まいかのあーだこーだ
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じつは4月9日のときの日記で、「靖国のことはそのうちやります。」と書いたんですが、それっきり、放り投げたままでした。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~「善人であろうと、悪人であろうと、 日本人は、死んでしまった人たちを差別しないんだ。 どの霊にもお参りするんだ。 だから靖国の霊にもお参りするんだ。」・・たしかに日本には、そういう考え方や風習があるのかもしれないし、それはそれで、理屈としては通ってるんだろうと思います。だけど、問題はそれより前に、そもそも日本人が、靖国に祀られているような戦争責任者のことを、ほんとに「悪人」だと思っているのかどうか、ってこと。じっさい、日本国内には、B級、C級はおろか、A級戦犯のことでさえ、「たんに戦勝国側に悪人扱いされただけで、 ほんとはちっとも悪くなかったんだ」と思ってる人間もいる。たとえば、安倍晋三なんかは、「国のために殉じた戦争指導者を尊崇すべきだ。」なんてことまで言ってる。「二度と戦争をしない」という誓いをたてるのと、「国に殉じた戦争指導者を尊崇しよう!」と思うのとでは、あまりにも決定的な違いです。にもかかわらず、実際問題、日本人がどう思っているのか、この区別は、あきらかではありません。なぜなら、日本は、いちども、「だれが、どう間違っていたのか」について、戦後の日本の、自分自身の視点で、明確に語ったことがないからです。つまり、うやむやにしてきた。だけど、それが明らかにされないかぎり、「同じ過ちを繰り返さない」という日本の表向きの主張には、なにひとつ、根拠があるように見えません。「“過去のあやまちは繰り返さない”と言いながら、 じつは、すこしも悪かったとなんか思っていないんじゃないか」そういう疑念を払う根拠がないからです。「悪人でもお参りする」という日本の風習があるのなら、その理屈は理解できます。でも、そもそも、太平洋戦争や大東亜戦争へ導いた人間のことを、日本人がちっとも「悪い」と思っていないのだとしたら、それは大問題です。日中戦争は明らかに侵略戦争です。そして、侵略戦争は「悪いこと」です。であれば、悪かった責任者がかならず存在しているのであって、「だれも悪くなかった」なんてことは、絶対ありえません。最近、宮崎哲也なんかは、「日本国民がみんな悪かったんだよ。」みたいなこと言ってるけど、それはほとんど、「だれも悪くなかった」と言ってるのと同じです。結果的には、だれも責任をとらなくてよくなってしまう。「一億総無責任」の典型的なパターン。そんなんじゃ、話になりません。たしかに、日本はこれまで、謝罪もしてきたし、不戦の誓いもしてきました。でも、日本は戦後60年たった今でも、「誰が、どう悪かったのか」について、総括をしていません。ただたんに、戦勝国側に裁かれた極東裁判の現実を受容しているだけです。戦後の日本自身の、極東裁判の判断とは切り離された思想や判断をもって、「戦争の反省」ということを、やってきていないのです。そして、その反省もウヤムヤなまま、いつのまにか、「国民みんなの責任だから、責任は問わなくていい」とか、「国に殉じた戦争指導者は尊崇しよう!」みたいな話まで出てきてしまう。これじゃ、「また一億軍国主義に向かってる」と思われても仕方ない。日本は、戦後の立場において、「いったい誰が、どう悪かったのか」ということについて、実証的に総括をしなきゃならないのです。皮肉にも、靖国参拝が、それを露呈させました。いま現在、日本人は、自らの矛盾や弱みから目をそらそうと必死だけど、靖国問題が続くかぎりは、この問題から逃れられないと思う。だからこそ、「いったいだれの何がまちがっていたのか」をあきらかにした上で、「日本はもう同じあやまちを繰り返すことはないんだ」ということを、実証的に証明してみせなきゃなりません。やっぱりA級戦犯が悪かったのかもしれない。あるいは、暴走した軍部が悪かったのかもしれないし、無責任な文民政治家が悪かったのかもしれません。もしくは、靖国神社という宗教組織こそが、なんのことはない、悪の根源だったのかもしれない。もちろん、昭和天皇も死んじゃったんだから、それも含めて、これは、タブー抜きで議論すべきです。そうでなければ、いつまでたっても、「疑いの目」は消えません。日本国民のひとりの立場から見ても、「日本には軍国主義のにおいが消えてないんじゃないか」という不気味な疑いは消えません。もちろん、靖国の参拝をやめれば、この問題を、永久にウヤムヤにしてしまうことだってできるでしょう。(政策的にも、そのほうが、日中のダメージはすくないワケだけど)でも、靖国参拝を続けるかぎり、けっきょくは、この問題に行き着いてしまうんです。けっきょく、この問題を避けて通ることはできません。いま、日本に迫られているのは、この二者択一です。※ちなみに、 中国向けODAについては、 無くしていく方向で話を進めて構わない時期だと思います。
2004.11.28