
柏葉アジサイ
昨日夜8時からの新プロジェクトXを観た。福井県小浜市の廃校寸前の荒れた小浜水産高校に一人の熱血教師が赴任して学校の雰囲気が変わり15年後には有名医薬品会社の研究室でも作れなかった宇宙食のサケ缶を作り、人工衛星の中で食べてもらえて、学校も廃校にならずに済んだ物語である。
小浜水産高校は明治時代から続いてきた伝統ある水産高校だが2001年に小坂教師が赴任した頃は、定員割れが続いており、どこの高校も受からない生徒のたまり場のようになっていて、生徒達自身も「どうせ俺たちは」と卑下していて授業中でも床に寝転んだり、机に座ったりしていて先生の話を聞いている生徒は殆どいないような状況で暴力事件を起こすこともしばしばあった。
近所の人々も荒れた学校だからと近づかないようにしていたとのことである。赴任したばかりの小坂先生は最初が肝心とばかりに上から目線で厳しく指導しようとした。ところが生徒達から見れば「新米の先公が強がりを言って」と見透かされて相手にしてもらえなかった。色々考えた末に上から目線でなく生徒と同じ目線で遊んだり考えたりするようにしたら、生徒から認めて貰えて仲間に入れてもらえるようになった。
学園祭ではサケ缶など海産物を一般販売することにした。今まで同校を避けていた町の人達が買いに来てくれて生徒達も自分達も売れるものを作れたのだと自信と喜びを味わっていた。女子生徒達はマニュキュアをして不良少女を地で行くような生活をしていたが、小坂先生が仲間に加わってきてから先生につられて魚を傷つける嫌われ者のクラゲからゼラチンを抽出して栄養食品として売り出して地元の漁師から感謝されたりほめられたりした。小坂先生の発案で生徒達が校外に出て漁市場で実習として魚の分別や箱詰め作業などを行わせた。他の先生方は生徒達は校外に出たのを幸いと実習どころか街に遊びに行ってしまい実習どころではないだろうと危惧していたが、予想に反して楽しそうに真面目に働き、漁師や街の人の信用を勝ち取っていったのである。
小坂先生の目に見えない賢明な努力の結果、生徒達は「俺たちだってやれば出来るのだ」との自信をもち、就職先も広がり、保育士の試験を受けて保育所で働いている卒業生もいる。クラゲを食品にした自信は宇宙食を作るのだとの夢につながり、それを実現した生徒と先生の絆の深さを思った。
このドラマに感動した理由の一つに私も農林高校卒で、学校の雰囲気が小浜水産高校に似たところがあったからである。私はその高校を卒業してから医師になった。恐らく水産高校卒業生のなかからも宇宙食
だけでなく、保育士その他有意な人材がキラ星のように輝いているだろうと思った。

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