森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.05.07
XML
森田先生は、精神療法でもそのほかの通俗療法でも、機会さえあれば、なるたけ実験するという心掛けを持っている。
前には酸素の注射が、喘息にも効くとの事で、妻に勧められて、連れて行かれた。
第一回の時に、喘息は起こらなかった。
その日は風呂に入ったから、そのために起こらなかったようでもある。
すなわち次に風呂を試みたが、その時は起こった。
次には注射ばかりして、すべてその他の条件の加わらないようにして実験をした。
今度は喘息が起こった。これで注射も風呂も二つとも、直接に喘息には効かないという事が分かった。普通、迷信・妄信の起こるのは、ある療法で偶然に起こった事を、すべての他の条件を考えないで、そのままに効があったと信じる事から起こるのであります。
(森田全集第5巻 210ページ)

森田先生は事実の確認をとらないで、先入観や決めつけで物事を判断することを警戒しておられます。他人が教えてくれた情報をうのみにしてしまうやり方では、もしそれが間違いであったという場合どうするのか。


例えば、同僚が笑いながら雑談しているのをみて、きっと自分の悪口を言っているに違いないと決めつける。あるいは挨拶をしたら無視された。あの人はきっと自分のことを嫌いなのだろうと決めつける。多くの人から評判がよく、有能であると認められているにもかかわらず、たった一人からの評判をくよくよと悲観的に考えてしまう。それに振り回されるようになる。

確たる証拠もないのに、悲観的な結論を出してしまう。
例えば、あなたが大学の先生で素晴らしい講義をしていたとしよう。
しかしあなたは居眠りしている学生を見つけました。
実際には、この学生は前の晩コンパで飲みすぎて疲れていたのですが、あなたは「どの学生も私の講義を退屈がっているのだ」と決めつけてしまうようなことが起きるのです。

事実を先入観によって歪曲してしまう人は、自分にも他人にも不幸の種をまき散らすようになります。観念優先の世界にどっぷりとつかっていますので、現実や現状を目の敵にして戦うようになるのです。その弊害を森田理論学習によって自覚して、生活態度の改善を図ることが、未来の生活が大きく花開くきっかけとなります。

事実を無視する人は犬も食わない。
分かりきった事でも、現地に出向いて自分の目で確認する。
今までの経験でこうなるはずだという事も、一度は実験によって確かめてみる。
森田の眼目である事実本位に徹すると、事実を軽々しく取り扱うという事はできなくなります。
他人を平気で傷つけることはなくなります。

森田は東の横綱を「生の欲望の発揮」とすると、西の横綱は、「どこまでもどんな時でも事実に寄り添う態度の養成」に尽きると思います。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2020.05.07 09:50:01
コメント(0) | コメントを書く
[観念重視から事実重視への転換] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

寒い時期の脳卒中、… 楽天星no1さん

長谷寺~室生龍穴神… へこきもとさん

心食動操 メルトスライム25さん
神経症を克服します♪ ROSE33333さん
「私」がいる幸せ えみこた2さん

Profile

森田生涯

森田生涯

Comments

分からない歴20年子@ Re[2]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田生涯さんへ  お返事ありがとうござ…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 分からない歴20年です子さんへ コメント…
分からない歴20年です子@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田を知って随分経つのに今だに難しく感…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 長谷川勤さんへ 読んでいただいてありが…
長谷川勤@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田理論学習のすすめ のブログ 本日初…

Calendar


© Rakuten Group, Inc.

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: