ガザでパレスチナ人虐殺を続けているイスラエル軍はヨルダン川西岸でも住民弾圧を強化、9月6日にはイスラエル人による違法入植地拡大に抗議していたアメリカの人権活動家アイセヌル・エズギ・エイギを射殺した。その前に11人の入植者がパレスチナ人や支援者を鉄パイプなでで襲撃している。エイギらは平和的に活動していたが、イスラエル兵は彼女の頭部を狙撃したと伝えられている。
ガザでは昨年10月から4万1000人以上の住民が虐殺され、そのうち約4割が子ども、女性を含めると約7割に達すると言われているが、それは瓦礫の下に埋まっている遺体を勘定に入れないでのことだ。こうした実態を封じ込めるため、現地で取材しているジャーナリストも攻撃の目標になり、犠牲になってきた。本人だけでなく家族が狙われるケースもある。
アル・アフバール紙のレバノン人ジャーナリスト、アマル・ハリルの場合、「レバノンを離れなければ首を切る」と言われたという。同紙のファラー・オマールやラビー・アル・マーマリはロイターのイサム・アブダラーと同様、殺されているため、ハリルへの脅しは深刻だ。
また最近、オーストラリアの有名ジャーナリスト、メアリー・コスタキディスはイスラエルを批判するXのツイート2件をリツイートしたことから人種差別法違反の疑いで告訴された。ヒズボラ指導者ハサン・ナスララの演説を撮影したビデオを含む書き込みのリツイート、イギリスのジャーナリスト、リッチ・メドハーストによる書き込みのリツイートが問題にされた。
メドハーストはイスラエル軍によるガザでの虐殺を伝えていたジャーナリストで、虐殺を続けるイスラエルやその虐殺を支えている欧米諸国から睨まれていた。彼は8月15日、ロンドンのヒースロー空港で逮捕されている。
ガザ地区への侵略と大量虐殺戦争の開始以来、殺されたジャーナリストは172人に上り、数百人がイスラエル占領下の刑務所や拘留施設に拘留され、最も凶悪な虐待や拷問を受けているという。イスラエル軍はジャーナリストを意図的に攻撃している。
ウクライナでもジャーナリストが狙われている。
西側の有力メディアの仕事をしている記者はウクライナ軍が支配している地域に入るだけだが、ドンバスの反クーデター軍が支配している地域で取材してきたジャーナリストもいて、アメリカやその属国の政府にとって都合の悪い事実を伝えてきた。そうしたジャーナリストも弾圧の対象になっている。
ドンバスではドイツ人ジャーナリストのアリナ・リップ、フランス人ジャーナリストのアン-ローレ・ボンネル、カナダ人ジャーナリストのエバ・バートレット、フランスの有力メディアTF1やRFIのスタッフ、またロシアやイタリア人の記者らが取材を続けてきた。 ドイツ人ジャーナリストのパトリック・バーブは職を失い、アリナ・リップは銀行口座を接収されている。 獄中で拷問の末に死亡したゴンサロ・リラもそうしたジャーナリストに含まれる。
イスラエルによる虐殺を暴き、ウクライナの実態を伝えていたアメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターはパスポートを空港で押収され、家宅捜索を受けている。
ウクライナやガザでの状況は現地からの情報として世界に発信され、西側有力メディアの嘘を知る人は少なくない。そうした情報を発信する有力な手段のひとつがテレグラムだが、そのCEOを務めるパベル・ドゥロフが8月24日にパリのル・ブルジェ空港で逮捕された。
ドゥロフはプライベート・ジェットでアゼルバイジャンからフランスへ向かったのだが、そのジェットのパイロットがフライト・プランを提出した時、フランスで逮捕令状は出ていない。飛行中に出たという。
フランスでの報道によると、パベルは警察に対し、エマニュエル・マクロン大統領と夕食を共にするためにパリを訪れたと語ったとも伝えられている。西側の支配者に睨まれていることがわかっていながら彼はパリを訪問した。そうした行動に疑問に感じる人は少なくないが、大統領と会う約束があったとするならば、納得できる。
偽パンデミックを演出し、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」と名付けられた遺伝子操作薬の危険性を訴えていたドイツ人弁護士のライナー・フュールミッヒは現在、ドイツの刑務所に収監されている。「コロナ調査委員会」でフュールミッヒのパートナーを務めていたビビアン・フィッシャーにこの委員会が集めた寄付金を横領したと訴えられ、昨年10月に逮捕された。フュールミッヒに対する容疑は立証されていないようだが、有罪判決はすでに書き上げられているとも言われている。
内部告発を支援していたWikiLeaksの象徴であるジュリアン・アッサンジは長期にわたって刑務所で拘束され、ウクライナに住みながら同国のクーデター体制を取材していたチリ系アメリカ人ジャーナリストのゴンサロ・リラは刑務所内で拷問され、死亡している。
事実を伝えようとするジャーナリストや活動家が弾圧され、殺されている一方、有力メディアは西側支配層の宣伝機関として活動し続けている。その代表格のように見られているCNNだが、このメディアが報道を放棄した時期がある。
CNNは1998年6月、アメリカ軍のMACV-SOG(ベトナム軍事援助司令部・調査偵察グループ)が1970年に逃亡米兵をサリンで殺害したと報じている。その作戦名はテイルウィンド(追い風)。CNNは軍関係者だけでなく有力メディアから攻撃され、調査を行ったふたりのプロデューサーは誤報だと認めるように要求されるが拒否、解雇された。そのひとり、エイプリル・オリバーによると、放送では示されなかった重要な情報をCNNは隠しているという。
その作戦に関する重要な証言をしたひとり、トーマス・ムーラー提督は1970年から74年まで統合参謀本部議長を務めた人物。それに対し、MACV-SOGは情報機関と特殊部隊が母体で、指揮系統は正規軍と別である。つまりムーラー提督はテイルウィンドと無関係であり、沈黙を守る必然性もなかった。
その放送の翌年、アメリカ陸軍の第4心理作戦群の隊員が2週間ほどCNNの本部で活動していたことも明らかになっている。「産業訓練」というプログラムの一環で、編集に直接はタッチしていなかったとしても、心理戦の部隊を受け入れると言うこと自体、報道機関としては許されない行為だ。アメリカ軍の広報担当だったトーマス・コリンズ少佐によると、派遣された軍人はCNNの社員と同じように働き、ニュースにも携わったという。
この事実を最初に報じたのはフランスのインテリジェンス・ニューズレターで、オランダのトロウ紙が2000年2月21日に後を追う。アメリカ軍の広報担当、トーマス・コリンズ少佐によると、派遣された軍人はCNNの社員と同じように働き、ニュースにも携わったという。(Trouw, 21 February 2000)
そして2001年9月11日、あの事件が起こった。
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【 Sakurai’s Substack 】