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コロナ禍で自粛を余儀なくされていたくだんの2本立て館が29日より再開したので、久々に観に出たのです。今回の出し物は「最強のふたり」と「タイピスト!」であり、館主の設けたテーマは「笑い×軽快×感動」となっています。毎度のことながら、2作品を選ぶ館主のセンスには感心しているのですが・・・仏作品2本立てとなった今回は「力強いエスプリ」が感じられました。とにかく、仏文化をこよなく愛する大使向きの映画館ではあるなあ♪【最強のふたり】エリック・トレダノ×オリヴィエ・ナカシュ監督、2011年、仏制作、2020.5.29観賞<Movie Walker作品情報>より車いす生活を送る富豪と、彼の介護をするスラム出身の黒人青年という、まったく境遇の異なる2人が深い友情で結ばれていく様を描き、本国フランスで大ヒットを記録した、実話がベースの感動ドラマ。フィリップを演じるのは、セザール賞に輝くフランスの名優フランソワ・クリュゼ。ドリス役にはコメディアンで俳優のオマール・シー。<大使寸評>大富豪フィリップが介護人として採用したのは、なんと体は大きくて力はあるが金はないスラム出身のドリスだった。でも、フィリップの人をみる直観は意外に正しかったわけで、二人の絆は日を追うごとに深まっていくのです。ドリスの家族が徐々に明かされていくのだが、母親と思われていたシングルマザーは伯母であり、ドリスは深く敬愛いています。二人をとりまく使用人のご婦人たちがこれまた癖があるわけで・・・このあたりに色気と「力強いエスプリ」が感じられるのです。Movie Walker最強のふたりこの映画館では毎回、幕間にお昼の弁当を食べるのだが・・・・今回もダイエーで買ったサンドウィッチでした♪6年前にこの作品を同じ映画館で観ていたので、前回の感想(頑張るフランス女)を見てみましょう。【タイピスト!】レジス・ロワンサル監督、2012年、仏制作、2014.2.6&2020.5.29観賞<Movie Walker映画解説>より1950年代のフランスを舞台に、不器用な新米秘書がタイピングの才能を見いだされ、タイプライター早打ち大会に向けて猛特訓を積むサクセス・ストーリー。レトロでポップな1950年代らしさが詰め込まれている。監督は、本作が初長編監督作品となるレジス・ロワンサル。本作で2013年セザール賞新人監督作品賞など5部門にノミネートされた。「ある子供」のデボラ・フランソワが憧れの秘書業に就こうとするがドジばかり踏む女性を、「ハートブレイカー」のロマン・デュリスが彼女のタイピングの才能を伸ばそうと厳しく指導する経営者を演じている。<6年前の大使寸評>1950年代のフランスには、アメリカ文化への憧れが見て取れるわけだが、世界がそれだけ貧しかった頃のお話です。フランス国内での評判までは知らないけど、ハーレクインのような、B級コメディのようなこの映画は、案外とボリュームゾーンなのかもしれませんね♪主演のデボラ・フランソワが可愛いい♪<今回の大使寸評>ノルマンジーの田舎町の雑貨店の娘が秘書を目指して上京してくると、堅物の経営者が彼女に惚れこむわけですね。このあたりの感覚はお洒落なフランスとは言えず、自分の弱さを踏み越えられなかった彼は友人(アメリカの降下兵出身)の薫陶を受けながら最終的にこの娘と結ばれるというハッピーなお話しで・・・どちらかと言えば「貧乏人は麦を食う」ニッポンの感覚に近いのです。つまり「力強いエスプリ」でんがな。Movie Walkerタイピスト!ソーシャル・ディスタンスをとった座席によって、観客席が以前の三分の一になったと館主が言っていたが・・・これからも応援しまんがな♪パルシネマ上映スケジュール
2020.05.31
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本屋の店頭で『群像(2020年6月号)』という雑誌を、手にしたのです。表紙に出ている特集「多和田葉子」「翻訳小説」というコピーに太子のツボが疼くわけでこれは買うっきゃないで・・・ということで久しぶりに雑誌を買い求めたのでおます。【群像(2020年6月号)】雑誌、講談社、2020年刊<商品説明>より[小特集 多和田葉子]・インタビュー「離れていても、孤独ではない人間たちの闘争」 聞き手・構成:小澤英実・評論「多和田葉子の『星座小説』--『星に仄めかされて』をめぐって」岩川ありさ[特集 翻訳小説]・アンケート「最新翻訳小説地図」<読む前の大使寸評>表紙に出ている特集「多和田葉子」「翻訳小説」というコピーに太子のツボが疼くわけでこれは買うっきゃないで・・・ということで久しぶりに雑誌を買い求めたのでおます。rakuten群像(2020年6月号)「『星に仄めかされて』をめぐって:岩川ありさ」で『地球にちりばめられて』の続編が語られているので、見てみましょうp195~197 <Susanooの物語>『星に仄めかされて』で重要になってくるのが神話をはじめとする物語の存在だ。Susanooは、クヌートやHirukoらの自伝的な物語の扉を開け、いつも同じ結末を持っている神話と渾然一体にすることで、「国産みの神話」や「国家共同体の神話」の内側に他者を閉じ込めようとする。けれども、ムンンやヴィダの存在は、異なる声を喚起し、Susanooを別の物語へと連れ出そうとする。 ムンンがSusanooに「アルタイル」(彦星)の名を与える場面は象徴的だろう。神話の中で、「ダメな弟の役柄」を割り振られ、ヤマタノオロチを退治する物語を延々と演じなければならなかったSusanooが、決められた物語の外側に出る可能性がこの場面からは見出せる。 Susanooが別の物語を生きる可能性について考えるとき、多和田の小説「文字移植」が大きな示唆を与えてくれるだろう。「文字移植」の語り手の「わたし」は、スペイン領のカナリア諸島にやってきた翻訳家である。語り手の「わたし」は、知人の所有する別荘に滞在しながら、ドイツ語で書かれたアンネ・ドゥーデンの小説「アルファベットの傷口」を翻訳しようとするが、「わたし」はこれまでに翻訳を終わらせたことがない。 モチーフとなっている伝説は、聖ゲオルグがドラゴンを退治し、王女を救うという、いつも同じ結末を持つ物語である。語り手の「わたし」は、ドゥーデンのドイツ語の小説を日本語に逐語訳することで、少しずつ統語法をずらし、ひとつの暴力の物語を語り終えることを拒絶し、「傷口」と暴力を明るみに出そうとする。(中略) 満身創痍になり、傷口は露出し、決して、物語は全面的な解決に向かうわけではない。だが、べつの声やべつの見方をとり入れることによって、いつも同じだったプロットが組み替わる可能性を「文字移植」は示唆する。「すっさ、すっさ、NO、NO、NO!」という響きは、アメノウズメが天の岩戸の前で踊ったときのように、凍ったような心を溶かす音楽に聴こえる。 Susanooが、「神話」という、いつも同じ結末を持つ物語の外に出ることができるとすれば、それはべつの声の中へと迎え入れられたときである。そして、その声は、ともにゆく人のいるエクソフォニーにおいて可能になる。 <星は組み替わる クヌートの物語> クヌートは母親であるニールセン夫人と失踪した父のあいだで大きな葛藤を抱いている。だが、その葛藤は、母を愛し、父に去勢され、「父の法」に参入するという、父殺しが主題のオイディプス王の物語をもとにしたエディプス・コンプレックスとは少し異なっている。 ニールセン夫人は、「性」という観念に強く影響を受けているが、クヌートの興味は言葉にあり、二人のあいだにはすれ違いが生まれている。クヌートが言語を習得する過程が詳細に綴られた第六章「ニールセン夫人は語る」で、ニールセン夫人は、地球人の子どもと火星人の子どもが取り替えられるというサイエンス・フィクション映画に夢中になっていたこともあり、大人には理解できないが、幼児たちが用いる言葉は、「複雑なシステムが根底に感じられる言語」であり、「別の星の言葉」なのかもしれないと感じている。 ニールセン夫人は、「具体的に何かしてほしいというメッセージを含んでおらず、話すためだけに話される芸術言語」であるクヌートの言葉を「むにゃむにゃ語」と呼び、幼児の頃のクヌートには親近感を抱いている。この「むにゃむにゃ語」への愛着は、父の言語の中にクヌートが飲み込まれてしまうことへのニールセン夫人による一つの抵抗なのかもしれない。小野正嗣も連載コラム「文芸時評」(5/27)で「多和田語の世界」を取り挙げています。『群像(2020年6月号)』1:翻訳小説に関する辛島デイヴィッドのレポート『群像(2020年6月号)』2:多和田葉子のインタビュー『群像(2020年6月号)』3:ハロー、ユーラシア『群像(2020年6月号)』4:イギリスのコロナウィルス対応『群像(2020年6月号)』5:小野正嗣の小説
2020.05.31
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<二十四節季の小満に注目>早朝に散歩する太子であるが、南東の空に月と金星が見えるのです。ちょうど三日月の内側に金星が位置しているが、これって中東諸国が好むマークではないか。また、このマークは春分と関係があるのではないか?このところ宇宙や占星術の記事を見たり、書いたりしているが『日本のならわしとしきたり』という蔵書に二十四節季の記事があることを思い出したのです。【日本のならわしとしきたり】ムック、 徳間書店、2012年刊<内容紹介>ありふれたムック本ということなのか、ネットにはデータがありません。<大使寸評>とにかく「今日は七十二候でいえば、何になるか♪」を知りたいロボジーにとって、座右の書となるでしょう♪Amazon日本のならわしとしきたり蚕起食桑この本で、小満のあたりを見てみましょう。和暦p15<小満>万物が次第に成長して、大きくなるころ 立夏から15日ころに小満の節を迎える。期間は5月15日ころから次の節である芒種の前日までである。小満に入るころは「万物が次第に成長して、大きくなるころ」であり、なかでも、秋に蒔いた麦に穂がつくころにあたる。「小満」は、その出来具合に「少し満足する」といった意味である。 ちなみに『暦便覧』では「万物盈満すれば草木枝葉繁る」とある。盈満の意味は、広辞苑によると「物事が充分に満ち足りること」。「小満」は、現時点での出来具合「ほどほど」といったほどの意味。 旧暦時代の暮らしでは、作物、なかでも米麦などの穀物の出来が暮らしと経済を左右していたため、収穫までは目を離すことができない。歳時記は、こうした季節の移ろう状態を短い言葉でまとめた冊子だが、農作業の重要な指針とも、なっていたのである。 また小満は穀物だけでなく、梅、ユスラ梅などの草木が実をつけ始めるころでもある。さらに、七十二候に「蚕起食桑」があり、養蚕の蚕が盛んに桑の葉を食べ始めるのも小満のころだ。 西日本では「はしり梅雨」を迎え、田植えの準備も始められる。「はしり梅雨」は、梅雨入りしていないにもかかわらず、天候がぐずつき、梅雨のような雨が降ること。「梅雨のはしり」ともいい、共に季語になっている。 また沖縄では、小満と芒種のころは梅雨入りしていることが多く、小満芒種を「すーまんぼーすー」と発音し、梅雨の意味で使われている。5/30現在、九州南部が梅雨入り 平年より1日早いそうでおます。二十四節季の立夏に注目二十四節季の春分に注目
2020.05.30
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図書館に予約していた『三体』という本を、待つこと8ヵ月ほどでゲットしたのです。この本は中国人作家によるSFであるが、ケン・リュウの『紙の動物園』を読んで以来わりと中国人SFにハマっているわけでおます。【三体】劉慈欣著、早川書房、2019年刊<「BOOK」データベース>より物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。失意の日々を過ごす彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。そこでは、人類の運命を左右するかもしれないプロジェクトが、極秘裏に進行していた。数十年後。ナノテク素材の研究者・汪森(ワン・ミャオ)は、ある会議に招集され、世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる。その陰に見え隠れする学術団体“科学フロンティア”への潜入を引き受けた彼を、科学的にありえない怪現象“ゴースト・カウントダウン”が襲う。そして汪森が入り込む、三つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?アジア圏の作品として初のヒューゴー賞長篇部門に輝いた、現代中国最大のヒット作。<読む前の大使寸評>この本は中国人作家によるSFであるが、ケン・リュウの『紙の動物園』を読んで以来わりと中国人SFにハマっているわけでおます。<図書館予約:(9/09予約、5/20受取)>rakuten三体「訳者あとがき」を、見てみましょう。p435~437<「訳者あとがき:大森望」> たいへん長らくお待たせしました。現代SFの歴史を大きく塗り変えた一冊劉慈欣『三体』の中国語版原書からの全訳をお届けする。 小説のテーマは、異星文明とのファーストコンタクト。カール・セーガンの『コンタクト』とアーサー・C・クラーク『幼年期の終り』と小松左京『果てしなき流れの果に』をいっしょにしたような、超弩級の本格SFである。 題名の「三体」とは、作中でも説明されているとおり、天体力学の“三体問題”に由来する。三つの天体がたがいに万有引力を及ぼし合いながらどのように運動するかという問題で、一般的には解けないことが証明されている。もしもそんな三つの天体を三重太陽として持つ惑星に文明が生れたとしたら・・・というのが本書の基本設定。 にもかかわらず、いきなり文化大革命当時(1967年)の激しい内ゲバと壮絶な糾弾集会から始まるので面食らうかもしれませんが、これは主役の片方である天体物理学者」・葉文潔の“ある決断”を描くための前フリ。やがてもう片方の主役、ナノマテリアル研究者のワン・ミャオが登場すると、物語は俄然、エンターテインメント色が強くなり、超一流の理論物理学者たちの相次ぐ自殺や、不可思議な“ゴースト・カウントダウン”をめぐって、それこそ鈴木光司『リング』ばりにぐんぐんサスペンスが加速してくる。 作中のVRゲーム『三体』がやたらめったら面白いのも本書の特徴。物語の中盤では、ワン・ミャオのまさに目の前で驚愕の大事件が起こり、読者を茫然とさせることになる。 この圧倒的なスケール感と有無を言わさぬリーダビリティは、ひさしく忘れていたSFの原初的な興奮をたっぷり味わわせてくれる。(中略) 著者がほぼ同世代のSFファンとあって、国の違いを超えてものすごくよくわかる部分がある一方、英語圏や日本のSF作家には絶対に書けない、驚くべき蛮勇の産物であることもまちがいない。いやもう、とにかくすごいんだから! と、つい興奮して話が先走ったが、本書はもっともと、中国のSF専門誌≪科幻世界≫に2006年に連載され、第19回中国銀河賞特別賞を受賞。2008年1月に重慶出版社から単行本が刊行された。 6年後の2014年、アメリカの大手SF出版社トー・ブックスから、「紙の動物園」で知られる中国系アメリカ人SF作家エン・リュウによる英訳版The Three-Body Problemが出版されると、これが大方の予想を覆すスマッシュ・ヒットとなり、いくつかの幸運なめぐりあわせも手伝って、2015年のヒューゴー賞長篇部門を受賞した。 ヒューゴー賞は世界最大のSF賞と言われるが、もともと英語圏の賞。したがって、『三体』の受賞はアジア初の快挙。それどころか、英語以外で書かれた作品がヒューゴー賞長篇部門を受賞すること自体、これが史上初めてだった。『三体』1:ゴースト・カウントダウン
2020.05.30
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内田樹の研究室」の内田先生が日々つづる言葉のなかで、自分にヒットするお言葉をホームページに残しておきます。最近は池田香代子さんや、関さんや、雨宮さんなどの言葉も取り入れています。(池田香代子さんは☆で、関さんは△で、雨宮さんは○で、池田信夫さんは▲、高野さんは■で、金子先生は★、田原さんは#、湯浅さんは〇、印鑰さんは@、櫻井さんは*、西加奈子さんは♪で区別します)・パンデミックをめぐるインタビュー・ホ・ヨンソン『海女たち』書評・2020年度寺子屋ゼミ受講要項・『山本太郎から見える日本』から・『人口減社会の未来学』から・「サル化する世界」についてのインタビュー・映画『Workers被災地に起つ』神戸・元町映画館でのアフタートーク・週刊金曜日インタビュー・桜を見る会再論・『Give democracy a chance』2・『Give democracy a chance』1・沈黙する知性・China Scare・[週刊ポスト」問題について・『低移民率を誇る「トランピアンの極楽」日本の瀕死』・『ネット右翼とは何か』書評・『最終講義』韓国語版あとがき・『「そのうちなんとかなるだろう」あとがき』・『参院選にあたって』・『廃仏毀釈について』・『論理は跳躍する』・『「おじさん」的思考』韓国語版序文・『市民講座』韓国語版のための序文・空虚感を抱えたイエスマン・大阪万博という幻想・外国語学習について・大学院の変容・貧乏シフト・『知日』明治維新特集のアンケートへの回答・カジノについて・中国の若者たちよ、マルクスを読もう・『街場の憂国論』文庫版のためのあとがき・直言3月号「韓国の教育と日本のメディア」・人口減社会に向けて・時間意識と知性・Madness of the King・吉本隆明1967・大学教育は生き延びられるのか?・こちらは「サンデー毎日」没原稿・奉祝「エイリアン・コヴェナント」封切り・米朝戦争のあと(2件)・気まずい共存について********************************************************************内田先生かく語りき8目次(目次全文はここ)(その21):「パンデミックをめぐるインタビュー」を追記25020/05/27パンデミックをめぐるインタビューよりプレジデントオンラインという媒体からメールで質問状が送られてきた。それに回答した。プレジデントオンラインでは写真付きで見ることができる。https://president.jp/articles/-/35721こちらは加筆したロング・ヴァージョン。質問1 コロナ禍のなか「自粛警察」が横行し、いま社会全体が非常に刺々しい雰囲気になっている現状をどうご覧になっていますか。 どういう社会状況でも、「ある大義名分を振りかざすと、ふだんなら許されないような非道なふるまいが許される」という気配を感知すると、他人に対していきなり攻撃的になる人たちがいます。ふだんは法律や、道徳や、常識の「しばり」によって、暴力性を抑止していますが、きっかけが与えられると、攻撃性を解き放つ。そういうことができる人たちを、われわれの集団は一定の比率で含んでいます。そのことのリスクをよく自覚した方がよいと思います。 今回はたまたま「自粛警察」というかたちで現れましたが、別にどんな名分でもいいのです。それを口実にすれば、他人を罵倒したり、傷つけたり、屈辱感を与えたりできると知ると彼らは動き出します。そういうことをさせない一番いい方法は、法律や規範意識や常識や「お天道様」や「世間の目」を活性化しておいて、そういう人たちに「今なら非道なふるまいをしても処罰されない」と思わせないことです。2 "正義マン"たちの特徴に、問題の背景にあるシステムへの提言や改善ではなく、個人を叩く傾向が強いのはなぜだと思われますか。 気質的に攻撃的な人たちは、その攻撃性を解発することが目的で「正義」を掲げているのに過ぎませんから、システムの改善には関心がありません。だから、最も叩きやすい個人、最も弱い個人を探し出して、そこに暴力を集中する。「自粛警察」も公衆衛生には何の関心もありません。感染者をスティグマ化すれば、感染経路不明患者が増えるだけですから、自粛警察というのは存在自体が有害無益なのです。3 「空気」ひとつでムラ社会的な相互監視が行き渡るのは、日本人に固有な民族誌的奇習なのでしょうか。 場の空気に流されて思考停止するのは日本人の「特技」です。それがうまく働くと「一億火の玉」となったり「一億総中流」になったり、他国ではなかなか実現できないような斉一的な行動が実現できます。でも、悪く働くと、異論に対する非寛容として現れ、マジョリティへの異議や反論が暴力的に弾圧される。 今の日本社会の全面的停滞は、マイノリティに対する非寛容がもたらしたものです。その点では、戦時中の日本によく似ています。25020/05/11ホ・ヨンソン『海女たち』書評より 私は韓国文学についてほとんど何も知らない。まして詩は私のもっとも苦手とする分野である。だから、日本の詩歌についてさえ一度も書評を書いたことがない。どうしてそんな人間に書評を依頼してきたのか、よく理由がわからない。おそらく訳者の姜信子さんとのご縁だろうと思う。姜さんは「かもめ組」という三人組(浪曲の玉川奈々福さん、パンソリの安聖民さんとのトリオ)で、私の主宰する凱風館で浪曲とパンソリのジョイントコンサートをしたことがある。 韓国文学には無縁の人間だが、さいわい済州島には二度だけ行ったことがある。一度は講演のために、二度目は済州島の生活文化にもその地の痛ましい歴史にも詳しい大阪市大の伊地知紀子さん引率の「修学旅行」として。でも、変な話だけれど、済州島というと一番印象に残っているのは、最初の訪問のときにたまたま立ち寄った漁港の大衆食堂で食べた「さばの味噌煮」ある。この島の人たちが私たちと同じ仕方で調理されたものを、同じように美味しく食べているのだと消化器が証言したときに、日韓の思いがけない近さと、そして遠さを私は同時に感じた。 遠く感じたのは、ほとんど同じ生活文化で身を養ってきたにもかかわらず、その隣人が、この島やあるいは対馬や大阪でどんなことを経験をしてきたのか私はほとんど何も知らないという事実の前にひるんだからである。 私は済州島の潮風に研がれた生活者の顔を前にすると「ひるむ」。それはこの詩集のすべての頁に対した時の私の正直な感懐である。それは恐怖とも嫌悪とも違和感とも違う。見知らぬ老女に不意に「百年前にあんたに最初に会ったのも、こんな風の日だったね」と告げられて、そうだったのか、俺はこの人と血縁だったのに、何か「ひどいこと」をして、それきりになったんだ。そんな漱石の『夢十夜』のような、存在しない記憶が甦ってくるのである。(以降、全文は内田先生かく語りき(その20)による)
2020.05.29
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図書館で『あなたは、誰かの大切な人』という本を、手にしたのです。この本のタイトルがええなあ♪「あなたは、誰かの大切な人」ってか・・・生きるうえの知恵とでもいうもんやで。ところで、マハさんの名前ですが、乃南アサさんとよく混同して紛らわしいんですね(汗)。・・・・ということで、これまで読んだ本やネット情報を集めてみました。・『喝采』2020年発信・『フーテンのマハ』2018年刊・『スイート・ホーム』2018年刊・『生きるぼくら』2015年刊・『ロマンシェ』2015年刊・『あなたは、誰かの大切な人』2014年刊・『ジヴェルニーの食卓』2013年刊・『でーれーガールズ』2011年刊R3:『喝采』を追加************************************************************・『喝采』・『フーテンのマハ』2:おじさんたらしのマハ・『フーテンのマハ』1:永遠の神戸・『ロマンシエ』1:この小説の冒頭・『あなたは、誰かの大切な人』3:「緑陰のマナ」の続き・『あなたは、誰かの大切な人』2:緑陰のマナ・『あなたは、誰かの大切な人』1:母と父の出会い・『でーれーガールズ』byドングリ************************************************************『喝采』のウェブサイトを覗いてみました。原田マハ公式ウェブサイトより すべてがあっというまに始まったことが、一番の驚きでした(Day 5)。フランスという国が「やるときはやる」底力を持っているんだということも驚きでしたが、民主主義、つまり主権は自分たちにあることを国民がどこまでも主張する国でもあります。電光石火で強力に推し進める代わりに補償することを忘れない、それが肝心でした。そうじゃないと国民が黙って自宅待機してくれるはずがないから。日本とは全く違う社会構造がある、強い民主主義の国なんだと思い知らされました。Q:日本へ帰ることができないかもしれない、という状況は、今まで世界中を飛び回っているマハさんでも、初めての経験だと思います。パリの状況が刻々と変わるなか、どんな不安を抱え、どう乗り越えられましたか? ロックダウンされた街中を歩いていると、完璧な映画のセットの中にいるようで、例えようもなく美しい街だと感じると同時に、物悲しさや虚しさも感じました(Day 7)。パリという街は実に人間くさい街なのだとわかりました。人がいて、にぎわっていたからこそ、美しさが際立っていたのだと。 それぞれが自分の場所に引きこもるしかなく、むしろ仕事に集中できるだろうと思っていたのですが、実際にはおろおろしてなすすべなく、手を洗うことに集中するばかりでした(Day 11)。帰れないかもしれないという考えが浮かんだとき、美しいパリの行く末を見極めるのもいいかなと、妙にセンチメンタルな気分になったりもしました(Day 12)。が、その気持ちを一変させたのが、志村けんさん逝去のニュースでした。 あんなに多くの人たちに愛された志村さんが、ウィルスに命を奪われ、誰にも見送られることなく一人で旅立ったと知り、そこはかとない衝撃を受けました。私は、パリにいる自分を志村さんに重ね合わせました。もしここで重篤な状態になったら、医療現場を混乱させ、フランスの友人たちに迷惑をかける。万一命を落としたら、どこに葬られるかもわからず、日本の家族や関係者、読者の皆さんを落胆させるでしょう。自分のことなのに自分で責任を取れない。そう気がついたとき、帰らなければと思ったのです(Day 14)。 日本でならば、最低限、自分のことは自分で責任が取れる。せめてそこまではもっていかなければならないと。 結局、志村さんの早すぎる死に背中を押されたかたちになりました。お会いしたことはなかったのですが、山田洋次監督は「笑いの天才だ」とおっしゃっていました。本当に偉大な方だったと思います。 彼の死を絶対に無駄にしてはいけない。志村さんの逝去は日本の人々に「パンデミックを甘くみてはいけない」という最強の警告になったと思います。実際、彼の逝去後に、政府も含め、人々の意識が劇的に変わったと感じます。Q:「喝采」のタイトルがどういった物語に繋がっていたのかわかったとき、心が震えました。この回を描くことで、マハさんは希望を伝えたかったように思うのですが、いかがでしょうか? ロックダウンが始まってしばらくしてから、医療従事者への感謝の気持ちを表すために、20時ぴったりにバルコニーで拍手を送るというアクションが自然と広がりました。私の書斎はセーヌ川沿いにあるのですが、20時ちょうどに晩鐘が響き渡り、同時にさざ波のような拍手の音が聞こえてくるのです。私も窓を開けてそれに加わりました(Day16)。 この喝采は、命がけで闘っている医療従事者への感謝のしるしであると同時に、パリじゅうの人々の「自分たちは生きている、みんな一緒だ、生き抜くんだ」という連帯の決意表明、命の証しだと感じました。空っぽの街、流れゆくセーヌに響き渡る喝采はこの上もなく感動的で、深く胸に刻まれました。この体験を忘れないために文章に残したいと強く思い、まずタイトルが決まりました。************************************************************【フーテンのマハ】原田マハ著、集英社、2018年刊<出版社>よりモネやピカソなど、美術にまつわる小説をはじめ、精力的に書籍を刊行する著者、その創作の源は旅にあった!? 世界各地を巡り、観る、食べる、買う。さあ、マハさんと一緒に取材(!?)の旅に出よう!<読む前の大使寸評>マハさんといえば、名画を題材にしたエッセイがおしゃれ♪・・・それを追っかけるミーハーな大使である。<図書館予約:(8/06予約、12/21受取)>rakutenフーテンのマハ************************************************************【スイート・ホーム】原田マハ著、ポプラ社、2018年刊<「BOOK」データベース>より幸せのレシピ。隠し味は、誰かを大切に想う気持ちー。うつくしい高台の街にある小さな洋菓子店で繰り広げられる、愛に満ちた家族の物語。さりげない日常の中に潜む幸せを掬い上げた、心温まる連作短篇集。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると、山手のお嬢さんが洋菓子店を舞台に家族を語るという、(タイトルまんまの)短篇集で・・・大使にはミスマッチの本でおました。<図書館予約:(4/16予約、9/16受取)>rakutenスイート・ホーム************************************************************【生きるぼくら】原田マハ著、徳間書店、2015年刊<「BOOK」データベース>よりいじめから、ひきこもりとなった二十四歳の麻生人生。頼りだった母が突然いなくなった。残されていたのは、年賀状の束。その中に一枚だけ記憶にある名前があった。「もう一度会えますように。私の命が、あるうちに」マーサばあちゃんから?人生は四年ぶりに外へ!祖母のいる蓼科へ向かうと、予想を覆す状況が待っていたー。人の温もりにふれ、米づくりから、大きく人生が変わっていく。<読む前の大使寸評>著者の本で『あなたは、誰かの大切な人』というのが良かったので、この本も期待できるかも♪・・・ということで借りたのです。rakuten生きるぼくら************************************************************【ロマンシエ】原田マハ著、小学館、2015年刊<「BOOK」データベース>よりアーティストを夢見る乙女な美・男子が、パリの街角で、ある小説家と出会ったー。ラスト277ページから、切なさの魔法が炸裂する、『楽園のカンヴァス』著者の新たなる代表作!<読む前の大使寸評>先日、原田マハの『あなたは、誰かの大切な人』という短編集を読んで良かったので・・・この小説も期待できそうやでぇ♪rakutenロマンシエ************************************************************【あなたは、誰かの大切な人】原田マハ著、講談社、2014年刊<「BOOK」データベース>より家族と、恋人と、そして友だちと、きっと、つながっている。大好きな人と、食卓で向かい合って、おいしい食事をともにするー。単純で、かけがえのない、ささやかなこと。それこそが本当の幸福。何かを失くしたとき、旅とアート、その先で見つけた小さな幸せ。六つの物語。<読む前の大使寸評>この本のタイトルがええなあ♪「あなたは、誰かの大切な人」ってか・・・生きるうえの知恵とでもいうもんやで。rakutenあなたは、誰かの大切な人************************************************************【ジヴェルニーの食卓】原田マハ著、集英社、2013年刊<「BOOK」データベース>よりマティス、ピカソ、ドガ、セザンヌ、ゴッホ、モネ。新しい美を求め、時代を切り拓いた巨匠たちの人生が色鮮やかに蘇る。『楽園のカンヴァス』で注目を集める著者が贈る、“読む美術館”。<読む前の大使寸評>この本は、史実に基いたフィクションとのこと。こんなジャンルの小説も有りなのか、書いたもん勝ちと思わないでもないが・・・著者のフィクションとはどんなかな♪rakutenジヴェルニーの食卓************************************************************【でーれーガールズ】原田マハ著、祥伝社、2011年刊<「BOOK」データベース>より1980年、岡山。佐々岡鮎子は東京から引っ越してきたばかり。無理に「でーれー(すごい)」と方言を連発して同じクラスの武美に馬鹿にされていた。ところが、恋人との恋愛を自ら描いた漫画を偶然、武美に読まれたことから、二人は急速に仲良しに。漫画に夢中になる武美に鮎子はどうしても言えないことがあって…。大切な友だちに会いたくなる、感涙の青春小説。<読む前の大使寸評>「でーれー」とは、名古屋弁で言うところの「どえりゃー」にあたる岡山弁であるわけで・・・この本のタイトルに惹かれて借りたわけでおま♪rakutenでーれーガールズ
2020.05.29
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ケン・リュウの『紙の動物園』を読んで以来わりと中国人SFにハマっているわけでおます。そういえば、オーストラリアで暮らすショーン・タンも中国系SF作家と言えなくもないですね。ということで、中国人SFを集めてみました。・三体(2019年刊)・紙の動物園(2015年刊)・夏のルール(2014年刊)・千年の祈り(2007年刊)************************************************************************【三体】劉慈欣著、早川書房、2019年刊<「BOOK」データベース>より物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。失意の日々を過ごす彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。そこでは、人類の運命を左右するかもしれないプロジェクトが、極秘裏に進行していた。数十年後。ナノテク素材の研究者・汪森(ワン・ミャオ)は、ある会議に招集され、世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる。その陰に見え隠れする学術団体“科学フロンティア”への潜入を引き受けた彼を、科学的にありえない怪現象“ゴースト・カウントダウン”が襲う。そして汪森が入り込む、三つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?アジア圏の作品として初のヒューゴー賞長篇部門に輝いた、現代中国最大のヒット作。<読む前の大使寸評>この本は中国人作家によるSFであるが、ケン・リュウの『紙の動物園』を読んで以来わりと中国人SFにハマっているわけでおます。<図書館予約:(9/09予約、5/20受取)>rakuten三体『三体』1:ゴースト・カウントダウン***********************************************************************【紙の動物園】ケン・リュウ著、早川書房 、2015年刊<「BOOK」データベース>よりぼくの母さんは中国人だった。母さんがクリスマス・ギフトの包装紙をつかって作ってくれる折り紙の虎や水牛は、みな命を吹きこまれて生き生きと動いていた…。ヒューゴー賞/ネビュラ賞/世界幻想文学大賞という史上初の3冠に輝いた表題作ほか、地球へと小惑星が迫り来る日々を宇宙船の日本人乗組員が穏やかに回顧するヒューゴー賞受賞作「もののあはれ」、中国の片隅の村で出会った妖狐の娘と妖怪退治師のぼくとの触れあいを描く「良い狩りを」など、怜悧な知性と優しい眼差しが交差する全15篇を収録した、テッド・チャンに続く現代アメリカSFの新鋭がおくる日本オリジナル短篇集。<読む前の大使寸評>3冠に輝いた現代アメリカSFの新鋭ってか・・・・期待できそうやでぇ♪<図書館予約:(9/27予約、4/12受取)>rakuten紙の動物園『紙の動物園』2:文字占い師、華人の定義、心智五行『紙の動物園』1:もののあはれ***********************************************************************【夏のルール】ショーン・タン著、河出書房新社、2014年刊<「BOOK」データベース>よりきょうだいがいる人もいない人も大人も子供もみんなの心にじん、と残る『アライバル』『遠い町から来た話』のショーン・タンが描くあたらしい夏のものがたり。<大使寸評>すばらしい作品がならぶ、ショーン・タンの絵本の最新刊(2015年時点)です。不安感と郷愁が垣間見えるのは・・・・ディアスポラあるいは移民としての原点が見えるようです。ついでに、持論をひとこと・・・・強大な漢族と対峙するニッポンも、ディアスポラの不安感は他人事ではないわけです。rakuten夏のルールこの絵本の、お気に入りのページを紹介します。赤い靴下を片方だけ干しっぱなしにしないこと。パーティで残った最後のオリーブに手を出さないこと。パレードに遅れないこと。帰り道をおぼえておくこと。***********************************************************************【千年の祈り】イーユン・リー著、新潮社、2007年刊<「BOOK」データベース>より父と娘のあいだに横たわる秘密と、人生の黄昏にある男女の濁りない情愛。ミス・カサブランカとよばれる独身教師の埋めようのない心の穴。反対を押し切って結婚した従兄妹同士の、平らかではない歳月とその果ての絆。―人生の細部にあらわれる普遍的真実を、驚くべき技量で掬いとる。北京生まれの新人女性作家による、各賞独占の鮮烈なデビュー短篇集。第1回フランク・オコナー国際短篇賞受賞!PEN/ヘミングウェイ賞受賞。ガーディアン新人賞・プッシュカート賞受賞。New York Times Book Reviewエディターズ・チョイス賞受賞。The Best American Short Stories2006収録。グランタ「もっとも有望な若手アメリカ作家」2007選出。<読む前の大使寸評>中国人の書いた小説といえば・・・以前、『紙の動物園』という作品を読んだように、わりとハマッているのです。<図書館予約:(3/25予約、3/31受取)>amazon千年の祈り『千年の祈り』3:映画「カサブランカ」『千年の祈り』2:千年の祈り『千年の祈り』1:あまりもの
2020.05.28
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図書館に予約していた『三体』という本を、待つこと8ヵ月ほどでゲットしたのです。この本は中国人作家によるSFであるが、ケン・リュウの『紙の動物園』を読んで以来わりと中国人SFにハマっているわけでおます。【三体】劉慈欣著、早川書房、2019年刊<「BOOK」データベース>より物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。失意の日々を過ごす彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。そこでは、人類の運命を左右するかもしれないプロジェクトが、極秘裏に進行していた。数十年後。ナノテク素材の研究者・汪森(ワン・ミャオ)は、ある会議に招集され、世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる。その陰に見え隠れする学術団体“科学フロンティア”への潜入を引き受けた彼を、科学的にありえない怪現象“ゴースト・カウントダウン”が襲う。そして汪森が入り込む、三つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?アジア圏の作品として初のヒューゴー賞長篇部門に輝いた、現代中国最大のヒット作。<読む前の大使寸評>この本は中国人作家によるSFであるが、ケン・リュウの『紙の動物園』を読んで以来わりと中国人SFにハマっているわけでおます。<図書館予約:(9/09予約、5/20受取)>rakuten三体「第二部 三体」で“ゴースト・カウントダウン”が出てくるあたりを、見てみましょう。p95~97 宇宙の最後の秘密がすべて明かされたとき、人類はそれでも生存しつづけられるだろうか。自信満々にイエスを言える人間は、実際には浅はかだ。なぜなら、その秘密がなんなのか、まだだれも知らないのだから。 だがもし、俗世間に溶け込んで生活する史強のような庶民の精神を、未知への恐怖が押しつぶそうとしても、ワン・ミャオや楊冬の場合と同じようにはうまくいかない。彼ら庶民は、未知なるものに対抗するたくましい生命力を有している。その力は、知識では決して得られない。 ワン・ミャオが家に入ると、妻と息子はすでに眠りについていた。不安からか、妻は何度も寝返りを打ち、よくわからない寝言を言っている。きょうの夫の怪しげな行動は、妻にどんな悪夢を見せているのだろう。ワン・ミャオは睡眠薬を二錠服用してベッドに横になり、やっとのことで眠りに落ちた。 夢は混沌としてとりとめのないものだったが、ひとつだけ確実に存在しつづけているものがあった。ゴースト・カウントダウンだ。ワン・ミャオはカウントダウンを夢に見るだろうと予想していた。夢の中で、空中に浮ぶカウントダウンを狂ったように叩き、ひっかき、噛みつきつづけたが、すべて徒労に終わった。どんな攻撃もただすり抜けていくだけで、カウントダウンは夢の中でも着実に進みつづける。ワン・ミャオは焦燥感にかられたが、やっとのことで夢から目覚めることができた。 目を開くと、ぼんやり天井が見えた。窓の外の街明かりがカーテン越しに、ほの暗い光の輪を天井に投げかけている。だが、ひとつだけ、夢で見たものが、現実の世界まで追いかけてきている。ゴースト・カウントダウンだ。カウントダウンは、ワン・ミャオの眼前に出現していた。数字は小さいがとても明るく、焼きつくすような白い光を放っている。 1180:05:00'、1180:04:59'、1180:04:58'、1180:04:57'・・・ ワン・ミャオは寝室の薄暗がりを見まわしながら、自分がすでに目を覚ましていることを確信した。目を閉じても、カウントダウンは真っ黒な視界の中に存在しつづけている。まるで黒いビロードの上で輝く水銀のように見えた。ふたたび目を開き、さらに目をこすっても、カウントダウンは消えなかった。視線をどう動かしても、白く光る数字の列は依然として視線の中心を占めている。 名状しがたい恐怖にかられて、ワン・ミャオははね起きた。カウントダウンはなおもつきまとっている。ベッドから飛び降りると、窓に駆け寄ってカーテンを開けた。窓の外では、深く眠りについた街が、まだ煌々と光を放っていた。ゴースト・カウントダウンは、この壮大な夜景の上に、まるで映画の字幕のように浮んでいる。 息が詰まり、ワン・ミャオは思わず低い叫び声を洩らした。妻が驚いて目を覚まし、どうしたのかと心配そうにたずねた。ワン・ミャオは気持ちを落ち着かせながら、妻を安心させようと、なんでもないよと答えた。またベッドに横たわって目を閉じると、白く光るゴースト・カウントダウンを見ながら、まんじりともせずに夜の残りの時間を過ごした。このあとゴースト・カウントダウンというテーマを軸としてお話しが続くのであるが・・・科学的知識満載なのは分かるが、これでどうだ!という態度がいかにも中国的で鼻につくわけで、なんか没入できないのでおます。一方、『紙の動物園』のほうは、詩情溢れる書きっぷりがええでぇ♪『紙の動物園』1:もののあはれ、『紙の動物園』2:文字占い師、華人の定義、心智五行
2020.05.28
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本屋の店頭で『群像(2020年6月号)』という雑誌を、手にしたのです。表紙に出ている特集「多和田葉子」「翻訳小説」というコピーに太子のツボが疼くわけでこれは買うっきゃないで・・・ということで久しぶりに雑誌を買い求めたのでおます。【群像(2020年6月号)】雑誌、講談社、2020年刊<商品説明>より[小特集 多和田葉子]・インタビュー「離れていても、孤独ではない人間たちの闘争」 聞き手・構成:小澤英実・評論「多和田葉子の『星座小説』--『星に仄めかされて』をめぐって」岩川ありさ[特集 翻訳小説]・アンケート「最新翻訳小説地図」<読む前の大使寸評>表紙に出ている特集「多和田葉子」「翻訳小説」というコピーに太子のツボが疼くわけでこれは買うっきゃないで・・・ということで久しぶりに雑誌を買い求めたのでおます。rakuten群像(2020年6月号)この雑誌の「BOOK REVIEW」が小野正嗣の小説をとりあげていたので、見てみましょう。p532~533 <森の奥にあるもの:水原涼>『踏み跡にたたずんで』 小野正嗣は耳の作家だ。かつて読書暦を問われ、彼はこう振り返っている。「僕はむしろ、親父やおふくろ、しいちゃんや集落の人たちの話を聞くのが好きだったんです。中高生の頃は、本を読むより、オラリティ(口語)の文化に浸ったことのほうが大きかったかもしれません」。 少なくない小説家が、自身の作風の影響源として愛読書やその著者の名を挙げるのに対して、小野が主に言及するのは故郷の人々、日本や留学先のフランスで在籍していた大学の教員たちとの会話だ。小野作品の文章は、とりわけ初期の作品において、読んでいるこちらの呼吸まで乱すような強いリズムを刻んでいる。 そんな著者が、小説としては約5年ぶりに上梓したのが本書だ。舞台とする土地も登場人物も異なる三十六の掌扁には、著者を投影しているとおぼしき小説家のが語り手として登場している。 彼は国内外の各地のイベントに招かれたり、執筆のための取材なのか、訪問先に長く暮らす人にその土地の歴史を聞いたりする。語り手の主観において、対談のために訪れた図書館でふるまわれたおいしいどら焼きも、白昼夢のような吊り下げられた子供たちも、実際に五感がとらえたという意味ではひとしく真実だ。 本書では、何も奇妙なことの起こらない一見エッセイのような作品と、軍施設跡に神が降臨しが異界に迷いこむ幻視的な語りが、ひとしい熱量で並べられている。 著者と同じく、私も故郷を舞台にした小説をいくつか書いており、その際、必ず登場人物に方言を喋らせている。その意図としては、もちろん舞台とする土地の人々が実際に方言で喋っているから、というのが大きいが、訛りのリズムをつかって文章を駆動させられる、というのも、大きな効果だと思っている。 そういう書き方をしている者にとって興味深いこととして、本書のなかでは、ほとんど禁欲的にみえるほどに方言が登場しない。せいぜい一、二ヶ所だ。国際空港のゲートで、たまたま出会った同郷の人物と喋るときにすら、「僕のよく知る方言が放つ何かがかすかに漂っていた」とだけ書き、二人の会話に方言の語彙は現れない。 南仏で行われたワークショップで知りあった日仏翻訳者との会話を回想しながら、「見つからない橋」と題された一篇の語り手は戸惑ったようにこう述懐する。「実はこのあたりから話が追えていない。ルネは日本語で話し始めたが、途中からフランス語になった。いや、逆だったか。/僕はどちらの言語で喋っていたのか/ともかく二つの言語が交じり合いながら濁流となって、おたがいのあいだに橋を架けそこなった僕たちを隔てて流れていた」。ここで交わされているのは、もはや会話ではなく、そこから意味だけを抽出した何かだ。 著者が本書にほとんど方言を書きこまなかったのも、言語の流れの底にある意味を掬いとるためだったのではないか。しかし、著者はいったい、この場面を日本語とフランス語、どちらの言語で書いたのだろう。(中略)「とても同じ詩から発するものだとは思えない彼と僕の理解の筋道が、森の奥でひとつになる」というフレーズをふくむ一篇が末尾におかれているのは象徴的だ。『群像(2020年6月号)』1:翻訳小説に関する辛島デイヴィッドのレポート『群像(2020年6月号)』2:多和田葉子のインタビュー『群像(2020年6月号)』3:ハロー、ユーラシア『群像(2020年6月号)』4:イギリスのコロナウィルス対応
2020.05.27
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本屋の店頭で『群像(2020年6月号)』という雑誌を、手にしたのです。表紙に出ている特集「多和田葉子」「翻訳小説」というコピーに太子のツボが疼くわけでこれは買うっきゃないで・・・ということで久しぶりに雑誌を買い求めたのでおます。【群像(2020年6月号)】雑誌、講談社、2020年刊<商品説明>より[小特集 多和田葉子]・インタビュー「離れていても、孤独ではない人間たちの闘争」 聞き手・構成:小澤英実・評論「多和田葉子の『星座小説』--『星に仄めかされて』をめぐって」岩川ありさ[特集 翻訳小説]・アンケート「最新翻訳小説地図」<読む前の大使寸評>表紙に出ている特集「多和田葉子」「翻訳小説」というコピーに太子のツボが疼くわけでこれは買うっきゃないで・・・ということで久しぶりに雑誌を買い求めたのでおます。rakuten群像(2020年6月号)ブレイディみかこがイギリスのコロナウィリス対応をレポートしているので、見てみましょうp173~174 <ブロークン・ブリテンに聞け28> わたしの配偶者はダンプの運転手であり、配送業従事者はいちおう英政府が定めた「キー・ワーカー」にあたる。医療関係者、警察、消防士、教員などの公共センター職員に加え、スーパーマーケット店員や配送業者などはロックダウン中でも働けと言われている。だから配偶者はこれまでどおり仕事に行っており、わが家の場合は全面的なロックダウン感はない。 というか、この「キー・ワーカー」のリストを見ると、介護士とかバス運転手とか保育士とか低賃金の仕事がずらっと並んでいることに気づかずにはいられないのだが、それと同時に思うのは、ということはわが家がある限界にはロックダウン中も働いている人が多いのでは、ということだ。つまり、労働者階級が多く住んでいる地域は、そんなにロックダウンでひっそり眠っているような雰囲気にはなっていない、と推測されるのだ。 推測される、などと持って回った書き方をしているのは、わたしたち一家は現在、仮住まいをしているからだ。つまり、いつも住んでいる「わが家」の地域にはいないのである。それというのも、今年の初めにセントラルヒーティング・システムが故障してしまい、家中の床を取っ払ってパイプの総取り換えが必用になり、そうこうするうちに家屋にアスベストと呼ばれる有毒な資材が使用されていたことも判明して、大修繕・改修工事が必要になったからだ。 それで知人のツテを頼り、オーストラリアに移住したばかりの一家の住宅を一時的に借りて引っ越したのである。ところが、コロナ禍で住宅資材なども入手困難になり、当初は2ヶ月程度の予定だったのだが、もしかしたら、今年いっぱいは元の家に戻れないという状況もあり得るのでは、と呟く建設業者もいて心配になる。が、そんなわたしの心配に逆行するように、仮住まいの家の窓から見える風景は平和そのものである。 このエリア、実はミドルクラスのポッシュな住宅地なのだ。コロナ感染? どこの話ですか?と言わんばかりのエレガントな光景が展開されていて、前庭で草刈りをしている人もいれば、椅子をパティオに出して読書に熱中している人もいる。また、外出禁止中も一日に一度のエクササイズや犬の散歩は許されているため、ジョギングしている人やサイクリングしている人、犬を連れて大きなサングラスをかけ舗道をひらひら歩いている金髪のミセスなどもいる。 はっきり言って、外出禁止になる前と何も変わらないのだ。 考えてみれば、この辺はふだんから在宅勤務している人が多いのだった。ブライトンの中心地から遠く離れた田園地帯。こんなところに高価な家を買って住める人たちは、自分でビジネスをやってサクセスしている人たちや、週に何度か会社に行くだけで基本は在宅勤務している企業の重役とかだ。毎日外に出てあくせく働いている人々が住むエリアではないのである。ロックダウンで眠っているわけではない。ポッシュ村はふだんから眠っているのだ。『群像(2020年6月号)』1:翻訳小説に関する辛島デイヴィッドのレポート『群像(2020年6月号)』2:多和田葉子のインタビュー『群像(2020年6月号)』3:ハロー、ユーラシア
2020.05.27
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朝日新聞の記事をスクラップしているのだが・・・(科学)シリーズについても、デジタル記事も残しておこうと思ったのです。スクラップとWebデータとで重複保管になるのだが、ま~いいか。魚類の化石に「指」の骨、前肢へ進化途中? カナダ・ケベック州で10年前に発見された約3億8千万年前の魚類の化石の胸びれに、「指」にあたる骨が隠れているのが見つかった。魚類から陸で暮らす四肢動物への進化段階とされる化石はいくつか知られるが、前肢(手)の指に関わる骨がはっきり確認できたのは初めて。 化石は、四肢動物に近いとされるエルピストステゲ・ワトソニのもの。長さ1・57メートルのほぼ全身の化石から、カナダと豪州の研究チームが胸びれ部分をCT検査したところ、指にあたる2本の骨と、指の可能性がある3本が見つかった。 両生類や爬虫類につながる四肢動物が現れたのはデボン紀(約4億1900万~3億5900万年前)の後期。エルピストステゲはこれまで、最初期の四肢動物に最も近い魚類の一種と考えられてきたが、研究チームは指の発見により、エルピストステゲがこれらの魚類のなかでも最も四肢動物に近かったと位置付け、「魚類と四肢動物の境界をひくことさえ難しくなってきた」としている。 魚類化石に詳しい城西大大石化石ギャラリーの宮田真也学芸員は「外見上は胸びれだが、前肢へ変わる過程で指がつくられていたことがはっきりした。ただ、エルピストステゲそのものが四肢動物の祖先になったのかは、まだ分からない」と話した。(米山正寛)四肢動物に最も近い魚類ってか、なんかやや薄気味悪い生物である。古代生物といえば・・・アノマロカリスなんか迫力がありまんな♪(科学)魚類の化石に「指」の骨、前肢へ進化途中?2020.5.21
2020.05.26
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このところ新聞のスクラップとその記事のデジタル保存に勤しんでいるが・・・なにしろ、コロナウィルス対応の自粛で読む本に事欠いてきたので、連載中のこの「火の鳥」を読んでみようかと思い立ったわけでおます。デジタル朝日の記事をコピペしたので見てみましょう。2020年5月23日火の鳥 大地編:54より〈四章 東京 その七 赤い夕日の満州国〉の続き。要造は、火の鳥調査隊の4代目の隊長として、保の息子で陸軍少尉の緑郎を指名。家庭内のゴタゴタもあって、緑郎を自分と重ね、思い入れを強めるのだった。緑郎がタクラマカン砂漠に向かった後、石原莞爾、山本五十六とともに要造は「鳳凰機関」として、相談を重ねる。一方、日本国内では、軍部や右翼団体によるクーデターやテロが相次ぎ、不穏な空気が漂っていた。要造の継母・雪崩も標的となる。 昨今、政治家や官僚が無能で、財閥と癒着もしていると、「政治の腐敗だ!」と責める若者が増えていた。軍縮時代になって苦労する若い軍人、低賃金にあえぐ都市労働者、飢饉(ききん)で飢えた東北の農民たち……。やがて、血盟団という政治団体の若者と、海軍の若き将校などが結託、翌二月、「一人一殺!」と東京でテロを起こした。 予算を削るなど軍部に非協力的だった前大蔵大臣が、血盟団の青年により無残に撃ち殺された。翌三月、三井財閥総帥が三井銀行の前で、やはり撃たれ、命を落とした。ついで五月、海軍将校などが首相官邸を襲い、軍縮を進めた犬養毅総理を「問答無用! 撃て撃て撃てぇーっ」と惨殺! ついで日本銀行、変電所などに手榴弾を投げ込み、紙幣流通や電気供給を止め、帝都に戒厳令を敷かせようとした。 このクーデターは空振りに終わったが、若い世代の不満は、社会の隅々に灰色の澱(おり)のように残った。政治家は自己の利益のために動き、財閥は民衆の血の一滴まで搾り取る。しかも官僚が彼らを擁護している。つまり今の日本には、一部の特権階級、いわゆる“上流の国民”なるものが存在してるのだ! これらは古くて腐敗したものだ。国家の敵! 打倒すべし! 解放されるべし! 今にして起たずんば日本は亡滅せんのみ! では、では、来るべき新しい世界とは何か? 何処(いずこ)に皇国日本の真の姿ありや? それは、かつての輝かしき明治維新で、新政府が成し遂げたような、天皇陛下を奉じた維新(革命)によってのみ達成されるべき偉業だ! 天皇の御意向を承けた軍部が政治を主導し、民族の誇りを胸に、国内を平等な社会にする。国外に向けては、一丸となって大陸進攻する。その時こそ、皇国日本は本来の輝かしい姿を取り戻せるだろう……。と、上海にいる私には国内のことはよくわからないが、海軍や血盟団員の青年たちの思想や市井の人々の不満を、こう推測した。市民の多くはテロを起こした若い軍人たちに同情的で、刑を軽くせよという嘆願書には百万人を超える署名が集まった。 三田村財閥では、長男の硝子(がらす)が急ぎ東京に飛び、この非常事態を収めた。一月に雪崩を襲った青年も血盟団員だったのかは、はっきりしないままだが、念のため警備を厳重にして祖母を守った。ついで、東京駅近くに日丸(にちまる)劇場、日丸ホテルを建設。週末の無料コンサートなどを開き、東京市民に還元した。また上野公園の一角で低所得者向けの炊き出し“三田村鍋”を提供。日によって具を肉か魚か豆腐に、味付けも味噌か醤油か塩にと変化もつけて工夫。企業のイメージ挽回に努めた。硝子は危機管理能力が高く、雪崩も「要造さん。あの子は頼りになるよう」と喜んだ。 クーデターそのものは失敗したが、政府における軍の力は結果的に強まった。再び騒乱になることを恐れ、陸軍大臣や海軍大臣に逆らい辛くなったためだ。翌一九三三年。スイスのジュネーブで行われた国際連盟の臨時総会において「満州国建国は日本の軍事行動によるものであり、認められず」と決議された。反対は日本の一票のみ、賛成四二票。日本は強く反発し、翌月、国際連盟を脱退した。 国内はこれにワッと沸き、新聞紙面には〈さらば国際連盟!〉〈我が代表、堂々退場す!〉と大きな文字が躍った。満州国の肥沃な大地や埋蔵資源が日本の利益として守られたことに安堵し、同時に「皇国日本」と民族意識も高まっていった。街では、数年前までの軍縮時代が嘘のように、軍人人気が鰻登り! 子女の見合い相手にも引っ張りだこであった。 ちょうどこのころ、岐阜で暮らす森漣太郎くんから「孫娘をどうぞ頼むよ」と手紙がきた。森くんの長男は、社会主義運動で憲兵に右足をやられた後、大学を中退し故郷に帰還。地主一家の入婿となり、森家の家督は次男が継いだ。その長男の娘が、陸軍大尉と見合い結婚し、上京するという。私は東京本社の雪崩に連絡し、彼女を後見してくれるようよくよく頼んだ。 軍部の力が強まるにつれ、陸軍内部での派閥争いの噂が聞こえてきた。一九三五年の夏、上海の三田村家の応接間で、長男の硝子と晩酌しながら、「そりゃあ、人が三人集まりゃ派閥ができますよ、お父さん。ぼくらきょうだいと一緒だな。わはは」と息子の話を聞いた。「どういうことだね」「つまり、ぼくと麗奈は、お父さんと共存しながら、自己の利益を追求する派閥。汐風姉さんは、理想を追い求める派閥。麗奈は姉さんといまや犬猿の仲ですよ。子供のころはあんなになついてたのになぁ」 二階の部屋から、蓄音機で音楽をかけて踊る麗奈のけたたましい笑い声が聞こえてきた。私は顔をしかめ、「そんなことはいまはいい……。それより陸軍はどうなっとるんだ? 一触即発の空気と聞いたが」と聞いた。「はい。“統制派”と“皇道派”の争いがあるんですよ。前者は、今あるシステムを利用しつつ、自己の利益となるよう、その解釈を強引に捻曲げる。そして時に国家を私物化することもある。あぁ、“満州国を作った關東軍の者たち”とも精神性が近いかもしれませんねぇ。彼らも、様々な解釈を勝手に変えた上で、戦争を起こし、後から軍部や政府に認めさせたわけですから」「なるほど。それはおまえもときどきやる方法じゃないか。私に無断で業務を行い、後から報告し、結果的に認めさせる」「おっと……。そう、まさにぼくが三田村家の統制派ですよ。はははは! そして、対する皇道派は“先だってのクーデターを起こした者たち”でしょうかねぇ。政財界の腐敗を正し、天皇の下にある軍国社会、平等な世の中を実現すべし。その理想実現のためにまっすぐな行動に走る。ま、駆け落ちを敢行した汐風姉さんは、こっちに近いのかも。ははは」「なるほどなぁ……」 と、息子とそんな話をしているうち、満州国に新しい憲兵隊司令官が赴任してきたと聞いた。この男がどうも噂の統制派らしい……。翌週、新京のヤマトホテルで硝子と食事していると、たまたま、部下を連れてどやどやと入ってきた。私は愛想よく同席を勧め、「さて、大陸の印象はどうですかな。――東條さん?」 真ん丸のロイド眼鏡に口髭を生やし、生真面目そのものの風貌をした新司令官、東條英機少将は、広い額に汗を浮かべ、背筋をピンと伸ばし、「立派なビルが建ち並び、通りには馬車がひっきりなし。様々な民族が歩道をそぞろ歩く。郊外には大農園や工場群……。まさに圧巻ですな! しかし、私が最も胸打たれたのは、到着した朝に見た、大陸の地平線から上がる灼熱の太陽です。まるで日章旗! 皇(すめらぎ)の道、陛下の軍隊を率いる者として、大陸での職務に努めんと、私は決意を新たにいたしました」「ほぅ、なるほど……」 東條英機は、大陸の南西地方で好まれる唐辛子入りの豆腐料理を注文した。硝子が気を使い、「辛すぎて食べられませんよ。店員を呼び戻し、別のものに変えさせましょう」と忠告すると、東條は「私は一度決めたことは変更いたしません」とにべもなく断った。やがて真っ赤な一皿が運ばれてくると、一口食べ、「なるほど。とんでもなく辛いですな、三田村さん」と驚いたが、「心頭滅却すれば火もまた涼し!」と食べきってしまった。翌週の夜、硝子が上海のレストランで同じ料理を注文し、口にして、「いや、やっぱり辛い。内地(日本)の人には食べられないはずだがなぁ」と首を傾げた。 さて東條司令官は、赴任早々、憲兵の意識改革に取りかかった。ロイド眼鏡と口髭が特徴的な自身の大きな写真をたくさん刷り、満州中の憲兵分駐所の壁に貼りつけて「共産主義者、社会主義者の摘発」を厳命した。すでに国内では、一九二八年の治安維持法(国家のあり方に反対する社会運動を取り締まる法律)改定以来、共産主義者は弾圧され、姿を消していた。共産主義は「すべての人間は平等」と考えるため、結果的に、天皇制を否定していたためだ。満州国も、東條英機によって、国内のこの流れに続いたのだった。 翌一九三六年の二月二十五日早朝。 私が目を覚まし、肌寒さに震えながら階下に降りると、夜遊び帰りのチャイナドレス姿の麗奈が待っていた。欠伸(あくび)交じりに「明け方、石原のおじちゃまからお電話があったわよ。お父さま」と言う。「ずいぶん興奮していらっしゃったわ。間久部くんは無事だとか、背中に怪我(けが)してるとか、なんとか。あと、お父さまにこう伝えろって、繰り返しおっしゃってた。――“鳳凰が砂漠より降り立つ”って!」火の鳥 53この連載小説の背景ともいえる満州に関しては浅田次郎さんの日中戦争前夜 絡み合う思惑がお奨めです。
2020.05.26
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この本に載っている与那覇先生の人気講義が気になるわけで、この講義から日米中の複雑なパワーバランスを読み解く視座が得られるのではないかと・・・期待して読んだ次第です。【日本人はなぜ存在するか】與那覇潤著、集英社インターナショナル、2013年刊<「BOOK」データベース>より日本人は、日本民族は、日本史はどのように作られた?教養科目の人気講義が一冊の本に!【目次】1 入門編ー日本人論を考える(「日本人」は存在するか/「日本史」はなぜ間違えるか/「日本国籍」に根拠はあるか/「日本民族」とは誰のことか/「日本文化」は日本風か)/2 発展編ー日本人論で考える(「世界」は日本をどう見てきたか/「ジャパニメーション」は鳥獣戯画か/「物語」を信じられるか/「人間」の範囲はどこまでか/「正義」は定義できるか)<読む前の大使寸評>與那覇先生の日本人論とあれば、読まないといけないでしょうね♪rakuten日本人はなぜ存在するか日本国籍のあたりを読んでみましょう。p52~55<「最初に日本国籍を得た人」の親の国籍は?> 前章の最後に、国籍と参政権をめぐる話をしましたね。戦後、1952年に日本が独立するまでは「日本国籍」だった旧植民地出身者の参政権を、45年の末に取り上げてしまったのだと。そのことの当否は、今回は置いておきましょう。この話を聞いて「そもそも、どうしてそんなことができたのだろう」と、不思議に思いませんでしたか? まさか1946年の総選挙の際、有権者ひとりひとりに「あなたは植民地の出身ですか」と聞いて回ったとは思えない。とはいえ、日本を民主化する使命を帯びていたGHQの下で、「朝鮮・台湾民族には選挙権を認めない」などという文言で法律を作ったわけでもないでしょう。実は、そこには日本の国籍制度に特有のかたちが関わっていました。 どこの国であれ、「国籍」が再帰的な制度であることは、ここまで本書を読んできた読者には自明だと思います。ある土地に住民が存在するからといって、どこからともなく国籍が自然に発生することはありませんよね。どの社会でも、ある特定の時期に人為的な制度として、国籍というものが作られたわけです。「このような国籍法を制定したので、これこれの要件を満たす人がわが国の国籍保有者となります」と宣言することで、初めて国籍保有者が生じる。すなわち国籍とは徹頭徹尾、再帰的な存在です。 では、いかなるルールによって国籍を決めるのでしょうか。大きく分けると、これには「血統主義」と「生地主義」という、2種類の考え方があります。わかりやすく言うと、子供が生れた場合、血統主義は「親の国籍を受けつぐ」というルール、生地主義は「生れた場所の国籍を得る」というルールです。よく、「日本で生れたから日本人」という言い方がありますが、国籍に関するかぎりでは、これは正しくない。日本の国籍制度は血統主義を採用しているので、正しくは「親が日本人だから日本人」になります。 両者の分布に関していうと、東アジアや大陸ヨーロッパでは血統主義を原則とする国が多く、南北アメリカのように移民国家として出発した地域では、生地主義をとることが一般的だとされています。まったく異なる2種類のルールが併存しているわけですから、時として混乱が生じることもある。 たとえば、日本国籍保有者どうしのカップルがアメリカで出産した場合、日本の国籍法は血統主義ですから、その子の国籍は日本となりますが、生地主義であるアメリカの国籍法から見ると、むしろその子は「アメリカ国籍」だということになります。こういう場合に二重国籍を認めるかどうかも、国によって制度が異なるのですが、とりあえず現在の日本では「国籍選択制度」を設けて、生れた本人が22歳になるまでに、日本国籍か外国籍かのどちらかを選ぶことになっています。 では、なぜ日本は生地主義ではなく血統主義を採用したのでしょうか。現在の国籍法は1984年に改正されたものですが、血統主義をとる理由について、『改正国籍法・戸籍法の解説』という当時の法務省の文書では、次のように説明されています。我が国は、古代統一国家成立以来単一の言語、文化、歴史を有する単一民族により構成される国家であつて、この伝統に由来する「血統」重視の意識は我が国の社会に根強く・・・国籍法における血統主義はこのような伝統、意識に基づくものであって、現時点においては、生地主義は一般国民の受け入れるところではないであろう つまり日本は伝統的に単一民族の国家であったため、血統を重んずる意識が非常に強いから、日本で生まれさえすれば日本国籍が得られる生地主義ではなく、血統主義を採用するということです。なんだか仰々しいし、本当かな?と思わせる説明ですね。ウーム、単一民族が住む島国だから島国根性でいいじゃんと、ショートパスしているわけか・・・なんともはや。『日本人はなぜ存在するか』1:比較文学p106~108、日本人の性癖p118~119
2020.05.25
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<図書館予約の軌跡218>『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。(今回は図書館のコロナウィルス自粛を反映しております)<予約中>・伊坂幸太郎『フーガはユーガ』(7/24予約、副本34、予約462)現在23位・呉善花『韓国を蝕む儒教の怨念』(10/02予約、副本3、予約56)現在2位・橘玲「上級国民/下級国民」(10/24予約、副本16、予約283)現在118位・ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(11/13予約、副本19、予約534)現在296位・門井慶喜『定価のない本』(1/12予約、副本9、予約74)現在35位・浅田次郎『大名倒産 (上)』(2/01予約、副本13、予約347)現在279位・村田沙耶香『地球星人』(2/14予約、副本12、予約42)現在11位・有川ひろ『倒れるときは前のめりふたたび』(2/18予約、副本11、予約62)現在41位・浅田次郎『大名倒産(下)』(3/17予約、副本23、予約351)現在327位・内田樹『サル化する世界』(3/25予約、副本2、予約60)現在62位・紗倉まな『春、死なん』(5月末予約予定、副本2、予約26)<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・8月の果て・ある日うっかりPTA(副本4、予約39)・グレタたったひとりのストライキ<予約候補>・川越宗一『熱源』・角田光代『対岸の彼女』・村上春樹『猫を棄てる』・チャン・ガンミョン『韓国が嫌いで』・小野正嗣『踏み跡にたたずんで』・多和田葉子『文字移植』・雨宮処凛『ロスジェネのすべて』:図書館未収蔵・四方田犬彦『ソウルの風景―記憶と変貌』・小山鉄郎『白川静さんに学ぶ これが日本語』・高野秀行「怪獣記」・キネマ旬報(ありがとう、和田誠さん)・東龍夫『ザ・ソウル・オブ くず屋』:図書館未収蔵・『オーバーストーリー』・橋本治『黄金夜界』・中園成生『日本捕鯨史』・高野秀行「ワセダ三畳青春記」・高樹のぶ子『アジアに浸る』・書物の破壊の世界史・つげ義春『ガロ 1968 前衛マンガの試行と軌跡』・ディック『パーマー・エルドリッチの三つの聖痕』:図書館未収蔵・ヘミングウェイで学ぶ英文法:図書館未収蔵・内澤旬子『ストーカーとの七00日戦争』:図書館未収蔵・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・「月夜のでんしんばしら」谷川雁、C.W.ニコル:図書館未収蔵・カズオ・イシグロ著『癒されざる者たち』:図書館未収蔵・阿刀田高『裏声で歌へ君が代』・デジタルエコノミーはいかにして道を誤まるか:図書館未収蔵・ネルケ無方著『迷える者の禅修業』・ボリス・ヴィアン著『うたかたの日々』:芸工大に収蔵・禁じられた歌(田)<予約分受取:2/02以降> ・伊坂幸太郎『クジラアタマの王様』(7/31予約、2/02受取)・村上龍『村上龍料理小説集』(1/26予約、2/14受取)・横尾忠則『死なないつもり』(2/12予約、2/14受取)・デービッド・アトキンソン『日本人の勝算』(8/20予約、3/01受取)・森絵都『カザアナ』(9/21予約、3/18受取)・雑草はなぜそこに生えているのか(3/17予約、3/22受取)・イーユン・リー『千年の祈り』(3/25予約、3/31受取)・川上弘美『某』(10/27予約、4/05受取)・満州国のラジオ放送(2/26予約、5/20受取)・劉慈欣『三体』(9/09予約、5/20受取)【フーガはユーガ】伊坂幸太郎著、実業之日本社、2018年刊<「BOOK」データベース>より常盤優我は仙台市のファミレスで一人の男に語り出す。双子の弟・風我のこと、決して幸せでなかった子供時代のこと、そして、彼ら兄弟だけの特別な「アレ」のこと。僕たちは双子で、僕たちは不運で、だけど僕たちは、手強い。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(7/24予約、副本34、予約462)>rakutenフーガはユーガ【韓国を蝕む儒教の怨念】呉善花著、小学館、2019年刊<「BOOK」データベース>より「不可逆的に最終合意」したはずの慰安婦問題をひっくり返したかと思えば、韓国の最高裁は、すでに日韓基本条約で解決済みの徴用工裁判で日本企業に対し、賠償判決を出す。一方で、文在寅大統領は中国、北朝鮮に擦り寄り、反日を加速させている。日本と韓国の関係は戦後最悪の状態にある。普通の日本人の感覚からすれば、まったく理解できない。いったいなぜなのか。ヒントは、反日主義にしなければならなかった韓国の歴史にある。それが現代にまで続き、自壊の道を辿っているのだ。韓国出身の著者がその謎を史実に基づき解き明かす。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/02予約、副本3、予約56)>rakuten韓国を蝕む儒教の怨念【上級国民/下級国民】橘玲著、小学館、2019年刊<「BOOK」データベース>より「下級国民」を待ち受けるのは、共同体からも性愛からも排除されるという“残酷な運命”。一方でそれらを独占する少数の「上級国民」たち。ベストセラー『言ってはいけない』の著者があぶり出す、世界レベルで急速に進行する分断の正体。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/24予約、副本16、予約283)>amazon上級国民/下級国民【ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー】ブレイディみかこ著、新潮社、2019年刊<「BOOK」データベース>より大人の凝り固まった常識を、子どもたちは軽く飛び越えていく。世界の縮図のような「元・底辺中学校」での日常を描く、落涙必至のノンフィクション。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(11/13予約、副本19、予約546)>rakutenぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー【定価のない本】門井慶喜著、東京創元社、2019年刊<「BOOK」データベース>より神田神保町ー江戸時代より旗本の屋敷地としてその歴史は始まり、明治期は多くの学校がひしめく文化的な学生街に、そして大正十二年の関東大震災を契機に古書の街として発展してきたこの地は、終戦から一年が経ち復興を遂げつつあった。活気をとり戻した街の一隅で、ある日ひとりの古書店主が人知れずこの世を去る。男は崩落した古書の山に圧し潰されており、あたかも商売道具に殺されたかのような皮肉な最期を迎えた。古くから付き合いがあった男を悼み、同じく古書店主である琴岡庄治は事後処理を引き受けるが、間もなく事故現場では不可解な点が見付かる。行方を眩ました被害者の妻、注文帳に残された謎の名前ーさらには彼の周囲でも奇怪な事件が起こるなか、古書店主の死をめぐる探偵行は、やがて戦後日本の闇に潜む陰謀を炙りだしていく。直木賞作家の真骨頂と言うべき長編ミステリ。<読む前の大使寸評>古書店主の死から、戦後日本に潜む陰謀を炙りだすってか・・・面白そうである。<図書館予約:(1/12予約、副本9、予約74)>rakuten定価のない本【大名倒産(上)】浅田次郎著、文藝春秋、2019年刊<「BOOK」データベース>より泰平の世に積もりに積もった大借金に嫌気のさした先代は縁の薄い末息子に腹を切らせて御家幕引きを謀る。そうとは知らぬ若殿に次々と難題が降りかかる!笑いと涙の経済エンターテインメント、始まり、始まりー<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(2/01予約、副本13、予約347)>rakuten大名倒産(上)【地球星人】村田沙耶香著、新潮社、2018年刊<出版社>より私はいつまで生き延びればいいのだろう。いつか、生き延びなくても生きていられるようになるのだろうか。地球では、若い女は恋愛をしてセックスをするべきで、恋ができない人間は、恋に近い行為をやらされるシステムになっている。地球星人が、繁殖するためにこの仕組みを作りあげたのだろうー。常識を破壊する衝撃のラスト。村田沙耶香ワールド炸裂!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(2/14予約、副本12、予約42)>rakuten地球星人【倒れるときは前のめりふたたび】有川ひろ著、KADOKAWA、2019年刊<「BOOK」データベース>より「有川浩」改め「有川ひろ」のエッセイ集“ふたたび”!ペンネーム変更の理由も語られる、エッセイ等41本+小説2編も特別収録。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(2/18予約、副本11、予約62)>rakuten倒れるときは前のめりふたたび【大名倒産(下)】浅田次郎著、文藝春秋、2019年刊<「BOOK」データベース>より御国入りで初めて見る故郷の美しさ、初めて知る兄弟の情。若殿は倒産阻止を決意するが、家臣共々の努力も焼け石に水。伝家の宝刀「お断り」で借金帳消しの不名誉を被るしかないのか。人も神様も入り乱れての金策に、果たして大団円なるかー<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(3/17予約、副本23、予約351)>rakuten大名倒産(下)【サル化する世界】内田樹著、文藝春秋、2020年刊<「BOOK」データベース>より現代社会の劣化に歯止めをかける、真の処方箋!堤未果氏との特別対談も収録。【目次】1 時間と知性/2 ゆらぐ現代社会/3 “この国のかたち”考/4 AI時代の教育論/5 人口減少社会のただ中で/特別対談 内田樹×堤未果 日本の資産が世界中のグローバル企業に売り渡されるー人口減少社会を襲う“ハゲタカ”問題<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(3/25予約、副本2、予約60)>rakutenサル化する世界【春、死なん】紗倉まな著、講談社、2020年刊<「BOOK」データベース>より「春、死なん」妻を亡くして6年の70歳の富雄。理想的なはずの二世帯住宅での暮らしは孤独で、何かを埋めるようにひとり自室で自慰行為を繰り返す日々。そんな折、学生時代に一度だけ関係を持った女性と再会し…。「ははばなれ」母と夫と共に、早くに亡くなった父の墓参りに向かったコヨミ。専業主婦で子供もまだなく、何事にも一歩踏み出せない。久しぶりに実家に立ち寄ると、そこには母の恋人だという不審な男が…。人は恋い、性に焦がれる―いくら年を重ねても。揺れ惑う心と体を赤裸々に、愛をこめて描く鮮烈な小説集。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5月末予約予定、副本2、予約26)>amazon春、死なん【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死【8月の果て】柳美里著、新潮社、2007年刊<「BOOK」データベース>より日本統治下の朝鮮・密陽に生を受け、マラソンでの五輪出場を目指した亡き祖父・李雨哲。そのうしろ姿を追い、路上を駆けることを決意した柳美里。ふたりの息づかいが時空を越えて重なる瞬間、日本と朝鮮半島のあわいに消えた無数の魂が封印を解かれ、歴史の破れ目から白い頁に甦る。偉丈夫の雨哲と美丈夫の弟・雨根。血族をめぐる、ふたつの真実の物語が、いま日本文学を未踏の高みへと押し上げる。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>rakuten8月の果て図書館予約の軌跡217予約分受取目録R23好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索システム図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・ウィキペディアでめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。
2020.05.25
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本屋の店頭で『群像(2020年6月号)』という雑誌を、手にしたのです。表紙に出ている特集「多和田葉子」「翻訳小説」というコピーに太子のツボが疼くわけでこれは買うっきゃないで・・・ということで久しぶりに雑誌を買い求めたのでおます。【群像(2020年6月号)】雑誌、講談社、2020年刊<商品説明>より[小特集 多和田葉子]・インタビュー「離れていても、孤独ではない人間たちの闘争」 聞き手・構成:小澤英実・評論「多和田葉子の『星座小説』--『星に仄めかされて』をめぐって」岩川ありさ[特集 翻訳小説]・アンケート「最新翻訳小説地図」<読む前の大使寸評>表紙に出ている特集「多和田葉子」「翻訳小説」というコピーに太子のツボが疼くわけでこれは買うっきゃないで・・・ということで久しぶりに雑誌を買い求めたのでおます。rakuten群像(2020年6月号)「ハロー、ユーラシア:福島亮太」でJ・G・バラードや中国が語られているので、見てみましょうp78~79 <2 球と道> アメリカほど華やかなものではないにせよ、ユーラシアも今や「夢」の工場に近づいている。地政学的なレベルで見たとき、ユーラシアにはかつてなく重要な意義が与えられつつある。習近平国家主席のもとで2010年代以降、一帯一路構想を掲げてきた中国は「新しいシルクロード」の興隆を目指して、中央アジアからヨーロッパに及ぶ広範囲に影響略を行使してきた。中国のイデオローグたちも、従来のグローバリゼーションとは異なる中国主導の「グローバリゼーション2.0」を礼賛するようになった。 この中国の拡大戦略は、冷戦時代には認識の谷間にあった「ユーラシア」を改めて呼び覚ますものだろう。例えば、ケント・カルダーは「ユーラシアの再連結」がそれまでのグローバル化とどう違うのかについて、およそ以下のポイントを挙げる。 第一に、漢代の西域経営にまで遡れる長い歴史的背景があること。第二に、ユーラシアはあまりにも巨大な大陸なので、中国からヨーロッパまでは海路よりも陸路のほうが距離的に近いくらいであること。第三に、ファーウエイやアリババの進出に象徴されるように政治工学的な物流インフラが重視されていることである。 21世紀の「新しいシルクロード」はまさに「創造された伝統」そのもだが、その再創造はユーラシアという超大陸を工学的につなぐことによって実現されているのだ。この伝統と経済とテクノロジーの結合に、今日のユーラシアの「政治」がある。 ただ、このような地政学的な話題はいったん脇において、今は言葉の次元に目を向けたい。ここで興味深いのは、中国がユーラシアを「帯」や「路」として捉えたことである。これはちょうど中国語でグローバル化を「全球化」と呼ぶことと好対照をなす。 グローバル化が顕著に進んだ21世紀は、いわば地球が丸くなった時代である。より正確に言えば、人類にとって、地球の球体性がアクチュアルな問題として浮上してきた時代である。地球は平らではなく丸い。陸と海は宇宙からのさまざまな放射線を受けとめながら、球体として自己完結している。全世界をネットワーク化してつなぐことができるのは、まさにこの丸さゆえである。 むろん「全球化」はそれ固有のリスクも孕んでいる。2020年のパンデミックは、地球の球体性を改めて印象づける出来事であった。いわばラディカルなリベラルであるウイルスは商業と交通のネットワークに乗じて、国境をやすやすと超え、人間と動物の境界を超えて、丸くなった惑星のなかを流通してしまう。人類は丸く鎖された地球で生きる限り、この危機から逃れることはできない。 かつてカミュは『ペスト』(1947年)でアルジェリア海岸の鄙びた街がペストによって「監禁状態」になったさまを克明に描いたが、この前世紀の想像力は更新されなければならない。すなわち、21世紀においては、地球そのものが一個の恒常的な監禁システムであり、そのつどの危機に応じて、惑星のあちこちに一時的な監獄都市が出現すると考えたほうがよいだろう。ウーム 武漢のような監獄都市が米中に出現した昨今であるが・・・わりと早く危機を脱出したように見える中国共産党がクセモノなんだろうね。『群像(2020年6月号)』1:翻訳小説に関する辛島デイヴィッドのレポート『群像(2020年6月号)』2:多和田葉子のインタビュー
2020.05.24
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本屋の店頭で『群像(2020年6月号)』という雑誌を、手にしたのです。表紙に出ている特集「多和田葉子」「翻訳小説」というコピーに太子のツボが疼くわけでこれは買うっきゃないで・・・ということで久しぶりに雑誌を買い求めたのでおます。【群像(2020年6月号)】雑誌、講談社、2020年刊<商品説明>より[小特集 多和田葉子]・インタビュー「離れていても、孤独ではない人間たちの闘争」 聞き手・構成:小澤英実・評論「多和田葉子の『星座小説』--『星に仄めかされて』をめぐって」岩川ありさ[特集 翻訳小説]・アンケート「最新翻訳小説地図」<読む前の大使寸評>表紙に出ている特集「多和田葉子」「翻訳小説」というコピーに太子のツボが疼くわけでこれは買うっきゃないで・・・ということで久しぶりに雑誌を買い求めたのでおます。rakuten群像(2020年6月号)多和田葉子のインタビューを、見てみましょう。インタビュアーは小澤英実という人です。p178~179 <コロナ禍で浮び上る国家間のズレ>小澤:このお話を伺っている今、日本では東京をはじめ七都府県に緊急事態宣言が発出されたばかりです。コロナウィルス感染拡大の影響で、直接お会いする予定が変更になり、急遽ドイツにいる多和田さんに電話でインタビューすることになりました。 こうした世界的な危機のさなかに、前作『地球にちりばめられて』とその続編である『星に仄めかされて』を読むと、ここで描かれている開かれた世界のありようがひどく遠く離れてしまったことを痛切に感じました。 この作品は、世界のさまざまな場所から集い、自由に移動しつづける若者たちの物語です。ところが現在では、世界中で国境が封鎖されて、出入国が厳しく規制されている。くしくもHirukoの状況が現実味を帯びてしまったようです。多和田:『地球にちりばめられて』と『星に仄めかされて』、それとたぶんもう一冊続くのですが、これらの作品に描かれた世界では、ヨーロッパのなかは自由に移動することができるけれども、日本と思われる国には全然行かれないし、連絡がつかないという状況になっています。鎖国とグローバル化の両方が共存する状況ですね。 今、新型コロナウィルスのせいで世界中が鎖国状態にあります。ドイツの場合、仕事なら大丈夫ですが、友達に会いに行くとか湖に遊びに行くという目的では、国内の隣の州にも入れません。それだけではなくて、国境を閉じるか閉じないかを決めている段階で、ヨーロッパのなかの心の境界線みたいなものや、それぞれの国の考え方のズレのようなものが浮上してきて、ヨーロッパがばらばらになるんじゃないかと心配しました。(中略) 私も知らなかったのですが、国境というのは、こちら側からと向こう側からのそれぞれで開け閉めできるものなんですね。二重ドアです。例えばポーランドとドイツの国境の場合、ポーランド側はすぐ閉めたけれども、ドイツ側からはすぐには閉めなかった。 スタートはばらばらでしたが、それではいけないという気持ちもあって、フランスのマクロン大統領は、コロナウィルスに対してヨーロッパが足並みをそろえてやっていかなければ意味がないとよびかけました。確かにそうなんです。地続きなので、それぞれが勝手な政策をとってもしようがないわけです。ただ、その国によって犠牲者の数には大きな差があり、その理由はまだ判明していません。 死者の数でいうと今の時点でフランスではドイツの五倍くらい死者が出ています。毎日新しいニュースが入るので、今ここで言ったことが活字になる頃には違っている可能性もありますが、今の時点では、ひどい被害を受けたイタリアやスペインに北ヨーロッパの国々がどんなかたちで経済的な援助をするのかで、もめています。 私が小説で描きたかったヨーロッパも、いろいろな文化が喧嘩したり、仲直りしたり、もめたり、混ざったり、別れたりしている流動的な世界です。ヨーロッパの中でもデンマークとイタリアは違うし、しかもそれぞれの国にまた別の大陸から来た人たちがたくさん住んでいるという構図です。『地球にちりばめられて』の場合は、スカンジナビアと、かつて古代ローマ帝国に属していた部分、という二つの世界があって、その間を登場人物たちが行き来します。『星に仄めかされて』では移動は一回きりで、今はドイツの都市だけどもかつて古代ローマ帝国の重要な都市であったトリアーから、コペンハーゲンへの旅です。 ナヌークの場合と、ノラ、アカッシュの場合で、移動のルートは違うのですが、いずれにしても巨大な暗い森のようなドイツという国を通っていかなければなりません。昔のローマ人にとって現在ドイツのあるところは、恐ろしい森のなかにゲルマン人が隠れていて、いつ襲われるかわからないというイメージだったようです。でもそれがいつかドイツ・ロマン派の森になって、その森に入ることで自分の内部に分け入っていく、という意味合いが生まれるんですね。小澤:なるほど。今作での移動はなによりそのルートや手段の多彩さに読みごたえがありました。(後略)『群像(2020年6月号)』1:翻訳小説に関する辛島デイヴィッドのレポート『群像(2020年6月号)』2:多和田葉子のインタビュー【地球にちりばめられて】多和田葉子著、講談社、2018年刊<「BOOK」データベース>より留学中に故郷の島国が消滅してしまった女性Hirukoは、ヨーロッパ大陸で生き抜くため、独自の言語“パンスカ”をつくり出した。Hirukoはテレビ番組に出演したことがきっかけで、言語学を研究する青年クヌートと出会う。彼女はクヌートと共に、この世界のどこかにいるはずの、自分と同じ母語を話す者を捜す旅に出る―。言語を手がかりに人と出会い、言葉のきらめきを発見していく彼女たちの越境譚。<読む前の大使寸評>言語学的なSFは、モロに太子のツボであるが・・・ヨーロッパ大陸で生き抜くため、独自の言語“パンスカ”をつくり出したHirukoという元ニッポン人が、興味深いのです。<図書館予約:(2/18予約、8/28受取)>rakuten地球にちりばめられて『地球にちりばめられて』3:「第9章 Hirukoは語る3」『地球にちりばめられて』2:「第6章 Hirukoは語る2」『地球にちりばめられて』1:「第2章 Hirukoは語る」
2020.05.24
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本屋の店頭で『群像(2020年6月号)』という雑誌を、手にしたのです。表紙に出ている特集「多和田葉子」「翻訳小説」というコピーに太子のツボが疼くわけでこれは買うっきゃないで・・・ということで久しぶりに雑誌を買い求めたのでおます。【群像(2020年6月号)】雑誌、講談社、2020年刊<商品説明>より[小特集 多和田葉子]・インタビュー「離れていても、孤独ではない人間たちの闘争」 聞き手・構成:小澤英実・評論「多和田葉子の『星座小説』--『星に仄めかされて』をめぐって」岩川ありさ[特集 翻訳小説]・アンケート「最新翻訳小説地図」<読む前の大使寸評>表紙に出ている特集「多和田葉子」「翻訳小説」というコピーに太子のツボが疼くわけでこれは買うっきゃないで・・・ということで久しぶりに雑誌を買い求めたのでおます。rakuten群像(2020年6月号)翻訳小説に関する辛島デイヴィッドのレポートを、見てみましょう。p124~125 <英語圏で注目を集める日本の女性作家たち> ここ数年、日本の女性作家が英語圏で注目を集めている。2018年には、村田沙耶香『コンビニ人間』の英訳がニューヨーカー誌など十数誌で「ブック・オブ・ザ・イヤー」に選ばれ、多和田葉子『献灯使』の英訳が全米図書賞を翻訳文学部門で受賞した。 昨年は、『センセイの鞄』が英米でロングセラー化している川上弘美の作品が新たに2冊刊行され、小川洋子『密やかな結晶』の英訳が全米図書賞翻訳文学部門の最終候補になり、つい先日ブッカー国際賞候補にも選ばれた。 2020年もこの勢いは止まりそうにない。日本の女性作家による小説の英訳が毎月のように刊行される予定だ。2月にはイギリスで松田青子『おばちゃんたちのいるところ』が独立系の出版社ティルティッド・アクシス・プレスから刊行され、ガーディアン紙で「驚くべき」作品だと評された。 川上未映子『夏物語』の英訳は4月から5月にかけて英米などで刊行される予定だが、2017年に村上春樹が『夏物語』へとアップデートされた『乳と卵』を「breathtaking(息を呑むほどに見事)」と絶賛した記事が文芸サイト「Literary Hub」に掲載されたのをきっかけに期待感が高まり、2019年12月にヴォーグ誌の「2020年に読みたい41冊」の一冊に、刊行を2週間後に控えた今年3月下旬にはニューヨーク・タイムズ紙の「4月に読みたい7冊」に選ばれた。 夏から冬にかけては、8月に川上弘美『このあたりの人たち』、10月に村田沙耶香『地球星人』、11月には津村記久子『この世にたやすい仕事はない』や小山田浩子『穴』の刊行が予定されている。また、2021年には中島京子の短編集、今村夏子の『むらさきのスカートの女』。川上弘美『大きな鳥にさらわれないように』などの英訳も出ることが決まっている。この日本の女性作家が英語圏での躍進について、その立役者である翻訳家たちにメールで話を聞いてみた。 <英米の出版業界の関心> 川上未映子や小山田浩子の作品を訳しているデイヴィッド・ボイドは、日本の女性作家による作品の英語圏における需要の「変化は明白だ」と言う。数年前まではアメリカの編集者の日本の女性作家に対する関心はそこまで高くなかった。それがここ数年の間に「何人かの編集者に(男性よりも)女性の作品を出したいとはっきりと言われる」経験をした。 川上弘美や西加奈子の作品を訳しているアリソン・マーキン・パウェルも変化が見えてきたのはここ数年だと指摘する。オープン・レター(翻訳文学専門の出版社)が管理していたデータベースを用いて、2012年から2017年にかけての日本人作家の英訳の年間出版点数を調べてみたところ、男性による作品が圧倒的に多かったと言う。「平均で(女性による作品が)26%。10対1の年もあった」。 村田沙耶香や中島京子などの作品を訳しているジニー・タプリー・竹森も、英訳されている女性作家の作品は増えている実感があると言う。同時に「今でも数字だけ見ると男性作家の方が多い」と指摘する。前述のデータベースを調べると、2019年に日本語から英訳された作品は、「男性作家の作品が24点、女性作家の作品が17点」。ただし、これはアメリカだけの数字で、男性作家による作品の多くは漫画やライトノベルであるとも捕捉する。いわゆる「リテラリー・フィクション」については、女性作家による作品の方が多い。以前に読んだ『献灯使』です【献灯使】多和田葉子著、講談社、2014年刊<「BOOK」データベース>より鎖国を続ける「日本」では老人は百歳を過ぎても健康で、子供たちは学校まで歩く体力もないー子供たちに託された“希望の灯”とは?未曾有の“超現実”近未来小説集。<読む前の大使寸評>腰巻には「デストピア文学の傑作!」とあり、5編の短篇集となっています。期待できそうやでぇ♪<図書館予約:(12/09予約、10/13受取)>rakuten献灯使『献灯使』4:国際海賊団、言語の輸出入『献灯使』3:日本の鎖国『献灯使』2:ナウマン像『献灯使』1:冒頭の語り口
2020.05.23
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ネットを巡っていて、「マハの展示室」というサイトに原田マハ著「喝采」のメールインタビューなるものを見つけたので紹介します。小説「喝采」メールインタビュー Vol. 1より小説「喝采」メールインタビュー vol. 12020.04.1918日間連続で原田マハ公式Twitter、「マハの展示室」公式instagramで配信された小説「喝采」。4月16日に最終回を迎え、「マハの展示室」で一挙公開したばかりの本作について、マハさんにメールインタビューを敢行しました。 Q:SNSを通じて18日間連続小説「喝采」を連載しようと思った経緯は、なんでしょうか? 作中の私=マハさん、と受け取ることができ、私小説のように感じましたが、いまのマハさんの思いをTwitterで吐露するのではなく、小説の形をとられたのはなぜですか? 私はパリに拠点を持ち、普段から東京とパリを頻繁に行き来しています。行けばいつでも素晴らしい展覧会をやっていて、存分に取材もできる。そうやってこの5、6年はパリを舞台にしたアート小説を次々に書いてきました。 今回もルーヴル美術館でレオナルド・ダ・ヴィンチの没後500年を記念した今までにない大規模な展覧会を開催していて、その最終日(2月24日)に滑り込むようにしてパリ入りしました。ものすごい人出と熱気で、今思えば「三密」すべてが揃っていました。フランス人やイタリア人と顔をくっつけあうようにして展示を見ましたが、アジア人はなんと私だけでした。その頃、新型コロナウィルスが中国で猛威をふるい、日本でも豪華客船でクラスターが起きて問題になり始めていました。パリでは全く危機感ゼロで、パンデミックなんて遠い国の出来事。3週間後にこの街がロックダウンするなんて言ったら変人扱いされたでしょう。でも私は、ダ・ヴィンチ展にアジア人が全くいないことがかえって不気味でした。あれほどまでに街中に溢れかえっていたアジア人観光客がすっかりいなくなったこの状況は、よほど深刻なんじゃないかと。 それからほどなくして、イタリアで感染者が増え始め、3月の第1週にはフランスでもニュースで連日取り上げられるようになりました。ふと、この先美術館が閉鎖される予感がして、2月の最終日にルーヴルへ出向き、10年前に私が館内でみつけた「ルーヴルの最古の収蔵品」であるメソポタミアの壺を呼ばれるようにして見に行って、インスタグラムにアップしました。すると翌日に本当にルーヴルが閉鎖されたのです。これはただ事ではないと思いました。 結局、その2週間後にロックダウンが実施され、私は偶然にも歴史的事件の当事者かつ目撃者という立場に自分がいるということに気がついたのです。『暗幕のゲルニカ』や『美しき愚かものたちのタブロー』でも書きましたが、1940年にナチス・ドイツによるフランス侵攻とパリ占領という歴史的瞬間がありました。まさにそれに匹敵する瞬間に立ち会っていると気づいた時、私は自分ができる方法で、このことを記録に残したいと思い、リアルタイムで小説を書こうと思い立ちました。ツイッターにコメントを投稿することも考えましたが、SNSは即効性があるものの流れて消えていくメディアです。留まらないのがいいわけで、そこは小説との大きな違いです。私は目の前の現実を、いち書き手として、また歴史のいち証言者として残したいと思ったのです。 今、カミュの『ペスト』が世界中で読み返されているということですが、まさにそういうことです。今この瞬間を読者と共有すると同時に、コロナ後の時代へのメッセージとして残したい。それが「喝采」を書き始める一番のモチベーションでした。Q:それほど遠くないタイミングで最終回がくるとわかっていも、毎日、どんな内容の配信があるのかとても気になりました。読者の方の多くは、ロックダウン中のパリにいるマハさんのことを、とても心配されていたと思います。 18日間という限定された日数に連載期間を定めた理由は、投稿を始める前日の3月29日の序文に明示しました。 3月29日、日本の感染者1827名。フランス37575名。 18日前、フランスの感染者数は1784名だった。 つまり、その日の時点で、日本の感染者数は18日前(3月11日)のフランスとほぼ同じ。3月11日のフランスでは、ロックダウンなど誰も想像できなかった。ということは、日本でも何かしら早急に手を打たないと、18日後にはフランスのようになっている可能性がある。その事実に警鐘を鳴らしたかったのです。「喝采」を書こうと決めた3月29日は、「キネマの神様」の映画化で主演が決まっていた志村けんさんの訃報がもたらされた日であり、私が最終的に帰国を決意した日でもありました。正直、18日後に自分がどうなっているかまったくわかりませんでした。本当に帰国できているのか。帰国後の検査で陽性だったらどうなるのか。帰国者への心ない態度もニュースになっていました。不安もあり、怖くもあった。それでも一縷の望みを18日間の連載に託しました。この18日間に、日本がいい方向へ舵を切り、伝染を封じ込める策が講じられ、私たち皆がこのウィルスの恐ろしさを理解して、協力できているように。 たちまち封じ込めに成功しているとは考えにくかったですが、私たちがぎりぎりのタイミングで気づきを得ている可能性はあると信じていました。そして実際、多くの日本人は、この追い詰められた状況の中で自分たちがどうすればいいか理解し、連帯して足並みを揃えようとしていると感じます。今では街なかでほぼ全員マスクをしているし、対人接触率を7割、8割に抑え込めている人も少なからずいると聞きます。そして3月29日から18日後の4月17日、日本の感染者数は9220人。18日前の約5倍です。増えてはいますが、フランスと比べると信じがたいほど少ない。フランスでは3月11日の18日後、感染者数は実に21倍に膨れ上がっていました。この差が一体なんなのかわかりませんが、日本人の意識の持ち方と生真面目さ、もともと備わっていた公衆衛生のエチケットなど、欧米人との違いは大いにあります。そのことをDay 17 で書きました。「人前で喋らない。それが日本人の強さだ」と。人前で喋らない、すなわち対面しながら唾液の飛沫を散らさないということです。欧米ではそうはいかない。彼らは声高に話してコニュニケーションし、自己主張することをよしとしています。それに比べて日本人は主張しない、おとなしいと言われてきました。なぜ言いたいことを言わないのかと。普通の時なら確かにそれは日本人の弱さかもしれません。ところが、今回のパンデミックでは、むしろそれが「強さ」に転じたのだと気づかされました。 あらためて日本と欧米の文化や習慣の相違を見つめ直してみると、日本人には「公衆の面前」とか「人前」という意識、「恥」の文化があります。その感覚が欧米人と比べて相当強い。あくまでも私見ですが、それが今回のパンデミックでは有利に働いているのではないかと感じています。 読者の皆さんには「マハさんはパリから帰ってこられるんだろうか」とずいぶん心配をおかけしてしまいました。小説という形式を取っていたので、帰ってきているというオチを明かすわけにはいかず、心苦しかったです。一方で、たくさんの応援をリアルタイムでいただき、本当に嬉しく思いました。
2020.05.23
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図書館の本を手当たり次第に、借りている大使であるが・・・・なんか慌しいので、この際、積読状態の蔵書を再読しようと思い立ったのです。で、再読シリーズとして、以下のとおりボツボツ取り上げてみます。・#40: 日本人はなぜ存在するか・#39: 「空気」の研究・#38: 街場の大阪論・#37: 韓国 反日感情の正体・#36: トウ小平・#35: 日本語と韓国語・#34: ソウルの練習問題・#33: 『「日本」とは何か』日本の歴史00巻・#32:「王権誕生」日本の歴史第2巻・#31:新・韓国風土記(第一巻)・#30:グ印関西めぐり(濃口)・#29:リドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16・#28:日韓 悲劇の探層・#27:日本人と韓国人なるほど辞典・#26:街場の文体論・#25:書いて稼ぐ技術・#24:「無法」中国との戦い方・#23:資本主義の終焉と歴史の危機・#22:村上春樹ロングインタビュー・#21:日本人はなぜ存在するか・#20:兼好法師『徒然草』 (100分 de 名著)・#19:世界マンガ体系・#18:南画と写生画・#17:ホンモノの日本語を話していますか?・#16:ストレスゼロの整理術・#15:里山資本主義<再読候補>・ノモンハン・播磨国風土記・情報の「捨て方」・老人力のふしぎ・夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです*********************************************************【日本人はなぜ存在するか】與那覇潤著、集英社インターナショナル、2013年刊<「BOOK」データベース>より日本人は、日本民族は、日本史はどのように作られた?教養科目の人気講義が一冊の本に!【目次】1 入門編ー日本人論を考える(「日本人」は存在するか/「日本史」はなぜ間違えるか/「日本国籍」に根拠はあるか/「日本民族」とは誰のことか/「日本文化」は日本風か)/2 発展編ー日本人論で考える(「世界」は日本をどう見てきたか/「ジャパニメーション」は鳥獣戯画か/「物語」を信じられるか/「人間」の範囲はどこまでか/「正義」は定義できるか)<読む前の大使寸評>與那覇先生の日本人論とあれば、読まないといけないでしょうね♪rakuten日本人はなぜ存在するか『日本人はなぜ存在するか』1:比較文学p106~108*********************************************************【「空気」の研究】山本七平著、文藝春秋 、1983年刊<内容紹介>より超えて日本人を支配する「空気」及びそれに呼応して勢力を振るう「水」の如き怪物「通常性」の正体をあばきつつ独自の論証を自在に展開する。<大使寸評>買ったのは2013年だが、第1刷出版は1983年となっています。とにかく、この本を読んでいないと話にならないほどの名著なんでしょうね。rakuten「空気」の研究『「空気」の研究』*********************************************************【街場の大阪論】江弘毅著、新潮社、2010年刊<「BOOK」データベース>よりスタバはないがお好み焼き屋があり、缶ビールを24時間売っているコンビニはないが朝からやってる立ち呑み屋があり、ヤクザが徘徊し、おばはんの立ち話が続く。そんな「大阪の街場」のリアルなコミュニティと、そこで生きていくおもしろさを、岸和田に生まれ育ち、関西有数の雑誌の名物編集長だった著者が、ラテンのノリで語る。大笑いしながら考えさせられる大阪発スーパーエッセイ。 <大使寸評>著者の江弘毅という人、内田先生のお友達でもあるが…岸和田で生まれ育ち、雑誌「ミーツ・リージョナル」の創刊に関わり12年間編集長を務めたそうです。「カーネーション」の世界で育ち、ベタな大阪を描いてるでぇ♪Amazon街場の大阪論『街場の大阪論』2:神戸の下町の焼き肉屋*********************************************************【韓国 反日感情の正体】 黒田勝弘著、角川学芸出版、2013年刊<「BOOK」データベースより>ではなぜメディアや政治は執拗かつ極端な反日行動をとるのか?対日行動の真実を在韓30年の日本人記者が緊急レポート。【目次】第1章 反日無罪の系譜/第2章 壮大な虚構としての慰安婦問題/第3章 竹島は取り戻せるか?/第4章 反日の効用/第5章 反日はなぜ生まれたのか?/第6章 韓国人の歴史観は面白い/第7章 日本隠しとウリジナル主義/第8章 日本人が次々と“極右”に?/第9章 たかがビビンバ、されどビビンバ/第10章 東日本大震災の親日・反日/第11章 韓国の反日と中国の反日/第12章 韓国の中の日本ー統一教会と創価学会<大使寸評>私が知っている(穏やかな)韓国ウォッチャーとしては、黒田勝弘、戸田郁子、関川夏央、重村智計、呉善花あたりになるわけで・・・これら諸氏のご意見を聞きながら、韓国とは着かず離れず接していくしかないようです。rakuten韓国 反日感情の正体『韓国 反日感情の正体』1:韓国における親日タブー『韓国 反日感情の正体』2:反日メディア*****************************************************************************【トウ小平】エズラ・ヴォーゲル×橋爪大三郎著、講談社、2015年刊<商品説明>より トウ小平は、中国の方向をどのように転換させたのか。強大な経済力・政治力パワーをもつに至った中国の基礎をどのように築いたのか。「現代中国の父 トウ小平」の著者が、トウ小平の生涯と業績の大事なポイントを語る。【「TRC MARC」の商品解説】「トウ小平は、20世紀後半から21世紀にかけての世界史にとって、もっとも重要な人物だ」――橋爪大三郎「いま中国は相当強くなった。10年か20年で、GDPは世界のトップになるだろう。これがどうして可能になったかというと、トウ小平の開いた道なわけです。あれほど経験があって、権威があって、あらゆる面の実力を兼ねそなえている人は、いない」「このインタヴューは短いけれど、トウ小平の生涯と業績の大事なポイントをすべて盛り込むものになった」――ヴォーゲル<読む前の大使寸評>エズラ・ヴォーゲルに橋爪大三郎が質問するという対談形式の本である。日米の英知が中国の巨大政治家を語るという企画が…ええでぇ♪hontoトウ小平エズラ・ヴォーゲル『トウ小平』1:指導者の交替p138~140『トウ小平』2:改革開放p154~160『トウ小平』3:革命よりも改革p164~168、流血の天安門p214~218『トウ小平』4:中国共産党の病理p231~234、習近平は、実力者p248~250『トウ小平』5:フランス留学p41~43『トウ小平』6:中国に戻ったトウ小平と共産党p48~51『トウ小平』7:中国共産党と日本の自民党p168~170*****************************************************************************【日本語と韓国語】大野敏明著、文藝春秋、2002年刊<「BOOK」データベースより>二千年の交流関係をもつ日韓両国には同じことばが少なくない。むかしから共通だった固有語(たとえばカマ)、近代に生み出された漢字語(たとえばヤクソク)、日本統治時代に残してきたことば(たとえばワリバシ)、そして近年、韓国から流入して日本に定着したことば(たとえばキムチ)。その一方、韓国に行って安易に「朝鮮」ということばを使うと、とんでもない目にあいかねない。なぜ南は「朝鮮」を忌避し、北は「朝鮮」に固執するのか。そこには、十九世紀末から二十世紀初頭にかけて存在した「大韓帝国」に対する認識の差があった…。日本と韓国の同質性と異質性をことばを通して、多角的にあぶりだす。 <大使寸評>図書館の本を手当たり次第に、借りている大使であるが・・・・なんか慌しいので、この際、積読状態の蔵書を再読しようと思い立ったのです。Amazon日本語と韓国語『日本語と韓国語』2:韓国演歌「カスマプゲ」p44~46『日本語と韓国語』1:儒教民族の先祖p82~85*****************************************************************************【ソウルの練習問題】関川 夏央著、情報センター出版局、1984年刊<内容説明より>屹立する高層ビル群を背景に、広い高速道路をマラソンランナーが駆け抜ける―ソウル五輪は現代韓国の一面を鮮やかに伝えてくれた。しかし韓国で暮らす人々について、我々は何を知っているだろう?ハングルの迷路を旅して、出会う人々と語り合い、彼らの温もりと厳しさを拾い集めた瑞々しいルポルタージュ。韓国社会のフィールドワークとして一時代を画した名著<大使寸評>父の蔵書を継ぐものであるが、韓流ブーム以前の韓国を見る著者の目は異文化を透視しています。Amazonソウルの練習問題『ソウルの練習問題』1:「ヨォ」という終助詞p34~36*****************************************************************************【「日本」とは何か 日本の歴史00巻】 網野善彦著、講談社、2000年刊<Amazon紹介>より日本中世史に新たな地平を拓いてきた網野善彦が、編集委員として参加している全26巻の日本通史「日本の歴史」の第00巻として著した日本論である。 これまで自明なこととして扱われていた「日本」の起源と地理的範囲、日本列島に限定されていた縄文文化や弥生文化を、北方アジアや朝鮮半島との関係から見直し、基本的用語を問い直す必要があるというのである。また、主従関係、貨幣制度、差別意識などの地域的相違を明らかにすることで、「均質な日本人」という常識の盲点を指摘している。さらに、記紀神話の豊葦原瑞穂国から、班田収受や公地公民といった律令制度、中世の荘園、江戸時代の士農工商制度、明治の地租改正、戦後の農地改革に至る土地所有制度の変遷をたどることによって、日本は農民中心の農耕社会とする従来の日本社会史に疑問を投げかけている。 有史以来、日本列島は北方アジア、朝鮮半島、琉球列島、中国大陸とダイナミックな交流があり、列島内部でも活発な地域間交流があったことが、現在の「日本」を形づくっているとする。 網野史観の全体像を1冊にまとめた格好の入門書といえる。(堤 昌司) <大使寸評>父の蔵書を引きつぐものであるが、2000年刊行と比較的新しい本であり、「日本人論」では欠くべからざる本であったのが嬉しい♪Amazon「日本」とは何か 日本の歴史00巻『「日本」とは何か 日本の歴史00巻』1:倭寇登場p85~88『「日本」とは何か 日本の歴史00巻』2:長良川あたりが東国と西国の境界p156~157*****************************************************************************【「王権誕生」日本の歴史第2巻】 寺沢薫著、講談社、2000年刊<「BOOK」データベース>より水稲は、列島をどのように変えたのか。なぜ、戦争が始まったのか。群雄割拠した国々は、いかに統合され、王権成立へと至ったのか。そのとき卑弥呼はどこにいたのか。最新の考古学が古代の謎を解く。<大使寸評>この本は父親の蔵書を継ぐものであるが・・・水稲は、列島をどのように変えたのか。なぜ、戦争が始まったのかと、とにかく読みどころが多いのである。Amazon「王権誕生」日本の歴史第2巻『「王権誕生」日本の歴史第2巻』4:エピローグp348~349『「王権誕生」日本の歴史第2巻』3:戦争のはじまりp126~128『「王権誕生」日本の歴史第2巻』2:水稲農耕の伝来p50~51『「王権誕生」日本の歴史第2巻』1:水稲農耕の伝来p44~48*****************************************************************************再読シリーズ(#1-4)再読シリーズ(#5-8)再読シリーズ(#9-11)再読シリーズ(#12-14)再読シリーズ(#15-17)再読シリーズ(#18-20)再読シリーズ(#21-23)再読シリーズ(#24-26)再読シリーズ(#27-29)再読シリーズ(#30-32)再読シリーズ(#33-34)再読シリーズ(#35-37)
2020.05.22
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図書館の本を手当たり次第に、借りている大使であるが・・・・なんか慌しいので、この際、積読状態の蔵書を再読しようと思い立ったのです。なにしろ、コロナウィルス対応の自粛で読む本に事欠いてきたので、再読にいそしんでおります。【街場の大阪論】江弘毅著、新潮社、2010年刊<「BOOK」データベース>よりスタバはないがお好み焼き屋があり、缶ビールを24時間売っているコンビニはないが朝からやってる立ち呑み屋があり、ヤクザが徘徊し、おばはんの立ち話が続く。そんな「大阪の街場」のリアルなコミュニティと、そこで生きていくおもしろさを、岸和田に生まれ育ち、関西有数の雑誌の名物編集長だった著者が、ラテンのノリで語る。大笑いしながら考えさせられる大阪発スーパーエッセイ。 <大使寸評>著者の江弘毅という人、内田先生のお友達でもあるが…岸和田で生まれ育ち、雑誌「ミーツ・リージョナル」の創刊に関わり12年間編集長を務めたそうです。「カーネーション」の世界で育ち、ベタな大阪を描いてるでぇ♪Amazon街場の大阪論神戸の下町の焼き肉屋を、見てみましょう。p77~79 <なぜ若い奴らは飲まなくなったか> 先日は神戸の下町の焼き肉屋へ行くことがあった。焼き肉屋へ行くと必ずビールを飲む。いや生レバーとかタン刺しには断然焼酎や。というように、「塩タンうまい→ビールテッチャンうまい→ビールまたうまい→カルビうまい→ビールまたまたうまい」の繰り返しで、その間にキムチと白飯をはさんだりするのが普通である。 しかし、おっさんの二人連れや在日コリアンの家族連れが主要客の正しき神戸の街場の焼肉屋でその日見かけたのは、仕事帰りのアパレル業界風三人連れの20代(たぶん)女子だった。 わたしは街での長い経験上、アパレル業界、特に肉体労働の割合が多い接客商売のショップスタッフたちが焼肉体質であることを知っている。 まだクソ暑い九月末なのに早くも秋冬物を着たその日の三人連れも、「おお、このコらええ店知ってるなあ」と観客のわたしを唸らせた上で、さらに「塩タンと上ハラミ一つずつとテッチャン二つ」「生レバーもいっとく?」「いこいこ」で、こいつら若い娘やのにしっぶい注文やなあ、とさらに唸らせたのであるが、「わたしウーロン茶でええわ」で、三人とも飲まない。 生レバーに茶はおいしないやろ、テッチャンも茶ではあいそないやろ、とわたしは強く思うのだが、彼女たちは平然とわいわいやりながら肉を食べているのだった。 また、ある土曜日。元町駅山側にある深夜の博多ラーメン屋は夜遊び青年団で賑わっていた。わたしはこの店の柚子コショウをつける餃子が好きで、一人の時はいっつも餃子と豚骨ラーメン麺硬めとビールを注文して、タダの高菜の漬物と餃子でまず一本。調子が良かったらラーメンで二本目ということになる。 グループで行くときはとりあえずビールであり、ラーメンを注文しないヤツはたまにいるが、席に着くやいなや「りあえずビール二本ね」が常である。そのビールはおいしいときもあるし、まずいときもある。 その夜は大きなテーブル席もカウンターもほぼ満員だった。しかしながら見事にビール瓶が見えない。ニットキャップとピアス&タトゥー少年の「たむろってる」五人グループも、深夜に博多ラーメンのカップルも、ラーメンや餃子に明太子ご飯とテーブルを散らかせているが飲んではいない。 10年ほど前まではほとんど逆で、若い衆は街場の居酒屋では一気飲みをやっていたり、バーで洋酒を飲み過ぎて吐いてたり、それこそ「なんちゅう飲み方をしてんねん」ということが多々あった。こういうのは街の酒飲みの若い頃には当たり前のことで、その酒の上での「からむ、喧嘩する、泣く、吐く、寝る、倒れる・・・」はみんなが経験してきたものだ。「ワインを飲むといっつも寝てしまう」というお好み焼き屋の大将は、そんな話をしながら「この頃の若い子は、かしこなったからなあ」と言っている。「かしこなった」というのは多分にネガティブで、「酒に余計な金を使わない」ことや「飲んで酔っぱらってるのを人に見せたくない」ということであろうという話に落ち着く。
2020.05.22
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図書館の本を手当たり次第に、借りている大使であるが・・・・なんか慌しいので、この際、積読状態の蔵書を再読しようと思い立ったのです。 この本を読むのは2度目であることに後で気付いたけど、前回の読み方が杜撰だったのか、それともボケが始まったのか(笑)【日本人と韓国人なるほど辞典】コリアンワークス著、PHP研究所、2002年刊<「BOOK」データベースより>2002年にはW杯サッカーも開催され、ますます交流が活発になる日本と韓国。おたがいの理解をもっと深めるために、文化や生活習慣の微妙な違いに注目してみました。「すぐに謝る日本人、謝らない韓国人」「ワリカンが多い日本人、一人が払う韓国人」「食器を手に持つ日本のマナー、テーブルに置いたままの韓国のマナー」など、思わず人に話したくなる意外な知識や情報を満載。<大使寸評> この本を読むのは2度目であることに後で気付いたけど、前回の読み方が杜撰だったのか、それともボケが始まったのか(笑)Amazon日本人と韓国人なるほど辞典釜山スタイルのテジクッパ太子の好物といえばテジクッパということで、そのあたりを見てみましょう。p50~52より<ご飯に汁をかける日本の猫まんま、汁にご飯を漬ける韓国のクッパ> 日本で韓国料理といえば、何をおいても焼き肉である。最近では韓国家庭料理も注目されているが、まだまだ焼き肉の圧倒的シェアは変わらない。 ところで、日本の焼き肉店に行くと、肉料理以外にも韓国料理のメニューが並んでいる。そこでの代表格は、もちろんピビンパとクッパだろう。焼き肉はむしろ日本ナイズされた韓国料理だから、この二つこそ日本人に最も馴染み深い正統な韓国料理だといっていい。 しかし日本では二大メニューとされるピビンパとクッパも、本場での扱いは両極端だ。例えば全州の石焼きピビンパは、国の無形文化財に指定されるほどの人気料理。これに対して、クッパが特に注目されることはまずない。中には「あんなものは料理じゃない」と言い切る専門家までいる。 韓国料理の歴史を振り返っても、クッパが料理の一ジャンルとして数えられるようになったのは19世紀中頃のこと。それ以前からクッパは存在したのだが、やはり料理として認められてはいなかかったのである。 クッパが冷遇される背景には、韓国独自の食事作法がある。コメが主食の韓国人は、日本人と同様「おかずでご飯を食べる」民族だ。一方、韓国の日常的なおかずはチゲなどの汁物が圧倒的多数。そこで彼らは、汁物の器にご飯を放り込んで食べる習慣を生み出した。つまりなんでも即席クッパにしてしまうのだ。 韓国の食堂のメニューに「~クッパ」と書かれていても、頼んでみたら汁物とご飯が別々に出てくることがよくある。客がご飯を放り込めば、それでクッパが完成するからだ。しかし最初から別々に頼んだとしても、みんな最後は混ぜて食べるから結果は同じ。こうなると、確かにクッパが料理として存在する意味は乏しい。日本では雑炊の一種と理解する向きも多いが、韓国料理ではお粥がちゃんと一ジャンルを確立している。 分かりやすくいえば、「クッパとは料理ではなくものの食べ方、調理法にすぎない」というのが、「クッパは料理にあらず」派(?)の主張なのである。 韓国では日陰者のクッパが日本でこれほど広まったのは、やはり食事作法の違いが原因だろう。日本でもご飯に味噌汁をかける習慣はあるが、もちろんインフォーマルな食べ方。隠れファンはかなりの数に上るが、「猫まんま」と蔑まれるのでカムアウトしづらい。 韓国で長く暮らす日本人でも、汁物にご飯を放り込む習慣にだけは馴染めないという人が少なからずいる。日本人にとって唯一の例外は鍋の残り汁で作る雑炊だが、これには「さあ雑炊を始めるぞ」という一同のコンセンサスが必用だ。自分の取り皿で勝手にやり始めたら、なぜかフライングと見なされる。 とはいうものの、「ぶっかけメシ」は美味い。豚汁も別々に食べるより、ご飯を放り込んだ方が美味いと断言できる。だが長年染みついた日本の食習慣を曲げるのは容易でない。そこへ登場した焼き肉屋のクッパが、タブーを気にせず食べられる「ぶっかけメシ」として歓迎されたのではないだろうか。 ただし韓国にも、クッパの名物料理は一応ある。例えば食の本場・全州のコンナムルクッパは、食通の間でつとに有名だ。コンナムルとは韓国語でモヤシのこと。つまりただのモヤシクッパなのだが、素朴な滋味の奥深さに驚かされる逸品だ。また釜山んどでは、トンコツ仕立てのテジクッパの専門店が軒を連ねている。こちらは白濁した濃厚なスープに、ゴム草履サイズのブタ肉が何枚も入った豪快な名物料理だ。 だがこれらも「確かにスープは名物だろうけど、やっぱりクッパは食べ方にすぎないじゃん」と言われればそれまでだ。ま、美味を前に堅苦しく考えるのはしばしストップ、黙って箸をつけましょう・・・あ、スープものには匙をつけるのが韓国の正しい作法でした。韓国料理の思い出といえば・・・太子の場合、青唐辛子とテジクッパになるわけで、韓国の生野菜でそのあたりを紹介します。
2020.05.21
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図書館の本を手当たり次第に、借りている大使であるが・・・・なんか慌しいので、この際、積読状態の蔵書を再読しようと思い立ったのです。買ったのは2013年だが、第1刷出版は1983年となっています。とにかく、この本を読んでいないと話にならないほどの名著なんでしょうね。【「空気」の研究】山本七平著、文藝春秋 、1983年刊<内容紹介>より超えて日本人を支配する「空気」及びそれに呼応して勢力を振るう「水」の如き怪物「通常性」の正体をあばきつつ独自の論証を自在に展開する。<大使寸評>買ったのは2013年だが、第1刷出版は1983年となっています。とにかく、この本を読んでいないと話にならないほどの名著なんでしょうね。rakuten「空気」の研究この本は三つの章立てとなっているのだが、先ず『「空気」の研究』を見てみましょう。p56~59 <五> “空気”の存在しない国はないのであって、問題は、その“空気”の支配を許すか許さないか、許さないとすればそれにどう対処するか、にあるだけである。従ってこの“KUKI”とは、プネウマ、ルーア、またはアニマに相当するものといえば、ほぼ理解されるのではないかと思う。 これらの言語は古代の文献には至る所に顔を出す。もちろん旧新約聖書にも出て来ており、意味はおぼ同じ、ルーア(ヘブライ語)の訳語がプネウマ(ギリシャ語)でそのまた訳語がアニマ(ラテン語)という関係にもなっており、このアニマから出た言葉がアニミズム(仏神論?)で、日本では通常これらの言葉を「霊」と訳している。 しかし原意は、希英事典をひけば明らかのようにwind(風)、air(空気)である。「霊」という日本語訳聖書の訳語は明治のあじめの中国語訳聖書からの流用(?)だと思われるが、中国語の「霊」には、日本語の幽霊の「霊」のような意味合いはないそうで、その場合には「鬼」を使うそうである。 訳語というのは全くむずかしいものだと思う。聖書のさまざまな試訳には、この語を「風」とか「霊」とかのルビつきで訳しているものもあるが、このことが、この言葉の翻訳のむずかしさを示しているであろう。 原意は「風・空気」だが、古代人はこれを息・呼吸・気・精・人のたましい・精神・非物質的存在・精神的対象等の意味にも使った。また言霊の“たま”に似た使い方もある。そしてそれらの意味を全部含めて原文を読むと、ちょうどわれわれが「あの場の空気では・・・」という場合の“空気”のように人びとを拘束してしまう、目に見えぬ何らかの「力」乃至は「呪縛」、いわば「人格的な能力をもって人びとを支配してしまうが、その実体は風のように捉えがたいもの」の意味にも使われている。従って私はそういう用法での原意はほぼ“空気”と思っている。 人が、宗教的狂乱状態いわばエクスタシーに陥る、またブームによって集団的な異常状態を現出するのは、この空気の沸騰状態によるとされている。こういう記事の文脈のプネウマにその原意通りの空気を“空気”の意味であてはめて行くと、それはもはや古代の記述とは思えぬほどの現実味をおびてくる。彼らも、この非常に奇妙な「空気の支配」なるものが、現に存在することを知っていた。
2020.05.21
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映画パンフレットは数多く集めた大使であるが、映画関連の本は意外に持っていなかったのです。このたび古書を購入したりして3冊(現在は6冊)になったので、蔵書録に「映画関連の本」という項目を設けたのです。新刊を買ったゴダール(1969年)の他は、古書または図書館放出本ばかりで・・・太子のフトコロ事情が表れているなあ。・キネマ旬報(2015年12月下旬号)(2015年)・リドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16(2001年)・黒澤明の世界(1998年)・映画でボクが勉強したこと(1993年)・映画渡世・地の巻―マキノ雅弘自伝(1977年)・ゴダール(1969年)R3:「映画渡世・地の巻―マキノ雅弘自伝」を追加*************************************************************************【キネマ旬報(2015年12月下旬号)】雑誌、キネマ旬報社、2015年刊<商品の説明>より「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」2012年10月30日、ウォルト・ディズニー社がルーカスフィルムを買収、完結したはずの「スター・ウォーズ」シリーズを再開し、2015年に公開すると発表した。世界を震撼させた世紀の買収劇から3年余り。小出しに「スター・ウォーズ」新作のニュースが発表されるたび、さまざまな憶測が生まれた。旧三部作から30年後の世界を描く「フォースの覚醒」。果たして、どんな新しいドラマが生まれるのか。<読む前の大使寸評>女主人公レイ、それから不良老人のハン・ソロ、チューバッカが登場する「フォースの覚醒」はわりとお気に入りの一作でおます。図書館放出、いわゆる「リサイクル図書」で、この雑誌をゲットしたのです♪Amazonキネマ旬報(2015年12月下旬号)【リドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16】風間賢二編、キネマ旬報社、2001年刊<「MARC」データベース>より「エイリアン」の大ヒット、そして次に続く「ブレードランナー」で多くのファンを獲得したリドリー・スコット。光と影の魔術師といわれる彼の映画手腕を様々な角度から検証する。<大使寸評>この本の紹介記事を書いていたが…読みどころが多いし、Amazonの古本が格安だったので、早速注文したのです。Amazonリドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16リドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16byドングリ【黒澤明の世界】ムック、毎日新聞社、1998年刊<「MARC」データベース>より映画のカットや、撮影現場の写真、スタッフ、出演者等の裏話、スピルバーグや淀川長治らのメッセージなどを交えながら、黒沢明の仕事を年代順に整理し、作品の魅力、また監督の人物像を立体的に追う。<大使寸評>このムック本を2016年4月のひょうご大古本市で500円で買ったが、お買い得やで♪Amazon黒澤明の世界【映画でボクが勉強したこと】清水義範著、毎日新聞社、1993年刊<「BOOK」データベース>より感動を教わり、愛を教わり、ユーモアを教わり、こんな風に生きたいものだと、人生までも教わった。名作も面白い、駄作もおもしろい、珍品ももちろんオモシロイ。映画への愛と感謝と、清水義範という人ならではの発見に満ちた、オールタイム・映画エッセー。<大使寸評>1993年発刊時の定価が1300円で、この店の売値が500円なら格安ではないか…ということで買い求めたのです。ところで、この本の挿絵を南伸坊が描いているのだが・・・素晴らしい出来でおます♪amazon映画でボクが勉強したこと【映画渡世・地の巻―マキノ雅弘自伝 】 マキノ雅弘著、平凡社、1977年刊<「BOOK」データベースより>東宝の『次郎長三国志』シリーズから東映の『日本侠客伝』シリーズへと、“任侠映画”ブームをつくったマキノ雅弘(正博)。“日本映画の父”マキノ省三の長男として生れ、『浪人街第一話・美しき獲物』『崇禅寺馬場』『蹴合鶏』、そして『首の座』と、いわゆるベストテン映画の監督として華々しいスタートを飾りながら、その後は職人監督に徹してひたすら映画という渡世の底辺に生きて来たのは、何故か―。怒濤の青春遊侠篇を描く前篇「天の巻」に次いで、本書「地の巻」では、戦中・戦後の混乱期から、新しい映像革命の可能性に挑みつつある現在までの風雲残侠篇を描く。<大使寸評>この本を入手した経緯を覚えていないのだが、たぶん古書店か大学学園祭のバザーかなんかだったのでしょう。とにかく、やや娯楽路線ではあるが、マキノさん案内で昔の映画を見てみましょう。amazon映画渡世・地の巻―マキノ雅弘自伝 【ゴダール】朝日新聞社編、朝日新聞社、1969年刊<「BOOK」データベース>より古書につき、データなし<大使寸評>「現代のシネマ」シリーズの第1巻となっています。当時の当代随一の洋画監督という扱いなんでしょうね。この本は、刊行時に自分で買ったものです。natsumeゴダールなお、集めた映画パンフレットは12 映画パンフリストを笑覧ください。
2020.05.20
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早朝に散歩する太子であるが、南東の空に月と金星が見えるのです。ちょうど三日月の内側に金星が位置しているが、これって中東諸国が好むマークではないか。また、このマークは春分と関係があるのではないか?このところ宇宙や占星術の記事を見たり、書いたりしているが『日本のならわしとしきたり』という蔵書に二十四節季の記事があることを思い出したのです。【日本のならわしとしきたり】ムック、 徳間書店、2012年刊<内容紹介>ありふれたムック本ということなのか、ネットにはデータがありません。<大使寸評>とにかく「今日は七十二候でいえば、何になるか♪」を知りたいロボジーにとって、座右の書となるでしょう♪Amazon日本のならわしとしきたりこの本で、立夏のあたりを見てみましょう。和暦p13~14<立夏>空に幟、目には青葉若葉、風は緑の薫風 現行の暦(太陽暦)では、例年5月5日~6日ころが立夏となる。この日から立秋(8月7日ころ)の前日までが「夏」であり、俳句では、立夏から立秋の前日までの期間は夏の季語が用いられる。(中略) 立夏に入ると、大地が緑に染められ、樹木の葉は日々茂り、その色を濃くしていき、体感的にも夏の気配が感じられるころとなる。またこのころは比較的雨量が少なく、風が青葉若葉の色に染められ、文字通り風に香りがあるかのように爽やかな気候となる。ちなみに「風薫る」「薫風」はこの状態を表現した季語である。 このような気候風土をとらえて『暦便覧』には「夏が立つがゆへなり」と書かれている。 誤解されやすい言葉に「五月晴れ」がある。 これは梅雨最中にみられる「晴れ間」のこと。五月晴れの5月は、陽暦では梅雨入りした6月から7月ころになる。二十四節季の春分に注目
2020.05.20
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図書館の本を手当たり次第に、借りている大使であるが・・・・なんか慌しいので、この際、積読状態の蔵書を再読しようと思い立ったのです。・・・この本を入手した経緯を覚えていないのだが、たぶん古書店か大学学園祭のバザーかなんかだったのでしょう。とにかく、こんなに堅い本は古書店の100円コーナーに並べてありますね。【街並みの美学】芦原義信著、岩波書店、2001年刊<「BOOK」データベースより>都市と建築の中間に位置する「街並み」は、そこに住みついた人々が歴史のなかでつくりあげ、風土と人間のかかわりのなかで成立した。世界各地の都市の街並みを建築家の眼で仔細に見つめ、都市構造や建築・空間について理論的に考察する。人間のための美しい街並みをつくる創造的手法を具体的に提案した街並みづくりの基本文献。<大使寸評>この本を入手した経緯を覚えていないのだが、たぶん古書店か大学学園祭のバザーかなんかだったのでしょう。とにかく、こんなに堅い本は古書店の100円コーナーに並べてありますね。rakuten街並みの美学恵比寿界隈著者の原風景を見てみましょう。p190~193 <記憶にのこる空間> 同氏(奥野健男)は山の手の恵比寿界隈に育った。彼の家は幅2メートルしかない道に面していて、樹齢三百年に及ぶ欅の大木が二、三十本、家の附近にうっそうと茂っていた。そして鳥や蝉や蛙がすみついていたという。「こういう山の手の不安定な界隈でも子供は学校とは違う世界、“原っぱ”を持っていた。“原っぱ”は田畑が売地になったところや、屋敷のあとや昔からの家や畑になっていない空地などを指すのだが、そこは学校の成績や家の貧富の差などにかかわりのない子供たちの別世界、自己形成空間であり、そこの支配者は腕力の強い、べいごまもめんこもうまい餓鬼大将であった。ぼくたち中流階級の子はおずおずその世界に入り、みそっかすとして辛うじて生存を許されていたようだった。しかしこの“原っぱ”こそ山の手の子供たちの故郷であり、“原風景”であった」と同氏は述べて、戦前には、東京のような大都会にも、地方に負けない自然との連帯や地縁というものがあったことを指摘していいる。 私は、同氏の叙述が不思議と自分の育った環境と相似していることに或る種の感銘を以って共鳴するのである。私は東京は山の手、四谷は南伊賀町(現在の若葉町)の西念寺という寺のわきに生れ育った。 このあたりは、今でこそ全くの都心であるが、当時は寺の境内には銀杏の大木が亭々とそびえ、よく登っては滑ったさるすべりの名木などもあった。(中略) 私自身の印象でも、奥野氏の印象でも、不思議と樹木が(欅の大木や、銀杏の大木のようなものが)育った環境と切りはなすことはできない。これはケヴィン・リンチの研究によっても、アメリカ人の人間形成期にとって樹木が重要な契機にんっていることと一致していることがわかる。 ということは都市の居住環境には、重要な人間形成期に必用と考えられる大樹が少なすぎるということであるとも言える。大樹には多年の風雪に耐えて樹齢を重ねてきた或る種の威厳や気品のようなものがあり、また多年同一の場所に停止しながら生存していることから沈着、忍耐、不羅のような特性があり、動物のように自ら行動できない植物の宿命としての、受容性、客観性のようなものすら感ずる。大樹には確かに、無言にして厳しい父親の目のようなものが光っているのである。 そして、大樹に接しながら育つ子供たちには、それが強く幼少期の印象として焼きつけられ、また多くの教訓をその中から読みとることができるのである。それは旅行の途次見ただけの大樹ではない、春夏秋冬、雨や風に耐え、そこに住みつき、そこに育つことが必要なのである。その他、ケヴィン・リンチの研究によれば、築地塀や石だたみのような屋外の舗装も強く印象に残るという。 確かに私自身の経験によっても、西念寺の土塀や坂道のようなものは印象が強い。ただ舗装は海外の生活では重要なものであろうが、わが国ではそれほどでもないようである。教会前の広場で遊んでいるイタリアの子供たちにとっては、教会前の石の階段や石だたみは、人体と大地との接する硬さの体験から言っても、当然、“原風景”となりうる種類の素材であろう。
2020.05.19
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図書館の本を手当たり次第に、借りている大使であるが・・・・なんか慌しいので、この際、積読状態の蔵書を再読しようと思い立ったのです。で、再読シリーズとして、以下のとおりボツボツ取り上げてみます。・#37: 韓国 反日感情の正体・#36: トウ小平・#35: 日本語と韓国語・#34: ソウルの練習問題・#33: 『「日本」とは何か』日本の歴史00巻・#32:「王権誕生」日本の歴史第2巻・#31:新・韓国風土記(第一巻)・#30:グ印関西めぐり(濃口)・#29:リドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16・#28:日韓 悲劇の探層・#27:日本人と韓国人なるほど辞典・#26:街場の文体論・#25:書いて稼ぐ技術・#24:「無法」中国との戦い方・#23:資本主義の終焉と歴史の危機・#22:村上春樹ロングインタビュー・#21:日本人はなぜ存在するか・#20:兼好法師『徒然草』 (100分 de 名著)・#19:世界マンガ体系・#18:南画と写生画・#17:ホンモノの日本語を話していますか?・#16:ストレスゼロの整理術・#15:里山資本主義<再読候補>・ノモンハン・播磨国風土記・情報の「捨て方」・老人力のふしぎ・夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです*****************************************************************************【韓国 反日感情の正体】 黒田勝弘著、角川学芸出版、2013年刊<「BOOK」データベースより>ではなぜメディアや政治は執拗かつ極端な反日行動をとるのか?対日行動の真実を在韓30年の日本人記者が緊急レポート。【目次】第1章 反日無罪の系譜/第2章 壮大な虚構としての慰安婦問題/第3章 竹島は取り戻せるか?/第4章 反日の効用/第5章 反日はなぜ生まれたのか?/第6章 韓国人の歴史観は面白い/第7章 日本隠しとウリジナル主義/第8章 日本人が次々と“極右”に?/第9章 たかがビビンバ、されどビビンバ/第10章 東日本大震災の親日・反日/第11章 韓国の反日と中国の反日/第12章 韓国の中の日本ー統一教会と創価学会<大使寸評>私が知っている(穏やかな)韓国ウォッチャーとしては、黒田勝弘、戸田郁子、関川夏央、重村智計、呉善花あたりになるわけで・・・これら諸氏のご意見を聞きながら、韓国とは着かず離れず接していくしかないようです。rakuten韓国 反日感情の正体『韓国 反日感情の正体』1:韓国における親日タブー『韓国 反日感情の正体』2:反日メディア*****************************************************************************【トウ小平】エズラ・ヴォーゲル×橋爪大三郎著、講談社、2015年刊<商品説明>より トウ小平は、中国の方向をどのように転換させたのか。強大な経済力・政治力パワーをもつに至った中国の基礎をどのように築いたのか。「現代中国の父 トウ小平」の著者が、トウ小平の生涯と業績の大事なポイントを語る。【「TRC MARC」の商品解説】「トウ小平は、20世紀後半から21世紀にかけての世界史にとって、もっとも重要な人物だ」――橋爪大三郎「いま中国は相当強くなった。10年か20年で、GDPは世界のトップになるだろう。これがどうして可能になったかというと、トウ小平の開いた道なわけです。あれほど経験があって、権威があって、あらゆる面の実力を兼ねそなえている人は、いない」「このインタヴューは短いけれど、トウ小平の生涯と業績の大事なポイントをすべて盛り込むものになった」――ヴォーゲル<読む前の大使寸評>エズラ・ヴォーゲルに橋爪大三郎が質問するという対談形式の本である。日米の英知が中国の巨大政治家を語るという企画が…ええでぇ♪hontoトウ小平エズラ・ヴォーゲル『トウ小平』1:指導者の交替p138~140『トウ小平』2:改革開放p154~160『トウ小平』3:革命よりも改革p164~168、流血の天安門p214~218『トウ小平』4:中国共産党の病理p231~234、習近平は、実力者p248~250『トウ小平』5:フランス留学p41~43『トウ小平』6:中国に戻ったトウ小平と共産党p48~51『トウ小平』7:中国共産党と日本の自民党p168~170*****************************************************************************【日本語と韓国語】大野敏明著、文藝春秋、2002年刊<「BOOK」データベースより>二千年の交流関係をもつ日韓両国には同じことばが少なくない。むかしから共通だった固有語(たとえばカマ)、近代に生み出された漢字語(たとえばヤクソク)、日本統治時代に残してきたことば(たとえばワリバシ)、そして近年、韓国から流入して日本に定着したことば(たとえばキムチ)。その一方、韓国に行って安易に「朝鮮」ということばを使うと、とんでもない目にあいかねない。なぜ南は「朝鮮」を忌避し、北は「朝鮮」に固執するのか。そこには、十九世紀末から二十世紀初頭にかけて存在した「大韓帝国」に対する認識の差があった…。日本と韓国の同質性と異質性をことばを通して、多角的にあぶりだす。 <大使寸評>図書館の本を手当たり次第に、借りている大使であるが・・・・なんか慌しいので、この際、積読状態の蔵書を再読しようと思い立ったのです。Amazon日本語と韓国語『日本語と韓国語』2:韓国演歌「カスマプゲ」p44~46『日本語と韓国語』1:儒教民族の先祖p82~85*****************************************************************************【ソウルの練習問題】関川 夏央著、情報センター出版局、1984年刊<内容説明より>屹立する高層ビル群を背景に、広い高速道路をマラソンランナーが駆け抜ける―ソウル五輪は現代韓国の一面を鮮やかに伝えてくれた。しかし韓国で暮らす人々について、我々は何を知っているだろう?ハングルの迷路を旅して、出会う人々と語り合い、彼らの温もりと厳しさを拾い集めた瑞々しいルポルタージュ。韓国社会のフィールドワークとして一時代を画した名著<大使寸評>父の蔵書を継ぐものであるが、韓流ブーム以前の韓国を見る著者の目は異文化を透視しています。Amazonソウルの練習問題『ソウルの練習問題』1:「ヨォ」という終助詞p34~36*****************************************************************************【「日本」とは何か 日本の歴史00巻】 網野善彦著、講談社、2000年刊<Amazon紹介>より日本中世史に新たな地平を拓いてきた網野善彦が、編集委員として参加している全26巻の日本通史「日本の歴史」の第00巻として著した日本論である。 これまで自明なこととして扱われていた「日本」の起源と地理的範囲、日本列島に限定されていた縄文文化や弥生文化を、北方アジアや朝鮮半島との関係から見直し、基本的用語を問い直す必要があるというのである。また、主従関係、貨幣制度、差別意識などの地域的相違を明らかにすることで、「均質な日本人」という常識の盲点を指摘している。さらに、記紀神話の豊葦原瑞穂国から、班田収受や公地公民といった律令制度、中世の荘園、江戸時代の士農工商制度、明治の地租改正、戦後の農地改革に至る土地所有制度の変遷をたどることによって、日本は農民中心の農耕社会とする従来の日本社会史に疑問を投げかけている。 有史以来、日本列島は北方アジア、朝鮮半島、琉球列島、中国大陸とダイナミックな交流があり、列島内部でも活発な地域間交流があったことが、現在の「日本」を形づくっているとする。 網野史観の全体像を1冊にまとめた格好の入門書といえる。(堤 昌司) <大使寸評>父の蔵書を引きつぐものであるが、2000年刊行と比較的新しい本であり、「日本人論」では欠くべからざる本であったのが嬉しい♪Amazon「日本」とは何か 日本の歴史00巻『「日本」とは何か 日本の歴史00巻』1:倭寇登場p85~88『「日本」とは何か 日本の歴史00巻』2:長良川あたりが東国と西国の境界p156~157*****************************************************************************【「王権誕生」日本の歴史第2巻】 寺沢薫著、講談社、2000年刊<「BOOK」データベース>より水稲は、列島をどのように変えたのか。なぜ、戦争が始まったのか。群雄割拠した国々は、いかに統合され、王権成立へと至ったのか。そのとき卑弥呼はどこにいたのか。最新の考古学が古代の謎を解く。<大使寸評>この本は父親の蔵書を継ぐものであるが・・・水稲は、列島をどのように変えたのか。なぜ、戦争が始まったのかと、とにかく読みどころが多いのである。Amazon「王権誕生」日本の歴史第2巻『「王権誕生」日本の歴史第2巻』4:エピローグp348~349『「王権誕生」日本の歴史第2巻』3:戦争のはじまりp126~128『「王権誕生」日本の歴史第2巻』2:水稲農耕の伝来p50~51『「王権誕生」日本の歴史第2巻』1:水稲農耕の伝来p44~48*****************************************************************************【新・韓国風土記(第一巻)】(画像は第4巻)安宇植編、読売新聞社、1989年刊<「BOOK」データベースより>朝鮮王朝の都として発達したソウル、海の守りの要衡釜山、収奪に耐え観光立国を実現した済州島。檀君神話の昔から「漢江の奇跡」の現代まで、ソウル、釜山、済州島が歩んだ独自の道を俯瞰する。<大使寸評>父の本棚で見つけたこの本もアマゾンで出ないので、古書ということだろう。80年代のソウル、釜山を韓国人が綴った内容となっています。webcatplus新・韓国風土記(第一巻)『新・韓国風土記 第一巻』4:日本のなかの済州島人p280~282『新・韓国風土記 第一巻』3:釜山の気質p168~170『新・韓国風土記 第一巻』2:両班の体面p85~86 ソウル、釜山の歴史 :植民地下での変化p38~40、釜山の変化p153~155*****************************************************************************【グ印関西めぐり(濃口) 】グレゴリ青山著、メディアファクトリー、2007年刊<商品説明>より「KANSAI Walker」の人気連載マンガが、待望の単行本化!京都で生まれ育ち、大阪で古本屋さんのバイトを経験し、和歌山の山奥で2年ほど生活していたこともあるグレゴリ青山による、超ディープな関西ガイド。大阪のウメチカ(梅田の地下街)、銭湯マニアとめぐる京都の旅、船舶画伯にガイドしてもらう神戸港、滋賀の草津にもある温泉などなど、グレゴリ青山独自の視点から見たおもしろ関西をご紹介します。<読む前の大使寸評>グレゴリ青山による、超ディープな関西ガイドとのこと・・・興味深々でおま♪この本は、アマゾンの古本で汚れなし309円というのがあったので、速攻で注文したのです。古本の場合は、古本屋から発送するので最速でも5日ほどかかるようです。rakutenグ印関西めぐり(濃口) 『京都ねこ街案内』1*****************************************************************************【リドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16】風間賢二編、キネマ旬報社、2001年刊<「MARC」データベース>より「エイリアン」の大ヒット、そして次に続く「ブレードランナー」で多くのファンを獲得したリドリー・スコット。光と影の魔術師といわれる彼の映画手腕を様々な角度から検証する。<大使寸評>この本の紹介記事を書いていたが…読みどころが多いし、Amazonの古本が格安だったので、早速注文したのです。Amazonリドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16『リドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16』1:リドリー・スコットの美術『リドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16』2:ブレードランナー『リドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16』3:テルマ&ルイーズ *****************************************************************************<街場の文体論5>内田先生の『街場の文体論』が積読状態になっているのだが・・・やや大使のキャパを越えるというか、要するに内容が難しいためである。コロナウイルス対応の図書館閉鎖の折、この本を5年ぶりに再読しようと思い立ったのでおます。【街場の文体論】内田樹著、ミシマ社、2012年刊<内容紹介より>30年におよぶ教師生活の最後の半年、著者が「これだけはわかっておいてほしい」と思うことを全身全霊傾け語った「クリエイティブ・ライティング」14講。「アナグラム」「エクリチュール」「リーダビリティ」「宛て先」・・・・・・こうしたトピックを有機的に連関づけながら、「生きた言語とは何か」を探る。「この本がたぶん文学と言語について、まとまったものを書く最後の機会になると思います。そういう気持ちもあって、「言いたいこと」を全部詰め込みました」(あとがきより)<大使寸評>クリエイティブ・ライティングの真髄は「読み手に対する敬意」であると内田先生は説くわけで・・・受験技術にはなり得ない破格な文体論となってま♪Amazon街場の文体論街場の文体論1:日本語p214~218街場の文体論2:英語教育論p244~246街場の文体論3:司馬遼太郎の美学p98~101街場の文体論4:読み手に対する敬意p15~17、村上春樹の世界性p289~293*****************************************************************************再読シリーズ(#1-4)再読シリーズ(#5-8)再読シリーズ(#9-11)再読シリーズ(#12-14)再読シリーズ(#15-17)再読シリーズ(#18-20)再読シリーズ(#21-23)再読シリーズ(#24-26)再読シリーズ(#27-29)再読シリーズ(#30-32)再読シリーズ(#33-34)
2020.05.19
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新型コロナウイルス対策に関していろんな知識人がコメントしているが・・・高橋源一郎さんが、朝日新聞の連載コラム特別編で「読んでは沈思、18歳の独房以来」と説いているので見てみましょう。(高橋さんのオピニオンを5/15デジタル朝日から転記しました) 作家・高橋源一郎さんが様々な場所に足を運びながら思索する連載寄稿「歩きながら、考える」。新型コロナウイルスの感染拡大により外出できなくなっている今回、特別編として「歩かないで、考える」をお届けします。部屋の中から見える世界とは……。 イタリアの作家、パオロ・ジョルダーノは新型コロナウイルスが母国でも大きな問題になりはじめた頃、手記を書き出し、その1回目に、こう記した。 「今日は、珍しい2月29日、うるう年の2020年の土曜日だ。世界で確認された感染者数は八万五千人を超え、中国だけで八万人近く、死者は三千人に迫っている……」 そして、ウェブで公開されている世界の感染状況を集計した地図を目の前の画面に開きっぱなしにしてある、と彼は付け加えた。 パオロ・ジョルダーノのように、ぼくが、画面で開きっぱなしにしている「リアル・タイム・カウンター」も、世界の最新の感染状況を24時間、地図とグラフと国旗と数字で表示しつづけている。いまは5月10日日曜日午前9時31分、彼が手記を書いてから2ヶ月と10日ほど後。 多くの人たちの生活はすっかり変わってしまった。他の人間との接触は制限され、外出することもできず、家に閉じこもる。ひとりの時間が生まれる。あるいは、逆に、それまで、ほとんど向かい合わなかった家族と真正面から向かい合わねばならない時間も。 いま世界の感染者数は4099823人、死者は280372人である。 * ずっと本を読んでいる。以前もそうだった。けれど、いまは、いままで読んだことがない類の本を。いままで必要がなかった知識を得て、いままで考えたことがなかったことを考える。その時間が突然生まれた。 いったい、いつ以来だろう、と考えて、すぐに気づいた。18歳のとき、学生運動で逮捕され、拘置所の独房で過ごした7ヶ月以来だった。 外界とは完全に切り離された自分だけの小さな空間の中で、あのときも、ぼくはずっと本を読んで過ごした。あの、ただひたすら考える時間が、いまのぼくを作った。 あのとき、ぼくはそれまでに一度も感じたことのない不安を感じていた。それは、世界は動いているのに自分だけが取り残されているという不安だった。だから、いま、静止しつつある世界の中で、人びとが感じている不安のことを考える。 * 14世紀に世界を襲ったペストは、ヨーロッパの中世を終わらせ、ルネサンスを用意した。 17世紀のペストの流行(中心はロンドン)の後、ペストは西欧から姿を消していき、「近代」が始まった。一方、「旧世界」は「新世界」を発見し、「感染症」を送りこみ、アステカやインカといった、アメリカ大陸に栄えた文明を滅ぼしたのだ。それから、開発がジャングルの奥で眠っていた感染源を揺り起こし、新たに生まれた植民地から、交易ルートを通じて世界へ広がっていった。 「史上最悪のインフルエンザ」と呼ばれ、世界で1億人ともいわれる死者を出した、1918~19年の「スペイン風邪」の最大の運び手は、第1次世界大戦に参加した兵士たちだった。 そのときよりも遥(はる)かに速く、感染症は広がってゆく。世界がずっと狭く、緊密なネットワークを形作ってしまったからだ。 * ウイルスの本質を突き詰めて考えた上で、研究者たちは、感染症を根絶することはできない、と結論づけた。だから、ぼくたち人間は、「彼ら」と「共生」してゆくしかないのだ、と。 「重要なことは、いつの時点においても、達成された適応は、決して『心地よいとはいえない』妥協の産物で、どんな適応も完全で最終的なものでありえないということを理解することだろう」(『感染症と文明』山本太郎) これは、感染症に関する考え方に留(とど)まらない。「心地よいとはいえない」共生、が、ぼくたち人類の生き延びる道を指し示すことになるだろう。無菌で、清浄な、なんの争いもない世界で、ぼくたちは生きられないのだから。 * 絵本作家の五味太郎は、インタビューに「こういう時っていつも『早く元に戻ればいい』って言われがちだけど、じゃあ戻ったその当時って本当に充実してたの? 本当にコロナ前に戻りたい?」と答えた。この喧騒の中で、ぼくが覚えておきたいと思ったことばの一つだ。猛烈なスピードで前進することしか知らなかった社会が、一瞬ではあれ、その速度をゆるめているこの時間にこそ。 * 史上最大のパンデミックともいわれる「スペイン風邪」を描いた『史上最悪のインフルエンザ』で、著者のアルフレッド・クロスビーは、最後の章に「人の記憶というもの――その奇妙さについて」というタイトルをつけた。そして、人びとがなぜ、あれほどの災禍を完全に忘却したのかを考えた。 17世紀のロンドンでのペストの大流行を詳述した『ペストの記憶』で著者のデフォーは、最後に、ペスト終焉後、人びとがどうなっていったかを書き加えた。 「市民のあいだで(神への)感謝の思いが褪(あ)せ、昔の悪い習慣がなにからなにまで戻ってしまったことは、ぼく自身がつぶさにこの目で見た事実である」 架空のペスト流行を描いた現代文学の古典、カミュの『ペスト』では、襲って来た時と同じように突然、ペストの禍(わざわい)は去ってゆく。 「暗い港から、公式の祝賀の最初の花火が上った。全市は、長いかすかな歓呼をもってそれに答えた。コタールもタルーも、リウーが愛し、そして失った男たち、女たちも、すべて、死んだ者も罪を犯した者も、忘れられていた。爺さんのいったとおりである――人々は相変らず同じようだった」 パオロ・ジョルダーノは本のあとがきのタイトルを「コロナウイルスが過ぎたあとも、僕が忘れたくないこと」としてこう書いた。 「パンデミックが僕らの文明をレントゲンにかけているところだ。数々の真実が浮かび上がりつつあるが、そのいずれも流行の終焉とともに消えてなくなることだろう。もしも、僕らが今すぐそれを記憶に留めぬ限りは」 * ぼくたちは、まだ「流行」のただなかにいて、かつてないほど、考える時間を与えられている。けれども、間違いなく、そのほとんどを忘れてゆくだろう。大きな戦争や事件に対してそうだったように。そのことだけは忘れまい。 『ペスト』の結末で著者は、姿を消したペスト菌は滅びたのではなく、ただ眠っているだけだ、と書いた。そして、ぼくたちは知っているはずなのだと。 「おそらくはいつか、人間に不幸と教訓をもたらすために、ペストが再びその鼠(ねずみ)どもを呼びさまし、どこかの幸福な都市に彼らを死なせに差し向ける日が来るであろうということを」 「彼ら」は間違いなく、またやって来る。人間たちが、「彼ら」に負けない社会を作っているかどうかを試すために。 いま、5月11日午前11時22分、カウンターの数値は、感染者が4179757、死者が283796。この文章を書き始めたときから感染者は79934人増え、死者は3424人増えた。■それぞれの部屋で 「歩けなくなったときって、自分がどう歩いていたのかを省みるチャンスだよね」。オンラインでの打ち合わせで、パソコン画面の高橋源一郎さんはそう言いました。外に出て、人に会う。そんな日常から切り離される拘置所は、惰性に気付いたり内面を見つめ直したりする場でもあった、とも。この紙面の作業をしている部屋で今、緊急事態解除のニュースが流れています。(編集委員・塩倉裕)日本人の我慢強さが幸いして今のところ、結果オーライの状況であるが・・・政府・厚労省の不手際(検査体制の停滞など)が恐いでぇ。(高橋源一郎の「歩かないで、考える」)読んでは沈思、18歳の独房以来高橋源一郎2020.5.15 この記事も 朝日のインタビュー記事スクラップR16に収めておきます。
2020.05.18
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図書館の本を手当たり次第に、借りている大使であるが・・・・なんか慌しいので、この際、積読状態の蔵書を再読しようと思い立ったのです。・・・この本を入手した経緯を覚えていないのだが、たぶん古書店か大学学園祭のバザーかなんかだったのでしょう。【映画渡世・地の巻―マキノ雅弘自伝 】 マキノ雅弘著、平凡社、1977年刊<「BOOK」データベースより>東宝の『次郎長三国志』シリーズから東映の『日本侠客伝』シリーズへと、“任侠映画”ブームをつくったマキノ雅弘(正博)。“日本映画の父”マキノ省三の長男として生れ、『浪人街第一話・美しき獲物』『崇禅寺馬場』『蹴合鶏』、そして『首の座』と、いわゆるベストテン映画の監督として華々しいスタートを飾りながら、その後は職人監督に徹してひたすら映画という渡世の底辺に生きて来たのは、何故か―。怒濤の青春遊侠篇を描く前篇「天の巻」に次いで、本書「地の巻」では、戦中・戦後の混乱期から、新しい映像革命の可能性に挑みつつある現在までの風雲残侠篇を描く。<大使寸評>この本を入手した経緯を覚えていないのだが、たぶん古書店か大学学園祭のバザーかなんかだったのでしょう。とにかく、やや娯楽路線ではあるが、マキノさん案内で昔の映画を見てみましょう。amazon映画渡世・地の巻―マキノ雅弘自伝 ロケ地での思い出を見てみましょう。p431~435 <売られたわしが悪いのや> そんなわけで、医者は駄目だと云ったのだが、山本麟一やらが四時間くらいかかって私の脚のギブスを切った。津川雅彦は、私が痛がると思って、逃げて行ってしまった。私は夜通し歩く稽古をした。 翌日は一日休むことにし、B班に港のあたりや船のシーンをちょっと撮らせた。 片足骨折というのに私は無茶をやって、「大丈夫や」と走ってみせたりしたのだが、しかし撮影所へ帰ってセットに入って仕上がる時には、もうほとんど両足が動かなくなってしまった。 高倉健がアメリカへ行くというので、彼の最後の出場を半徹夜で上げ、それから立回りを撮れば、高倉健の出ないシーンをいくつか残すだけで、終わりとなった。 その前夜、皆の前で私は無理して黒田節を踊ってみせたのだが、もういっぺんやってくれと皆にワァワァ云われて、仕方なく、気力を振りしぼって、槍を持ってサッと廻したら、ポキンという変な音がした。もう片方の骨が折れてしまったのだ。そしたら、純子が、「先生、二度目の踊りはまずかった」 と云いよった。藤純子はロケーションに行ってなかったから、私がロケ地ですでに片脚を骨折したなんて事情は知らなかった。それで、ふっと出た言葉だったのだろうが、私はさすがに頭に来て純子に、「かんにんしてくれ。お前の楽しみにわしは踊ってんじゃないんだ、この脚で。馬鹿なこと云うな」 と吐鳴ってやった。 高倉健の出ない撮り残しのシーンは、津川雅彦につきっきりで面倒みてもらってやっと撮り上げたが、私が両脚とも動かなくなったら、スタッフは全員逃げてしまって、編集、ダビングの時には、もう助監督も誰れもいなかった。もう、それからは、何もやるまいと心に決めて、脚が治るまで寝ていることにした。 しかし、寝ていても、1時間ぐらいこむら返りで痛み、二十分間ぐらいは治るのだが、また一時間もかっと痛む。脂汗が出る。脚を上げたり下げたり、色々なことをやってみるのだが、どうにもならない。 それで、早川雅浩に、誰れかその方面のいい医者は知らんかと電話したら、福田三郎先生を連れて来てくれた。そして、先生が、何か知らないが、注射を打って下さったら、こむら返りが止まった。これにはびっくりしながら、感激した。福田先生に毎日通ってもらって、ついでにウチの孫の斜頸まで治してもらった。 そんな私の状態を知りながら、岡田茂製作本部長が私を日活へ売ったのである。「日活からたのまれたから・・・」と云うのだが、いずれにせよ、私が身動き出来ないことを承知の上でやったことらしい。福田先生に相談してみたら、7月11日からクランクイン出来るというので、私は高橋英樹主演のシャシンを撮りに日活へ行ったのであった。 その映画の撮影には、私の脚の怪我を知っている内輪の連中が皆来てくれて、私のことをかばってくれた。河津清三郎、水島道太郎、長門裕之、南田洋子、津川雅彦・・・皆が私を取り巻いて、「おやじさんを死なせられるかいッ」と怒った。「おやじさん、誰れを怒ったらええねン」と皆が云うので、私は、「いや、誰れでもない。わしが悪いんだ。契約もしていないのに、なめられて売られてしもたんや。ハイハイ云うて、行こういう気になったんが悪いのや」 この映画は入山太郎の世話で、撮ることになった。私は『纏仁義』という題名を付けていたのだが、当時の東映仁侠映画路線の二本のヒット・シリーズ『日本侠客伝』と『昭和残侠伝』をミックスした『日本残侠伝』という題になってしまった。岡田茂氏が電話をかけて来て、「その題名で撮るのはやめてくれ」 と云うので、私ははっきりと云ってやった。「何を云ってんのや。日活にたのまれてわしを女郎みたいに売っといて、日活がつくった題名を、何んでわしにやめろって云うんだ。わしの付けた題名やない。そんなこと、わしに文句つけんで、お前とこで日活に云え」 で、日活に抗議したところ、堀久作社長のジュニアである堀雅彦製作本部長が、きっぱりと、「題名を変えることはおことわり致します」 それで終わりになった。
2020.05.18
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図書館の本を手当たり次第に、借りている大使であるが・・・・なんか慌しいので、この際、積読状態の蔵書を再読しようと思い立ったのです。・・・再読シリーズの一貫として、以下のとおり取り上げてみます。【韓国 反日感情の正体】 黒田勝弘著、角川学芸出版、2013年刊<「BOOK」データベースより>ではなぜメディアや政治は執拗かつ極端な反日行動をとるのか?対日行動の真実を在韓30年の日本人記者が緊急レポート。【目次】第1章 反日無罪の系譜/第2章 壮大な虚構としての慰安婦問題/第3章 竹島は取り戻せるか?/第4章 反日の効用/第5章 反日はなぜ生まれたのか?/第6章 韓国人の歴史観は面白い/第7章 日本隠しとウリジナル主義/第8章 日本人が次々と“極右”に?/第9章 たかがビビンバ、されどビビンバ/第10章 東日本大震災の親日・反日/第11章 韓国の反日と中国の反日/第12章 韓国の中の日本ー統一教会と創価学会<大使寸評>私が知っている(穏やかな)韓国ウォッチャーとしては、黒田勝弘、戸田郁子、関川夏央、重村智計、呉善花あたりになるわけで・・・これら諸氏のご意見を聞きながら、韓国とは着かず離れず接していくしかないようです。rakuten韓国 反日感情の正体反日メディアを見てみましょう。p238~240 <政府は反日をコントロールできない> しかし反日運動を政府がコントロールできたのは1982年の教科書反日が最後ではなかったか。 民主化移行時代となった1988年の盧泰愚政権以降、とくに1990年代以降は民主化によってメディアや市民団体などのNGO全盛時代になったからだ。その結果、それまでタブーだった反米が解禁になると同時に反日も政府、政権によるコントロールが難しくなったのだ。 むしろ逆に、政府がメディアやNGOの主導する反日に引きずられるようになった。その象徴が慰安婦問題である。問題の聖域化についてはすでに触れた。最強の反日団体となった女性主導の「挺対協(挺身隊問題対策協議会)」が日本大使館前に無許可で設置した不法施設の慰安婦記念像に、今なお手がつけられないのはそのためである。 信仰化した“独島反日”も政府はもはやコントロールできなくなっている。コントロールやブレーキはたちまち反政府となってはねかえってくる。だからマスコミはいつも日本に対しては強硬論であり、韓国政府も必ず「断固対処」「実効支配強化」など強攻策を語らざるをえない。 したがって韓国の反日は今や統制不能になっているのだ。繰り返すが「反日無罪」の国家的、社会的雰囲気はそれを物語っている。しかし、にもかかわらず最近の韓国の反日は中国の激烈さに比べると、統制不能なのにあの程度かという思いが一方ではするのだ。 中国から最近(2013年3月)、面白いニュースが伝えられた。韓国の新聞に写真付きで大きく掲載されていたのだが、北京のさる食堂に「日本人、フィリピン人、ベトナム人、犬は客としてお断り」と書かれた張り紙が出ていたというのだ。一部新聞は「日本人と犬お断り」とさも反日が狙いかのような報道をしていたが、実際は中国が現在、領土問題で対立している国を非難、皮肉ったものだ。 中国文化でイヌの位置付けはどうなっているのか承知しないが、韓国では「この野郎」といったかなり強い悪口に「ケセッキ(犬っころ?)」といって犬(ケ)が登場する。したがって犬と一緒にされるというのは結構、悪口にはなる。 しかし一方で「ケコギ」といって犬肉を好んで食するところをみると、イヌを尊敬()しているのかもしれないが。「日本人と犬お断り」というのは韓国でも反日に際して以前は時にみかけた。日本人観光客の多いソウルの繁華街の南大門市場や東大門市場、明洞などでは、時には商店がこれ見よがしに日本人拒否の張り紙を出すのだが、日本人への打撃というより自らの愛国誇示のパフォーマンスの場合が多い。これも近年は見当たらなくなった。 反日張り紙では、金大中政権下の教科書問題でこういうことがあった。明洞だったかさる商店が「日本人出入禁止」という張り紙を出したと韓国のマスコミに写真が掲載された。日本への広義でこんなに反日感情が盛り上がっているというわけだ。 反日風景を探していた日本のマスコミが飛びつき、テレビの記者がカメラを担いで現場に駆けつけた。しかし問題の商店のショーウィンドには何も出ていない。どこに出ているのか店に問いただしたところ「あれは新聞社のカメラマンが来て張り紙を出さしてくれといって写真を撮っていっただけで、実際に出していたものではない」というのだった。この本が発刊された2013年ころの反日風景が見えるのだが、まったく今の韓国を見るようで・・・骨がらみの親日タブーなんでしょうね。ほんとにもう。『韓国 反日感情の正体』1
2020.05.17
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図書館の本を手当たり次第に、借りている大使であるが・・・・なんか慌しいので、この際、積読状態の蔵書を再読しようと思い立ったのです。・・・再読シリーズの一貫として、以下のとおり取り上げてみます。【韓国 反日感情の正体】 黒田勝弘著、角川学芸出版、2013年刊<「BOOK」データベースより>ではなぜメディアや政治は執拗かつ極端な反日行動をとるのか?対日行動の真実を在韓30年の日本人記者が緊急レポート。【目次】第1章 反日無罪の系譜/第2章 壮大な虚構としての慰安婦問題/第3章 竹島は取り戻せるか?/第4章 反日の効用/第5章 反日はなぜ生まれたのか?/第6章 韓国人の歴史観は面白い/第7章 日本隠しとウリジナル主義/第8章 日本人が次々と“極右”に?/第9章 たかがビビンバ、されどビビンバ/第10章 東日本大震災の親日・反日/第11章 韓国の反日と中国の反日/第12章 韓国の中の日本ー統一教会と創価学会<大使寸評>私が知っている(穏やかな)韓国ウォッチャーとしては、黒田勝弘、戸田郁子、関川夏央、重村智計、呉善花あたりになるわけで・・・これら諸氏のご意見を聞きながら、韓国とは着かず離れず接していくしかないようです。rakuten韓国 反日感情の正体韓国における親日タブーを見てみましょう。p172~175 <親日タブーに挑んだ韓国人の末路> もう今から十年ほども前になるが、日本で若い韓国人の手になる『親日派のための弁明』(2002年、金完ソプ著、草思社)という本がベストセラーになったことがある。この本は韓国の原本を筆者が日本に紹介したのがきっかけだったので思い出深い。著者は民主化時代の若い世代らしく、韓国社会のタブーに挑戦しそれを破壊することに知的快感を覚えるタイプだった。 韓国は1980年代末、いわゆる軍事政権時代が終わり民主化時代になった。民主化の最大の成果は言論の自由である。たとえばマスコミ界は政治の統制から抜け出し何でも報道できるようになった。新聞発行も自由となり、多くの新興紙が誕生した。その一つに「ハンギョレ新聞」(1988年創刊)があるが、この新聞は左派系で親・北朝鮮である。それまでの韓国新聞界では想像もできないことだった。 民主化で多くのタブーが解禁された。「ハンギョレ新聞」などその象徴だが、いわゆるマルクス・レーニン主義や金日成思想など左翼思想や親・北朝鮮の言論も自由になった。それまでの左翼タブーや北朝鮮タブーが無くなったのだ。ついでにいえばセックス・タブーもなくなった。 以降、若い世代を中心に親・左翼や親・北朝鮮ムードが韓国社会に広がり、金大中政権を経て盧武鉉政権という親北、左派政権の誕生につながる。 民主化で左翼タブーや北朝鮮タブーなど多くのタブーが解けるなか、依然、残ったのが日本タブーというか親日タブーである。これは日本統治時代など日韓の過去の歴史について日本を擁護することを禁忌として、絶対許さないというものだ。この親日タブーに挑戦したのが『親日派のための弁明』だった。 著者の金完ソプにはこれより先にセックス・タブーに挑戦した『娼婦論』という著書もある。1960年代生まれでネット世代の草分けである彼は『親日派のための弁明』出版の前に、ネットで盛んな“反日サイト”に対抗し“親日サイト”をやって話題になっている。しかしこれは後に当局により通信法違反(?)として強制的に閉鎖されている。 彼の歴史認識で興味深いのはこんな風に言っていることだ。「われわれは国を奪われたのではなく、日本というよりましな統治者を受け入れたのである。これは明らかに進歩であり民衆の自然な選択であった・・・」 つまり彼は、生活者としての「民衆の立場」では日本による支配、統治は善だったと主張する。そして当時の朝鮮半島においては「日本は唯一の革命勢力だった」ということで日本を評価し、その日本と手を結んだ「親日派」を擁護するのだ。韓国の既成の歴史観を完全にひっくり返す異論であり異端だった。 ここで本を紹介するのが目的ではない。その彼がその後、韓国社会でいかなる処遇を受けたかが興味深い。 彼は日本で話題になったため韓国でも関心を持たれるようになった。いや糾弾の対象になった。そこで国会内での議員グループ主催のセミナーにも呼ばれ、民族団体から名誉毀損で訴えられ法廷にも立たされた。韓国では何かというと告訴、告発で、司法権力を借りて相手を叩こうとする。 ところが金氏は招かれた立場であるにもかかわらず、国会内のセミナーでは興奮した参加者から殴られ、法廷では傍聴者から暴行を受けているのだ。国会や法廷で“異論”を理由にした暴行など民主主義ではとうてい認められないものだ。これは“反日魔女狩り”である。中世、異端の魔女と疑われた者は、“人民裁判”にかけられ火あぶりで処刑された。 民主化を謳歌する民主化時代の韓国で、暴行が平然と行われ、しかもそれを誰も批判しない。現場には韓国メディアはいたのだが、ニュースにもなっていない。民主化を誇る韓国だが親日タブーだけは今なお確固として健在なのだ。それに挑戦しようものなら暴力まで動員して阻止される。
2020.05.17
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NHKと台湾のPTSの共同制作ドラマが今夜(5/16)から始まるということで・・・ネットでみどころを探してみたのです。路(ルウ) みどころより 台湾新幹線プロジェクトの軌跡を縦糸に、日本人と台湾人のあたたかな心の絆を描いた吉田修一の傑作小説「路(ルウ)」を、NHKと台湾の公共放送局・PTSの共同制作でドラマ化。 かつて“麗しの島”と呼ばれた美しい台湾の景色や活気ある街角を背景に、日本と台湾の人々の「国境」と「時間」を越えた心の交流を詩情豊かに描きます。 1999年の仕事納めの日、東京の商社・大井物産社内が大歓声に湧いた。台湾高速鉄道の車両システムの優先交渉権を日本の新幹線が大逆転で獲得したのだ。入社4年目の商社社員・多田春香(波瑠)はプロジェクトの一員として台湾に出向することが決まる。 春香には大学時代、初めて台湾を訪れた夏の切ない思い出があった。エリック(アーロン)という名の台湾人青年と偶然出会い、たった一日だけ台北を案内してもらったが、その後連絡が取れなくなってしまったのだ。何とかエリックを探し出そうとしたが叶わなかった春香は、彼への思いを封印する。 あれから6年―。 二度と台湾へ行かないと心に決めていた春香だったが、台湾新幹線建設チームの一員として、再びその地を踏むことになる。太子の在職中に、桃園空港近くで仕事をしたことがあるのだが、台湾の思い出といえば・・・美味しい料理、気のいい台湾スタッフ、漢字の看板、街にあふれるスクーターなどで楽しいことばっかりでおました♪一番最初に台湾風団子(写真の右側)が出てきて、豚の角煮風(写真の左側)などどんどん出てきたが・・・角煮がハオチー♪奥の白いボトルが特級高粱酒で、これにはいたく感激の大使でした。
2020.05.17
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コロナウィルス自粛のせいで、買い物も控えめに・・・だけど、オンラインといってもネット注文は割高である。ネットに「ドライブスルー魚屋」というのがあったので、見てみましょう。ドライブスルー魚屋より 外食卸に特化した魚屋がこだわりの魚を厳選し、ご奉仕価格にて提供。スーパーに行くにも大勢の人との接触が不安ネットの注文は割高でも今はつながらない...。そこで最小限の接触!! 車で来ると降りずに積み込んでもらえます。マグロのせり、市場で働く職員鮭鯛全国から集まった脂の乗った干物やマグロなどを、鮮度落とさず冷凍して詰め合わせたお得な商品です。詰め合わせは魅力的である・・・だけど、お値段が5000円ではちょっと高いではないか。年金生活者向けの詰め合わせを出してほしいのだ
2020.05.16
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<個人的言語学12-R7> 異邦、異邦人に対する興味、あこがれがこうじてくると、その言語に目が向けられる・・・・・ということで、方言とか言語とかについて集めてみます。最近は仕事の関係もあり韓国語にはまって、おります。(退職して7年たちましたが)・地球にちりばめられて・外国語学習について・文字渦・日本語の謎を解く・アジア辺境論・「身体」を忘れた日本人・多言語のスイス・『メッセージ』を公開初日に観た・英語教育で先行する韓国では・上橋さんの英語習得エピソード12-R7:『地球にちりばめられて』を追記**********************************************************************<個人的言語学12-R6>目次・外国語学習について・文字渦・日本語の謎を解く・アジア辺境論・「身体」を忘れた日本人・多言語のスイス・『メッセージ』を公開初日に観た・英語教育で先行する韓国では・上橋さんの英語習得エピソード**********************************************************************<個人的言語学11>目次・天才的なマルチ・リンガル・紙の動物園・あやしい日本語学校・街場の文体論・世界の文字とことば・活発化する機械翻訳**********************************************************************<個人的言語学10>目次・おっとりと論じよう・日本語に生まれて・日本語は亡びるのか?・無理筋のハングル普及・愛と日本語の惑乱・漢字廃止で混乱する韓国・Jブンガク**********************************************************************<個人的言語学9>目次・漢字をめぐる不毛な論争・必死のパッチ・第二外国語の流行り廃れ・言語表現法講義・137億年の物語2・絶滅寸前の満州語**********************************************************************<個人的言語学8>目次・文字を持っていた突厥帝国・ベトナム語の悲哀・外国語の記憶・なぜ日本人は日本語が話せるのか・『日本語は生きのびるか―米中日の文化史的三角関係』・「カラカラ」を観た・敵性米語について**********************************************************************<個人的言語学7>目次・サイズと話し言葉・関西人の話法・関西弁強化月間みたいに・全国アホ・バカ分布図・漢字文化圏の成り立ちについて**********************************************************************<個人的言語学6>目次・既に漢字文化圏・「日本隠し」を続ける意地はすごいけど・『海角七号』で日本語で歌われた「野ばら」・漢字文化圏あれこれ**********************************************************************<個人的言語学5>目次・10年後に食える仕事、食えない仕事・英語や中国語より人生に役立つ言語を学ぼう・翻訳とは憑依することである・今日から始まる「100分de名著・徒然草」・「実戦・世界言語紀行」2・「日本語を書く部屋」**********************************************************************<個人的言語学4>目次・「実戦・世界言語紀行」1・泉州弁と河内弁の違い・文字を得るということ(工事中)・「すごっ」 ツッコミ語・つれづれなるままに「徒然草」・英語が嫌いな人にお奨めの本です**********************************************************************<個人的言語学3>目次・「心臓に毛が生えている理由」・漢字廃止で韓国に何が起きたか・アジアの共通言語・北方朝鮮族の女に・孔子批判・よくわからないけど**********************************************************************<個人的言語学2>目次 ・関西弁の通訳・英語公用化と絶滅危惧言語・漢字物語・リンガ・フランカ教育・関西弁へのこだわり・助詞(テニヲハ)がリエゾンする・初等学校漢字教育反対汎国民委員会・漢字文化圏の再興・「日本辺境論」を読んだところですが・exite翻訳のお手並み・横尾さんのもの忘れ・こんなの 序の口です・カペでコピ(個人的ハングル講座 その3)工事中・良質なハングル入門書・英語が出来て当たり前か?・現存する唯一の表意文字・日本語を愛する者の心の叫び**********************************************************************<個人的言語学1>目次 ・ぼっけえ きょうてえ・「ちりとてちん」が ええな~・ガラオケ・・・なんじゃそれ?・韓国人の英語力 ・呉音が好き・ドングリ国の公用語・野ばら・カペでコピ(個人的ハングル講座 その2)・カペでコピ(個人的ハングル講座 その1)・泥縄式英会話術・韓国のおさらい・Yanさんの方言変換Proxyサーバ・3都の関西弁 ・『河内弁基礎講座』文法編・全国方言コンバータ ・コンバータあれこれ・スウェーデン語とノルウェー語 ・ラジオ日本 ・アイヌ語ラジオ講座 ・excite翻訳のお手並み・日本語あれこれ・英語になった日本語のリスト・バスク語 ・イディシ語 なに? ・ムバンドウ語 なに? ・アイルランド語とブルトン語 ・カタラン語<『地球にちりばめられて』4>図書館に予約していた『地球にちりばめられて』という本を、待つこと半年ほどでゲットしたのです。言語学的なSFは、モロに太子のツボであるが・・・ヨーロッパ大陸で生き抜くため、独自の言語“パンスカ”をつくり出したHirukoという元ニッポン人が、興味深いのです。【地球にちりばめられて】多和田葉子著、講談社、2018年刊<「BOOK」データベース>より留学中に故郷の島国が消滅してしまった女性Hirukoは、ヨーロッパ大陸で生き抜くため、独自の言語“パンスカ”をつくり出した。Hirukoはテレビ番組に出演したことがきっかけで、言語学を研究する青年クヌートと出会う。彼女はクヌートと共に、この世界のどこかにいるはずの、自分と同じ母語を話す者を捜す旅に出る―。言語を手がかりに人と出会い、言葉のきらめきを発見していく彼女たちの越境譚。<読む前の大使寸評>言語学的なSFは、モロに太子のツボであるが・・・ヨーロッパ大陸で生き抜くため、独自の言語“パンスカ”をつくり出したHirukoという元ニッポン人が、興味深いのです。<図書館予約:(2/18予約、8/28受取)>rakuten地球にちりばめられて『地球にちりばめられて』3:「第9章 Hirukoは語る3」『地球にちりばめられて』2:「第6章 Hirukoは語る2」『地球にちりばめられて』1:「第2章 Hirukoは語る」内田先生が外国語学習について次のように語っているので、拝聴した次第です。2018/10/31外国語学習についてより その後、1960年代から僕はフランス語の勉強を始めるわけですけれども、この時もフランス語そのものに興味があったわけではありません。フランス語でコミュニケーションしたいフランス人が身近にいたわけではないし、フランス語ができると就職に有利というようなこともなかった。そういう功利的な動機がないところで学び始めたのです。フランス文化にアクセスしたかったから。 僕が高校生から大学生の頃は、人文科学・社会科学分野での新しい学術的知見はほとんどすべてがフランスから発信された時代でした。40年代、50年代のサルトル、カミュ、メルロー=ポンティから始まって、レヴィ=ストロース、バルト、フーコー、アルチュセール、ラカン、デリダ、レヴィナス・・・と文系の新しい学術的知見はほとんどフランス語で発信されたのです。 フランス語ができないとこの知的領域にアクセスできない。当時の日本でも、『パイデイア』とか『現代思想』とか『エピステーメー』とかいう雑誌が毎月のようにフランスの最新学術についての特集を組むのですけれど、「すごいものが出て来た」と言うだけで、そこで言及されている思想家や学者たちの肝心の主著がまだ翻訳されていない。フランス語ができる学者たちだけがそれにアクセスできて、その新しい知についての「概説書」や「入門書」や「論文」を独占的に書いている。とにかくフランスではすごいことになっていて、それにキャッチアップできないともう知の世界標準に追いついてゆけないという話になっていた。でも、その「すごいこと」の中身がさっぱりわからない。フランス語が読めないと話にならない。ですから、60年代―70年代の「ウッドビー・インテリゲンチャ」の少年たちは雪崩打つようにフランス語を学んだわけです。それが目標文化だったのです。 のちに大学の教師になってから、フランス語の語学研修の付き添いで夏休みにフランスに行くことになった時、ある年、僕も学生にまじって、研修に参加したことがありました。振り分け試験で上級クラスに入れられたのですけれど、そのクラスで、ある日テレビの「お笑い番組」のビデオを見せて、これを聴き取れという課題が出ました。僕はその課題を拒否しました。悪いけど、僕はそういうことには全然興味がない。僕は学術的なものを読むためにフランス語を勉強してきたのであって、テレビのお笑い番組の早口のギャグを聴き取るために労力を使う気はないと申し上げた。その時の先生は真っ赤になって怒って、「庶民の使う言葉を理解する気がないというのなら、あなたは永遠にフランス語ができるようにならないだろう」という呪いのような言葉を投げかけたのでした。 結局、その呪いの通りになってしまったのですけれど、僕にとっての「目標文化」は1940年から80年代にかけてのフランスの知的黄金時代のゴージャスな饗宴の末席に連なることであって、現代のフランスのテレビ・カルチャーになんか、何の興味もなかった。ただ、フランス語がぺらぺら話せるようになりたかったのなら、それも必要でしょうけれど、僕はフランスの哲学者の本を読みたくてフランス語を勉強し始めたわけですから、その目標を変えるわけにゆかない。フランス語という「目標言語」は同じでも、それを習得することを通じてどのような「目標文化」にたどりつこうとしているのかは人によって違う。そのことをその時に思い知りました。<『文字渦』4>図書館に予約していた『文字渦』という本を、待つこと1ヵ月ほどでゲットしたのです。「紙の動物園」のような言語学的SFが大使のツボであるが、この本はそれよりもさらに学術的であり・・・果して読破できるか?と、思ったりする。【文字渦】円城塔著、新潮社、2018年刊<出版社>より昔、文字は本当に生きていたのだと思わないかい? 秦の始皇帝の陵墓から発掘された三万の漢字。希少言語学者が遭遇した未知なる言語遊戯「闘字」。膨大なプログラミング言語の海に光る文字列の島。フレキシブル・ディスプレイの絵巻に人工知能が源氏物語を自動筆記し続け、統合漢字の分離独立運動の果て、ルビが自由に語りだす。文字の起源から未来までを幻視する全12篇。<読む前の大使寸評>「紙の動物園」のような言語学的SFが大使のツボであるが、この本はそれよりもさらに学術的であり・・・果して読破できるか?と、思ったりする。<図書館予約:(9/05予約、10/16受取)>rakuten文字渦『文字渦』3:「新字」の謎『文字渦』2:「第5回遣唐使」『文字渦』1:CJK統合漢字(以降、全文はここ)
2020.05.16
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図書館の本を手当たり次第に、借りている大使であるが・・・・なんか慌しいので、この際、積読状態の蔵書を再読しようと思い立ったのです。・・・再読シリーズの一貫として、以下のとおり取り上げてみます。【日本語と韓国語】大野敏明著、文藝春秋、2002年刊<「BOOK」データベースより>二千年の交流関係をもつ日韓両国には同じことばが少なくない。むかしから共通だった固有語(たとえばカマ)、近代に生み出された漢字語(たとえばヤクソク)、日本統治時代に残してきたことば(たとえばワリバシ)、そして近年、韓国から流入して日本に定着したことば(たとえばキムチ)。その一方、韓国に行って安易に「朝鮮」ということばを使うと、とんでもない目にあいかねない。なぜ南は「朝鮮」を忌避し、北は「朝鮮」に固執するのか。そこには、十九世紀末から二十世紀初頭にかけて存在した「大韓帝国」に対する認識の差があった…。日本と韓国の同質性と異質性をことばを通して、多角的にあぶりだす。 <大使寸評>図書館の本を手当たり次第に、借りている大使であるが・・・・なんか慌しいので、この際、積読状態の蔵書を再読しようと思い立ったのです。Amazon日本語と韓国語日露戦争当時の朝鮮を見てみましょう。p101~103 <大韓帝国と日露戦争> 閔妃暗殺から二年後の明治30(1897)年、李氏朝鮮は国号を大韓帝国と変え、王は皇帝を名乗りました。朝鮮は当初、明、次いで清の藩屏であり、明、清の皇帝のみが陛下で自らは王殿下と称していました。 それが日清戦争における清の敗北で、清の支配力が無に等しくなり、いわば清の呪縛から解放された形で「帝国」「皇帝」「陛下」を名乗ることになったのです。国号に「」の字をつけたのは「大清帝国」「大日本帝国」にならったもので、「朝鮮」を「韓」としたのは、かつての「朝鮮」からの訣別を意味しました。日本とも清とも対等の独立国であるとの認識がうかがわれます。 日本は日清戦争で朝鮮の独立を主張したことから、直ちにこれを承認しますが、これも日本が、朝鮮を清から完全に切り離し、実質的な支配権を確立するための政策の一環だったとみることができます。 明治37(1904)年、かねてから朝鮮を支配して南下しようと企んでいたロシアと日本は激突します。日露戦争の勃発です。この戦争はご承知の通り、日本の辛勝で幕を閉じますが、大韓帝国にとっては日本による支配を決定的にするものとなったのです。 明治37年4月、日本は韓国を保護するという名目の「韓国保護権確立」を閣議決定します。翌38年には伊藤博文が韓国を訪れ、日韓協約を結んで、韓国を正式な日本の保護国としてしまいます。そして漢城を京城(ソウル)と名前を変え、そこに統監府を置き、実質的な韓国の主として君臨することになったのです。 初代総督は伊藤博文。ですが、この時点では日本は大韓帝国、皇帝、陛下という呼称を認めていました。表面上は日韓対等という形をとっていたのです。 そして明治43(1910)年、第三代統監、寺内正毅と大韓帝国内閣総理大臣、李完用(イ・ワンヨン)の間で日韓併合条約(韓国では韓日合邦といいます)が調印されます。その時から昭和20年の日本の敗戦まで、足かけ36年、満35年弱の日本による韓国支配が始まります。 調印した李完用の名は韓国人の間では文字通り売国奴の代名詞となり、現代でもその名を聞くと韓国人は顔をしかめます。李完用の子孫は先祖の墓参りすらままならないといった報道もありました。 また、伊藤、寺内の名は豊臣秀吉、加藤清正と並んで、悪しき日本人の代名詞とされました。いまも韓国のやくざ映画に出てくる悪い日本人の姓は伊藤、寺内、加藤、黒田などが多いのです。『日本語と韓国語』2:韓国演歌「カスマプゲ」p44~46『日本語と韓国語』1:儒教民族の先祖p82~85
2020.05.15
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図書館の本を手当たり次第に、借りている大使であるが・・・・なんか慌しいので、この際、積読状態の蔵書を再読しようと思い立ったのです。・・・再読シリーズの一貫として、以下のとおり取り上げてみます。【日本語と韓国語】大野敏明著、文藝春秋、2002年刊<「BOOK」データベースより>二千年の交流関係をもつ日韓両国には同じことばが少なくない。むかしから共通だった固有語(たとえばカマ)、近代に生み出された漢字語(たとえばヤクソク)、日本統治時代に残してきたことば(たとえばワリバシ)、そして近年、韓国から流入して日本に定着したことば(たとえばキムチ)。その一方、韓国に行って安易に「朝鮮」ということばを使うと、とんでもない目にあいかねない。なぜ南は「朝鮮」を忌避し、北は「朝鮮」に固執するのか。そこには、十九世紀末から二十世紀初頭にかけて存在した「大韓帝国」に対する認識の差があった…。日本と韓国の同質性と異質性をことばを通して、多角的にあぶりだす。 <大使寸評>図書館の本を手当たり次第に、借りている大使であるが・・・・なんか慌しいので、この際、積読状態の蔵書を再読しようと思い立ったのです。Amazon日本語と韓国語韓国演歌「カスマプゲ」を見てみましょう。p44~46 <渡辺さんの先祖> 日韓で似ている言葉です。「わた」。かつての日本では海のことをこう呼びました。「わたの原」「聞けわだつみの声」の「わた」です。韓国語では海は「パダ」です。「タンシン(あなた)グァ(と)ナ(わたし)サイエ(間に)チョ(あの)パダ(海)ガ(が)オプソッタミョン(なかったならば)・・・」。ご存じ韓国演歌「カスマプゲ」の歌い出しです。「カスマプゲ」とはカムス(胸)アプゲ(痛む)という意味です。この曲に唄われている海は朝鮮海峡と対馬海峡のことです。日本に渡ってしまった兄弟を偲んだという説と、釜山あたりから航海に出る恋人か兄弟を思って唄ったものという説があります。 本当に海峡がなかったならば、日本のことばはもっと半島の影響を受けて変わったものになっていたかもしれません。 海は渡るものです。渡辺(渡部)は海を渡って来た部族という意味ではないでしょうか。姓に関する事典の中には渡辺を「渡し部」などといって、かつて船をつかさどっていた人々の姓などとありますが、船をつかさどっていた人がそんなに多いはずはないのです。日韓とも「わた」「パダ」には特別な思い入れがあるのです。 くま(熊)=コム、くも(蜘蛛)=コミ、こおり(郡)=コウル、はた(畑)=パッ、むら(村)=マウルなども本来、韓国系のことばといわれています。故・朴正キ大統領が始めたセマウル運動とは新しい村運動という意味です。 日本にはいない虎(ホランイ)。虎は韓国の古語で「ツルポオム」といい、「ツル」は縞模様を、「ポオム」は猛獣を表したといいます。その「ツル」が「ツラ」となり「とら」となったという説もあります。カチ かちがらす。これは佐賀を中心とする地方の方言で、かささぎのことです。韓国語ではそのままカチです。このカチは韓国では日常的によく見かける鳥で、カンチェギとも言います。このカンチェギがかささぎの語源ともいわれています。かちがらすは方言ながら、広辞苑にも出ていますよ。 方言ついでにもう一つ。「おいど」。これは大阪弁で尻のことですが、韓国語では「オンドンイ」です。発音が似ていますよね足(タリ)だけでなく、おいども韓国系のことばではないかと疑っているのですが、どうでしょうか。 <火の足を持つ虫> 固有語で韓国系のことば、もうちょっとみてみましょう。 日本では「火」は「ひ」、韓国では「プル」。これも関連があるゆです。このプルが日本に来て「ぽ」となり、現在の「ほ」になったという説があります。「炎」も本来は「火の穂」です。平安時代以前は「はひふへほ」は「パピプペポ」と発音されていました。「火照る」「火垂る」などは「ポテル」「ポタル」だったのです。 「ホタル」は通常、「火が垂れているように見える虫」ということで名が付いたとされています。ですが、前に触れたように「足」は韓国語で「タリ」で、それが「たる」となったとも考えられますから「タル」は「垂れる」ではなく「足」とみるっこともできます。だとすると「ホタル」は「火の足を持つ虫」という意味になりますが、どうでしょう。ホタルで光るのは実際は足ではなく、尻ですが。『日本語と韓国語』1
2020.05.15
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図書館の本を手当たり次第に、借りている大使であるが・・・・なんか慌しいので、この際、積読状態の蔵書を再読しようと思い立ったのです。・・・再読シリーズの一貫として、以下のとおり取り上げてみます。【日本語と韓国語】大野敏明著、文藝春秋、2002年刊<「BOOK」データベースより>二千年の交流関係をもつ日韓両国には同じことばが少なくない。むかしから共通だった固有語(たとえばカマ)、近代に生み出された漢字語(たとえばヤクソク)、日本統治時代に残してきたことば(たとえばワリバシ)、そして近年、韓国から流入して日本に定着したことば(たとえばキムチ)。その一方、韓国に行って安易に「朝鮮」ということばを使うと、とんでもない目にあいかねない。なぜ南は「朝鮮」を忌避し、北は「朝鮮」に固執するのか。そこには、十九世紀末から二十世紀初頭にかけて存在した「大韓帝国」に対する認識の差があった…。日本と韓国の同質性と異質性をことばを通して、多角的にあぶりだす。 <大使寸評>図書館の本を手当たり次第に、借りている大使であるが・・・・なんか慌しいので、この際、積読状態の蔵書を再読しようと思い立ったのです。Amazon日本語と韓国語儒教民族の先祖を見てみましょう。p82~85 <先祖の知識> かつて、知り合いのある雑誌社の記者がカメラマンと初めて韓国に取材旅行に行くというので、以上のような話をしたら、彼は頭を抱え込んでしまいました。彼の姓は伊藤。カメラマンは加藤というのでした。 まあ、現代は伊藤だから、加藤だからと、不愉快な目にあうことはないでしょうが、「加藤さんは、加藤清正と関係がありますか」ぐらいは聞かれるかもしれません。その時、加藤さんが「加藤清正って誰ですか」などと聞いたら、韓国人は、その加藤さんと口をきかないでしょう。 韓国では血がつながっていなくても、同じ姓の歴史上の有名人を知らないなんてことはあり得ません。海外に行く前に、日本の歴史や文化、伝統をよく勉強しておかないと、とんだ恥をかくことになりかねません。 現在の日本で。江戸時代に自分の祖先は何をしていたか。そういうことに興味を持つ人はいても、それと現在の自分と結び付けたり、問題にするような日本人は少ないはずです。 ところが、韓国では大変です。祖先がどこで、どんなことをしていたか、どのような役職についていたか、一族から何人が科挙に合格したか、などは現代を生きる子孫にとっても少なからぬ意味をもちます。極端にいうと自分の社会に対するスタンスが決定されるようなところがあります。縁故(コネ)のようなものは日本とは異なるニュアンスで受け止められます。 韓国ではいまでも、路上などで、「〇〇金氏」などと書かれた冊子が売られていて、それを開くと、先祖から現代に至るまでの「〇〇金氏」出身の科挙合格者名、最終的地位、現代の有名人などが書かれています。 各都市には「〇〇金氏宗親会」といった看板のかかった建物があり、その一族なら、気軽に入って行って、面倒をみてもらうことができます。それほど同じ祖先をもつ一族というのは強い絆で結ばれています。 私も親しい韓国人から、「祖先はどこで何をしていましたか」などとよく聞かれます。「分からない」などと言おうものなら、その韓国人は「自分の祖先のことも知らない無知にして無恥の不孝者」と軽蔑するでしょう。 徳川時代は日韓関係がよく、逆に明治維新以降は色々と問題がありましたから、韓国人は基本的に徳川幕府好き、明治政府嫌いという構図があります。したがって、いまの日本で「わたしは佐幕派です」と言っても、笑われるだけで、誰も相手にしてくれませんが、韓国では結構歓迎されます。これホント。 もう少し古い話をしましょう。数年前、千三百年前まで百済といわれていた忠清道に行ったことがあります。その時、地元の三十代の普通のサラリーマンから言われたことです。「白村江の戦いでは日本は百済を助けて、ともに新羅と戦った。もし、再びわれわれが慶尚道の連中とケンカになったら、加勢してくれ」 そのことばを聞いた時は本当にびっくりしました。韓国人は良くも悪しくも自分のアイデンティティーを大事にします。家族、一族、出身校、出身地、軍隊、祖先などです。でも、それが千三百年前にまでさかのぼるというというのは驚きでした。もちろん、わたしはただちに加勢を断りましたが・・・。 <「西力東漸」下の朝鮮> 祖先がどういう人で、どういう立場にいたかということは、韓国人にとってはいまだに重要なことなのです。祖先を敬い、苗字に誇りをもつことは日本人でも当たり前のことではありますが、韓国ではそれがより強くでます。 韓国からのある留学生がわたしにこう言いました。「韓国も日本も儒教の国で、日本人もわれわれと同じように祖先を敬っていると思っていたが、日本では生きている者の方が死んだ者より大事にされている。韓国では少し前まで、死んだ者の方が生きている者より大事にされていた」 シニカルな言い回しではありますが、先祖に対する日韓の考えの違いを表しているような気がしました。
2020.05.14
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「内田樹の研究室」の内田先生が日々つづる言葉のなかで、自分にヒットするお言葉をホームページに残しておきます。最近は池田香代子さんや、関さんや、雨宮さんなどの言葉も取り入れています。(池田香代子さんは☆で、関さんは△で、雨宮さんは○で、池田信夫さんは▲、高野さんは■で、金子先生は★、田原さんは#、湯浅さんは〇、印鑰さんは@、櫻井さんは*、西加奈子さんは♪で区別します)・ホ・ヨンソン『海女たち』書評・2020年度寺子屋ゼミ受講要項・『山本太郎から見える日本』から・『人口減社会の未来学』から・「サル化する世界」についてのインタビュー・映画『Workers被災地に起つ』神戸・元町映画館でのアフタートーク・週刊金曜日インタビュー・桜を見る会再論・『Give democracy a chance』2・『Give democracy a chance』1・沈黙する知性・China Scare・[週刊ポスト」問題について・『低移民率を誇る「トランピアンの極楽」日本の瀕死』・『ネット右翼とは何か』書評・『最終講義』韓国語版あとがき・『「そのうちなんとかなるだろう」あとがき』・『参院選にあたって』・『廃仏毀釈について』・『論理は跳躍する』・『「おじさん」的思考』韓国語版序文・『市民講座』韓国語版のための序文・空虚感を抱えたイエスマン・大阪万博という幻想・外国語学習について・大学院の変容・貧乏シフト・『知日』明治維新特集のアンケートへの回答・カジノについて・中国の若者たちよ、マルクスを読もう・『街場の憂国論』文庫版のためのあとがき・直言3月号「韓国の教育と日本のメディア」・人口減社会に向けて・時間意識と知性・Madness of the King・吉本隆明1967・大学教育は生き延びられるのか?・こちらは「サンデー毎日」没原稿・奉祝「エイリアン・コヴェナント」封切り・米朝戦争のあと(2件)・気まずい共存について********************************************************************内田先生かく語りき8目次(目次全文はここ)(その20):「ホ・ヨンソン『海女たち』書評」を追記25020/05/11ホ・ヨンソン『海女たち』書評より 私は韓国文学についてほとんど何も知らない。まして詩は私のもっとも苦手とする分野である。だから、日本の詩歌についてさえ一度も書評を書いたことがない。どうしてそんな人間に書評を依頼してきたのか、よく理由がわからない。おそらく訳者の姜信子さんとのご縁だろうと思う。姜さんは「かもめ組」という三人組(浪曲の玉川奈々福さん、パンソリの安聖民さんとのトリオ)で、私の主宰する凱風館で浪曲とパンソリのジョイントコンサートをしたことがある。 韓国文学には無縁の人間だが、さいわい済州島には二度だけ行ったことがある。一度は講演のために、二度目は済州島の生活文化にもその地の痛ましい歴史にも詳しい大阪市大の伊地知紀子さん引率の「修学旅行」として。でも、変な話だけれど、済州島というと一番印象に残っているのは、最初の訪問のときにたまたま立ち寄った漁港の大衆食堂で食べた「さばの味噌煮」ある。この島の人たちが私たちと同じ仕方で調理されたものを、同じように美味しく食べているのだと消化器が証言したときに、日韓の思いがけない近さと、そして遠さを私は同時に感じた。 遠く感じたのは、ほとんど同じ生活文化で身を養ってきたにもかかわらず、その隣人が、この島やあるいは対馬や大阪でどんなことを経験をしてきたのか私はほとんど何も知らないという事実の前にひるんだからである。 私は済州島の潮風に研がれた生活者の顔を前にすると「ひるむ」。それはこの詩集のすべての頁に対した時の私の正直な感懐である。それは恐怖とも嫌悪とも違和感とも違う。見知らぬ老女に不意に「百年前にあんたに最初に会ったのも、こんな風の日だったね」と告げられて、そうだったのか、俺はこの人と血縁だったのに、何か「ひどいこと」をして、それきりになったんだ。そんな漱石の『夢十夜』のような、存在しない記憶が甦ってくるのである。25020/04/172020年度寺子屋ゼミ受講要項より さて、すでに告知しておりました通り、2020年度の前期のテーマは「中国」です。 今回のコロナ禍への対処では中国とアメリカが対照的でしたね。 中国は、最初は感染リスクを過小評価し、情報隠蔽など初動で悪手を打ちましたが、途中から都市封鎖、「一夜城」的病院建設、医療資源の集中的投下などで、感染拡大を抑え込みました。これは中国のような強権的な国家でしかできないことで、「私権の制限できて羨ましい」と感じた人もきっと世界中にはいたはずです。 その後、中国は人工呼吸器、防護服、マスクなどの製造拠点であることの利を生かして、いち早く医療支援国になりました。イタリアが医療崩壊で苦しんでいた時、EUは手を差し伸べませんでしたが、中国は医療支援を申し出て、これでイタリア人の対中国感情は一気にプラスに振れました。 中国はこの「成功体験」を踏まえて、これから「医療支援カード」を最大限外交的に活用してくるだろうと思います。アメリカが感染の止まらない拡大と「アメリカファースト」と大統領選で、国際社会への医療支援の余力がないのに対して、中国の方がこの領域ではあきらかにアドバンテージがあります。 興味深いのは「ワクチンと治療薬の開発」です(これは兪先生からの請け売りです)。 いま、世界でコロナウィルスのワクチンと治療薬を開発できる科学力を持っているのは、アメリカとEUと中国だけです(残念ながら日本には誰も期待していません)。 アメリカが開発した場合、アメリカは自国民の次にはカナダ、メキシコという三国協定加盟国に配布して、あとはできるだけ高値で売りつけようとするでしょう。EUが開発した場合は、自分たちの次には移民労働者の送り出し国に優先的にワクチンを配布する(しておかないと、移民流入で第二波、第三波が来てしまいますから)。だから、マグレブとトルコですね。EU開発のワクチンが日本に回ってくるのはずいぶん後回しになるはず(というのが兪先生の予測でした)。 さて、中国がワクチンを開発した場合はどうなるか。この場合は、日本にはかなり早く来ると僕は思います。たぶん、それも「友だち価格」で。両国民の行き来が盛んですから、日本を「安全」にしておかないと中国も困るからですが、それだけではありません・・・ これを機に中国は一気に70年代の日中共同声明時点のような「日中の蜜月」を再構築しようとするのではないか、と僕は予測しております。 トランプのアメリカが日本を「搾れるだけ搾れる植民地」とみなしていることが日々明らかになる中で、中国が日本を「たいせつな友邦」として遇してくれたら、日本人はどう対応するでしょう? 僕は習近平は、ポストコロナ期の東アジアで、日本を取り込んで、アメリカから心理的に離反させ、あわせて韓国・台湾との「東アジア共同体」構想の真ん中に地政学的なくさびを打ち込む・・・という戦略で来るんじゃないかと思っています。つまり、日本を「経済的属国」にするというプランです。 日本は東アジアの中で最も「属国慣れ」している国ですから、宗主国がアメリカから中国に代わっても、あまり体制に変化がない。(以降、全文は内田先生かく語りき(その19)による)
2020.05.14
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太子はスマホを持っていないので、警察に位置情報は捕捉されないのだ。もし太子がコロナ感染し感染経路を探索する必要が生じた場合には、監視カメラと顔認証技術による割り出ししかないのである。斯様に個人情報に関するセキュリティ感度は高い大使であるが、べつに銀行強盗のような悪事を企てているわけではおまへん(笑)朝日新聞とデジタル朝日に行動監視の記事が出ているので、見てみましょう。(2020.5.11デジタル朝日(記者解説)感染対策からコピペしました)・IT大手がビッグデータを提供。外出自粛要請などの対策を検証する材料になった・政府が技術を駆使し、行動監視する例も。防疫と人権のバランスが問われている・個人データ活用の流れは止まらない。どこまで「ブレーキ」を整備できるかがカギ■ヤフーもLINEも 位置情報や行動履歴など一人ひとりのデータの集積「ビッグデータ」が新型コロナウイルスに対処する新たな武器になるとして、活用の動きが加速している。 日本では、政府が3月末に携帯電話会社やIT大手などに保有データの提供を要請した。ヤフーは厚生労働省と協定を結び、同意を得た利用者の位置情報や購買履歴、検索履歴をスマートフォンのアプリを通じて収集、分析して国や自治体に提供している。携帯電話各社は、基地局を経由して集めた利用者の位置情報やGPSのデータを分析し、人口変動データを公開する。 米グーグルは、地図アプリ「グーグルマップ」で位置情報提供に同意している利用者の動きを分析。「職場」「駅」「公園」など6種類の場所での人の移動の増減を、日本を含む131の国・地域で公開している。 いずれも時系列で人の流れなどが分かるため、外出自粛の効果の検証や、クラスター発生の推測ができる。店舗の営業時間や公共交通機関の運行を検討する際の手がかりにもなっている。 国内で8400万人が利用する通信アプリ「LINE」は厚労省とともに、健康状態などを尋ねる全国調査を実施。約2400万人が回答した3月31日から4月1日の調査では、37度5分以上の発熱が4日以上続いていると答えた人が約2万7千人に上ることがわかった。発熱者を職業別に分析したことで、密集・密閉・密接の「3密」が避けられない職場で感染リスクが高まる可能性があることを裏付けた。 携帯電話会社やアプリ運営会社は、日ごろから利用者の位置情報などを集め、広告やマーケティングに利用してきた。こうした仕組みを生かすことは大きな可能性を持つが、感染症対策に応用する場合は病歴などが関わるため、目的外利用や漏洩のないよう、さらに慎重な取り扱いが求められる。■監視に踏み込む中韓 外国では、政府当局がデジタル技術を駆使して市民の行動監視に踏み込む例もある。 強権的なデジタル監視システムを持つ中国では、政府が感染者の行動を追跡するビッグデータ分析チームを設置。感染者が使った交通機関の便名や座席番号、駅や空港の出入場記録を集めて、行動を割り出してきた。監視カメラの映像をもとにしたとみられる分刻みの動きも公表し、さながら「指名手配犯」だ。こうして73万人以上の濃厚接触者を割り出した。 韓国でも、街中の監視カメラが感染者の行動を追う。クレジットカードの利用履歴やスマホの位置情報を組み合わせ、感染者の行動履歴を10分以内で特定する。自宅隔離中にスマホを持たずに出歩く感染者が増えたため、隔離命令を守らない感染者には任意とはいえ電子腕輪を着けさせている。 個人情報の厳格な保護法制「一般データ保護規則(GDPR)」を定める欧州ですら、イタリアやスペインでの感染爆発で風向きが変わってきた。調査会社ギャラップが欧州16カ国を含む30カ国を対象に3月に実施した意識調査では「ウイルスの拡散防止に役立つならば、自分の人権をある程度犠牲にしてもかまわない」と答えた人の割合が75%に上った。■問われる防疫と人権 防疫と人権のバランスをとることは難しいが、慶応大の山本龍彦教授(憲法)は「『データ利活用』対『プライバシー』という二項対立ではなく、プライバシーを保護しながらうまく利活用する発想が重要」と指摘する。 解決策の一つは、利用者が自発的に情報提供する形をとることだ。シンガポールでは感染者との接触を知らせるスマホのアプリを政府が開発。ブルートゥースを通じ、一定時間、近距離にいる同じアプリを使う他人と電話番号を暗号化したデータを記録し合う。 ただ、登録時には電話番号を入力せねばならず、政府に個人情報や交友関係が把握されることへの心配から、ダウンロード数は人口(約570万人)の5分の1足らずと伸び悩む。人口の約8割が利用しないと外出を自粛するなどの感染抑止につながらないと言われ、効果は限定的だ。 そこで検討されているのが、個人情報の徹底排除だ。グーグルとアップルが異例のタッグを組んで開発した技術は、ブルートゥースを使うのは同じだが、記録する情報に、定期的に変わる符号を使う。サーバーには個人特定につながる情報が残らない。5月中に提供を始める予定で、日本政府とアプリ開発を進める一般社団法人「コード・フォー・ジャパン(CFJ)」も、この技術に対応する予定という。 CFJのアプリでは、感染者が自ら「陽性」と登録する仕様では、うその登録がされる恐れがあるため、登録作業は行政職員に限る予定だ。そうなるとシンガポールと同様、行政との連絡のための電話番号の入力などが想定される。個人情報の排除には限界がありそうだ。 山本教授は「責任主体の明確化や、政府と関係機関とのデータのやりとりの透明性確保は大前提。その上で、データ利用を監視する第三者機関の設置やデータ保存期間の設定など乱用を防ぐ仕組みの整備が必要」と提案する。 感染症の流行や大きな災害への対応のため、個人のデータを活用する流れはもはや止められないだろう。実効性を高めるため、集める情報量を多くしようとの力学が働き、国民に半ば強制するような「アクセル」を踏み込むことがあるかもしれない。それだけに、あらゆる事態を想定したうえで、どのような「ブレーキ」を整備するかの検討が求められている。賽は投げられたのである。(特別報道部・牛尾梓)だいたい、グーグルだってお客のセキュリティなんて気にしてないようです。2020/1/23グーグル、クッキー提供完全廃止の衝撃度合い…ネット広告業界は存亡の危機に陥るのか(記者解説)感染対策に「追跡」技術2020.5.11 この新聞記事をスクラップしたあとに、デジタルで保存するところが、いかにもアナログ老人ではあるなあ。
2020.05.13
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中国大使をつとめ、習近平を知悉する著者が語る中国の実情とのこと・・・本屋で立ち読みしていて衝動買いしたのです。コロナウイルス対応の図書館閉鎖の折、読む本に事欠いてきたので・・・書棚からこの本を引っ張り出してきたのです。調べてみたら2回目の再読になるので、(その3、その4)としたのです。【習近平の中国】宮本雄二、新潮社 、2015年刊<「BOOK」データベース>より猛烈な反腐敗闘争、戦後秩序を揺さぶる外交攻勢、急減速する経済の立て直しー。二〇一二年の総書記就任以来、習近平は猛烈なスピードで改革を進めている。基本的な方向性は間違っていない。しかし、まさにその改革によって、共産党一党支配の基盤は崩れていかざるを得ない。危ういジレンマに直面する中国は今後、どこに向かうのか。中国大使をつとめ、習近平を知悉する外交官が描いた「苦闘する超大国」の実情。<読む前の大使寸評>中国大使をつとめ、習近平を知悉する著者が語る中国の実情とのこと・・・本屋で立ち読みしていて衝動買いしたのです。bunshun習近平の中国中国共産党の病理あたりを見てみましょう。p139~141<暗礁に乗り上げた「みんなの党」路線> このように中国共産党は、“統治の正当性”を国民に説明するのに悪戦苦闘している。江沢民は、在任期間中に3倍強になった経済を背景に「みんなの党」になることで、“統治の正当性”の問題を乗り切ろうとした。だが結局、成功しなかった。 胡錦濤の10年で、名目GDPは6倍弱となった。江沢民をはるかに凌駕する成績である。だがここでも、“統治の正当性”の壁は破れなかった。それは深刻化する経済や社会の疾病に対し、目に見える成果を出せなかったからだ。 ときどき自分の皮膚感覚にぴったりの分析や解説に出合うことがある。ジョンズ・ホプキンス大学ランプトン教授の「軋みだした中国の統治システム」(『フォーリン・アフェアーズ』誌2014年1/2月号)という文章が、その一つだ。その中でランプトン教授は、トウ小平の時代と現代がいかに違うかをおよそ三点にまとめている。 彼はまず、「中国の個々の指導者は、お互い同士および社会との関係において次第に弱くなってきている」と言う。 確かに毛沢東やトウ小平は、中国革命をまさに身を以て実行し、完成させた人々であった。明治の“元勲”と同じように見えるが、毛沢東やトウ小平は、伊藤博文や山県有朋たちより一世代上の、西郷隆盛や高杉晋作クラスの“元勲”なのだ。その後に続いた政治家とは重みが違う。 トウ小平自身、指導グループには必ず中心があるべきことを強調している。そして「第一世代の指導グループの中心は毛沢東であり、・・・第二世代は、実際上、私だった」と述べている。だから第三世代以降もそうでならなければならないのだが、江沢民の世代はどうにか江沢民が中心に座ったが、胡錦濤はそれさえできなかった。 時代が下がるごとに、党および国民社会との関係において、個々の指導者の力は確実に弱まっている。習金平はここに挑戦しようとしている。 ランプトンは二番目に「中国の社会、経済および官僚機構は細分化され、中国の指導者が対応し、少なくとも管理しなければならない関係者・部門の数が急激に増えている」と主張する。 中国の社会、経済および官僚機構が細分化されたのは、制度化の進展と密接不可分の関係にある。新たな経済活動が新たな生活空間、つまり社会の活動空間を生み出す。経済も社会も、急速に多様化し多元化しており、それを管理する党・政府機構も拡大し多様化し細分化していく。 中国の急激な経済成長は、古い制度を無意味にし、新たな制度を求める。ルールを作り、それを実施する仕組みを作り、それらを運営できる人材を養成しなければならない。しかも出来あがったと思ったら、もう時代遅れになっている。 そうなると一昔前のように、一つの課題に一つの政策という単純な手法は使えない。複数の課題を同時に解決する複合的な政策しかない。だが複雑になればなるほど政策の実施は難しくなるし、効率も落ちる。とりわけ共産党のように上からの命令や指示で動かす仕組みになっている組織にとっては難しい。それが現在の中国指導部の直面している現実なのだ。『習近平の中国』1:中国脅威論p216~218、王朝崩壊のメカニズムp133~135再読『習近平の中国』:腐敗問題p74~77、三農問題p151~153、中国脅威論が理解できないp216~218『習近平の中国』3:中国の軍拡p182~186
2020.05.13
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中国大使をつとめ、習近平を知悉する著者が語る中国の実情とのこと・・・本屋で立ち読みしていて衝動買いしたのです。コロナウイルス対応の図書館閉鎖の折、読む本に事欠いてきたので・・・書棚からこの本を引っ張り出してきたのです。調べてみたら2回目の再読になるので、(その3)としたのです。【習近平の中国】宮本雄二、新潮社 、2015年刊<「BOOK」データベース>より猛烈な反腐敗闘争、戦後秩序を揺さぶる外交攻勢、急減速する経済の立て直しー。二〇一二年の総書記就任以来、習近平は猛烈なスピードで改革を進めている。基本的な方向性は間違っていない。しかし、まさにその改革によって、共産党一党支配の基盤は崩れていかざるを得ない。危ういジレンマに直面する中国は今後、どこに向かうのか。中国大使をつとめ、習近平を知悉する外交官が描いた「苦闘する超大国」の実情。<読む前の大使寸評>中国大使をつとめ、習近平を知悉する著者が語る中国の実情とのこと・・・本屋で立ち読みしていて衝動買いしたのです。bunshun習近平の中国中国の軍拡あたりを見てみましょう。p182~186<「軍事大国で当然」と考える中国人> 習近平の唱える「中国の夢」にでてくる「国家の富強」という言葉は、トウ小平の時代からある言葉で、別に習近平の専売特許ではない。明治日本のスローガンも「富国強兵」であったことが思い出される。 山田辰雄は、20世紀中国には一貫して存在していた国民的なアイデンティティがあると言う。一つは強い中国をつくりだす、つまり「富強」。もう一つが中国の伝統的アイデンティティ、つまり中国を中心とする世界秩序なるものを取り戻したいということだ。 私は長い間、中国人と付き合ってきて、とにかく中国は強くなければならず、大国にふさわしい軍事力を持つべきだと多くの人が自然に考えていることに気付いた。それは、近代中国の屈辱の歴史が、彼らの心にトラウマとして残っていることの証しでもある。「中国の夢」の中に「強軍の夢」が含まれている。現に習近平もそう発言している。これまで中国は、長い間、強大な軍事力を持つことはできなかった。持ちたくても持てなかったのだ。それを可能とする経済力がなかったからだ。 だから毛沢東は侵略者を内陸に引き込み、人民の海の中でおぼれさせる「人民戦争論」を打ちだした。そして米ソの核兵器は「張子の虎」だとも言い放った。しかし、すべてを犠牲にしてでも核兵器の開発に突き進んだのも毛沢東であった。少量を保有するだけでも超大国に対抗できる核兵器の意味を正確に理解していたからである。 トウ小平は軍隊の建設を含む国家の建設は、経済力、さらにはそれを支える科学技術の力がないと不可能なことはよく分かっていた。だからあらゆるものの基礎である経済の発展を最も重視した。そして軍事戦略をより合理的なものとし、80年代に兵員の数も大幅に減らし、国防予算も減らした。当時の政策のプライオリティが圧倒的に経済発展にあったからだ。 だが90年代以降、中国の国防費は大幅に増額されていった。90年に290億元であった国防予算は、00年には1205億元へ、そして10年には5190億元へと急増している。ただストックホルム国際平和研究所の推計によれば、GDPに対する国防費の比率に大きな変化は見られない。90年に対GDP比2.5%であったものが、00年は1.9%、10年は2.1%とほぼ2%の線を維持している。 つまり中国経済の急速な成長が、国防費を増大させ、軍の近代化を推進することを可能としていたのである。10年のアメリカの国防費の対GDP比が4.8%であり、インドのそれが2.7%であったことを考えると、中国には数字的な余裕さえ感じられる。ちなみに日本はほぼコンスタントに対GDP比1%を維持している。 ついに中国は、強大な軍事力を作り上げることのできる経済力を手にしたのだ。<「外に出る軍隊」となった人民解放軍> 経済の発展に支えられて中国の国防費は増え続け、予算ベースでは07年に、国防費ベースでは04年に日本を追い越し、アメリカに次ぐ世界第二位の国防費を誇っている。それでもまだアメリカの4分の1に過ぎない。 国防費の額に加え、アメリカのこれまでの長期にわたる蓄積や技術開発力を考えると、中国の軍事的な実力はアメリカにはるかに及ばない。だが着実に増強はされており、アメリカのアジア太平洋戦略にも大きな影響を及ぼし始めている。それは人民解放軍の次の二つの変化によってもたらされた。 一つは、中国の対台湾軍事戦略の中身が変化したことによる。中国の侵攻を阻止できるいかなるシナリオも台湾側に持たせないというのが、人民解放軍の一貫した基本戦略であった。そういうシナリオを一つでも持つと台湾が独立しかねないことを恐れたのだ。 この台湾独立阻止の基本戦略は不変だが、中身が変わった。第三次台湾海峡危機(95~96年)が、それに大きな影響を与えたことは間違いない。台湾の李登輝総統の対中政策に不満だった中国は、96年の台湾の総統選挙に圧力を加える目的で、人民解放軍による台湾海峡でのミサイル発射訓練を実施した。 さらに台湾海峡南部で海空の軍事演習を行った。これに対しアメリカは、台湾付近に空母インディペンデンスを含む第7艦隊を派遣した。そして台湾海峡をこれ見よがしに通過した。いざとなれば台湾を守るぞ、という明確な意思表示であった。 中国側はこれ以降、現実問題として、台湾解放シナリオに米軍の関与を想定せざるを得なくなった。つまり、いかなる状況でも必ず台湾を解放できるようにするためには、米軍の台湾への接近を許さないようにしなければならなくなったのである。『習近平の中国』1:中国脅威論p216~218、王朝崩壊のメカニズムp133~135再読『習近平の中国』:腐敗問題p74~77、三農問題p151~153、中国脅威論が理解できないp216~218『習近平の中国』3:中国の軍拡p182~186
2020.05.12
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学校の休校が9月まで続くので、オンライン授業を行う計画があるとのこと。・・・格好はいいのだが、現状のオンライン授業の実施率は5%程度ということで、言うは易し行うは難い状況のようです。だいたい、デジタルに疎い自民党議員と文科省などお役所のお寒い現状があるわけで、ツイッターに「オンライン授業は現状では無理@SankeiBiz」とのツイートがおました。ある公立小学校には、配信に必要な機材がそろっており、一部の保護者からライブでの授業配信の要望があるが、「ネット環境やPCがない家庭がある以上、学習に大きな差の出るやり方はできない」と配信に踏み切れないという。心配になった大使は、オンライン会議について調べてみました。関連するネット記事を見てみましょう。テレワーク・在宅勤務向け LoopGateスタートパックより■テレビ会議とWEB会議の違い、他製品との比較テレビ会議には、主に専用機を使った「テレビ会議システム」とパソコンやスマートフォンを使った「WEB会議」の2種類の製品があります。テレビ会議専用機の特徴は、高画質・高音質で通信的なトラブルも少なく安定した運用が行えます。しかし、専用機器は高価なものが多く、設置や運用にIT知識を持つ担当者が必要となるケースが多くあります。そのため、大企業の経営会議や国際会議で利用されるシーンをよく見かけます。一方でパソコンやスマホを使ったWEB会議の場合、各社が様々な料金体系やオプション機能を用意しており、無料で利用できるサービスもあります。しかし、音声や映像が不安定になるなどトラブルが発生することもあり、対応できる知識を持った個人間での利用には向いていますが、社内会議といったシーンには不向きです。LoopGateは、専用機タイプでありながら、パソコンタイプ(WEB会議)の手軽さを兼ね備えた製品となっております。WEB会議の場合、ハンドル名の消費者が特定される恐れがあるそうです。スマホを持たない太子は、当分の間は安全といえるわけだが・・・スマホべったりのアホな女学生などが危険なようですね。だいたい、グーグルだってお客のセキュリティなんて気にしてないようです。2020/1/23グーグル、クッキー提供完全廃止の衝撃度合い…ネット広告業界は存亡の危機に陥るのか
2020.05.12
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太子はインスタグラムとは相性が悪いので付き合いはないのだが、そのインスタグラムでは原田マハ著『喝采』の評判がいいらしい。・・・ということで、「原田マハ公式ウェブサイト」を覗いてみました。原田マハ公式ウェブサイトより すべてがあっというまに始まったことが、一番の驚きでした(Day 5)。フランスという国が「やるときはやる」底力を持っているんだということも驚きでしたが、民主主義、つまり主権は自分たちにあることを国民がどこまでも主張する国でもあります。電光石火で強力に推し進める代わりに補償することを忘れない、それが肝心でした。そうじゃないと国民が黙って自宅待機してくれるはずがないから。日本とは全く違う社会構造がある、強い民主主義の国なんだと思い知らされました。Q:日本へ帰ることができないかもしれない、という状況は、今まで世界中を飛び回っているマハさんでも、初めての経験だと思います。パリの状況が刻々と変わるなか、どんな不安を抱え、どう乗り越えられましたか? ロックダウンされた街中を歩いていると、完璧な映画のセットの中にいるようで、例えようもなく美しい街だと感じると同時に、物悲しさや虚しさも感じました(Day 7)。パリという街は実に人間くさい街なのだとわかりました。人がいて、にぎわっていたからこそ、美しさが際立っていたのだと。 それぞれが自分の場所に引きこもるしかなく、むしろ仕事に集中できるだろうと思っていたのですが、実際にはおろおろしてなすすべなく、手を洗うことに集中するばかりでした(Day 11)。帰れないかもしれないという考えが浮かんだとき、美しいパリの行く末を見極めるのもいいかなと、妙にセンチメンタルな気分になったりもしました(Day 12)。が、その気持ちを一変させたのが、志村けんさん逝去のニュースでした。 あんなに多くの人たちに愛された志村さんが、ウィルスに命を奪われ、誰にも見送られることなく一人で旅立ったと知り、そこはかとない衝撃を受けました。私は、パリにいる自分を志村さんに重ね合わせました。もしここで重篤な状態になったら、医療現場を混乱させ、フランスの友人たちに迷惑をかける。万一命を落としたら、どこに葬られるかもわからず、日本の家族や関係者、読者の皆さんを落胆させるでしょう。自分のことなのに自分で責任を取れない。そう気がついたとき、帰らなければと思ったのです(Day 14)。 日本でならば、最低限、自分のことは自分で責任が取れる。せめてそこまではもっていかなければならないと。 結局、志村さんの早すぎる死に背中を押されたかたちになりました。お会いしたことはなかったのですが、山田洋次監督は「笑いの天才だ」とおっしゃっていました。本当に偉大な方だったと思います。 彼の死を絶対に無駄にしてはいけない。志村さんの逝去は日本の人々に「パンデミックを甘くみてはいけない」という最強の警告になったと思います。実際、彼の逝去後に、政府も含め、人々の意識が劇的に変わったと感じます。Q:「喝采」のタイトルがどういった物語に繋がっていたのかわかったとき、心が震えました。この回を描くことで、マハさんは希望を伝えたかったように思うのですが、いかがでしょうか? ロックダウンが始まってしばらくしてから、医療従事者への感謝の気持ちを表すために、20時ぴったりにバルコニーで拍手を送るというアクションが自然と広がりました。私の書斎はセーヌ川沿いにあるのですが、20時ちょうどに晩鐘が響き渡り、同時にさざ波のような拍手の音が聞こえてくるのです。私も窓を開けてそれに加わりました(Day16)。 この喝采は、命がけで闘っている医療従事者への感謝のしるしであると同時に、パリじゅうの人々の「自分たちは生きている、みんな一緒だ、生き抜くんだ」という連帯の決意表明、命の証しだと感じました。空っぽの街、流れゆくセーヌに響き渡る喝采はこの上もなく感動的で、深く胸に刻まれました。この体験を忘れないために文章に残したいと強く思い、まずタイトルが決まりました。
2020.05.11
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<フランスのコロナウィルス対応>ヨーロッパ(英仏独など)では、11日から制限緩和が始まるが、ネット情報でフランスの動きを見てみたのです。個人的にはフランス語の勉強も兼ねておりますが。2020/05/10Coronavirus en France : 278 nouveaux deces, 25809 morts depuis le debut de l’epidemieよりL'épidémie de coronavirus a fait 70 morts de plus en 24 heures en France, portant le nombre total de décès à 26.380 depuis le 1er mars selon le bilan officiel publié dimanche. Les autorités appellent à la prudence alors que débute le déconfinement progressif du pays ce lundi 11 mai.A la veille d'une levée progressive des restrictions, la France a enregistré dimanche son plus faible bilan officiel du coronavirus depuis le début du confinement. L'épidémie a fait 70 morts de plus en 24 heures portant le nombre total de décès à 26.380 depuis le 1er mars, selon la Direction générale de la santé et la pression sur les services d'urgence hospitaliers se réduit toujours.2020/05/07Coronavirus en France : 278 nouveaux deces, 25809 morts depuis le debut de l’epidemieよりLa Direction generale de la Sante recense toujours 3 147 patients hospitalises en reanimation pour une infection au SARS-CoV-2. Quant a la carte quotidienne du deconfinement, elle ne connait presque aucun changement par rapport a la veille.A la veille de la presentation par Edouard Philippe des details du debut du deconfinement au cours d'une conference de presse, la France denombre 278 nouveaux deces lies au coronavirus en 24 heures, a annonce la Direction generale de la Sante (DGS) dans un communique ce mercredi. Depuis le debut de l'epidemie, 25 809 personnes sont mortes du Covid-19 dans le pays.Dans le detail, la DGS denombre 16 237 deces en milieu hospitalier (+ 177 en 24 heures) et 9 572 dans les etablissements medico-sociaux (+ 101), notamment en Ehpad.楽天ブログでは仏語フォントを受け付けないので、閉じる前のこの状態で表示しておきます。
2020.05.11
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コロナウイルス対応の図書館閉鎖の折、読む本に事欠いてきたので・・・書棚から、この本を引っ張り出してきたのです。本屋で『トウ小平』という本を見かけたが・・・・エズラ・ヴォーゲルに橋爪大三郎が質問するという対談形式の本である。日米の英知が中国の巨大政治家を語るという企画が…ええでぇ♪…ということで、ほぼ衝動買いとなった次第です。【トウ小平】エズラ・ヴォーゲル×橋爪大三郎著、講談社、2015年刊<商品説明>より トウ小平は、中国の方向をどのように転換させたのか。強大な経済力・政治力パワーをもつに至った中国の基礎をどのように築いたのか。「現代中国の父 トウ小平」の著者が、トウ小平の生涯と業績の大事なポイントを語る。【「TRC MARC」の商品解説】「トウ小平は、20世紀後半から21世紀にかけての世界史にとって、もっとも重要な人物だ」――橋爪大三郎「いま中国は相当強くなった。10年か20年で、GDPは世界のトップになるだろう。これがどうして可能になったかというと、トウ小平の開いた道なわけです。あれほど経験があって、権威があって、あらゆる面の実力を兼ねそなえている人は、いない」「このインタヴューは短いけれど、トウ小平の生涯と業績の大事なポイントをすべて盛り込むものになった」――ヴォーゲル<読む前の大使寸評>エズラ・ヴォーゲルに橋爪大三郎が質問するという対談形式の本である。日米の英知が中国の巨大政治家を語るという企画が…ええでぇ♪hontoトウ小平エズラ・ヴォーゲルこの本の中国での反響あたりを、見てみましょう。p243~247<『トウ小平』の反響> 橋爪:『トウ小平』が出てから数年がたち、書評や批判など、いろいろな反応が出揃ったと思います。想像通りの反応、予想外の反響、どんなものがありましたか? ヴォーゲル:ま、だいたい、思ったような反応ですね。九割ぐらいは。いい本だとか、客観的で、勉強になりましたとか、前にわからかったことを、教えてもらったとか。とりわけ、中国の専門家のあいだでは、すごく成功している。ああいう本はやっぱり、いままでなかったんですね。 橋爪:はいはい。 ヴォーゲル:反対するひとは、主に海外ですね。トウ小平をほめすぎだ。悪いことをやっているのに、それを十分に指摘しなかった、十分に批判しなかった、と。 中国では、やはり九割ぐらいは、いい本だという反応です。どうして、中国人が書けないのか。どうして外国人があれほどいい本を書けるのか。あるひとはその理由を考えて、自由に学問研究ができないからだ、としていた。とにかく、中国人がいままであれほどいい本を書けなかったのが、残念だと思うひとが多い。 本のなかみでは、トウ小平に対して、右、左、両方の反応があるんですね。 左からの反応はこうです。市場開放以降は、個人主義が強まり、いま腐敗問題が出てきた。これは市場開放をやりすぎた結果だ。古い共産党の考え方は、まだよかった。毛沢東は、大躍進は間違ったし、文化大革命も間違ったけれども、国のため、個人の利益のためではなく集団的なやり方のため、政策を行った。トウ小平はその点ダメである。私は彼をほめすぎている。以上が左からの批判。 橋爪:はいはい。 ヴォーゲル:右からの批判はこんな具合ですね。胡耀邦の政治改革プランはすばらしかった。トウ小平は権力を持っていたのに、どうしてせっかくの改革プランを活かして、民主主義の国をつくらなかったのか。どうして胡耀邦に対して、あれほど冷たかったか。どうして天安門事件で、人を殺したか。そういうような、トウ小平の問題点を、ヴォーゲルは十分に批判していない。右からは、こういう味方ですね。 中国の人びとはやっぱり、アメリカ人よりも、中国の情勢をわかっているんですね。そこで、外国人がこれほど事情をよく調べてわかったのか、と判断できるわけです。そういう人びとは、いろいろ小さな間違いも指摘してくれた。それは助かっています。 橋爪:だいたいでも、予想の範囲内ですね。予想外の、重大な批判で、答えなきゃいけないみたいなのは、ありましたか? ヴォーゲル:・・・別に、ないと思いますねえ。 橋爪:アッハハハハ。 ヴォーゲル:面白い話があるんですね。方励之が、『ニューヨーク・レヴュー・オブ・ブックス』に、書評を書きました。この本はトウ小平をほめすぎだと、批判した。そしたら、ボクの本の出版社が、方励之の書評の一部を使わせてくれって。結局彼は、ボクを助けてくれたんですね。 橋爪:ハハハハ。 ヴォーゲル:逆効果ですねえ。そういう使い方もあったんです。<江沢民は、かなり成功> 橋爪:ポストトウ小平の指導者たちについて、順番に、コメントいただきたいと思います。まず江沢民について。さっき、とてもよくやった、というお話でした。 ヴォーゲル:江沢民は、開放以前に、西側のことをよく勉強したのです。60年代、ソ連に行って国際的な経験があった。それから、80年代に貿易の関係の仕事もして、科学についてもよくわかっている。なかなか国際的な人物だと、言えるんですね。 天安門事件のあと、外国とうまくやるために、いい関係をつくるのに、忍耐力をもって取り組んだ。それから92年の、トウ小平の南巡講和のあとは、もう少し改革のテンポを速めるようにした。ずっと続いたと。 残念ながら日本の関係では、ぎくしゃくした。92年に日本を訪ねたときはあんまり問題がなかったけれども、90年代後半にかけては関係がちょっと悪くなった。江沢民が、判断を間違った。残念ですね。日本と中国は、やっぱりぶつかってしまった。 天安門事件のあとは、外国の制裁もあったし、中国の政治経済を軌道に乗せるのは、簡単ではなかったんですね。それを考えると、江沢民はかなり成功した。 橋爪:なるほど。<胡錦濤は、迫力に欠ける> ヴォーゲル:胡錦濤は、日本でたとえるなら、松下政経塾。政治家の親戚もいないし、友達もいない。そこで、自分の道を選ぶとき、共産主義青年団に入り、そのあとずっと歩いてきた。 それで、胡錦濤は、ちょっと官僚タイプですね。優秀。ただ、政治の力はあまりなかったし、人間関係もあまりなかったんですね。 橋爪:なるほど。 ヴォーゲル:だから、強いことができなかった。 いい政策はあったわけです。たとえば、政府の資金をやりくりして、農村の財政をテコ入れしよう。トウ小平の時代には沿海地方が発展するわりに、内陸が立ち遅れていたから、そちらを重点にしよう。そういう政策は、悪くなかったと、私は思いますね。 橋爪:同感です。 ヴォーゲル:ただ彼は、腐敗問題がどんどんひどくなって、国民も、なんとかしてほしいと思ったのに、それほど大胆なことができなかったんですね。胡錦濤は、遠慮がちに、あまり目にあまるケースを取り締まっただけだった。彼は、よくも悪くも、いい官僚的な人間だった、という感じがしますね。『トウ小平』1:指導者の交替p138~140『トウ小平』2:改革開放p154~160『トウ小平』3:革命よりも改革p164~168、流血の天安門p214~218『トウ小平』4:中国共産党の病理p231~234、習近平は、実力者p248~250『トウ小平』5:フランス留学p41~43『トウ小平』6:中国に戻ったトウ小平と共産党p48~51『トウ小平』7:中国共産党と日本の自民党p168~170
2020.05.10
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コロナウイルス対応の図書館閉鎖の折、読む本に事欠いてきたので・・・書棚から、この本を引っ張り出してきたのです。本屋で『トウ小平』という本を見かけたが・・・・エズラ・ヴォーゲルに橋爪大三郎が質問するという対談形式の本である。日米の英知が中国の巨大政治家を語るという企画が…ええでぇ♪…ということで、ほぼ衝動買いとなった次第です。【トウ小平】エズラ・ヴォーゲル×橋爪大三郎著、講談社、2015年刊<商品説明>より トウ小平は、中国の方向をどのように転換させたのか。強大な経済力・政治力パワーをもつに至った中国の基礎をどのように築いたのか。「現代中国の父 トウ小平」の著者が、トウ小平の生涯と業績の大事なポイントを語る。【「TRC MARC」の商品解説】「トウ小平は、20世紀後半から21世紀にかけての世界史にとって、もっとも重要な人物だ」――橋爪大三郎「いま中国は相当強くなった。10年か20年で、GDPは世界のトップになるだろう。これがどうして可能になったかというと、トウ小平の開いた道なわけです。あれほど経験があって、権威があって、あらゆる面の実力を兼ねそなえている人は、いない」「このインタヴューは短いけれど、トウ小平の生涯と業績の大事なポイントをすべて盛り込むものになった」――ヴォーゲル<読む前の大使寸評>エズラ・ヴォーゲルに橋爪大三郎が質問するという対談形式の本である。日米の英知が中国の巨大政治家を語るという企画が…ええでぇ♪hontoトウ小平エズラ・ヴォーゲル中国共産党と日本の自民党あたりを、見てみましょう。p168~170<共産党は永遠か> ヴォーゲル:ある友だちが聞くんです。50年あと、中国共産党はまだあるかどうか。ボクの想像ですが、たぶん、トウ小平も、将来のことを考えたと思うんですね。 トウ小平はそもそも、何のために戦ったか。ボク自身の解釈は、共産党よりも国のためである。そう私は思うんですね。彼の、国のためによかれと思う政策で、共産党が変わってもかまわない。もっと民主主義でやっても、中国のためにそれが必用なことなら、かまわないという考え方だと思うんです。 共産党とほかの党があって、選挙があっても、トウ小平は反対しない。共産党の代わりにほかの党、たとえば社会党が、政権を担当しても、20年、30年あとなら許したっていい。それがトウ小平の考え方だと思うな。 トウ小平は、それを頭のなかで考えた。でも、それを絶対に言わない。でも、あれだけ合理的で実践的な彼の考え方からすると、そういう結論になるだろうと、思うんです。 橋爪:私もそう思うんですけど、しかしまあそれは、だいぶ先の話である。 そんなふうに柔軟に、中国の将来を考えることのできたひとが、次の章でみるように、天安門事件にぶつかってしまったのは、まことに不運なことだと思います。 ヴォーゲル:そうそう。<共産党と自民党> 橋爪:そういうことですとね、中国共産党は日本の自由民主党と非常に似てきたと。 ヴォーゲル:ハハハハハ。 橋爪:自由民主党がやっているのは、農民と資本家と労働者と中小企業と、いろいろな人びとの利害を調整しながら、経済成長をして、まあ改革開放もやって、中国がやっているのと、同じことをやっている。 どこが違うかというと、自由民主党は選挙があるとうこと。でも、何回選挙をしても必ず勝つ。中国共産党は選挙がないから、ずうっと政権を担当しているって、ここが違う? ヴォーゲル:ボクはそれはあまり考えてなかったんですけれども、労働組合はやっぱり社会党でしょう。自民党ではなくて。 橋爪:いちおう。 ヴォーゲル:55年からずうっと、何十年間、労働者と・・・。 橋爪:選挙のたびに、だいたい野党の議席の三分の一。憲法改正に必用な「三分の二」を自民党に与えないっていう構図になります。 ヴォーゲル:中国は、人口がすごく大きい。ですから、実際に農民をほんとに代表できるのか、ボクはちょっと信じない。十分に信じていないですね。共産党の幹部は、ほんとに農民の代表なのか。農民もあんまり、そこまで、考えていないと思うんですね。 日本はもう少し、自由社会だと思うんです。ですから、誰かを代表できる。日本は、第二次大戦の当時には、宣伝部門があった。だけど、戦後はなくなったんですね。NHKがあるわけだけど、宣伝っていう感じじゃない。 中国では、日本並みに、農民や労働者を、ほんとうに代表したか。まあ、言葉として代表したけれども、実際には、それほど代表していないと思います。 橋爪:おっしゃる通りですね。『トウ小平』1:指導者の交替p138~140『トウ小平』2:改革開放p154~160『トウ小平』3:革命よりも改革p164~168、流血の天安門p214~218『トウ小平』4:中国共産党の病理p231~234、習近平は、実力者p248~250『トウ小平』5:フランス留学p41~43『トウ小平』6:中国に戻ったトウ小平と共産党p48~51
2020.05.10
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コロナウイルス対応の図書館閉鎖の折、読む本に事欠いてきたので・・・書棚から、この本を引っ張り出してきたのです。本屋で『トウ小平』という本を見かけたが・・・・エズラ・ヴォーゲルに橋爪大三郎が質問するという対談形式の本である。日米の英知が中国の巨大政治家を語るという企画が…ええでぇ♪…ということで、ほぼ衝動買いとなった次第です。【トウ小平】エズラ・ヴォーゲル×橋爪大三郎著、講談社、2015年刊<商品説明>より トウ小平は、中国の方向をどのように転換させたのか。強大な経済力・政治力パワーをもつに至った中国の基礎をどのように築いたのか。「現代中国の父 トウ小平」の著者が、トウ小平の生涯と業績の大事なポイントを語る。【「TRC MARC」の商品解説】「トウ小平は、20世紀後半から21世紀にかけての世界史にとって、もっとも重要な人物だ」――橋爪大三郎「いま中国は相当強くなった。10年か20年で、GDPは世界のトップになるだろう。これがどうして可能になったかというと、トウ小平の開いた道なわけです。あれほど経験があって、権威があって、あらゆる面の実力を兼ねそなえている人は、いない」「このインタヴューは短いけれど、トウ小平の生涯と業績の大事なポイントをすべて盛り込むものになった」――ヴォーゲル<読む前の大使寸評>エズラ・ヴォーゲルに橋爪大三郎が質問するという対談形式の本である。日米の英知が中国の巨大政治家を語るという企画が…ええでぇ♪hontoトウ小平フランスから中国に戻ったトウ小平あたりを、見てみましょう。p48~51<中国に戻ったトウ小平と共産党> 中国に戻ったトウ小平は、やがて上海で、地下活動に入った。そして、モスクワで知り合った張錫エンという女性と結婚をした。そのあと1929年には江西省に派遣され、根拠地の構築に従事した。しかし、軍閥に攻撃されて、自分の部隊と離れ、単身上海に戻った。身重の妻は産褥熱で亡くなり、子どもも死んでしまった。そのあとトウ小平は、阿金という革命家の女性と知り合い、結婚した。 1931年、トウ小平は妻とともに、江西省の瑞金に着任した。毛沢東がソヴィエト根拠地を築いていた地域である。トウ小平は、毛沢東を高く評価するようになったが、党中央は毛沢東だけでなくトウ小平も批判し、妻の阿金までもがその批判に加わった。トウ小平は職を解かれるが、フランス時代からの友人、李富春に助けられた。 国民党が井崗山の共産党根拠地への攻勢を強めたので、共産党は同地を脱出、長征の途に出る。八万余の兵力は1935年、陝西省に着くころには一万に減っていた。途中、遵義の会議で、毛沢東は共産党の指導権を確立している。 1937年、日本が全中国の支配に乗り出すと、国共合作が成立した。共産党は延安を根拠地に、八路軍を組織。トウ小平は劉伯承とペアを組んで、抗日戦争、ついで国共内戦を戦った。トウ小平は卓琳と1939年、延安で三度目の結婚をした。卓琳は、三人の娘と二人の息子を生んだ。(中略)<中国革命に参加> 橋爪:そのあとトウ小平は、共産党員として、しっかり頑張っていった。最初は上海にいて、そのあと広西で、しばらく武装闘争に従事していますね。 ヴォーゲル:そうです。 橋爪:その間彼は、だんだんとヴェトナムとの国境の田舎のほうへ追いやられている。広西では、そのころの共産党の方針で、根拠地をつくって武装蜂起を成功させようと、いろいろ努力したけれど、結局失敗してしまう。 ヴォーゲル:そうですね。 橋爪:そのときに、彼は、軍隊とはぐれてしまって、そのまま上海に戻ってきたというので、自己批判していますね? ヴォーゲル:自己批判したはずですね。ボクは記録はみていなかったんだけれど、広西ではうまくできなかったし、自分の部隊から離れて、自分一人で上海に戻ってきたというのだから、まあ批判されるはずですね。 橋爪:それは、どれぐらいまずいことなんでしょう? ヴォーゲル:当時は、少し、まずかったんですね。上海に戻ってから、共産党の上層部で問題にされた。 橋爪:この時代、「個人トウ案」(個人履歴書の制度)はもう、始まっていましたか。トウ小平がなにか間違ったことをすると、それが書かれてしまって、上級の党員はそれを見ることができた? ヴォーゲル:ボクが知っている限り、当時、記録は、それほど整っていなかった。混乱していましたね。 延安時代から、資料はずいぶん整って、各党員の履歴とか、細かいところまで書かれるようになるんですが、それ以前は、党員個人の情報はあまり記録されていません。<「毛沢東派」として批判される> 橋爪:そのあと大事なのは、トウ小平が、「毛沢東派」とされ、失脚してしまうことです。38年の1月に、瑞金に行っていますね。そのころスパイ事件がいろいろあったのを、トウ小平は調査して、冤罪を明らかにしたりした。そのあと近くの、瑞金県の仕事をしたのですが、党中央から批判されて、失脚してしまう。 ヴォーゲル:そうですね。毛沢東の弟らと一緒に、活動をしていたのです。ですからトウ小平は、毛沢東を支持したというふうに批判された。『トウ小平』1:指導者の交替p138~140『トウ小平』2:改革開放p154~160『トウ小平』3:革命よりも改革p164~168、流血の天安門p214~218『トウ小平』4:中国共産党の病理p231~234、習近平は、実力者p248~250『トウ小平』5:フランス留学p41~43
2020.05.09
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コロナウイルス対応の図書館閉鎖の折、読む本に事欠いてきたので・・・書棚から、この本を引っ張り出してきたのです。本屋で『トウ小平』という本を見かけたが・・・・エズラ・ヴォーゲルに橋爪大三郎が質問するという対談形式の本である。日米の英知が中国の巨大政治家を語るという企画が…ええでぇ♪…ということで、ほぼ衝動買いとなった次第です。【トウ小平】エズラ・ヴォーゲル×橋爪大三郎著、講談社、2015年刊<商品説明>より トウ小平は、中国の方向をどのように転換させたのか。強大な経済力・政治力パワーをもつに至った中国の基礎をどのように築いたのか。「現代中国の父 トウ小平」の著者が、トウ小平の生涯と業績の大事なポイントを語る。【「TRC MARC」の商品解説】「トウ小平は、20世紀後半から21世紀にかけての世界史にとって、もっとも重要な人物だ」――橋爪大三郎「いま中国は相当強くなった。10年か20年で、GDPは世界のトップになるだろう。これがどうして可能になったかというと、トウ小平の開いた道なわけです。あれほど経験があって、権威があって、あらゆる面の実力を兼ねそなえている人は、いない」「このインタヴューは短いけれど、トウ小平の生涯と業績の大事なポイントをすべて盛り込むものになった」――ヴォーゲル<読む前の大使寸評>エズラ・ヴォーゲルに橋爪大三郎が質問するという対談形式の本である。日米の英知が中国の巨大政治家を語るという企画が…ええでぇ♪hontoトウ小平フランス留学あたりを見てみましょう。p41~43<フランス留学> ヴォーゲル:トウ小平は、16歳でフランスに留学します。フランス語はあまりよく出来なかったんですけれど、勉強家だった。ある者はマルクスを読み、ある者は経済を読み、留学生たちは政治を熱く語りあった。中国がどうして1919年に、これほど損害を被ったのか、知ろうとしたのです。 結局、トウ小平は、フランスの大学の正規生として、勉強することはできなかったが、留学生たちの勉強会で、多くを学んだ。参加者はみな、知識階級の人びとで、政治の動き、歴史の現状を話し合った。そういう討論の場が、非常に大事だったのです。 橋爪:そもそも当時の留学って、大変なことですよね。家族に経済力があって、チャンスに恵まれるのはもちろん、本人の強い意志がなければ。 ヴォーゲル:両親が、少なくとも父親が留学させたのですね。そのころ若者は、父親の言うことを聞くものだった。どこまでが父親の意志で、どこからが本人の意思だったか、何とも言えません。まあ、両方とも必用だった。<中国共産党フランス支部> 橋爪:フランスではトウ小平は、ずいぶん苦労もしていますね。給金が支払われなくて違う工場に移ったり、抗議運動をしたり。 ヴォーゲル:トウ小平はフランスに行って、フランスの変化をよく見ました。彼は、「われわれは知識階級である、指導者である」という意識があったのですね。将来の指導者としてのプライドを抱きながら、どこかの工場で、薄汚れた、みながやりたがらない仕事をする。革命が必要だと思うようになるのは、自然なことです。 橋爪:そのころ周恩来に出会っています。周恩来は、リーダー格だった。トウ小平からみて周恩来は、どういう存在だったのでしょう。周恩来の影響で、共産党に入った? ヴォーゲル:彼個人の影響、とは言えないと思います。そういう記録はない。ただ留学生のグループのなかで、周恩来は、日本の経験もありイギリスの経験もあり、トウ小平よりも年上で、自然にそのグループの指導者になった。トウ小平あグループの中で、周恩来に指導されることになり、彼を尊敬した。そのあと、共産党の事務所でトウ小平は印刷工をやり、「坊や」とよばれて、何でもやっていた。(中略) 橋爪:そのころ、中国共産党のフランス支部ができました。中国共産党そのものができたばかりで、本国では大したことがなかった。そこでフランス支部は、とても大きな影響力をもっていたのですね。 ヴォーゲル:そうそうおっしゃるとおり。 だいたい、ときどき人が行き来する個人的なネットワークだと思うんです。中国で共産党ができたという情報が入ってきて、中国共産党の支部をつくった。『トウ小平』1:指導者の交替p138~140『トウ小平』2:改革開放p154~160『トウ小平』3:革命よりも改革p164~168、流血の天安門p214~218『トウ小平』4:中国共産党の病理p231~234、習近平は、実力者p248~250 ヴォーゲル: 橋爪:
2020.05.09
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バンクシーといえば、抵抗のアーチスト、ゲリラのように神出鬼没とのイメージであるが・・・今度の新作はほのぼのしたものです。コロナウイルスに対応している医療従事者を励ます新作です。デジタル朝日の記事を見てみましょう。2020/5/07バンクシー新作、看護師をヒーローに 「すべてに感謝」より 謎の路上芸術家、バンクシーが、新型コロナウイルスに最前線で対応している医療従事者を励ます新作を英南部サウサンプトンの病院に贈った。英公共放送BBCが6日、伝えた。1メートル四方の白黒の絵には、男の子がヒーローのようなマントをつけた看護師のおもちゃで遊ぶ様子が描かれている。 男の子の脇には、スパイダーマンやバットマンのおもちゃが籠に入ったままになり、看護師のおもちゃは片手を上げてスーパーマンのようなポーズをとっている。なじみのヒーローのキャラクターよりも、医療現場で奮闘する看護師を真のヒーローとしてたたえているようだ。 BBCによると、絵にはバンクシーから医療スタッフに向けて「あなた方がしているすべてのことに感謝します。白黒だけど、これが少しでも明るさをもたらしますように」とのメモが添えられていた。 バンクシーは6日、インスタグラムにも投稿。スポーツの試合で流れを一気に変える選手にたとえて「ゲームチェンジャー」との説明を添えた。 絵は今秋まで病院の玄関に飾られる。その後は競売にかけられ、売り上げは、病院の運営母体で、無料で医療を提供する国民保健サービスに寄付されるという。(ロンドン=下司佳代子)この作品もバンクシーあれこれR2に収めるものとします。
2020.05.08
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朝日の(村山斉の時空自在)シリーズをスクラップしているのだが・・・今回分が興味深いので紹介します。(2020.5.06デジタル朝日から転記しました)<顔の見えない授業 困った> 新型コロナウイルスにより自宅勤務になって7週間以上になる。だが慣れたとはいえない。今後1~2年、ワクチンができて世界中に行き渡るまでは元の生活に完全には戻らないだろう。 困るのはネット上のミーティングに出ない言い訳が立たないこと。おかげで米国で授業をし、日本の講演を聴き、欧州で研究発表をする、と24時間態勢になっている。 授業は大変だ。Zoom(ズーム)というビデオ会議システムを使う。普段なら黒板に書くことを「ホワイトボード機能」で表示するが、どうもうまくいかない。黒板なら、前に書いた内容も見返しながら論理を追える。しかし狭い画面ではごく一部しか映せないので、論理の流れが途切れてしまう。そうならないよう、板書するすべての内容をスライドで作り、授業後に講義録を書くことにしたため、かなり時間がかかる。 一番困るのは、学生たちの顔が見えないこと。通信を圧迫しないように、ほとんどの学生は自分の映像を切っている。すると、注意力を失ったり首をかしげたりしていないか、確かめられない。いかに普段の授業で、学生の表情を見ながら「話について来ているか」を無意識に分析していたかが分かった。「ここら辺でジョークが必要だな」という判断もできた。 学生も大変だ。画面だけでは臨場感が薄く、集中力の維持が難しいはずだ。途中でメールが届いてピーンと音がなったり、友達のツイートが表示されたり、と気が散ることも多い。熱心な学生のために授業は録画して、ユーチューブに出している。結構、後から見ているようだ。 会議もすべてZoomだ。人事などの微妙な議論もやりにくい。お互いの表情やしぐさを読み取れないと、本心をつかみにくい。まだまだ人間はアナログだ。(素粒子物理学者)・(村山斉の時空自在)顔の見えない授業 困った(2020.5.06)デジタルデータとダブルで保存するところが、いかにもアナログ老人ではあるなあ。(村山斉の時空自在)7
2020.05.08
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図書館の本を手当たり次第に、借りている大使であるが・・・・なんか慌しいので、この際、積読状態の蔵書を再読しようと思い立ったのです。で、再読シリーズとして、以下のとおりボツボツ取り上げてみます。・#34: ソウルの練習問題・#33: 『「日本」とは何か』日本の歴史00巻・#32:「王権誕生」日本の歴史第2巻・#31:新・韓国風土記(第一巻)・#30:グ印関西めぐり(濃口)・#29:リドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16・#28:日韓 悲劇の探層・#27:日本人と韓国人なるほど辞典・#26:街場の文体論・#25:書いて稼ぐ技術・#24:「無法」中国との戦い方・#23:資本主義の終焉と歴史の危機・#22:村上春樹ロングインタビュー・#21:日本人はなぜ存在するか・#20:兼好法師『徒然草』 (100分 de 名著)・#19:世界マンガ体系・#18:南画と写生画・#17:ホンモノの日本語を話していますか?・#16:ストレスゼロの整理術・#15:里山資本主義<再読候補>・ノモンハン・播磨国風土記・情報の「捨て方」・老人力のふしぎ・夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです*****************************************************************************【ソウルの練習問題】関川 夏央著、情報センター出版局、1984年刊<内容説明より>屹立する高層ビル群を背景に、広い高速道路をマラソンランナーが駆け抜ける―ソウル五輪は現代韓国の一面を鮮やかに伝えてくれた。しかし韓国で暮らす人々について、我々は何を知っているだろう?ハングルの迷路を旅して、出会う人々と語り合い、彼らの温もりと厳しさを拾い集めた瑞々しいルポルタージュ。韓国社会のフィールドワークとして一時代を画した名著<大使寸評>父の蔵書を継ぐものであるが、韓流ブーム以前の韓国を見る著者の目は異文化を透視しています。Amazonソウルの練習問題『ソウルの練習問題』1:「ヨォ」という終助詞p34~36*****************************************************************************【「日本」とは何か 日本の歴史00巻】 網野善彦著、講談社、2000年刊<Amazon紹介>より日本中世史に新たな地平を拓いてきた網野善彦が、編集委員として参加している全26巻の日本通史「日本の歴史」の第00巻として著した日本論である。 これまで自明なこととして扱われていた「日本」の起源と地理的範囲、日本列島に限定されていた縄文文化や弥生文化を、北方アジアや朝鮮半島との関係から見直し、基本的用語を問い直す必要があるというのである。また、主従関係、貨幣制度、差別意識などの地域的相違を明らかにすることで、「均質な日本人」という常識の盲点を指摘している。さらに、記紀神話の豊葦原瑞穂国から、班田収受や公地公民といった律令制度、中世の荘園、江戸時代の士農工商制度、明治の地租改正、戦後の農地改革に至る土地所有制度の変遷をたどることによって、日本は農民中心の農耕社会とする従来の日本社会史に疑問を投げかけている。 有史以来、日本列島は北方アジア、朝鮮半島、琉球列島、中国大陸とダイナミックな交流があり、列島内部でも活発な地域間交流があったことが、現在の「日本」を形づくっているとする。 網野史観の全体像を1冊にまとめた格好の入門書といえる。(堤 昌司) <大使寸評>父の蔵書を引きつぐものであるが、2000年刊行と比較的新しい本であり、「日本人論」では欠くべからざる本であったのが嬉しい♪Amazon「日本」とは何か 日本の歴史00巻『「日本」とは何か 日本の歴史00巻』1:倭寇登場p85~88『「日本」とは何か 日本の歴史00巻』2:長良川あたりが東国と西国の境界p156~157*****************************************************************************【「王権誕生」日本の歴史第2巻】 寺沢薫著、講談社、2000年刊<「BOOK」データベース>より水稲は、列島をどのように変えたのか。なぜ、戦争が始まったのか。群雄割拠した国々は、いかに統合され、王権成立へと至ったのか。そのとき卑弥呼はどこにいたのか。最新の考古学が古代の謎を解く。<大使寸評>この本は父親の蔵書を継ぐものであるが・・・水稲は、列島をどのように変えたのか。なぜ、戦争が始まったのかと、とにかく読みどころが多いのである。Amazon「王権誕生」日本の歴史第2巻『「王権誕生」日本の歴史第2巻』4:エピローグp348~349『「王権誕生」日本の歴史第2巻』3:戦争のはじまりp126~128『「王権誕生」日本の歴史第2巻』2:水稲農耕の伝来p50~51『「王権誕生」日本の歴史第2巻』1:水稲農耕の伝来p44~48*****************************************************************************【新・韓国風土記(第一巻)】(画像は第4巻)安宇植編、読売新聞社、1989年刊<「BOOK」データベースより>朝鮮王朝の都として発達したソウル、海の守りの要衡釜山、収奪に耐え観光立国を実現した済州島。檀君神話の昔から「漢江の奇跡」の現代まで、ソウル、釜山、済州島が歩んだ独自の道を俯瞰する。<大使寸評>父の本棚で見つけたこの本もアマゾンで出ないので、古書ということだろう。80年代のソウル、釜山を韓国人が綴った内容となっています。webcatplus新・韓国風土記(第一巻)『新・韓国風土記 第一巻』4:日本のなかの済州島人p280~282『新・韓国風土記 第一巻』3:釜山の気質p168~170『新・韓国風土記 第一巻』2:両班の体面p85~86 ソウル、釜山の歴史 :植民地下での変化p38~40、釜山の変化p153~155*****************************************************************************【グ印関西めぐり(濃口) 】グレゴリ青山著、メディアファクトリー、2007年刊<商品説明>より「KANSAI Walker」の人気連載マンガが、待望の単行本化!京都で生まれ育ち、大阪で古本屋さんのバイトを経験し、和歌山の山奥で2年ほど生活していたこともあるグレゴリ青山による、超ディープな関西ガイド。大阪のウメチカ(梅田の地下街)、銭湯マニアとめぐる京都の旅、船舶画伯にガイドしてもらう神戸港、滋賀の草津にもある温泉などなど、グレゴリ青山独自の視点から見たおもしろ関西をご紹介します。<読む前の大使寸評>グレゴリ青山による、超ディープな関西ガイドとのこと・・・興味深々でおま♪この本は、アマゾンの古本で汚れなし309円というのがあったので、速攻で注文したのです。古本の場合は、古本屋から発送するので最速でも5日ほどかかるようです。rakutenグ印関西めぐり(濃口) *****************************************************************************【リドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16】風間賢二編、キネマ旬報社、2001年刊<「MARC」データベース>より「エイリアン」の大ヒット、そして次に続く「ブレードランナー」で多くのファンを獲得したリドリー・スコット。光と影の魔術師といわれる彼の映画手腕を様々な角度から検証する。<大使寸評>この本の紹介記事を書いていたが…読みどころが多いし、Amazonの古本が格安だったので、早速注文したのです。Amazonリドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16『リドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16』1:リドリー・スコットの美術『リドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16』2:ブレードランナー『リドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16』3:テルマ&ルイーズ *****************************************************************************<街場の文体論5>内田先生の『街場の文体論』が積読状態になっているのだが・・・やや大使のキャパを越えるというか、要するに内容が難しいためである。コロナウイルス対応の図書館閉鎖の折、この本を5年ぶりに再読しようと思い立ったのでおます。【街場の文体論】内田樹著、ミシマ社、2012年刊<内容紹介より>30年におよぶ教師生活の最後の半年、著者が「これだけはわかっておいてほしい」と思うことを全身全霊傾け語った「クリエイティブ・ライティング」14講。「アナグラム」「エクリチュール」「リーダビリティ」「宛て先」・・・・・・こうしたトピックを有機的に連関づけながら、「生きた言語とは何か」を探る。「この本がたぶん文学と言語について、まとまったものを書く最後の機会になると思います。そういう気持ちもあって、「言いたいこと」を全部詰め込みました」(あとがきより)<大使寸評>クリエイティブ・ライティングの真髄は「読み手に対する敬意」であると内田先生は説くわけで・・・受験技術にはなり得ない破格な文体論となってま♪Amazon街場の文体論街場の文体論1:日本語p214~218街場の文体論2:英語教育論p244~246街場の文体論3:司馬遼太郎の美学p98~101街場の文体論4:読み手に対する敬意p15~17、村上春樹の世界性p289~293*****************************************************************************再読シリーズ(#1-4)再読シリーズ(#5-8)再読シリーズ(#9-11)再読シリーズ(#12-14)再読シリーズ(#15-17)再読シリーズ(#18-20)再読シリーズ(#21-23)再読シリーズ(#24-26)再読シリーズ(#27-29)再読シリーズ(#30-32)
2020.05.07
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