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2006年01月25日
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テーマ: 本日の1冊(3697)
模倣犯(5)

古河鞠子の遺族である有馬義男はほかの殺人事件で自分を責めている塚田真一少年にいう。「あんたら若い人は、よくそういうものの言い方をするね?」「自分には何々する資格はないとかさ。自分は何々だと思ってコレコレのことをしてきたけど、本当はそれは偽りで、自分の心の底にはコレコレしたいシカジカの動機が隠されていたのだから、あれは間違いだったんだ、とかよ」「私なんざ、不思議でしょうがないよ。」「悪あがきでいい。そんなことははなからわかっているんだもの。私のやることなんざ、全部悪あがきだもんな。だって鞠子は帰ってこないし、真知子は正気に戻らん。そうだろう?」「そんでも私は、悪あがきをしたいんだよ。何かをしたいんだ。」「今となっては私には、大切なのは結果じゃないんだ。結果は理不尽で、ぜんぜん納得がいかないよ。それは充分わかっているんだ。だけど、そこまでいくあいだのことが大切なんだ。もう受身でいるのはまっぴらなんだよ」

有馬の塚田少年に向けてのこの十数ページにわたる言葉(引用は物凄くはしょりました)は、この長い物語の(私にとっての)クライマックスであった。塚田少年が前を向くきっかけになった言葉の数々である。犯人たちの心の内は、とりあえず私には重要ではない。運命が人を襲ったときに、人はどのように立ち直るのか、そのひとつの物語を示してくれたということで、この「模倣犯」は意義があった。

それにしても宮部の小説において主人公は多くの場合少年とおじさんである。この小説も結局そうなった。

ピースの心の内面は一応描いてはいる。しかし、全面的に描いてはいない。この小説の中で、その心の内面へ探索していくかぎはいくつも残されているので、読者はもう一度読み返しながらそこに旅していけばいいのだろう。

2006.01.20読了 。結局最後はあっという間に読んでしまった。おそらく全部読み終えるのに、合計30時間以上は使った(浸かった)と思う。まあ、それでもさらさらっと読めてしまうのは宮部みゆきの才能だろう。「晴子情歌」の高村薫ならこうはいかない。

読み終える前後、ライブドア事件が進行していた。ひとつの意見は 「模倣犯」読書日記(2) で述べた。これは劇場型事件ではないが、事件はまるで劇場のような展開を示している。もし誰かがピースのように「これは僕のオリジナルだ」といいながら脚本を書いているのだとしたら、その場合犯人「役」はホリエモンではないだろう。真犯人Xは「真犯人Xは別にいる」とアドバルーンを揚げるだろうか。真犯人Xは決してそのような墓穴を掘るような真似はしないだろう。





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最終更新日  2006年01月25日 08時44分24秒
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