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図書館で『科学する心』という本を手にしたのです。物理学を専攻した池澤さんが説く科学的エッセイってか・・・興味深いのでチョイスしたのです。【科学する心】池澤夏樹著、集英社インターナショナル、2019年刊<「BOOK」データベース>より大学で物理学科に籍を置いたこともある著者は、これまでも折に触れ、自らの作品に科学的題材を織り込んできた。いわば「科学する心」とでも呼ぶべきものを持ち続けた作家が、最先端の人工知能から、進化論、永遠と無限、失われつつある日常の科学などを、「文学的まなざし」を保ちつつ考察する科学エッセイ<読む前の大使寸評>物理学を専攻した池澤さんが説く科学的エッセイってか・・・興味深いのでチョイスしたのです。rakuten科学する心「第2章 日時計と冪とプランク時代」でドイツの科学博物館を、見てみましょう。p33~35<第2章 日時計と冪とプランク時代>■テクノロジーの殿堂、ドイツ博物館 しばらく前、ミュンヘンに行った時、前々から気になっていたドイツ博物館という施設に行ってみた。気になっていた理由は、なにしろ名前が大きいし、基本的性格は科学博物館であると聞いていたからだ。 実際には科学技術博物館という印象が強かった。偉大なるドイツをつくったテクノロジーの殿堂。とりわけ航空機の部門が充実していて、実物がたくさん展示してあり、その威容はワシントンDCのスミソニアン国立航空宇宙博物館に比肩できるほどだった。 戦前・戦中のものも多いのを不思議と思ったのは、同じ敗戦国でありながら日本にはこの種の施設が皆無であるからだ。軍用機はみな進駐軍に破壊され、その後も航空産業が封じられたためだろうが、どこがドイツと違ったのだろう。メッサーシュミットMe 262という双発のジェット(!)戦闘機を見ながら、ゼロ戦ばかり誇ってもいられまいと思った。 技術の展示はともかく、科学の部門もなかなかおもしろい。ここからは一円玉の話の延長なのだが、度量衡の部屋に自記式の体重計があった。乗ると中でメカが動く(前面がガラス張りになっていて見える)。 そこで一ユーロ貨を入れると更にごとごとと動きがあって、数秒後に体重をプリントしたカードがポンと出てくる。昔の日本の鉄道の硬券と同じサイズ同じ厚みで、表に体重、裏に日付けが刻印してある。体重の単位は半キロ。 大事なのはこれがIT技術はおろか電機も使わない完全機械式であることだ。人が乗るとその体重の分だけ重りが動き、それがカムとリンクを経て数字を刻んだ印字リングを回して数字がカードに印刷される。フィリップ・マテウス・ハーンなる人物が1769年に発明した、と説明にあった。 このサイズに収まっているいるのだから、基本のところはバネ秤なのだろう。重りとカムとリンクは体重によるバネの伸びを拡大して印字機構に表示させるための仕掛け。動力は体重。 しかし、自動式の天秤秤が作れないわけではない。こういうのはどうだろう・・・まず天井から吊った大きな滑車がある。ロープが掛かっていて、一方は人の乗る台に結ばれ、他方は重い鎖に繋がっているが、鎖の下の方は床の上にとぐろを巻いている。台に人が乗ると体重でロープは下に引かれ、それが滑車を介して反対側の鎖を引き上げる。 鎖の重さと人の体重が釣り合ったところで安定。動いたロープの長さを滑車の回転角で検出して自動印字する(このメカを夜中に思いついて、はっと興奮、目が冴えてしまった)。 近年の電子式の秤はストレイン・ゲージなどのセンサーを用いる。加わった力による歪みをホイートストン・ブリッジを用いて計測してアナログ表示していた。最近のデジタル式について詳しいことは知らないがそう違ってはいないだろう。『科学する心』3:パタゴニア紀行『科学する心』2:科学的な第一歩「料理」『科学する心』1:原子力、あるいは事象の一回性
2023.12.31
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図書館に予約していた『社会的ひきこもり』という新書を待つこと2日でゲットしたのです。やや硬い内容の新書のせいか予約ゼロだったので、予約してみたら超速でゲットできました。【社会的ひきこもり】斎藤環著、PHP研究所、2020年刊<「BOOK」データベース>より仕事に就かず、外出もせず、時に何年も自分の部屋に閉じこもったまま過ごす「ひきこもり」の数は、年齢を問わず全国で増加している。精神科医として現場で「ひきこもり」の治療に携わってきた著者は、いわゆる正論やお説教では決してこの問題を解決することはできない、という。「ひきこもり」を単なる「個人の病理」でなく、個人・家族・社会という3つのシステムの関わりの障害による「システムの病理」とする捉え方から、正しい知識と対処の仕方を解説。ロングセラー『社会的ひきこもり 終わらない思春期』に最新情報を加筆・修正した待望の復刊。<読む前の大使寸評>やや硬い内容の新書のせいか予約ゼロだったので、予約してみたら超速でゲットできました。<図書館予約:(12/25予約、12/27受取)>rakuten社会的ひきこもり「改訂版まえがき」の続きを、見てみましょう。p6~9<改訂版まえがき> 2012年に私とファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんが共著で出した『ひきこもりのライフプラン』(岩波書店)は、経済的な「ライフプラン」という視点から、ひきこもりのサバイバル方法を解説した最初の試みとなりました。『社会的ひきこもり 終わらない思春期』が出版されて2年後の2000年に、柏崎少女監禁事件と西鉄バスジャック事件が起こり、これをきっかけとして「ひきこもり」という言葉は一気に広がりました。こうした状況を受けて、2003年に厚労省が最初のひきこもりに関するガイドラインを出しましたが、十分なものとは言えませんでした。2007年から厚労省の研究班(私もメンバーの1人でした)が3年越しの調査研究に基づいてまとめた「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」は、医療寄りではありますが、具体的な対応に踏み込んだ内容となっています。 ほかにも厚生労働省は、2009年度から「ひきこもり対策推進事業」を創設し、すべての都道府県と政令指定都市に「ひきこもり地域支援センター」を設置しており、現在はここが最初に相談する窓口として機能しています。また、「ひきこもり対策推進事業」は「生活困窮者自立支援制度」と連携してひきこもり当事者を支援することが推奨されており、当事者の自立に向けた包括的な支援を行っています。 一般的な出口としては就労支援がありますが、こちらの窓口も20年間でかなり進歩がありました。中でも利用しやすいのは「ひきこもり対策推進事業地域若者サポートステーション」でしょう。利用者の年齢制限(39歳まで)はありますが、障害の有無を問わず、就労に自信のない若者ならば誰でも利用できます。障碍者枠での就労としては、「就労継続支援」や「就労移行支援」があります。 こちらは年齢制限が実質ありませんので、シニア世代のひきこもりの方も、以前よりははるかに就労しやすくなりました。以上は、数少ないポジティブな変化です。問題は、支援体制が整備されるよりもはるかに急速に、ひきこもりの高齢化や増加が進んでいることです。(中略) ちょっと弁解しておくと、当時の私は、「ひきこもったままでいい」などと無責任に放言する「有識者」の人々に、かなり強いいらだちを感じていました。不登校やひきこもりに治療的に関わることが人道上の罪であるかのような批判にも怒りを感じていました。放置して解決するならそうしたいのはやまやまですが、そういう態度が現在の「8050問題」につながっていることを思うなら、せめてニーズに応えられるよう準備はしておきたい。 とはいえ、誰にでも一律に支援を押し売りをするつもりはありません。私から見れば、ひきこもりは「病気の人」というよりは「困難な状況にあるまともな人」です。だからこそ、ひきこもり当事者のニーズは多様です。支援を求めないひきこもり、支援を求めるひきこもり、本人は必要としていないが親が支援を求めているひきこもり、など、さまざまな人がいます。 ならば「ニーズがないひきこもり」は放っておくべきなのか。それも違うと思います。今はかたくなに拒否していても、家族関係が修復されることで、そうしたニーズが生まれてくることがあるからです。だからこそ、機会あるごとにアプローチを試み、チャンスがあればニーズを尋ね、断れればまた次の機会をうかがっていきたい。 ちょっとお節介に見えるかもしれません。ただ、このような「マイルドなお節介」という支援のあり方は、近年、依存症業界などでも推奨されつつあるようです。当事者に対して決して押しつけや強制をしないという条件で、なんとか許してもらいたいというのが、今の私の願いです。ウーム なんかこの問題の難しさが、より際立ってきたみたいやで(汗)『社会的ひきこもり』1:「改訂版まえがき」の冒頭
2023.12.31
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図書館に予約していた『社会的ひきこもり』という新書を待つこと2日でゲットしたのです。やや硬い内容の新書のせいか予約ゼロだったので、予約してみたら超速でゲットできました。【社会的ひきこもり】斎藤環著、PHP研究所、2020年刊<「BOOK」データベース>より仕事に就かず、外出もせず、時に何年も自分の部屋に閉じこもったまま過ごす「ひきこもり」の数は、年齢を問わず全国で増加している。精神科医として現場で「ひきこもり」の治療に携わってきた著者は、いわゆる正論やお説教では決してこの問題を解決することはできない、という。「ひきこもり」を単なる「個人の病理」でなく、個人・家族・社会という3つのシステムの関わりの障害による「システムの病理」とする捉え方から、正しい知識と対処の仕方を解説。ロングセラー『社会的ひきこもり 終わらない思春期』に最新情報を加筆・修正した待望の復刊。<読む前の大使寸評>やや硬い内容の新書のせいか予約ゼロだったので、予約してみたら超速でゲットできました。<図書館予約:(12/25予約、12/27受取)>rakuten社会的ひきこもりまず「改訂版まえがき」の冒頭を、見てみましょう。p3~5<改訂版まえがき>『社会的ひきこもり 終わらない思春期』(1998年)は私にとって、ことのほか思い入れの深い本です。私の単著デビューは、この本に数ヶ月先立って出版された『文脈病』(青土社)でしたが、この本は私が一般向けに書いたはじめての本であり、また私の著書のなかではいまだ唯一の「ベストセラー」でもあるからです。 さすがに20年ほど前の本ということもあって、今回の改訂版を出すにあたって一通り読み返してみたのですが、意外なほど内容が古びていないので安心しました。もちろん細かいところで状況が変わったり、考え方を変えたりしたところはあります。しかし対応の基本方針は、現在もそれほど変わっていません。これは私の進歩がないせいなのか、あるいは弱冠30代にしてすでに卓越した精神科医だったためなのか、後者と思いたいのは山々ですが、そのあたりの判断は読者に委ねたいと思います。 せっかくこの改訂版を手にとってくださった方のために、本書の変更点について簡単に述べておきたいと思います。 まず、ひきこもりの定義です。「6ヶ月以上社会参加をしていない」と「ほかの精神障害がその第一の原因とは考えにくい」の二つは、その後も厚生労働省や内閣府の定義として使われており、変更はありません。 ただ最初の定義にあった「20代後半までに問題化する」の部分は、現代ではもう通用しないため削除しました。30代、40代からひきこもる人が急増しつつあり、そのこともあってひきこもりの高齢化が急速に進行しつつあるからです。 元の本では、ひきこもり人口を「数十万人」と推定している箇所がありました。また、当時受けた雑誌のインタビューでは100万人とも述べており、この数字は本書の帯にも使われていました。当時はまだ国や自治体の長さなどはなされていませんでしたから、この推定は体感的なものでしかなかったのですが、それほど「外れ」ではなかったことが最近の調査でわかってきたのです。 2016年には内閣府は、15~39歳を対象にした「ひきこもり」実態調査の結果を公表しましたが、それによると日本全体でのひきこもり人口は推計約54万1000人でした。 また2019年にも内閣府は、40~64歳のシニア層を対象とした「ひきこもり」調査結果を公表していますが、こちらでは全国で推計61万3000人でした。単純に加算することはできませんが、それでも100万人以上がひきこもっているという現状がはじめて明らかになったのです。 同時に、これまで「若者問題」と思われてきたひきこもりが、すでに全世代の問題になりつつあることもわかり、社会に大きな衝撃を与えました。いまやひきこもりは、どこでも、誰でも、何歳からでも起こりうると考えるべきなのです。 引きこもり人口の増加とともに、現在問題になっているのは、先にも述べたひきこもりの高齢化です。「8050問題」という言葉があります。文字通り、80代の親が50代のひきこもりの子の世話をしている家庭を意味する言葉ですが、こうした状況がまれなものではなくなりつつあります。 私は2014年に「社団法人 青少年健康センター」が主宰する家族会の参加者にアンケート調査を行いましたが、この時点で当事者の平均年齢は34.4歳、親の平均年齢は65.5歳、平均ひきこもり期間は12年11ヶ月と、深刻な高齢化傾向、長期化傾向があきらかになりました。わが子のけあ疲弊した家族の多くが、うつ状態の高いリスクを抱えていることもわかりました。
2023.12.30
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私が思い描く日本の近代史は、日清戦争、日露戦争から始まるので・・・明治維新はやや疎くなるのだが、半藤一利さんの対談を見てみようと思い立ったのです。*********************************************************図書館で『明治維新とは何だったのか』という対談本を、手にしたのです。おお 半藤一利さんが明治維新について出口治郎さんと対談しているのか・・・これは面白そうである。【明治維新とは何だったのか】半藤一利×出口治郎著、祥伝社、2018年刊<「BOOK」データベース>よりあのとき、日本を動かしたのは龍馬でも松陰でもなかった!知の巨人2人が、薩長史観に隠された「幕末・維新」を語る。<読む前の大使寸評>おお 半藤一利さんが明治維新について出口治郎さんと対談しているのか・・・これは面白そうである。rakuten明治維新とは何だったのか『第2章 「御一新」は革命か内乱か』で戊辰戦争を、見てみましょう。p89~91五万石を薩長に「盗まれた」長岡藩出口:戊辰戦争の話に戻りますが、最後は榎本武揚が北海道まで逃れました。半藤:東北での戦いは慶応4年(1868年)にはほとんど片がついていましたが、いわゆる函館戦争は明治2年(1869年)まで続きました。新政府の徳川家に対する処置があまりにも厳しく、およそ8万人の幕臣を雇うことができなくなったので、海軍副総裁の榎本武揚が幕臣たちを蝦夷地に移住させ、函館政権を樹立したんですね。それが新政府軍に屈したところで、戊辰戦争は終結しました。出口:暴力革命が成就したわけですね。それが、新しい国家を築くための正義の戦いだったように語られたわけですね。半藤:私も子供の頃から皇国史観という名のいわば「薩長史観」を学校で教え込まれていましたが、父方の祖母には逆のことを教わりましたよ。父の実家は越後なんですが、夏休みに遊びに行くと、祖母が 「東京には勲章をつけた偉い奴がたくさんいるみたいだけど、あの連中はみんな泥棒だよ。無理やり喧嘩を売ってきて七万四千石の長岡藩から五万石を盗んでいったんだ。おまえは、あんな奴らを尊敬することないだぞ」という話をされたものですよ。出口:なるほど、 「盗まれた」という感覚なんですね。半藤:実際、長岡藩は降伏した後で五万石を取り上げられて、二万四千石しか残らなかったんですよ。祖母からそんな話を聞かされて、「へえ、そういう見方もあるのか」と気づかされたおかげで、あまり皇国史観に毒されることなく育ちましたね。 ともかく戊辰戦争で負けてからの長岡は大変な苦労をしたんですよ。たとえば「米百俵」で有名な長岡藩の大参事・小林虎三郎がお寺の本堂を借りて国漢学校をつくったのも、もう人材を育てる以外に復興の術がなかったからです。それを首相時代の小泉純一郎さんは間違った形で引用しましたが(笑)。出口:あの国会演説では、 「痛みに耐えろ」と我慢を強調していましたが、教育政策とはあまり関係のない話になっていましたね。半藤:そうなんですよ。ほかに方法がないから、小林虎三郎は周囲の反対を押し切って「米百俵」を売ったお金を学校と病院の建設に使ったんです。人材育成の重要性をいわなければ、「米百俵の精神」の意味を正しく理解いたことにはなりません。出口:小林の人材育成の目的は、いわば薩長の暴力革命に対する一種のリベンジですよね。半藤:そういうことです。出口:会津藩もじつに可哀想で、負けて全部召し上げられるんですよね。その後、青森の斗南藩に行くんですが、気候が厳しいので、みんな死んでいくんですよ。それで、これは本当かどうかわかりませんが、もともと斗南で暮らしていた女性たちが、 「こんな可愛い男の子を死なせるのは可愛そうだ」とか 「こんな親切な人を殺しちゃいけない」など、ハンサムな男性や、女性にマメな男性を養ったおかげで、辛うじて会津の血が受け継がれたという話があるぐらいです。それ以外の男はみんな死んでしまった。半藤:しかも明治時代に入ってから、いわゆる「賊軍」の人たちはひどく差別を受けました。たとえば司馬遼太郎さんが『坂の上の雲』で描いた秋山真之、秋山好古、正岡子規の松山藩は賊軍です。だから、ものすごく苦労した。差別があるから、軍の学校にしか行けないわけですよね。『明治維新とは何だったのか』2:薩長のスタンス『明治維新とは何だったのか』1:起きて困ることは「起こらない」と思い込む日本人
2023.12.30
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図書館で『科学する心』という本を手にしたのです。物理学を専攻した池澤さんが説く科学的エッセイってか・・・興味深いのでチョイスしたのです。【科学する心】池澤夏樹著、集英社インターナショナル、2019年刊<「BOOK」データベース>より大学で物理学科に籍を置いたこともある著者は、これまでも折に触れ、自らの作品に科学的題材を織り込んできた。いわば「科学する心」とでも呼ぶべきものを持ち続けた作家が、最先端の人工知能から、進化論、永遠と無限、失われつつある日常の科学などを、「文学的まなざし」を保ちつつ考察する科学エッセイ<読む前の大使寸評>物理学を専攻した池澤さんが説く科学的エッセイってか・・・興味深いのでチョイスしたのです。rakuten科学する心「第11章 パタゴニア紀行」で池澤さんの旅を、見てみましょう。p217~221<第11章 パタゴニア紀行> 2017年の年末から年始にかけて南米大陸の南端パタゴニア地方を旅した。ほぼ南緯40度から南、アルゼンチンとチリにまたがる地域である。 ずいぶん前から行きたいと思っていてようやく実現したのだが、このあたりをまったく知らなかったわけではない。 2009年の2月に南極半島へのクルーズに参加してウスワイアまで戻った後、ビーグル海峡を渡ってチリ領のナバリノ島へ入り、プエルト・トロという世界最南端の村に行った。もっと南には荒れ狂うホーン岬と難船の記録がひしめくドレイク海峡があって、その千キロほど先に南極大陸がある。 ウスワイアはフェゴ島の南岸に位置している。広い意味ではパタゴニアに属するけれど、この時は端っこをかすめたにすぎなかった。 今回は本気で踏破を目指した。具体的に言えば、12月の26日にブエノスアイレスに入り、翌日の飛行機でリオ・ガジェゴスに到着。ここからがパタゴニアである。 以下は地名の羅列になるので地図を見ていただきたい。 リオ・ガジェゴスから南に向かって、モンテ・アイモンド国境でチリに入り、その先でマジェラン海峡を見た。大西洋から太平洋までおよそ600キロ。幅は最も狭いところで3キロ、対岸がフェゴ島である。 海峡を左に見て西に進み、その先で南下してプンタ・アレナスに至る。チリはこの港町を世界最南端の都会と誇る。アルゼンチンに属するウスアイアはここより南だが人口は半分以下。都会とは呼べないとチリは言いたいのだろう。この二国はなにかといがみあう。アルゼンチンが無謀にもイギリスと戦争をした時(1982年のフォークランド戦争、アルゼンチン側の呼称ではマルビナス戦争)、チリはけっこう意地悪くアルゼンチンの足を引っ張った。 近代兵器の見本市のようなこの小さな戦争はイギリスの勝利に終わった。しかし戦意においてはアルゼンチンも負けていなかったことを証するために、リオ・ガジェゴスには「マルビナス戦争博物館」がある。大きめの民家くらいの建物に飛行機や艦船の模型が並び、その他さまざまな遺物や軍人を顕彰する展示がある。靖国神社の遊就館のミニチュア版のよう。『科学する心』2:科学的な第一歩「料理」『科学する心』1:原子力、あるいは事象の一回性
2023.12.29
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図書館で『科学する心』という本を手にしたのです。物理学を専攻した池澤さんが説く科学的エッセイってか・・・興味深いのでチョイスしたのです。【科学する心】池澤夏樹著、集英社インターナショナル、2019年刊<「BOOK」データベース>より大学で物理学科に籍を置いたこともある著者は、これまでも折に触れ、自らの作品に科学的題材を織り込んできた。いわば「科学する心」とでも呼ぶべきものを持ち続けた作家が、最先端の人工知能から、進化論、永遠と無限、失われつつある日常の科学などを、「文学的まなざし」を保ちつつ考察する科学エッセイ<読む前の大使寸評>物理学を専攻した池澤さんが説く科学的エッセイってか・・・興味深いのでチョイスしたのです。rakuten科学する心「第6章 体験の物理、日常の科学」から科学的な第一歩「料理」を、見てみましょう。p131~133<第6章 体験の物理、日常の科学>■料理は身体感覚を用いる科学の第一歩 料理の現場に立ってみよう。身体感覚を用いる科学の第一歩。ブラック・ボックスに対抗する仕事。 最も単純な加熱だけの料理としてローストビーフを考える。牛肉の塊を中心部分が55度くらいになるまでゆっくり加熱する。それだけ。 事前の準備はいくつかある。冷蔵庫にあったのなら外に出してしばらく放置、常温に戻す。塩と胡椒をすり込み、形を保つために紐で縛る。表面をフライパンで焼いて固める。適当な温度(例えば120度)に設定したオーブンに入れて、中心部が55度になるまで熱を加え続ける。今は素材の中に差し込むタイプのデジタル温度計があるから、それを使えば間違いなくその温度にできる。そうでなくてもプロは何回となく繰り返して完璧な方法を体得している(素人料理のハンディキャップは毎日違うものを作らされることだ。我ながら偉いと思う)。 要は熱伝導の応用問題だ。外側からゆっくり中へ熱が伝わり、中心に向かって温度勾配ができる。 熱の伝わりかたには他に放射と対流がある。カレーうどんはとろみのために対流が起こらない。なかなか冷めないから急ぐ時は本当に困る。 万事を科学的に説明すればだいたいこんなことになるが、しかしたいていの料理を人は勘でやっている。ぼく自身のことで言えば素材は計量しても調味料は量らない。大雑把に入れていってまず間違えない。素材そのものが塩を含む時はその分だけ加減する。この「加減」という言葉がたぶん料理の神髄だ。事態に応じて加えるか減らすか。 素材ごとに火の通りかた、味の染みかたは異なる。大根はいくら煮ても崩れないが蕪はすぐに柔らかくなる。蒟蒻(こんにゃく)は頑丈だが豆腐は煮すぎるとスが入る。男爵とメークインとインカのめざめは用途が違う(余談ながらぼくは「馬鈴薯」という言葉が好きだ。馬の鈴、あんな形だった)。 蕎麦を茹でる時、昔はびっくり水を用意した。沸騰しすぎないよう途中で差し水をする。それはカマドなど火が加減できなかったための知恵で、ガスや電気になってからは不要になった。 茹で上がったら冷水にさらす。大きなボウルに水を用意しておいて、蕎麦をそこに放ち、流水の中で揉む。柔らかかった蕎麦がみるみるきりっとするのが指先でわかる。 今ぼくは札幌に暮らしているが、この寒冷の地の利点は夏でも水道の水が冷たいこと。蕎麦もうどんも引き締まる。その一方、世間ではバカな蕎麦屋が氷水で冷やしたざる蕎麦を出してくる。冷たすぎて風味も何もあったものではない。 こういうこと、身体感覚なのだが、その一方で個人単位の科学でもある。 オムレツを焼く。卵の蛋白質が熱変性を起こす過程を頭の中でシミュレートしつつ熱を加え、目で観察しながらフライパンを降って形を整え、最適のところで皿に移す。熱源から離してそれ以上は変性が進まないようにする。前段階のバターと塩、胡椒、具などのことは省略。『科学する心』1:原子力、あるいは事象の一回性
2023.12.29
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図書館で『科学する心』という本を手にしたのです。物理学を専攻した池澤さんが説く科学的エッセイってか・・・興味深いのでチョイスしたのです。【科学する心】池澤夏樹著、集英社インターナショナル、2019年刊<「BOOK」データベース>より大学で物理学科に籍を置いたこともある著者は、これまでも折に触れ、自らの作品に科学的題材を織り込んできた。いわば「科学する心」とでも呼ぶべきものを持ち続けた作家が、最先端の人工知能から、進化論、永遠と無限、失われつつある日常の科学などを、「文学的まなざし」を保ちつつ考察する科学エッセイ<読む前の大使寸評>物理学を専攻した池澤さんが説く科学的エッセイってか・・・興味深いのでチョイスしたのです。rakuten科学する心「第5章 原子力、あるいは事象の一回性」の冒頭を、見てみましょう。p97~101<第5章 原子力、あるいは事象の一回性> 2019年3月で東日本大震災から8年が過ぎた。 地震ならびに津波の被害とフクシマの被害はまったくその性格が異なる。原子力あるいは核エネルギーについて改めてここで考えてみたい。自分の人生とこのケクノロジーの歩みを追って。 1945年7月16日、ぼくが生まれて十日目に世界で初めて原爆の実験が行われた。それから1ヶ月もたたないうちに広島と長崎で実戦に使用された。高熱と爆風と放射線。数日のうちに約二十万人が死亡し、それからの5年間まで含めると総計34万に及ぶ人々が亡くなった。 ここで犠牲と言う言葉を使っていいものかとためらう。牛篇でわかるとおり、犠牲というのは何かの目的のために神の祭壇で殺される動物のことである。無辜の人々の難死にそんな意味を与えることが許されるのか。ユダヤ教の燔祭(ホロコースト)ということばをジェノサイドの意味で使うのもどこか違う気がする。正しき神はそんなものは受けつけないはずではないか。 1953年12月8日、ぼくが8歳の時、就任したばかりのアメリカ大統領ドワイト・D・アイゼンハワーは国連総会で「平和のための原子力」という演説を行い、核エネルギーは戦争のためだけでなく平和目的にも利用できると主張した。原爆の開発に手を貸した科学者たちはこれで少し良心の呵責を緩めることができると思った。しかし本当にそうだったのだろうか。 翌年の3月、ビキニ環礁での水爆の実験で第5福竜丸の船員が被曝し、その半年後に久保山愛吉さんが亡くなった。 1979年3月28日午前4時、ぼくが33歳の時、アメリカのペンシルベニア州スリーマイル島の原子力発電所二号炉の制御室で警報音が鳴り響き、百を超える警告灯が点灯した。冷却系の故障が次々に波及して、運転員は何が起こっているのか把握できなくなった。原因はパイロット操作逃がし弁(PORV)が閉じなくなる「開固着」だったが、多くの事象がたてつづきに起こる混乱の中でこれは見逃された。炉の中の冷却水が失われ(LOCAと呼ばれるタイプの事故)、燃料集合体の半分以上が露出してメルトダウンが始まった。 核燃料のペレットはジルコニウムで被覆されている。冷却水喪失で高温になったジルコニウムは、水蒸気と直に接触すると二酸化ジルコニウムに変わり、水素が発生する。水素は空気中の酸素と混じって容易に爆発する。格納容器が破壊され、大気中に放射性物質が撒き散らされる。 この時は半径24キロ圏内の20万人が避難した。 最終的に水素爆発は起こらず、事態はやがて沈静化した。この二号炉は廃炉になり、無傷だった隣の一号炉も世論の反対で数年先まで再稼働されなかった。■オッペンハイマーは「われは死なり」と呟いた 1982年、37歳の時にぼくは『ヒロシマを壊滅させた男 オッペンハイマー』(白水社)という、イギリスBBCのジャーナリストが書いた本の翻訳を出した。 話は1945年、ぼくの誕生の時に戻る。 原子爆弾開発の主役だったオッペンハイマーはインテリだったから、ニューメキシコ州に作られた実験場にジョン・ダンの詩を引用して「トリニティー(三位一体)」という名をつけた。 実験の前、マンハッタン計画に参加した科学者たちは自分らが開発した原子爆弾の威力について懐疑的だった。威力についてさまざまな数字が飛び交った。最も楽観的なのはエドワード・テラーが出したTNT火薬に換算して四万五千トンというもの。ハンス・ベーテは八千トン、公式の予測は五千トン、オッペンハイマーは指揮する立場なのに悲観的に三百トン。ゼロと言う者もいた。(中略) 7月16日、20億ドルを費やした爆弾はちゃんと爆発した。多くの予測を上回って威力はTNT火薬にして二万トン相当だった。 オッペンハイマーは、ここでインドの古典『バガヴァッド・ギーター』の一節を思い出して「われは死なり。多くの世界の破壊者なり」と呟いた、と後に語っている。戦いを前にしてためらう王子を神クリシュナが激励する言葉だ。オッペンハイマーにはためらいがあったのだろう。 なぜ原爆は完成してしまったのか?
2023.12.28
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今回借りた5冊です。 だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は強いていえば、「日本」でしょうか♪<市立図書館>・科学する心・社会的ひきこもり・樺太地上戦・町山智浩・春日太一の日本映画講義・世界の知性が語る「特別な日本」<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)なお、今回は年越しということで、やや多めの5冊をチョイスしています。***********************************************************【科学する心】池澤夏樹著、集英社インターナショナル、2019年刊<「BOOK」データベース>より大学で物理学科に籍を置いたこともある著者は、これまでも折に触れ、自らの作品に科学的題材を織り込んできた。いわば「科学する心」とでも呼ぶべきものを持ち続けた作家が、最先端の人工知能から、進化論、永遠と無限、失われつつある日常の科学などを、「文学的まなざし」を保ちつつ考察する科学エッセイ<読む前の大使寸評>追って記入rakuten科学する心【社会的ひきこもり】斎藤環著、PHP研究所、2020年刊<「BOOK」データベース>より仕事に就かず、外出もせず、時に何年も自分の部屋に閉じこもったまま過ごす「ひきこもり」の数は、年齢を問わず全国で増加している。精神科医として現場で「ひきこもり」の治療に携わってきた著者は、いわゆる正論やお説教では決してこの問題を解決することはできない、という。「ひきこもり」を単なる「個人の病理」でなく、個人・家族・社会という3つのシステムの関わりの障害による「システムの病理」とする捉え方から、正しい知識と対処の仕方を解説。ロングセラー『社会的ひきこもり 終わらない思春期』に最新情報を加筆・修正した待望の復刊。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(12/25予約、副本?、予約0)>rakuten社会的ひきこもり【樺太地上戦】 NHKスペシャル取材班著、KADOKAWA、2019年刊<「BOOK」データベース>より北海道の北に広がる大地、サハリン。かつて樺太と呼ばれ、約40万人の日本人が暮らしていた。この地で、終戦後も7日間にわたって戦闘が続き、住民を巻き込んだ悲惨な地上戦が行われていたことを私たちは忘れてはいけないー。最前線に立たされた住民たちー。犠牲者は5000人とも6000人とも言われる住民を巻き込んだ悲惨な地上戦。知られざる戦い、悲劇の全貌に迫る。重い沈黙を破る貴重な証言。国内外の発掘資料初公開!<読む前の大使寸評>追って記入rakuten樺太地上戦【町山智浩・春日太一の日本映画講義】町山智浩×春日太一著、河出書房新社、2019年刊<「BOOK」データベース>より日本の映画語りを牽引する町山智浩と春日太一が必見の作品を精選し、その凄まじさ、面白さ、役者・スタッフたちの想いを語り尽くす映画入門。「時代劇編」では、日本映画に革命を起こした『七人の侍』、三隅研次の美学が極められた『斬る』『剣』『剣鬼』、血しぶきとアクション満載『子連れ狼』シリーズ、アウトローたちの純情に心を寄せた『御用金』『人斬り』などを紹介。映画は知ってから見ると、百倍、面白くなる!<読む前の大使寸評>追って記入rakuten町山智浩・春日太一の日本映画講義【世界の知性が語る「特別な日本」】会田弘継著、新潮社、2021年刊<「BOOK」データベース>より近代日本は世界にとって如何なる存在だったのか。欧米列強を打ち負かした国であり、アジアを侵略した国であり、敗戦後に驚異的な復興を遂げた国。日本が歩んだ曲折の道のりは、他国の人々の精神にも大きな影響を与えてきた。リー・クアンユー、李登輝、ブトロス・ガリ、アンジェイ・ワイダ、オルハン・パムクら世界の政治家や知識人にインタビューし、それぞれの国が抱えた近代の葛藤と日本への特別な思いに迫る。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten世界の知性が語る「特別な日本」
2023.12.28
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『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・楊双子『台湾漫遊鉄道のふたり』(6/23予約、副本1、予約55)現在15位・川上未映子『黄色い家』(7/24予約、副本?、予約504)現在305位・三浦しおん『墨のゆらめき』(8/9予約、副本12、予約373)現在211位・堤未果のショック・ドクトリン(8/25予約、副本7、予約177)現在102位・『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』(9/18予約、副本5、予約126)現在87位・原田ひ香『図書館のお夜食』(10/04予約、副本17、予約402)現在292位・南海トラフ地震の真実(10/20予約、副本?、予約44)現在33位・斎藤幸平『マルクス解体』(11/28予約、副本?、予約?)現在21位・吉岡桂子『鉄道と愛国』(12/04予約、副本?、予約?)現在11位・満州国グランドホテル(12/20予約、副本?、予約3)現在2位・斎藤環『社会的ひきこもり』(12/25予約、副本?、予約0)<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・グレタたったひとりのストライキ・カズオ・イシグロ『夜想曲集』・沢木耕太郎『深夜特急』<予約候補>・養老孟司『形を読む』・中野翠『ほいきた、トシヨリ生活』・鴨志田譲×西原理恵子『アジアパー伝』:図書館未収蔵・菊間晴子「犠牲の森で」・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・李琴峰『彼岸花が咲く島』:第165回芥川賞受賞作(21年)・ひさうちみちお『パースペクティブキッド』・松里公孝『ウクライナ動乱』・村上春樹×柴田元幸『翻訳夜話』・ジェイムズ・ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』・じい散歩 妻の反乱<予約分受取:10/14以降> ・タルディ『塹壕の戦争1914-1918』(10/08予約、10/14受取)・小川哲『地図と拳』(2/01予約、10/21受取)・有川ひろ『旅猫リポート』(10/27予約、10/28受取)・ジンセイハ、オンガクデアル(2/10予約、11/15受取)・ブレイディみかこ『リスペクト』(9/05予約、11/23受取予定)・『千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話』(5/23予約、11/28受取)・村山由佳『命とられるわけじゃない』(11/21予約、11/28受取)・多和田葉子『白鶴亮翅』(8/2予約、12/05受取)・村上龍『ユーチューバー』(5/20予約、12/11受取)・斎藤環『社会的ひきこもり』(12/25予約、12/27受取予定)**********************************************************************【台湾漫遊鉄道のふたり】楊双子著、中央公論新社、2023年刊<「BOOK」データベース>より昭和十三年、五月の台湾。作家・青山千鶴子は講演旅行に招かれ、台湾人通訳・王千鶴と出会う。現地の食文化や歴史に通じるのみならず、料理の腕まで天才的な千鶴と台湾縦貫鉄道に乗りこみ、つぎつぎ台湾の味に魅了されていく。ただ、いつまでも心の奥を見せない千鶴に、千鶴子の焦燥感は募り…国家の争い、女性への抑圧、植民地をめぐる立場の差。あらゆる壁に阻まれ、近づいては離れるふたりの旅の終点はー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(6/23予約、副本1、予約55)>rakuten台湾漫遊鉄道のふたり【黄色い家】川上未映子著、中央公論新社、2023年刊<「BOOK」データベース>より2020年春、惣菜店に勤める花は、ニュース記事に黄美子の名前を見つける。60歳になった彼女は、若い女性の監禁・傷害の罪に問われていた。長らく忘却していた20年前の記憶ー黄美子と、少女たち2人と疑似家族のように暮らした日々。まっとうに稼ぐすべを持たない花たちは、必死に働くがその金は無情にも奪われ、よりリスキーな“シノギ”に手を出す。歪んだ共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解へ向かい…。善と悪の境界に肉薄する、今世紀最大の問題作!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(7/24予約、副本?、予約504)>rakuten黄色い家【墨のゆらめき】三浦しおん著、 新潮社、2023年刊<出版社>より実直なホテルマンは奔放な書家と文字に魅せられていく。書下ろし長篇小説! 都内の老舗ホテル勤務の続力は招待状の宛名書きを新たに引き受けた書家の遠田薫を訪ねたところ、副業の手紙の代筆を手伝うはめに。この代筆は依頼者に代わって手紙の文面を考え、依頼者の筆跡を模写するというものだった。AmazonのAudible(朗読)との共同企画、配信開始ですでに大人気の書き下ろし長篇小説。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/9予約、副本12、予約373)>rakuten墨のゆらめき【堤未果のショック・ドクトリン】堤未果著、幻冬舎、2023年刊<「BOOK」データベース>より「ショック・ドクトリン」とはテロや大災害など、恐怖で国民が思考停止している最中に、為政者や巨大資本がどさくさに紛れに過激な政策を推し進める悪魔の手法のことである。日本でも大地震やコロナ禍という惨事の裏で、知らない間に個人情報や資産が奪われようとしている。パンデミックで空前の利益を得る製薬企業の手口、マイナンバーカード普及の先にある政府の思惑など…。強欲資本主義の巧妙な正体を見抜き、私たちの生命・財産を守る方法とは?滅びゆく日本の実態を看破する覚悟の一冊。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/25予約、副本7、予約177)>rakuten堤未果のショック・ドクトリン【ぼくはあと何回、満月を見るだろう】坂本龍一著、新潮社、2023年刊<「BOOK」データベース>より「何もしなければ余命は半年ですね」ガンの転移が発覚し、医師からそう告げられたのは、2020年12月のこと。だが、その日が来る前に言葉にしておくべきことがある。創作や社会運動を支える哲学、坂本家の歴史と家族に対する想い、そして自分が去ったあとの世界についてー。幼少期から57歳までの人生を振り返った『音楽は自由にする』を継ぎ、最晩年までの足跡を未来に遺す、決定的自伝。著者の最期の日々を綴った、盟友・鈴木正文による書き下ろし原稿を収録。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/18予約、副本5、予約126)>rakutenぼくはあと何回、満月を見るだろう【図書館のお夜食】原田ひ香著、ポプラ社、2023年刊<「BOOK」データベース>より東北地方の書店に勤めるものの、うまくいかず、仕事を辞めようかと思っていた樋口乙葉は、SNSで知った、東京の郊外にある「夜の図書館」で働くことになる。そこは普通の図書館と異なり、亡くなった作家の蔵書が集められた、“本の博物館”のような図書館だった。開館時間は夜7時から12時まで、まかないとして“実在の本に登場する料理”が出てくる「夜の図書館」で、本好きの同僚に囲まれながら働き始める乙葉だったがー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/04予約、副本17、予約402)>rakuten図書館のお夜食【南海トラフ地震の真実】 小澤慧一著、東京新聞出版、2023年刊<「BOOK」データベース>より「南海トラフは発生確率の高さでえこひいきされている」。ある学者の告発を受け、その確率が特別な計算式で水増しされていると知った記者。非公開の議事録に隠されたやりとりを明らかにし、計算の根拠となる江戸時代の古文書を調査するうちに浮かんだ高い数値の裏にある「真実」。予算獲得のためにないがしろにされる科学ー。地震学と行政・防災のいびつな関係を暴く渾身の調査報道。科学ジャーナリスト賞で注目のスクープを書籍化!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/20予約、副本?、予約44)>rakuten南海トラフ地震の真実【マルクス解体】斎藤幸平著、 講談社、2023年刊<「BOOK」データベース>よりいまや多くの問題を引き起こしている資本主義に対する処方箋として、斎藤幸平は、マルクスという古典からこれからの世の中に必要な理論を提示する。本書『マルクス解体』は、マルクスの物質代謝論、エコロジー論、プロメテウス主義の批判から、未来への希望を託す脱成長コミュニズム論までを精緻に語る。これまでの斎藤の活動の集大成であり、同時に「自由」や「豊かさ」をめぐり21世紀の基盤となる新たな議論を提起する書である。<読む前の大使寸評>追って記入。<図書館予約:(11/28予約、副本?、予約?)>rakutenマルクス解体【鉄道と愛国】吉岡桂子著、岩波書店、2023年刊<「BOOK」データベース>より戦後日本の発展の象徴、新幹線。アジア各地で高速鉄道の新設計画が進み、中国が日本と輸出を巡って競い合う現在、新幹線はどこまで日本の期待を背負って走るのか。一九九〇年代から始まった新幹線商戦の舞台裏を取材し、世界最長の路線網を実現した中国の高速鉄道発展の実像に迫る第一部、中国、香港、韓国、東南アジア、インド、ハンガリーなど世界各地をたずね、鉄道を走らせる各国の思惑と、現地に生きる人々の声を伝える第二部を通じて、時代と共に移りゆく日中関係を描き出し、日本の現在地をあぶりだす。<読む前の大使寸評>追って記入。<図書館予約:(12/04予約、副本?、予約?)>rakuten鉄道と愛国【満州国グランドホテル】平山周吉著、芸術新聞社、2022年刊<「BOOK」データベース>より「二キ三スケ」(東条英機、星野直樹、松岡洋右、岸信介、鮎川義介)だけで満洲は語れない。「一ヒコ一サク」(甘粕正彦、河本大作)が隠然たる影響力を行使する。再チャレンジ、前歴ロンダリングも許される自由の天地。「五族協和」の理想を信じた人たちの生と死。既存の満洲国イメージをくつがえす、満洲の土を踏んだ日本人の奇妙にして、真剣なる「昭和史」物語。<読む前の大使寸評>著者・平山周吉さんの「小津安二郎」が大佛次郎賞を受賞したが、この際同氏の「満州国グランドホテル」が気になるので図書館予約したのです。<図書館予約:(12/20予約、副本?、予約3)>rakuten満州国グランドホテル【社会的ひきこもり】斎藤環著、PHP研究所、2020年刊<「BOOK」データベース>より仕事に就かず、外出もせず、時に何年も自分の部屋に閉じこもったまま過ごす「ひきこもり」の数は、年齢を問わず全国で増加している。精神科医として現場で「ひきこもり」の治療に携わってきた著者は、いわゆる正論やお説教では決してこの問題を解決することはできない、という。「ひきこもり」を単なる「個人の病理」でなく、個人・家族・社会という3つのシステムの関わりの障害による「システムの病理」とする捉え方から、正しい知識と対処の仕方を解説。ロングセラー『社会的ひきこもり 終わらない思春期』に最新情報を加筆・修正した待望の復刊。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(12/25予約、副本?、予約0)>rakuten社会的ひきこもり【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・ウィキペディアでめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。・Kindle版を購入すれば、その本の全て読めるのだが、紙の本から書き写す手間が好きなわけでおます。予約分受取目録R26好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索
2023.12.27
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図書館で『台湾のことがマンガで3時間でわかる本』という本を手にしたのです。台湾といえば・・・中国、韓国と違って、哈日族が生まれるたりするように日本が好きな連中が多いし、私も台湾が好きなわけです。【台湾のことがマンガで3時間でわかる本】西川靖章×横山憲夫著、明日香出版社、2015年刊<「BOOK」データベース>より世界で一番「好日」な人々。日本の文化と人々がこよなく好まれすでに多くの日系企業が進出し中国本土と太いビジネスのパイプがつながり中国にはない「好日」「自由」「先進国文化」がある。出るなら今!中国、アジア進出の第一歩は安心安全な台湾に決まり!<読む前の大使寸評>台湾といえば・・・中国、韓国と違って、哈日族が生まれるたりするように日本が好きな連中が多いし、私も台湾が好きなわけです。rakuten台湾のことがマンガで3時間でわかる本台湾のネット環境を、見てみましょう。p80~81<主要産業とメジャー企業>■ネットワーク大国台湾 IT競争力ランキングで世界144ヵ国中、10位にランクインした台湾では、8割半の世帯がインターネットを利用し、9割の世帯がパソコンを持ち、9割のネット世帯が高速度のブロードバンドを利用していると言われています。 IT製品市場では、10を超える製品が世界シェアトップを誇り、台湾はITソフト・ハードウェアとサービスに関する理想的な環境とインフラを備えていると言えます。 台湾政府も、優れたITインフラを生かし、政府、民間企業、顧客をつなぐ市場取引と情報・通信ネットワークを構築していく方針を継続するようです。■通信業界 台湾では大手3社の電気通信業者が95%のシェアを占めており、上から順に中華電信38%、台湾大カ大(Taiwan Mobile)29%、遠傳(FarÈasTon)28%です。また台北市内には数多くのFree WIFIスポットがあり、インターネットにアクセスする環境が整っています。■台湾でのスマートフォンは、アンドロイド 台湾でもスマホがなくては生活ができないくらい普及しています。チャットやゲームのほか、カフェで朝からタブレット端末で動画を視聴している人も少なくありません。携帯電話の普及率は120%超、スマホの普及率も約50%と非常に高く、SNSやゲームの普及する土台は出来上がっていると言えます。■SNSと若者文化 2012年10月時点での台湾のSNS利用者数は1290万人で普及率は56%。最も多く使われているのはFacebookで、アカウント数は1500万以上というデータもあります。 LINEも人気が高く、月間アクティブユーザーは、日本を含むアジアの中でトップ3の中に含まれています。『台湾のことがマンガで3時間でわかる本』2:台湾の主要産業『台湾のことがマンガで3時間でわかる本』1:台湾の食事
2023.12.27
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図書館で『「スパコン富岳」後の日本』という本を手にしたのです。スパコンといえば・・・かつて神戸のポートアイランドの理化学研究所計算科学研究センターまでスパコン京を見に行ったように、物見高いのであった。【「スパコン富岳」後の日本】 小林雅一著、中央公論新社、2021年刊<「BOOK」データベース>より世界一に輝いた国産スーパーコンピュータ「富岳」。新型コロナウイルス対応で注目の的だが、真の実力は如何に?「電子立国・日本」は復活するのか?新技術はどんな未来社会をもたらすのか?莫大な国費投入に見合う成果を出せるのか?開発責任者や、最前線の研究者(創薬、がんゲノム医療、宇宙など)、注目AI企業などに取材を重ね、米中ハイテク覇権競争下における日本の戦略や、スパコンをしのぐ量子コンピュータ開発のゆくえを展望する。<読む前の大使寸評>スパコンといえば・・・かつて神戸のポートアイランドの理化学研究所計算科学研究センターまでスパコン京を見に行ったように、物見高いのであった。rakuten「スパコン富岳」後の日本第4章で米中ハイテク覇権争いを、見てみましょう。p179~181<米国の制裁で停滞する中国の半導体産業> 米国政府による厳しい技術禁輸措置を受け、中国のメーカーや研究機関などは次世代スパコンに搭載されるプロセッサなどの自主開発を加速すると見られている。しかし彼らが仮に、エクサ級のCPUを自主開発(設計)できるレベルに達したとしても、それを「製造」することができない。なぜなら中国には、台湾TSMCや韓国サムスン電子に匹敵する最先端の製造工場が存在しないからだ。 確かに中国国内には、2000年に設立された国策企業「中芯国際集成電炉製造(SMIC)」というファウンドリが存在する。同社は中国最大の半導体メーカーにして、CPUなどロジックLSIの受注額では世界5位だが、台湾TSMCなど先頭グループに匹敵する最先端のチップ製造技術は未だ有していない。 TSMCは早々と自社工場の製造ラインに、最先端となる5~7ナノ・メートルのプロセス技術を導入することに成功している。富岳のCPU・A64FXは、それらのうち7ナノ・メートルの技術で製造された。おそらくエクサ・スケールのスパコンに搭載される次世代のCPUも5~7ナノ・メートル、あるいはさらにミクロの微細加工技術が必要とされるだろう。 これに対し、SMICが現時点で半導体製品を量産できる段階にあるプロセス技術は12~14ナノ・メートル。これではエクサ級のCPUを製造することは到底不可能だ。 SMICは2020年中には、7ナノ・メートルのプロセス技術を自社工場に導入する計画と見られていた。しかし同年12月、米国防総省が「共産主義中国の軍事企業」というブラックリストにSMICを追加した。国防総省は声明の中で「今回、リストに加えられたSMICなど4社は、表向きは中国の民間会社だが、実際は中国人民解放軍に先端テクノロジーを提供する軍事支援企業だ」と断じた。 これに対し、SMICは「我々は民間向けの製品やサービスしか提供しておらず、中国軍との取引は皆無だ」と反論しているが、米国政府は聞く耳を持たない。 今回、米国防総省のブラックリストに加えられても、SMICが即座に米国から制裁を科せられることはない。しかし米国の投資家による株式購入の禁止対象になると共に、米国内外の企業がSMICとの取引を控えるように求められる。 この国防総省に続き、同じく20年12月、今度は米商務省がSMICをはじめとする中国企業数十社をエンティティ・リストに追加した。 前述の国防総省のブラックリストなども併せて考えると、SMICは5~7ナノ・メートルのプロセス技術導入に必要となる米国製ないしは米国の技術を使った半導体製造装置や「EDA(Èlectronic Design Àutomation)」と呼ばれる設計ツールなどを輸入することがきわめて難しくなったと言わざるを得ない。 これら米国政府による一連の制裁措置により、SMICなど中国の半導体産業は停滞し、中には武漢市のHSMC(武漢弘芯半導体製造)のように深刻な経営難に陥るファウンドリも出てきた。『「スパコン富岳」後の日本』1:はじめに
2023.12.26
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夏から秋をやり過ごして冬となったような今年であるが・・・秋を偲ぶような日記を復刻してみましょう。*********************************************************枯れ葉散る秋たけなわとなり、シャンソンが似合う季節となりましたね・・・・古いシャンソンの感傷にひたる大使である(アホやで)滞仏中の話になりますが・・・・正調シャンソンを聴きたい大使は、シャンソニエ(歌声酒場)にでかけたのです。一人では入りにくいので、日本人1~2人?を引き連れてモンマルトルのラパンアジルにくりこんだわけです。私の悪友のうち誰を選んだか忘れたのだが、当時のパリには根無し草(デラシネ)のような不良日本人がたむろしていたのです(笑)入場料は確か1000円?程度であり、窮乏生活で不如意な私でも払える値段だったように記憶しています。ラパンアジルこの種のワイン1杯込みの歌声酒場はシャンソニエと呼ばれ、歌われる曲は古くからある曲が主で、我々日本人は知らない曲が多かったようです。でも、営業用のお愛想で歌ってくれた「サクラ、サクラ」に我々は感激したわけです(笑)ちなみに、店名の「ラパンアジル」とは敏捷なウサギという意味です。それでは、ラパンアジルHPで「さくらんぼの実る頃」を聴いてみましょう。Le Temps des cerises Paroles:Jean-Baptiste Clement Musique:Antoine RenaQuand nous chanterons le temps des cerisesEt gai rossignol et merle moqueurSeront tous en fete …Les belles auront la folie en teteEt les amoureux du soleil au coeurQuand nous chanterons le temps des cerisesSifflera bien mieux le merle moqueurMais il est bien court le temps des cerisesOu l'on s'en va deux cueillir en revantDes pendants d'oreille …Cerises d'amour aux robes pareillesTombant sur la feuille en gouttes de sangMais il est bien court le temps des cerisesPendants de corail qu'on cueille en revantQuand vous en serez au temps des cerisesSi vous avez peur des chagrins d'amourEvitez les belles …Moi qui ne craint pas les peines cruellesJe ne vivrais point sans souffrir un jourQuand vous en serez au temps des cerisesVous aurez aussi vos peines d'amourJ'aimerai toujours le temps des cerisesC'est de ce temps la que je garde au coeurUne plaie ouverte …Et Dame Fortune, en m'etant offerteNe pourra jamais fermer ma douleurJ'aimerai toujours le temps des cerisesEt le souvenir que je garde au coeur・・・・ムムム♪ しびれるな~♪我が20代の愚かで夢見るような「ラ・ボエーム」である・・・それでは、アズナブールのLa Bohemeを、おまけだ!♪ラパンアジルのアクセス
2023.12.26
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図書館大好き老人であるが・・・紙の本に拘りがあるわけで、選書はもっぱら手あたり次第なのです。アナログな印刷屋の老人が説くIT奮闘記を復刻して読み直してみようと思い立ったのです。*********************************************************図書館で『スマート老人の逆襲』という本を、手にしたのです。この本の表紙の副題が「還暦印刷屋の電子書籍&IT奮闘記」とあるが、興味深いのです。【スマート老人の逆襲】中西秀彦著、印刷学会出版部、2020年刊<「BOOK」データベース>より還暦世代が少年だった頃、パソコンが出現した。当時のパソコン少年たちは、中年を経てパソコン老年となった。活版、電算写植、デジタル印刷を経験した老舗印刷屋の経営者が情報化社会を語る。<読む前の大使寸評>この本の表紙の副題が「還暦印刷屋の電子書籍&IT奮闘記」とあるが、興味深いのです。rakutenスマート老人の逆襲本やネット情報の内容をコピペすることが語られているので、見てみたのです。p102~104<コピペのいたちごっこ> 2014年の科学界を騒がせたSTAP細胞は幻だったようである。この事件は、色々と考えさせられることがあったわけだが、電子時代ならではの経緯をたどったともいえる。まず論文が電子版で発表され、その後直ちに実験の写真への疑惑などがSNS上で指摘されて、一気に科学界を揺るがす事態となった。 その経過はとてつもなく速く、以前の紙ベースだったら、雑誌、疑惑の指摘などが、郵送ベースで行われていたはずで、少なくとも何ヶ月かはかかったと思う。電子媒体の普及は、このことだけでも、単に紙の情報を電子ネットワークに移し替えたという以上の変化をあらゆるところにもたらしたことがわかる。 さらに、この疑惑に触発されるように、著者の博士論文剽窃疑惑もネットを通じて広まっていった。この剽窃の方だが、20ページもの剽窃があったと言われている。では、この剽窃は、はたして一字一字入力されたのだろうか。とてもそうは考えられない。おそらくコピー&ペースト(以下コピペ)が使われたはずだ。 コピペは、もちろん剽窃に使われるばかりではない。研究者の論文の表面的生産性は、コピペによって画期的に上がった。論文には引用が欠かせない。過去の研究を下敷きにするためには、今までどんな研究がなされて、どのようなことが述べられたかを元の論文や著作から書き写さねばならないからだ。昔は、これを文字通り書き写していたし、ワープロ時代になっても、いちいち打ち込んでいた。当然、引用は引用のルールに従う必要がある。他書からの引用であることが明確にわかるようにし、出所も明らかにしなければならない。引用と断らずにコピペをすれば剽窃である。しかし、そこは紙一重の差しかない。 コピペは引用の生産性を上げたが、同時に剽窃の生産性をも上げてしまったことになる。しかし、これは論文を審査する方にとってみれば厄介きわまりない。全世界では何十万もの論文雑誌があり、何百万もの論文が発表されている。専門分野は限られるとしても、審査する側も全世界で発表されたすべての論文を詠めるはずもないし、細かいところが変更してあれば、剽窃かどうかなど個人の記憶力だけで見破ることはまず不可能である。もちろん、科学の真実は研究者の良心が頼りなのだが、それだけでは心許ない。 よくしたもので、何か発展があれば、またその対抗策が考え出されるのは世の常。実際これを聞いたときは感心するより、笑ってしまったのだが、「剽窃検知サイト」があるというのだ。ネットに載った全世界の全論文を検索して、投稿されてきた論文が、どこかの論文に似ているかどうかを評価して、剽窃の疑いがあれば知らせてくれるというサイトなのだ。まだ英文論文の世界に限られているが、こういうサイトが日本でも開設されるのは時間の問題のような気がする。『スマート老人の逆襲』2:電子書籍は記憶に残らない『スマート老人の逆襲』1:はじめに
2023.12.25
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図書館で『イギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」』という本を手にしたのです。強引に総取りするアメリカ人と違って、イギリス人はわりと好きなのでこの本をチョイスしたのです。【イギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」】デービッド・アトキンソン著、講談社、2015年刊<「BOOK」データベース>より日本は「足し算」文化。日本人に「解決能力」はあるか?「面倒くさい」が日本流。強すぎる個人主義が日本の特徴。効率の悪さを「伸びしろ」にする…日本の成長を約束する提言集!「日本人論」大ベストセラー第二弾!<読む前の大使寸評>強引に総取りするアメリカ人と違って、イギリス人はわりと好きなのでこの本をチョイスしたのです。rakutenイギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」「第1章」で日本の戦後復興が述べられているので、見てみましょう。p33~37<経済力が強くて、住みやすい国である>■戦後復興は奇跡ではない では、日本の人口と技術力と経済成長の因果関係を明らかにしたいと思います。 成長神話について振り返るとき、いまの日本経済の繁栄は、日本人労働者がもたらした戦後復興の奇跡によるものだった、という話になりがちです。 とはいえ、社会学、経済学的に考えても、戦後日本がの辿った道は、そのように単純なものであるはずがなく、複雑で、因果関係を見極めるのが難しいものでしょう。人間社会とは曖昧さと矛盾に満ちていると認めざるをえないのです。 まどろっこしい話をしましたが、そのようにシニカルな視点から、この戦後の復興をくわしく見てみましょう。 これまで、エコノミストたちは日本経済が世界2位にまで成長した理由として、技術力や勤勉さなど、日本の労働者の優秀な特徴をもって説明することを基本としてきました。 成長がピークに達したバブル経済の時代では、そうした「優秀な日本人論」がメディアでもさかんに取り上げられて、手先が器用、勤勉な労働者という日本の底力をベースにしている日本経済が、アメリカ経済を抜いて1位になるのは時間の問題だ、と指摘していた本もとても多かった印象があります。 日本人の国民性とアメリカ人の国民性だけを、日本側の視点から比較すれば、そうした楽観的な結論が導かれるのも自然だったかもしれません。しかし以下の分析を見ていただければ、いかにそれが非現実的な議論だったかということがわかるかと思います。 表3(人口の増減とGDPの比較)をご覧ください。 これはOECDのドル基準における実質GDPの購買力平価換算を、1939年の上位7カ国について、その後の変かも含めて一覧にしたものです。 これを見ると、じつは日本は1939年に、すでに世界第6位だということがわかります。その後、戦争によって経済規模が大きく減少していきますが、1945年から2013年までを比較すると、GDPは49.7倍に増えています。 一方、ドイツを見ると、18.7倍にしか増えていません。 このデータを取り上げた報道を見ると、世界一の技術大国ドイツの経済を日本が抜いた、やはり日本の技術力のほうが凄い、などの日本を誇るコメントが多いです。 しかし、ここで注意が必要です。たしかに経済規模の総額だけをみると、日本経済はドイツ経済を追い抜かしたという結論になります。ただ、「ドイツ経済を日本が抜いた」というロジックを成り立たせるために、総額だけを見て「日本が勝った」と決めてしまうのは早計に過ぎます。 前出表1(GDP総額順)の一人当たりのGDPを見てください。 日本が3万6375ドルに対して、ドイツは4万7693ドルと、明らかにドイツのほうが高い。つまりドイツ国民のほうが生産性という意味では高いのです。 一人当たりの生産性が低い国が、一人当たりの生産性が高い国をGDPで量がする。 この相反する二つの事実を説明する結論はひとつしかありません。 それは人口です。 日本はドイツよりも圧倒的に人口が増えているのです。1945年、終戦を迎えた時点でおよそ7200万人の人口がいた日本ですが、そこから戦後のベビーブームを経て爆発的に人口が増えていきます。 このように人口が急激に増えたことにくわえ、戦争で空襲を受けて、大都市が軒並み焼け野原になったということも、経済成長には関係があります。「復興」という目的のために、建築物やインフラ整備ということで、ビジネスが続々と生み出されていきました。 それに、もともとの先進国としての経済力の基礎もある。一度は戦争で壊滅的なダメージを受けた産業も、どんどん復興をしていく。そして、なによりも人口の右肩上がりで増えていくわけです。『イギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」』1:はじめに
2023.12.25
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図書館で『イギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」』という本を手にしたのです。強引に総取りするアメリカ人と違って、イギリス人はわりと好きなのでこの本をチョイスしたのです。【イギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」】デービッド・アトキンソン著、講談社、2015年刊<「BOOK」データベース>より日本は「足し算」文化。日本人に「解決能力」はあるか?「面倒くさい」が日本流。強すぎる個人主義が日本の特徴。効率の悪さを「伸びしろ」にする…日本の成長を約束する提言集!「日本人論」大ベストセラー第二弾!<読む前の大使寸評>強引に総取りするアメリカ人と違って、イギリス人はわりと好きなのでこの本をチョイスしたのです。rakutenイギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」まず「はじめに」を、見てみましょう。p3~5<はじめに>■日本礼賛の風潮 最近、新聞、テレビ、雑誌などのメディアで、海外と日本の文化や風習を比較するようなものが多いような気がしています。 たとえば、レギュラー放送されているテレビ番組では、さまざまなテーマで世界各国をランクづけし、日本がどのあたりのポジションにいるのかを紹介する「なんでもワールドランキング ネプ&イモトの世界番付」(日本テレビ系列)。日本の技術などを外国人が視察し、自国との違いなどを指摘する「世界が驚いた→ニッポン→スゴ~イデスネ‼‼視察団」(テレビ朝日系列)、日本にやってきた外国人に密着する「Youは何しに日本へ?」(テレビ東京系列)など。ほかにも「世界行ってみたらホントはこんなトコだった!?」(フジテレビ系列)、「CoolJapan発掘!かっこいいニッポン」(NHK)、「所サンノニッポンの出番」(TBS系列)、特番などを含めると似たようなテーマが非常に増えている印象です。 自分たちとは異なる文化を見たい、知りたいという要求は普遍的なものでしょうし、以前からこのような番組もたしかに存在していました。 しかし、やたらと目につくようになったというのはやはり近年、外国人観光客が増加していることにくわえ、2020年の東京五輪開催が決定してさらに多くの外国人がやってくることが予想されているという背景とは無関係ではないでしょう。 少し前には日本文化を世界に発信するというクールジャパン政策があり、オリンピック誘致のために滝川クリステルさんがおこなった「おもてなし」のスピーチも記憶に新しいところです。安倍晋三内閣の成長戦略のなかにも「観光立国」というのが重要な柱のひとつとして位置づけられようとしています。 このような機運が追い風になっているということは容易に想像できます。■強引な「日本の強み」論 こうした日本と海外の風習・文化を比較するようなテーマになると当然、日本人だけではなくさまざまな国の外国人も登場して、自国のことを紹介したり、日本社会や日本文化に対する率直な感想などの意見を表明したりしています。 私自身もイギリスから来日して25年間、日本で暮らしてきた外国人のひとりですから、さまざまな国からやってきた在日外国人の発言にスポットがあたり、有意義な話がなされていること自体は非常に良いことだと思いますので、このようなテーマがもっと増えていくことを願わずにはいられません。 ただ、これらの動きのなかで、ひとつだけ気になることがあります。 それは海外の文化や風習などと日本の文化や風習を比較した後で、結局はランキング、すなわち、優劣をつけて「やっぱり日本はすごい」と自画自賛するという結論になっていることが非常に多い印象なのです。この本も「愛すべきイギリス人」に収めておくものにします。
2023.12.24
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このところ、多和田葉子の作品を集中的に読んでいるのだが・・・デジタル朝日で『(文化の扉)多和田文学、ふわり越境』という記事を見て、この際、多和田さんのアンソロジーを編んでみました。・白鶴亮翅(2023年)・太陽諸島(2022年)・多和田葉子の〈演劇〉を読む(2021年)・星に仄めかされて(2020年)・(文化の扉)多和田文学、ふわり越境(2019年)・文学界(2019年1月号)(2019年)・歓待する文学(2018年刊)・地球にちりばめられて(2018年刊)・言語、非言語、文化、異文化のはざまで言葉を編む(2016年)・献灯使(2014年刊)・雪の練習生(2011年刊)・尼僧とキューピッドの弓(2010年)・ソウル-ベルリン玉突き書簡(2008年刊)・溶ける街透ける路(2007年刊)・エクソフォニー(2006年刊)・容疑者の夜行列車(2002年刊)・球形時間(2002年刊)R13:「白鶴亮翅」を追加***********************************************************************『白鶴亮翅』1:冒頭の語り口 『太陽諸島』2:バルト海の料理『太陽諸島』1:第1章 Hirukoは語る『星に仄めかされて』3:ハンブルグまで行く連中『星に仄めかされて』2:「だるまさんが転んだ」という遊び『星に仄めかされて』1:「パンスカ」が出てくるあたり『文学界(2019年1月号)』2:古市憲寿とメディアアーチスト・落合陽一との対談『文学界(2019年1月号)』1:台湾人作家・温又柔との対談『地球にちりばめられて』4:「第10章 クヌートは語る3」『地球にちりばめられて』3:「第9章 Hirukoは語る3」『地球にちりばめられて』2:第6章 Hirukoは語る2『地球にちりばめられて』1:独自の言語“パンスカ”『歓待する文学』4:小野正嗣さんのフランス体験『歓待する文学』3:J・M・クッチェーの『マイケル・K』『歓待する文学』2:村上春樹の自伝的エッセイ『歓待する文学』1:雪の練習生『献灯使』5:献灯使の選定『献灯使』4:言語の輸出入『献灯使』3:日本の鎖国『献灯使』2:「ナウマン象」『献灯使』1:『献灯使』の語り口『雪の練習生』:冒頭部あたりの語り口『尼僧とキューピッドの弓』1『ソウル-ベルリン玉突き書簡』4:ヨーロッパの景観『ソウル-ベルリン玉突き書簡』3:旅の楽しみ『ソウル-ベルリン玉突き書簡』2:中国人ディアスポラ『ソウル-ベルリン玉突き書簡』1:漢字や東アジア人の名前『溶ける街透ける路』3:リガ『溶ける街透ける路』2:デュッセルドルフ『溶ける街透ける路』1:パリ『エクソフォニー』4:ハンブルグ『エクソフォニー』3:森鴎外とドイツ語『エクソフォニー』2:マルセイユ『エクソフォニー』1:北京『容疑者の夜行列車』3:ハンブルグへ『容疑者の夜行列車』2:北京へ『容疑者の夜行列車』1:グラーツへ『球形時間』1:冒頭の語り口************************************************************【白鶴亮翅】多和田葉子著、朝日新聞出版、2023年刊<「BOOK」データベース>よりベルリンで一人暮らしをする美砂は、隣人Mさんに誘われて太極拳学校へ。さまざまな文化的背景の人びととの出会い、第二次大戦前後のドイツと日本の歴史に引き込まれ、名作を女性の視点で読み直す。<読む前の大使寸評>おお 多和田葉子の最新小説ではないか♪・・・ということで予約していた本です。<図書館予約:(8/2予約、副本?、予約57)>rakuten白鶴亮翅************************************************************【太陽諸島】多和田葉子著、講談社、2022年刊<出版社>より世界文学の旗手が紡ぐ、初の連作長篇三部作、完結!響きあう言葉とともに地球を旅する仲間たちの行方はーー。国境を越えて人と人をつなぐ、新しい時代の神話言葉で結びついた仲間たちの、時空を超えた出会いと冒険を描く、多和田葉子の新たな代表作。『地球にちりばめられて』『星に仄めかされて』に続くサーガ、ついに完結!<読む前の大使寸評>サーガ三部作の完結編とのことで、期待が大きいのです。バルト海沿岸の港町が舞台とのことで・・・ウクライナあるいはロシアのスパイは出てくるか?(それはないか)<図書館予約:(11/21予約、副本5、予約17)>rakuten太陽諸島***********************************************************************【多和田葉子の〈演劇〉を読む】多和田葉子著、谷川道子(編集)、論創社、2021年刊<amazon>より〈演劇人間(ホモテアトラーリス)〉としての多和田葉子に本格的に光をあてる初の試み。劇評、演出ノート、作品論、ドキュメント、初邦訳戯曲2本他で多和田の演劇ワールドを探り、パノラマ・可視化する。多和田書き下ろしエッセイ「多声社会としての舞台」も収録。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/31予約、副本1、予約2)>amazon多和田葉子の〈演劇〉を読む***********************************************************************【星に仄めかされて】多和田葉子著、講談社、2020年刊<「BOOK」データベース>より世界文学の旗手が紡ぎだす国境を越えた物語の新展開!失われた国の言葉を探して地球を旅する仲間が出会ったものはー?<読む前の大使寸評>多和田葉子さんと言えば・・・ドイツに在住の作家で、なんといっても「パンスカ」という言葉を造語した言語感覚が素晴らしいのです。つまり汎スカンディナビア語を「パンスカ」としたのです♪<図書館予約:(1/05予約、副本5、予約20)>rakuten星に仄めかされて***********************************************************************<(文化の扉)多和田文学、ふわり越境>デジタル朝日が「日独2言語で/言葉遊びとユーモアと」と説いているので、紹介します。この記事を紙媒体でスクラップしたのだが、電子媒体でも保存するところが、いかにも老人であるなあ。(この記事を6/24デジタル朝日から転記しました)ドイツ在住の作家、多和田葉子が世界的に注目を集めている。日本、ドイツ、米国で権威ある文学賞を受けてきた。作風は前衛的で国境や言語にとらわれないコスモポリタン。と同時に、日本語の魅力を追究した日本文学である。 多和田葉子は大学卒業後、22歳でハンブルクに移住した。現在はベルリンに暮らす。日本語とドイツ語の両方で、小説や詩を発表してきた。日本では芥川賞、谷崎潤一郎賞、野間文芸賞といった純文学の大きな賞を次々に受賞。ドイツではクライスト賞を受け、独特の文体が評価された。いま、世界で活躍する日本人作家のひとりだ。 昨秋には英語版の「献灯使」が米国の権威ある文学賞、全米図書賞の翻訳文学部門を受賞した。大災厄の後に鎖国を選んだ近未来の「日本」が舞台。訳者の満谷マーガレットさんは、「受賞作は震災後の汚染された日本を描く。決して日本だけの問題ではない。全米図書賞という重要な賞を受けたことでこの作品が世界で広く読まれ、受け止められる、その意義は大きいと思う」と話す。 100歳を超えても頑丈な老人たちが社会を支え、子どもは弱くて歩けない。「彼女のファンタジーは現実に根ざしているから力がある」と満谷さん。深刻な物語だが、ユーモアに包まれ、読後感は朗らか。理由の一つに多和田作品の特徴である言葉遊びがある。「献灯使」では「みどりの日」があるなら「赤の日」も、と休日が際限なく増えていく。すたれてきた性交を奨励する「枕の日」、「インターネットがなくなった日を祝うのは「御婦裸淫の日」だ。***********************************************************************<『文学界(2019年1月号)』1>図書館の放出本のラックで『文学界(2019年1月号)』という雑誌を、手にしたのです。表紙に出ている特集に多和田葉子の名前が載ているのがゲットする決め手となりました。【文学界(2019年1月号)】雑誌、文芸春秋、2019年刊<商品の説明>より▼2019年を占うビッグ対談落合陽一×古市憲寿 「平成」が終わり、「魔法元年」が始まる多和田葉子×温又柔 「移民」は日本語文学をどう変えるか?<読む前の大使寸評>表紙に出ている特集に多和田葉子の名前が載ているのがゲットする決め手となりました。amazon文学界(2019年1月号)『文学界(2019年1月号)』1:台湾人作家・温又柔との対談*********************************************************************** <『歓待する文学』>図書館で『歓待する文学』という本を手にしたのです。小野正嗣が選りすぐりの作品について十三回の放送で紹介する構成であるが、取りあげた作品が、ええでぇ♪【歓待する文学】小野正嗣著、NHK出版、2018年刊<「BOOK」データベース>より文学は私たちの心にどう入り込み、個人の生活や社会に影響を与えるのか。芥川賞作家である著者が欧米、アフリカ、中東、アジアの選りすぐりの作品を紹介。書き手がどのような土地に根ざし、どういう言語で作品を生み出したのか、それが読み手にどう作用するのかを探る。<読む前の大使寸評>小野正嗣が選りすぐりの作品について十三回の放送で紹介する構成であるが、取りあげた作品が、ええでぇ♪歓待する文学この本でJ・M・クッチェーが語られているので、『多和田葉子アンソロジー』R5を参照ください。***********************************************************************【地球にちりばめられて】多和田葉子著、講談社、2018年刊<「BOOK」データベース>より留学中に故郷の島国が消滅してしまった女性Hirukoは、ヨーロッパ大陸で生き抜くため、独自の言語“パンスカ”をつくり出した。Hirukoはテレビ番組に出演したことがきっかけで、言語学を研究する青年クヌートと出会う。彼女はクヌートと共に、この世界のどこかにいるはずの、自分と同じ母語を話す者を捜す旅に出る―。言語を手がかりに人と出会い、言葉のきらめきを発見していく彼女たちの越境譚。<読む前の大使寸評>言語学的なSFは、モロに太子のツボであるが・・・ヨーロッパ大陸で生き抜くため、独自の言語“パンスカ”をつくり出したHirukoという元ニッポン人が、興味深いのです。<図書館予約:(2/18予約、8/28受取)>rakuten地球にちりばめられて***********************************************************************【献灯使】多和田葉子著、講談社、2014年刊<「BOOK」データベース>より鎖国を続ける「日本」では老人は百歳を過ぎても健康で、子供たちは学校まで歩く体力もないー子供たちに託された“希望の灯”とは?未曾有の“超現実”近未来小説集。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(12/09予約、副本4、予約94)>rakuten献灯使***********************************************************************<『雪の練習生』>図書館に予約していた『雪の練習生』という本を、待つこと1週間ほどでゲットしたのです。ホッキョクグマ三代の物語とのことで、興味深いのでおます。【雪の練習生】多和田葉子著、新潮社、2011年刊<「BOOK」データベース>よりサーカスの花形から作家に転身し、自伝を書く「わたし」。その娘で、女曲芸師と伝説の「死の接吻」を演じた「トスカ」。さらに、ベルリン動物園で飼育係の愛情に育まれ、世界的アイドルとなった孫息子の「クヌート」。人と動物との境を自在に行き来しつつ語られる、美しい逞しいホッキョクグマ三代の物語。<読む前の大使寸評>ホッキョクグマ三代の物語とのことで、興味深いのでおます。<図書館予約:(8/01予約、8/08受取)>rakuten雪の練習生***********************************************************************【球形時間】多和田葉子著、新潮社、2002年刊<「BOOK」データベース>より鋭くも愚かしくも聞こえる問いをつねに発している高校生サヤは、ある日の放課後、喫茶店で謎のイギリス女性と出会ってひきつけられる。クラスメートのカツオは、フィリピン人の混血少年と性関係をもちつつも、太陽を崇拝する青年への興味を抑えられない。あっちへこっちへと転がりながら、はからずも核心へと向かってゆく少女と少年の日常を描く、愉快かつ挑戦的な最新長篇。<読む前の大使寸評>おお 多和田葉子の初期の小説ではないか・・・ということで、チョイスしたのです。rakuten球形時間***********************************************************************以降については、『多和田葉子アンソロジー』R8による。
2023.12.24
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図書館で『台湾のことがマンガで3時間でわかる本』という本を手にしたのです。台湾といえば・・・中国、韓国と違って、哈日族が生まれるたりするように日本が好きな連中が多いし、私も台湾が好きなわけです。【台湾のことがマンガで3時間でわかる本】西川靖章×横山憲夫著、明日香出版社、2015年刊<「BOOK」データベース>より世界で一番「好日」な人々。日本の文化と人々がこよなく好まれすでに多くの日系企業が進出し中国本土と太いビジネスのパイプがつながり中国にはない「好日」「自由」「先進国文化」がある。出るなら今!中国、アジア進出の第一歩は安心安全な台湾に決まり!<読む前の大使寸評>台湾といえば・・・中国、韓国と違って、哈日族が生まれるたりするように日本が好きな連中が多いし、私も台湾が好きなわけです。rakuten台湾のことがマンガで3時間でわかる本台湾の主要産業を、見てみましょう。p76~77<主要産業とメジャー企業>台湾の主要産業は、電気・電子、鉄鋼、精密機械そして自転車産業が挙げられます。特に製造業はGDPの約30%を占めており、最大産業と言えます。■半導体産業 1990年代後半、台湾は「シリコンアイランド」と呼ばれ、世界中の半導体関連企業が台湾で部品を調達していました。現在でも、世界の半導体プレーヤーの中心は台湾企業が占めており、約70%のシェアを持っています。特にTSMC(台湾積體電路製造)やUMC(聯華電子)など、世界を代表する半導体のファウンドリ(半導体チップの製造会社)は台湾企業が占めています。 台湾国家も半導体産業の保護を進めており、中国大陸への投資については、簡単に許可が下りません。■液晶産業 半導体とならぶ主要産業に液晶パネルがあります。日経産業新聞によると、台湾企業2社で液相パネルの世界市場の28.9%を占めるに至っています。 2000年代前半に、台南科学園区や台中地域において液晶工場の建設が活発になりました。この時期に多くの日系企業も台湾に進出し、台湾の液晶パネル産業の発展に大きく寄与しました。■IT産業 IT、特にパソコンやゲーム機などのOEMは、台湾の産業全体にとって非常に大きな要素です。特に有名な企業は鴻海精密工業ですが、この企業と取引している企業数も非常に多く、台湾のGDPほ大部分を占めるに至っていることでしょう。ただし、実際の製造拠点は中国大陸に多いため、正確な数字は把握できません。『台湾のことがマンガで3時間でわかる本』1:台湾の食事
2023.12.23
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図書館で『台湾のことがマンガで3時間でわかる本』という本を手にしたのです。台湾といえば・・・中国、韓国と違って、哈日族が生まれるたりするように日本が好きな連中が多いし、私も台湾が好きなわけです。【台湾のことがマンガで3時間でわかる本】西川靖章×横山憲夫著、明日香出版社、2015年刊<「BOOK」データベース>より世界で一番「好日」な人々。日本の文化と人々がこよなく好まれすでに多くの日系企業が進出し中国本土と太いビジネスのパイプがつながり中国にはない「好日」「自由」「先進国文化」がある。出るなら今!中国、アジア進出の第一歩は安心安全な台湾に決まり!<読む前の大使寸評>台湾といえば・・・中国、韓国と違って、哈日族が生まれるたりするように日本が好きな連中が多いし、私も台湾が好きなわけです。rakuten台湾のことがマンガで3時間でわかる本まず台湾料理にふれたあたりから、見てみましょう。p202~203<台湾の食事>■外食・中食が一般的 台湾は共働き家庭が多いため、外食・中食文化が発達しています。1日3食がすべて外食という家庭も珍しくありません。1日3食すべて外食という家庭も珍しくありません。朝、街には朝食専門の屋台が出てサンドイッチ・ネギ餅などを手ごろな価格で売り、人気の豆乳店には長蛇の列ができていることもしばしばです。 出勤・登校中に昼食を買い、昼は職場近くか学校の食堂で食べ、夜は帰り道にあるショッピングモールのフードコート等ですませるようなライフスタイルが一般的なので、週末以外、家族が皆別々の時間に別々の場所で食事することも珍しくありません。 家で食べる場合も、外で買ってくる人が多いので、多くのレストランで、まず店に寄ると「店内で食べるのか持ち帰りなのか」聞かれるほど、持ち帰りも一般的です。高級レストランでも、食べきれなかった食事を持ち帰りすること(打包)ができます。■キッチンは観賞用 自炊の必要がないので単身者向けにはキッチンが装備されていない部屋も多く、ファミリータイプも部屋でも、キッチンはモデルルームのようにピカピカで生活感が全くないのを目にすることがあります。台湾人にとってキッチンは、客人に豪華な設備を見せびらかす場所という側面もあるのです。 ■日本食も人気 台湾では日本食の人気も高く、定食屋を始めとして寿司屋、懐石、ラーメン、焼き肉と数多くの日系外食店が進出しています。特にラーメン店は近年人気が高く、連日行列ができる店もあります。以前は日本のラーメンはしょっぱすぎると言う台湾人が多かったのですが、10代~20代の若者を中心に日本のラーメンの味が受け入れられつつあります。 ただ、どの形態も日本より高級路線で台湾の物価水準から見ると高めの設定で日本の価格とほぼ変わらないか少し高いくらいの価格で販売されています。この本も台湾あれこれに収めておくものとします。
2023.12.23
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図書館で『「スパコン富岳」後の日本』という本を手にしたのです。スパコンといえば・・・かつて神戸のポートアイランドの理化学研究所計算科学研究センターまでスパコン京を見に行ったように、私は物見高いのであった。【「スパコン富岳」後の日本】 小林雅一著、中央公論新社、2021年刊<「BOOK」データベース>より世界一に輝いた国産スーパーコンピュータ「富岳」。新型コロナウイルス対応で注目の的だが、真の実力は如何に?「電子立国・日本」は復活するのか?新技術はどんな未来社会をもたらすのか?莫大な国費投入に見合う成果を出せるのか?開発責任者や、最前線の研究者(創薬、がんゲノム医療、宇宙など)、注目AI企業などに取材を重ね、米中ハイテク覇権競争下における日本の戦略や、スパコンをしのぐ量子コンピュータ開発のゆくえを展望する。<読む前の大使寸評>スパコンといえば・・・かつて神戸のポートアイランドの理化学研究所計算科学研究センターまでスパコン京を見に行ったように、物見高いのであった。rakuten「スパコン富岳」後の日本「はじまり」から、見てみましょう。p3~5<はじまり> 国際社会における日本の競争力低下が取り沙汰されてひさしい。中でも科学技術力の弱体化はしばしば指摘されるところで、確かに日本の論文発表数や世界大学ランキングの順位などは近年停滞、ないしは下落傾向にある。加速する少子高齢化や人口減少なども相まって、今後日本が衰退の道を辿るのは必至と見る向きも多いが、それは本当だろうか。 そうした悲観論者に問いたい。ではなぜそのような国が今、世界ナンバーワンのスーパーコンピュータ(以下、スパコン)を創り出すことができたのだろうか? 日本の理化学研究所(以下、理研)と富士通が共同開発した「富岳」は2020年、スパコンの計算速度などを競う世界ランキングで2期連続の王座に就いた。巨額の開発資金、そして大規模な設計チームの並み外れた頭脳と集中力が求められるスパコン・プロジェクトは、その国の経済力や科学技術力など国力を反映すると言われる。 実際、過去四半世紀以上に及ぶ世界ランキングで首位に認定されたのは日本と米国、そして中国のスパコンだけ。しかも直近では日本の富岳が1位である。これを見る限り、日本の科学技術力は今なお健在で、世界でもトップクラアスに位置していると見るのが妥当ではないか。確かに往年の勢いはないが、だからと言って今後も衰退の一途を辿ると決めつけることもできまい。 問題は競争力の低下に歯止めをかけ、再び上昇に転じさせるには、どうすればいいかということだ。単に人口が減少するという理由だけで、それができないと断じるのは早計に過ぎるだろう。 本書は富岳のようなスパコンの中核をなす「半導体」、そしてその活用対象として今、最も期待されている「AI(人工知能)」という2つの分野に焦点を当て、日本が再び科学技術立国として歩み出すための道を探る。 半導体は古くて新しい分野だ。 かつて1980年代、日本は「DRAM(Dynamic Random Àccess Memory)」と呼ばれる記憶用部品を中心に世界の半導体市場を席巻した。半導体は「産業の米」と言われ、この分野を完全に掌握した日本はソニー「ウォークマン」に代表される便利で洒落た電気製品を世界市場に出荷して巨額の貿易黒字を稼ぎ出した。当時、日本は「ハイテク・ジャパン」や「電子立国」などと世界から称賛された。 しかし、その後の日米半導体協定などを境に「日の丸」半導体、ひいては日本のエレクトロニクス産業は競争力を失っていった。その後、90年代のインターネット・ブームを境に、世界のハイテク産業を支配したのはGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)に代表される米国の巨大IT企業だった。 今、その彼らがあらためて半導体技術に力を注いでいる。折からのAIブームに乗って、「ディープラーニング」と呼ばれる機械学習を拘束にこなすAIチップの自主開発に乗り出したのだ。その理由は、AIを使った製品やサービスを生み出すソフトウェア開発競争が飽和し、今後はむしろ半導体のようなハードウェア技術がこの分野における競争力の源泉になると見られるからだ。 ここに日本の勝機が生まれようとしている。日本の半導体産業には底力があり、その卓越した設計能力は今なお健在だ。理研と富士通が自主開発し、富岳に搭載した超高速プロセッサ「A64FX」はAI処理も特異とする。これは世界的にも高い評価を受け、米国の主要パソコン・メーカー「HPEクレイ」も今後このプロセッサを自社製のマシンに搭載することを決めた。 À64FXには、80年代から日本のエレクトロニクス・メカーが技を磨き、その後も脈々と受け継いできたベクトル型プロセッサ、あるいは「SIMD」と呼ばれる技術が活かされている。こうした日本の伝統的技術が今、AI時代に装いも新たに蘇ろうとしているのだ。 それは単にスパコン開発に止まらない。AIチップのような最近の半導体製品は「ARM(アーム)」と呼ばれる標準アーキテクチャ(基本設計)に従って、スマホやタブレットなどモバイル端末からウェアラブル端末、あるいはデータセンターに設置されるクラウド・サーバーや今後の自動運転車などIoT(モノのインターネット)製品までさまざまな分野に用途を広げている。神戸市スーパーコンピュータ「富岳」
2023.12.22
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年金生活に入って十余年・・・アートな創生を目指してもままならず、過去の思い出にひたることが増えてきたのです。で、以下のとおり復刻することにしたのです。*********************************************************長くパリに住んでいた著者が、セーヌ右岸を案内するとのこと。大使も右岸の下町に一時暮らしたので懐かしいのです。【石畳に靴音が響く】早川雅水著、実業之日本社、2001年刊<「BOOK」データベース>よりパリの達人が、あなたをほんものの「Paris」にエスコート。雨に濡れた石畳、霧にかすむ街灯、アパルトマンの間からエッフェル塔が見え隠れする…。【目次】右岸について-前書きにかえて/バチニョル-今も懐かしい村の雰囲気が色濃く残る/オートイユ-緑に染まる道は近代建築の美術館/レ・グラン・ブールヴァールとその界隈-喧噪の中に19世紀の賑わいを偲ぶ/ベルヴィル、メニルモンタン-パリらしい趣を味わい、パリジャンに出会う/モンマルトル-知ればしるほど好きになる坂の町<読む前の大使寸評>長くパリに住んでいた著者が、セーヌ右岸を案内するとのこと。大使も右岸の下町に一時暮らしたので懐かしいのです。rakuten石畳に靴音が響くボリス・ヴィアンがジャック・プレヴェールと同じ建物に住んでいたそうです。<シテ・ヴェロン Cite’Ve'ron>p181~184より そのムーラン・ルージュのすぐ脇から北に向かって入ったところがシテ・ヴェロン。道幅わずかに3メートル、長さ80メートルほどの小路です。 歓楽街のど真ん中にまるで真空地帯のように静まり返ったたたずまいを見せているのですが、20世紀前半までは地元のおにいさんたちのドヤ、おねえさんたちの連れこみ宿に占領された裏通りでした。 1953年のこと、そんな小路へひとりの詩人がまぎれこんで来ました。ジャック・プレヴェールです。彼が住みついたのが6番地の質素なアパルトマン、その後1972年までの20年間をここで過ごすことになります。 プレヴェールといってもごぞんじないかもしれませんが、シャンソン「枯葉」の作詞者、映画「天井桟敷の人びと」のシナリオ・ライターといえばおわかりでしょう。 プレヴェールからやや遅れて、もうひとりの有名人が同じ建物に引っ越して来ました。ボリス・ヴィアンです。 エンジニア、トランペット奏者、プロのチェス打ち、コラムニスト、ジャズ評論家、翻訳家、画家、彫刻家、作家…並べきれないほどの肩書きを持っていますが、一言で言えば稀代の才人ということです。 日本ではあまり読まれていませんが、何篇かの小説は若者を中心に絶大な人気がありますし、過激な反戦歌として発売禁止になった「デザルトウール」兵役拒否者もシャンソンのスタンダード・ナンバーとして歌いつがれ、聞かれ続けています。 プレヴェールとヴィアンが住んだことで、この小路は間もなく文学サロン、芸術サロン化し、レイモン・クノーやイオネスコなどの作家たちが集まってきては気勢をあげたといいます。 1950年代、60年代に左岸のサン・ジェルマン・デ・プレを舞台にしてサン・ジェルマン文化が花開いたわけですが、プレヴェールもヴィアンもサン・ジェルマン派のスターでした。 そう思ってみると、シテ・ヴェロンには左岸の雰囲気があります。知的で思索的、それでいて自由で軽やか、この小路を歩く時、人は自分が芸術家になったような気分になれるのが不思議です。 道の両側には階の低い、やや荒れた感じの平凡な建物が並び、庭はあまり手入れのよくない花壇になっている。ほかにはこれといったものもない中で4番地が小劇場、そのうしろにムーラン・ルージュの風車が見えます。ラパン・アジルのシャンソンを聞きたかったので、友人を連れて一度だけ行ったことがあるのです。お上りさんのミーハーだったわけですね♪<ラパン・アジルのこと>p200~204より ソール街はそのすぐ先でサン・ヴァンサン街と交差しています。そしてこここそモンマルトルでもっとも心休まる場所、あるいはパリでもっとも美しい地点かもしれません。 右側の小高い広がりはモンマルトルのぶどう畑、19世紀まではパリのいたるところにあったぶどう畑が今ではここだけになってしまいました。 ぶどう畑の向かいにある外壁を淡紅色に塗りあげた小屋はラパン・アジル、はしこい兎という名で知られたシャンソン酒場です。 ラパン・アジルという名まえになったのが1902年のことで、そのずっと前からの酒場ですから、その歴史は百数十年。ここには実にたくさんの人びとの思い出が残っています。 19世紀末まで、モンマルトルのこの一帯は殺人者におたずね者、やくざたちが隠れ住む場所として知られ、静まり返った道の奥にひそむこの酒場はそうした人たちの店でした。当時は店名もそれにふさわしくアササン、人殺しでした。 20世紀の初めに店名はラパン・アジルと変わり、続く第一次大戦までのモンマルトルの黄金時代には若き日のピカソ、ヴラマンク、ユトリロなど、夢だけを食べていた未来の巨匠たちの溜まり場になっていました。 当時のオーナーはフレデリックという名を縮めてフレデと呼ばれていた伝説的人物。よき時代のよきパリジャンだった彼は、今にその名を残すモンマルトルのスターです。(中略) 若者たちに出世払いのツケで飲ませ、彼らの未来への夢に火をつけるかのように得意なギターを弾くフレデ…これぞモンマルトルの心、その温かいギターの音色が今も聞こえてくるようです。(中略) ところで現在のラパン・アジルですが、やはりモンマルトルという場所柄、時代の波には勝てずツーリストが多くなっています。ただし現代のフレデといった心やさしい無名歌手たちが古いシャンソンを歌ってくれるのがうれしい。 9区の下宿から5区のアリアンス・フランセーズまでが、まあ私の通学路みたいなもので、これがちょうどフォーブール・モンマルトル街にあたります。私の場合、メトロ代を浮かすために暑い日も寒い日も、とにかく歩いたのです。<フォーブール・モンマルトル街>p95~102より リュ―・モンマルトル駅のところは交差点になっており、右側の2区側はモンマルトル街、左側の9区側はフォーブール・モンマルトル街です。 フォーブールというのは町はずれという意味で、パリにはフォーブールがつく道が8本あり、たとえばモンマルトル街がその延長でフォーブール・モンマントルと名を換えるのです。 なお8本のフォーブールのうち7本までが右岸にあるのは、右岸がそれだけ奥に広がっているからでしょう。 フォーブールにはもうひとつ下町という意味もありますが、ここも下町風の賑わいにあふれており、生活の匂いのするパリ、素顔のパリが好きな人には魅力的です。 フォーブール・モンマルトル街は19世紀のネオ・クラシック様式の連なりがみごとで、かつてはシックなお屋敷街だったことを偲ばせます。しかし今やどこも1階部分は食料品店だったり、安売りショップだったりで、そのミスマッチが面白い。(中略) 24番地の魚屋さんの店の内装が19世紀そのままで一見の価値があり、その先フォーブール・モンマルトル街とプロヴァンス街の角にある「ア・ラ・メール・ド・ファミーユ」という食料品店はおそらくパリでもっともチャーミングな店でしょう。創業1761年、外装は当時そのままです。内装も19世紀初めのものを残しており、タイムスリップした気分、フランス各地の伝統的な干菓子、砂糖菓子が売り物です。 間もなく5差路に着く。角かどは庶民的なカフェになっていますが、どこでもいい、テラスに陣取って道のパースペクティブを眺めましょう。5本の道すべての両側に19世紀の建物が31メートルの高さで一直線に伸びているところは壮観。19世紀の典型的な町づくりで9区が史跡指定を受けているのは、なるほど当然だとうなずけます。 ところで、Boris Vianの脱走兵(Boris Vian- Le deserteur)をyou tubeで見つけたんです♪この歌は、フォークルの加藤和彦も歌っていましたね。
2023.12.22
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<漢字文化圏あれこれR13>本屋に出向くと、右翼雑誌、文芸春秋、週刊誌の特集のタイトルは、もはや開戦前夜であり・・・メディアの警鐘だとしても、売り上げUPに協力する我が身をちょっと反省しないでもない昨今ですね。領土に目を向けると、日中韓による共同体など永遠に実現できないとするのが、先人の教えであるが・・・・日中韓それ自体が既に漢字文化圏であることは、歴史的事実であるわけです。で、蔵書録などから以下に「漢字文化圏」に関する本を集めてみました。(ネット情報を含む)・語学の天才まで1億光年(2022年)・日・韓・台このままでは中国に呑み込まれる!(2020年)・タイワニーズ(2018年)・チャイニーズ・タイプライター(2021年)・文字渦(2018年)・だめだし日本語論(2017年)・ぐるぐる博物館(2017年)・竜宮城と七夕さま(2017年)・漢文の有用性(2017年)・台湾生まれ 日本語育ち(2016年)・古典を読んでみましょう(2014年)・韓国が漢字を復活できない理由(2012年)・漢字で覚える韓国語(2006年)・中国人のものさし日本人のものさし(1995年)・ハングルへの旅(1989年)・閉された言語・日本語の世界(1975年)R13:『日・韓・台このままでは中国に呑み込まれる!』を追加図書館に予約していた『語学の天才まで1億光年』という本を、待つこと7ヵ月ほどでゲットしたのです。ノンフィクション作家の高野さんが学んだ言語は25以上ってか・・・すごいではないか♪【語学の天才まで1億光年】高野秀行著、集英社インターナショナル、2022年刊<出版社>より語学は魔法の剣!学んだ言語は25以上!の辺境ノンフィクション作家による、超ド級・語学青春記。自身の「言語体験」に基づき、「言語」を深く楽しく考察。自動翻訳時代の語学の意味を問う。さらにネイティヴに習う、テキストを自作するなどユニークな学習法も披露。語学上達のためのヒントが満載。そしてコンゴの怪獣やアマゾンの幻覚剤探し、アヘン栽培体験などの仰天エピソードにおける語学についても語られる。『幻獣ムベンベを追え』から『アヘン王国潜入記』まで、高野作品の舞台裏も次々と登場。<読む前の大使寸評>ノンフィクション作家の高野さんが学んだ言語は25以上ってか・・・すごいではないか♪<図書館予約:(10/18予約、副本2、予約65)>rakuten語学の天才まで1億光年p241~245 中国語を習い始めてすごく意外だったのは、中国に「中国語」という単語がなかったことだ。それどころっか、日本語の「中国語」に一致する言葉もない。状況に応じて「中支」「漢語」「普通話」「中国語」などとさまざまな言い方が用いられている。実際、中国語とは何かを正確に言おうとすると、ひじょうに難しい。 そこで私はざっくりと「狭い意味での中国語」と「広い意味での中国語」の二つに分けて考えたい。そうすると、わかりやすいと思う。 前者は日本人が「中国語、話せる?」とか「私、大学で中国語を習ってるの」などというときの中国語。日本では「北京語」という言い方もされる。英語の「チャイニーズ」もこれに相当する。 これは清朝以前から全国各地の官庁で使用されていた「官話」(英語では「マンダリン」)をもとに中国の北方の各方言から語彙を集めて作った標準語で、中国では「普通話」と呼ばれる。中国の国営放送のアナウンサーが話すのも、学校の国語教育で使用されるのも基本的にこの普通話である。とはいうものの、各地では官話に由来するさまざまな方言が使われている。それらはひっくるめて北方方言と呼ばれる。 名前は北方だが、実際は東南アジアに国境を接する南方の雲南省や貴州省などでも用いられている。それらの地域はわりと最近(数百年前)、北方の漢族が、先住民である少数民族を南や山岳部に追いやる形で移り住んでいったからである。 北方方言は文字通り方言であり、ネイティヴの人たちは互いにだいたいコミュニケーションをとれるとされている。大連の人が雲南省へ行っても(少なくとも都市部なら)困ることはない。 いっぽう、「広い意味での中国語」とは上海語、広東語、台湾語など南方方言を含む言い方だ。実際にはこれら南方方言は発音も語彙も差異が大きく、それぞれ別言語とも言える言語群である。でも、どの言語も漢字で表記されるから漢語、すなわち中国語だとも考えられる。何より、「これらの広い意味での中国語を話す人=漢族」なのである。 中国もまた「言語=民族集団」となっているのだ。【日・韓・台このままでは中国に呑み込まれる!】呉善花 ×石平 ×黄文雄著、徳間書店、2020年刊<出版社>よりロングセラー「売国奴」(2007年)から10数年、常に中・韓をウオッチしてきた3人が、なおも悪化し続ける日・中・韓関係について、その根源を抉り出す。呉善花(韓国)石平(中国)がそれぞれの生国について見解を述べ、俯瞰的な立場に立って黄文雄(台湾)が日・中・韓の「三国志」を分析する。この「鼎談」から見える風景は絶望でしかないのか。<読む前の大使寸評>呉善花 ×石平 ×黄文雄というお三方による鼎談ってか・・・単なる嫌中、嫌韓、台湾好きとは一味違っているかも?tokuma日・韓・台このままでは中国に呑み込まれる!『日・韓・台このままでは中国に呑み込まれる!』2:中国はなぜ反日政策を取るようになったのか『日・韓・台このままでは中国に呑み込まれる!』1:新版まえがきⅠ 4000日間の総括:呉善花【タイワニーズ】野嶋剛著、小学館、2018年刊<「BOOK」データベース>より日本は台湾を二度も捨てた。それでも彼らがいたから、強く、深くつながり続けた。在日台湾人のファミリーヒストリー。<読む前の大使寸評>温又柔、余貴美子、陳舜臣、蓮舫など、この本が取り上げている在日台湾人がええわけです。rakutenタイワニーズ『タイワニーズ』4:台湾人と日本語文学『タイワニーズ』3:陳舜臣(続き)『タイワニーズ』2:陳舜臣『タイワニーズ』1:温又柔【チャイニーズ・タイプライター】トーマス・S・マラニー著、中央公論新社、2021年刊<「BOOK」データベース>より中国語タイプライターの“不可能性”から繙かれる圧巻の言語技術文化史。漢字についての発想の転換や戦時中の日中関係、入力や予測変換といった現在につながる技術の起源まで、波瀾と苦渋に満ちた展開を鮮やかに辿る。<読む前の大使寸評>圧巻の言語技術文化史ってか・・・これは読むしかないでぇ♪<図書館予約:(7/17予約、副本1、予約3)>rakutenチャイニーズ・タイプライターウン 中国語タイプライターの進化を見たいではないか。この本を図書館から借出したので、『チャイニーズ・タイプライター』1で、レポートします。。<『文字渦』1>図書館に予約していた『文字渦』という本を、待つこと1ヵ月ほどでゲットしたのです。「紙の動物園」のような言語学的SFが大使のツボであるが、この本はそれよりもさらに学術的であり・・・果して読破できるか?と、思ったりする。【文字渦】円城塔著、新潮社、2018年刊<出版社>より昔、文字は本当に生きていたのだと思わないかい? 秦の始皇帝の陵墓から発掘された三万の漢字。希少言語学者が遭遇した未知なる言語遊戯「闘字」。膨大なプログラミング言語の海に光る文字列の島。フレキシブル・ディスプレイの絵巻に人工知能が源氏物語を自動筆記し続け、統合漢字の分離独立運動の果て、ルビが自由に語りだす。文字の起源から未来までを幻視する全12篇。<読む前の大使寸評>「紙の動物園」のような言語学的SFが大使のツボであるが、この本はそれよりもさらに学術的であり・・・果して読破できるか?と、思ったりする。<図書館予約:(9/05予約、10/16受取)>rakuten文字渦『文字渦』3:「新字」の謎『文字渦』2:「第5回遣唐使」『文字渦』1:CJK統合漢字【台湾生まれ 日本語育ち】温又柔著、白水社、2016年刊<「BOOK」データベース>より3歳から東京に住む台湾人作家が、台湾語・中国語・日本語、三つの母語の狭間で揺れ、惑いながら、自身のルーツを探った4年の歩み。<読む前の大使寸評>著者の母語体験や台湾語と中国語の違いが語られているそうで・・・興味深いのです。<図書館予約:(9/22予約、10/19受取)>rakuten台湾生まれ 日本語育ち『台湾生まれ 日本語育ち』1:わたしのニホン語事始め(長くなるので後略、全文はここ)
2023.12.21
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早朝に散歩する太子であるが、南東の空に月と金星が見えるのです。ちょうど三日月の内側に金星が位置しているが、これって中東諸国が好むマークではないか。また、このマークは春分と関係があるのではないか?『日本のならわしとしきたり』という蔵書に二十四節季の記事があることを思い出したのです。今年は暖冬であるが・・・さすがに冬至ともなれば寒いので、風邪などひかぬよう気を付けましょうね。【日本のならわしとしきたり】ムック、 徳間書店、2012年刊<内容紹介>ありふれたムック本ということなのか、ネットにはデータがありません。<大使寸評>とにかく「今日は二十四節季でいえば、何になるか♪」を知りたいロボジーにとって、座右の書となるでしょう♪Amazon日本のならわしとしきたり冬至ゆづ湯この本で、冬至のあたりを見てみましょう。和暦p3<冬至>大晦日と新年の行事があり、夜長短日の節気 「冬至」は、現行の暦では12月22日ころ、第1日目を迎え、小寒(1月6日ころ)に入る前日までをいう。「冬至の日」、「冬至日」は第1日目を指している。 秋分から春分までの間、北半球では太陽は真東からやや南寄りの方角から上り、真西からやや南寄りの方角に沈む。冬至の日にはこの「日の出・日の入り」が最も南寄りになる。さらに、冬至の日には北極圏全域で「極夜」となり、南極圏全域で「白夜」となる。 わが国では一般に、冬至の日は「1年中で最も昼が短く夜が長い日」と言われているが、実際は日の出が最も遅い日は冬至の半月後ころであり、日の入りが最も早い日は冬至の半月前ころである。『暦便覧』では「日南の限りを行て、日の短きの至りなれば也」と説明している。 しかし冬至の日は「1年中で最も昼が短く夜が長い日」ということから、さまざまな行事や祭りが誕生し、人々の暮らしに寄り添い親しまれ、現在に続いているのである。 冬至の期間の七十二候は、次の通り。 初候「乃東生(なつかれくさしょうず)」夏枯草が芽を出す。 次候「麋角解明(きわしかのつのおつ)」大鹿が角を落とす。 末候「雪下出麦(ゆきわたりてむぎのびる)」雪の下で麦が目をだす。 西洋占星術では、冬至の日が磨カツ宮(やぎ座)の始まりとしている。二十四節季の大雪に注目(復刻2)二十四節季の小雪に注目
2023.12.21
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図書館に予約していた『ユーチューバー』という本を、待つこと半年ほどでゲットしたのです。村上龍の最新の小説やないか・・・これは期待できそうである♪【ユーチューバー】村上龍著、幻冬舎、2023年刊<出版社>より20代半ばにしてデビューをした作家・矢崎健介、70歳になった。「世界一もてない男」を自称するユーチューバーが、矢崎をユーチューブに誘う。承諾した矢崎が語り出したのは、自由である人間について。自由な人間は滅多にいないのだと言った。自由であるということは、唯一の希望を生む。<読む前の大使寸評>村上龍の最新の小説やないか・・・これは期待できそうである♪<図書館予約:(5/20予約、入荷待ち)>rakutenユーチューバー冒頭の語り口を、見てみましょう。p3~10■1 赤い車がホテルの玄関先に駐まっているのを見た。わたしは車に詳しくないが、とてもきれいな赤だと思う。ポルシェとかそういう車かも知れない。彼はホテルにいるのだ。季節は秋で、時間は夕方の5時ごろだった。 彼は、70歳になったばかりの有名な作家だ。わたしは、一度だけいっしょに、彼の部屋でワインを飲んだことがある。その前に、ホテルのプールでいっしょになったことがあり、わたしは自分のことを「世界一もてない男」だと自己紹介したのだが、彼はそのことを覚えていた。あなたは、確か、日本一だったか、世界一だったか忘れたけど、もてない男でしたね、とわたしのことを言った。 彼は、選ばれた人だけが泊るフロアにいる。彼に会うためには、わたしもそのフロアに泊まらなければいけない。私は、決心した。すでに会社も辞めた。さまざまな種類のお茶を売る会社で、わたしは創業者の子孫だったのだが、辞めた。創業者のひ孫ということで、役員をしていたのだが、辞めざるを得なかったのだ。 退職金や一時金の類いもいっさいなく、株をもっていたのでいくばくかの資金はあったが、40前の男が、独立を果たしたのだ。気分は高揚していた。会社に残る連中は哀れな気が下。お茶のネット販売が成功していて、会社は儲かっていたが、男がやる仕事ではないと思った。世界一もてない男だけに、妻子もいないし、彼女もいない。 わたしは、ホテルにチェックインした。特別なフロアに泊まる。今夜は絶対に彼に会う必要があるのだ。■2 夜、製氷室のある階で彼を待った。だいたい10時過ぎに現れる。ただの製氷室なのだが、特別なエレベーターでしかアプローチできない場所なので、椅子が用意してある。豪華な椅子ではないが、センスがいいように思う。 わたしはその椅子に座り、彼を待つのが好きだった。製氷室に現れないことも多かった。だが彼と何となくつながっているような気がして、待った。「あ、こんばんは」 エレベーターが開き、彼が姿を見せたので、声をかけた。「また会いましたね」 彼は、そう言ったが何となく元気がなかった。そう言えば、いつもいっしょにいる30代か40台か50代の女性がいない。今日はお一人なんですね、と言おうかと思って止めた。そういうことは言わないほうがいいような気がしたのだ。 アイスペールに氷を詰め、彼はエレベーターのボタンを押そうとしたが、あの、ぼくがユーチューバーになるって話を前回したかと思うんですが、と意を決して、わたしは言った。「そう言えば、ゼレンスキーの話をしてから、そういう話をしたね」 彼は、よく覚えていた。ウクライナのゼレンスキーがいかにインチキかの話をしていたから、ユーチューバーのことを言った。彼は、わたしが世界一もてない男だとプールで言ったことも覚えていたし、記憶力がすごいと思った。「わたしがなりたいユーチューバーというのは、その辺にいる連中とかと違うんです」 わたしはそう言った。彼はアイスペールを持ったままだったが、聞いてくれた。「ユーチューブも年寄りのものになりつつあります。FB、つまりフェイスブックやインスタグラムはもう完全に年寄りのものです。だからチャンスなんです。年寄りのものになりつつあるってことを自覚しているユーチューバーはいませんから」「よくわからないな、ちょっと部屋に来る?」やや唐突になるけど、個人的に好きなYouTubeを紹介します。・ノモンハン 責任なき戦い NHKスペシャル・La Boheme・Nina Hagen Du hast den Farbfilm vergessen 1974・Der Stern von Afrika
2023.12.20
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図書館に予約していた『白鶴亮翅』という本を、待つこと4ヶ月ほどでゲットしたのです。おお 多和田葉子の最新小説ではないか♪・・・ということで予約していた本です。【白鶴亮翅】多和田葉子著、朝日新聞出版、2023年刊<「BOOK」データベース>よりベルリンで一人暮らしをする美砂は、隣人Mさんに誘われて太極拳学校へ。さまざまな文化的背景の人びととの出会い、第二次大戦前後のドイツと日本の歴史に引き込まれ、名作を女性の視点で読み直す。<読む前の大使寸評>おお 多和田葉子の最新小説ではないか♪・・・ということで予約していた本です。<図書館予約:(8/2予約、副本?、予約57)>rakuten白鶴亮翅冒頭の語り口を、見てみましょう。p3~5 ある日のこと、外に出ようと家のドアをあけるとそこにⅯさんが立っていた。Ⅿさんはちょうど呼び鈴を鳴らそうとして片手をあげたところで、急にドアが開いたので目をまるくして棒立ちになっている。幸いドイツのドアは内側に開く。そうでなかったらドアを勢いよく開けたわたしはⅯさんの鼻を傷つけてしまっていたかもしれない。「あ、こんにちは。お元気ですか」 わたしはとりあえず、そんな挨拶をしてその場を繕ったが、Ⅿさんはヤー(はい)ともナイン(いいえ)とも答えないので、手近にあった話題をよく考えもせずにつかんで沈黙を埋めた。「このドア、きしむんです。蝶番にオイルをさせといいとインターネットに書いてあったんですが、うちにはサラダオイルしかなくて、でもサラダオイルをさしたら蟻が舐めにくるんじゃないかと心配で」 Ⅿさんは瞬きもせずにわたしの話を聞いているが、自分からは何も言わない。仕方なくわたしは直球を投げた。「何かご用ですか。今あいにく急いででかけなければならないんですが」「実は一つお願いしたいことがあるんです。全く急がないわなので今度また」 そう答えるⅯさんの顔にははにかむような、同時に悪戯をたくらむ少年のような表情が浮かんでいた。「それではお電話ください。すみませんね。今は約束の時間に遅れそうなので」 そう言い残して、わたしはバス停に急いだ。いつもはゆっくり歩くのが好きなわたしだが、この日は無理に速く歩こうとして何度か躓いた。わたしは転びやすい。おそらく足をあまり上げずに前屈みで歩くのがよくないのだろう。 急いでいるというのは言い訳ではなかった。15分ほど前に友達のパウラから電話があってすぐに来てほしいと頼まれた。パウラの家の前に生えている大木のかなり上の方にある枝に70歳くらいの女性が足をぶらぶらさせて平然と腰かけているのだそうだ。危ないから降りた方がいいとパウラが声をかけても反応しないのは、ドイツ語が通じないか、耳が聞こえないかどちらかだろう。顔立ちから判断すると日本人のようなので、わたしにすぐ来てほしいと言う。 顔だけで日本人だと断言できるのかとわたしが訊き返すと、絣(かすり)の着物のような模様のブラウスを着て、ピカチュウのプリントされたポシェットをたすき掛けにしているから絶対に日本人だと言う。警察にはもう電話したそうで、救助の人がハシゴを持って助けに来てくれるからそれまで動かずにじっとしているように、と日本語で説得してほしい、とわたしに頼むのだった。 パウラは大学に通っていた頃できた友達で、困っている人を見かけると放っておけない性格だった。困っていない人についても世話を焼きたがる傾向がある。高い木の枝に腰かけているドイツ語の理解できない70代の日本人女性というのはどうも想像しにくかったが、ベルリンで暮らすようになってからは世の中にはかなり突飛なことも起こりうると思うようになっていた。 外気は予想外に冷たかった。天気予報はあまり見ない方なので、戸外に出て初めて前日と比べて拡大に気温が下がっているのに気づいて驚くことがよくある。室内の温度は常に20度に保たれ、二重窓を通して外を見ると晴天の日にはつい外も暖かいのではないかと誤解してしまう。わたしたちはすでに濡れた落ち葉に覆われた秋に足を踏み込んでいて、秋は急な坂道のように冬に向かって傾斜している。 ぶるっと身震いし、ジャケットの襟に亀のように首をひこめたが、コートを取りに家に戻る余裕はなかった。脇目もふらずにバス停をめざして速足に歩き、停車中のバスが目に入ったので小走りで駆け寄って飛び乗った。一番前の席に腰をおろし、ほっと一息ついて窓の外をぼんやり眺めながら、Ⅿさんの頼み事って一体何だろう、とあらためて思った。この本も多和田葉子アンソロジーに収めるものとします。
2023.12.20
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今回借りた3冊です。 だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は強いていえば、「日本の強み」でしょうか♪<市立図書館>・「スパコン富岳」後の日本・イギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」・台湾のことがマンガで3時間でわかる本<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)***********************************************************【「スパコン富岳」後の日本】 小林雅一著、中央公論新社、2021年刊<「BOOK」データベース>より世界一に輝いた国産スーパーコンピュータ「富岳」。新型コロナウイルス対応で注目の的だが、真の実力は如何に?「電子立国・日本」は復活するのか?新技術はどんな未来社会をもたらすのか?莫大な国費投入に見合う成果を出せるのか?開発責任者や、最前線の研究者(創薬、がんゲノム医療、宇宙など)、注目AI企業などに取材を重ね、米中ハイテク覇権競争下における日本の戦略や、スパコンをしのぐ量子コンピュータ開発のゆくえを展望する。<読む前の大使寸評>スパコンといえば・・・かつて神戸のポートアイランドの理化学研究所計算科学研究センターまでスパコン京を見に行ったように、物見高いのであった。rakuten「スパコン富岳」後の日本【イギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」】デービッド・アトキンソン著、講談社、2015年刊<「BOOK」データベース>より日本は「足し算」文化。日本人に「解決能力」はあるか?「面倒くさい」が日本流。強すぎる個人主義が日本の特徴。効率の悪さを「伸びしろ」にする…日本の成長を約束する提言集!「日本人論」大ベストセラー第二弾!<読む前の大使寸評>追って記入tokumaイギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」【台湾のことがマンガで3時間でわかる本】西川靖章×横山憲夫著、明日香出版社、2015年刊<「BOOK」データベース>より世界で一番「好日」な人々。日本の文化と人々がこよなく好まれすでに多くの日系企業が進出し中国本土と太いビジネスのパイプがつながり中国にはない「好日」「自由」「先進国文化」がある。出るなら今!中国、アジア進出の第一歩は安心安全な台湾に決まり!<読む前の大使寸評>追って記入rakuten台湾のことがマンガで3時間でわかる本
2023.12.19
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『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・楊双子『台湾漫遊鉄道のふたり』(6/23予約、副本1、予約55)現在17位・川上未映子『黄色い家』(7/24予約、副本?、予約504)現在319位・三浦しおん『墨のゆらめき』(8/9予約、副本12、予約373)現在219位・堤未果のショック・ドクトリン(8/25予約、副本7、予約177)現在105位・『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』(9/18予約、副本5、予約126)現在89位・原田ひ香『図書館のお夜食』(10/04予約、副本17、予約402)現在301位・南海トラフ地震の真実(10/20予約、副本?、予約44)現在35位・斎藤幸平『マルクス解体』(11/28予約、副本?、予約?)現在21位・吉岡桂子『鉄道と愛国』(12/04予約、副本?、予約?)現在11位・満州国グランドホテル(12/20予約、副本?、予約3)<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・グレタたったひとりのストライキ・カズオ・イシグロ『夜想曲集』・沢木耕太郎『深夜特急』<予約候補>・養老孟司『形を読む』・中野翠『ほいきた、トシヨリ生活』・鴨志田譲×西原理恵子『アジアパー伝』:図書館未収蔵・菊間晴子「犠牲の森で」・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・李琴峰『彼岸花が咲く島』:第165回芥川賞受賞作(21年)・斎藤環『社会的ひきこもり』・ひさうちみちお『パースペクティブキッド』・松里公孝『ウクライナ動乱』・村上春樹×柴田元幸『翻訳夜話』・ジェイムズ・ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』<予約分受取:10/14以降> ・タルディ『塹壕の戦争1914-1918』(10/08予約、10/14受取)・小川哲『地図と拳』(2/01予約、10/21受取)・有川ひろ『旅猫リポート』(10/27予約、10/28受取)・ジンセイハ、オンガクデアル(2/10予約、11/15受取)・ブレイディみかこ『リスペクト』(9/05予約、11/23受取予定)・『千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話』(5/23予約、11/28受取)・村山由佳『命とられるわけじゃない』(11/21予約、11/28受取)・多和田葉子『白鶴亮翅』(8/2予約、12/05受取)・村上龍『ユーチューバー』(5/20予約、12/11受取)**********************************************************************【台湾漫遊鉄道のふたり】楊双子著、中央公論新社、2023年刊<「BOOK」データベース>より昭和十三年、五月の台湾。作家・青山千鶴子は講演旅行に招かれ、台湾人通訳・王千鶴と出会う。現地の食文化や歴史に通じるのみならず、料理の腕まで天才的な千鶴と台湾縦貫鉄道に乗りこみ、つぎつぎ台湾の味に魅了されていく。ただ、いつまでも心の奥を見せない千鶴に、千鶴子の焦燥感は募り…国家の争い、女性への抑圧、植民地をめぐる立場の差。あらゆる壁に阻まれ、近づいては離れるふたりの旅の終点はー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(6/23予約、副本1、予約55)>rakuten台湾漫遊鉄道のふたり【黄色い家】川上未映子著、中央公論新社、2023年刊<「BOOK」データベース>より2020年春、惣菜店に勤める花は、ニュース記事に黄美子の名前を見つける。60歳になった彼女は、若い女性の監禁・傷害の罪に問われていた。長らく忘却していた20年前の記憶ー黄美子と、少女たち2人と疑似家族のように暮らした日々。まっとうに稼ぐすべを持たない花たちは、必死に働くがその金は無情にも奪われ、よりリスキーな“シノギ”に手を出す。歪んだ共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解へ向かい…。善と悪の境界に肉薄する、今世紀最大の問題作!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(7/24予約、副本?、予約504)>rakuten黄色い家【墨のゆらめき】三浦しおん著、 新潮社、2023年刊<出版社>より実直なホテルマンは奔放な書家と文字に魅せられていく。書下ろし長篇小説! 都内の老舗ホテル勤務の続力は招待状の宛名書きを新たに引き受けた書家の遠田薫を訪ねたところ、副業の手紙の代筆を手伝うはめに。この代筆は依頼者に代わって手紙の文面を考え、依頼者の筆跡を模写するというものだった。AmazonのAudible(朗読)との共同企画、配信開始ですでに大人気の書き下ろし長篇小説。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/9予約、副本12、予約373)>rakuten墨のゆらめき【堤未果のショック・ドクトリン】堤未果著、幻冬舎、2023年刊<「BOOK」データベース>より「ショック・ドクトリン」とはテロや大災害など、恐怖で国民が思考停止している最中に、為政者や巨大資本がどさくさに紛れに過激な政策を推し進める悪魔の手法のことである。日本でも大地震やコロナ禍という惨事の裏で、知らない間に個人情報や資産が奪われようとしている。パンデミックで空前の利益を得る製薬企業の手口、マイナンバーカード普及の先にある政府の思惑など…。強欲資本主義の巧妙な正体を見抜き、私たちの生命・財産を守る方法とは?滅びゆく日本の実態を看破する覚悟の一冊。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/25予約、副本7、予約177)>rakuten堤未果のショック・ドクトリン【ぼくはあと何回、満月を見るだろう】坂本龍一著、新潮社、2023年刊<「BOOK」データベース>より「何もしなければ余命は半年ですね」ガンの転移が発覚し、医師からそう告げられたのは、2020年12月のこと。だが、その日が来る前に言葉にしておくべきことがある。創作や社会運動を支える哲学、坂本家の歴史と家族に対する想い、そして自分が去ったあとの世界についてー。幼少期から57歳までの人生を振り返った『音楽は自由にする』を継ぎ、最晩年までの足跡を未来に遺す、決定的自伝。著者の最期の日々を綴った、盟友・鈴木正文による書き下ろし原稿を収録。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/18予約、副本5、予約126)>rakutenぼくはあと何回、満月を見るだろう【図書館のお夜食】原田ひ香著、ポプラ社、2023年刊<「BOOK」データベース>より東北地方の書店に勤めるものの、うまくいかず、仕事を辞めようかと思っていた樋口乙葉は、SNSで知った、東京の郊外にある「夜の図書館」で働くことになる。そこは普通の図書館と異なり、亡くなった作家の蔵書が集められた、“本の博物館”のような図書館だった。開館時間は夜7時から12時まで、まかないとして“実在の本に登場する料理”が出てくる「夜の図書館」で、本好きの同僚に囲まれながら働き始める乙葉だったがー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/04予約、副本17、予約402)>rakuten図書館のお夜食【南海トラフ地震の真実】 小澤慧一著、東京新聞出版、2023年刊<「BOOK」データベース>より「南海トラフは発生確率の高さでえこひいきされている」。ある学者の告発を受け、その確率が特別な計算式で水増しされていると知った記者。非公開の議事録に隠されたやりとりを明らかにし、計算の根拠となる江戸時代の古文書を調査するうちに浮かんだ高い数値の裏にある「真実」。予算獲得のためにないがしろにされる科学ー。地震学と行政・防災のいびつな関係を暴く渾身の調査報道。科学ジャーナリスト賞で注目のスクープを書籍化!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/20予約、副本?、予約44)>rakuten南海トラフ地震の真実【マルクス解体】斎藤幸平著、 講談社、2023年刊<「BOOK」データベース>よりいまや多くの問題を引き起こしている資本主義に対する処方箋として、斎藤幸平は、マルクスという古典からこれからの世の中に必要な理論を提示する。本書『マルクス解体』は、マルクスの物質代謝論、エコロジー論、プロメテウス主義の批判から、未来への希望を託す脱成長コミュニズム論までを精緻に語る。これまでの斎藤の活動の集大成であり、同時に「自由」や「豊かさ」をめぐり21世紀の基盤となる新たな議論を提起する書である。<読む前の大使寸評>追って記入。<図書館予約:(11/28予約、副本?、予約?)>rakutenマルクス解体【鉄道と愛国】吉岡桂子著、岩波書店、2023年刊<「BOOK」データベース>より戦後日本の発展の象徴、新幹線。アジア各地で高速鉄道の新設計画が進み、中国が日本と輸出を巡って競い合う現在、新幹線はどこまで日本の期待を背負って走るのか。一九九〇年代から始まった新幹線商戦の舞台裏を取材し、世界最長の路線網を実現した中国の高速鉄道発展の実像に迫る第一部、中国、香港、韓国、東南アジア、インド、ハンガリーなど世界各地をたずね、鉄道を走らせる各国の思惑と、現地に生きる人々の声を伝える第二部を通じて、時代と共に移りゆく日中関係を描き出し、日本の現在地をあぶりだす。<読む前の大使寸評>追って記入。<図書館予約:(12/04予約、副本?、予約?)>rakuten鉄道と愛国【満州国グランドホテル】平山周吉著、芸術新聞社、2022年刊<「BOOK」データベース>より「二キ三スケ」(東条英機、星野直樹、松岡洋右、岸信介、鮎川義介)だけで満洲は語れない。「一ヒコ一サク」(甘粕正彦、河本大作)が隠然たる影響力を行使する。再チャレンジ、前歴ロンダリングも許される自由の天地。「五族協和」の理想を信じた人たちの生と死。既存の満洲国イメージをくつがえす、満洲の土を踏んだ日本人の奇妙にして、真剣なる「昭和史」物語。<読む前の大使寸評>著者・平山周吉さんの「小津安二郎」が大佛次郎賞を受賞したが、この際同氏の「満州国グランドホテル」が気になるので図書館予約したのです。<図書館予約:(12/20予約、副本?、予約3)>rakuten満州国グランドホテル【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・ウィキペディアでめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。・Kindle版を購入すれば、その本の全て読めるのだが、紙の本から書き写す手間が好きなわけでおます。予約分受取目録R26好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索
2023.12.19
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昔は営林署という役所だったが、今では森林管理局と言うんだそうですね。そこで働く森林官の仕事を見てみましょう。あなたに届け!!関東森林管理局~第2弾~より*********************************************************森林官の仕事内容は?より森林官の仕事内容は?国有林をどう守るの?■森林官は国有林を守り育てる国家公務員森林官は林野庁の出先機関である各地域の森林事務所に所属して、国有林を守り育てる国家公務員です。具体的な仕事内容は、管轄(かんかつ)の区域にある国有林を歩いて、森林の育成状況の調査をし、植林や収穫、「間伐(かんばつ)」と呼ばれる樹木の間引きの計画を立てています。実際に間伐や植林や収穫をするのは専門の業者に依頼をしており、森林官はその現場監督を行います。また林道の建設計画や、不法投棄などの不正もパトロールしています。そのほか地域の住人と交流して山の祭りなどの行事に参加したり、森林教室の講師の仕事をしたりすることもあります。*********************************************************
2023.12.18
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世界三千五百種の言語のうち、日本語は使用者数が第六番目の言語だということには驚くのです。そのあたりに触れている『閉された言語・日本語の世界』という本を復刻して読み直してみます。*********************************************************<『閉された言語・日本語の世界』3>図書館で『閉された言語・日本語の世界』という本を、手にしたのです。発行年度がかなり古い本であるが、当時で32刷となっているように・・・・いわゆるロングセラーなんだろうね♪ 借りた本は1990年発行となっています。【閉された言語・日本語の世界】鈴木孝夫著、新潮社、1975年刊<「BOOK」データベース>より日本語を話す人=日本人という「単一言語国家」であり、歴史上侵略された経験がない日本人は、いかなる言語を育んできたのか。数種類の一人称代名詞をもち、「相手依存」で自己規定する私たちの言葉の不思議。言語社会学の第一人者が、言語と文化への深い洞察をもとに、日本語観、外国観、そして日本人の自己像を考える。時代を経ても色褪せない必読の論考。<読む前の大使寸評>発行年度がかなり古い本であるが、当時で32刷となっているように・・・・いわゆるロングセラーなんだろうね♪ 借りた本は1990年発行となっています。rakuten閉された言語・日本語の世界諸言語の使用者人口について、見てみましょう。p111~113■日本語は大言語である 現在のところ、世界の諸言語の中で最大の使用者人口を持つものは中国語であろう。もっとも一口に中国語と言っても決して均一な言語ではなく、その方言と称せられるものの中には、相互に通じないほどの相違が見られるものもある。だが最大の方言集団である北方方言だけとってみても、まだ五億近い使用者を数えるのだから、中国語は世界最大の言語と一応考えてよいだろう。 つぎに来るものは英語である。大ブリテン島と北アイルランド、アメリカ、カナダ、そしてオーストラリア、ニュージーランド、南ア、その他で三億余とされている。第三番目のグループはスペイン語とロシア語である。最新の統計がないので正確なことは分からないが、スペイン語の方が少し多くて二億弱、ロシア語は、ウクライナ、白ロシア語を含めても一億6、7千万程度ではないかと考えられる。スペイン語使用者の大部分は中南米諸国にいる。 そのつぎがインドの公用語の一つであるヒンディ語で約一億四千万、そして一億一千万強の日本語はほぼ同数の使用者を持つインドネシア語と共にこれにつづくのである。そのほか一億を越す使用者がいると思われるものに、ポルトガル語とベンガル語がある。 多くの日本人にとって、日本語が使用者数の点で世界三千五百種の言語のうち、第六番目の言語だとは容易に信じられないのではないだろうか。私自身もまさかという気持ちでいろいろと調べてみたが、どうも事実のようである。 世界には今のところ億の位を越す使用者を持った大言語は意外に少ないのであって、私たちになじみの深いドイツ語ですら約9千5百万程度なのである。これは東西両ドイツとオーストリアのほか、ポーランド内にもかなりのドイツ語人口があり、スイスにも三百五十万人ほどいる。またアメリカ大陸ことに南米にも相当数の使用者が見出される。フランス語はカナダ、ベルギー、スイスそれに海外領土を入れても六千万程度で、イタリア語とほぼ同数である。最近国連の公用語に加えられたアラビア語は、広大な地域の多数の国において用いられているにもかかわらず、使用者は約八千万を数えるにすぎない。 要するに世界の約三千五百の言語の中で、母国語使用者の数が一億を越える言語は十指に満たない少数で、日本語はその一つなのである。この事実をはっきりと知っている日本人が現在はたして何人いるだろうか。 日本語は多くの日本人が、なんとなく感じているような、取るに足らぬ言語どころか、少なくとも使用者数の点では、立派な大言語の一つなのである。 しかしいかに多くの人に用いられている言語であっても、その言葉を使う人々の経済的影響や文化的重要性が、同時に大きくなければ、言語としての重要性はそれほどではなくなってしまう。この点で日本語はどうであろうか。日本という国の持つ経済力や文化の高さは、いろいろと問題があるにせよかなりのものであることは間違いのないところであろう。 このように、私たちが自分たちの言語を国語としていわば内側からのみ見ることを止め、外側の立場つまり世界の諸言語の一つとしての日本語という観点から眺め直していることで、はじめて正常な比例感覚を持ちうるのだ。ところが日本語の大言語性には、いろいろと問題があるのである。(中略) このように、自分の国の中ならば、出会う同国人は必ず自分と同じ言語を話すということが、疑うべくもない前提として通用する大国は、世界広しといえども日本くらいのものなのである。日本はおそろしく純度の高い単一言語国家であり、しかもその言語が世界の大言語の上位に位置するという事実が、私たち日本人にとっても、また他の国の人々にとっても、今後いろいろな問題を生むことになるのである。ウーム 「閉された言語」といわれる由縁がちらっと見えてきましたね。『閉された言語・日本語の世界』3:日本語は大言語である『閉された言語・日本語の世界』2:訓読みの成立『閉された言語・日本語の世界』1:同音異義の漢字の成立理由
2023.12.18
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「漢字文化圏」とは大使のツボであるのだが、『近くて遠い中国語』という本に日中の漢字の違いなどが出ているので、復刻して読み直してみようと思い立ったのです。*********************************************************図書館で『近くて遠い中国語』という本を、手にしたのです。いま『閉された言語・日本語の世界』という本を読んでいるのだが、日中の漢字の違いあたりがこの本にも出てくるので、チェーン・チョイスのように借りた次第でおます。【近くて遠い中国語】阿辻哲次著、中央公論新社、2007年刊<「BOOK」データベース>より中国旅行では、たとえ会話はできなくても筆談すればなんとか通じると、多くの日本人は考える。しかし、現実はそんなに甘くない。日本人が習ってきた漢文と中国語とはまったく別の言葉なのだ。たとえば「小面包」という単語は、漢文の知識では理解不能である。中国語と漢文と日本語との間によこたわる、漢字の違い、単語の違い、用法の違い、文法の違いをやさしく解説し、知っているようで知らないリアルな中国語を紹介。<読む前の大使寸評>いま『閉された言語・日本語の世界』という本を読んでいるのだが、日中の漢字の違いあたりがこの本にも出てくるので、チェーン・チョイスのように借りた次第でおます。rakuten近くて遠い中国語「漢字文化圏」とは大使のツボであるのだが、そのあたりが載っているので見てみましょう。p115~117■共通の文体 ユーラシア大陸の東端に位置する国々では、過去の長い時間にわたって「漢字文化圏」という名の文化共同体が存在しつづけた。漢字文化圏とは、漢字を読み書きすることで相互に意思の疎通をはかることが出来た集団であり、それは国家や王朝という政治的な枠や、あるいは言語の差異を超越するものだった。 つまり口で話す言語は国ごとに異なっていても、古代中国で使われていた規範的な文体を使って文章をつづれば、自由に相互の意思を疎通させることが可能であるという状態が存在していた。異国人どうしのあいだでも、漢字で文章さえ書ければ通訳は不要であった。 このかつて東アジア一帯での外交や文化交流の際に使われた文体を、中国では「古文」と呼び、日本ではそれを「漢文」と呼んでいる。 この文体は、中国の歴史のいつの時代でも、話しことばとはまったく違うものだった。中国では文字の記録がはじまった当初から、口頭の言語と文章に書かれる書面語()のあいだに、かなり大きなへだたりがあったと思われる。 漢字がいつごろどこで生れたか、その正確なことはわかっていないが、現存する最古の漢字としては紀元前1300年前後から前1000年くらいまでに使われた「甲骨文字」があり、それとほぼ同時代から続く周代を通じてずっと作られつづけた青銅器に記録された銘文があって、その文字を「金文」という。 これらの文字が記録されたのは亀の甲羅や牛の骨、あるいは青銅器という、世界的に見ても非常に特殊な素材であり、それらは常識的に考えても文字を書きやすいものではなく、そこに文字を書くにはかなりの努力と工夫が必要であった。(中略) 甲骨文字は王がおこなった占いの内容と結果を書き記したものであり、青銅器は祖先に対する祭りに使われる道具であった。占いをおこなって得た結果は、実際の占いに使われた甲羅や骨そのものに記録されるべきものであったし、祖先に対する語りかけは、祭祀に使われる青銅器に記録されなければ意味がない。すなわち古代中国で使われた甲羅や青銅器という特殊な素材は、文字の書き手が自由に選択した素材ではなく、はじめから選択の余地のない書写材料として書き手の前にあたえられていたものなのである。 逆にいえば、文字とはそもそも何に書いてもよいという性格のものではなく、記録される文章は、それが書かれる素材との有機的なまとまりのなかで完結していたのである。 このように文字を書くのに苦労する素材であれば、記録者の側にできるだけ少ない字数で文章を書こうという意識が働くのは当然であり、そのことが結果として文章と口頭による音声言語のあいだに大きなへだたりを生じさせることとなった。中国では書写材料がもっていた記録上の制約が、文語と口語の大きなへだたりをもたらしたといえるだろう、ウン 「漢文の定義」が目からウロコというか・・・「漢字文化圏」の本質をついていて、いいではないか♪しかし中華の現状は・・・内向きの言語政策によってタコ壷のような漢文、漢字になりつつあるのです。『近くて遠い中国語』2:漢字の簡略化『近くて遠い中国語』1:中国語の方言
2023.12.17
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図書館で『日・韓・台このままでは中国に呑み込まれる!』という本を手にしたのです。呉善花 ×石平 ×黄文雄というお三方による鼎談ってか・・・単なる嫌中、嫌韓、台湾好きとは一味違っているかも?ということでチョイスしたのです。【日・韓・台このままでは中国に呑み込まれる!】呉善花 ×石平 ×黄文雄著、徳間書店、2020年刊<出版社>よりロングセラー「売国奴」(2007年)から10数年、常に中・韓をウオッチしてきた3人が、なおも悪化し続ける日・中・韓関係について、その根源を抉り出す。呉善花(韓国)石平(中国)がそれぞれの生国について見解を述べ、俯瞰的な立場に立って黄文雄(台湾)が日・中・韓の「三国志」を分析する。この「鼎談」から見える風景は絶望でしかないのか。<読む前の大使寸評>呉善花 ×石平 ×黄文雄というお三方による鼎談ってか・・・単なる嫌中、嫌韓、台湾好きとは一味違っているかも?tokuma日・韓・台このままでは中国に呑み込まれる!第3章で反日民族主義が語られているので、見てみましょう。p112~114<中国はなぜ反日政策を取るようになったのか>呉: 戦後70年近くになりますが、それほど時間が経っているのに、中国と韓国はなぜいまだに反日を止めないのか、一般の人からすると不思議で仕方がないと思います。そんな国は世界のなかで中国と韓国しかない。いったいこれはどういうわけなんでしょうか。 中国の反日が激しくなったのは天安門事件以後ですね。それ以前のことを含めて、中国はなぜ、今にいたる執拗な反日政策を取るようになったのか、石さんにお聞きしたいです。 石: はい、おっしゃるとおり天安門事件が反日政策への転換点になります。 親日的で民主改革に積極的だった総書記の胡耀邦が87年に失脚させられ、89年4月に失意のうちに亡くなります。胡耀邦の死をきっかけとしてその年の6月4日、民主化を求める多数の学生・一般市民が天安門広場に集結しました。そのデモ隊を鎮圧するため、中国人民解放軍は装甲車を出動させ、無差別発砲を展開するなどして多数の死傷者を出しました。これが天安門事件です。胡耀邦は多くの国民から愛された開明的な指導者でした。 この弾圧・虐殺事件によって国家の威信は地に堕ちますが、政府は民主改革派の政治家たちを次々に権力の座から追放していき、93年3月に江沢民が国家主席に就任します。これによって江沢民は、党総書記・国家主席・党中央軍事委員会主席を兼任する初めての中国最高指導者となりました。 これほどの権力一元化が行われたのは、天安門事件で失墜した国家の威信を取り戻すためであり、国民的な求心力を取り戻すためでした。江沢民政権が愛国心を旗印に掲げ、愛国主義の教育を盛り立てていったのはそのためです。 愛国教育をするためには、外敵が必要です。憎むべき民族の敵がいなければ、ナショナリズムは盛り上がりません。それで、愛国教育の重要な柱として、90年代から反日教育を行ってきたわけです。今もその延長線上にありますが、今では愛国主義は共産党を存続させるためのイデオロギーの基盤であり、反日政策は政権存立には欠かすことのできない中心的な位置を占めるようになっています。 ですから中国は、愛国主義をどうしても止められないんです。共産党政権がある限り止めることはできません。愛国主義は、国民の感情を煽り立て、国民の視線を外敵に向けさせるための、最重要の装置になっていますから、中国共産党政権は反日を止めるつもりはまったくありません。(中略) 私の高校時代の教科書には。南京大虐殺があったなんて、まったく書いてありませんでした。朝日新聞社にいた本多勝一は、中国に行って南京大虐殺があったと盛んに焚きつけましたね。彼のように、反日を増長させる日本人がいつでも絶えないんです。これが、中国・韓国の反日に大きな力を与えています。 もし戦後の日本人が一致団結して、中国・韓国の反日攻撃にノーといい続けていたら、いっさい受け付けないという態度を数十年も取り続けていたら、今日のような反日の盛り上がりは中国になかったと思います。『日・韓・台このままでは中国に呑み込まれる!』1:新版まえがきⅠ 4000日間の総括:呉善花
2023.12.17
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図書館で『日・韓・台このままでは中国に呑み込まれる!』という本を手にしたのです。呉善花 ×石平 ×黄文雄というお三方による鼎談ってか・・・単なる嫌中、嫌韓、台湾好きとは一味違っているかも?ということでチョイスしたのです。【日・韓・台このままでは中国に呑み込まれる!】呉善花 ×石平 ×黄文雄著、徳間書店、2020年刊<出版社>よりロングセラー「売国奴」(2007年)から10数年、常に中・韓をウオッチしてきた3人が、なおも悪化し続ける日・中・韓関係について、その根源を抉り出す。呉善花(韓国)石平(中国)がそれぞれの生国について見解を述べ、俯瞰的な立場に立って黄文雄(台湾)が日・中・韓の「三国志」を分析する。この「鼎談」から見える風景は絶望でしかないのか。<読む前の大使寸評>呉善花 ×石平 ×黄文雄というお三方による鼎談ってか・・・単なる嫌中、嫌韓、台湾好きとは一味違っているかも?tokuma日・韓・台このままでは中国に呑み込まれる!この本は日本に移住したお三方による鼎談スタイルになっているのです。そのお三方が「新版まえがき」をそれぞれ述べているので、見てみましょう。p1~4<新版まえがきⅠ 4000日間の総括:呉善花> 日米欧などの近代国民国家は、中国・韓国と付き合うなかで、長らく次の問題になやまされ続けてきた。 中国も韓国も前近代的なままで、容易に変化する様子が見られない、なぜこの両国は近代化できないのだろうか? 日本に定住して久しい私たち、黄文雄(台湾出身)、石平(中国出身)、呉善花(韓国出身)は、これまで10年以上、延べ日数にすれば4000日間にわたって、日中韓関係をめぐる政治的・文化的な諸問題について議論を積み重ねてきた。そこでもっとも深く、もっとも熱心に論じあったのが右の問題だったといえる。 3者による議論の成果は、2005~2015年に7冊の書物として出版されている。本書はそのなかから、「両国はなぜ近代化できないのか」にかかわる主要な議論を抜き出し、今また新たに1冊の本として編纂したものである。 習近平独裁を強固に進めるなど、中国が近代国民国家でないのはいうまでもない。中国には国民主権が確立していないし、議会政治が実現されていないのだ。そうならば、韓国は当然近代国民国家ということになってくる。確かに法制度としてはそうなのだが、実際的な運用面では、韓国は近代国民国家の要件を多々欠いているといわなくてはならない。 まず指摘できるのは、中国でもそうだが、韓国では「法治」が成り立っていないことである。 韓国は憲法で「言論の自由」を掲げている。しかしその一方で、戦前の「日本の韓国統治」を部分的にせよ部分的にせよ肯定的に評価する言論、または肯定へつながると判断される言論が、厳しく断罪すべき「反民族行為」として事実上厳禁されている、という韓国の政治的・社会的な現実がある。 国際法についても同じことがいえる。日韓の請求権問題はすでに両国間で解決していたのに、韓国はそれを覆した。国際条約として締結した国家間の約束事を守らない韓国は、明らかに法治国家とはいえず、近代国民国家としての体をなしていない。 2014年10月8日、韓国ソウル中央地検は朴槿恵大統領とその元秘書室長鄭潤会氏の名誉を毀損したとして、産経新聞前ソウル支局長の加藤達也氏を起訴し、長期間にわたり出国禁止とした。この起訴も出国禁止も、日本をはじめとする「自由、民主主義、基本的人権などの基本的価値」を共有する近代国民国家ではけっして起こり得ない事態だった。 このように、韓国には「法治」を踏み外した「情治」や「人治」の傾向が顕著に見られる。中国の「情治」や「人治」はそれ以上に強固な相を見せているといえるだろう。 韓国と向き合うには、中国だけではなく韓国もまた近代国民国家ではないことを大前提にしなくてはならない。これまでの日本が、韓国に何度も期待し、何度も裏切られてきたのは、日本が韓国を近代国民国家と幻想してきたからにほかならない。 本書ではこの問題について、伝統的な国家観、民族観、歴史認識、反日意識のあり方、中華主義と小中華主義のイデオロギー・・・などの面から、三名それぞれが独自な観点で取り組んでいる。奇しくも最悪の日韓関係と最悪の米中関係が重なり、未来への展望を暗くしている現在、本書が資すること大なるを期待したい。 令和元年12月
2023.12.16
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『『Shall weダンス?』アメリカを行く』(復刻2)*********************************************************周防監督の『Shall weダンス?』は、コミカルでちょっと哀しくて、良かったでぇ♪ということで、 『『Shall weダンス?』アメリカを行く』9をのぞいてみたのです。***********************************************************図書館で『『Shall weダンス?』アメリカを行く』という本を、手にしたのです。ぱらぱらとめくってみると、日米の映画産業事情とか、アメリカ人の人間模様が出ていて面白そうである。【『Shall weダンス?』アメリカを行く】周防正行著、太田出版、1998年刊<「BOOK」データベース>より日本映画界の野茂英雄になる-の決意も固く、映画先進国アメリカに乗り込んだ周防監督。ハリウッド流儀を蹴散らし、契約至上主義ビジネスの罠をかいくぐり、米国アカデミー賞に異議を申し立て、前代見聞、満身創痍の悪戦苦闘の末に勝ち取ったのは、「中年の危機」に悩めるアメリカ人の大喝采と、日本映画初の全米大ヒット。強いアメリカに押されっぱなしの日本人のうっぷんを晴らす、痛快ノンフィクション。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると、日米の映画産業事情とか、アメリカ人の人間模様が出ていて面白そうである。amazon『Shall weダンス?』アメリカを行く封切り興行成績が出たので、見てみましょう。p351~354 <封切り興行成績、『ニュー・シネマ・パラダイス』を抜く> 7月13日(日)。昼にカンザスシティへ向けて出発。僕たちを迎えてくれたのは領事館の篠本薫子さん。とにかく彼女にはお世話になった。カンザスシティはデトロイトに比べれば本当に小さな街だった。だからこそ逆に彼女一人でやらなければならないことが多く、相当苦労したようだ。(中略) 7月14日(月)。ミラマックスから11日(金)の封切り週末3日間の興行成績が送られてきた。それによると、ニューヨーク2館、ロス3館のトータルで8万8106ドル。1館あたりの平均1万7621ドルという数字は『イル・ポスティーノ』よりも『コーリア』よりも『ニュー・シネマ・パラダイス』よりも『赤い薔薇ソースの伝説』よりも高いそうで。わざわざ「素晴らしい成績」と書き添えられていた。 そして僕の目を引いたのは興行成績ばかりではなく、各映画館で取れれたアンケート結果だった。どの映画館も「エクセレント」が80パーセントに迫っており、「ベリー・グッド」を合わせれば90パーセントを越える評判のよさなのだ。そして驚いたのは、観客の年齢層の高さだった。50歳以上がどの映画館でも一番多かった。すぐに思い当たる節があった。 質疑応答でもそうだったし、批評記事でも必ずそうだった。つまりこの映画には「セックスも暴力もない」ということが必ずいわれるのである。だから誰でもが安心して観ることができる。最近では珍しい映画なのだ、という評判が立っていた。 電話をかけてきたシンシアは、年齢層が高いと、若い人ほど口コミがきかないのでそこが心配であるといった。そのためにこれからのパブリシティはもう少し若者にターゲットを絞った方がいいだろうと結論づけ、だからというわけではなかろうが、伊良部を知っているかと聞いてきた。伊良部は先週、見事なデビューを飾り、ニューヨークっ子を狂喜乱舞させていた。野茂の次は伊良部か。 シンシアは説明した。 「実をいうと野茂は、あまり感情を表に出さないから、アメリカ人にとってはちょっと不気味なの。つまり東洋的な神秘さが彼にはある。だけど伊良部はアメリカ人にも理解できる。感情表現があるから、絶対彼の方が人気は出るわ」 残念ながら、伊良部の存在は知っていても、個人的にはまったく知らない。そこで伊良部と会って何かやるんだったら、僕を当てにしないでくれといった。まあ、結果的にはその後の伊良部の叩かれようを見れば正解だったわけだが、個人的には伊良部にはアメリカのマスコミだけでなく日本のマスコミをも驚愕させるほどの活躍を来期は期待したい。がんばれ、伊良部! 絶対勝てる。 しかし、ミラマックスのマーケティングというのは、この最初の結果を見ての対応だけで判断しても、日本よりはるかにしつこかった。日本では映画館での初日のアンケート結果や観客動員でその後の宣伝方法を変えて、しつこく宣伝していくなどということはまずしない。つまり宣伝は封切るまでで、後は野となれ山となれという体制が普通なのだ。 さて、ケネディ、薫子さんと、とにもかくにも映画の好調なスタートを祝いながら、今日最初のお仕事はカンザスシティ・フィルムオフィス訪問。ここでまたまた、ぜひカンザスで映画を撮ってくれと、お土産グッズをたくさんもらった。車から見るカンザスのダウンタウンは日本人にはちょうどいい街という広さで、歩いてどこにでも行けるような感じだ。ところがビルも何も新しくて綺麗なのに誰も歩いていない。これだけ小さくてもやっぱり車社会だということか。 ウン 興行成績が『ニュー・シネマ・パラダイス』より良かったということで、大使にもそのすごさが分かるのです♪この本をここまで読んできたが、ことの発端は爆弾ヤンキー娘ことエイミーが『Shall weダンス?』を発見し、ぜひ彼女の会社ミラマックスで海外配給しようとしたガッツでしたね♪。インディー系のミラマックスはハリウッド映画とは一線を隔しているとはいえ、その凄まじいマーケティングには日米文化摩擦を見るようでした。『Shall weダンス?』アメリカを行く1:『Shall weダンス?』アメリカを行く2:『Shall weダンス?』アメリカを行く3『Shall weダンス?』アメリカを行く4『Shall weダンス?』アメリカを行く5『Shall weダンス?』アメリカを行く6:『Shall weダンス?』アメリカを行く7『Shall weダンス?』アメリカを行く8『『Shall weダンス?』アメリカを行く』9:是枝監督が次のように語っています。「ハリウッドの劇場公開作品は、世界中をマーケットにしなくてはいけなくなって、どの国の人が観ても子どもが観ても、英語が理解できない人が観ても理解できる映画を志向せざるをえなくなっています。そこから逆算して企画が立てられるから、作家性の強い監督ほど離脱していく。日本でも最近、「やりたいことはWOWWOWの連ドラで」という監督が増えていて、テレビに出戻っている。現象としては面白いですね」・・・日本はハリウッド作品とは別の国産映画を志向すべきなんでしょうね。インドや日本は国産映画がペイできる特殊な国なんだし。*********************************************************
2023.12.16
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<森林あれこれ7>森林についてシリアスな思いや お楽しみアイテムなど あれこれ集めてみます。・「小さい林業で稼ぐコツ」・「宝の山」伐採ラッシュ・最新 グラウンドカバープランツ・木肌フェチとでも藤里のブナ改定7:「小さい林業で稼ぐコツ」を追加**************************************************************<森林あれこれ5>・林業経営はシンドイ・矢口史靖監督のWOOD JOB!(ウッジョブ)・漆・柿渋と木工・文字の文化史・森林保全の経済学・斜面緑化について・白山麓の出作り**************************************************************<森林あれこれ4>・ドングリ国の法面緑化・和紙と暮らす・都市の木造化を促がすならば・日本には木が多すぎる・ミツバチ大量死がもたらすこと・「外資の森林買収」はお役所の怠慢による!?**************************************************************<森林あれこれ3>・中国木材市場ってどうよ?(工事中)・森林・林業白書(抜粋)(工事中)・林業振興で真っ向勝負・土地制度の盲点(工事中)・土佐の森・救援隊の活動報告(工事中)・四万十川の環境保全・環境保全型林業・街路樹ベストテン**************************************************************<森林あれこれ2>・「安全も水も、そして森林もタダで得られない」・山林疲弊の理由・クマのためにドングリ集め・森林は誰のものだろう?・「トロッコ」に触発されて、司馬さんの「台湾紀行」を・京都府立植物園にて・大雑把に見える庭園には・親子二代の「福田ダム」・温暖化対策としての「森林の間伐」・養蜂業者になりたかった・営林はお荷物か?パート2・営林はお荷物か?パート1・森林の治水機能・木の暦(案)・ケルトの木の暦・霞ヶ浦のアサザ・晩夏の奥入瀬(h18.9.15)【小さい林業で稼ぐコツ】農文協(編)、農山漁村文化協会、2017年刊<「BOOK」データベース>より「山は儲からない」は思い込み!伐採や搬出を人に任せず自分でやれば、経費がかからない分、まるまる儲けになる。高値がつかない細い木でも、薪にすれば売れるし、木質バイオマス発電の燃料としても売れる。山の手入れを自分でやる「小さい林業」で稼ぐコツを解説。<読む前の大使寸評>農水省林野庁の口から出まかせのような政策に振り回されたニッポンの林業ではあるが・・・森林保全に関心があるのでチョイスしたのです。rakuten小さい林業で稼ぐコツ『小さい林業で稼ぐコツ』2:自伐型林業の極意『小さい林業で稼ぐコツ』1:若手自伐林家が語る森林経営<「宝の山」伐採ラッシュ>デジタル朝日・コラム記事によれば、スギなどの人工林が「切り時」で伐採ラッシュなんだそうです。不振を極めていた日本の林業であるが・・・やっと好機到来のようです♪((けいざい+)「宝の山」伐採ラッシュ2017.4.07より転記) 宮崎県北東部、日向市にある細島港の隣に、東京ドーム7個分の広大な敷地が広がる。国内製材最大手、中国木材(広島県呉市)の日向工場だ。積み上がった大小の丸太がひっきりなしにベルトコンベヤーで運ばれ、皮をそぎ落とし、建材などに加工されていく。 2014年に稼働し、投資総額は300億円を超える。国内最大の製材工場で、主に宮崎や鹿児島など九州南部から仕入れた原木を加工する。九州は全国のスギ生産量の3割超を占め、中でも宮崎県は25年連続で全国トップ。工場の岡田光弘副部長は話す。「土日も関係なくフル稼働です」 同社は主に国内の住宅向けに木材を製材して出荷するが、原木はもっぱら外国産を輸入してきた。安く大量調達できる一方、為替の影響が頭痛の種で、「血のにじむような効率化も円安で吹っ飛ぶ」と堀川保幸会長。 一方、国内に実は「宝の山」が広がっている。国土の2割以上を占めるスギなどの人工林の半分以上が、樹齢45年超で「切り時」なのだ。この好機に、同社は国産材シフトに踏み出した。 日向工場で大型化、効率化を追求。欧米産と価格で対抗できるようになった。大小あらゆる木の製材や乾燥を担える設備を備え、切った木を他の業者などを介さず運び込めるようにして費用を抑えた。20年までに製材能力を1.6倍に増やす方針で、「世界と競争できる『日向モデル』だ」(堀川会長)。東アジアへの輸出も見据える。 「国産シフト」は各地で広がりつつある。農林水産省によると、10年以降にできた大型の製材工場は20ヶ所以上ある。同省の担当者は「国産の原木を大量に製材できる体制が整いつつある」。 中国木材の日向工場への原木供給地の一つが鹿児島県曽於(そお)市。面積のほぼ6割が森林で、丸太を山積みしたトラックが市内をひんぱんに行き交う。 「今や市内や周辺の森林は伐採ラッシュ。依頼が多くて正直、追いつかないくらいだ」。市森林組合の富永昭文林産課長は言う。組合によるスギ原木の伐採量は15年までの10年間で33倍に。所有者に入る代金も1ヘクタール平均で50万円ほど上がった。 国内全体でも原木の生産量は増加に転じており、木材の自給率も、02年の約19%から15年に約33%まで高まっている。12年からの再生可能エネルギー固定価格買い取り制度も追い風だ。木質バイオマス発電も電力会社の買い取り対象で、「捨てていた曲がった木、小さい木にも価値が生まれた」と林業関係者は喜ぶ。 伐採でもカギは効率化。曽於市森林組合も、市などの補助を受け、冷暖房付きの運転席から操る「高性能林業機械」を増やしてきた。先についたノコギリで丸太の長さをそろえ、枝をそぎ落とし、向きをそろえて積む。複数の機械が、流れ作業のようにこなしていく。 ただ一方、林業の担い手は減り続けており、新規採用も思うにまかせない。曽於市森林組合でも今年度に新卒5人を募集したが、採用できたのは1人。また、木を切った後は資源を守るためにまた木を植え直す「再造林」が重要になるが、手入れの費用がかかることや人手不足などから、全国でみれば植え直す比率が2割に満たない地域もある。(柴田秀並)ウン 朗報には違いないが、樹齢45年超の「切り時」で若干潤っているだけのようです。こういう時こそ、「再造林」による持続可能な林業を目指して改革を進めるべきなんでしょうね。 <最新 グラウンドカバープランツ>ドングリ国の法面緑化の遷移について、この15年くらい注目しているので、この本にそのあたりが載ってないかと読んでみたが、残念ながら載っていなかった。でも、グラウンドカバープランツの種類と緑化手法について、ややプロ向けに書かれているが、見て楽しめる内容となっています。15年ほど前、ドングリ国へ赴任した直後には、裏山の法面を主のような顔で風靡していたクロバナエンジュは今では他の潅木の陰で枯死寸前のありさまです。クロバナエンジュよりでも、今ではこの人口の法面はパッと見には、自然の斜面そのものです。森林の遷移メカニズムを熟知した造園エンジニアの目論見は達成されたといえるのでしょう♪この本でコケの魅力が述べられたあたりを紹介します。何といっても、日本古来のグラウンドカバープランツですもんね。<グラウンドカバープランツとしてのコケの魅力>p182より まさに緑のじゅうたんと呼ぶにふさわしい光り輝く光景をつくり出すコケ。京都に数多くある寺社の日本庭園、コケはつきものである。コケのない日本庭園など想像ができないくらい存在感が大きい。他の植栽や施設の造形がそれほどでなくとも地表一面を見事なコケが覆っているだけで立派な日本庭園と感じてしまう。 デザイン素材としてのコケの魅力は何なのか。他のいかなる植物素材よりもテクスチェアが細かく、地表面を低く蜜に覆う、その生育状態が、その魅力を醸しだすのであろう。 2013年夏の記録的猛暑と渇水状態の影響で完全枯死に至らないまでも各所の日本庭園のコケから瑞々しい緑色が失せ、黒褐色となった。大仰に言えばその途端、日本庭園の魅力は半減した。 普段の京都であれば、空中湿度も高く、霧も発生する機会も多いためコケの生育にとっては最適で、放っておいても自然にコケも生え、コケむす。一方、東京辺りでは、年々乾燥化も進み、空中湿度も低くなり、庭等にコケを植栽しても、なかなか京都の庭園のようにコケの素晴らしい庭とはならない。 このような現状であるにもかかわらず、平成の時代に入り、都市のヒートアイランド対策として屋上や屋根あるいは壁面の緑化が注目されてくると、その好適植物としてコケの導入が期待されるようになった。中でも比較的乾燥に強いとされるエゾスナゴケを緑化基盤材と一体化した製品が開発され、それらを活用した壁面緑化が行われるようになった。【最新 グラウンドカバープランツ】近藤三雄著、誠文堂新光社、2014年刊<「BOOK」データベース>より ヒートアイランド現象が問題となってから数十年、都市において壁面や屋上緑化による気化熱を利用し急激な温度の上昇を抑える点で、グラウンドカバープランツの有用性がますます高まっています。 また最近は、葉の色や形状、花が付くものなど新しい園芸品種もより豊富になったため景観デザインの面でも幅が広がり、新たな緑化手法が開発されています。 本書は、グラウンドカバープランツの種類と用途、緑化手法について詳しく解説、設計や施工、管理の現場ですぐに役立つ、造園や建築、園芸など都市緑化に関わる専門家必携の一冊です。<大使寸評>ドングリ国の法面緑化の遷移について、この15年くらい注目しているので、この本にそのあたりが載ってないかと読んでみたが、残念ながら載っていなかった。でも、グラウンドカバープランツの種類と緑化手法について、ややプロ向けに書かれているが、見て楽しめる内容となっています。Amazon最新 グラウンドカバープランツ<木肌フェチとでも>東急ハンズの木材売り場に行くと、各種唐木の木片を手にして、けっこう時間をつぶすことになります。樹木大好きの大使には、つきつめると木肌フェチとでもいう性癖があるんでしょうね。『工芸の博物誌』という本を図書館で借りて読んでいるところだが・・・・「杢(モク)」の説明など載っていて、もろに大使のツボを突くわけです♪玉杢 (たまもく)如鱗杢 (じょりんもく)杢の種類より
2023.12.15
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図書館で『小さい林業で稼ぐコツ』という本を手にしたのです。農水省林野庁の口から出まかせのような政策に振り回されたニッポンの林業ではあるが・・・森林保全に関心があるのでチョイスしたのです。【小さい林業で稼ぐコツ】農文協(編)、農山漁村文化協会、2017年刊<「BOOK」データベース>より「山は儲からない」は思い込み!伐採や搬出を人に任せず自分でやれば、経費がかからない分、まるまる儲けになる。高値がつかない細い木でも、薪にすれば売れるし、木質バイオマス発電の燃料としても売れる。山の手入れを自分でやる「小さい林業」で稼ぐコツを解説。<読む前の大使寸評>農水省林野庁の口から出まかせのような政策に振り回されたニッポンの林業ではあるが・・・森林保全に関心があるのでチョイスしたのです。rakuten小さい林業で稼ぐコツ「Part1 自分で切れば意外とおカネになる編」で自伐型林業の極意を、見てみましょう。p10~11<「シマントモリモリ団」が始めた自伐型林業:宮崎聖> 1990年代後半から注目されている「半農半Ⅹ」は、半自給的な「小さい農業」を営みながら、残りの時間(Ⅹ)は、自分のやりたい仕事に力を入れるという生き方です。林業でも同じような発想ができるのではないでしょうか。 私の場合は、「小さい林業」と観光業の組み合わせ。いま、自伐型林業+Ⅹの「複業」がU・Iターンの定住の可能性を広げています。意外なことに自伐型林業があることで、Ⅹの収入も増えているのです。■4年目で年収1000万円!?・・・「自伐」なら自分でもできそうだ 私は大学を卒業後、16年前にUターン。実家の製材所の知的障碍者福祉工場で木工加工を学びながら、カヌーのガイドや貸しコテージの運営で生計を立ててきました。しかし、、四万十市の観光業は8月の夏休みに集中しているうえ、自然体験施設は天候に左右されるので収入が不安定です。ほかの時間に何かよい仕事はないかと考えていたところ、2011年に参加したフォーラムで、NPO法人土佐の森・救援隊の副業型自伐林業に出会いました。退職してから林業を始めたという親子が、4年目で年収1000万円を超えたという話を聞いて、これなら自分にもできそうだと思いました。 さっそく、土佐の森・救援隊の講座に申し込んで、林業に最低限必要な伐倒・搬出の知識を学び、2013年には地元の自然学校の仲間たち10人と、森林ボランティアグループの「シマントモリモリ団」を結成。東京から移住してきた谷吉梢さん(27歳)や、夫で地元出身の谷吉勇太さん(30歳)らがメンバーに加わりました。 当時、高知県では森林ボランティアの団体に対し、最大50万円まで受精する制度があったので、チェンソーやヘルメットの購入など、初期投資はゼロです(バックホーなど高額の重機はリース)。あとは山さえ持っていれば、すぐに自伐林業を始められたのですが、メンバーに山林所有者はいなかったので、まずは施業をまかせてもらえる山探しから始めました。1年目は叔父が所有する1haの山を間伐。2年目以降は、自宅から車で5分のところにある祖母の山(40年生のヒノキ山7haで、「モリモリ団山」と命名)が活動拠点となり、観光のオフシーズンに作業道づくりや木材の搬出をしています。■薪用のC材が1m3 7000円で売れる 高知県では2.5m以下の作業道づくりを対象に2000円/mの補助金が出ますが、それ以外の山からの収入は、地元製材所に出荷するA材と薪ボイラー用のC材の販売。2014年に地元の公共温泉「山みずき」が薪ボイラーを導入して以来、C材を1mの長さに玉切りして温泉に持ち込むと1m3 7000円で買い取ってくれます。モリモリ団の場合は、軽トラに積んで運んでいますが、年間70m3ほどのC材を供給しています。 燃料用だから造材に失敗しても問題ありません。チェンソーの研修を受ければ誰でもできるし、1m規格で軽トラにも積み込みやすいので、自伐型林業の入り口にピッタリです。 温泉側も重油から薪に切り替えたことで燃料代が3分の1以下になり、温泉のかけ流しも可能になりました。■造材の技を磨きたい 本当におもしろいんは、伐倒・造材など、間伐をくり返しながら木を育てていく山づくりです。特に造材は腕のみせどころ。1本の木をいかに高く売るか、原木市場の相場表を見ながら、材の長さ(3m・4m・6m)や末口径、曲がりを見極めて、一番高くなる造材を考えるからです。たとえヒノキの放置林でも、造材の工夫で高単価のA材をきちんととることができます。 1m3当たり1000円以上単価が上がれば、年間の搬出量によっては数十万円も収入が増えるのです。これが一生だとすごい金額になります。『小さい林業で稼ぐコツ』1:若手自伐林家が語る森林経営
2023.12.15
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図書館で『小さい林業で稼ぐコツ』という本を手にしたのです。農水省林野庁の口から出まかせのような政策に振り回されたニッポンの林業ではあるが・・・森林保全に関心があるのでチョイスしたのです。【小さい林業で稼ぐコツ】農文協(編)、農山漁村文化協会、2017年刊<「BOOK」データベース>より「山は儲からない」は思い込み!伐採や搬出を人に任せず自分でやれば、経費がかからない分、まるまる儲けになる。高値がつかない細い木でも、薪にすれば売れるし、木質バイオマス発電の燃料としても売れる。山の手入れを自分でやる「小さい林業」で稼ぐコツを解説。<読む前の大使寸評>農水省林野庁の口から出まかせのような政策に振り回されたニッポンの林業ではあるが・・・森林保全に関心があるのでチョイスしたのです。rakuten小さい林業で稼ぐコツ「Part1 自分で切れば意外とおカネになる編」で若手自伐林家が語る森林経営を、見てみましょう。p34~35<人に任せると1m3 100円、自分で切れば3100円:菊池俊一郎>「皆さん、口を揃えて『林業は儲からない』といいますが、それはウソです」明快に言ってのけるのは、愛媛県の若手自伐林家・菊池俊一郎さん(42歳)。「だって今の山は、あるものを切って出すだけですもん。うちの場合だって、やまを買ったのは祖父やオヤジ。苗代払って植えたのも、下刈りとかの手入れをしたのも先代たちで、僕の代はもう育ったもんを切って売るだけ、何の投資もなしで、回収するだけですもん。普通に考えたって赤字になりようがない」 今の時代、自伐林家は儲かるようにできているのだという。■「1日3万円」を目安に山に入る 何せ菊池さんは、補助金をいっさいもらわずに経営を成り立たせてきた人だ。説得力がある。 ミカン2haと山28haの農家林家で、売り上げはミカンのほうが多いのだが、気持ちとしては山がメイン。ミカンは両親も一緒に家族でやるが、林業のほうは菊池さん一人でまわす。切るのも出すのも一人作業。 実際に木を切るのはミカンの繁忙期以外の夏~秋が中心だが、「山に入るなら、1日売上げ3万円は確保する」という明確な目標を持って作業に当たる。1日3万円とは、経費を引いた所得でいうと1日1万2000円見当だそうだ。とてつもなく高い目標に思えるが、「そんなことないです。慣れてくれば誰でも可能な額」とのこと。 ポイントはどうやら、「何でも自分でやる」ということと、「造材の枝」の2つのようだ。■何でも自分でやる・・・自伐だから儲けが残る「林業は儲からない」と言う人に対して、菊池さんが自作した図がある。「木を切って市場で売るまでに経費はいくらかかるか?」を見たものだが、人に施業を委託するか自分でやるかで手取りがまるで違ってくることが読み取れる。 スギの場合で見ると、人件費を外に払ってしまうと残る木材代はたった100円/m3。だが自分で切って搬出すれば3100円/m3残るkとになる。 単純なことだ。最大のコストアップは人に頼むことで、逆に最大のコストダウンは何でも自分でやること。林業ではなぜか伐出を人に頼む習慣がついている人が多いのだが、「自分でチェンソー持って、少しずつでもやってみればいいのに」と菊池さんは思う。「そりゃ、オヤジたちの時代みたいに『ヒノキ1m3 5万円』なんてことは今はないけど、自伐なら黒字経営は可能です。材価は下がってますが、やれない金額ではないですもん」 菊池さんは木を切って出すのはもちろん、道も自分でつける。機械のメンテも経理も事務も自分一人で全部こなす。データ分析が好きなので、市場の材価や日々の売り上げを記録して、作業や経営を見直すのもやる。 森林経営計画は立てていないが、施業計画は以前、自分のために自分で立てた。持ち山の状況を把握でき、今後の見通しがたって、ものすごくおもしろかった。おかげで補助金は申請しなくても、やっていけている。 ちなみに補助金は、もらってもいいとは思うのだが、今のところわずらわしい。せっかくゆったり「5年かけて少しずつ間伐しよう」と計画を立てている山に、「1年で3割の間伐をしろ」「一気に10m3搬出しろ」などの条件がつくと台無しだ。急激な変化を山は好まないと思う。 自伐で所得1日1万2000円。これを確保できれば、自分の経営としては十分まわるというのが菊池さんの判断だ。「1万2000円って、ちょっと前の景気がよかったころの森林組合労務班の日当くらいなんですよ。同じような仕事してそのくらいとれないようなら森林組合に勤めたほうがいいことになっちゃうからって、自分で決めた目安の額です」
2023.12.14
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図書館で『日本語は天才である』という本を、手にしたのです。なんか見覚えのある本であるが・・・再読になってもいいではないかと、借りたわけです。帰って調べてみると、8年ほど前に借りて読んでいました(イカン イカン)。で、このUP記事を(その3)とします。【日本語は天才である】柳瀬尚紀著、新潮社、2007年刊<「BOOK」データベース>より回文「まさかさかさま」、敬語は「お」苦が深い、ルビ混川を渡れ!ふるさとの訛なつかし、シチを放逐した犯人は?いろは歌の奇跡。『フィネガンズ・ウェイク』『チョコレート工場の秘密』の訳者が縦横無尽にこと祝ぐ超絶のことば談義。<読む前の大使寸評>なんか既視感のある本であるが、再読するのもええじゃないか・・・ということでチョイスしたのです。rakuten日本語は天才である「第1章」で根室弁が出てくるので、その一部を見てみましょう。(著者は根室出身です)p19~21<箱根の山は天下の剣?> そうそう、これは余談ですが、みなさんは I‛m full. という英語をいつ頃覚えましたか?「おなかいっぱい」という意味ですね。大人でも子供でもよく使う英語です。最近は早くから英語を習わせる時代らしいですから、小学生でも知っているかもしれない。しかしぼくの場合、中学生でも知らなかったように思います。これを覚えたのは、おそらく大学受験時代ではないでしょうか。 いや、もしかすると当時でも、「おなかいっぱい」を英語で言えと言われたら、「マイ・スタマック・イズ・フル(・オヴ・フード)」とか「マイ・スタマック・イズ・サティスファイド」とか、そんな英語を口走ったかもしれない。スタマックstomachは胃ですね。そんな英語を口走って「わが胃を得たり」だったかもしれません。 どうしてこんな恥ずかしいことを話したかと言えば、今、中学生以上の読者を対象にしてこの講演を書き始めながら、中学生、高校生当時の自分が日本語を(もちろん英語も)恐ろしく知らなかったことを思い返さずにはいられないからです。 いやはや、恐ろしく日本語を知らなかった。 たとえば、ええと・・・「~さざれいしのいわおとなりて~」と歌うには歌っていましたが、意味を知ったのはいつだったか。「さざれいし」は石らしいと思って、だから「岩音鳴りて」、岩のぶつかる音が鳴っていると想像していました。「箱根の山は天下のケン~」なんてのも、「天下の剣」だと想像していた。 五十歩百歩というのは二倍違うことだろうと思っていたし、大人がオンノジと言うのを耳にして「恩の字」とはうまい表現だと感心していた。社会経済に疎い頃(今でもそうとう疎いですが)大手という言葉を聞いて、大手という名の会社があるのだと思っていました。 日本国最東端の根室から早稲田大学へ入りましたが、そのとき早稲(わせ)という言葉はまだぼくの語彙になかったはずです。日本語についてはかなりの晩稲(おくて)ですな。早稲田大学へ入った頃、そう多くの人は知らないだろうけれど、ぼくは確実に知っていた日本語をいくつか書き出してみますと・・・「あいてくさい」「あずましい」「あったら」「あめる」「いずい」「えんどまめ」「おばんでした」「おがる」「かっちゃく」「がっと」「がめる」「きもやける」「けったくそわるい」「けっぱる」「こったら」「ごしょいも」「こわい」「しのる」「しばれる」「じょっぱる」「ぜんこ」「そったらこと」「だいずまめ」「ちょす」「つらつけない」「てっくりかえる」「デレッケ」「でんぷんこ」「なんも」「はっちゃき」「ひゃっこい」「べこ」「へらからい」「べんこ」「まかす」「みったくない」「やばちい」「ゆるくない」 まあ、こんな程度でしょうか。 大人になって多少は語彙も増し日本語もましになったつもりですが、しかし明日にも、いや、この講演でも無知をさらけ出すかもしれません。『日本語は天才である』2:まえがきp3~4『日本語は天才である』1:敬語は「お」苦が深いp111~114、他
2023.12.14
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図書館で『日本語は天才である』という本を、手にしたのです。なんか見覚えのある本であるが・・・再読になってもいいではないかと、借りたわけです。帰って調べてみると、8年ほど前に借りて読んでいました(イカン イカン)。で、このUP記事を(その2)とします。【日本語は天才である】柳瀬尚紀著、新潮社、2007年刊<「BOOK」データベース>より回文「まさかさかさま」、敬語は「お」苦が深い、ルビ混川を渡れ!ふるさとの訛なつかし、シチを放逐した犯人は?いろは歌の奇跡。『フィネガンズ・ウェイク』『チョコレート工場の秘密』の訳者が縦横無尽にこと祝ぐ超絶のことば談義。<読む前の大使寸評>なんか既視感のある本であるが、再読するのもええじゃないか・・・ということでチョイスしたのです。rakuten日本語は天才である「まえがき」が面白いので、その一部を見てみましょう。p3~4<まえがき> とにかく芥川は、真っ赤な嘘と銘打って「最大の奇跡は言語である」という真理を述べている。そこが愉快です。 芥川に倣って、ぼくはこう言いたい気持ちになります。 最大の奇跡は日本語である・・・少なくとも、日本人にとって。 もっともぼくは、辞書を引き引きわずかの外国語を読めるにすぎなくて、大多数の外国語にはまったく無知ですから、「最大の奇跡」という言い方にまでまでは踏み切れません。しかし「日本語は天才である」と言い切れる確信はあります。それをこれからお話ししてみようと思います。 ところで、天才とは何でしょうか。どう定義すればいいのでしょうか。 実をいえば、ぼくには天才を定義できません。ただ一つだけ言えることは、天才とは生まれつきのもの・・・それだけです。生まれつきなのですから、それはどうにも説明できない。そして、とにかく世の中に天才は存在する、それだけは確かです。 将棋の羽生善治さんという天才がいます。「ああ、ロミオ、ロミオ!どうしてあなたはロミオなの?」と、シェイクスピアのジュリエットは言いましたね。夫人の理恵さんが「ああ、善治さん、善治さん!どうしてあなたは羽生善治さんなの?」と言ったかどうかは知りませんが、そう言われたって羽生さんは答えようがないはずです。 羽生さんと天才について話したことがあります。ジェイムズ・ジョイスの話になって、ジョイスは理解者が少数なので孤独ではなかったかと羽生さんがおっしゃる。で、ぼくは言いました。「あ、やはり羽生さんも孤独ですか?」 すると、「いえいえ、ぼくは社会ともつつがなくやっています」と言って、にこやかな羽生スマイルで応じられました。実在の天才への問い掛けは宙に浮いたままでした。『日本語は天才である』1:敬語は「お」苦が深いp111~114、他
2023.12.13
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今回借りた3冊です。 だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は強いていえば、「手あたり次第」でしょうか♪<市立図書館>・ユーチューバー・日・韓・台このままでは中国に呑み込まれる!・日本語は天才である<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)***********************************************************【ユーチューバー】村上龍著、幻冬舎、2023年刊<出版社>より20代半ばにしてデビューをした作家・矢崎健介、70歳になった。「世界一もてない男」を自称するユーチューバーが、矢崎をユーチューブに誘う。承諾した矢崎が語り出したのは、自由である人間について。自由な人間は滅多にいないのだと言った。自由であるということは、唯一の希望を生む。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/20予約、入荷待ち)>rakutenユーチューバー【日・韓・台このままでは中国に呑み込まれる!】呉善花 ×石平 ×黄文雄著、徳間書店、2020年刊<出版社>よりロングセラー「売国奴」(2007年)から10数年、常に中・韓をウオッチしてきた3人が、なおも悪化し続ける日・中・韓関係について、その根源を抉り出す。呉善花(韓国)石平(中国)がそれぞれの生国について見解を述べ、俯瞰的な立場に立って黄文雄(台湾)が日・中・韓の「三国志」を分析する。この「鼎談」から見える風景は絶望でしかないのか。<読む前の大使寸評>追って記入tokuma日・韓・台このままでは中国に呑み込まれる!【日本語は天才である】柳瀬尚紀著、新潮社、2007年刊<「BOOK」データベース>より回文「まさかさかさま」、敬語は「お」苦が深い、ルビ混川を渡れ!ふるさとの訛なつかし、シチを放逐した犯人は?いろは歌の奇跡。『フィネガンズ・ウェイク』『チョコレート工場の秘密』の訳者が縦横無尽にこと祝ぐ超絶のことば談義。<読む前の大使寸評>なんか既視感のある本であるが、再読するのもええじゃないか・・・ということでチョイスしたのです。rakuten日本語は天才である
2023.12.13
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『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・楊双子『台湾漫遊鉄道のふたり』(6/23予約、副本1、予約55)現在19位・川上未映子『黄色い家』(7/24予約、副本?、予約504)現在326位・三浦しおん『墨のゆらめき』(8/9予約、副本12、予約373)現在230位・堤未果のショック・ドクトリン(8/25予約、副本7、予約177)現在109位・『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』(9/18予約、副本5、予約126)現在93位・原田ひ香『図書館のお夜食』(10/04予約、副本17、予約402)現在310位・南海トラフ地震の真実(10/20予約、副本?、予約44)現在37位・斎藤幸平『マルクス解体』(11/28予約、副本?、予約?)現在23位・吉岡桂子『鉄道と愛国』(12/04予約、副本?、予約?)現在14位<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・グレタたったひとりのストライキ・カズオ・イシグロ『夜想曲集』・沢木耕太郎『深夜特急』<予約候補>・養老孟司『形を読む』・中野翠『ほいきた、トシヨリ生活』・鴨志田譲×西原理恵子『アジアパー伝』:図書館未収蔵・菊間晴子「犠牲の森で」・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・李琴峰『彼岸花が咲く島』:第165回芥川賞受賞作(21年)・斎藤環『社会的ひきこもり』・ひさうちみちお『パースペクティブキッド』・松里公孝『ウクライナ動乱』・村上春樹×柴田元幸『翻訳夜話』・ジェイムズ・ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』<予約分受取:10/14以降> ・タルディ『塹壕の戦争1914-1918』(10/08予約、10/14受取)・小川哲『地図と拳』(2/01予約、10/21受取)・有川ひろ『旅猫リポート』(10/27予約、10/28受取)・ジンセイハ、オンガクデアル(2/10予約、11/15受取)・ブレイディみかこ『リスペクト』(9/05予約、11/23受取予定)・『千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話』(5/23予約、11/28受取)・村山由佳『命とられるわけじゃない』(11/21予約、11/28受取)・多和田葉子『白鶴亮翅』(8/2予約、12/05受取)・村上龍『ユーチューバー』(5/20予約、12/11受取)**********************************************************************【台湾漫遊鉄道のふたり】楊双子著、中央公論新社、2023年刊<「BOOK」データベース>より昭和十三年、五月の台湾。作家・青山千鶴子は講演旅行に招かれ、台湾人通訳・王千鶴と出会う。現地の食文化や歴史に通じるのみならず、料理の腕まで天才的な千鶴と台湾縦貫鉄道に乗りこみ、つぎつぎ台湾の味に魅了されていく。ただ、いつまでも心の奥を見せない千鶴に、千鶴子の焦燥感は募り…国家の争い、女性への抑圧、植民地をめぐる立場の差。あらゆる壁に阻まれ、近づいては離れるふたりの旅の終点はー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(6/23予約、副本1、予約55)>rakuten台湾漫遊鉄道のふたり【黄色い家】川上未映子著、中央公論新社、2023年刊<「BOOK」データベース>より2020年春、惣菜店に勤める花は、ニュース記事に黄美子の名前を見つける。60歳になった彼女は、若い女性の監禁・傷害の罪に問われていた。長らく忘却していた20年前の記憶ー黄美子と、少女たち2人と疑似家族のように暮らした日々。まっとうに稼ぐすべを持たない花たちは、必死に働くがその金は無情にも奪われ、よりリスキーな“シノギ”に手を出す。歪んだ共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解へ向かい…。善と悪の境界に肉薄する、今世紀最大の問題作!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(7/24予約、副本?、予約504)>rakuten黄色い家【墨のゆらめき】三浦しおん著、 新潮社、2023年刊<出版社>より実直なホテルマンは奔放な書家と文字に魅せられていく。書下ろし長篇小説! 都内の老舗ホテル勤務の続力は招待状の宛名書きを新たに引き受けた書家の遠田薫を訪ねたところ、副業の手紙の代筆を手伝うはめに。この代筆は依頼者に代わって手紙の文面を考え、依頼者の筆跡を模写するというものだった。AmazonのAudible(朗読)との共同企画、配信開始ですでに大人気の書き下ろし長篇小説。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/9予約、副本12、予約373)>rakuten墨のゆらめき【堤未果のショック・ドクトリン】堤未果著、幻冬舎、2023年刊<「BOOK」データベース>より「ショック・ドクトリン」とはテロや大災害など、恐怖で国民が思考停止している最中に、為政者や巨大資本がどさくさに紛れに過激な政策を推し進める悪魔の手法のことである。日本でも大地震やコロナ禍という惨事の裏で、知らない間に個人情報や資産が奪われようとしている。パンデミックで空前の利益を得る製薬企業の手口、マイナンバーカード普及の先にある政府の思惑など…。強欲資本主義の巧妙な正体を見抜き、私たちの生命・財産を守る方法とは?滅びゆく日本の実態を看破する覚悟の一冊。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/25予約、副本7、予約177)>rakuten堤未果のショック・ドクトリン【ぼくはあと何回、満月を見るだろう】坂本龍一著、新潮社、2023年刊<「BOOK」データベース>より「何もしなければ余命は半年ですね」ガンの転移が発覚し、医師からそう告げられたのは、2020年12月のこと。だが、その日が来る前に言葉にしておくべきことがある。創作や社会運動を支える哲学、坂本家の歴史と家族に対する想い、そして自分が去ったあとの世界についてー。幼少期から57歳までの人生を振り返った『音楽は自由にする』を継ぎ、最晩年までの足跡を未来に遺す、決定的自伝。著者の最期の日々を綴った、盟友・鈴木正文による書き下ろし原稿を収録。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/18予約、副本5、予約126)>rakutenぼくはあと何回、満月を見るだろう【図書館のお夜食】原田ひ香著、ポプラ社、2023年刊<「BOOK」データベース>より東北地方の書店に勤めるものの、うまくいかず、仕事を辞めようかと思っていた樋口乙葉は、SNSで知った、東京の郊外にある「夜の図書館」で働くことになる。そこは普通の図書館と異なり、亡くなった作家の蔵書が集められた、“本の博物館”のような図書館だった。開館時間は夜7時から12時まで、まかないとして“実在の本に登場する料理”が出てくる「夜の図書館」で、本好きの同僚に囲まれながら働き始める乙葉だったがー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/04予約、副本17、予約402)>rakuten図書館のお夜食【南海トラフ地震の真実】 小澤慧一著、東京新聞出版、2023年刊<「BOOK」データベース>より「南海トラフは発生確率の高さでえこひいきされている」。ある学者の告発を受け、その確率が特別な計算式で水増しされていると知った記者。非公開の議事録に隠されたやりとりを明らかにし、計算の根拠となる江戸時代の古文書を調査するうちに浮かんだ高い数値の裏にある「真実」。予算獲得のためにないがしろにされる科学ー。地震学と行政・防災のいびつな関係を暴く渾身の調査報道。科学ジャーナリスト賞で注目のスクープを書籍化!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/20予約、副本?、予約44)>rakuten南海トラフ地震の真実【マルクス解体】斎藤幸平著、 講談社、2023年刊<「BOOK」データベース>よりいまや多くの問題を引き起こしている資本主義に対する処方箋として、斎藤幸平は、マルクスという古典からこれからの世の中に必要な理論を提示する。本書『マルクス解体』は、マルクスの物質代謝論、エコロジー論、プロメテウス主義の批判から、未来への希望を託す脱成長コミュニズム論までを精緻に語る。これまでの斎藤の活動の集大成であり、同時に「自由」や「豊かさ」をめぐり21世紀の基盤となる新たな議論を提起する書である。<読む前の大使寸評>追って記入。<図書館予約:(11/28予約、副本?、予約?)>rakutenマルクス解体【鉄道と愛国】吉岡桂子著、岩波書店、2023年刊<「BOOK」データベース>より戦後日本の発展の象徴、新幹線。アジア各地で高速鉄道の新設計画が進み、中国が日本と輸出を巡って競い合う現在、新幹線はどこまで日本の期待を背負って走るのか。一九九〇年代から始まった新幹線商戦の舞台裏を取材し、世界最長の路線網を実現した中国の高速鉄道発展の実像に迫る第一部、中国、香港、韓国、東南アジア、インド、ハンガリーなど世界各地をたずね、鉄道を走らせる各国の思惑と、現地に生きる人々の声を伝える第二部を通じて、時代と共に移りゆく日中関係を描き出し、日本の現在地をあぶりだす。<読む前の大使寸評>追って記入。<図書館予約:(12/04予約、副本?、予約?)>rakuten鉄道と愛国【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・ウィキペディアでめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。・Kindle版を購入すれば、その本の全て読めるのだが、紙の本から書き写す手間が好きなわけでおます。予約分受取目録R26好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索
2023.12.12
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中国SF『紙の動物園』を再読したいわけで・・・以下のとおり復刻してみようと思ったのです。*********************************************************図書館に予約していた『紙の動物園』というSFを、ようやくゲットしたのです。中国人の著わしたSFを初めて読むことになるのだが・・・・3冠に輝いた現代アメリカSFの新鋭ということで、期待できそうやでぇ♪【紙の動物園】 ケン・リュウ著、早川書房 、2015年刊<「BOOK」データベース>よりぼくの母さんは中国人だった。母さんがクリスマス・ギフトの包装紙をつかって作ってくれる折り紙の虎や水牛は、みな命を吹きこまれて生き生きと動いていた…。ヒューゴー賞/ネビュラ賞/世界幻想文学大賞という史上初の3冠に輝いた表題作ほか、地球へと小惑星が迫り来る日々を宇宙船の日本人乗組員が穏やかに回顧するヒューゴー賞受賞作「もののあはれ」、中国の片隅の村で出会った妖狐の娘と妖怪退治師のぼくとの触れあいを描く「良い狩りを」など、怜悧な知性と優しい眼差しが交差する全15篇を収録した、テッド・チャンに続く現代アメリカSFの新鋭がおくる日本オリジナル短篇集。<読む前の大使寸評>3冠に輝いた現代アメリカSFの新鋭ってか・・・・期待できそうやでぇ♪<図書館予約:(9/27予約、4/12受取)>rakuten紙の動物園この本には、あちこちに大きな手書きの漢字が見られるのです。このような言語学的SFとでもいう本を見たのは初めてのことです。p330~333<文字占い師> リリーは笑い声をあげた。甘さんはいままでにあったどの中国人ともちがっていた。だが、彼女の笑い声は長くつづかなかった。学校のことがいつも頭のどこかにこびりついており、あしたのことを考えて、リリーは眉間に皺を寄せた。 甘さんは気づかないふりをした。「だけど、ちょっとした魔法も使うんだよ」 その言葉にリリーは興味を惹かれた。「どんな魔法?」 「わしは測字先生(文字占い師)なのだ」 「って、なに?」 「爺ちゃんは、名前のなかの漢字や自分で選んだ漢字に基いて、人の運勢を占うんだ」テディが説明した。 リリーは霧でできた壁に足を踏み入れた気がした。わけがわからず、甘さんを見る。 「中国人は神託を受ける補助手段として書を発明した。そのため、漢字はつねに深遠な魔法を宿しているのだよ。漢字から、人々の悩みや、過去と未来に待ち受けているものをわしは言い当てることができる。ほら、見せてあげよう。なにか単語をひとつ思い浮かべてごらん、どんな単語でもいい」 リリーはあたりを見まわした。三人は河岸の岩の上に座っており、木々の葉が金色や赤色に紅葉しはじめていて、稲穂がどっしり撓んで収穫間近になっているのがリリーの目に入った。 「秋」と、リリーは言った。 甘さんは棒を手に取り、足下の柔らかい泥に漢字を一字書いた。 秋 「泥に棒で書いたのでへたくそな字になっているのはかんべんしとくれよ。紙も筆もないのでな。この漢字は、シュウという字で、秋を意味する」 「これからあたしの運勢がどうやってわかるの?」 「そうだな、まずこの漢字をばらばらにして、戻す必要がある。漢字というのはほかの漢字を合わせて作られているんだよ。積み木のようにな。秋はふたつのべつの漢字からできている。この漢字の左側の部分はヒエという漢字で、キビや米や穀物一般を意味する。いまここに見える部分は、様式化されているのだけど、大昔には、この文字はこんあふうに書かれていたのだ」 甘さんは泥に書いた。 禾 「ほら、茎が熟れた穂の重みで撓んでいるように見えるだろ?」 リリーは心を奪われて、うなづいた。 「さて、シュウの右側はべつの漢字、フォアで、火を意味する。燃えている炎みたいだろ、火花が飛んでいる?」 火 「わしが生まれた中国の北部では、米はできないんだ。そのかわりに、キビや小麦やモロコシを育てておる。秋になり、収穫して脱穀し終わると、畑に藁を積み上げて、燃やし、灰が翌年の畑の肥やしになるようにする。金色の藁と赤い炎、そのふたつを合わせてシュウ、秋ができるのだ」 リリーはうなづき、その光景を思い描いた。 「だが、きみが自分の漢字としてシュウを選んだことでわしになにがわかるかといえば」甘さんはしばらく黙って考えた。そしてシュウの字の下にさらに数本の線を引いた。 愁 「さて、シュウの下に心を表す漢字シンを書いた。これはきみの心の形を表す文字だ。ふたつの字を合わせると、新しい漢字チョウができる。これは愁いや悲しみを表す文字だ」 リリーは心臓がキュンと締め付けられる気がして、突然なにもかもぼやけて見えた。リリーは固唾を飲んだ。 「きみの心にはたくさんの悲しみがあるんだね、リリー、たくさんの心配事がある。っきみをとても、とっても悲しくさせていることがある」 リリーは老人の柔和で皺の寄った顔を見上げた。華人による華人の定義が現れているところがあるので見てみましょう。p354~355 「中国を表す文字はどう?」 甘さんはじっと考えこんだ。「それは難しい要求だよ、リリー。Chinaというのは英語では、単純な一語だが、中国語ではそう簡単ではない。中国や中国人を自称する人たちを意味する言葉はたくさんある。そうした言葉の大半は、古代の王朝にちなんでつけられており、現代の言葉は本物の魔法が入っていない抜け殻なのだ。人民共和国とはなんだ? 民国とはなんだ? それらは真の言葉ではない。犠牲者を増やすほうに変わるだけだ」 しばらく考えてから、甘さんは新たな文字を書いた。 華 「これは華という文字だ。この文字だけが、どの皇帝とも、どの王朝とも、殺伐と生け贄を必要とするどんなものとも無関係で中国と中国人を表すものなのだ。人民共和国も民国も両方とも自分たちの名前にこの字を入れているけれど、両国よりもはるかに古く、どちらの国にも属していない字だ。 華は、もともと、“華やかな”や“壮麗な”という意味だった。地面からひとかたまりの野の花が咲き誇っている形をしている。わかるかい? 古代の中国人は周辺国の人間から“華人”と呼ばれていた。彼らの着ている服が絹と細かなレースでできている華やかなものだったからだ。だが、わしはそれだけの理由じゃなかったと思う。 中国人は野の花のようだ。いく先々で生き延び、人生を謳歌する。ひとたび火事が起これば、野の生けるものはすべて焼き尽くされてしまうかもしれないが、雨が降れば、あたかも魔法のように野の花はふたたび姿を現す。冬が訪れ、霜と雪であらゆるものを滅ぼしてしまうかもしれないが、春が来れば野の花がふたたび咲き、みごとな景色をこしらえるだろう。 いまのところ、革命の赤い炎は大陸本土では燃えているかもしれないし、恐怖の白い霜がこの島を覆ってしまったかもしれない。だが、第七艦隊の鉄の壁が解け去り、本省人と外省人と、わしの故郷にいるその他の華人全員がともに華麗に咲き誇る日は訪れるだろうとわしにはわかる」 「ぼくはアメリカで華人になるのだ」テディが付け加えた。 甘さんはうなづいた。「野の花はどこでも花を咲かすことができる」著者のケン・リュウはこのあと、制海権や228など政治的な事柄にもふれているが・・・どうしても中華中心の思考方法が匂うわけです。でも、共産主義や民族主義に組しないことはよくわかりました。「心智五行」という短編から、タイラとアーティの会話を見てみましょう。宇宙船に乗っているわずかな人口では、先進技術に基づく文明を何世代も維持するのは困難であるという事実に着目するあたりに、著者のひらめきがあります。しかし、中国系の原始集団の子孫というのが、日本人読者には自己同一化できるか微妙なところです。p153~155<心智五行>より【59日目】タイラ:そんなことはありえないわ、アーティ。(アーティ:モデル名ML-1067Bの人口知能、以降は阿と略する)阿:分岐分析を複数回おこなった。ファーツォンと彼の一族の話している言葉は、英語の方言だ。標準英語からは千年以上まえに分岐したものだけど。タイラ:ジャンプシップはできてから1世紀も経っていない。どうやってファーツォンの一族が千年も孤立していられたの?阿:それはぼくの専門外領域の質問だ。タイラ:ほかになにか見つかった?阿:音声分析と彼らがきみに与えている薬に基いて、95パーセントの確度で、彼らが文化的には圧倒的に中国系である原始集団の子孫であると推定する。ほかの文化の影響も若干入っているけれど、たぶん孤立のせいで、彼らの技術的発展は後退したんだろう。タイラ:ここから脱出するのは困難だろうということね。【62日目】タイラ:なんとか長く起きていられるようになって、ファーツォンと話すのに多少進歩した。アーティにまだ通訳してもらわなければならないけど、いくつかの単語や文章は聞き取れた。ファーツォンはとても辛抱強くつきあってくれた。(中略) わたしたちの世界と準拠枠がかけ離れており、アーティを通してだとまだニュアンスをあまり伝えられないでいることを考慮に入れると、ファーツォンと話していてとても気持ちが安らぐのに驚く。 阿:ぼくはベストを尽している。タイラ:わかってるって。もちろん、ファーツォンがわたしに興味を抱いているのはわかる。ときどき、わたしをじっと見つめているのに気づいている・・・でも、これは決してうまくいかないな。わたしの最優先の目標にすべきもの・・・生き延びて、故郷に帰ること・・・の妨げになる。わたしは論理的でいなくちゃ。阿:きみはぼくが一緒に働いたすべての人間のなかで、合理性と安定性では上位1パーセントにランクインしているよ。タイラ:その状態をわたしが維持しているよう願いましょう。この岩から飛び立つには、慎重に考えなければならない。阿:ここの連中に関する新説があるんだ。オール=ネットから切り離されているけど、ぼくのデータベースのなかで、千年ほどまえに地球から派遣された相対論的速度でのみ推進できる古代の宇宙船に関する言及を見つけた。人々が地球上の生命が絶滅の危機に瀕していると信じて、混乱が生じていた時期だ。タイラ:その話、読んだことある!そうした脱出宇宙船の背景には、絶望的な信念があったって。宇宙航行に向いていない船でどうにか旅を生き延びたとしても、船に乗っているわずかな人口では、先進技術に基づく文明を何世代も維持するのは疑わしいな。 ファーツォンの一族はそんな船が生き延びた最初の確認例になるでしょうね。阿:到着に要した数世紀のあいだに、鉄工より進んだすべての知識を失ってしまったようだ。タイラ:アーティ、ファーツォンはあなたのことを一種の精霊だと考えている。彼の一族の精神には、合理的知識で充ちているべき空間に迷信が埋まってきたんだと思う。【64日目】阿:かなり良くなっているよ。あれはとても深刻なバクテリア感染だったんだ。タイラ:それがわたしの被ったもの?阿:きみの症状はぼくのデータベースにある説明と一致している。何世紀もまえ、きみの祖先たちが地球に閉じ込められていたとき、たいていの人体は無数のバクテリアの生息地だったんだ。バクテリアは腸管のなかや皮膚の上や髪の毛に巣くい、頻繁に病気をもたらしていた。タイラ:ぞっとする!阿:結局、きみたちはそうした寄生生物を管理する技術を開発した。そしてきみたちが星々への移動を開始したとき、人類が新しい世界で新鮮なスタートを切れるように、古代の疾病から永久に逃れられるように残っている微菌をすべて根絶するための真剣な努力を払ったんだ。タイラ:ファーツォンの祖先たちはたぶんそれほど入念じゃなく、病原菌をここに持ち込み、それがわたしに取り憑いたのね。あのおぞましいスープになにが入っていたのか知ってる?あのおかげでわたしは良くなった気がしているのだけど。阿:たんにきみが自分の力で快復した可能性のほうが高い。あのスープには抗生物質やその他の知られている薬物成分は入っていなかった。彼らの医学理論は、東洋の神秘主義に由来する昔から怪しまれていた迷信に基いているようだ。ファーツォン:タイラは、自分もおれとまったく同じように死すべき存在であると断言したけれど、ときどきそれを疑っている。彼女の肌は生まれたての赤ん坊のようにすべすべで、顔の造作ときたら、まるで霧と露だけ飲んで育ったかのように繊細で優美だった。傷ひとつなく、欠けているところひとつない。現実の女というより、絵に描いた女のようだ。『紙の動物園』2:文字占い師、心智五行『紙の動物園』1:もののあはれ
2023.12.12
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図書館で『哲学者にならない方法』という本を手にしたのです。著者は週刊文春などメディアにたくさんのユーモアエッセイを連載している著名な学者なので、期待できそうである。【哲学者にならない方法】土屋賢二著、東京書籍、2013年刊<「BOOK」データベース>より寄天烈な寮生たち、麻雀、ジャズ、ドストエフスキー、『存在と時間』…。ツチヤ教授のバカバカしくもどこかせつない青春の1ページ。初の自伝的エッセイ!<読む前の大使寸評>著者は週刊文春などメディアにたくさんのユーモアエッセイを連載している著名な学者なので、期待できそうである。rakuten哲学者にならない方法「第3章 読書」で読書や映画が出てくるので、見てみましょう。p98~100<理解できない> 大学に入って最初に夢中になったのは読書だった。小学校を出てからロクに本も読まなかったの、どんなことを人類は書き、どんなことを感じ、考えてきたのかを知ろうと、片っ端から読んだ。 当時、大学生の必読書とされていたのは、阿部次郎の『三太郎の日記』と倉田百三の『出家とその弟子』だった。大学生になったらどんなレベルを要求されるのかを知ろうとして読んでみたが、どちらの本でも主人公がしきりに悩んでおり、なぜそんなに悩むのかわたしにはどうしても理解できなかった。大学生の必読書が理解できないわたしは、大学生の資格がないのだ。それが入学試験でなくてよかったと思った。 当時は悩みが流行っていたのかもしれない。そのころ評判だったベイルマン監督の映画を見たときも、主人公が深刻に悩んでいりのは分かったが、何に悩んでいるのか皆目分からず、当然ながらなぜ名作とされているのか、理解できなかった。テレビがなかったので、映画はたくさん見たが、わたしには難解すぎる映画が多かった。当時は実験的映画が数多く作られ、大半は理解できなかった。ゴダール監督の映画が大好きだったのが不思議なほどだ。 ベイルマンの映画やフェリーニの映画も難解だったが、難解さにかけては、アラン・レネ監督の映画『去年マリエンバートで』にかなう映画はなかった。現在と過去、現実と夢が混在している映画で、どんなに強引にこじつけようとしても、どんなストーリーで何を言おうとしているのかまったく分からなかった。 映画オンチのわたしも、これほど不可解な思いをしたことはない。それから30年ほどたったころ、深夜にテレビでこの映画をやっているのを見た。もう大人になったのだから分かるだろうと思ったが、結局、当時と同じくらい不可解な思いをしただけだった。最近、この映画の脚本家が気に入っていたというジョークを発見した。それはこうだ。 警官「怪しい男だな。この辺りで窃盗事件が多発しているんだが、お前がやったんじゃないのか?」 男「違いますよ」 警官「本当か?昨日の夜も事件があったんだが、昨日の夜は何をしていた?」 男「昨日の夜は、映画を見ていました。『去年マリエンバートで』って映画です」 警官「嘘じゃないだろうな?本当に見たというなら、どんな話だったか説明してみろ!」 こういうわけの分からない映画がヴェネチア映画祭で金獅子賞を受賞したという事実を知ると、自分には人並みの理解力もないという劣等感がわたしの中でふくらんだ。フェリーニやベイルマンが高く評価されていたのも不可解だった。大学生の必読書といい、評判の映画といい、高く評価されているものはあたしの理解を超えるものばかりだったから、自分には、当たり前の理解力もないことをいやというほど思い知らされた。 その後も理解できない映画を色々見た結果、わたしは「実験的」と銘打った映画は見なくなった。もし薬の場合なら、だれが「実験的」を飲もうとするだろうか。映画でも十分に実験して検証してから見せてほしいものだ。『哲学者にならない方法』2:東大駒場寮にて『哲学者にならない方法』1:土屋家の教育
2023.12.11
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図書館に予約していた『千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話』という本を待つこと半年ほどで、ゲットしたのです。下手の横好きというか、言語学に興味があるのでつい予約していた本なのです。【千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話】済東鉄腸著、左右社、2023年刊<「BOOK」データベース>より日本どころか千葉の実家の子供部屋からもほとんど出ない引きこもりの映画オタクの下に差し込んだ一筋の光、それはルーマニア語ールーマニア人3000人に友達リクエストをしてルーマニアメタバースを作り猛勉強、現地の文芸誌に短編小説を送りつけ、『BLEACH』の詩へのリスペクトと辞書への愛憎を抱きながらルーマニア語詩に挑戦する。受験コンプレックス、鬱、クローン病。八方塞がりの苦しみから、ルーマニア語が救ってくれた。暑苦しくって切実で、好奇心みなぎるノンフィクションエッセイ。千葉の片隅から、魂の故郷・ルーマニアへの愛を叫ぶー。本、映画、音楽…ルーマニアックのための巻末資料も収録!<読む前の大使寸評>下手の横好きというか、言語学に興味があるのでつい予約していた本なのです。<図書館予約:(5/23予約、副本1、予約26)>rakuten千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話「3章 ルーマニアの人がやってきた」にルーマニア映画のエピソードが出てくるので、見てみましょう。p64~68 <はじめての会話は憧れの監督と> 日本で最も大きな映画祭である東京国際映画祭が六本木で開催されることになる。そこで俺が知ったのは、そのコンペ部門に、何とルーマニアとフランスの共同制作映画が選出されたことだ。アドリアン・シタル監督の『フィクサー』という一作だった。 前に、今、躍進を遂げているルーマニア映画を総称して〇と呼ぶって話したが、これは「ルーマニアの新しい波」を意味している。つまり、あのヌーヴェルヴァーグのルーマニア版ってことなんだ。俺がルーマニア語を勉強しているのは、ある意味でゴダールやトリュフォーに憧れてフランス語を学び始めるってのと、言ってみれば結構似てるかな。 で、アドリアン・シタル監督もそこに属する一人だが、実際にヌーヴェルヴァーグになぞらえるなら、まあ、サスペンス映画を通じて人間の倫理観を見据え続けてるって意味でクロード・シャブロルかな。いや、演出は全く違うから、くれぐれも本気に取りすぎないでほしいが。 俺の視点では、そういう人物が日本に最新作をひっさげてやってくるわけだよ。しかも当時ルーマニア映画はネットですら観るのが難しかったから、実際に彼の作品を映画館で観られるっていうんだから、俺がどれほど興奮したかってことだ。 でもさ、外へ出るってのが俺にはなかなかの難関だったんだ。特にこういう、自分のための楽しみの場合はね。 例えばバイトの場合だと、これは引きこもり脱出に繋がる行為だと思えたし、ある種自分を律して社会へ引き戻す訓練だったから、外に出ることに対して相応の覚悟が持てた。でも映画を観に行くとかそういう純粋な娯楽は、引きこもりなのにそんなことしていいのか?みたいな自罰思考が働くんだよ。親とか近所の人とか周囲の目が特に気になるんだ。部屋にいたり、図書館にいたりするのとは別の罪悪感に襲われて、しかもより重苦しい。引きこもりってのはこんなことにすら葛藤の連続、決断を迫られるんだ。 だけどこの時は、ルーマニア映画を観たい、シタル監督に会いたいって気持ちが勝った。ネットで延々と映画の感想書き散らすだけじゃなくて、俺だって人生、楽しめるなら楽しみたいからね。もう自暴自棄な感じで、飛び出したよ。 会場は六本木だった。俺にはほとほと縁のない高級な都市だ。 だから脇目も振らずにTOHOシネマズ六本木ヒルズに向かったよ。六本木ヒルズのふもとへと階段上ったりエレベーター乗ったり、これだけでもエベレスト登山って気分だった。 それから先、『フィクサー』を観終わるまでのことは、実はあまり覚えてない。映画自体のことは自分のブログに批評を書いたからある程度覚えているけど、映画観るにあたっては自然と脳髄が批評モードになるんで、他のこと遮断しがちなんだ。もしくはこの後に起こったことがあまりにも忘れがたいから、他の記憶を喰ってしまったか、だね。 でも、映画館で、たぶん初めて観たルーマニア映画にはやっぱり感動したよ。むやみやたらに言葉を積み重ねたくないくらいに。『フィクサー』を観た感動とともに、俺はまた入り口に舞い戻った。 東京国際映画祭では上映後に来日した監督や俳優たちと交流できる時間を設けているんだけど、その会場はいつも入り口前だったんだ。開けた空間があってさ、そこで観客たちが列を成してシタル監督と主演俳優のトゥドル・イストドルにサインをもらおうとしていたんだ。俺も急いでその列に加わったよ。 ルーマニア語で何を言おうかというのを、その列でずっと考えていた。前々から考えておけばよかっただろうが、俺は行き当たりばったりな人間なんだよ。「お会いできて光栄です」だろうか?それとも「『フィクサー』めっちゃ面白かったです」か? どれも急ごしらえの言葉だからしっくりこないし、考えも全然まとまらないまま、しかし列は進んでいく。進んでいくごとに緊張が高まって、心臓が爆裂しそうな予感がする。 そして恐ろしいほどあっという間に、その時がやってくる。俺はシタル監督と対面したんだよ。監督、作る映画はかなり厳しくて、時折えげつなかったりするけど、蓄えた口髭がチャーミングで、そのモサモサの向こう側には、菩薩みたいな柔らかな微笑みが浮かんでいた。 この時、俺が何を最初に言ったか、正直あんまり定かじゃない。たぶんBuna ziua(こんにちは)か、Ma numesc Tettyo Saito. Imi pare bine de cunostinta(私の名前は済東鉄腸です。お会いできて嬉しいです)あたりだったと思う。 だがその次に言おうとした言葉は覚えている。Èste extraordinar ca am vazut filmul dimneavoastra(あなたの映画が観れたこと、素晴らしい体験でした)だったね。「イェステ・エクストラオルディナル・カ・アム…」 だがここで止まってしまう。 鉄腸野郎Z-SQUAD!!!!!『千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話』2:語学オタクへの道『千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話』1:はじめに
2023.12.11
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『東京パック』や「時事漫画」に触れた『日本近代漫画の誕生』という本を以下のとおり再読してみようと思い立ったのです。*********************************************************図書館で『日本近代漫画の誕生』という本を手にしたのです。この「日本史リブレット」というシリーズであるが・・・図が多く、薄くて手頃で、元祖ビジュアル本という体裁がええでぇ♪【日本近代漫画の誕生】清水勲著、山川出版社、2001年刊<「BOOK」データベース>より本書は、近代漫画誕生の経過を七つのエピソードで紹介する。【目次】)1 幕末諷刺画の誕生とその発展/2 自由民権期の『団団珍聞』/3 『パック』と日本近代漫画/4 「漫画」という言葉の誕生/5 国際漫画雑誌『東京パック』の登場/6 日本最長寿漫画誌『大阪パック』/7 柳瀬正夢の漫画表現の変遷<読む前の大使寸評>この「日本史リブレット」というシリーズであるが・・・図が多く、薄くて手頃で、元祖ビジュアル本という体裁がええでぇ♪rakuten日本近代漫画の誕生北沢楽天と東京パックの盛衰を、見てみましょう。p67~72 <近代的漫画スタイルの完成> 明治末期の漫画ブームの火付け役となった『東京パック』には、漫画の持込みや投稿もあった。そうした作品や才能ある青年たちの作品も数多く掲載された。そのなかに小川治平・幸内純一らがいた。 また有楽社が発売していた美術文芸雑誌『平旦』が明治39(1906)年4月に廃刊になると、その執筆メンバーたちを楽天は活用した。41年4月15日号(三周年記念号)は、作者名入りで漫画が掲載されるが、その20余の人々も『東京パック』の常連漫画家であったろう。したがって、第一次『東京パック』の漫画執筆者は少なくとも35人はいたことになる。 楽天は即戦力の画学生を導入する一方で、長期的にみた漫画家の養成も行なった。明治39年、『東京パック』に載せた漫画家養成の広告に最初に応じて弟子に採用されたのは、下川貞矩(凹天)であった。 『東京パック』が与えたもう一つの影響は、類似雑誌をたくさん生んだことである。前述の『東京ハーピー』『パック』、それに国木田独歩が独歩社の経営不振挽回策として出した『上等ポンチ』(明治39年8月創刊)、関西版として赤松麟作らが関係したといわれる『大阪パック』(明治39年11月創刊)などである。 しかし、楽天主筆の『東京パック』の終焉はあっけなかった。明治44年の大逆事件後、楽天の筆力がにぶって売れ行きが落ちる。それによって有楽社社主の中村弥二郎とうまくいかなくなる。そんな折、中村が他の事業で借金をつくり、7人の金貸しの抵当に楽天と『東京パック』が入れられ、債権者に渡るという事件が起こる。 楽天は「私は抵当物ではない」と、有楽社を明治45年5月退職してしまう。こうして第一次『東京パック』は終わり、楽天抜きの第二次『東京』が同年6月からスタートする。その中心メンバーは小川治平と森田太三郎であった。 有楽社を退職した楽天は、明治45年6月15日、独自で漫画雑誌『楽天パック』を創刊し、続いて7月1日、婦人向け娯楽雑誌『家庭パック』を創刊する。しかし、そのころには漫画ブームは去り、いずれも2年半ほどで廃刊に追い込まれた。そこで楽天は再び古巣の『時事新報』の仕事に本腰を入れるようになる。この楽天の本格的復帰によって、『時事新報』は時々色刷り日曜付録「時事漫画」を出すようになった。 大正7(1918)年ごろ、楽天は力量のある弟子を養成するために、研究会「漫画好楽会」を結成した。定期刊行の漫画付録を発行するためにその人材養成を行なったのである。そして、大正10年2月から『時事新報』日曜付録「時事漫画」を定期刊行する。そのおもなスタッフは小川治平・穂積稲天・河盛久夫・長崎抜天・在田凋らであった。「時事漫画」は昭和6(1931)年7月に『漫画と読物』と改題、さらに昭和7年5月に『漫画と写真』と改題し、同年10月に終刊する。楽天は時事新報社を退職し、現役漫画家を引退する。かくして明治28年、横浜でスタートした楽天の漫画家生活は38年目にそのピリオドを打った。 楽天の創始した『東京パック』(第一次)は、明治45年に編集者が代わって以来、第二次(明治45年~大正4年)、第三次(大正8年~12年)、そして昭和戦前期(昭和3年~16年)の第四次まで発行される。 それらはいずれも多色刷による絵画性豊かな作品、すなわち風刺美術を生み出し、西洋漫画に強い影響を受けた近代的漫画スタイルの最高傑作の数々を生み出した。近代漫画は、この四次にわたる『東京パック』によって完成されたといってよいだろう。『日本近代漫画の誕生』3:近代的漫画スタイルの完成『日本近代漫画の誕生』2:北沢楽天『日本近代漫画の誕生』1:この本の冒頭
2023.12.10
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図書館で『哲学者にならない方法』という本を手にしたのです。著者は週刊文春などメディアにたくさんのユーモアエッセイを連載している著名な学者なので、期待できそうである。【哲学者にならない方法】土屋賢二著、東京書籍、2013年刊<「BOOK」データベース>より寄天烈な寮生たち、麻雀、ジャズ、ドストエフスキー、『存在と時間』…。ツチヤ教授のバカバカしくもどこかせつない青春の1ページ。初の自伝的エッセイ!<読む前の大使寸評>著者は週刊文春などメディアにたくさんのユーモアエッセイを連載している著名な学者なので、期待できそうである。rakuten哲学者にならない方法「第2章 寮の生活」で東大駒場寮が出てくるので、見てみましょう。p55~57<身だしなみ> 寮生はみんな貧しかった。寮に入る主な審査基準が、実家が遠い、貧乏である、の二点だったから当然だ。だから服装も、おしゃれな人間はいなかった。駒場寮には男しかおらず、おしゃれをしたがる動機もなく、どうすればおしゃれな服装ができるのかも分からず、そもそもおしゃれということ自体に意識が向いたことがなかった。 美術サークルには長野県出身者が多く、彼らは冬になるとどてらを着ていた。その姿を岡山県出身者から見ると、いかにもおしゃれと無縁な田舎者という感じだった。たぶん、長野県出身者の目にはわれわれが田舎者に映っていただろう。 話はそれるが、岡山県出身者はみんな、岡山県は教育県だと聞かされて育っていたが、長野県出身者は、長野県は教育県だと思っていたことが判明した。それを知って、学校がありさえすれば教育権ということになるのかと思ったが、それにしては大阪、兵庫、静岡、高知の自分の県を教育県とは主張しなかったから、別の基準があったのだろう。 履く物はみんな1年中サンダルだった。寮は土足厳禁だったが、サンダルなら、もしとがめられても「上履きです」と言い抜けられるから便利だった。だがとがめる者はだれもいなかった。「土足厳禁」と書いた張り紙を廊下に貼っていた寮委員が下駄を履いていたほどだったから、そんなルールに意味はなかった。冬もソックスなどを履く者は少なかったと思う。 冬の寒空でも同じ格好だったから、他人が見たら、やせこけたホームレスの若者だと思っただろう。一度、渋谷で占いを見てもらったら、「あんたはがんばれば大学に入れていたはずだ。東大にだって入れていた」と言われたことがあるから、とても大学生には見えなかったのだろう。 1年中裸足で、風呂もロクに入らなかったから、足の裏は真っ黒になり、たまに洗うと水が真っ黒になるほどだった。だがいくら洗っても、水は真っ黒になり、足の裏は真っ黒のままだった。『哲学者にならない方法』1:土屋家の教育
2023.12.10
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図書館で『哲学者にならない方法』という本を手にしたのです。著者は週刊文春などメディアにたくさんのユーモアエッセイを連載している著名な学者なので、期待できそうである。【哲学者にならない方法】土屋賢二著、東京書籍、2013年刊<「BOOK」データベース>より寄天烈な寮生たち、麻雀、ジャズ、ドストエフスキー、『存在と時間』…。ツチヤ教授のバカバカしくもどこかせつない青春の1ページ。初の自伝的エッセイ!<読む前の大使寸評>著者は週刊文春などメディアにたくさんのユーモアエッセイを連載している著名な学者なので、期待できそうである。rakuten哲学者にならない方法「第1章 親の教育」で土屋家の特異な内情が出てくるので、見てみましょう。p24~27<好きなことしかやらない> わたしの家のように父1人が家事から子育てから商売からギャンブルから何から何まで獅子奮迅の働きをする家で育つと、子どもはどうなるだろうか。そういう父の姿を見て育ったわたしが身につけた生活態度は、できるだけ仕事もせず、安逸に娯楽に興じるという母の態度だった。父の勤勉さはかけらも受け継がなかった。 わたしが子どもの頃から持ち続けている信念は、「好きなことしかやらない」というものだ。これこそ母の生活態度だった。母は、勉強、努力、労働、奉仕などには完全に背を向け、父の苦労に報いようともせず、好きなことしかやろうとしなかった。母は箏を教えていたが、それも母が箏を弾くのが好きだったからだろう。それ以外には、縦のものを横にもしようとしなかった。父が一生懸命働いているのを目の当たりにしてもその態度は崩さず、申し訳ないと思ったり感謝しているという様子は微塵も見せなかった。 母は威張っているわけではなかった。むしろ、か弱さを全面に出し、「わたしは何にもできない」という態度をアピールしていた。それでいて、明るい性格で裏表がなかった。楽しいことしかしていないのだから明るくしていられるのも当然だったかもしれないが。 楽しいことしかしない生活なら、だれでもしたがるはずだと思われるかもしれないが、どれを選ぶかは本人の考え方次第だという状況が多いが、意外なことに、苦しい面ばかり選び取って苦しい思いをする人が非常に多いのだ。実際、多くの人は自分の長所には一顧だにせず、欠点を気にして苦しんでいるではないか。結婚後10年もたつと、妻は夫の欠点しか見なくなるではないか。 ともあれ、わたしは母と同じ生活態度を身につけて育った。わたしが大学を出て哲学に進み、朝から晩まで論文を読みふけり、長時間研究に励んでいるように見えても、「努力」しているつもりはまったくない。やらないでは気がすまないことを夢中でやっているだけで、勤勉に仕事をしているという感覚をもったことがない。 もちろん食べていくためにはイヤなこともしなくてはならないが、わたしはそれが最小限になるような生活を選ぶことを心がけてきた。だからサラリーマンになる気はまったくなかった。人生の大半の時間を他人が決めたことに費やすのは耐えられず、それぐらいなら貧乏でも拘束時間が少ない仕事をした方がいいと思っていた。結局、大学に職を得てサラリーマンになったが、それは哲学の研究をしながら食べていけるのはこの職業しかなかったからだ。 当時は高度成長期でモーレツ社員が多い時代だったが、私は勤労意欲がかけらもなかった。働くことが尊いとは思えず、好きなことだけをして世の中を渡りたいとムシのいいことしか考えなかった。かりに遺産で食べていけたり、大富豪の娘と結婚して働く必要がなければ、就職もせず、毎日哲学や音楽やギャンブルに明け暮れていただろう。これが母から受け継いだ性質だった。意外なことに、この性質もわたしを哲学に追い込む一因となった。 哲学はともかく、母のように徹底して楽しもうとする生活態度の貴重さに気づいたのは最近になってからだ。それを与えてくれた母にそのことを伝えられなかったことが残念でならない。 働き者の父親をもつと家族は大きい影響を受けるが、それがいい影響なのかどうか分からない。少なくともわたしは働き者にはならなかった。大人になって働き者になるには、父親が怠惰で、子どもが一生懸命働かないと生き延びられないという家庭環境に育つ方がいいのかもしれない。
2023.12.09
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NHK番組『食の防衛線』を見て、以下のとおりメモしたのです。経済的バブルを経験した日本は、かつての勢いが復活すればなんとかなるという甘えがあるようだが・・・政府主導の政策を妄信しない事が肝要かと思うわけです。(政府は失政の責任は取らないので)シリーズ 食の“防衛線” 第二回 牛乳・肉・卵 タンパク源を守れるかより*********************************************************<食料自給率38%>■日本の食料自給率は、アメリカの穀物輸出システムに依存していたので、この円安下で自給率拡大は破綻しつつある。■大規模酪農家の苦境:規模拡大が円安下で破綻し、破産しつつある。■政府主導の食料、農業基本法はアメリカ主導の無慈悲な輸出システムを見誤っていた。■全国の耕作放棄地でトウモロコシを生産するのも一手である。手間のかからない農産品はトウモロコシぐらいである。■インドが酪農改革を目指しているが、北海道の大規模酪農は大丈夫か?■農水省の政策スタンスはアメリカの大量生産システムに過剰に適応していたわけで・・・食料自給率拡大なんてとてもとてもで、牛乳、乳製品の苦境は改善できないのである。根本的な戦略マインドが欠落しているのでは?■動物的タンパク質をどう確保すべきか?・・・酪農家たちは、耕作放棄地でのトウモロコシ栽培とか小規模の放牧酪農に転換することまで模索しているそうです。*********************************************************
2023.12.09
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図書館で『本当はブラックな江戸時代』という文庫本を、手にしたのです。【本当はブラックな江戸時代】 永井義男著、朝日新聞出版、2019年刊<「BOOK」データベース>より江戸は本当に人情味に溢れ、清潔で安全だったのか。遊郭はユートピアだったのか。当時の資料を元に、江戸時代がいかに“ブラック”な時代だったかを徹底検証していく。庶民のリアルな生活を徹底的に紹介し、江戸時代を無邪気に礼賛する風潮に一石を投じる一冊。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten本当はブラックな江戸時代 「第2章 安全ではなかった江戸の町」で警察業務を、見てみましょう。p58~61 <危険な警察業務は庶民がになう> 江戸の町の治安を守るのは、主として町奉行所の役目である。 大雑把にいうと、北町奉行所と南町奉行所のふたつがあったが、地域を分割担当していたわけではなく、隔月交代で業務を行っていた。 南北町奉行所にはそれぞれ与力25人、同心120人がいたが、実際に市中を巡回して犯罪の捜査や逮捕にあたる定町廻り同心や臨時廻り同心は、両奉行所を合わせても24名でしかなかった。百万都市江戸の治安を守るのに、「パトロール警官」はわずか24人だった。 こうした事実を踏まえ、江戸を紹介する多くの本は治安や警察機構について、決まってこんな解説をしている。「30名に足りない人数で百万都市の治安を維持していたのだから、驚異的である。江戸がいかに平和だったか、いかに治安がよかったのかの証拠であろう」 はたして、本当だろうか。 現代で考えてみよう。 ある地域に総合病院がないのを見て、こう判断したらどうだろうか。「病院がないのは、住人がみな健康な証拠」 見当違いもはなはだしい。 病気の人々は本数の少ないバスを乗り継いで、遠くの病院に1日がかりで通院せざるを得ないのが実情である。この勘違いに似ているといえよう。 江戸はけっして平和ではなかった。「警察官」がいないので自分たちで対処するしかなかったのだ。 『藤岡屋日記』に、次のような事件が記されている。 弘化4年(1847)5月5日、幕臣川添家の19歳の息子、兼次郎が酒に酔い、浅草花川戸の通りで刀を抜いて通行人に次々と斬りつけ、4人が負傷した。 騒ぎを知って、自身番に詰めていた者などが捕物道具を持って駆けつけ、みなで取り押さえた。兼次郎を自身番屋に連行すると同時に、医者を呼んで負傷者の手当てをさせた。 兼次郎の身元がわかったことから、川添家から使者が来て協議の上、内済(ないさい)となり、兼次郎の身柄を引き取った。 その結果にはなんとなく釈然としないが、その背景は後述しよう。 たとえば現代、暴漢が刃物を降りまわしていたら、110番すればよい。パトカーが駆けつけ、警察官が暴漢を取り押さえてくれる。 ところが江戸時代、電話はないし、迅速なパトカーもなかった。町奉行所に知らせに走り、役人を呼んで来るなどの悠長なことはしていられないので、住人が協力して取り押さえるしかない。 町内の自身番屋には図のような三道具と呼ばれる突棒、刺叉、袖がらみが備え付けられていた。これらの捕物道具を持ち出してきて、大勢で取り押さえたあと、暴漢を自身番屋に連行し、留置した。自身番屋の奥には板張りの部屋があり、壁に鉄の輪が採りつけられていて、ここに暴漢を縛ってつないだのである。 自身番屋は町役人の詰所であるが、交番や留置所の役目もあったといわれるのは、暴漢の取り押さえや留置までしていたからである。 翌日、定町廻り同心が小者を引き連れて担当地区を巡回の途中、自身番に立ち寄ったとき、事情を報告して、暴漢を引き渡す。それまでは暴漢に食事をさせ、用便に付き添うのも町内の責任だった。 町の自治にまかせていたといえば聞こえがいいが、実態は町の人々が最前線の危険な警察業務をになわされていたのである。 30名に足りない警察官で百万都市の治安が維持できたのは、江戸が平和で、犯罪が少なかったからではない。川添兼次郎の事件のように、町人が決死の覚悟で、抜身を持って暴れる暴漢を取り押さえていたからである。ウーム、テレビ番組で観る「遠山の金さん捕物帳」なんか、あんまり実態を描いていないではないか。特に、江戸を取り締まるパトロール警官がわずか24人だったとは驚くばかりです。『ほんとうはブラックな江戸時代』2:もっともブラックな世界『ほんとうはブラックな江戸時代』1:はじめに
2023.12.08
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このところ、ルーマニア語とかフランス語とか言語をテーマにブログにUPしているが・・・この際、『ポケットに外国語を』という本を復刻して読んでみようと思い立ったのです。*********************************************************図書館で『ポケットに外国語を』という文庫本を、手にしたのです。下手の横好き外国語といえば・・・俺のことか?と思う大使でおます♪【ポケットに外国語を】黒田竜之助著、筑摩書房、2013年刊<「BOOK」データベース>より世界に通用するために外国語を勉強しなければ!そんな気持ちを脱力させて、言葉本来の面白さを感じ取りたい。古本屋で知らない外国語のテキストを買ってみたり、時には現地にいってみたりとあちこち思考をめぐらした結果がこのエッセイに詰まっている。しかも、外国語をもっと楽しく勉強したい人へ向けたアドバイスとして読める。文庫化に際して未収録作品多数!<読む前の大使寸評>下手の横好き外国語といえば・・・俺のことか?と思う大使でおます♪rakutenポケットに外国語をロシア語へのアプローチが語られているので、見てみましょう。p211~215<モスクワ、シベリア> 友人の管啓次郎さんがエッセイ集を出した。『ホノルル、ブラジル』(インスクリプト、2006年)は、わたしにとって特別な本である。最後にわたしとの対談が収録されているからだ。 対談はかつて、雑誌「UP」2004年12月号に「夜明けのロシア語、黄昏のポルトガル語」と題して発表された。同じ職場で英語教師をしている二人が、ロシア語やポルトガル語の魅力、さらにことばと文化について話し合うといった企画だった。この対談が再録されたことにより、『ホノルル、ブラジル』はわたしにとって、自分の本ではないのだけれど、自分の本でもあるという、不思議な存在になった。 管さんはよき友人であるが、趣味や好みについてはわたしとだいぶ違う。それはこのエッセイ集の題名からも分かる。ホノルルにもブラジルにも、わたしは行ったことがない。さらに副題が「熱帯作文集」というのだが、これは気温40度のアリゾナが快適という彼にこそ相応しいが、暑いのが苦手な者には思いもつかない語結合だ。わたしだったら、きっと「ツンドラ作文集」になるはずである。 あるとき彼が「ボクのやっぱり好きなもの」として犬、ゴルフ、そして英語の三つを挙げた。これもことごとく違う。わたしは犬よりもウサギが好きだ。ゴルフはやったこともないし、スポーツだったらスキーのほうがいい。そして英語については、好きといえるほど素直になれない。 じゃあ菅さんの英語に対して、黒田はロシア語なのかと問われると、それも迷う。実のところ、これは長年悩み続けてきた問題なのだ。 それでも、対談はわたしがロシア語を語り、菅さんは英語ではなく、ポルトガル語を語ることから始まった。 そもそも、わたしのロシア語はまったくの偶然である。中学二年生のころ、テレビのロシア語講座を見ていて、こういう文字が書けるようになったらいいなあという、ごく軽い気持ちが始まりだ。 一方、菅さんはポルトガル語にたどり着くまでに少し時間がかかる。英語の大好きだった少年が、大学でフランス語、それからスペイン語を経て、ポルトガル語を始めるのは24歳のとき。だが年齢は重要ではない。それよりも彼が小学生の頃に持っていたポルトガル語のイメージが「葡萄のことば」だったというのが面白い。 ポルトガルを漢字で書けば葡萄牙となり、それは当て字で意味がないといえばそれまでだが、そういうイメージは大切にしたい。ロシア(露西亜)だって「露のことば」というイメーイが膨らむ。中学二年生でロシア語を始めたわたしには、そのときロシアという露がキラキラと光り、心に染み透っていたのかもしれない。 詩的な菅さんは詩人フェルナンド・ペソアにのめりこむが、散文的なわたしはキエフ・ルーシ史に興味を持つ。20代半ばでいきなりブラジルに飛びこんでいく菅さんは、中学生の頃すでにアメリカでホームステイを体験しているが、わたしはといえば海外長期滞在が未だに実現できていない。あまりにも違う二人の方向。 だが、奇妙な共通点がここで浮かぶ。菅さんもわたしも、活字の人なのだ。「簡単な本の多読は外国語学習の王道だよね」と語る菅さんに、わたしは百パーセント賛成。そう、ブラジルに行ったからって、それだけで言語が上達するはずがない。彼はむずかしくない本をせっせと読んだ。これはわたしも実践している。日本だけでなく海外でも、簡単な本をたくさん読んでことばを滑らかにしていく。ずいぶん違うように見えた二人の外国語へのアプローチ方法が、ここで接点を持った。 どうして活字なんだろうと疑問に思うわたしに、菅さんはある答えを示す。「人の心がことばでできている以上、生身の人間にもかならずその背後にはあるまとまったアーカイブ(文書群)がある。それには、文字に頼る以外の接近の仕方はない」。ことばを表面的なものとして軽視したがる人たちに対するこんな反論があったのかと、わたしは素直に驚く。彼のいう通り、人は表面に出ないものを、いっぱい抱えこんでいるはずではないか。 活字というのは本には限らない。新聞の家庭欄やCDの歌詞カードだって、外国語を楽しむために必用なアイテム。話題はさらに映画やインターネットへと広がる。インターネットは言語マイノリティーが主張するのに格好の手段なのだが、その際にどの言語で発信するか、つまり自らの固有言語を選ぶか、あるいは多くの人が分かるメジャー言語にするか、という問題に突き当たる。 ここで菅さんは「アンブレラ言語」という概念を提唱する。(中略) 「あるアンブレラ言語の中にいる小言語の使い手が、ひょいといたずら心で一つの傘を飛びだし、別の傘の下に身を移してみる。あるいは別の傘の下にいる誰かといきなり直接接触する。そういう無根拠な接続が、いちばんおもしろいと思う」 これはわれわれ二人のことだ。わたしたちが多言語に惹かれるのは、一つの傘を飛び出して別の傘の下に身を移してみたいという、ほんのいたずら心なのである。おもしろがっているのに過ぎない。何かがおもしろくなければ、外国語なんてだれも勉強しないはず。『ポケットに外国語を』3:ロシア語へのアプローチ『ポケットに外国語を』2:にぎやかな言語学『ポケットに外国語を』1:サマセット・モームの「外国語学習小説」
2023.12.08
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図書館で『あなたが、いなかった、あなた』という本を、手にしたのです。ぱらぱらと覗いてみると、フランス語が原文で散見されるのでチョイスしたのです。【あなたが、いなかった、あなた】平野啓一郎著、新潮社、2007年刊<「BOOK」データベース>より【目次】やがて光源のない澄んだ乱反射の表で…『TSUNAMI』のための32点の絵のない挿絵/鏡/『フェカンにて』/女の部屋/一枚上手/クロニクル/義足/母と子/異邦人・7-9/モノクロウムの街と四人の女/慈善<読む前の大使寸評>ぱらぱらと覗いてみると、フランス語が原文で散見されるのでチョイスしたのです。rakutenあなたが、いなかった、あなたフランス語の会話が(原文で)見られるあたりを、見てみましょう。p92~95 『フェカンにて』 乗り継ぎの時間は8分間である。からだの伸びをして、念の為に、乗客と共に降りてきた車掌にフェカン行かどうかを確認し、乗り込もうとしていた時、隣に、スーツケイスとバッグとを抱えて立ち往生している老婆がいるのに気が付いて、彼は、「Pourais-je vous aider?(お手伝いしましょうか?)」と声を掛けた。 年齢は、80歳ほどであろうか。白い丸鍔の帽子を被り、白の薄手のブラウスを着ている。 彼女は、一瞬、驚いたような顔をした後に、「Oui oui, merci beaucoup, c‛est gentil.(ええ、ええ、どうもありがとう。ご親切に)」と微笑んで、「Vous parlez francais?(フランス語、お話しになるのかしら?)」と尋ねた。「Oui, un peu.(ええ、少しだけですけど。)」 大野は、自分のバッグを肩に掛け、彼女のスーツケイスを代わりに手に持った。バッグは自分で持てると云う素振りをしながら、彼女は、「Àh, oui? D‛ou venez-vous? Vous etes Japonais?(あら、そう?何処からいらしたのかしら? あなた、日本人?)」とまた興味深そうに問うた。 大野が先に車両に乗り込み、彼女がそれに続き、二人で左右を見渡すと、手近の空いている座席に自然と足を向けた。「Oui, je suis Japonais.(ええ、日本人です。)」振り向き様に返事をすると、彼は、「...euh ...la? Ca va?(ええっと、・・・ここで?。大丈夫ですか?)」とスーツケイスを座席の傍らに置いて確認した。「Oui, bien sur. Merci beaucoup.(ええ、もちろん。どうもありがとう。)」 老婆は頷きながらそう云うと、しっかりと彼の方に顔を向けて笑顔でまた礼を言った。 大野も微笑みながら、「Je vous en prie.(どういたしまして。)」と、自分のバッグを荷棚に上げ、座席に着いた。彼女は覚えず眼でその動きを追い、それから座席の在処を確認しながら腰を卸した。 帽子を取って膝に置き、一息吐くと、彼女は、「Vous etes on Voyage?(ご旅行かしら?)」と問うた。 大野は、「Oui, Mais j‛habite maintenant a Paris.(ええ。でも、今はパリに住んでいるんです。)」と応じたが、その理由を説明する事を何となく避けるように、「Èt vous? Vous etes aussi en voyage?(あなたは? やっぱりご旅行ですか?)」と語を継いだ。「Oui, Je viens de Charleville. Vous connaissez? C‛est en Champagne. ... (ええ。わたしはね、シャルルヴィルから来たの。知ってるかしら? シャンパーニュ地方にあるのよ。)」「Àh, oui. Àrthur Rimbaud y est ne, nest-ce pas?(ああ、ええ。アルテュール・ランボーの故郷ですよね?)」 老婆は目を丸くして、「Èxactment! Vous etudiez la litterature?(その通りよ! あなた、文学のお勉強をしてるの?)」と彼の顔を覗き込んだ。「Èuh,...oui(ああ、・・・ええ。)」「C‛est pour ca que vous etes a Paris?(それでパリにいるのね?)」「...Oui en effet.(ええ、そうですね。)」 大野は、そう曖昧に答えた。「Oui? Vous avez deja lu quelques livres de lui?(そうなの? もう、ランボーの本は幾つか読んだのかしら?)」「Oui "Une saison en enfer", "Les illuminations",et(ええ、『地獄の季節』、『イリュミナスィオン』、それから、・・・)」「Àh, c‛est formidable!(まぁ、すごいじゃない!)」「Mais j‛ai lu la pluspart d‛entre eux en japonais. C‛est pas bien, mais,...(でも、大部分は日本語で読んでいるんですよ。よくないですけど、・・・ええ。)」「C‛est difficile en francais?(フランス語じゃ難しいかしら?)」「Ca depend, mais, ...oui(ものによりますけど、ええ。)」 大野は、首を軽く捻って苦笑した。老婆は、彼を気遣うように、冗談めかして、「Mais pour moi aussi, ses poems sont tres difficiles. Ne vous inquitez pas.(でも、それはわたしも同じよ。ランボーの詩はとっても難しいもの。心配しなくても良いのよ。)」と優しく言った。「Merci. Mais en tout cas, je dois etudier le francais davantage.(ありがとうございます。でも、いずれにせよ、僕はもっとフランス語を勉強する必要がありますけど。)」「Vous paelez bien!(あなた、上手に喋ってるわよ!)」「...Merci(・・・ありがとうございます。)」『あなたが、いなかった、あなた』1:はじめに
2023.12.07
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今回借りた4冊です。 だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は強いていえば、「手あたり次第」でしょうか♪<市立図書館>・黒・哲学者にならない方法・小さい林業で稼ぐコツ・白鶴亮翅<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)***********************************************************【黒】柳美里著、扶桑社、2007年刊<商品説明>より「黒」は、「en-taxi」にて連載していた連作小説。柳美里氏の三年ぶりの新作「小説」で、柳氏のパートナーでした東由多加氏を主人公とし、彼の死までを東氏の視点で綴った「黒」「白」「緑」の短篇3部作となります。内容としましては、柳氏の代表作でもあります「命」の裏バージョン、東氏の視点から、癌闘病等を綴った「意欲的な」作品です。<読む前の大使寸評>借りたのは表紙も裏表紙も黒1色の1版1刷でした。(ネットにはその画像がなかったけど)rakuten黒【哲学者にならない方法】土屋賢二著、東京書籍、2013年刊<「BOOK」データベース>より寄天烈な寮生たち、麻雀、ジャズ、ドストエフスキー、『存在と時間』…。ツチヤ教授のバカバカしくもどこかせつない青春の1ページ。初の自伝的エッセイ!<読む前の大使寸評>追って記入rakuten哲学者にならない方法【小さい林業で稼ぐコツ】農文協(編)、農山漁村文化協会、2017年刊<「BOOK」データベース>より「山は儲からない」は思い込み!伐採や搬出を人に任せず自分でやれば、経費がかからない分、まるまる儲けになる。高値がつかない細い木でも、薪にすれば売れるし、木質バイオマス発電の燃料としても売れる。山の手入れを自分でやる「小さい林業」で稼ぐコツを解説。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten小さい林業で稼ぐコツ【白鶴亮翅】多和田葉子著、朝日新聞出版、2023年刊<「BOOK」データベース>よりベルリンで一人暮らしをする美砂は、隣人Mさんに誘われて太極拳学校へ。さまざまな文化的背景の人びととの出会い、第二次大戦前後のドイツと日本の歴史に引き込まれ、名作を女性の視点で読み直す。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/2予約、副本?、予約57)>rakuten白鶴亮翅
2023.12.07
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