これに対し、 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領 は9月12日、サンクトペテルブルクで開かれた国際文化フォーラムに出席した後、この件について報道陣に語った。キエフ政権はすでに無人航空機やその他の手段を使って攻撃を行っているとした上で、ふたつのことを指摘した。
まず、ウクライナ軍には西側諸国から供給された最先端の高精度長距離システムを使用する能力はないということ。衛星からの情報データなしにそうした兵器は使用できないため、EU、アメリカ、常識的に考えるとNATOの衛星を使うしかない。そして兵器を操るオペレーターとしてNATOの軍人を送り込む必要がある。
つまり、NATO諸国がロシアとの軍事衝突に直接関与することを意味するとしているのだが、こうしたことはすでに指摘されていた。それをロシアの大統領が確認したということだ。これはロシアがNATO諸国を直接攻撃する局面がありうるということでもある。
2022年2月にロシア軍がウクライナに対する攻撃を始めた直後、ウォロディミル・ゼレンスキー政権はイスラエルやトルコを仲介役としてロシアのプーチン政権と停戦交渉を開始、3月5日には停戦が内定、仲介していたイスラエルナフタリ・ベネット首相はドイツへ向かい、シュルツと会っている。
ところが、その3月5日にウクライナの治安機関SBUがキエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフを射殺している。現在のSBUはCIAの下部機関だ。
4月9日にはイギリスのボリス・ジョンソン首相がキエフへ乗り込んで停戦交渉の中止と戦争の継続を命令、4月30日にはナンシー・ペロシ米下院議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問、ゼレンスキー大統領に対してウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めた。
それ以降、ウクライナでの戦闘はロシア軍とNATO軍の戦いという様相を強めていき、ロシア軍の報復攻撃の質も変化してきた。最近は西側が送り込んだ特殊部隊員、傭兵、オペレーターなどをターゲットにするようになっている。
ロシア軍は今年1月16日にハリコフを攻撃した際、軍事施設のほか旧ハリコフ・パレス・ホテルを破壊したが、この旧ホテルは西側の情報機関や軍関係者に使われていて、爆撃された際、200人近くの外国人傭兵が滞在していたと言われている。その攻撃で死傷した戦闘員の大半はフランス人傭兵で、そのうち約60名が死亡、20人以上が医療施設に搬送されたと伝えられている。
最近の例では「ポルタバ軍事通信大学の士官候補生」が攻撃され、そこにいた情報・監視・偵察、電子戦の専門家700名が全滅したと推測する人もいる。一部報道によると、死亡したNATO要員の多くはスウェーデン人で、早期警戒管制機サーブ340 AEW&Cの使用をウクライナ人要員に訓練するために派遣されていたという。その直後、同国のトビアス・ビルストロム外相は辞任すると発表した。この辞任とロシア軍の攻撃に因果関係があるかどうか不明だが、「奇妙な偶然」に興味を持つ人は少なくない。
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