今が生死

今が生死

2013.11.16
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カテゴリ: テレビ番組
桂文枝は生後11ヶ月で父親に死なれた。その時母親は21歳、お姑さんから「あなたはまだ若いのだから子供を置いて自由にしていいよ」と言われた。

恐らくまだ若い母親は子供がいなければ再婚もできるだろうし、自由な人生を送ってもらいたいという思いやりの気持ちだったと思うが、母は子供を姑に取られるとでも思ったのか、ある夜子供を抱いてこっそり家を出てしまいどこを探しても見つからなかった。

乳飲み子を抱え、住むところと仕事を探さなければならなかった。子供を抱えた女性など極めて厳しい就職状況だったと思われるが子供を育てるために必死で探したと思う。最終的には住み込みで働かせてくれる中居の仕事を得て文枝さんを育てあげ、高校、大学まで進学させた。大事、大事に育てたが食事のマナーは厳しかったとのことである。いつか天皇陛下とお会いすることがあった時に恥をかかないようにとのことだった。

後に文枝さんは落語の大師匠になりテレビにも出て著名人になり、実際に園遊会で天皇陛下にお会いして言葉も交わしている。それを誰よりも喜んだのは母親である。泣いて喜んだと思う。

以上は昨日のテレビ(NHK夜10時)で観た内容である。そんなお母さんなので最近のお母さんの姿なりお声を聞くことができるかと思ったが、テレビには1度も登場しなかった。文枝さんの年齢71歳に生んだ時の年齢21歳を足すと92歳になるが、恐らく子供を抱いて家を飛び出した当時の面影はなく、認知症になっているのではないかと想像した。

子供を抱いて家を出て、必死で子供を育てたお母さん、崇高な姿に敬服し尊敬するが、今の姿を見ると幻滅するかもしれない。

私は仕事柄、90歳前後の認知症の患者さんのお世話をする機会が多い。騒いでいたり、おもらししたり、鼻から栄養を入れているが呼びかけにも反応しない人たちもいる。でもこの方々は若い時にはきっと様々なご苦労をして人生を生きてこられた方々だろうなと思って精一杯の誠意で尽くさせていただいているが、文枝さんのお母さんにもお会いしてお話ができたらなと思った。





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Last updated  2013.11.16 23:05:28
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