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お父さんは家族から、何でも口に出す人と思われている。その場の雰囲気を考えるとか空気を読むとかしないということで、家族からの評判は今一つだ。お父さんは「言うべきことははっきりと言う」というポリシーなので、今のところやり方を変えるつもりはない。
ただ一つ言い訳をしておくと、自分が関係ないものには一切口出しをしない。口を出すのは自分も関わってやらなくてはならないことだけに限定している。
さてそんなお父さんだが、先日家族とマスクの話をしていて、ふと忘れていた小学生時代のことを思い出した。思えば周りに流されずにきちんと自分の意見を言わなくてはならないと思うようになった最初の出来事かもしれない。
お父さんが小学校の 3 年生ぐらいの時だと思うが、使っていた消しゴムが小さくなり新しいものを購入するように母親にお願いした。当時のお父さんの小学校は「購買」という物があり、学校で使う文房具や雑貨などは校内の「購買」で購入することができた。朝と昼休みに「購買」が開いていたので、お父さんは母親からお金をもらって消しゴムを購入するため「購買」に行った。
いつもの光景だが、だいたい購買は生徒が並んでいる。窓口でほしいものを告げると中の人が窓口にそれを持ってきて、窓口でお金と引き換えに物品を受け取るという仕組みだった。
さてお父さんが並んで順番を待っていると、前の方で買っている人が「マスク」を買っていた。別に普通の事なのだが、そこからがすごかった。お父さんの前に 10 人ぐらい並んでいたと思うのだが、次の人も、その次の人も「マスク」を購入していくのだ。 5 人を過ぎたぐらいで、売り手の方も「マスクがこんなに続くなんて」と驚いていた。その後もマスクは連続して売れ続け、お父さんの順番が近づいても「マスク」を購入する人が続いた。売り手は「どこまでマスクが続くのだ?」と不思議な出来事にワクワクしていた。
お父さんは「消しゴム」を買うつもりだったが、あまりにもマスクが続くのでやばいと思い始めた。消しゴムを買うと、マスクの連続販売記録が途切れてしまうからだ。何とかお父さんの前までで、連続記録が途切れることを祈ったが、最後の期待だったお父さんの前の人も結局マスクを注文してしまった。
当時のお父さんは流れに逆らうことができずに、結局マスクを買ってしまった。全く必要のないモノである上に、消しゴムを買うお金も無くなってしまった。でもマスクの連続記録を途切れさせるわけにいかなかったと自分に言い聞かせていた。ところが、次の瞬間お父さんは愕然とした。お父さんの後ろにいた人が、マスクではないものを購入したのだ。連続記録はお父さんで途絶えた。後ろの人が何を買ったのか覚えていないが、マスクではなかった。
お父さんは後ろの人がお父さんの前にいれば、マスクなんて買わなかったのにと激しく後悔した。いや、なんで流れに負けてマスクを買ってしまったのかと、絶望した。
この事件以来、お父さんは自分が言わなくてはならないことは、周りがどうであれはっきり言おうと決意した。お父さんが図々しくなる第 1 歩だったかもしれないと思う。
今では余計なことまで言うお父さんだが、子供の頃はこんなに気が弱かったのだ。だから今は気の弱いお前たちも、いろいろな失敗をして、強くなってほしいと願っている。