再出発日記

再出発日記

PR

フリーページ

お気に入りブログ

体感治安の悪化 New! 七詩さん

「おすわり」2 New! ポンボさん

源氏物語〔12帖 須磨… New! USM1さん

角野隼斗 ピアノリサ… New! はんらさん

『イギリス断片図鑑… New! Mドングリさん

カレンダー

2006年04月15日
XML
テーマ: 本日の1冊(3697)
博士の愛した数式
『博士の愛した数式』新潮文庫 小川洋子

春はこの小説を読むのにちょうどいい季節である。
春はこの小説を読むのにとても残酷な季節である。
春の季節の向こうにあるものは、
近づいているのか、遠ざかっているのか。

博士とルートの問答で、印象に残ったことの一つ。
続きの奇数が二つとも素数なのが双子素数という。17、19とか41、43とかである。素数が無限にあるのように双子素数が無限に有るかどうかは分からない。
「数が無限にあるんだから、双子だっていくらでも生まれるはずだよ」
「そうだね。ルートの予想は健全だ。でも100を過ぎて一万、百万、千万、と大きくなると、素数が全然出てこない砂漠地帯に迷いこんでしまうこともあるんだよ」
「砂漠?」


映画 が博士と未亡人の関係が重要なテーマになっているとしたら、この小説は博士とルートの関係が重要なテーマになっている。
「彼はルートを素数と同じように扱った。素数が全ての自然数を成り立たせる素になっているように、子供を自分たち大人にとって必要不可欠な原子と考えた。自分が今ここに存在できるのは、子供たちのおかげだと信じていた。」
子供は身近にいるようで、実は砂漠の向こうのオアシスのように貴重なものであることに気がつかされる。気がつくということは自分の中の素数を思い出す過程でもある。

この本を読んでも結局オイラーの公式を構成するeやiやπの解釈は出来なかった。
『神は存在する。何故なら数学が無矛盾だから。そして悪魔も存在する。何故ならそれを証明することは出来ないから。』
どこかの「難しい名前の数学者」の言葉のように、
このやさしさに満ちた小説の背後には
このような恐ろしい『真実らしき』ものが横たわっている。
だからこそ何度も何度も宇宙の砂漠をさまよい歩いた
冒険者である博士が地球に舞いおりたとき
お手伝い親子にみせる優しさが私には心に堪える。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2006年04月15日 21時49分46秒
コメント(8) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

ヒフミヨは天岩戸の祝詞かな@ 自然数の本性1・2・3・4次元で計算できる) ≪…三角野郎…≫は、自然数を創る・・・  …
永田誠@ Re:アーカイブス加藤周一の映像 1(02/13) いまはデイリーモーションに移りました。 …
韓国好き@ Re:幽霊が見えたら教えてください 韓旅9-2 ソウル(11/14) 死体置き場にライトを当てたら声が聞こえ…
韓国好き@ Re:幽霊が見えたら教えてください 韓旅9-2 ソウル(11/14) 死体置き場にライトを当てたら声が聞こえ…
生まれる前@ Re:バージンブルース(11/04) いい風景です。 万引きで逃げ回るなんて…
aki@ Re:書評「図書館の魔女(4)」(02/26) 日本有事と急がれる改憲、大変恐縮とは存…
北村隆志@ Re:書評 加藤周一の「雑種文化」(01/18) 初めまして。加藤周一HPのリンクからお邪…
ななし@ Re:「消されたマンガ」表現の自由とは(04/30) 2012年に発表された『未病』は?
ポンボ @ Re:書評「図書館の魔女(4)」(02/26) お元気ですか? 心配致しております。 お…
むちゃばあ@ Re:そのとき 小森香子詩選集(08/11) はじめまして むちゃばあと申します 昨日…

バックナンバー

・2024年11月
・2024年10月
・2024年09月
・2024年08月
・2024年07月
・2024年06月
・2024年05月
・2024年04月

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: