森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.03.14
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カテゴリ: 身近な社会問題
2015年4月に衆議院を通過した「患者申出療養制度」が2016年4月2日実施された。
この制度は日本の健康保険制度を改悪させる可能性がある。

この法律は、現在保険外の治療や薬を自己負担で自由に使えるようになるというものです。
一見医療の新しい道を開くかのように見える。
今までは未承認の抗がん剤治療薬を使用するには、特定医療機関が申請しなければならなかった。
これからは患者側から要望があれば使用できるようになる。
アメリカで使われているがん治療薬などが合法的に日本に入ってくることになる。
ただし、安全かどうかについては、厚生省は責任を持たない。自己責任となる。
アメリカでは十分な治験が行われずにすぐに承認される傾向がある。


国立がん研究センターの出した試算によると、現在海外で承認されていて、日本では承認されていない「がん治療薬」42種類のうち、患者側の自己負担額が月100万円を超えるという薬が23種類あるという。
卵巣がんの治療薬「オラパリブ」を利用した場合、 「患者申出療養制度」の場合、 115万円余にもなる。現行の公的医療保険の高額療養費制度を利用した場合、 9万円余である。
つまり、 「患者申出療養制度」を利用しようとすると、高額の抗がん剤は自己負担になるため、国民の負担が10倍以上にもなる。実質的に経済的にゆとりのない人は容易に使うことができない。
その結果、医療費難民が発生することになる。

この法律は、医師や患者の声を聞いて作られた訳では無い。
財界メンバーが中心の「経済財政諮問会議」が骨子を作ったのだ。
医療保険制度の改正が医師や患者の声を無視して進められているのは問題だ。
ただでさえ日本は世界トップの薬消費天国だ。
このような混合診療が拡大されて、自由診療が幅を利かすようになると、国民皆保険の日本の医療制度は次第に形骸化してくる可能性が高い。
高価な薬が簡単にかつスピーディーに承認されるようになったとき、今よりもっと多くの新薬が日本に入ってくるようになる。

今の日本では保険診療がほとんどである。免責額はなく、医療費も薬代も基本的には3割負担である。

ところが医療保険制度の改正により、次第に保険診療の幅が狭められ、自由診療の比率が高くなってくる。その時点で医療費を問題なく払うことができる患者がどれほどおられるだろうか。
日本は既に「労働者派遣法」によって、正規雇用者が減らされ、非正規労働者が2,000万人にも上っていると言われている。これらの人たちの7割は年収が平均200万円以下といわれている。
この人たちがガンなどの病気になったときに高騰した医療費を払い続けることができるとは思えない。

日本では今後医療制度改革、規制緩和、民営化によって、国の皆保険制度が形がい化してくる。
そして改悪健康保険制度のもとでは、医療費が払えなくなり、民間の医療保険を買う人が増えてくる。


アメリカの民間の医療保険は、医療保険料金額がべらぼうに高く、しかも30万円とか60万の免責額があるのである。重大な病気になると、3人に一人が医療破産している国なのだ。
アメリカは国民の医療は政府が責任を持つ社会保障という考えはない。
医療は民営化されていて、多国籍企業が乗り出して、利潤を上げるための投資先なのだ。
医療保険に入りたくても入れない。国民の4人に一人、5000万人が無保険だったのだ。

日本にとって、これは他人ごとではなくなる。
アメリカの国民が置かれた現実は近い将来日本の現実となるのはほぼ間違いない。
日本政府は着々と医療制度改革、規制緩和、民営化の方向に布石を打ってきている。
患者申出療養制度という混合診療はその一環である。
それがいずれは合意に至るであろうTPPのねらいでもあるのだ。
世界中で最大の利潤を上げようとしている外資系の保険会社と製薬会社、病院の株式会社の経営者たちが規制緩和、民営化された日本の医療や介護の分野に進出してくると、日本の医療は金儲けの手段にされてしまう。一番の不利益を受けてしまうのは大多数の国民である。

すでに安倍総理は「国家戦略特区」政策の中で、医療改革拠点を大阪府、京都府、兵庫県に置いている。
ここでは外国人投資家が自由にビジネスチャンスを掴むことができるように、あらゆる規制を撤廃するという。特区である程度軌道に乗せて一挙に全国展開へと持ち込もうとしている。
そのことを同盟国アメリカから要望されているのだ。
外資の強欲な資本主義の担い手たちの後押しを強力に進めているのである。
日本国民の医療について政府が最終責任を持つという使命は放棄したとしか思えない。

その先は病院経営に株式会社の参入を許す。完全な医療と治療薬の民営化と自由化を推進する。
日本では医療・介護分野は将来100兆円もの利益を生み出すビックな魅力ある産業なのだ。
政府は、今後膨大する医療費抑制に向けて、国民皆保険制度を形骸化し、国民の健康や命を守る医療を完全民営化していこうとしているのである。
そうなれば、医療や介護は、製薬会社、保険会社、病院経営に参入した会社の利潤を生むための道具となる。
そこにはもはや憲法で謳われた国民の生存権を守るという国家の使命を放棄することになる。
そのような法整備が着々となされてしまえば、病気になったとき、今までのように気軽に保険証1つ持って全国各地の病院で治療を受けることはできなくなる。
難病にかかった場合、病院にかかることなく、病気を放置して死を待つしかないという時代がそこまでしのび寄ってきている。我々は事実をつかみ、未来に目を向ける必要がある。
(政府はもう嘘をつけない、堤未果  角川新書参照)





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Last updated  2024.04.07 10:58:22
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