森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.12.18
XML
カテゴリ: 感情の法則
第7回形外会(昭和5年11月9日)で香取会長は、森田先生ご令息の死去に対する哀悼の辞を述べられた。
私も告別式の時は、先生の側におりましたが、納棺の時は先生も非常に悲しまれ、腸を立つように慟哭されました。
出棺の時も、先生は門前で霊柩車を見送られましたが、のち二階に帰られた時は、はや風光せい月といった風に、他の事の話もされて、全く別人のごとき態度になられたのを見て、私も非常に感銘したのであります。
こんなときに、先生がどうしてこのように急変されるのか、その心境を説明していただけるならば、甚だ幸いかと思います。

これに答えて、森田先生は次のように話された。
死んだ人の家に悔やみに行く人が、よく「死んだ人は、どうせ帰らないから諦めるよりほかに仕方がない」と言って慰めようとする人がある。
大きなお世話である。そんなことを知らぬ人があろうか。しかし感情は、そのように簡単ではない。
当然に死ぬべき病気でも、親の心は最後まで、これを死ぬとは思わず、奇跡的にも助かると思い、また死んでも帰ってくるような気がし、灰になっても、まだなくなったように思わない。
否、そう思うのはあまりに恐ろしくて、ハッキリと理知で、そう認定することを避けて、我と我心をぼかしておくと言う風であります。

これは理知ではなくて、そのままの感情そのものである。
こんな風であるから、その直情のままに、悲痛に迫っても、小児のように慟哭する。
純なる感情であるから、日を経るままに、次第にその悲しみも薄くなり、忘れられるようになる。
小児の感情が早く変化しやすいのもこのためである。

普通、親族が亡くなって、喪主を務める場合、悲しみのあまり慟哭されるということはほとんど目にすることはない。
淡々と喪主挨拶をされる場合が多い。割と落ち着いて対応されているようにお見受けする。
しかし葬儀が終わった後、数日たってひどく持ち込まれているという話はよく聞く。
なかには妻が亡くなった後、しばらくして後を追うように、気丈夫そうに見えたご主人も亡くなられたというケースもある。
森田先生の場合は、告別式の場や出棺の時に人目もはばからず慟哭されたということである。
そういう時は故人との思い出が走馬灯のように頭の中を駆けめぐり、悲しみに打ちひしがれるのが普通である。
森田先生はその悲しいという感情を押さえつけようとしないで、そのまま味わい表出されている。

香取会長は二度森田先生の行動に驚かれたのであった。
私はここに森田先生の悲しみという感情に対する取り扱い方の真髄を見るのである。

悲しいという感情はどうすることもできない。
告別式ではその悲しい感情に人目をはばからず思いっきりひたりきる方がよいようである。
これは怒りの感情と違って、人に迷惑をかける感情ではない。

その悲しいという感情は人前で慟哭するという行動として表出してもいよいのである。
1番問題なのは、そんなことをするとみっともない。
大人げないことだと言って感情を抑えてしまうことである。
実際は悲しいのに、悲しくないフリをするということは、悲しい感情を先送りすることになる。
するとその悲しい感情はいつまでたっても自分の側から離れようとしなくなるのである。
そしてその悲しい感情は、精神交互作用によってどんどん増悪していくのである。
こういう対応は、悲しいという感情の取り扱い方を取り違えているのだと思う。
森田ではどんな感情であっても邪魔者扱いをしてはならない。
楽しい感情、嬉しい感情、怒りの感情、悲しみの感情、嫉妬する感情などなど、沸き起こってきた感情は行き着くところまでひたりきることが大切である。
途中で、不快な感情を取り除こうとやりくりをしたり、手っ取り早く不快な感情から逃げるという事は最もまずいやり方である。
感情は行き着くところまで行かせて味わい尽くす。
その先は、他人様に迷惑をかけるような感情の場合は、表出することを避けて我慢する。
そうすれば感情の法則1が教えてくれているように、後は流れに身を任せて、その感情は変化するのだ。じたばたしないで、台風が通り過ぎるのを待っていればよいのである。
最初からうまくいくとは限らないが、そういう体験を積み上げることが、その後につながっていく。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2017.12.18 06:30:10
コメント(0) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

寒い時期の脳卒中、… New! 楽天星no1さん

長谷寺~室生龍穴神… へこきもとさん

心食動操 メルトスライム25さん
神経症を克服します♪ ROSE33333さん
「私」がいる幸せ えみこた2さん

Profile

森田生涯

森田生涯

Comments

分からない歴20年子@ Re[2]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田生涯さんへ  お返事ありがとうござ…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 分からない歴20年です子さんへ コメント…
分からない歴20年です子@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田を知って随分経つのに今だに難しく感…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 長谷川勤さんへ 読んでいただいてありが…
長谷川勤@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田理論学習のすすめ のブログ 本日初…

Calendar


© Rakuten Group, Inc.

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: