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「にゃ、にゃぁーーーッ!」「きゃーーーッ♪」 勢い良く放り投げられて、それぞれ悲鳴を上げる2人だったが、本当に悲鳴を上げているおにゃんこナースに対して、奈里佳の悲鳴はなんだか楽しそうな悲鳴だ。セリフの最後に『♪』がついてるし。 そしてそれぞれ異なる感情から発せられた悲鳴を上げつつ、しっかりとおにゃんこナースを抱き抱えた状態の奈里佳は、不敵な笑みをその顔に浮かべながら、猫耳ナースッ娘軍団が発射した162,720発ものミサイルの群れとぶつかりあったのだった。次々と爆発するミサイル達。連続して発生する爆発音と炎が2人を包み込む。 次々とミサイルは2人に命中したが、本来のターゲットはフューチャー美夏である。奈里佳とおにゃんこナースへの命中を回避出来るだけの機動が出来たミサイルは、爆発と炎の饗宴の場をすり抜けてフューチャー美夏へと突進する。「ふんッ! たわいもない」 しかし迫り来るミサイルを見ても、フューチャー美夏は回避行動をする気配をまったく見せず、微動だにしない。空中に咲いた炎の花から落ちていく奈里佳とおにゃんこナースを見ているだけだ。 そして瞬く間もなく、残されたミサイルの全てがフューチャー美夏を襲ったのだった。本来ならおにゃんこナースによる最終的な制御を受けてミサイルは各個それぞれが芸術的な機動を見せて、逃げ場が無いように前後左右、そして上下からフューチャー美夏を襲うはずだった。しかしミサイルは統制をまったく欠いた状態でフューチャー美夏のナノマシンスーツ表面を被うフィールドバリアに衝突した。「ふ~む。やっぱり、遠距離魔法攻撃はまったく効果無しか。やっかいよね。自意識を持った機械ってのは」 自分達で放ったミサイルの直撃を受けて地面に落下していく奈里佳とおにゃんこナース。どちらかと言えば本気でパニクっているおにゃんこナースに対して、奈里佳はあくまでも冷静だ。残りのミサイルが見事フューチャー美夏に命中するも爆発することなく消滅していくのを見て、感心したようにつぶやいている。(フューチャー美夏が着ているナノマシンスーツは、魔法の力をキャンセルする力があるものね。でもまあこれくらいのほうが面白いってものよ。それよりもそろそろ良いんじゃない?) 奈里佳2号からは不敵な雰囲気が伝わってくる。身体は無くとも血沸き肉踊るのだろう。「そうね。ここまでしてフューチャー美夏を猫耳ナースッ娘軍団の中心点に誘いこんだんだから、攻撃しなきゃバチが当たるわよ。さあ、おにゃんこナースッ! 猫の手の威力を見せてあげなさいッ!!」 奈里佳2号に同意すると、奈里佳はおにゃんこナースのほっぺたをやや強く叩いて正気を取り戻させると、攻撃開始を命令した。「はッ!? そ、そうにゃ。攻撃にゃ。全員、猫の手にゃ~~ッ!!」 地面に激突する寸前のタイミングで、おにゃんこナースは猫耳ナースッ娘達に命令を下す。それを確認した奈里佳は、もう遠慮はいらないとばかりにやられたふりをするのをやめて落下を制御し、ふわりと地面に着地した。するとそこは猫耳ナースッ娘達が、ほぼ真上に位置するフューチャー美夏をじっと見つめながら妙なポーズを取っていた。「はいにゃ~♪」「猫の手にゃ~」「任せて下さいにゃ~ッ!」 おにゃんこナースが発した命令に対してにゃんにゃんと返事を返しながら、猫耳ナースッ娘達はひざをほんのわずか曲げつつ腰をかがめ、ひじを曲げた右手と左手を少々ずらして身体の前で上げている。「みんなッ! 私の動きに合わせるにゃッ!」 まわりの猫耳ナースッ娘達と同じポーズを取ると、おにゃんこナースは真の攻撃を開始した。(空間歪曲ッ! 局所的な重力異常発生ッ! 緊急離脱するッ!!) 珍しく慌てた様子の声で、ユニ君が叫ぶ。しかし既に時は遅かった。
Apr 27, 2005
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「いいえ、そのままでいいわ。フューチャー美夏ったら、こっちが撃ったミサイルjをちゃっかりと利用したつもりなんでしょうけど、まだ甘いわね。おにゃんこナース、付いて来てッ!!」 奈里佳は左手でおにゃんこナースの右手をつかむと、迫りくるフューチャー美夏とミサイル達から逃げ出し始めた。その動きは上下左右と、ランダムに進路を変更しているかのように見えたが、奈里佳の表情には余裕が感じられた。「速い、速すぎるですにゃ~ッ!」 一方のおにゃんこナースは、162,720発ものミサイルをコントロールすることに魔力を裂かれている為に、既に限界に近い様子である。「がんばりなさい、おにゃんこナースッ! 目標ポイントまであともう少しよ。それから奈里佳2号、私は飛行制御で手いっぱいだから、なるべく範囲を絞り込んだ結界のほう最大パワーでお願い。よろしくね♪」 ランダムに飛行してきたように見えて、実は地上の猫耳ナースッ娘軍団が終結する中心地上空へと、フューチャー美夏を誘導してきたのだ。奈里佳は遅れがちになるおにゃんこナースを抱き抱えてそのまま飛翔を続ける。(しょうがないわね。できる限り絞り込んで、身体の表面にだけ結界を張ってみるけど、この貸しは後で『克哉ちゃん』に請求しておくから、そっちこそよろしくね♪) 奈里佳2号は、事実上の『後で克哉ちゃんをかわいがってあげる宣言』をする。それに対して何も言わない奈里佳だったが、ちょっと困ったような顔を見せるのだった。(黒白の猫耳少女と我々、そしてミサイルの相対距離が徐々に狭まっているが、このままでいくとミサイルが我々に追いつくほうが先になるな) ユニ君は短くそう言うと、あとの情報は画像で表示する。「このままでいけばね。でもそうはならないわ。ユニ君、重力制御ユニットの余力はあとどのくらい?」 視界に重なるモニターに映る情報をちらりと見ると、フューチャー美夏はユニ君に問いかけながら前方の奈里佳とおにゃんこナースを鋭く見つめる。(ここ数日の間に重力制御ユニットを構成するナノマシンを複製して数を増やしてあるから、まだ現在は最大能力値の30%しか使ってない。一瞬のうちにあの2人に追いつけることは保証しよう) 驚くべきことに、フューチャー美夏達は飛行制御をしている重力制御能力に、70%もの余力をのこしていたのである。「ようし、一気に行くわよッ! Go!!」 フューチャー美夏の気合とともに、ユニ君は瞬間的に重力制御ユニットのパワーを開放した。それと同時にフューチャー美夏の身体はまるで瞬間移動でもしたかのような加速で奈里佳とおにゃんこナースに追いつくと、そのまま2人の足を掴んだ。「は、離すにゃ~ッ!」 慌てたおにゃんこナースは、パニックを起こして叫びだす。しかし奈里佳はなぜか落ち着いた様子を崩さない。想定の範囲とでもいうのだろうか。「お望み通り離してあげるわよ。そ~らッ!」 パワードスーツでもあるナノマシンスーツが生み出す強大な握力で奈里佳とおにゃんこナースの足を握りしめたまま、2人をぐるぐると振りまわす。そして勢いをつけると迫り来るミサイルに向けて、フューチャー美夏は2人を放り投げた。
Apr 19, 2005
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「わかったにゃッ! みんな、注射器ミサイル全弾発射にゃッ! 目標はフューチャー美夏だにゃッ!」 おにゃんこナースは緊張にその猫耳をぴくつかせながら、地上を駆けている猫耳ナースッ娘軍団に指令を発した。その瞬間、猫耳ナースッ娘達は一斉に左手のランチャーから注射器ミサイルを連射したのだった。 ちょうどその少し前、奈里佳達に向けて連続のビーム攻撃を続けていたフューチャー美夏は、微妙な違和感を感じていた。「ねえ、おかしいと思わない? なんであの黒と白の2人は仕掛けてこないのかしら?」 視界の片隅に浮き上がるバーチャルな画面に映しだされた背中の翼で空を飛んでいる2人の猫耳ナースッ娘を見ながら、フューチャー美夏はユニ君に問いかけた。しかしその間もビーム攻撃の手を休めることはしない。(そのことなんだが地上に不審な動きがある。中津木総合病院を中心として広がっていた量子反応が検出される領域が、その範囲を狭めつつ中心を移動させている) ユニ君はフューチャー美夏の視界に、さらに平面地図が映しだされた別画面を浮かび上がらせた。地図には量子反応が検出された領域が赤く表示されており、確かにそれはじわじわと収束しつつ移動していた。「もしかしてこれって、今の私達のいるポイントの真下に移動しようとしているんじゃないかしら?」 そう言いながらフューチャー美夏は試しに大きく右方向に横移動してみた。すると4~500メートルも移動した段階で、地図上の反応にも若干の変化がみられた。フューチャー美夏を追いかけるように地図上の赤い領域も、その全体が動いたのだ。(間違いないようだな。明らかに猫耳少女に変身した人々は、ひとつの意思の元に統一されて動いている) フューチャー美夏に言わせれば、猫耳ナースッ娘軍団が自分達を狙うのは当たり前のこととも思えたが、ユニ君は機械らしい融通の効かなさというか律儀さというかで、改めてそう断言するのだった。「じゃ、もうすぐ下からの攻撃が来るって訳ね」 黒と白の空飛ぶ猫耳ナースッ娘達は、地上からの対空攻撃から目をそらす為のおとりの役割をしていると判断したフューチャー美夏は、だからこそ攻撃の手を休めなかった。(来たぞッ! 小型ミサイルがこちらに向かって上昇してくる。その数は、162,720発を計測。それで、どうするかね? フューチャー美夏?) 白い煙(?)を吐きながら上昇してくる注射器ミサイルを目にしながらも、あくまでも冷静な様子を崩さないユニ君。危険は何も無いとでもいうのだろうか?「ふんッ! この前のバトルでの経験が正しければ、遠距離攻撃で気をつけなくちゃいけないのは、大量の小石を高速でぶつけられることだけよ。きっとこのミサイルは私達には何のダメージも与えられないはずよ」 フューチャー美夏は、ミサイルの発射を確認した瞬間に奈里佳達へのビーム攻撃を中止すると、ミサイルからの回避運動を始めた。まずはミサイルよりもやや遅いスピードでそのまま上昇すると、ミサイル達を引きつけながらカーブを描き、ミサイルの進路が奈里佳とおにゃんこナースへと向かうように誘導すると、今度は全速力で奈里佳達に向かって空中を突進したのだった。「思った通り、誘導ミサイルだったみたいね」 後ろからついてくる大量の小型ミサイルをちらりと見ると、フューチャー美夏は前方の奈里佳とおにゃんこナースを見てにやりと笑った。「あらあら、けっこう冷静ね。でもまあ、遠距離魔法攻撃はフューチャー美夏にダメージを与えられないってことは前回のバトルで分かっちゃったから、しょうがないわね」 注射器ミサイルの群を引き連れてこちらに向かって突進してくるフューチャー美夏を見て、奈里佳も闘志を沸き上がらせる。なんのかんのと言っても、バトルそのものを楽しんでいるようだ。「にゃにゃーッ! 撃ったミサイルがこっちにッ!! あわわわわ、どうしますかにゃ? ミサイルの誘導を切ったほうが良いかにゃ?」 一方、おにゃんこナースはおろおろと慌てて、半分パニックになりかけていた。胸と下半身をおおう白い猫毛が全て逆立っているのがその証拠だ。
Apr 13, 2005
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「じゃあ、あいつをやっつけちゃえばいいんですかにゃ?」 猫耳ナースッ娘の1人をボコボコに攻撃しているその人物が、自分達の敵だと聞いたおにゃんこナースは、素直にそう聞いた。(あー、それはちょっと違います。僕達の目的は、あくまでも人々と世界の結晶化をくい止めることであって、フューチャー美夏をやっつけることじゃありません。ただ、フューチャー美夏が僕達の行動の邪魔をするので、その妨害を排除する為に闘っているだけだということを忘れないでください) 直接的な闘いの役には立たないということで中津木総合病院に残留したクルルが、奈里佳達の会話に割り込んで来た。「そうね。フューチャー美夏でさえ、結晶化の危険からまもらなくちゃいけない対象の1人だし」 城南中学の上空まであと少しという状況にも関わらず、奈里佳はどこかのんびりとしている。『負けさえしなければ自分達の勝ち』という勝利条件を理解してのことだろうか?(ま、適当にからかって遊んであげればいいのよ。考えようによってはフューチャー美夏の存在でさえこの世界の未来の可能性を広げる因子であるとも言えるんだから。それよりも、向こうもこちらに気が付いてるわよ) 鋭い警告をする奈里佳2号。確かに前方には城南中学から急上昇してこちらに飛行してくる人影が見える。淡く輝くナノマシンスーツをまとったその姿は、フューチャー美夏以外にはありえない。「分かっているわよ。どうやら空中で私達を迎え撃つつもりらしいけど、考えることが甘いわね。空中なら猫耳ナースッ娘たちとは闘わなくてもいいだなんてこと考えてるのかしら。……おにゃんこナースッ!」 奈里佳は、フューチャー美夏が空中戦をしかけて来たのは、単純に猫耳ナースッ娘達の戦力をカウントしなくても良いからだと判断していた。前回のバトルの際は役に立たなかった『お嫁さん』だが、今回の『猫耳ナースッ娘』にはそこそこの戦闘力はあるからだ。 「了解ですにゃッ!」 奈里佳の意図を理解したおにゃんこナースは、元気良く返事をする。しかしちょうどその時、フューチャー美夏が放った数条のビームが奈里佳達を襲ったのだった。 瞬間、熱せられた空気が周りを包んだが、ビームそのものは奈里佳が展開した結界により、流れるようにその表面をなめると、ビームが発射された方向とは反対の方向へと飛んでいった。(なかなかやるじゃない。でも、まだまだ結界の展開が遅いわね。私ならあなたの半分の時間で倍の強度の結界を展開できるわよ) 奈里佳を誉めながらも、さらに自分のほうがもっとうまく出来ると自慢する奈里佳2号。「あたりまえじゃない。私は自分の身体を持ち上げてる飛行魔法も同時に使っているのよ。結界を展開すだけに全力を集中することが出来る奈里佳2号に比べたら、私が作る結界のパワーが落ちるのはしょうがないでしょ」 奈里佳2号の自慢を一撃で撃退する奈里佳。そうこうする間にも奈里佳とおにゃんこナースめがけてビームが飛来する。「奈里佳さん、フューチャー美夏の現在位置は、猫耳ナースッ娘達の中心域からまだ外れているにゃ。どうにかして誘導しないといけないですにゃ。それとももうやっちゃいますかにゃ?」 ビームの嵐を受けている際中であるが、いや、だからこそおにゃんこナースはこちら側の攻撃をするかどうかについての判断を奈里佳に求めた。「悔しいけど、フューチャー美夏相手に何度も同じ手が通用するとは考えないほうがいいわ。ここは攻撃効果が最大になるまでがまんよ。でもこのままじっと結界の中で耐えているというのも性にあわないわね」 思案する奈里佳。その間にも奈里佳とおにゃんこナースは、地上を全速力で走り、跳び、一点に終結しつつある猫耳ナースッ娘軍団の中心域上空にフューチャー美夏を誘導すべく努力していた。ビームを回避するふりをしつつ、じわじわと攻撃効果が最大限になるポイントへと移動していたのだ。(ねえ、どっちにしても防御するばかりじゃ怪しまれるんじゃない? とりあえず目くらまし程度でも攻撃しないというのは私達らしくないわよ) 防御一転張りのバトルにイライラした様子がありありとしている奈里佳2号である。しかしその言い分ももっともだ。奈里佳の本来の闘い方は防御よりも攻撃である。このままでは怪しんでくださいというようなものだ。「ま、それもそうね。じゃあ無駄とは分かっていても攻撃しますか。おにゃんこナース、みんなに伝えて。注射器ミサイルをフューチャー美夏に向けて一斉発射ってね♪」 にやりと笑う奈里佳であった。
Apr 12, 2005
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「自分と同じサイズの妖精に囲まれるのは良いとしても、私はパーティーなんて嫌いよ。隠された目的が、妖精狂いの季節のお相手を見つけることだというならなおさらね」 しつこく今度の妖精の集会に出かけるように勧める剣持さんに対して、私はできる限りの忍耐力を総動員して丁寧にお断りをしていた。なんだったらこのまま外に飛んで逃げて行っちゃいたいくらいの気持ちなんだから、私の努力を評価して欲しい。「まあ、そう言わないで。詩衣那君はもっと他人と交流したほうがいい。せめて研究所の中だけで残りの人生を過ごすだなんてことは言って欲しくないんだ」 さらにおせっかいを焼く剣持さん。私が人間だった頃、彼とは恋人同士の関係になるまであと1歩というところだったからかもしれないが、何かと世話を焼きたがって困る。「ダメなものはダメ。妖精狂いの季節のお相手は、またおじい様に見つけてもらうわ。かわいい女の子の妖精をお願いするから問題ないわけ。集会に出てて探さなくてもね」 もうこれで話は打ち切りということで、私は剣持さんに部屋から出るようにと手で合図をした。しかしいつもなら素直に出て行くはずなのに、今日ばかりは様子が違っていた。「実はまだ言ってなかったけど、今度、白い羽をした妖精の女の子に研究の手伝いをしに来てもらうことになったんだ。それで彼女もその集会には出席すると思うんだけど、早めに会ってみたくはないかい? いや、こんな娘なんだけどね」 いつも着ている白衣のポケットから、剣持さんは写真を1枚取りだすと、それを私の前に差し出した。その写真に写っている白い羽を背中に生やし、青い髪と目をした妖精少女を見た瞬間、私は心のスイッチが切り替わるのを感じていた。 ほとんど無意識のうちに、その写真に手が伸びた私は、妖精の私からするとちょっと小さめのポスターぐらいの大きさがあるその写真を剣持さんの手手から奪い取っていたのだった。「可愛い娘だろ? 詩衣那君が好みそうなタイプの娘だと思うんだけど」 剣持さんは私が写真を手に取ったことを、単純に私がその写真に写っている妖精少女が好みの娘であるからだと思っているようだ。しかし事実は違う。「この妖精の女の子、なんだか妖精召喚事件全体に関わってくるような気がする……」 写真に写っている女の子から視線をそらすことなく、私は、自分の印象を素直に口にしてみた。「また予知かい? まあ、何にしても関心を持ってくれたことは嬉しいけどね」 妖精の魔法を強化増幅し、有効利用しようという研究をしている剣持さんでさえ、機械によって計測されない種類の魔法というものは信じられないらしい。まあ、いつものことだけど。「いいわ。今度の集会には出てみることにします。この娘に会えるなら、ちょっとくらいのわずらわしさなんか何でもないわ」 私は剣持さんに笑顔を向けた。それにしてもこの感覚。懐かしいような、それでいて気圧されるような感覚は何だろう。私のような蝶の羽のような虫の羽ではなく、鳥の羽をした妖精はもともとの妖精世界においては王族や貴族クラスの階級に属しているらしいということは分かってるけど、まさかそれが理由というわけでもないだろうし。「そうか、行く気になってくれたのか。きっと良い気分転換になるはずだよ」 私が久しぶりに笑顔をみせたからだろうか? 剣持さんも妙に嬉しそうにしている。まったく子供なんだから。「それで、この娘の名前はなんていうの?」 背中から生えている蝶の羽をゆっくりと動かし、私は剣持さんの顔に近づく。「美しい姫と書いて美姫、長谷川美姫君だ」 その名前を聞いた瞬間、私の中でその妖精の女の子のイメージは、かわいいプリンセスそのものになってしまった。後でそのイメージは間違っていたということがハッキリしたけど。
Apr 10, 2005
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(それはあまり期待しないほうが良いのではないかな。今、フューチャー美夏がいたぶっている【彼女】が、奈里佳に取って特別な存在だとしたなら話は別だが、しょせん大勢の中の1人に過ぎないわけだろうし。……いや、待ってくれ。前言を撤回する。およそ高度50メートル前後を飛行しながら接近してくる比較的大きな2つの量子反応をキャッチ。反応の大きさから考えて奈里佳の可能性が大きい。今、映像を出す) 最初はフューチャー美夏の希望的な観測に対して懐疑的な反応を示したユニ君だったが、そのセンサーが奈里佳らしき反応を捉えると、機械らしくまったく恥ずかしがることもなく、その態度を変えたのだった。そして例によってフューチャー美夏の視界には、遠くから撮影されたからだろうが、ピントが合ってないものの空を飛ぶ2体の人影が映しだされた。「さあ、とりあえず今はもうあなたに用事は無いわ。そこでしばらく反省していなさいッ!」 奈里佳出現ッ! かも? というユニ君の報告を聞き、そして見たフューチャー美夏は、修司な猫耳ッ娘を片手でむんずとつかむと、そのまま教室の黒板に向かって投げ飛ばした。ほとんど本気で……。「にゃーーーーッ!!」 大きな声を上げながら宙を飛び、黒板にぶつかるとそれを破壊する修司な猫耳ッ娘。砕けた黒板と壁が、もうもうたる粉塵をつくり上げる。それを見届けると、フューチャー美夏は教室の窓から外を見上げるのだった。ちなみに放り投げられた猫耳ッ娘な修司は、怪我を心配するお仲間たちに取り囲まれてあっという間に包帯でぐるぐる巻きにされていた。お互いに本望であろう。「なんか猫耳ナースッ娘が1人、変な女にボコボコにされたみたいですにゃ」 不安定な様子で空を飛びながら、おにゃんこナースは奈里佳に報告した。「ええ、分かってるわ。その変な女っていうのがフューチャー美夏っていう私達の敵なの。人々の可能性を否定し、結果的に世界の可能性をも否定して、本来なら無数の世界から成り立っている時空球そのものを崩壊に導いてしまっている未来世界ディルムンのタイムパトロールなの」 クルルからの受け売りの知識をそのまま披露する奈里佳。ちなみに奈里佳の飛行は完全に安定している。どこかふらふらとした飛び方をする白い羽と毛皮のおにゃんこナースに対して、一直線に飛ぶ黒い羽と毛皮の奈里佳。「にゃるほど。あれが私達の敵にゃんですね」 おにゃんこナースは、街中に散らばる猫耳ナースッ娘達の目を通してある程度までならその視界を共有することができるのだ。(それにしてもおかしいわね。フューチャー美夏は何であの猫耳ナースッ娘にこだわるのかしら?) 話に加わる奈里佳2号。奈里佳達もまた、遠隔視能力により、ほぼすべての状況を正確に把握しているのだが、まさかフューチャー美夏が痴話喧嘩の延長線上の理由により、特定の猫耳ナースッ娘を攻撃しているのだということは、まったく理解できていなかった。「ま、何にしても売られた喧嘩は買わなくちゃね♪」 楽しそうな奈里佳。虚勢ではなく本当に楽しそうなところがアレである。(当たり前じゃない。さあ、どうしてくれようかしら?) 同じくわくわくした声で応じる奈里佳2号。結局のところ、1号も2号も奈里佳は奈里佳であった。
Apr 7, 2005
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「なかなかうまくシャッターボタンが押せにゃいにゃ。ええと、こうかな? ……そうかッ! 爪を出してそれで押せばいいにょかッ!!」 試行錯誤の末に、なんとかうまい方法を見つけてカメラのシャッターを押しつづける猫耳ナースッ娘。まずは手始めに回りにいる猫耳少女を写し終わると、今度は三脚を取り出しそこにカメラをセットし始める。どうやら次の被写体は自分自身らしい。「写真にこだわることからして、あの猫耳の女の子が修ちゃんということで間違いないみたいね。まったく情けない」 フューチャー美夏はしばらくその様子を見ていたが、疑念が確信に変わった段階で大きくため息をつくのだった。しかし脱力しているわけではなく、怒りを押さえて爆発寸前だということは、小刻みに震える握りしめた右手を見れば分かることだった。(あの猫耳少女だけが、他の猫耳少女と行動パターンが違うからな。彼女が彼ということで間違いないだろう) ユニ君が指摘するとおり、他の猫耳少女達はまだ変身していない生徒達に対してかいがいしく看護をしている。「どこか具合の悪いところはありませんかにゃ? でも頭が悪いっていうにょは無しだにゃ」「う~ん、胸の発育が悪いですね。お注射しましょう♪ はい、これで良し。サービスでおっぱいの数も2つから6つに増やしておいたから感謝するにゃ」「どこにも悪いところがにゃい? おかしいにゃ。どこか悪いところがあるはずだにゃ。これじゃ、看護できないにゃ。そうだッ! 悪いところがなければ作れば良いのにゃッ!! ……待つにゃ、逃げるんじゃないにゃ」 看護するためには、まず怪我をさせるということさえいとわない猫耳ナースッ娘達。あっぱれである。ともかく他の猫耳ナースッ娘はそのような様子で、看護(?)に一生懸命なのだ。 というわけで一般の猫耳ナースッ娘とは別パターンの行動を取る彼(女)を堀田修司その人であると特定したフューチャー美夏は、色々なポーズを取りながら自分を被写体にして次々と写真を取っている猫耳ナースッ娘な修司にツカツカと近づくと、おもむろに遠慮無く、そのほっぺたを思いっきりはたくのだった。「にゃ、にゃーーーーーーッ!」 手加減して平手打ちをしたものの、フューチャー美夏がまとっているナノマシンスーツには倍力化の機能まで付いている。早い話が、パワードスーツである。というわけで、修司な猫耳ナースッ娘は、派手にふっ飛ぶと、教室の壁にめり込むのだった。「にゃ、にゃにするにゃッ! 痛いにゃ、痛いにゃッ!」 しかし、さすがに魔法で変身している状態であるからして、怪我をするとかそういう状況はならないらしい。自分が空けた壁の穴から這い出しながら、修司な猫耳ナースッ娘は文句を言う。「何って、分かるでしょッ! まったくもう……」 そこまで言ってから、急に言葉を濁すフューチャー美夏。本当は、『修ちゃんのバカーーーッ!』と叫びたいところなのだが、それを言ってしまうと自分の正体がバレてしまう。まわり中にうじゃうじゃといる猫耳ナースッ娘達は、敵対する奈里佳の力により変身していると判断される限り、フューチャー美夏としては正体を明かすわけにはいかなかったのだ。「とにかくバカーーーーッ!」 というわけで言葉では感情を表現出来なかったフューチャー美夏は、猫耳ナースッ娘で彼女な彼を、もう一度、遠慮することなく思いっきりはたくのだった。「にゃーッ! 骨が折れたにゃッ! 痛いにゃッ! 猫耳少女にはもっと優しくするもんだにゃ~」 嘘か本当か猫耳ナースッ娘な修司は、思いっきり痛がってみせるが、なおも容赦なくパンチや蹴りを入れるフューチャー美夏。とても正義のナノテク少女とは思えない所行である。「嘘おっしゃいッ!」 一言のもとに猫耳ナースッ娘な修司の言葉を否定するフューチャー美夏。ユニ君が持つセンサー類により、骨折などしていないことが分かっていることによる強気な発言である。(骨折はしていないが、このまま【彼女】をいたぶり続けることに何かメリットはあるのかね?) 本来は自分の恋人である【彼女】を、げしげしと、いたぶり続けるフューチャー美夏に対して、ユニ君は冷静に疑問を投げかけた。(そんなもの決まってるでしょッ! こうしていれば仲間の危機を助ける為に、奈里佳がやってくるという寸法よ。別にこっちから奈里佳を探しに行く必要なんてないわ) 表面上は無言のまま、なおも暴行を続けるフューチャー美夏。しかしユニ君に対しては己の行動を正当化してみせるのだった。
Apr 5, 2005
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