 アデルソンはイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と親しいことでも知られ、​ 2013年にはイランを核攻撃で脅すべきだと語っていた ​。核攻撃発言から間もない2013年11月にアデルソンは来日、自民党幹事長代行だった細田博之と会った際、東京の台場エリアで複合リゾート施設、つまりカジノを作るという構想を模型やスライドを使って説明している。

 日本では2010年4月に「国際観光産業振興議員連盟(IR議連)」が発足していたが、このグループが動き、カジノ解禁を含めたIR(特定複合観光施設)を整備するための法案が国会に提出された。

 カジノ計画は2020年の東京オリンピックに間に合わせて実現するつもりで、アデルソンは14年2月に日本へ100億ドルを投資したいと語ったと伝えられている。

 アデルソンは単にカジノを経営したかっただけではないという見方もある。ラスベガス、マカオ、モナコといったカジノのある場所はタックスヘイブン(租税回避地)と関係があり、地下経済と地上経済を資金が移動する役割も果たしている。出所のわからない多額の資金が動くカジノはマネーロンダリングの拠点として好ましい環境にある。

 アデルソンの要望に対する日本側の動きが鈍かったため、2014年5月に来日したネタニヤフ首相は日本政府の高官に対し、アデルソンへカジノのライセンスを速やかに出すよう求めたとイスラエルのハーレツ紙が2015年2月5日付け紙面で伝えた。(​ この記事をハーレツ紙はすぐに削除している ​。)

 東京地下鉄株式会社(東京メトロ)や三井不動産グループを含む「天下り」が整備されているところを見ると、この騒動を経て東京都庁の腐敗は進んでいるのだろう。

 自然を破壊する「開発」を利用し、巨大企業は政治家や官僚を巻き込んで庶民から富を巻き上げてきた。最近では明治神宮外苑の「再開発」が問題になっている。石丸は神宮外苑再開発を「ひっくり返せば、むしろ混乱」と語ったようだが、すでに多額のカネが裏で企業から政治家や官僚をはじめとする関係者へ流れているはずで、確かに「大変」なことになるだろう。

 現在、世界は存続の危機にある。そうした問題を都知事選の候補者たちが取り上げたのだろうか?

 1991年12月のソ連消滅で自分たちが世界の覇者になったと認識したアメリカの好戦派のネオコンは世界制覇戦争を始めた。まずソ連を解体し、ユーゴスラビアを先制攻撃して破壊、さらにアフガニスタン、イラク、リビア、シリアを軍事侵略、ウクライナでは欧米への従属を拒否したビクトル・ヤヌコビッチ政権をクーデターで倒してネオ・ナチ体制を樹立、さらにガザでイスラエル軍によるパレスチナ人虐を支援、東アジアでの軍事的な緊張を高め、日本に戦争の準備をさせている。

 その一方、アメリカの国防総省は軍事作戦として「COVID-19ワクチン」の接種を世界規模で推進。世界の大多数は接種開始から1年ほどで危険性に気づいてブレーキをかけたが、日本はアクセルを踏み続けてきた。

 国防総省はウクライナで生物兵器の研究開発を実施、生体実験も行っていた。その研究に関した文書を改修したロシアでは議会が報告書を作成、その中で「アメリカは人間だけでなく動物や農作物も標的にできる普遍的な遺伝子操作生物兵器の開発を目指している。その使用はとりわけ敵に大規模で回復不可能な経済的損害を与えることを前提としている。」と書いている。この特性は日本で治験が始まった「レプリコン・ワクチン(自己増幅型COVIDワクチン)」のそれと似ている。

 日本をこうした国にした責任の一端はマスコミにある。むのたけじは1991年に開かれた「新聞・放送・出版・写真・広告の分野で働く800人の団体」が主催する講演会の冒頭、「ジャーナリズムはとうにくたばった」と発言したという(むのたけじ著『希望は絶望のど真ん中に』岩波新書、2011年)が、その通りだ。1980年代にメディアの腐敗は日本以外でも急速に進んだ。






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最終更新日  2024.07.09 00:00:10


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