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「……看板に偽りあり。ということなのかしら?」 ビルの屋上に設けられた妖精の集会会場のテーブルの上で、私は隣のテーブルで繰り広げられている馬鹿騒ぎを見ていた。そこには写真そっくりの顔をした妖精少女、長谷川美姫さんがいたのだが、とてもその行動は、『かわいいプリンセス』からは程遠いものだった。「それにしてもなんてメンバーが揃っているのかしらね」 私は同じテーブルにいる子供を連れた、おそらく妖精の夫婦達と一緒に食事をしながら、ちらりちらりと美姫さんの様子を見ている。ちなみに妖精狂いの季節の際のパートナーを探すのが真の目的であるこの妖精の集会で、子供がいる夫婦の妖精達が集まっているこのテーブルほど落ち着けるところは無い。まあ、独り身の私だけが浮いた格好になっているが、独り者ばかりが集まるテーブルで男女双方の妖精から迫られるよりはよっぽどましである。 それはともかく問題は美姫さんがいる隣のテーブルだ。日本で一番最初に妖精に召喚されたという大島眞利菜さんだなんていう超大物もいるし、あのコウモリ羽の男の子は最近このあたりで有名な有名な滝沢海斗ではないだろうか? それから有名といえばあの軟派でヒモな佐々山時雄もいる。もう1人の可愛らしい男の子のことは知らないけど、あれだけの美形な少年は、もともと美形ぞろいの妖精の中でも群を抜いている。「ほんとに、つくづくすごいメンバーで集まっているわね」 周りで騒いでいる子供達の相手を適当にしながら私は、『さてどうしたものか?』と考えていた。私自身としては、なぜか心ひかれる美姫さんに会って、話でも出来ればと思ってここに来たのだが、このままでは落ち着いて彼女と話が出来る機会などとれそうにないからだ。「ま、どうせもうしばらくしたら研究所のほうにやってくるっていうし、今日のところは顔を見られただけで良しとしたほうが良いのかしらね」 誰に話すでもなく、私はそうつぶやくと、もう少し食事をしてから帰ってしまおうと決心した。しかし私が食事をしている間に、事態は大きく進展していたのである。「あはははははーーーーッ♪ みきちゃん、なんらかきもちいい~~」 聞こえてきたその声に、私は食事をする手を休めて美姫さんがいるテーブルをふりかえる。この声はもしかしなくても美姫さんの声? いったい何があったんだろう。
May 31, 2005
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無事、『魔法少女♪奈里佳の第3話』の連載も終わりまして、次の連載は何にしようかということなのですが、一応、『妖精的日常生活 第15話』ということになっています。しかしその連載を始める前に、やらなければならないことがあります。1.『魔法少女♪奈里佳 第3話』の誤字脱字修正と校正2.少年少女文庫に投稿するにあたり、『妖精的日常生活 第14話』につけるおまけSSの執筆。 その二点が終わりましたなら、ようやく執筆となるわけですが、その場合でも執筆のペースは落ちる予定です。 といいますのも、こちらも長らく停止しております『ヴァルキリーユウキ』の超訳も進めたいなあと思っているからなのです。 まあ、それはそれとして、実際に連載再開となるのは、もしかすると夏の真っ盛りか、その後かも? という感じで気長にお待ちいただきたいと思います。 執筆活動を休んでも、辞めることは考えてませんので、よろしくお願いいたします。-------------------------------------------ちなみに、魔法少女♪奈里佳の第4話に関する予告は以下の文章になりますが、2話と3話の間に4年という歳月が流れたことを考えると、すぐにこの4話が日の目を見るとは思えませんねえ(思わずため息)。【魔法少女♪奈里佳 第4話 予告編】 連敗に次ぐ連敗を重ねるフューチャー美夏ッ! 1対1で戦えば、奈里佳を圧倒するパワーとスピード、そして防御力を持っているのに何故勝てないのだろうかッ!? そこでフューチャー美夏は気づいたのである。私には仲間(兵隊)がいないッ!! 1対多の戦いのままでは圧倒的に不利であると……。 そこでフューチャー美夏は新たな作戦を遂行するのだった。次回、『マリオネット作戦ッ! 操りたいの♪』 ご期待下さい。……まだ題名しか決まってないけど。
May 28, 2005
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エピローグ「さてと。とりあえず邪魔者はやっつけたし、本来の目的をちゃっちゃと済ませちゃいましょうか?」 フューチャー美夏が単に気絶しているだけであることを確認すると、奈里佳はそのままフューチャー美夏を放置することにした。自分の使命は人々の結晶化とそれに伴う世界の結晶化と崩壊を防ぐことであり、守るべき対象にはフューチャー美夏ですら含まれるのだ。彼女を排除したり、ましてや命を奪ったりすることは奈里佳の本意ではない。「フューチャー美夏の正体を調べなくてもいいのですかにゃ?」 不思議そうに聞き返すおにゃんこナース。猫尻尾がくねくねと動いている。「どうせ未来世界ディルムンのタイムパトロールだってことは分かってるんだから、それでいいわよ。それよりもおにゃんこナースはみんなを猫の手にしてから、その猫の手なナースッ娘たちに、病人や怪我人を看護させたかったんでしょ?」 いまだ結晶化が解除されていないのか、おにゃんこナースの変身が解ける様子はない。「はッ、そうだったにゃ! 猫の手でドジだって、一生懸命努力することが良いことだということをみんなに実感してもらうんだったにゃ!! こうしておにゃんこナースと猫耳ナースッ娘たちは、看護すべき病人や怪我人を探しに街中に散っていったのだった。なお本日看護された怪我人の大半は、奈里佳とフューチャー美夏のバトルの巻き添えを食った人達であったことは言うまでもないことである。 こうして病人や怪我人を看護をするにはかなり不適当な、ぬいぐるみのグローブのような猫の手をした猫耳ナースッ娘たちは、ドジな失敗を大量にしながらも一生懸命な看護をしたのだった。「ドジだっていいにゃ♪ 失敗したっていいにゃ♪ とにかく一生懸命やることが大事なんだにゃ♪」 猫耳ナースッ娘たちの活躍(?)を見ながら、おにゃんこナースは悦に入るのだったが、どこか心に隙間風が吹くような感覚を味わっていたのも確かだった。 ともかくやりたい放題、し放題の限りをつくしてようやく結晶化が解除されたおにゃんこナース、いや津谷美根子は、自分の職場である中津木総合病院へと戻ったのだった。「あ、美根子先輩、いったい今までどこに行っていたんですか? こっちはもう大変だったんですよッ!」 病院に着いた美根子が見たもの。それは大小様々な怪我をした患者さん達の群れと、そのまわりで右往左往する医者や看護婦の群れだった。「あの、何があったの?」 半ば思考が停止しかけた美根子は、遠子にそう聞くのが精一杯だった。「何があったの? じゃありませんよッ! 街中のみんなが突然猫耳ナースなんかになっちゃうものだから、あちこちで交通事故とか起きちゃうし、爆発が起きたり、大きな落雷があったりで、もう本当に緊急事態の連続だったんですからね」 遠子のその言葉を聞いて、美根子は身体中の血液が音をたてて退いていくのを感じてしまった。おにゃんこナースに変身した際の記憶は完全に残っているのだ。美根子としては青ざめるしかない。「そ、それで大丈夫だったの? ……あの、その、病院のみんなも猫耳ナースになってたんでしょ?」 もしも死人でも出ていたら自分も死ぬしかない。思いつめる美根子だった。自分のせいで怪我人が大量に出たということにショックを隠せない。 緊急な手術が必要な患者さんがいたとしても、病院内の大半の医者や看護婦が猫耳ナースッ娘に変身して猫の手になっていたはずである。そんな手でまともな手術など出来ようはずもないからだ。「なんとか大丈夫でした。それに院長先生ががんばってくれましたから」 遠子の言葉を信じるなら、幸いにも亡くなった方はいなかったらしい。まずは、ほっと胸をなでおろす美根子だった。まともになでおろすには出っ張りの大きすぎる胸だったが……。「院長先生が?」 美根子はそのまま聞き返す。確か院長は猫耳ナースッ娘には変身しなかったものの、注射器ミサイルが頬をかすめたせいで、中途半端に手だけが猫の手に変身したはずである。その院長に何ができたというのだろう。美根子には何がどうなったのか、まったく想像できなかった。「ええ、院長先生ったらすごかったですよ。猫の手ナースになっちゃった他の先生や看護婦は、気は焦っても猫の手ですからまともな治療行為が出来なかったんですけど、院長先生は猫の手になっていたにも関わらず完璧に的確な処置をすることが出来たんですから。やっぱり普段から言うだけはありますね。まさに神技でしたよ」 いかに院長のメスさばきがすごかったかとか、遠子の話はまだまだ続いたのであるが、美根子はもうその中身は聞いてはいなかった。美根子はその時、心地よいまでの敗北感を覚えていたのである。(猫の手で失敗ばかりしても、一生懸命努力していればそれで良いじゃないと思っていたけれど、私、勘違いしていたのね。どんなに一生懸命努力しても、結果が悪かったらダメなんだわ。患者さんの大事な命を預かる仕事なんだもの……) 美根子は、今までの院長の冷たい仕打ちや言葉が、深くそして厳しい愛情に裏打ちされていたことを知ったのだった。「どうやら、彼女が結晶化することは2度となさそうね」 中津木総合病院の屋上では、奈里佳が美根子の様子を遠隔視しながら満足そうにつぶやいた。(ええ、私もそう思うわ。とりあえず今回の作戦は無事終了ってところよね。……まわりに与えた被害も大きかったみたいだけど) 奈里佳2号の言う通り、病院の屋上から眺めた街の風景は、あちこちで煙が上がってたり、崩れた建物があったりと、奈里佳たちとフューチャー美夏のバトルに巻きこまれた跡がありありと見てとれる。まったく、これで1人も死人が出なかったというのだから奇跡である。「じゃ、そろそろ帰りましょうか。奈里佳ちゃんの魔力もあとそう長くはもたないでしょうから、今の内に家まで瞬間移動しておくと楽ですよ」 デジカメを入れてあるカバンを引きずりながら、クルルが奈里佳の側にやってきた。「そうね、じゃあそうしますか♪」 その言葉とともに奈里佳とクルルは自宅の自分の部屋へと瞬間移動した。わずかに揺らめく空気だけが、ついさっきまでそこに奈里佳達が居た唯一の証拠だった。 ・ ・ ・ ・ ・「うう、やっぱりいいなあ♪ 立っておしっこをするのは♪」 魔力を使いきり本来の完全な男の子の姿に戻った克哉は、数日ぶりの立ち小便に感激していた。おチンチンの先端から放物線を描くように伸びて行く黄色い液体を見ながら、男であることの喜びを思いっきりかみしめる克哉だった。(……そうかしらね? 私はやっぱりちゃんと座ってしたほうが落ち着いて良いと思うけどな) 突然、頭の中に奈里佳2号の声が響いたかと思うと、きれいな放物線を描いていた液体はその姿を消し、克哉がはいているズボンと下着の中に放出され、足を伝ってトイレの床を濡らすのだった。「あわわ、わわッ! え、ええ~ッ!?」 驚き慌てる克哉。なんとまたしても克哉はアソコだけが女の子になってしまったのだ。しかも放尿している途中で。もうムチャクチャである。(女の子なら、ちゃんと座ってしなくっちゃね♪ もう克哉ちゃんったら学習能力がないんだから♪) 克哉を非難するセリフの内容と、楽しみまくっている声の調子がまったく合ってない奈里佳2号であった。完全に克哉をおもちゃにして遊んでいるのがまるわかりだ。「ああああ、もうこんな生活いや~~~ッ!!」 状況を完全に理解した克哉の叫び声が、トイレの中でこだまする。がんばれ克哉、負けるな克哉ッ! 君の苦難はまだまだ始まったばかりだぞッと♪ 魔法少女♪奈里佳 第3話 おわり
May 27, 2005
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「み、みんなッ! 早く顔を洗うにゃッ! 顔を洗って目を覚ますにゃッ!!」 もちろん特に驚いたのは、おにゃんこナースである。おにゃんこナースは自らも慌てて顔を洗いながら、まわりの猫耳ナースッ娘たちにそう言うのだった。「無駄よッ! 数だけそろっていてもあなた達なんか私の敵じゃないわッ!!」 猫耳ナースッ娘達が一斉に顔を洗い出す姿を見ても、フューチャー美夏はまったく動じない。また物質波レーザーでマタタビを出せば良いと思っているらしく、余裕たっぷりだ。「急ぐにゃッ! みんな早く顔を洗うんだにゃッ!!」 おにゃんこナース自身も左右の猫手を舌でなめて湿らすと、こぶしを軽くにぎったままのその手を顔にこすりつけて、猫式の洗顔をする。もちろんまわりの猫耳ナースッ娘たちもそのような方法で顔を洗っている。ゴロゴロゴロゴロゴロ…… するとどうしたことか一転にわかにかき曇り、空はどんよりとした黒雲に覆われた。すぐさまポツポツと雨が降り出し、なおかつゴロゴロと雷が鳴る音が低く響く。「なんだか強い魔力が解放されているけど……」 奈里佳は空を見上げてつぶやく。(そうね、これはおにゃんこナース達の仕業ね。といっても意識的にやってるわけじゃなさそうだけど) 奈里佳2号も魔力が解放されている様子を感じて、奈里佳の感覚を肯定する。「そうかッ! 昔から、『猫が顔を洗うと雨が降る』って言うけどッ!!」 今起きている事態を完全に理解した奈里佳は、驚きの声を上げた。(そのとおりッ! ごく普通の猫が顔を洗っても雨が降るのに、魔力を持った猫耳ナース達がいっせいに顔を洗えば……)「……雨が降るどころか、雷が落ちるぐらいは必然ッ! なるほど、これはチャンスだわッ!!」 そこまで言うと奈里佳は、棚が破壊されて商品が散乱するアパレルショップの店内から勢い良く飛びだすと、目の前のフューチャー美夏に対して見得を切るのだった。「覚悟しなさいッ! フューチャー美夏ッ!! 全ての人々が持っている自由な未来を否定して、たったひとつの未来と歴史しか認めないだなんて許せないッ!」 右手をまっすぐに伸ばし人差し指でフューチャー美夏を指さす奈里佳。「時間犯罪者が何を言うッ! 歴史をお前なんかの勝手にさせるものかッ!!」 対するフューチャー美夏も奈里佳に向かって叫ぶ。そのフューチャー美夏に向かって、先ほど分離したビームガンとビームサーベルが飛んで来て、ナノマシンスーツに一体化する。フューチャー美夏も退く気はまったくない。「おにゃんこナースッ! こっちに来て私の手をにぎってッ!!」 目はフューチャー美夏を見据えたまま、奈里佳が叫ぶ。「は、はいにゃッ!」 転びそうな勢いでおにゃんこナースは駆けて来ると、奈里佳の左手をしっかりとにぎった。「魔法少女の底力を見せてあげる♪ 天空に満ちる雷の気よ。私の願いに従い、降り来たれッ!」 猫耳ナースッ娘たちの魔力が、おにゃんこナースを通じて奈里佳に流れる。奈里佳はその膨大な魔力を利用して、雷雲に蓄積された電気エネルギーを雷の形で誘導し、一点に向かって落雷させようとしていたのだ。……フューチャー美夏に向かって。「無駄だと言ってるでしょッ!」 量子反応からみて、上空の雷雲は奈里佳が発生させているとフューチャー美夏は看破した。そしてそのままビームガンを最大出力で雷雲に向かって発射する。ビームの収束率を低めに設定してあるのか、発射されたビームは広く拡散しつつ雷雲に伸びて行く。どうやら雷雲そのものを蒸発させようという考えらしい。「遅いッ!! マジカルサンダーーーッ!!!」 ビームが雷雲を吹き飛ばす寸前、奈里佳の気合とともに雷雲から稲妻が伸びた。 おにゃんこナースと猫耳ナースッ娘たち全員の魔力によって作られた雷雲に存在した膨大な電気エネルギーが奈里佳の魔法により制御され、見事にフューチャー美夏を直撃したのだった。バァ―ーーンッ!! 奈里佳が自身の魔法により発生させた先ほどの電撃など、比較にならない。生身の身体であれば確実に死に到る落雷を受け、フューチャー美夏のナノマシンスーツは全ての能力を電気エネルギーに対する防御に回すのだった。 システムに異常をきたしながらも何とか最後の力をふり絞り、【フューチャー美夏 = 夏美】の生命を守るユニ君。フューチャー美夏のナノマシンスーツは、しばらくめまぐるしく虹色に発光したかと思うと、ふっとその光を消した。そのままフューチャー美夏は声を出す間もなく気絶し、力なく地面に倒れたのだった。「勝った……。ふふふ、ほほほ、おーっ、ほっ、ほっ、ほっ!」 勝利の高笑いをする奈里佳。世界を結晶化と崩壊の危機から救う正義の魔法少女のはずなのに、その姿は悪の魔法少女にしか見えなかったのは気のせいではない。
May 26, 2005
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「うう、まさか……。あれだけの電撃をくらっても平気なの?」 全身に強い痛みを感じながら、奈里佳はよろよろと立ちあがった。幸いにも巻き添えを食って怪我をしたような人はいないようだが、アパレルショップの店内はめちゃくちゃになっている。「残念だったわね、奈里佳。あの程度の攻撃では私を倒すことなんかできないわ。さあ、分かったならおとなしく私に逮捕されなさいッ! これに従わないなら命の保障は出来ないわよ」 ナノマシンスーツの冷却レーザーシステムが全力運転をしているのだろう。フューチャー美夏はまばゆいばかりの光に包まれながら、奈里佳が倒れている場所に向かってゆっくりと歩きはじめた。(まずいわね。今の電撃はまったくの手加減抜きのフルパワーだったのよ。これが効かないんじゃ手の打ちようがないわ。で、奈里佳1号としてはどうするつもりなの?) この世界を含む全てのパラレルワールド全体で構成されるという時空球を、結晶化と崩壊の危機から救うという自分の使命の重さを思い出すと、ここで負けるつもりはさらさらない。しかしではどうすれば良いのかという具体策を何も思いつかない奈里佳2号だった。(……おにゃんこナースと、猫耳ナースッ娘たちを起こす。力を合わせれば何とかなるかもしれない) どこか悲痛な響きを感じさせる奈里佳の返事だが、妙に芝居がかっているのがおかしい。(もしもそれでダメだったら?) 一方の奈里佳2号の声は意外なほど明るい。これまた妙だ。(逃げるッ!) 即答する奈里佳。精神的なガッツポーズを取っているかのようだ。いいのかね、それで?(ま、当然よね。別に私達の使命ってフューチャー美夏を倒すことじゃないし♪) そうなのだ。くりかえすが、未来の魔法世界ネビルからやってきたクルルによって与えられた奈里佳の使命は、この世界の結晶化を防いで、ひいては全てのパラレルワールドで構成された時空球を崩壊の危機から救うというものなのである。 さまざまなパラレルワールドの結晶化と崩壊の原因を作っている未来世界ディルムンからやってきたと思われるフューチャー美夏を排除すること自体に、実はそれほどの意味はないのだ。(ま、逃げるのは最後の手段ということで、まずはおにゃんこナースたちを起こしてみましょう。逃げるにしてもやれることは全てやってからにしたいわ) こういう律儀なところが、どこか克哉な奈里佳だった。(じゃ、とりあえず私がマタタビを消すから、目覚まし時計係をお願いね。どうせなら私も負けて逃げるだなんてことはしたくないし) 奈里佳2号も、思いは同じらしい。というか同一人物(?)なんだから思いが同じで当たり前なのか。ともかくその瞬間、おにゃんこナースと猫耳ナースッ娘たちの周辺からマタタビが全て消滅した。奈里佳2号が召喚魔法の応用で、マタタビをどこか遠くに転送したのだ。……いったいどこに転送したのかは知らないが。 そして次の瞬間、奈里佳は普通の人間にはどうがんばっても無理な大音量の声を張り上げたのだった。「いつまでもマタタビに酔ってないで、起きなさぁーーーいッ! ナースコールが鳴ってるわよぉーーーッ!!」 同時にどこからともなく鳴り響くブザー音。その音を聞いた猫耳ナースッ娘たちは、さすがに猫耳とはいえナース属性を持つ存在である。おにゃんこナースをはじめとして、まわり中の猫耳ナースッ娘たちが寝ぼけまなこをこすりながらもぞもぞごそごそと起きだしたのだった。「頭がぼーっとするにゃ。まだ眠いにゃ」「でも、どこかでナースコールが鳴ってるにゃ。患者さんが呼んでるんだにゃ」「っていうか、これだけ猫耳ナースッ娘がいれば、私ひとりくらいまだ寝てても大丈夫かもしれにゃいにゃ? うん、きっと大丈夫だにゃ♪」「そうにゃ、そうにゃ♪ また寝するにゃ。ふにゃ~」 起き出したと思ったら、すぐにまた寝ようとする猫耳ナースッ娘たちを見て、奈里佳もさすがに頭を抱えてしまった。「寝るんじゃないッ! さっさと起きるッ! ほら、おにゃんこナースもみんなも早く顔を洗って目を覚ましなさいッ!」 奈里佳の気迫のこもった怒声を受けて、猫耳ナースッ娘たちは毛を逆立てて驚いた。
May 24, 2005
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(注意しろッ! 量子反応レベル急速に増大ッ! 奈里佳は何かをしかけるつもりだッ!!」 慌ててフューチャー美夏に警告を発するユニ君。(了解ッ!!) そしてあわてて奈里佳から離れるフューチャー美夏だったが、結果的にはそれがあだとなった。むしろ奈里佳に密着すべきだったのだ。 後飛びに奈里佳から離れるフューチャー美夏を追って、無数の小さな光のボールが移動する。良く見るとそのボールは小さくパチパチと放電していることからして、球状の雷、球雷とでも呼ぶべきものであることがわかる。 その球雷が逃げ場をふさぐように自分のまわりを取り囲んだ時、フューチャー美夏は自分が罠に落ちたことを理解した。(ユニ君、あの光るボールを出来る限り打ち落としてッ! 早くッ!!) 声無き叫び声をあげるフューチャー美夏。その叫びに呼応して、フューチャー美夏を取り囲んだ球雷を外部から打ち落とすユニ君。空中を移動しながらビームガンが吠え、ビームサーベルが球雷の群れに切りかかっていく。 ビームガンに撃たれ、あるいはビームサーベルに切り裂かれた球雷は、その場でバチッという音を立てて放電する。ひとつひとつの球雷の威力は強くない。むしろナノマシンスーツの防御力を考えたら微弱と言っても良い。しかしとにもかくにも数が多すぎた。「ユニ君どうなのッ? これが全部一度にぶつかってこられても耐えられるのッ!?」 足元を除いて、視界の全てが球雷に覆われている中、とうとうフューチャー美夏は頭の中ではなく、実際に叫ぶのだった。「ううう、私だけが痛いなんて不公平過ぎる」 フューチャー美夏を何重にも取り囲み、その姿を覆い尽くしている球雷の群れを見ながら、奈里佳がゆっくりと立ちあがる。(じゃあ、私に身体の主導権を渡してくれる? それだったらその身体の痛みも引き受けてあげるわよ) 奈里佳2号が冗談っぽく提案する。その口調からは、その提案が受け入れられることは無いと思っていることがうかがえる。ようするに奈里佳をからかって遊んでいる口調だ。「痛みだけを引きうけて欲しいんだけど……。まあいいわ。そんなことより急がないとね、早くしないとあそこでがんばっているビームガンとビームサーベル? あれに球雷の全てを消されちゃわないとも限らないし」 返事を期待した発言ではなかったのか、奈里佳はそのまま精神を集中させると自らの身体から電気を発生させた。身体の中に収まりきらない電気が奈里佳の身体の表面をパリパリと走る。やがて限界に達したそのパワーは奈里佳の左右の手のひらに集まり、そこから勢いよくほとばしった。「雷撃陣ッ!!」キュドーーーーンッ!! バリバリバリバリ…… ズドドドドドド…… 左右の両手のひらからそれぞれ放たれた雷撃は、絡み合い螺旋を描くように伸びて行き、奈里佳2号が作った球雷で作られた檻を直撃する。それにより開放された球雷のエネルギーは中心部に閉じ込められていたフューチャー美夏を襲っている、……はずだ。電撃が炸裂している中心部はいまだに激しい放電が続き、内部の状態がどうなっているのかをうかがい知ることができないのだ。「どうやら終わったみたいね」 疲れ切った顔ながらもやることをやった満足感に溢れた様子で奈里佳がつぶやく。(当たり前じゃない。私が手助けしたのよ。この攻撃が決まらないはずはないじゃない♪) 一方の奈里佳2号は疲れを感じていないからか、浮き浮きと完全にお楽しみモードである。「あとは、おにゃんこナースと猫耳ナースッ娘軍団を起こして、結晶化の解除のために適当にあれこれすれば終わりね」 このような状況でもまだマタタビに酔ってにゃごにゃごしている猫耳少女達に呆れつつ、奈里佳はおにゃんこナースのもとへと歩き出したのであるが……。「ハアアアッ! トオッ!!」 放電が続く球雷の群れの中からフューチャー美夏が勢いよく飛び出してきて、奈里佳に激しい蹴りを入れたのだった。「キャーーーッ!」 蹴り飛ばされた奈里佳は、そのまま街路樹にぶつかると幹ごとそれを折り、ビルの1階に入っているショーウィンドウのガラスを割ってアパレルショップの中へと飛び込んでいった。
May 21, 2005
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「パワーでならは負けないわ。観念するのね。時間犯罪者奈里佳ッ!!」 ナノマシンスーツの倍力機構の能力に若干の余裕を残しつつ、フューチャー美夏は正面から奈里佳と両手で組み合っている。「……パワーだけが勝敗を左右すると考えてるだなんて、お気楽な頭をしているのね」 対する奈里佳は、一見するとフューチャー美夏と互角の闘いをしているように見える。しかしパワーでは完全に負けている。なんとか魔法による補助を得て体勢を維持してはいるが、それも限界に近い。なにせフューチャー美夏が着ているナノマシンスーツが魔法を妨害しているので、接近格闘戦では思うようにパワーを上乗せすることができないのだ。「負け惜しみを……。ハッ!」 ギリギリと組み合ったままの体勢から、フュチャー美夏は右足を上げて奈里佳の腹部をまったくの遠慮も無しに蹴り飛ばした。「ぐはッ!」 血の混じった胃液を逆流させながら、奈里佳はよろめいたかのように後方へと1歩下がる。その間にもフューチャー美夏の位置は変わらず手も組み合ったままなので、必然的に奈里佳の上半身は前かがみの状態になる。しかしそのままくず折れてしまうのかと思いきや、組み合ったままの手にグイっと力を入れ、なおかつ前に曲げた腰を後ろにそらすようにして、フュチャー美夏を物理的にはありえないような力で引っ張り、後方へと投げ飛ばしたのだった。「ふんッ!!」 しばし息を整える為か、フューチャー美夏を投げ飛ばしたあともそのままの姿勢をとる奈里佳。 一方、投げ飛ばされ空中を舞うフューチャー美夏は、そのままビルに激突するかに見えたが、華麗な身のこなしを空中で見せると、ビルの壁面を力強く蹴ってそのまま奈里佳のいる場所めがけて戻ってきた。 単なる重力任せではなく、重力制御システムも使ったすさまじい勢いを伴ったフューチャー美夏が繰り出すドロップキック。フューチャー美夏の両足のかかとが地面に触れるや否や、それまで奈里佳が立っていた場所に大きな穴が空く。 更に、もうもうと舞う砂埃が消える間もなく、かろうじて身をかわした奈里佳に対してユニ君が操作するビームガンと空中を飛びながら襲い来るビームサーベルによる攻撃が連続する。もちろんその程度の攻撃では奈里佳が張る結界が破れることはない。しかし、ほんのわずかの隙を作るには十分だった。 空飛ぶビームサーベルの攻撃をよけて身体をねじったその体勢の顔の位置に、ピンポイントでビームガンによる攻撃を受けた奈里佳は、思わず目を閉じてしまったのだ。 その隙に自分が穿った穴の中からコマが回転するかのような動きで出てくるフューチャー美夏。よくもまあそんなにも回転が出来るものだと感心してしまうほどの高速でくるくると回りながら奈里佳のもとまでやってくると、その回転による遠心力をめいっぱい乗せたキックを奈里佳のボディへと炸裂させる。 とうとうたまらず地面に倒れる奈里佳。表面だけを見ているとフューチャー美夏の圧勝に見える。(はあ、はあ、はあ……。さ、さすがに奈里佳もダウンしたみたいね) ゆっくりと回転を落として静止すると、地面にうつぶせになっている奈里佳を見下ろすフューチャー美夏。息があがっているところをみると、近接格闘戦はフューチャー美夏にとっても決して楽な闘い方ではないようだ。(油断するなよ。生命反応は弱っているが、脳波はむしろ活動的になっている。何かしかける為に考えを巡らせているかもしれない。奈里佳はまだ自分の負けを認めていない。いやむしろ勝つ気でいるようだ) どのようなからくりがそのようなことを知らしめているのか分からないが、ユニ君は奈里佳の状態を正確に分析した。(いまさら何を考えたって無駄よ。それよりも奈里佳を捕らえるんでしょ? さあ、どうすれば良いの?) バトルによるアドレナリンの分泌が限界を超えたのか、ユニ君による精神操作も既に不調が出始めているようだ。フューチャー美夏の態度と口調がそれとはなく威圧的になってきていることからもそれがうかがえる。(そうだな。とりあえず奈里佳の正体を知るために、その顔を拝んでデータを取ってみるとするか) ユニ君のその言葉を受けてフューチャー美夏は、地面に倒れた奈里佳の顔をみようとその手を奈里佳の髪の毛を掴む為に近づけた。 しかし奈里佳の髪の毛にフューチャー美夏の手が触れようとしたとき、そこから小さな光のボールが飛び出したのだった。
May 19, 2005
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「痛たたた……。前のバトルの時以上のパワーの電撃だったはずなのにそれが効かないだなんて。なるほど、ちょっとは出来るようになったみたいね」 とっさに体表面を結界で覆ったものの、さすがにフルパワーで繰り出されたフューチャー美夏のパンチによるダメージは隠せない。奈里佳は口からわずかに血を流しながらよろめきつつ立ちあがる。「素直に負けを認めたらどう? 少なくともパワーでは私に勝てないわよ」 ナノマシンスーツの倍力機構を限界まで酷使した攻撃ではあったが、確かにパワーでは奈里佳よりもフューチャー美夏のほうが遥かに上であった。 不敵に笑うフューチャー美夏に対して、闘志を燃やして舌なめずりする奈里佳。口の端から流れる赤い血の筋を、それに負けず劣らず赤い舌がゆっくりとなめる。(ユニ君、システムの状態はどう? まだやれる?) 余裕たっぷりの表情で奈里佳を無言のままにらみつけるフューチャー美夏だったが、頭の中ではけっこう焦っていた。先ほどの電撃を防御したこととパワーをふり絞った為に、システムが過負荷状態になりかけていたのだ。具体的にはナノマシンスーツから発生する熱量が冷却レーザーシステムの能力を越え、システムが通常の状態なら感じるはずがない暑さを感じはじめていたのだ。(大丈夫だ。前回の経験から、対電撃防御用の絶縁処理がほどこしてあるのに加えてフィールドバリアによる防御もあるので、今の電撃の数倍程度までならなんとか耐えられる。そのかわり電撃を防御した直後に今のようなフルパワー攻撃をしかけると、システムが過負荷状態になるかもしれないので注意してくれ) フューチャー美夏の視界にナノマシンスーツの稼動状態を知らせるモニター画面が浮かび上がる。見たところ自己修復機能による修理が開始されている個所もあるようだが、致命的なダメージはなさそうだ。(了解、とりあえずパワーとスピードの接近戦に持ちこむわよ。その間にもさっき分離したビームガンに続いてビームサーベルも分離。そっちのコントロールは任せるから援護をお願いね) すぐさまフューチャー美夏の左手からビームサーベルが飛びだしていく。空飛ぶビームガンとビームサーベルによる援護を受けつつ、接近格闘戦をしかける覚悟らしい。(物質波レーザーはどうする?) フューチャー美夏が装備する最強の武器をどう使うのかと尋ねるユニ君。(とりあえず有効な使用方法を思いつかないから、物質波レーザーに使うエネルギーとナノマシンをすべてスーツの倍力機構に回して。……行くわよッ!!) 声に出さないおたけびを上げて、フューチャー美夏は奈里佳に突進するのだった。 一方その間に、奈里佳も脳内会議を開いていた。(あの電撃を防御されちゃったらどうしようもないわね。特に私ひとりだけじゃね♪) 弱音を吐いているようで、その口調には困惑した様子はまったくない。むしろ楽しんでいるようだ。(まあ、私が手助けするなら何とかなるかもね。少なくとも魔法による攻撃力は単純に考えても2倍。上手く相乗させれば更に何倍にも効果は上がるはずよ。理論的にはね……) 舌なめずりするような奈里佳2号の声が応える。(じゃあ、私がフューチャー美夏に接近戦をしかけるから、あなたはフルパワーで電撃をしかけられるように準備しておいてね。それでいい?) レザースーツについた埃を払いつつ、完全に立ち上がる奈里佳。パワーをためているのか金色の髪の毛がわずかに逆立ち、そのボリュームを増している。(このお礼は高いわよ) こちらも戦闘準備完了という雰囲気全開の奈里佳2号。(上等ッ! レディ、Go!!) こうして奈里佳もまたフューチャー美夏に対してまっしぐらに突進した。ドーーーンッ!! 魔法のパワーを身体中に込めた奈里佳と、ナノマシンスーツの倍力機構と重力制御システムのパワーを全開にしたフューチャー美夏が接触した瞬間、あまりにも大きなパワーがぶつかりあったその場を中心に衝撃波が発生する。ちょっとした突風が吹いたかのようにゴミが舞い、街路樹の枝が震える。
May 17, 2005
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「じゃ~んッ! というわけでブラックおにゃんこナースの正体は私なのでした~ッ!! ……ていうか本当に気がつかなかったの? もしかしてあんたバカ?」 フューチャー美夏の神経をさかなでするかのような口調の奈里佳。右手を軽く口に当て、吹き出しそうになっているのを抑えている。 「誰がバカよッ! あんたこそ恥ずかしくないの。な~にが、『ブラックおにゃんこナース』よ。あんたこそバカまるだしじゃないッ!!」 痛いところを突かれて逆ギレしたフューチャー美夏は、そう言うと同時にビームガンを連射しながら地面の上を滑るような勢いで突っ込んできた。しかし正確な射撃のビームは奈里佳に命中するものの、全て結界に阻まれ、あるいは受け流されてしまっている。「そんな攻撃なんか効かないもんねぇ~♪ へへん、悔しかったらここまでおいでぇ~」 ビーム攻撃を完全に防御しつつ、急速に迫ってくるフューチャー美夏をバカにしつづける奈里佳。「その余裕がいつまで続くかしらねッ!」 あっという間に十数メートルの距離にまで近づくフューチャー美夏。するとナノマシンスーツの右手の甲の部分に一体化していたビームガンが分離独立し、奈里佳を挟んでフューチャー美夏とは反対側へと勢いよく飛んで行く。「えッ!?」 ほんのわずかな隙が出来たその一瞬、既にフューチャー美夏は奈里佳に対して手が届く距離にまで肉薄していた。すさまじいまでのスピードなのであろうか? 奈里佳はその場を1歩も動けない。「くらえッ!」 気合のこもった声とともに左手によって振り降ろされるビームサーベル。同時に奈里佳の背後にまわっていたビームガンが火を吹く。前面からはビームサーベル。後背からはビームガンの挟み撃ちだ。「このくらいの攻撃、何でもないわッ!」 微動だにせず、身体のまわりに張った結界のみで前後からの攻撃をはね返す奈里佳。しかしフューチャー美夏、正確には彼女が着ているナノマシンスーツが接近したことにより、若干とはいえ奈里佳の魔法にも影響が出ているのだろうか? ビームによる攻撃を受けている結界の部分がなにやら不規則な発光をしている。「そうかもね。では、これならどう?」 顔の上半分を覆うヘルメットの下でにやりと笑うと、フューチャー美夏は空いてるほうの右手で奈里佳のみぞおちにアッパーを打ち込む。スーツの倍力機構により何倍にも強化されたフューチャー美夏のこぶしがそのままねじり込まれると、奈里佳は上半身を折るようにして前にかがみ込んだ。「ぐ、かはっ……」 声にならない空気が漏れる。「ふふ、勝負あったわね」 勝利を確信するフューチャー美夏。しかしそれは一瞬の勝利だった。「……電撃」 ぼそりとつぶやくような奈里佳の声が聞こえると同時に、フューチャー美夏の身体には大電流が流れたのだった。ちゅどーーーーんッ!! 地上0メートルで発生する雷があったとしたら、これではないのかと思える状況が発生する。奈里佳とフューチャー美夏を中心としてわずか半径1.5メートル程度の範囲に限定された落雷。その衝撃によりフューチャー美夏は動きを止める。「どうやら勝利の女神は私のほうに微笑んだようね。直接電撃を叩き込む為にわざとあなたの直接攻撃を受けたのよ。あなたが電撃に弱いというのは前回のバトルで分かっていたしね。ま、未来技術のナノマシンスーツといえどしょせんは機械。電撃には弱いのは当然よね~。というわけで奈里佳の勝っちぃ~~~ッ♪」 直前にフューチャー美夏の強烈なアッパーをくらった様子など少しも感じさせることなく右手を高くあげて勝利のポーズをとる奈里佳。どうやら、フューチャー美夏の直接攻撃をわざと受けたというのは嘘ではないらしい。「弱い、弱いわねえ、フューチャー美夏。じゃ、今後もせいぜい精進することね」 くずおれて動かないフューチャー美夏を見下ろしてそう言うと奈里佳はくるりと背を向けて、まだにゃごにゃごとしているおにゃんこナースの元へと歩き出したのだが……。「はぁーーーーッ! ふんッ!!」 背後から迫る猛烈な気合いにふと振り返った奈里佳は、次の瞬間、顔面への強烈なパンチを受けたのだった。吹き飛ばされる奈里佳。道路には奈里佳の身体が削った溝が出来、衝突したビルの壁には大きな穴が穿たれる。「はあ、はあ……。私があなたの電撃に対して何の対処もしていなかったとでも思ったの? 甘い、甘いわよ、奈里佳ッ!!」 ビルの壁を破壊した際のがれきの中から立ち上がろうとする奈里佳に対して、フューチャー美夏が叫ぶ。そのナノマシンスーツは内部で発生した膨大な熱を処理する為に冷却レーザーシステムが全力で稼働しているのか、白く輝いている。腰のまわりには白く輝く実体の無い光のスカートがゆらめき、頭にかぶったヘルメットさえ無ければまるでバレリーナのような姿である。
May 15, 2005
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(ともかく先ほどの攻撃の中心にいた白黒2人の猫耳少女のところに戻ってみよう。あの2人を問い詰めれば、奈里佳の居場所が分かるかもしれない) そのままユニ君はフューチャー美夏の返事を待たずに重力制御システムを作動させると空を飛び、そうとは知らずに奈里佳の元へ向かうのだった。「了解。奈里佳のほうからしかけてくるかと思っていたけど、こないとあっちゃ、とりあえずそれしかなさそうね」 流れる景色を見ながら、フューチャー美夏も同意する。そしてその同意を受けてユニ君は自分を構成するナノマシンの一部を移動させ再構成し、フューチャー美夏の右手にビームガン、左手にビームサーベルを出現させた。(攻撃準備完了) ユニ君がそう報告した瞬間、前方の地面に倒れてにゃごにゃごと幸せそうにのたくっているおにゃんこナースと、すっくと直立してこちらを見ている猫耳ナースッ娘モードの奈里佳が現れた。この2人の猫耳少女は背中に羽が生えているので、他の猫耳少女と区別するのは簡単だ。「おにゃんこナースと猫耳ナースッ娘軍団をすべて戦闘不能状態にするだなんて、さすがね。フュチャー美夏ッ!」 左手を腰に当て、右手をまっすぐフューチャー美夏に向けて指を指す奈里佳。ものすごく偉そうな態度である。「まさかマタタビが効かない猫耳少女がいるとは思わなかったわ。雑魚のくせに……。答えなさいッ! 奈里佳はどこッ!? 隠れていないで出てくるように言いなさいッ!!」 奈里佳の正面に着地すると、こちらもまた十二分に偉そうな態度で詰問をするフューチャー美夏。手にしているビームサーベルの柄からは光りの剣が伸びており、有無を言わせぬ雰囲気を現している。「はぁ? なに言ってるの。私が奈里佳に決まってるじゃないの。あんたバカ?」 まさかフューチャー美夏ともあろう者が、自分のことを奈里佳だと分かっていないとは想像もしていないので、奈里佳はからかわれたとでも思ったようである。「嘘を言わないでッ! どう見てもあなたの姿は奈里佳には見えないじゃないの」 ビームサーベルんに続き、ビームガンも奈里佳に向けて構えるフューチャー美夏。その構えはいつでも遠慮なく発射する構えだ。ユニ君による精神操作の影響からか、交戦的になっているようだ。「本当に分からないの? じゃあ、大サービスよ♪」 奈里佳としては、バトルをする上で特に猫耳ナースッ娘モードでいる必然性を感じていない。単純に変身した時の姿をデジカメで撮影しておくという約束を父親としていたから、猫耳ナースッ娘に変身していただけなのだ。というわで奈里佳はその姿を本来(?)の姿へと戻すのだった。 まずは胸と腰を覆う黒く輝く毛並みの良い猫毛皮から毛が引っ込むと、それはいつも通りの黒いレザースーツへと変貌した。次にスカートからのぞく猫尻尾がしゅるしゅると短くなると見えなくなってしまった。同じく背中の黒い翼も霧に消えるように薄れて空中に消えてしまうと同時に、着ぐるみの手袋をはめたような猫手と、同じく猫足も消えていく。「ま、まさか、あなた本当に奈里佳なのッ!?」 攻撃するのも忘れて、わなわなと叫ぶフューチャー美夏。黒い猫耳ナースッ娘の正体が奈里佳だということに気づかなかったことが、相当ショックらしい。(そう言えば前回の闘いの時も、奈里佳は人魚の姿に変身していたな。奈里佳がいつも同じ姿であらわれるとは限らないということか) 一方、ユニ君は新たな事実を、文字通り機械的に受け入れたようだ。(もう、そういうことは早く言ってよね。奈里佳相手に恥をかいちゃったじゃないッ!」 頭の中でユニ君に対して文句をいうフューチャー美夏。やつ当たりである。 そうこうしている間にも、奈里佳の頭からとびだしていた猫耳も小さくなり髪の毛の間に隠れてしまった。もはや先ほどまでの猫耳ナースッ娘だった面影は微塵も無い。
May 12, 2005
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「なんか、降ってくるにゃッ!!」 フューチャー美夏が発生させた衝撃波により建物のガラスが割れたり、ゴミが散乱しているなか、何が降ってくるのかが分からないうちから大慌てのおにゃんこナース。さすがに元が元だけのことはある。「おちついて。特に害があるものでもなさそうよ」 パラパラと落ちてくる何かの植物を乾燥させたようなものを拾ってしげしげと見つめる奈里佳。なんの変哲も無いその物体が、何の攻撃になるのだろうと、頭の中が疑問符でいっぱいになる。しかしその疑問は、すぐさま解消されることになった。「うにゃ~ん♪ いい気持ちだにゃ~ん。にゃごろ~ん」「き、きもちいいにゃ……。いっちゃいそうだにゃ……」「うにゃ、うにゃ、うにゃ、うにゃ、うにゃにゃにゃにゃ~ん」「あはははっ♪ ピンクの象さんが踊ってるにゃ~」 見るとおにゃんこナースをはじめ見渡す限りの猫耳ナースっ娘達が、あちこちでうにゃうにゃごろごろと唸り、踊るような歩きでのたくたしている。「これはもしかしてマタタビ!?」 手にしたものをもう一度しげしげと見なおす奈里佳。とはいっても今までにマタタビを見たことが無いので、見なおしてもあまり意味は無いのであるが。(もしかしなくてもマタタビのようね。しかしいくら猫耳少女だからって、マタタビに反応しちゃう?) 緊張感を漂わせながらも、ちょっとあきれた様子の奈里佳2号。(マタタビって何ですか?) そこにクルルからの会話が割り込んでくる。「マタタビっていうのは猫にあげると酔ったようになっちゃう、猫にとっての【クスリ】のようなものよ」 ちょっとばかりぼかして説明をする奈里佳。そうしている間にも、まわりに降ってくるマタタビの量はさらに増え、猫耳ナースッ娘達の酔いはさらにその度合いを深めていく。(ま、いわゆる【クスリ】ってやつよね。習慣性はないみたいだけど) 奈里佳2号も適当に答える。(なるほど。それにしてもフューチャー美夏も良い攻撃をしてきますね。まさか猫耳ナースッ娘達にこんな弱点があっただなんて知りませんでしたよ) 感心しきりのクルル。そう言えば猫のぬいぐるみのような姿をしているクルルにマタタビは効くのだろうか?「ま、でもなんとかなるでしょ♪ 単独で戦っても実力は私の方がフューチャー美夏よりも上だし」 前回のバトルにおける勝利の記憶からか、自信満々で胸を張る奈里佳。突きだす胸がこぼれそうだ。奈里佳はにゃんにゃんと幸せそうにのたうち回るおにゃんこナース以下の猫耳少女達の真ん中で鼻を鳴らすのだった。「こんなにも効果てきめんだなんて、予想以上ね♪」 その頃、フューチャー美夏は飛びこんだペットショップの前で、お得意の物質波レーザーを構えて喜んでいた。ちなみにペットショップではマタタビのサンプルを手に入れたのだが、当然にお金は払っていない。なぜなら正義を実現する為には犠牲(?)がつきものだからだ。(ともかくこれで猫耳少女達の集団攻撃は封じることが出来たわけだ。あとはどこかにいる奈里佳を見つけ出すだけだな) そう答えるユニ君だったが、まさかユニ君まで黒い猫耳ナースッ娘が奈里佳の変身した姿だということに気がついてなかったのか……。2人そろって間抜けなやつである。「そうよ。まったく奈里佳はどこにいるのかしら?」 ナノマシンスーツの左肩から連続して存在している物質波レーザー装置を元に戻しながら、フューチャー美夏は空を見上げる。 ちなみにスーツは先ほどまでの緑色ではなく、黄色に光っていた。空に向けて同心円状に物質波レーザーを照射してマタタビを広範囲に物質化させた為、フューチャー美夏のナノマシンスーツが装備している冷却レーザーシステムが出力を上げている証拠である。
May 10, 2005
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(複製したい物質のデータもしくはサンプルさえ有れば、どんなものでも複製出来るが、何をどうしようというのかね?) 代案が何も無い状態なので、ユニ君としてもフューチャー美夏のアイディアに乗ってみる気になったようだ。「じゃあ、私に策があるわ。この攻撃から脱出したら、私の指示するところまで飛んでちょうだい」 そこまで言うとフューチャー美夏は後のことは言葉には出さず、イメージだけでユニ君に自分の考えを示すのだった。(そのような手がうまくいくとも思えないが、うまくいったときの効果は絶大だな。なるほど、賭けてみるだけのものはありそうだ。) そしてフューチャー美夏とユニ君の打ち合わせが全て終わったとき、おにゃんこナース達の攻撃は最終段階を迎えていた。フューチャー美夏の身体はそれまでのランダムな揺さぶりによるもみくちゃ状態から、振動はあるもののほぼまっすぐ上にぐんっと持ち上げられ、一瞬の静止の後に地面に向けて叩きつけられるように急激な落下をし始めたのだった。 「上げてから~、落とすにゃッ!!」 直下から聞こえてくる猫耳ナース達の声。その可愛らしい声こそ、重力制御を行って自分に攻撃をしかけてきているパワーを持つものだということは、既にフューチャー美夏も理解している。奈里佳が主張しているような【魔法】という概念は信じがたいものの、パワーがあること自体は認めなくては話にならないからだ。(敵は、既に我々がコントロールを取り戻していることを知らない。虚をつく為にも、地面に激突する直前に落下のベクトルを変えてペットショップに直行する。なに、この位置からならわずか数秒の距離だ) 頭から落下しているフューチャー美夏の眼前に、ぐんぐんと地面が迫ってくる。「了解。まずはあの猫耳ッ娘達を何とかしないとね。……それにしても奈里佳はどこに行ったのかしら?」 既に地面は目の前だ。直下には胸と腰を黒い毛皮に被われた猫耳ナースッ娘と、同じく白い毛皮に被われた猫耳ナースッ娘が見える。 それにしてもフューチャー美夏、黒毛皮の猫耳ナースッ娘が奈里佳の変身した姿だということは気がついていなかったのか。にぶいやつ……。ドーーーンッ!! 地面にぶつかる寸前、というかほとんど接地しているかもしれない状態で、ユニ君は貯め込んだパワーを全て解放して重力制御システムを作動させた。その瞬間フューチャー美夏の身体は、はじかれるようにその場を後にして飛び去ってしまった。しかも一気に音速を超えたスピードを出した為に衝撃波が発生したようだ。「あいたたた……。大丈夫? おにゃんこナース」 突然その場に発生した衝撃波によって、その場にいた奈里佳やおにゃんこナースを始めとする猫耳ナースッ娘軍団は、その大半が転んでしまっていた。奈里佳は身体のあちこちを押さえながら立ち上がる。「だ、大丈夫ですにゃ。でも、フューチャー美夏に逃げられてしまったにゃ。申し訳ないにゃ」 攻撃の成功間違いなしと思っていたのに寸前でそれをかわされ、予期せぬ反撃すら受けてしまったとあって、おにゃんこナースは泣きそうな顔をしている。「そう、良かった。回りの猫耳ッ娘たちも単に転んでいるだけみたいね」 まず奈里佳は現状を確認する為に回りを見渡したが、あちこちでのそのそと起き出す猫耳ナースッ娘達が見える。怪我をしたものすらいないようだ。「はいですにゃ。それにしてもフューチャー美夏はどこへ行ったんですかにゃ?」 小首を傾げるおにゃんこナース。そしてふと上空を見上げた目に、なにかが降ってくるのが見えたのだった。
May 7, 2005
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「は~い、右手を上げて『くいくいっ』とにゃ~♪」 自分の声に合わせて招き猫のように手首をちょいと曲げつつ上空のフューチャー美夏に向けて右手を上げて、くいくいっと小刻みに動かすおにゃんこナース。「くいくいっとにゃ~♪」「……くいくいっとにゃ~♪」「…………くいくいっとにゃ~♪」「………………くいくいっとにゃ~♪」「……………………くいくいっとにゃ~♪」 奈里佳とおにゃんこナースが立つ位置から波紋が広がるように、猫耳ナースッ娘達の声が響く。しかし統制が取れていてもその距離の違い等から、完全に同一の歩調で魔法を発動させることは出来ないので、どうしても微妙なずれが生じてしまう。もっともそれだからこそ魔法による重力制御にランダムなずれが生じ、フューチャー美夏に対する攻撃がより激しいものとなっているのは皮肉である。「右だにゃ~♪ 左だにゃ~♪」「……右だにゃ~♪ 左だにゃ~♪」「…………右だにゃ~♪ 左だにゃ~♪」「………………右だにゃ~♪ 左だにゃ~♪」「……………………右だにゃ~♪ 左だにゃ~♪」 おにゃんこナースと猫耳ナースッ娘は、踊りを踊るような動きをしつつ攻撃を続ける。そしてそのはやし声にあわせて上空のフューチャー美夏は、生身のままでは気を失うどころか永久に目が覚めない状態になってもおかしくないほどにもみくちゃにされている。「ふ~む、そろそろ動きがある頃ね」 右手を目の上に当ててひさしを作り、上を見上げる奈里佳。西暦91世紀の未来技術によって作られたナノマシンスーツを身につけているフューチャー美夏が、この程度の攻撃ではやられはしないということは分かり切っている。そんな奈里佳の感想であった。(まあ、このダウンしちゃうような相手じゃないものね。でも、どんな手を使ってくるのかしら?) 奈里佳2号も同意見らしい。「それは分からないわ。前回は物体をコピーするような機械を出して来たけど、あれを越えるような武器ってそうはないんじゃないかと思うわよ」 奈里佳は前回のバトルにおいて、フューチャー美夏が披露した量子技術の結晶である物質波レーザーのことを思い出していた。(そうかもしれないけど、どんな物質だって複製出来るなら、使いようによってはあの武器は無敵よ。気をつけなくちゃ) いつになく慎重な奈里佳2号。相手の力を認めているからこそ、フューチャー美夏を侮るようなことはしない。「そうね。気をつけることにするわ」 同じく、おちゃらけた様子を微塵も感じさせない奈里佳。なんのかんの言っても、やるときはやるのである。しかし口の端をちょっと上につり上げて笑うその姿が悪役にしか見えないというのは、いかがなものであろうか?「よぉ~し、次は上に上げてから一気に地面まで落とすにゃ♪」 奈里佳と奈里佳2号がちょっとだけシリアスになっている間にも、おにゃんこナース達の攻撃は続き、それは最終段階を迎えようとしていた。空中でもみくちゃにするだけでは無く、一気に地面に叩きつけようというのだ。「上げてから~、落とすにゃッ!!」「……上げてから~、落とすにゃッ!!」「…………上げてから~、落とすにゃッ!!」「………………上げてから~、落とすにゃッ!!」「……………………上げてから~、落とすにゃッ!!」 そのかけ声とともにフューチャー美夏はぐんぐんと上昇した。そして一端そこで停止すると、今度は地面に叩きつけられるような勢いで急降下を始めたのだった。いや、まあ、おにゃんこナース達は本当に地面に叩きつけるつもりなのだが。 そしてその少し前……。(エネルギーの蓄積が最大容量に達した。いつでも脱出が可能だ) もみくちゃにされるフューチャー美夏が気を失うかどうかという状態になる寸前、ふと身体の移動に伴う加速度感が消えた。どうやら必要な電力の蓄積が終わったので、最低限のパワーに押さえていた重力制御による慣性の打ち消しがフルパワーに戻ったらしい。「もうッ! 遅いッ!!」 ユニ君に対して文句を言うフューチャー美夏。まだ目は回っているが、フューチャー美夏の脳に融合しているユニ君を構成するナノマシンが感覚を補正し始めたので、急速にその状態はおさまりつつある。(これ以上早くは出来ないほどのスピードで現在の状況から脱出する為のパワーを蓄積したのだが、何か問題があったかね?) 静かにそう言いながら、フューチャー美夏の脳に微弱な電気信号を送るユニ君。そしてその信号を送られたフューチャー美夏の意識からはユニ君に対する非難の気持ちが消えた。「OK、確かに何も問題はないわね。それよりも脱出するのは良いとして、その後に何か策は有るの?」 意識を操作されたことにすら気づくことなく、フューチャー美夏は答えるのだった。その間にも目に映る景色はめまぐるしく揺れていたが、身体に対する影響は全てうち消されていた。(特に策はない) とにかく現状から脱出することだけに全力を傾注していたユニ君は、あっさりとそう答えた。「しょうがないわね。ねえ、ひとつ聞くけど、前の戦いで使った物質波レーザーって、あれを使えばどんな物質でも出せるの?」 何か策が有るのか、フューチャー美夏はキラリと目を光らせた。
May 5, 2005
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第15章 猫の手は招く……「キャーーーッ!」 フューチャー美夏の叫び声が響く。おにゃんこナースおよび猫耳ナースッ娘軍団の攻撃は確実にフューチャー美夏を捕らえ、その身体を直径60メートル程度の空域の中で前後左右上下と、ぐるぐると激しく動かし、もてあそんでいる。(通常状態での離脱不能。パワー不足だ。現在コンデンサーに電力を蓄積中。離脱が可能になるだけのパワーがたまるまで何とか耐えてくれ) 現空域からの緊急離脱を試みたユニ君だったが、それが無理だと判断するとすぐに冷静な態度に戻り、次善の策をとるのだった。「ユ、ユニ君ッ! いったいこれは、ど、どうなってるの!? 早く何とかしてーーーッ!!」 何とかする為に、ユニ君は出来る限りエネルギーの消費を押さえてパワーを蓄積しているのだが、そんな理屈が分かるような無かった。フューチャー美夏は見えない手によってもみくちゃにされて、冷静さを欠いていたのだ。ちなみにいつもならそういう状態になったフューチャー美夏の精神状態をこっそりと制御していたユニ君なのだが、今回はその為に要するエネルギーすら節約してパワーをためているのだった。まあ、徹底しているということなのだろう。(対処はちゃんとしているからしばらくは今の状態で耐えてくれ。なに、死にはしない程度には重力制御をして慣性を打ち消しているから安心してくれ) なだめているようで、微妙に不安を煽っているようなことを言うユニ君。「し、死にはしないってッ! だからこれは何なのよ。何が起きてるのーーーッ!?」 ジェットコースターがゆりかごに思えるほどの激しい動きを外部から強制されているフューチャー美夏は、とにかく叫ぶ。(大規模な重力制御によって我々を含む空間が歪曲され、結果的に我々は一定範囲内の空間に閉じこめられたということだな。ついでに振り回されているが、これもまた重力制御によるものだ。攻撃力としてみた場合、特にどうというものでもない) どこかめんどくさそうな言い方のユニ君。実際にはそんなことは無いのだが、冷静というその一点だけで、この状況ではそのように感じられてもしょうがないかもしれない。「特にどうというものでもないのなら、早く何とかしてよッ!」 怒っているのか泣いているのか何だかよく分からないような口調になっている(既にやっている。この状態を抜け出す為には、一時的にも相手のパワーを上回る出力を実現する必要がある。その為に現在は可能な限りエネルギー消費を押さえて電力をコンデンサーに蓄積しているところだ) 淡々と説明するユニ君。ついでにフューチャー美夏の視界には、エネルギー消費量と蓄積量を現すグラフが映し出されたが、その背景の視界がめまぐるしく流れていくので、見ているだけで気持ち悪くなってくる。「分かった。分かったから、とにかく早く何とかしてーーーッ!」 限られた空間をぐるぐるとランダムに振りまわされて、さすがのフューチャー美夏も目を回しながら叫ぶのだった。「あはッ♪ 効いてる効いてる。魔法そのものでの攻撃は効かなくても、魔法で起こした物理現象でならダメージを与えられることは調査済みよ」 おにゃんこナースと猫耳ナースッ娘軍団に攻撃を任せ、奈里佳はのんびりと高みの見物である。(う~ん、まあ大規模な攻撃ではあるけど、効果はいまいちよね。この程度じゃフューチャー美夏に致命傷なんか与えられないし、そもそも華がないわ) うきうきしている奈里佳に対して出番が無くてちょっと面白くない奈里佳2号。華がないという文句をつけるあたり、ほとんどいちゃもんである。「ま、華は後から咲くものよ♪ ま、とにかく攻撃続行よ。おにゃんこナース」 何が言いたいのか良く分からないが、奈里佳の態度に変化はない。「うにゃ? よく分からにゃいけど分かったにゃ。みんなーーーッ! 後少しがんばるにゃ~!!」 おにゃんこナースは、回りに集結している猫耳ナースッ娘達に呼びかけた。
May 2, 2005
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