今日も他人事

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2023年12月26日
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カテゴリ: 感想






私が『機動戦艦ナデシコ』に触れたのって、石川県で、小学生か中学生ぐらいの頃に夏休みの特番みたいな形で、毎日1話ずつ放送されてたのがきっかけだったと思います。『スレイヤーズNEXT』とかと同じ形態でしたね。

毎日1話見て、気に入った話はVHSに録画して、宿題そっちのけで繰り返し見てたんですけど、ちゃんと好きになったのって、実は後半からなんです。

要は、それまでの昆虫型ロボットじゃなくて、巨大人型兵器が襲来して、中に人が乗っているのがわかって、実は敵は、かつて木星に追いやられた人類の末裔でした。単なる人類同士の戦争でした、というのが分かった頃から。今で言うと『進撃の巨人』で巨人は人間(マーレ人)がコントロールしている生物兵器みたいなものだったんだよ、って分かったようなもん。

前半の話っていうのはナデシコという新造戦艦に癖のある寄せ集めメンバーが集まって、戦いの中で徐々に結束していく話なんですけど、後半からは種明かしと広げた風呂敷の畳が主軸になってくんです。敵だった木星蜥蜴は勿論、火星の遺跡の存在とか、ネルガル重工の思惑とか、説明大好きイネスさんの正体とか、色々明かされていく中で、人間関係も成長していって。

最初はアキトを巡って女同士の駆け引きをしていたりしてましたけど、そういうのも徐々に落ち着いて、ギャグキャラっぽかった面々が本当は色々悩んだり抱えたりしてるんだよって言うのが描かれたり、最初は「興味ないね」キャラだったルリルリが完全に皆のマスコット兼お姫様モードに突入して、続編(劇場版)の主役となる片鱗を見せ始めたり、とか、etc。

以下は、特にお気に入りの回です。

・17話

ムネタケ「守るべき正義は厳然として存在する!それを阻まんとする悪もまた然り!正義の力を思いしれっ!」

エステバエックス回。ウリバタケの 「だが、あくまでも模型だ。本物じゃない。こちとら、人殺しの機械を愛してウン十年さ。リアルさと現実の折り合いはつけてるつもりだぜ」

・18話

ルリルリ回。 「火星だろうと木星だろうと人間なら誰だろうとマズイと思うでしょう」 ってルリちゃんの台詞が地味に好き。
後、劇場版見た後だと 「ナイト気取りかぁ!?」 が妙に刺さる……王子様なんだよなぁ、ルリルリの(--


・20話

ユリカ「釣りは焦っちゃ駄目ですよ!」

ボソン砲回。個人的にナデシコの戦闘ではトップクラスに好き。名艦長同士の読み合い&騙し合い、ピンチからの大逆転、そして戦いの後の電文といい、 「なんという爽やかな連中じゃ」 な内容。最後にユリカの 「ムッカー!快男児って何!?私、こんなに可愛い女の子なのにー!」 で〆まで含めて大好き。劇場版でも出番あって嬉しい。

あと、地味にホウメイガールズの 「あたし、アカツキさんの持っていきまーす」「あたし、アキトさんの」「それはまずいんじゃない?」「平気平気、艦長なんかに負けないから」「あたし、リョーコお姉様のがいいなぁ」「「「キャー!」」」 の女子校感、好き(笑)



アキト「初めて、自転車に乗れた日。初めて、草原を走った日。そうだ、理由なんてなかった。分かった、分かったよ、ガイ!」

時系列&マインドシャッフル回。劇場版とは違う意味で、どこか不気味な、怪談的。でも、ちゃんと理由もギャグも仕込んでるのが流石、ナデシコ。演出面で一番好きな回です。 お兄ちゃんの不潔!

1話にして、各キャラの別側面を拝める色んな意味で貴重な回。A級ジャンパーの有用性とか、イネス先生の正体とか、伏線もばっちり。

あと、僅か1話で相転移砲により木星軍人を大量虐殺&月面制圧してるのがエゲツナイ。あ、月面フレームいいよね!重量感あって。

・23話

ルリ「はい、ルリです。にゃお」

脱走したナデシコクルーによる一大反撃回。いやぁ、ここの盛り上がり、凄かったなぁ……当時は若かった(--



クサカベ中将「悪の帝国は、正義によって滅ぼされる。それがゲキガンガーの結末でもある。悪の帝国は、滅んで当然。それがあの作品に貫かれていたテーマだ。すなわち、我々を弾圧し、木星に追いやった地球は滅んで当然!正義は常にたった一つ!我々の側にある!」

衝撃回。当時、びっくりしましたね。そして、何回も見直したなぁ……。

いいよね、大団円になるかと思わせからのバキューン。現実は、そんなに甘くなかったよ……アニメだけど。

ユキナちゃんの 「お兄ちゃん、ほら、お兄ちゃんの大好きなゲキガンガーだよ、もう馬鹿にしたりしないから頑張って……!」 が切ない。

ラストの 「俺、何も見えてなかったんだ。好きだったから……すげえ好きだったから……都合の良い所しか見ていなかったんだ」 は今も忘れられません。

以上。そんなわけで、これも20年ぶりぐらいに見ましたけど、楽しかったです。

『スレイヤーズ』しかり『エヴァ』しかり、90年代中盤のアニメって丁度、私が思春期一歩手前ぐらいだったってのもあると思うんですけど、すごく刺さったんですよね。なんか。

子供として単純に楽しめたって言うのもあると思うんですけど、楽しめた先にクリエイターの人らが突き付けてきたものもあると思うんですよね。なにかしら。だからこそ、今でも思い出に残る作品になってるんじゃないかって。

演出的にはギャグというか、お約束的なところもあるんですけど、実際はシリアスな内容が多くて、結構、えげつなかったりもするんですね。熱いところは熱いし、切ないところは切ない。でも、笑えるところは笑えるし、最後は笑顔で終われる。その辺りのバランスが絶妙だったなって。



個人的に『機動戦艦ナデシコ』で凄いなって思うのは、ありとあらゆるオマージュをやりながら、でも、どこかでドライに突き放してるところですね。

リアルロボットの中でスーパーロボットのオマージュをやりつつ、SFもやり、ラブコメもする。

それら全部やっておきながら、「んなわけねーじゃん!」って感じで突き放してくるんですよ、この作品。それぞれの良さを全部出してくるのに、じゃあ、それを賛美しているとかいうとそうではなくて、そんなわきゃないよね、そんな都合よくないよねって、自分達のやってることを自己否定して。その極地みたいなのが、劇場版で、監督は本当、アキトに酷いことしたよね……(苦笑

でも、だからこそ、見れるんですよ、『ナデシコ』は。





上げて下げて上げて下げて、でも、最後は「物語はハッピーエンドがいいよ」みたいに、きちんと〆て。それって、プロの仕事だよなって。観客に衝撃を与えつつ、でも、置いてきぼりにせず、ちゃんとデザートも出してくれて。

もしかすると、最後はハッピーエンドにするためにこそ、自己否定が必要、ということなのかもしれません。それはホロ苦いし、もの悲しいし、期待されていたものとは違うかもしれないけど、でも、ちゃんと味のあるものだったとは思うんですよね、私。『まどマギ』の劇場版とかと同じで。





「怖かろう。悔しかろう。たとえ、鎧を纏おうと、心の弱さは守れないのだ!」

やっぱ、ナデシコって最高だわ!!!






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最終更新日  2024年02月08日 00時51分12秒
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