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2007年04月05日
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テーマ: 本日の1冊(3697)
「10人の共犯者。  同じ組織の同じ課の部下。だが、彼らは果たして仲間といえるのだろうか。気持ちはバラバラだ。捜査一課という荒涼たる砂漠で、それぞれがもがき苦しみ、誰もがひとり生き残ることだけを考えて行動している。 」(P.198)

「第3の時効」(集英社文庫 横山秀夫)
これはF県警捜査一課長の田畑の独白である。現場たたき上げの刑事としては出世頭の彼であるが、心はぜんぜん休まらない。彼のもとにある三つの班は、どれもが彼の言うことを聞かない。しかし、検挙率はどれもがほぼ100%。一人一人がハイエナのように成果をねらっている。男の職場は戦場である。ということが多い。これは果たしていいことなのだろうか。良くないことなのだろうか。

確かに戦いの結果は「出世」に結びついてはいる。しかしだからといって、男たちは出世の先の「お金」とか「安定」とかを目指して戦っているのだろうかというと、そこはおそらく違う。戦いの結果、案外「お金」を得ることには結びつかない。(第一今の時代、出世して昇給しても年間万単位であがるということはない。)しかも、ひとつの判断が、一人の男を潰したり、一人の人生を狂わせたりする。
助け合いながら、仕事をすればいいじゃないか、と部外者は思うのかもしれない。しかし、情報戦が仕事の大半を担う彼らにとっては、それでは返って成果はいつも誰かに奪われるだけなのである。

彼らを支えているものは何なのか。

ひとつはプライドであろう。「矜持」という言い方のほうがあっているのかもしれない。

その矛盾した中身を描きながら、実はいろんな仕事場に共通する「仕事」ということの中身について、読ませる小説群なのである。そのこととミステリの部分があいまって、私の好きなエンタメ小説になっている。





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最終更新日  2007年04月05日 18時28分24秒
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