このところ活躍が目覚ましい女性ジャズ・ヴォーカリスト、サマラ・ジョイの新作を聴く。 バックは7人編成のラージ・アンサンブルで、チョコレートのような滑らかでゴージャスなサウンドが聞かれる。 このバンドは録音のために編成されたわけではなく、1年もの間ツアーを重ねて熟成させたサウンドだという。 全体的にノスタルジックな雰囲気が漂っている。 サマラの歌は圧倒的で、声量や持続力も素晴らしい。 特にミンガスの「Reincarnation of a Lovebird」での、2分にもわたるア・カペラの歌唱にはただただ驚かされる。 しかし、何度も聴いているうちに、やや鼻についてくるような印象を受ける。 筆者だけの感想かもしれないが、歌いすぎることで聴き手が圧倒され、逆に疲れてしまうのだ。
彼女の歌が最優先され、曲自体は二の次に扱われているように思えるのだ。 全体的にパワーで押しまくる感じが強いが、スロー・バラードの「Now And Then」では少し救われた気がする。 アルバムを通じて、サマラの圧倒的な実力が示された演奏であることには間違いないが、どの曲もエンジン全開で、聴き手が疲れてしまうのが正直なところだ。 まあ、筆者だけの感想なのかもしれないが。。。 ということで、彼女に対する印象がネガティブに傾きつつあるのが、現在の心境だ。
Samara Joy:Portrait
1.Nacio Herb Brown, Gus Kahn:You Stepped Out Of A Dream 2.Charles Mingus:Reincarnation of a Lovebird 3.Josef Myrow, Kim Gannon:Autumn Nocturne 4.Samara Joy, Kendric McCallister, Sun Ra, Jae Mayo:Peace Of Mind / Dreams Come True 5.Donavan Austin:A Fool In Love (Is Called A Clown) 6.Antonio Carlos 'Tom' Jobim:No More Blues
8.Axel Stordahl, Paul Weston, Sammy Cahn:Day By Day
Samara Joy (vo) Jason Charos (tp,flh) David Mason (as,fl) Kendric McCallister (ts)
Conor Rohrer (p) Felix Moseholm (b) Evan Sherman (ds)
Recorded: 2024-03-22、at Van Gelder Studio、Englewood Cliffs, NJ,USA