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先日ハチの話を書いていて、ハチに関する話をもう一つ思い出した。実際は 2 つ思い出したのだが、 2 回に分けて書いていこうと思う。
お父さんは小学生時代、大きなベランダのある部屋を与えられていた。兄の部屋とつながったそのベランダは、一家のリビングと同じ広さがあった。
天気のいい日はそこでのんびり外を眺めるのが好きだったし、友達ともベランダに出て遊んだことも結構あった。一軒家であれほど広いベランダを持つ家はなかなか無いのではと今でも思う。
さてそのベランダだが、田舎に建っていたせいか、よくアシナガバチが巣を作っていた。最初は小さい巣なので気が付かないが、大きくなってくるとハチが増えて飛び回るので、気がつくようになる。時には部屋にも入ってくるので、退治しないと危険な状態になる。
普通に巣を叩き落して除去してしまえばよいのだが、子供の頃はそのハチの巣にちょっかいをかけて遊ぶことも多かった。特によくやっていたのが、ハチの巣に殺虫剤をかけて、怒って襲ってくるハチを部屋に逃げ込んで窓を閉めることで回避するという遊びだ。遊びと言ってもハチの巣を除去する前段階の行為でもある。
ある日、お父さんが大きくなったハチの巣に殺虫剤をかけようとしていたら、 1 歳年下の妹が見に来た。あぶないから近づかないように言ったのだが、私も見たいと言ってきかなかった。
殺虫剤をかけたらすぐに逃げ込むように指示をして、妹はお父さんの後ろをついてきた。
いつものようにハチの巣に向かって殺虫剤をかけて、部屋に逃げ込もうとしたら、初めての恐怖でパニックになった妹が部屋の入り口でもたもたしている。後ろからはハチが襲い掛かってきているのでお父さんも焦った。
そして、妹がようやく部屋に入った瞬間、彼女は驚きの行動に出た。お父さんをベランダに残したまま、部屋の窓ガラスを閉めてカギをかけたのだ。自分が助かるためにお父さんを犠牲にする行為だ。
結局逃げ場のなくなったお父さんは襲ってくるハチに腕を刺されて痛い思いをした。ハチが窓の周辺からいなくなるまで妹は頑として窓を開けなかった。
小さいころから妹は、自分が逃げられれば家族が犠牲になっても構わないという性格で、風呂釜がガス漏れして小さな爆発が起きた時も、一人で逃げるようなことをしていた。
それにしても、逃げようとして目の前で締め出された時の驚きと、その後のハチに襲われた恐怖は今でも覚えている。幸いにもアナフィラキシーショックも出ずにただ痛いだけで済んだのだが、本当にひどい思いをした。妹はもう忘れているだろうか。
ベランダのハチの巣に殺虫剤をかけて遊んでいたら、妹に締め出されて刺されてしまった。ひどい話だ。