全30件 (30件中 1-30件目)
1
首都圏で越冬中のミゾゴイの様子を見に出かけました。英語名がナイトヘロンであり、「夜行性」と思いそのように記述されている文献も存在します。川上(2009)が飼育下の個体が昼間に採食行うことが示されている文献の存在があり、普通に毎日昼間に採食していたと指摘していますし、バードライフ・アジア(2010)が東京都下で調査した結果、昼間に活動する昼行性の鳥であることが判明したサギ科の鳥類です。(観察した個体の齢)観察した個体は、頭上が紺色(成鳥は暗赤褐色)で、後頭に冠羽(成鳥は短い冠羽あり)は認められません。また、若鳥の雨覆や肩羽には褐色斑がありますが、認められませんでした。このことと頭や翼に白と黒の虫食い斑があるので幼鳥と思われます。(成鳥と若鳥の特徴)川上(2009)が述べているように、成鳥では,頭部は鮮やかな赤栗色を,背中,翼,尾羽では暗褐色を呈する(写真1).喉から腹はクリーム色で黒い縦斑が入り,特に喉では黒く長い筋状になる.雌雄では特に羽色の違いはない.若鳥では,上面の褐色が暗く,頭部や翼に細かい黒斑が多数見られ,翼では細かい白斑が入ることもあります。(引用)川上 和人.2009.ミゾゴイ,Bird Research News Vol.6 No.12.p4-5.バードライフ・アジア.2010.ミゾゴイ会議の報告および保全活動に関する提言.pp5(写真)すべて2024年2月29日撮影絶滅危惧種であり、観察地は非公開とさせてもらいます。
2024.02.29
コメント(0)
レンジャク飛来のニュースをもらっていたので埼玉県荒川沿いの公園に足を運びました。到着した昼過ぎはヤドリギの実はわわに実っているものの、レンジャクの姿はなし。それでもヒーヒーと鳴き声が聞こえていました。一時、ベニマシコなどの小鳥たちが羽を休めるエリアに移動し探索した後、再び最初のエリア待機。ヒレンジャクとの出会いは、その後のことでした。合計5羽がヤドリギのなる木に飛来し一生懸命ついばむ光景を披露。冠羽の先端の黒さ、過眼線が伸びたように見え、尾羽先端の赤さ、初列風切内弁の白斑の有無などいろいろ個体によって違いがありました。このほか、シメ、アトリの姿もしっかり観察できました。(撮影)2024年2月28日撮影
2024.02.28
コメント(0)
昨日、柏の葉キャンパス駅近郊の調整池でイカルチドリを観察しました。その顔、姿を淡水性チドリのコチドリ、ハジロコチドリと比較してみました。(顔の比較)(1)イカルチドリ(2024年2月26日柏市内で撮影)一枚目と二枚目は昨日観察したイカルチドリの顔つきです。一枚目は胸の黒帯は太く、二枚目は胸の黒帯は細く褐色味を帯びた部分があります。前者は雄、後者は雌と思われます。頭部はハジロコチドリに似ていますが、前頭の黒色と頭頂の灰褐色の間に白色部があります。翼よりも尾が突出している点がコチドリとの違いです。(2)コチドリ(2023年4月2日柏市で撮影)三枚目はコチドリ夏羽で、胸の黒帯は黒く、黄色のアイリングが目立ち頬は黒いのが特徴です。(3)ハジロコチドリ(2013年8月24日船橋市で撮影)四枚目は、ハジロコチドリで胸の帯が太くて全面でつながっています。(横方向から見た姿)(1)イカルチドリ(2024年2月26日柏市内で撮影)五枚目は昨日観察したイカルチドリ雄、六枚目は昨日観察したイカルチドリ雌です。嘴はコチドリより長く、アイリングは不明瞭でした。但し、コチドリでも不明瞭な個体がいますので嘴の長さが長い(イカルチドリ)か短い(コチドリ)かを確認しておきたいところです。(2)コチドリ(2023年3月20日柏市内で撮影)黄色のアイリングが目立ち、夏羽は頬が黒いのが特徴です。(3)ハジロコチドリ(2013年8月24日船橋市で撮影)]胸の黒帯はコチドリより太い傾向にあります。写真の個体は、胸の帯が黒く雄と思われます。写真ではわかれにくいと思いますが、眼先の黒色部が会合線、口角に接しています。
2024.02.27
コメント(0)
久しぶりに柏の葉キャンパス駅近くの調整池を探索して歩きました。雨降りが続いたので全面に水が入っていて、鳥たちは浅瀬などで羽を休めていました。越冬したイカルチドリは、浅瀬を移動しながら餌を探しているのが目に入りました。今まで気がつかなかったのですが、2羽の姿がありました。1羽は額と眉が白く過眼線が褐色で胸から後頚に黒い頚輪があり、もう1羽は胸の部分が褐色で、前者が成鳥雄、後者が成鳥雌と思われました。このほか、オカヨシガモ、ヒドリガモ、カルガモ、コガモ、カイツブリ、オオバン、ツグミ、タヒバリ、ホオジロの姿がありました。(写真)2024年2月26日撮影
2024.02.26
コメント(0)
鳥友から銚子港でカモメ科の鳥を見に出かけるにあたり、鳴き声にちなみ名がつけられているMew gullカモメの識別について質問をもらいました。過去の画像から成鳥冬羽のいろいろ、第二回冬羽の特徴などを整理してみました。(頭の斑が黒く見えるものから白い個体までのいろいろ)(1)頭の斑が黒く、黄色の嘴に黒い斑のある個体一枚目は、2013年1月2日に銚子第一漁港で観察した個体です。頭の斑が黒く、黄色の嘴に黒い縞があり、背がウミネコ並みに濃い個体でした。(2)頭に黒い斑があり、黄色の嘴で無斑の個体二枚目は、2019年2月17日銚子第三漁港で観察した個体です。この個体も背がウミネコ並みに濃いものでした。(3)頭の斑が褐色で黄色の嘴に斑のある個体三枚目は2017年2月25日銚子第一漁港で観察した個体です。頭の斑が褐色で黄色の嘴に斑があり、背の色がセグロカモメと同程度の色でした。(4)頭の斑は少なく、後頸に黒い模様のある個体四枚目は、2017年2月25日銚子第一漁港で観察した個体です。頭の斑は少なく、後頸に黒い模様があり、背の色はウミネコ並みの濃さがありました。(5)頭の斑は少なく目先に黒い模様のある個体五枚目は2015年2月28日ら銚子第一漁港で観察した個体です。頭の斑は少なく目先に黒い模様があり、黄色の嘴で無斑でした。(6)頭に斑があり、黄色の嘴に斑のある個体六枚目は2021年2月22日に銚子第一漁港で観察した個体です。頭に斑があり、黄色の嘴に斑があり、背はウミネコ並みの濃さがありました。(7)頭の斑は少なく、黄色の嘴にうっすら斑がある個体七枚目は2018年3月3日に名洗港で観察した個体です。頭に斑があり、黄色の嘴に赤っぽい斑があり、背はセグロカモメ並みの色でした。(8)頭に斑があり、黄色の嘴先端近くが黒い濃い八枚目は2014年3月8日に名洗港で観察した個体です。頭に斑があり、黄色の嘴先端近くが黒い斑があった個体です。三列風切に白色部が見えていて第三回冬羽から成鳥に換羽中ではないかと思われました。(9)頭に斑はなく、黄色の嘴にも斑のない個体九枚目は2019年4月20日に銚子第三漁港で観察した個体です。頭に斑はなく、黄色の嘴に斑のなく、背はウミネコ並みの色でした。(10)頭に斑があり、うっすら黄色の嘴先端に黒斑がある個体十枚目は、2016年2月28日に銚子第三漁港で観察した個体です。頭に斑があり、うっすら黄色の嘴先端に黒斑があり、雨覆に褐色の羽があることから第三冬羽と思われました。(カモメの意外な食性)カモメ科の鳥は、吉井(1988)が記しているように魚や動物の死体を餌とします。ところが、石田(2015)が青森県十三湖周辺の畑で数多くのカモメが集まりトラクターを追うように昆虫類を捕食する光景が見られると述べています。このほか、水谷ほか(2020)がウミネコが海上および陸地上空で飛翔中に昆虫類を捕食する瞬間を撮影し一部の昆虫類を同定した結果、ハチ目等を積極的に捕食していたと報告はしていますから、案外昆虫類を捕食する種類が多いのかもしれません。(引用)吉井 正.1988.コンサイス鳥名事典.p136-137.三省堂.水谷友一ほか.2020.海上飛翔中のウミネコによる昆虫捕食とその同定.日本鳥学会誌第70巻.第1号.p53-60.
2024.02.25
コメント(0)
久しぶりの晴れとなった朝、柏市のオフィスの近くの公園を散策しました。すでに河津桜の花が咲き誇り、そこに10羽ものメジロが飛来し蜜を吸う姿を目撃しました。舌先が筆状になっているのが観察できるかもと注目していましたが確認できず。しかし、花蜜を吸う姿勢に見とれてしまいました。枝に逆さまに、45度方向と花蜜を吸うのに最適な角度で枝に止まるのです。見ていると、頭を動かしていないことに気が付きました。藤田(2006)が述べているように、鳥類の頭には視覚や平衡感覚器である目と内耳の三半規管が存在し頭が安定すると平衡感覚器への情報入力が正確になり、体のバランスを取りやすくなります。フィールドで片足立ちしている鳥を見かけることがありますが、頭を静止するほうがバランスをとりやすいということなのだという点に気が付きます。メジロのほか、上空をツミ3羽が鳴きながら飛翔している姿やツグミの下面黒色斑が濃い個体、黒色斑が少ない個体を観察できました。どうして、黒色斑の濃いものとそうでない個体がいるのかと思いました。(引用)藤田祐樹.2006.鳥の歩行観察のススメ.Bird Research News Vol.3 No.3.p2.(写真)すべて2024年2月24日柏市で撮影
2024.02.24
コメント(0)
レンジャク飛来のニュースをいただきながら、雨の日が続き、出かけられず。撮影したキレンジャクとヒレンジャクの画像を復習していました。皆さんのご参考になればと思い、提供します。(キレンジャクとヒレンジャクの尾羽先端と下尾筒、下腹の色)キレンジャクは尾羽先端は黄色、下尾筒は黄色、下腹には黄色味はありません。対してヒレンジャクは尾羽先端は赤色、下尾筒は赤色、下腹に黄色です。(キレンジャクの成鳥について)一枚目は2009年3月8日山梨県山中湖で撮影した個体です。初列風切先端の斑が内弁と外弁にあり、内弁先端の白線は最も外側の羽まで幅広く白く、外弁先端は黄色なので雄成鳥冬羽と思われます。二枚目は、2020年2月23日にさいたま市で撮影した個体です。初列風切先端の斑は雄成鳥と同様黄色、初列風切内弁先端の白線は成鳥よりも細く、最も外側の羽の先端は白くないことから雌成鳥冬羽と思われます。(ヒレンジャクの成鳥について)三枚目は、2020年3月15日さいたま市で撮影した個体です。下腹が黄色であり、キレンジャクでは黄色味がないのと違いがおわかりいただけると思います。四枚目は、2020年2月19日さいたま市で撮影した個体です。初列風切先端にある白い部分に赤い斑があるので成鳥雄と思われます。五枚目は、2017年4月5日にさいたま市で撮影した個体で、初列風切先端にある白い部分に赤い斑がないの成鳥雌と思われます。(尾は12枚)キレンジャクもヒレンジャクも尾羽は12枚あります。写真は2020年3月15日にさいたま市で撮影したヒレンジャクです。1710年出版された和古書の喚子鳥に12黄、12紅の記載がされており、江戸時代中期頃からキレンジャクとヒレンジャクが識別されていたと思われます。
2024.02.23
コメント(0)
2月終わりから春先にかけて千葉県銚子市周辺でクロサギを見かけるようになります。クロサギは、黒色型と白色型が存在していて、南西諸島以南で白色型(永井2014)または南へ行くほど白色型が多くなる(叶内2020)と図鑑類に説明が記載されています。くわえて、石田(2015)が北方では黒っぽい岩礁に、南方では白い砂浜にそれぞれの環境に適応しているからという説があると記しています。クロサギの黒色型と白色型の両方が生息している沖縄では割合がどうなっているのか、北方では黒っぽい岩礁に、南方では白い砂浜に適応しているからとの点について、文献を参照してみました。すると、沖縄県立辺土名高等学校の皆さんが沖縄県での調査報告をしているのを見つけました。内容の一部を紹介します。(黒色型と白色型の割合)沖縄島は繁殖期前の第1期(2016年3月19日~4月4日)と繁殖期後の第2期(2016年8月21日~ 31日)の2回、宮古島(2016年8月28日~30日)、石垣島(2016年11月2日~4日)、西表島(2016年11月5日)について各1回の調査結果をつぎのように報告しています。沖縄島第1期調査:確認された全個体数139羽のうち黒色型が89羽、白色型が50羽で、割合は黒体色64%、白色型36%沖縄島第2期調査:確認された全個体数258羽のうち黒色型が158羽、白色型が100羽、黒色:白色=61%:39%の割合。宮古島調査:確認された全個体数30羽のうち黒色型が17羽、白色型が13羽で、割合が黒色型57%、白色型43%。西表島:確認個体数14羽のうち黒色型が9羽、白色型が5羽で黒色型64%、白色型36%。(沖縄島、石垣島、西表島では黒色型が多く、宮古島では白色型が多い要因)黒色型の方が明らかに発見しにくく、白色型は岩場や護岸、木の上などでは遠い距離からでも見つけやすい。白色型は目立つことから外敵に捕食される確率が高いのではないか、沖縄島周辺では近年増えているといわれるカラスによる捕食の影響が黒色型の割合が高くなった要因の1つではないかと報告しています。これに対して、カラスが少ない宮古島においては白色型の割合が高くなっている点を指摘しています。(南へ行くと白色型が増えるのは環境によるものか、遺伝的要因か)緯度や環境の違う島々においても黒色型と白色型の割合が、6:4や5:5に保たれているのであれば、体色を決定する要因は、環境による影響より遺伝的要素が強いと記しています。(引用)沖縄県立辺土名高等学校.2017.白黒はっきりさせようじゃないか~クロサギの体色(黒色型と白色型)の割合についての研究Ⅱ~.第39回沖縄青少年科学作品展 作品集.p297-313.沖縄電力株式会社.(写真)2018年3月3日千葉県銚子第一漁港、2020年1月25日銚子第三漁港(羽に褐色味があり幼羽)
2024.02.22
コメント(0)
昨日、松戸市の江戸川河川敷でエナガが嘴に鳥の羽をくわえて移動していくのを観察しました。エナガのイメージは落葉樹と広葉樹の林縁に生息しているイメージがありますが、河川敷のように木が点在している環境でも姿を見かけます。赤塚(2012)が報告しているように、外部に動物性の糸材で主としてコケを絡めて編み上げた楕円形の袋を造り、表面には地衣類、人工物を付けることがあり、内部には他の鳥類の羽毛を大量に運び込むことが知られています。また、赤塚(2012)の調査結果では利用される羽毛の多くは,おそらく猛禽類の食痕から調達され,調査地のキジ類、ハト類、カラス類、サギ類はオオタカの捕食痕である可能性が高いと記されています。江戸川の河川敷には、オオタカが生息しハト類、カラス類を捕食することがありますのでその食痕を見かけることがあります。昨日、エナガが嘴にくわえていた羽も食痕を利用しているものと思われます。さて、赤塚(2001)が興味深い報告をしていますので、紹介します。岐阜県と愛知県にまたがる木曽川中流域の河川敷には、スギなどの針葉樹や照葉樹の枝の分岐点など通常エナガが好んで使う営巣環境が多くありながら、高い割合で笹薮に営巣していたことを報告しています。また、笹薮への営巣は、飛翻力のほとんどない巣立ちビナが,間隔の狭い笹竹を利用しながら密生する葉によって上から探りにくい中を移動していくのに都合良いと考えられると結んでいます。エナガの生息場所に応じて巣の場所や巣材を変化させる能力をもっていることを伝えています。(引用)赤塚隆幸.2001.河川敷で笹薮を利用して繁殖するエナガ群.Strix第9巻.p21-30.日本野鳥の会.赤塚隆幸.2012.エナガ.Bird Research News Vol.9 No.7.p2-3.バードリサーチ.(写真)2024年2月21日松戸市江戸川、2018年1月2日柏市で撮影
2024.02.21
コメント(0)
松戸駅から一番近い江戸川沿いに川の一里塚があります。こりエリアは、毎冬、ベニマシコ、冬の小鳥たちと出会えるので楽しみにしています。ベニマシコは、到着直後から鳴き声が聞こえましたが姿を観察できない時間が経過。それでも11時30分頃、対岸の草むらに雄2羽、雌1羽が姿を現してくれました。探索スタートした直後、エナガのペアが登場し、うち一羽が鳥の羽を嘴にくわえて移動。このエリアのどこかで営巣しているものと思われました。このほか、地面でアオジ、ツグミが餌探しに余念がない姿、ベニマシコを待機しているとジョウビタキ雌がどんどん近くに来て興味津々の様子を観察したり、楽しい時間を過ごしました。(写真)2024年2月20日撮影(ベニマシコ雌のみ昨シーズン1月撮影のもの)
2024.02.20
コメント(0)
(ヒバリの減少について)ヒバリというと、「チーチビ チーチビ」空に上昇し、「チュクチュクチー チュクチュクチー ツゥイ ツゥイ ピチ ピチ ピーツツチー ピーツツチー ツォイ ツォイ」と空で鳴き、その後下降するという姿を想像します。ところが、佐々木(2008)が空中でのさえずりが多いのは営巣初期だけで、その他の時期は地上での方が多いと報告し、あわせて、ヒバリの減少が指摘されている点にふれています。東京では1970年代から1990年代で繁殖期に確認された3次メッシュの数が70年代の218からほぼ半数の105に減少しており、要因は定かではないが農地などの平坦な環境に建築物が建つことによって生息適地の分断化が進んだことが影響しているのではないかと記しています。手賀沼と沿岸地域では、2010年以前は継続して観察されていましたが、2011年以降では手賀沼と印西市の境界地域と我孫子市北部の水田地帯、利根川沿岸という生息適地が残っているエリアで姿が細々と観察されているのが現状です。(雌雄の違いについて)佐々木(2008)は、ヒバリの雌雄を外見で識別するのは困難としながらも、文献に繁殖地にペアが同時に飛来する場合とオスが先に飛来してメスが後から入る場合があり、後者が多いと記されているものがあり、別の文献には造巣はメスが行い、2~7日で造りあげ、抱卵はメスのみが行い、給餌は雌雄両方で行うが,オス36%,メス64%とメスの方が多いと報告があると記しています。なお、叶内(1998)が、雌雄はほとんど同じだが、雌は冠羽を立てる行動はほとんどないと報告しています。手賀沼沿岸で、冠羽を立てることがなかった個体を観察・撮影したことがあります。写真の五枚目、六枚目を参照ください。(引用)叶内拓哉.1998,日本の野鳥.p443.山と溪谷社.佐々木茂樹.2008.ヒバリ.Bird Research News Vol.5 No.3.p3-5.(写真)一枚目、二枚目:2015年6月6日、三枚目、四枚目:2014年6月15日、五枚目、六枚目:2017年7月18日いずれも手賀沼沿岸で観察
2024.02.19
コメント(0)
大町自然公園、松戸市千駄堀の21世紀の森と広場などを探索していると、遊歩道脇からチャッチャッとウグイスの地鳴き(笹鳴き)がよく聞こえてきます。笹鳴きについて、濱尾(2007)は、「抱卵期と巣内育雛期以外の時期の雌は笹鳴きをする。雄も冬には笹鳴きをするが繁殖期にはしないよう」と報告しています。ところが、平岡(2023)は「チャッ、チャッという声は敵、親、子に対して雄、雌とも一年を通じて発します」と述べています。この表現の原典である小西(1994)を確認すると、「地鳴きは、雌雄による違いもあまりなく、一定の季節に限られてもいない。(中略)地鳴きは縄張りに関係なく、外界の特別な刺激、たとえば敵、親、子に対して発声される」と記述があります。しかし、図鑑によっては、雄は雌より一回り大きいと述べているものがありますが、雌雄揃って出現し大きさを比較できる場面がいつもあるとは思えないと考えており、その報告がどの程度の信憑性があるのかと考えています。ちなみに、外観で雌雄を見分ける点について文献を調べてみると、安部(1984)が標識調査では雌雄判別の基準として「翼長が「60mm以下を雌」、「63mm以上を雄」、「61mmと62mmの個体は不明」と記しているのみです。この報告も抱卵斑や生殖腺に基づいた雌雄の判別が正確になされている個体の翼長の測定値が多数集まるまでの基準と述べています。(引用)安部直哉.1984.標識調査におけるウグイスの雌雄判別基準としての翼長.山階鳥研究報.第16巻.p151-158.小西 正一.1994.小鳥はなぜ歌うのか.岩波新書.p3.濱尾章二.2007.ウグイス 鳴き声.Bird Research News Vol.4 No.2.p4.平岡 考.2023.鳥の教科書.ヤマケイ文庫.p265.(写真)2022年2月4日水元公園で撮影
2024.02.18
コメント(0)
成田近郊のある公園内の池と隣接する森に越冬している冬鳥を探索しに出かけました。森の中を探索すると、エナガ、シジュウカラ、コゲラとキクイタダキが混群となり、移動する姿を見つけました。キクイタダキは、枝先でホバリングし、チチチと地鳴きしながら時折水場で水浴び。キクイタダキは、三列風切の外縁が白くないことから雄と思われました。キクイタダキの近くでジョウビタキ雌、ルリビタキ雄が登場し、それぞれ自慢のポージング。その後、公園内の池の水鳥の様子を見に移動しました。大方のカモたちは、渡去した模様で、マガモ、カルガモ、コガモ、オナガガモ、ホシハジロの姿が残っていたのみでした。(写真)2024年2月17日撮影
2024.02.17
コメント(0)
今冬も手賀沼沿岸にアカガシラサギが飛来し滞在しています。2022年に姿を観察して以来の羽衣の変化を復習してみました。(1)正面から見た変化一枚目から三枚目は、2024年2月15日、2023年2月3日、2022年2月26日に観察・撮影したものです。2024年は胸の焦げ茶の縦斑が線状になっています。2023年、2022年では斑点状だったのでこんなふうに変化するとはじめて観察しました。(2)嘴とその周辺の変化昨日観察した個体では上嘴の基部から先にかけて黒色で目先が黄色でした。(四枚目の写真)五枚目の写真(昨年2月28日)、六枚目の写真(2022年3月15日)、七枚目の写真(2022年2月25日)と比較してもあまり変化はありません。なお、六枚目の写真では上嘴の色が一部黄色のように見えますが実際は黒色で撮影時の光線の影響によるものと考えられました。七枚目の写真(2023年4月19日)は六枚目の個体が繁殖羽に換羽したものと思われます。(3)嘴の2つのタイプ香川の野鳥(2014)は、アカガシラサギに2つのタイプが存在していることを報告しています。Aタイプとして、先端が上・下共黒く他はほぼ黄色。上嘴の基部はやや緑色~灰色がかるものBタイプとして上嘴が全体に暗色のタイプ。先端がより黒色に見える場合もあるもの。そのうえで、幼鳥(Bタイプ)、 第一回冬羽?、第一回夏羽(Aタイプ)、成鳥冬羽(A・Bタイプ)、成鳥夏羽(Aタイプ)との内容となるとしています。ただし、第1 回夏羽になった後、毎年、夏A→冬Bと繰り返すのか、ずっとAのままなのかは不明と記しています。(4)手賀沼の越冬個体嘴に着目してみると、2022年から2024年の個体のいずれもが、香川の野鳥(2014)がBタイプとしてするタイプです。2022年に観察した個体が第一回冬羽とすると、2024年の個体は3歳以上であり、成鳥冬羽と考えられます。(引用)香川野鳥を守る会.2014.会報 香川の野鳥.アカガシラサギ.p3-5.
2024.02.16
コメント(0)
午前中、我孫子市側の手賀沼遊歩道を散策をかねて探鳥に出かけました。先月3年連続で飛来しているアカガシラサギ、午前中は餌探しで大忙し。上嘴の先端から基部まで黒いこと、背の褐色などには大きな変化はありません。昨年は4月に夏羽に換羽したので、今シーズンはどうかと注目しています。このほか、ハジロカイツブリ、最外三列風切の黒条が羽先に向かって伸びているコガモ雌(アメリカコガモでは羽先三分の一前後辺りに向かって伸びています)、コサギ、カワセミ、枝に止まって囀るホオジロ、葦原を移動していたジョウヒタキ雄の姿を目撃しました。(写真)2024年2月15日撮影観察場所については、撮影者が集中する可能性が高いので非公開とします。
2024.02.15
コメント(0)
2月7日都内水元公園で標識を装着したユリカモメ4羽を観察しました。観察した個体に装着されていたのはいずれも青いカラーリングで、E/N、G/V、A04、7Vでした。観察した当日、早速山階鳥類研究所経由でユリカモメ標識グループに報告しました。一昨日、その結果について報告をもらいました。どこから来て、どこで越冬しているのかがわかるので観察する都度、とても楽しみにしています。(1)E/Nの標識個体について標識装着2013/3/13、、千葉県市川市行徳野鳥観察舎前丸浜川、成鳥と判明。訪朝後10年10ヶ月経過。(2)G/Vの標識個体について標識装着2013/12/19、千葉県市川市行徳野鳥観察舎前丸浜川、成鳥と判明。放鳥後、10年1ヶ月経過。(3)A04の標識個体について標識装着2023/01/06、茨城県水戸市千波、成鳥と判明。(4)7Vの標識個体について標識日時2021/04/02、東京都墨田区隅田川水神大橋、成鳥と判明。放鳥後、はじめての記録。(ユリカモメの標識調査)事務局からは、2010年から東京都墨田川でユリカモメの標識調査をスタートした由。関東地方では、ユリカモメの標識調査はほとんどされておらず、冬の間、ユリカモメがどのような動きをしているのかは、わかっておらず、ユリカモメに足環をつけ、観察情報を集めることで、ユリカモメの冬の間の行動範囲を調べることとなったとのこと。これまでの結果では、ユリカモメの中にも個性があるようで、冬の間、東京近郊のほぼ同じ場所で観察されるものもいれば、広く動き回っているものもいるとのことでした。(カモメ類の最年長記録)私が観察した個体の中では、2018年11月14日に都内不忍池で観察したウミネコが訪鳥から15年1ヶ月経過した個体でした。
2024.02.14
コメント(0)
ホームグランド手賀沼にタシギの姿を見に出かけました。8日にヤマシギを観察してきましたが、タシギの餌のとり方との比較をするためです。あわせて、タシギは春先に褐色、赤味の強っている個体を見かけますのでひょっとしたら出会えるかもと期待して。(1)タシギの採餌ヤマシギは体で上下にリズムをとるように移動し、長時間地面に嘴を突っ込んだまま動かない時間がかなりあり居眠りをしているのではないかと思う場面がありました。タシギの餌のとり方を見ていると、長い嘴を差し込んで泥の中を探索して、泥から抜くと別の場所に差し込んでいました。この行動を繰り返して嘴に獲物が触れるとつまみ上げているようでした。三枚目、四枚目の写真のような行動です。(2)タシギの羽色今日観察したタシギは、一枚目、二枚目の写真の個体です。背の羽縁がクリーム色の帯のようで太くて目立っていましたので、冬羽と思われました。a.春先の見られる褐色、赤味のある個体五枚目の写真は、2018年4月8日に手賀沼で観察した個体で目先が褐色になっていました。b.秋に見られる褐色、赤味のある個体六枚目、七枚目の写真は、2021年9月17日、同年9月23日に手賀沼で観察した個体です。褐色、赤味が艶やかに見え、いわゆるゴールデンバフと言われるもの。c.若鳥と思われる個体八枚目の写真は、2018年12月19日柏市内で撮影した個体です。黒味がかっており、若鳥と思われます。
2024.02.13
コメント(0)
昨日リポートしたタゲリ、図鑑によっては雌雄はぼ同色、冠羽は雄が長く雌は雄より短めと解説が掲載されているものがあります。(成鳥冬羽の雌雄)今井(2021)は、タゲリ成鳥夏羽、成鳥冬羽の雌雄を識別するポイントを整理し報告しています。内容を紹介します。「成鳥冬羽は雌雄とも喉が白く、白色部が胸の黒色部に食い込みます。♂成鳥に比べて♀成鳥の頭頂・顔・胸は褐色味が強く夏羽と同様に冠羽は短めです。」、「新鮮な冬羽には肩羽、雨覆に淡色の羽縁がありますが、日の経過とともに羽縁は擦れにより消失します。」と報告しています。このうち、冠羽は生え変わるので古い冠羽から新しい冠羽に伸長している折に短くなっている可能性がありますから短いから雌、長いから雄とするのでなく頭頂、顔、胸の色を確認することが必要となります。なお、2020年2月29日成田市で頭部から胸にかけて黒色が濃く、喉が黒くなっている個体を観察したことがあります。ただし、風切が黒色になっていないので冬羽から夏羽に換羽がスタートした個体ではと思われました。(写真)一枚目:成鳥雄、2024年2月11日野田市、二枚目:成鳥雄、2016年1月1日手賀沼、三枚目:成鳥雌、2024年2月11日野田市、四枚目:成鳥雌、2016年1月1日手賀沼、五枚目:成鳥雄(奥)雌(手前)、2023年12月1日手賀沼六枚目:成鳥雄、2020年2月29日成田市で撮影(引用)今井 光昌.2021.シギ・チドリ類の年齢・季節による羽衣の変化.第23回ケリとタゲリ.日本野鳥の会三重会報しろちどり.第108号.p11-13.
2024.02.12
コメント(0)
清水公園内とかつて座生沼が広がっていた座生川沿岸を探索して歩きました。三連休の半ばで公園内は混雑しており鳥影がないので、すぐ座生川に移動。葦原とヤブが残っているエリアでは、複数のベニマシコの鳴き声、アオジの群れ、ホオジロ、カシラダカ、鳴きながら移動していくメジロの群れ、水面にはオカヨシガモ、マガモ、コガモの姿がありました。帰路は、野田市内の水田に塒をとるタゲリの様子を見に立ち寄りました。そばには、複数のツグミの姿があり、まるまるした個体などいろいろな個体と遭遇。14羽のタゲリが水田に帰還し、見張り役、水田に腰を下ろすものなどの姿を観察しました。成鳥雌の頭頂、胸は褐色を帯びていて、雄の頭頂、胸が黒いのとは違いがあります。(写真)2024年2月11日撮影
2024.02.11
コメント(0)
水元公園のリポートを閲覧した鳥友からユリカモメは何時ごろから頭部が黒くなるのかと質問をもらいました。ホームグランド手賀沼や水元公園で観察・撮影した記録と画像を復習しながらユリカモメの夏羽への移行に関する文献に目を通してみました。(ユリカモメの頭部が黒くなる時期)水元公園では後述するステージⅢの個体を3月に観察したことがありました。(2022年3月12日)手賀沼では、後述するステージⅤの個体を4月に観察したことがありました。(2020年4月12日)(夏羽への移行についての調査報告)和田(1993)は、京都市鴨川でユリカモメの冬羽から夏羽を5つのステージ(*)に区分し個体数を調査した結果を報告しています。夏羽への移行を知るうえで参考になりますので紹介します。(*ユリカモメのステージ)(ステージⅠ:嘴と足が赤く目の後ろに黒斑がある冬羽)(ステージⅡ:頭が黒と白のまだらがある個体)(ステージⅢ:頭が黒くなっているが頭巾状には黒くなっていない個体)(ステージⅣ:頭はほぼ頭巾状となっているが眼先と腮が黒くない個体)(ステージⅤ:頭が褐色を帯びた黒色の頭巾状となっている夏羽)成鳥の夏羽への移行は、4月の前半に急速に進んだと報告しています。4月の終わりには、多くの成鳥が第Ⅳステージまたは第Vステージになっていたのに比べて、幼烏の大部分は第1ステージまたは第Ⅱステージのままで、一部が第Ⅲステージになっただけだったと記しています。氏原・氏原(1992)には幼烏の一部には第一回夏羽に頭が黒くなる個体もいるという記述があるが,今回の観察でも頭が黒くなる第Ⅳステージまたは第Vステージの個体が記録されたと述べています。くわえて、夏羽への移行と渡りの関係、具体的には夏羽に移行した個体から渡去していくのかは、各地での情報をもとに論じる必要があるとむすんでいます。なお、手賀沼や水元公園に飛来したユリカモメ夏羽に移行した個体から渡去したかは観察不足で報告する材料を持ち合わせていません。(写真)ステージⅠ:一枚目の写真、2019年4月3日水元公園で撮影(写真手前の個体)ステージⅡ:二枚目の写真、2023年12月18日水元公園で撮影ステージⅢ:三枚目の写真、2022年3月12日水元公園で撮影ステージⅣ:四枚目の写真、2017年3月22日水元公園で撮影ステージⅤ:五枚目の写真、2020年4月12日印西市で撮影(ステージⅤ、Ⅳ、Ⅲも含む)ステージⅢ~Ⅳへの移行中:六枚目の写真:目先が黒褐色となっている個体2019年4月3日水元公園で撮影ステージⅤ~Ⅰに換羽し始めた個体:七枚目の写真、2022年3月12日水元公園ステージⅤの羽色が残っていた個体、八枚目の写真、2023年11月21日水元公園で撮影(引用)和田 岳.1993.京都市賀茂川におけるユリカモメの個体数の季節変化と夏羽への移行.Strix第l2巻.p93-100.日本野鳥の会.
2024.02.10
コメント(0)
昨日、茨城県南部の公園でヤマシギと出会えたことをリポートしました。地面に嘴を突っ込んで採餌している時間が長く、その特徴がわかりずらかったものと思います。別のフィールドで出会った際の写真を使って特徴について整理しました。(外観の特徴)環境省(2016)が解説しているように、目が頭部の後方についており、オスメス共に同色とされ全身が茶褐色です。頭頂から後頭にかけて4本の黒褐色の太い横斑があります。目から嘴に向かって(過眼線)と、目の下から嘴方向に向かって黒褐色の線がありますが平行にはならず、目に近い方の間隔が広くなっています。背は黒褐色味が強く、腹部は淡褐色で褐色の横斑があります。足と嘴の大部分は肉色で嘴の先端部分は黒色をしています。一枚目の写真:後頭部の黒褐色の横斑:2023年1月28日茨城県で撮影二枚目の写真:目から嘴に向かう過眼線と目の下から嘴方向の黒褐色の線:同上の撮影三枚目の写真:嘴先端の黒色:2022年2月28日千葉県で撮影四枚目の写真:2024年2月8日茨城県で撮影(夜行性とはされているが日中に採餌)環境省(2016)は、ヤマシギの生息について、「非繁殖期(越冬期)は、日中は林内や林内の空き地周辺の藪を隠れ場所とし、日没後の夕闇時に林内などから飛び立って湖沼畔や水田の畦、川原、湿地、水田、湿った農耕地などに飛来し、夜間ずっとミミズなどを探して餌としています。なお、関東では、河川敷の堤防沿いの草地や、草丈の低い採草地を好み、農地の中でも堆肥置場など餌が豊富と思われる場所には複数個体が群れることもあります」と解説しています。しかし、これまで姿を観察した千葉県、茨城県、埼玉県のいずれでも観察したのはいずれも日中であり、いずれも土に嘴を突っ込んで餌を探していました。(食性と採食行動)小田谷(2014)がヤマシギの分布や生態などの知見を整理し報告しています。その中で「主に動物食でミミズを好む。地上徘徊性の甲虫類やその他の節足動物も採食する。茨城県で2011年1月に拾得されたオス幼鳥の胃内容には、多数の湿地性のゴミムシ類が含まれていた。また、植物質ではイネ科やタデ科植物の種子を採食することがある」と記しています。(引用)小田谷嘉弥.2014.ヤマシギ.Bird Research News Vol.11 No.11.p4-5.環境省.2016.ヤマシギ(越冬期)調査マニュアル.pp15.
2024.02.09
コメント(0)
とがった頭の憎めない体型のヤマシギを探索しに茨城県南部の公園を訪ねました。少し薄暗い林の中にその姿を発見。上面の枯れ葉模様に似た羽色、いつ見ても独特の雰囲気です。しかし、土の中にずっと嘴を突っ込んでミミズや昆虫を採食していて顔を見せてくれませんでした。それでも、今冬も再会できたことに感謝。このほか、アトリ4羽が地面に落ちている種子を採食している様子、ルリビタキ成鳥雄2羽のそばにカタカタと音を立てて鳴いていたジョウビタキ雌、土を掘り返していたシロハラの姿を観察できたり、時間を忘れる楽し時間を過ごしました。(写真)2024年2月8日撮影(一枚目のヤマシギは昨シーズン撮影)なお、ヤマシギ保護のため、観察地は非公開としています。あしからず。
2024.02.08
コメント(0)
昨年9月14日以来、姿を見かけているヤマガラの濃色化個体の様子と冬鳥のいろいろを観察するために水元公園に出かけました。亜種ヤマガラでは頭上と喉が黒いのですが、グレーを帯び、頬・額・耳羽が茶褐色でした。三列風切と雨覆は青灰色で、亜種オーストンヤマガラの青灰色の少ない点と相違しています。冬鳥では、何と言ってもユリカモメ冬羽からの換羽のいろいろを観察できるのも醍醐味です。冬羽、雨覆に褐色斑のある若鳥から第一回冬羽に換羽中の個体とじつにいろいろ。でも気になったのが、換羽異常と思われる個体が1羽。このほか、標識リングを装着している個体を4羽発見しました。このほか、遊歩道上で餌場をめぐって激しい争いを展開していたツグミとシロハラ、外側尾羽2対が白くて目立つアオジ雄、小合溜では水面を移動しながら羽づくろいをしようと試みていたカンムリカイツブリの格好のおもしろさ、嘴の色が雌よりも黒味の少ないキンクロハジロ幼羽を発見したり、楽しい時間を過ごしました。(写真)2024年2月7日撮影
2024.02.07
コメント(0)
鳥友から手賀沼の鳥をとりあげているブログで足の黄色いセグロカモメと思われる個体にニシセグロカモメとキャプションがつけられているが、写真は一枚のみで、背の濃さはセグロカモメと同等で後頭部に斑があるのはわかるがその他には判断できる材料がないと質問をもらいました。早速、当該ブログを閲覧してみましたが確かに質問のような印象でした。(足の黄色いセグロカモメについて)質問のあった個体は、永井(2006)が、ホイグリン系として紹介しているホイグリンカモメ(ニシセグロカモメ)とセグロカモメの両方の特徴を持つカモメではないかと思われます。後頭部に斑が認められるものの、永井(2014)が成鳥冬羽の背の濃さは、ウミネコと同程度の濃さとしているものとはあきらかに違いがあります。さらに、頭の斑の細いかどうかの判断ができないこと、嘴の赤斑は大きいとは見えないことなどから、永井(2006)がホイリング系と紹介しているような個体と思われます。(ホイグリンカモメの特徴について)氏原(2010)がホイリングカモメと識別するためのポイントをあげています。(1)背の色はウミネコ程度(2)嘴の赤斑は大きい傾向(3)足は黄色だが、肉色、ピンク色がかる個体やベージュに見える個体もいる。(4)頭の斑はセグロカモメより細く鋭い。(5)初列風切の黒色部はセグロカモメより多い傾向。(引用)永井真人.2006.カモメ観察ノート.p101-121.文一総合出版.氏原巨雄・氏原道昭.2010.カモメ識別ハンドブック.p28-29.文一総合出版.永井真人.2014.野鳥図鑑.670.p352-353.文一総合出版.(写真)一枚目;足が黄色に見えるセグロカモメ、2014年1月2日茨城県ひたちなか市平磯で撮影二枚目:足が黄色味がかっているセグロカモメ、2017年2月25日千葉県銚子市で撮影三枚目:セグロカモメ、2019年2月17日千葉県銚子市で撮影
2024.02.06
コメント(0)
亜種オオカワラヒワは、叶内(2020)が述べているように冬鳥としてほぼ全国に渡来するアトリ科の鳥類です。これに対して亜種カワラヒワは、全国に分布しているが厳冬期は暖地に移動するアトリ科の鳥類とされています。東京近郊では、春先に両種を見かける可能性があり外観の特徴を整理してみました。塩田(2009)は、上面の色、亜種オオカワラヒワと亜種カワラヒワ(旧コカワラヒワ)を比べた識別点についてつぎのように報告しています。背、肩の羽色については、両亜種とも(暗)褐色ですが色調に微炒な差があり、オオカワラヒワは赤茶色味があり(外国の資料には「チョコレート褐色」と記したものかある)、コカワラヒワはオリーブ(緑黄)色味が強いと記しています。さらに、亜種オオカワラヒワは、亜種カワラヒワと比べて、ひと回り大きい、三列風切外弁の白色部が幅広く(比較的目立つ)傾向にある、頭から後頸にかけて(コカワラヒワの灰黒色より淡く)灰色と述べています。なお、亜種オオカワラヒワはコカワラヒワより明瞭に大きく、最大の亜種とし、測定値(翼長・尾長・嘴峰・跗蹠)はの10%強の差があります。ただし、比較する他の個体がいない場合の観察では、大きさが分り難いと報告しています。なお、亜種オオカワラヒワの雌は全体に色が淡く、頭部は褐色です。六枚目の写真をご覧ください。(引用)塩田 猛.2009.野鳥講座.第12章.オオカワラヒワ.日本野鳥の会大阪.会報むくどり通信.叶内拓哉.2020日本の野鳥.第2版.p380.文一総合出版.(写真)亜種カワラヒワ:1枚目2023年5月18日、同年7月27日柏市北部で撮影亜種オオカワラヒワ:3枚目2020年2月11日水元公園、4枚目2023年11月29日柏市内、5枚目:2015年1月24日柏市内、6枚目雌2023年12月23日柏市内で撮影
2024.02.05
コメント(0)
昼まで小雨がふっていましたが午後にはやんだので、柏市内の小さな谷津田、屋敷林、林が残っている環境があるフィールドに出かけました。到着直後から小さな池の縁にカワセミ雌の姿を発見。しばらく観察していると、下嘴全体が赤いこと、嘴基部も赤くなっていました。一枚目と二枚目の写真は本日観察したカワセミ雌です。茂田(2006)がカワセミの特徴について、嘴について雄は黒く、雌は下嘴の基部の三分の一~二分の一または下嘴全体が赤褐色と解説しています。下嘴全体が赤いカワセミは他のフィールドではどうかと画像を復習してみました。すると、三枚目の写真の個体のように、半分程度が赤い個体、四枚目のように下嘴全体がほぼ赤褐色ですが嘴基部は赤くない個体、五枚目のような下嘴の半分程度が赤褐色の個体とバリエーションがあるのに気がつきました。ひょっとして、成鳥雌の婚姻色が今日観察した個体かもいれないと印象を持ちましたが裏付ける文献報告が見当たらず、今後の宿題となりました。(カワセミの嘴の長さと色彩について)内田(2021)がカワセミについての調査結果を整理し報告しています。嘴については、カワセミの性は下嘴の色で判別(雄は黒い・雌は赤い)との文献の基準を元に、色彩と長さについて整理した結果、嘴は年齢、季節によって長さや色彩が変化していたとし、成鳥の嘴の長さは一年を通して長さに変化があり、秋から春にかけて平均値では一番長くなり、繁殖期には短くなった。また長さの平均値では雄のほうが1.7mm長く、性差があったと記しています。しかし、雌の下嘴の赤褐色の面積についての記述はありませんでした。(引用)内田 博.2021.カワセミの嘴.日本鳥類標識協会全国大会.講演要旨集.p11.(写真)一枚目、二枚目:2024年2月4日柏市内で撮影、三枚目:2023年1月13日、四枚目:2024年1月19日いずれも我孫子市で撮影、五枚目:2020年11月2日松戸市で撮影
2024.02.04
コメント(0)
先日、渡良瀬遊水池周辺の冬鳥をリポートしましたが、鳥友からトラフズクはどんなもの餌にしているのかと質問をもらいました。渡良瀬遊水地のトラフズクについては、平野(2012)がペレット採集した結果を整理し報告しています。調査は2004年から2011年の間で、10月下旬から2月下旬にかけて行ったと述べています。渡良瀬遊水地の塒を利用しているトラフズクは、年による変動はあるものの7年間の合計の餌動物数によると、哺乳類が69.9%、鳥類が28.8%との結果と記しています。日本のトラフズクの冬期食性に占める鳥類の割合は最大9.6%から最小0%で、28.8%を占める渡良瀬の場合は著しく多い結果となっていると指摘しています。また、年によってその割合は著しい変動があったと報告しています。要因は、トラフズクは餌動物の生息数の変動などによって捕食が困難になると、主要な餌動物を別種に変更することが知られており、ネズミ類特にハタネズミの個体数の変動による可能性が高いと記しています。(引用)平野伸明.2012.渡良瀬遊水地におけるトラフズクの食性.日本鳥学会誌.第61巻.p130-136.(写真)2024年1月29日、2020年5月11日、2020年5月31日いずれも渡良瀬で撮影
2024.02.04
コメント(0)
松戸駅から一番近い江戸川沿いに川の一里塚があります。土手から江戸川におりると葦原、アワダチソウが群生しているエリアがあり、冬の小鳥を近い距離で観察することができます。代表的な冬の小鳥は、ベニマシコ、アオジ、ツグミといった鳥たち。待機しているとピッポとベニマシコの鳴き声が聞こえ、4羽以上が藪の中を移動していくのがわかりました。しかし、こちらの都合よく登場してくれませんでした。しかし、待機しているポイントのそばに、アオジ、餌を探すシジュウカラ、エナガ、ジョウビタキが次々に登場し目を楽しませてくれました。このうち、アオジ雌雄が餌を物色しながら、尾をあげる行動をしていました。囀りはなく、地面を少し進んではニシオジロビタキのように尾を上げていました。雌が背を反らせて尾をあげる行動や雄が雌に存在をアピールしている姿は目撃したことがありますが、今回のような行動ははじめてでした。(写真)2024年2月3日撮影(ベニマシコは藪の中を移動していたので昨年1月のもの)
2024.02.03
コメント(0)
柏の葉公園で越冬しているアトリ、その近郊に湿地で越冬しているイカルチドリとヒクイナを観察しに出かけました。曇り空で外気温が低いこともあり、公園内は閑散としていて小鳥たちは落ち着いて餌探しができている様子でした。アトリは合計23羽の姿があり、餌を求めていくつかの林を移動していました。このほか、公園内の池ではカワセミ雄が何度も魚をゲットする姿、オナガガモ、広場の一角では羽毛をふっくら膨らませたモズの雄、複数のジョウビタキ、地面を掘り返して餌をゲットした後枝に止まり休憩していたシロハラと出会えました。その後、公園の近郊にある湿地に移動し、イカルチドリの姿を探索しました。湿地を見渡してみると、オカヨシガモの雌雄、ヒドリガモ、ダイサギ、コサギの姿を見つけました。お目当てのイカルチドリは1羽見つけました。コチドリよりも長い嘴、長くてピンク色の足、耳羽付近が褐色の過眼線の冬羽と思われる個体ではした。日が暮れてきたので帰り道にと思って歩きだしたら、水路沿いを動く影。双眼鏡で捕捉してみると、昨秋11月に姿を観察したヒクイナでした。(写真)2024年2月2日撮影
2024.02.02
コメント(0)
昼過ぎから北よりの強風が吹き抜けるあいにくのお天気の中、先月24日に観察できたアカガシラサギの様子を見に出かけました。しかし、今日は姿は見つからず。それでも、葦原の縁にクイナが姿を現してくれました。体上面は褐色で、黒い斑点と下面が青灰色、腹と脇に黒と白の横縞、上嘴が黒く、下嘴は赤い成鳥冬羽でした。一枚目から三枚目の写真は今日観察した個体です。クイナは注目してみると、その年齢がわかるヒントがあります。四枚目と五枚目は都内水元公園で観察した個体です。胸の前までが褐色で、顔の青灰色部が褐色味があるので第一回冬羽とわかります。(嘴が上嘴まで赤い個体は第一回夏羽個体です)このほか、沿岸でカワセミ雌や沼の水面を移動していたハジロカイツブリも観察。カワセミは下嘴が赤色なのが多いのですが、下嘴にくわえて上嘴の一部が赤い個体も発見。よく見てみると実にいろいろです。(写真)2024年2月1日撮影
2024.02.01
コメント(0)
全30件 (30件中 1-30件目)
1