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さて今日は株式投資本オールタイムベスト135位
反脆弱性(ナシーム・ニコラス・タレブ著、2017年、ダイヤモンド社)
のクライマックス第12弾です。
今日は、第15章 敗者が綴る歴史 から。
逆七面鳥問題
未知のもの、目に見えないものには、よいニュースが潜んでいる場合もあれば、悪いニュースが潜んでいる場合もある。
繰り返しになるが、「ないことの証拠」と「証拠がないこと」は違う。当たり前の事だが、次のような意味合いを持つ。反脆い状況では、よいニュースが過去のデータにあまり存在しない。一方、脆い状況では、悪いニュースが過去のデータにあまり存在しない。
ノートを持ってメキシコを訪れ、手当たり次第に人々に話を聞き、全人口の平均的な資産を調べるとしよう。標本の中にカルロス・スリム(2010~2012年まで3年連続で世界長者番付の1位を獲得したメキシコの富豪)が含まれていなければ、情報はないに等しい。
私の推定では、1億人近いメキシコ人の下位7000万~9000万人の資産をすべて合計しても、スリムには敵わないはずだ。そのため、5000万人を標本にしても、その中に”希少な事象”が含まれていなければ、その標本には何の意味もなく、合計資産を過小評価してしまうかもしれない。

試行錯誤の効果を示した図6と図7のグラフを思い出してほしい。いじくり回し(ティンカリング)を行っている間は、小さな損失をたくさんこうむるが、たまにビッグな当たりに出会う。このような方法論は、外側から見ると質の悪い性質がある。短所ではなく長所が見えないということだ。
試行錯誤のような反脆いシステム(正の非対称性、正のブラック・スワンが潜んでいるシステム)では、実績の標本を取ると、長期的な平均が過小評価される傾向がある。短所ではなく長所が隠れてしまうのだ。

図6 オプション風の試行錯誤の仕組み(「早めに失敗する」モデル)。「凸ないじくり回し」ともいう。失敗の代償は低く、損失には最大値があるが、潜在的なペイオフは巨大(無限)。正のブラック・スワンの重要な性質とは、宝くじとは違って、利益に上限はないが(または上限が未知だが)、失敗による損失には上限があり、既知であるということだ。

このタレブの「凸ないじくり回し(ティンカリング)」と言う表現は非常にいいな、と思いました。そして同時に、自分が投資家として日々行っている作業も正にこれだなと感じました。
具体的に言うと、私は毎日約750銘柄からなる「優待株いけす」をしっかりと見張り、光り輝く魚がいないか血眼で探しています。高いポテンシャルがあると思えば、実力に応じてポートフォリオ上位に引き上げます。ただその魚が本当に出世魚だったという事は実際には少なく、大多数は小さな損失を出して
元々住んでいたいけすに戻ります。
しかしながら、たまに大ヒットが出て、そういう子が他の銘柄の損失を埋めてくれます。昨年2022年でいうと 1605INPEX
や 2726パルグループHD
が正にそうでした。だからこそ私は地獄の日本市場で21年間も生き抜くことが出来たのです。
この本を読んで、「よし、これからはもっと意識的にタレブの言う凸なティンカリングを繰り返していこう。」と思いを新たにしました。(続く)
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