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これから資産運用に取り組もうとされる方の中には、保有する金融資産のうち、どの程度をリスク商品に振り向ければ良いか、判断に迷っている人も多いのではないでしょうか。「あの人がこれくらい投資しているから、私もこれぐらい…」という横並び意識は思わぬ結果に陥りかねません。個々人の置かれている状況(家族構成や資産状況、年齢や健康状況、相続の有無など)によって、取ることのできるリスクが異なるからです。今回は、リスクについて少し考えてみましょう。日常生活において、「リスクが高い」というと「危険が大きい」という意味合いで使われることがほとんどです。主に損失を被る可能性を想定してリスクと呼ぶことが多いのですが、金融の世界においてリスクとは期待されるリターンのばらつきのことを指し、標準偏差というデータの散らばり具合(あるいは、分布の広がり幅)を示す統計学的な数値を使って説明されるのが一般的です。例えば、あるリスク商品の期待リターンが+10%で、1年後のリターンの振れ幅が20%(標準偏差 年率20%)だとすると、1年後にこの資産のリターンは7割弱程度の確率で-10%から+30%の間におさまるだろう(期待リターンの+10%を中心に±20%)ということになります。このようにリターンの取り得る幅を金融の世界ではリスクと呼び、値下がりだけでなく、値上がりも含めて考えます。さて、前述の「7割弱程度の確率で-10%から+30%の間におさまるだろう」とはどういうことでしょうか。ここで、富士山の形をしたグラフをイメージしてください。横軸がリターンで、縦軸はデータの個数です。横軸の中央が期待リターン(ここでは+10%)であり、ここを中心に左右対称にグラフは広がっています。富士山のてっぺんがあるのは、ちょうど中央の期待リターンの上で、そこから左右に裾野が広がっていく、つまり、期待リターンから遠ざかるにつれて発生頻度が下がっていくことになります。このような形のグラフを正規分布といいます。リターンが正規分布することを前提にすると、約68.3%の確率で1標準偏差、つまり期待リターンを中心に±20%の範囲内(-10%から+30%の間)にリターンがおさまることが想定されます。2標準偏差であれば95.4%の確率で期待リターンを中心に±40%(1標準偏差である20%×2)の範囲内に、3標準偏差であれば99.7%の確率で±60%(20%×3)の中に将来のリターンが分布するであろうことを意味します。個々人が取り得るリスクは、最悪の場合、たとえ失ったとしても日常の生活に、またその後の資産形成計画に大きな支障を生じないで済む金額かということをポイントに決定すべきです。ここで、最悪の場合をどう捉えるかですが、マイナス2標準偏差(前述のケースだと期待リターンから40%のマイナス、つまり1年後に30%程度の損)を前提とするのが一般的といえるでしょう。このように過去のリターンのばらつき度合い(標準偏差)と、その発生する確率を手掛かりに将来のリターンの変動幅と可能性を想定することで、資産のどの程度を株や投信などのリスク商品に振り向けるべきかを判断する基準とすることができます。==========================================================ノーザン・トラスト・グローバル・インベストメンツ株式会社ファンドマネージャー 相川雅宏(楽天マネーニュース[株・投資]第95号 2011年4月22日発行より) ==========================================================
2011.04.22