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息子は高校 2 年生である。先日予備校の面談と高校の 3 者面談で、今のままでは希望大学どころか、大学進学自体が難しいという話をされた。とにかく成績が悪いのが問題である。学校の定期テスト、外部の模試ともに結果が悪い。お父さんも息子の外部模試の結果や、学校の定期テストの順位などを聞いていたので、驚きはしなかった。そもそもこのままではまともに大学進学など夢だなとお父さん自身が思っていただけでなく、息子にも話していた。
息子はお父さんに影響を受けたのか、姉である長女に影響を受けたのかわからないが、理系クラスへ進学した。元々魚を筆頭に生き物が好きで、生物関連の仕事に就きたいとは言っていたが、獣医学部から農学部や海洋学部などまだ専門をしぼれないようだ。まあ獣医学部は今の成績では夢のまた夢である。農学部もすそ野が広いので、自分のやりたいことや興味のある大学を探す必要があるのだが、そもそも一日中スマホで遊んでいるというのに、こういう調べ物は全くしていないらしい。
先日息子とお母さんと 3 人で、進路について話をしたのだが、成績が悪いことを前提にした話のなかで、お父さんとお母さんの価値観というか、息子に対するスタンスがかなり違うことが浮き彫りになった。個人の違いなのか父親と母親という立場の違いなのか分からないが、息子の大学進学への協力の仕方や、息子への要求事項がお父さんとお母さんではまるで合わず、親対息子になるはずの話し合いがお父さん対お母さんの話し合いになってしまった。
お父さんは、息子に対して「親としての責任はすべて果たしているし、今後も果たしていくが、どう生きるかは息子の勝手」「息子は自分自身で考え行動して、結果を受け入れるべき」という考えである。
親として、お父さんは学費や生活費など社会人になるための費用は出してきたし、今後も出すつもりだ。大学受験に関しても住んでいる地域では最高の環境を与えている。と言っても予備校にきちんと通わせているだけであるのだが、費用はかなり掛かっている。つまりは金銭的な面倒は見るが、努力するのも怠けるのも息子次第だし、相談されない限りは息子が自分で考えて行動し、その結果どんなことになってもお父さんは関知しないというのがお父さんのスタンスである。
世の中の変化が激しすぎて、どのように生きれば(大学や学部、就職の分野や企業などの選択)幸せかとか安定した生活があるなどお父さんにもまるで分らない。お父さんが学生の頃は、入試レベルの高い大学に入学し、大手企業に就職することが幸せへの王道であるという考えが多かった。だがそういう道を進んだ同級生が、いま安定して幸せな生活をしているかと言うと、そうでもない。むしろ 50 代になって大手企業の同級生はかなり苦労していると感じている。
お父さんの時代でさえ変化しているのに、息子の時代の変化などどうなるか予測できるものではない。だからどのような大学に入って何を勉強してもよい。その代わり自己責任だよとしか思わない。人間万事塞翁が馬という価値観でお父さんは生きているので、息子にあれをしたら安心とか、こうしておけば人生は成功するなど言う気はない。
一方お母さんは、「難関大学に入る必要はないが、息子の希望する進路に進ませてあげたい」という思いが強い。そのために息子に努力(今回はもっと勉強して結果をだせということ)を要求する。努力をしない息子に、どうやったらきちんと勉強して成績を上げるかを親が指導や教育をして、無理やりにでも引っ張り上げるというスタンスだ。
話していて理解できたのは、お母さんは大学入試に注目し、お父さんは人生全体を見ているということだった。大学入試は確かに人生を左右する重要な要素ではある。医者や薬剤師になりたいのなら、医学部や薬学部に入れない限りはそこで夢は終わってしまう。
息子は獣医学部を第一志望としているが、獣医になることを切望しているようには見えない。農学系の最難関分野が獣医だから一応希望しているに過ぎないとお父さんは思っているし、今の成績から努力をしても獣医学部に合格することはできないと判断している。
なのでお母さんが「獣医学部に入るために」と言って息子に勉強や情報収集を強制することにまるで賛同する気が起きない。お母さんはそんなお父さんの態度が不満のようだが、本気で獣医を目指してもいないし、勉強もしない息子に協力する気はない。
そもそも息子の時代は若手が決定的に不足している時代である。就職に困ることもないだろう。一部の国家資格などを伴う専門職以外は、どう生きるかを大学で考えても悪くはないと思っている。
あと 1 年半でどうなるかはわからないが、息子の受験結果は出る。お父さんは息子任せで今後も干渉しないし、お母さんは日々いろいろと息子を叱咤するだろう。どちらが正しい親なのかもわからないし、どちらが息子にとって良い親なのかも不明なままである。
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