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需要の多い介護業界で人手不足倒産が急増しているという。 自公連立政権と厚生労働官僚の成果だ。 自公連立政権は軍拡、産業振興に予算はつけられても、社会保障関係予算は増加する一方であり、福祉、子育てに新たな予算はつけずにきた。 介護現場の崩壊で避けられぬ経済的損失…賃上げ財源乏しく人材流出も止まらず倒産急増日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年6月9日 9時26分 介護業界が危機に直面している。東京商工リサーチが7日発表した調査結果によると、「介護事業者(老人福祉・介護事業)」の倒産が急増。今年は先月までに計72件(前年同期比75.6%増)に達し、あと1カ月を待たず上半期の過去最多だった2020年の58件をすでに上回った。 介護業界は深刻な人手不足に頭を悩ませている。他業種と比較しても賃金が低く、人材流出に歯止めがかからない中、賃上げの波にも乗り切れていない。中小企業を対象にした日本商工会議所の調査(5日発表)では、「医療・介護・看護業」の今年度の賃上げ率は、正社員で2.19%と全体平均の3.62%を大きく下回っている。 これでは採用難と離職に歯止めがかからない。さらに追い打ちをかけているのが円安・物価高だ。光熱費や燃料、介護用品などの値上げにより経営が逼迫し、倒産が相次いでいるのだ。 介護従事者の労働組合「日本介護クラフトユニオン」の村上久美子副会長は、業界の苦しい状況をこう明かす。 「主な収入源が介護報酬という国が定めた制度である以上、企業努力だけでは限界があります。賃上げを実践しようにも財源がなく、他の業種との賃金格差は開くいっぽうです。国にはしかるべき予算を投入してもらいたい」 ■2030年には9兆円超 厚労省の推計によると、総人口に占める65歳以上人口の割合は、2040年には約35%になる。日本はこれから超高齢社会を迎えるというのに、介護業界は崩壊し始めている。 「人手不足により、すでに介護を必要とする人が必要な時にサービスを受けられなくなりつつあります。介護難民が続出しかねない現状を見過ごせば、介護のため家族が仕事に支障をきたしたり、離職せざるを得なくなったりと、社会の大きな損失につながります」(村上久美子氏) 経産省は、働きながら親などを介護する「ビジネスケアラー」について、労働生産性の低下などによる経済的損失が2030年には9兆円超に及ぶと推計。このままだと、さらに損失額が膨らみかねない。 介護業界の危機を放置することは、日本経済全体にも大きな支障を及ぼす。 ― 引用終わり ― GDPを維持拡大することなく、社会保障費だけ最小化する観点から社会保障政策を組み立てると、現在の延長で日本経済はどんどん縮小化していく。 産業社会にとって人口増は有望な資源。であり、多くの高齢化した人口学者が考えるような都合の良い再生シナリオなど成立しない。貧困化が出生数減少を再生産し徐々に低GDP、低開発の国となっていく。 家庭・家族から福祉・介護を取り出して、公的で効率的な福祉・介護を整えることは、労働人口の創出にもつながる。 目先ばかりを追い続け、過去にとらわれるばかりの政権与党、多くの選挙民には通じない話なのだろう。 人口減対策を実施済みの北欧、西欧では教育、介護、子ども関連を含む福祉を充実させることで人口減少に歯止めをかけてきた。 高齢化社会を考えないようにしてきた、人口減少について無策に等しい日本、韓国、中国の産業経済がこれからどのようになるのか、注目しよう。
2024年06月17日
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日本経済は、2020年に始まったコロナ禍による落ち込みをようやく脱しようとしている。 デジタル化や脱炭素の潮流が加速し、円安や物価高・資材高の影響も続く。 建設業界では、コロナ禍に東京オリンピック特需があった。売上高の減少を回避すべく、ゼネコン大手は2~3年前の受注競争が厳しいときに採算の低い建築工事を数多く獲得した。今期に入ってこういった低採算受注の工事が本格化し、明暗を大きく分けた。 鹿島が独り勝ち!ゼネコン決算「明暗」わけた3要因「毒饅頭」を食らわなかった異次元の受注戦略梅咲 恵司 : 東洋経済 記者2023/05/23 東洋経済オンライン「1社だけ、次元の違う数字だった」。スーパーゼネコンのあるIR担当者は、そうつぶやく。 上場するスーパーゼネコン4社の決算が出そろった。4社ともに増収路線であるものの、本業の儲けを示す営業利益を見ると、「勝ち組」と「負け組」が鮮明にわかれる構図となった。 鹿島は前2023年3月期の売上高が2兆3915億円(前期比15%増)で、営業利益については従来計画(2月14日に発表した修正計画)を25億円上回る1235億円(同0.1%増)での着地となった。「建設事業の工事が順調に進捗した。海外も開発事業が牽引した」。鹿島の内田顕取締役は、5月15日に行われた決算説明会で胸を張った。 一方、大成建設は前2023年3月期の営業利益が、従来計画を422億円も下回る547億円(前期比43%減)、清水建設も営業利益が従来計画に168億円未達の546億円(同21%増)に終わった。大林組は営業利益が従来計画を超えて938億円(同128.5%増)となり、前期の低水準からは改善したが、1000億円をらくに超えていた数年前ほどの力強さはなかった。 負け組3社の2倍の利益をたたき出す 大成建設については、札幌市の複合ビル工事で精度不良が発覚し、その対応費用が圧迫した。このように、各社それぞれに個別の事情があったが、基本的には負け組の3社は受注時採算の厳しい工事が進行していたところに、急激な資材高に見舞われ、利益率が低くなるという図式だった。 優勝劣敗の構図は、今2024年3月期計画を見るとよりハッキリする。鹿島は営業利益1420億円(前期比15%増)。他方、前期苦戦した大成建設は営業利益640億円(同16.9%増)、清水建設は営業利益575億円(同5.2%増)と、回復が緩慢な水準だ。そして、大林組は営業利益740億円(同21.1%減)と反落する。 単純に計算すると、勝ち組の鹿島の今期営業利益は、負け組であるほかの3社の2倍をたたき出すことになる。 鹿島が独り勝ちになっている状況について、前出のIR担当者は次のように話す。「鹿島は2~3年前の受注競争が厳しい時期に、(安値受注しないように)グリップしていた。重点分野を絞り込むなど受注戦略も立てていた。逆に、拡大路線を維持するために無理をして受注を取りに行った会社は、いま業績が沈んでいる」 ― 引用終わり ― 記事の著者は清水、大成、大林の低収益の構造は今後もしばらく続くとみている。 文中の大成建設の「札幌市の複合ビル工事で精度不良」発覚については下記。 大成建設は2023年4月17日、同社札幌支店(札幌市中央区)が建設中だった仮称「札幌北1西5計画」の施工不良に伴う解体、是正工事による損失が、約240億円になると発表した 2023年3月、NTT都市開発は、「ハイアット セントリック 札幌」などが入る26階建て複合ビルについて、'24年2月の竣工を予定していたが、施工会社である大成建設が鉄骨建方等の精度不良を発生させたことから28カ月の工期延伸が必要となり、竣工時期を'26年6月末頃に改めることを発表した。 大成建設によれば、発注者からの鉄骨工事に関する指摘事項に対応するため、同社において鉄骨建方精度を検証したところ、複数箇所において発注者と定めた品質基準を満たさない鉄骨建方およびスラブ厚の精度不良が発覚した。 大成建設は作業所において、鉄骨精度計測値について一部実測値と異なる数値を報告していた。NTT都市開発も、これまでの各種計測記録の報告に虚偽があったことの報告を受けたと公表している。 大成建設、前代未聞「ビル工事やり直し」の内幕高層ビルの工事で虚偽報告と精度不良が発覚梅咲 恵司 : 東洋経済 記者2023/04/05 東洋経済オンライン 「嘘やろう」。ゼネコン関係者が一様に、耳を疑う事件が起きた。 スーパーゼネコンの大成建設は3月16日、北海道札幌市で建築中の高層複合ビルにおいて、鉄骨の精度不良と発注者への虚偽申告があったことを公表した。発注者であるデベロッパーのNTT都市開発が今年1月に現場を視察した際に、不審な点に気づいた。これを発端に、施工不良と数値の改ざんが発覚。建物の鉄骨部分でおよそ80カ所、コンクリートの床スラブで245カ所の精度不良があった。 地上26階(高さ約116メートル)、地下2階のこの高層ビルには、ホテルやオフィス、商業施設が入居予定。だが、発注者が定めた品質基準を満たしていないため、今回、地上部分の鉄骨を解体して建て直す。高層ビルは2024年2月に竣工予定だったが、2026年6月末に延期される。事件の責任をとって、取締役・建築総本部長の寺本剛啓氏と常務執行役員・札幌支店長の平島信一氏が3月末に辞任する。 ― 引用終わり ― 低収益、赤字工事等各社いろいろあるのだろうが、大林組は日本ハムファイターズの新球場「北海道ボールパーク」を施工している。大林組は、米国ダラスに本社を構える大手建築設計事務所「HKS」と共同で、設計・施工を一括で受注した。 「北海道ボールパーク」の総工費600億円。世界初採用の切妻造開閉式屋根&温泉、厳しい先行環境での工期厳守など工事原価が増える様相にあふれているという。2020年の着工時から24時間施工を実施しいた。これらのことに大林組の低収益をみる者もいる。 コロナ、豪雪…日本ハム新球場建設までの困難大林組・竹中所長「世界がまだ見ぬボールパークを造ると」2022年6月14日 スポニチアネックス … (略) … 臨場感抜群のフィールドに近い客席、開閉式屋根、天然芝、自然光を取り入れる最大高さ70メートルのガラス壁、球場内のどこからでも観戦可能な360度回遊型コンコース――。さまざまな工夫が施された新球場の設計図に初めて目を通した当時の心境を、竹中所長はこう振り返る。 「大林組に入って36年。これまでさまざまな建物を見てきたが、これは唯一無二の建築物だと。世界で初めて手掛けるものに自分が責任者として関われる。大林組に入って良かったな、と思いましたね」 与えられた工期は20年5月から今年12月までの32カ月。北海道での工事は冬に休工することもあるが、23年の開業までに迎える2度の厳冬期も中断することはできない。工事には北海道ならではの対応が必要だったため、着工1年前から竹中所長を含む先発隊4人が道内に住み始め、札幌支店への情報収集からスタートした。 「雪国では雪の中で建築物を造るノウハウがある。いち早く勉強する必要があった。仕事だけではなく、所員を全国から連れてくるので、冬の生活をする上でどういうことが大事なのかを知っておくべきだなと」 しかし、工事は困難の連続だった。昨冬は記録的な豪雪。昼間に解けた雪は夜には氷となり、コンクリートの躯体(くたい)造りの障壁となった。そこで札幌支店から得た知識を生かし、全面に仮設の屋根を建ててジェットヒーターで温めながら作業を進めてきた。 ― 引用終わり ―
2024年03月28日
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2024年3月4日、日経平均株価の終値が史上初めて4万円を超えた。高値更新は34年ぶり。主に海外投資家の積極的な日本株買いによって、株価は“失われた30年”の出口にたどり着いた。 マネー(投資資金)の現在の基本認識は、世界的な金融市場のカネ余り。ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ侵攻などにより、カントリーリスクへの考慮が増している。不動産バブル崩壊、人権問題と反スパイ法などによる外資の撤退による景気低迷が深刻な中国の株価は下落。中国から逃避したマネーが日本やインド株に流れている。ロシアからのエネルギー供給が絶たれ、中国の景気低迷もあり、景気が低迷しているドイツなど欧州諸国の株価も上昇基調。 高値を更新し続けているニューヨーク・ダウは、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げへの期待しながら、株価上昇を続けている。 3月11日、ビットコイン(仮想通貨)は、7万400ドルを超えて史上最高値を更新した。現物に連動するETF(上場投資信託)への資金流入や、FRBが近く利下げに踏み切るとの期待が高値を後押ししている。 中国経済のバブル崩壊と日米株価の行方米国はこれから「失われる30年」に突入する恐れ日本は「昇龍モード」にzakzak by夕刊フジ 2024年3月3日 中国経済の「バブル崩壊」が加速し、長期的な低迷の可能性が浮上している。日本と米国の株価は史上最高値を更新しているが、果たして「バブル」なのか。国際投資アナリストの大原浩氏は緊急寄稿で、米国株は低迷期に入る懸念がある半面、日本は一時的な下げをしのいで、上昇基調をたどるとの見通しを示す。 日経平均は1989年12月29日につけた3万8915円(終値)を上回り、約34年ぶりに最高値を更新した。これまで「長いトンネル」を抜けてきたせいか、今後の日本株の上昇に対して懐疑的な見方も少なくない。例えば「株価バブルはすぐにはじける」といった類の論調だ。 中国の「バブル」がすでに崩壊したことについては改めて説明する必要はないだろう。中国当局は市場安定化策を必死に繰り出しているが、「失われた50年」へとつながる可能性を排除できない。 一方、米国の市場も史上最高値を更新しているが、日米市場の行方は正反対だというのが筆者の見立てだ。 重要なのは、株価指数の「ポイント」の差において、日本が米国を上回ったことだ。2月22日に日経平均の終値が「3万9098」円、ダウ工業株30種平均が「3万9069」ドルで、日経平均がダウ平均を「29ポイント」上回った。 バブル期にさかのぼると、1989年12月29日のダウ平均の終値は、今からは信じがたいことだが、2753ドルだった。ポイントでいえば、ダウ平均は日経平均の14分の1程度しかなかったというわけである。 その日がまさに「運命の分かれ目」であった。バブルが崩壊して「失われた30年」に突入した日本の株式市場は低迷が続いた。それに対して、米国は、IT・インターネット産業の勃興などによって「昇龍モード」に突入した。 投機的な金融ビジネスにおいて米国勢が力を持ったことも後押しし、2000年代に入ってからダウ平均が日経平均を上回り、その状態が長く続いた。 だが、米国のIT・インターネット産業や金融ビジネスはすでに成長のピークを過ぎ、変調をきたし始めた。 それに対して日本経済は、バブル崩壊後の「長いトンネル」の中で鍛え上げられ「筋肉質」になっている。「昇龍モード」に入るための力を十分蓄えているといえよう。 折しも2月24日に、著名投資家、ウォーレン・バフェット氏による「バフェットからの手紙」が公開された。米国の将来に対しては万年強気のバフェット氏だが、今年の手紙では1914年、2001年、2008年のケースを取り上げ、「市場の混乱」に警鐘を鳴らしている。 実際にバフェット氏の手元現金は過去最高水準だ。バフェット氏の「投資基準」は、市場の環境に関わらず一定であるから、バブルによって「企業の(本質的)価値」に対して市場価格が割高になると、(株式)投資の量が減る。したがって現金準備が増え、結果的に市場暴落に対する備えにもなるのだ。 過去を振り返っても、バフェット氏の現金準備が積み上がったときに市場の暴落がやってくることが多いから、積極果敢に買い向かうことができ、莫大(ばくだい)な利益を上げることができる。 もちろん「ブラック・スワン」とも呼ばれる市場の大変動(暴落)がいつやってくるのかを予想することは難しい。だが、その「足音」はかなり大きくなってきているように感じる。 象徴的なのは、現在の世界時価総額ランキング上位のほとんどを米国企業が占めていることである。これは1989年のバブル崩壊前夜に、NTTや都市銀行(現在のメガバンクの源流)がランキングの上位を独占していたことと酷似している。 現在米国企業が「過大評価」されているのに対して、日本企業が市場から十分に評価されていないことは否定できない。もちろん、米国市場が暴落すれば日本市場にも影響を及ぼして「連れ安」となるであろう。だが、それは一時的なものになるはずだ。 米国はこれから「失われる30年」に突入する恐れがあるが、日本は「昇龍モード」に入る。一時的な株価下落に慌てふためかずに、長期的に日本の将来を信じるべきだと考える。 ― 引用終わり ― 日経平均の株高の背景にあるのは、円安と米国株の高騰。加えて、TMSCの熊本進出などによる半導体供給の安定感の回復。 世界的にマネーがよりよいリターンを求めて行く先を探しているので、実態経済が多少揺らいだとしても買い手の多い先進国の株価はあがる。 日経平均株価が4万円に迫る中…J-REIT(不動産投資信託)が低迷する3つの理由日刊ゲンダイDIGITAL 2024年3月3日 日経平均株価がおよそ34年ぶりに史上最高値を更新し、4万円に迫る中、下落基調なのがREIT(不動産投資信託)市場だ。J-REITはオフィスやホテル、レジデンス、ロジスティックなどの不動産に投資し、分配金収入が得られることで投資家からの人気が高い。 「日銀の金融政策正常化を見据えた外国人や機関投資家らによる売り優勢の状況が続いています。REITのほとんどが総資産の40~60%ほどを借り入れしているため、マイナス金利解除後の利上げ見通しによって、利払い増による分配金の減額、評価額の減少が懸念されている結果です」 こう話す不動産アナリストの長谷川高氏は、REIT低迷の理由に大型株に投資資金がシフトしている点も挙げる。 「株高を牽引する金融や総合商社、半導体などの低PBR(株価純資産倍率)銘柄やグローバル銘柄は配当利回りが3~4%とREITと遜色がなく、今後の増収増益期待から魅力的と判断されているのでしょう」 さらにコロナ禍以降の働き方の変化で、REIT全体に占める割合が大きいオフィスビルへの懸念があるという。 「出社とリモートのハイブリッドな働き方の浸透で、オフィス面積を減らす企業が出てきました。東京都心部のオフィスビルでは昨年6月以降、空室率は多少下がっているとはいえ、5、6%と高い水準で推移しています」(長谷川高氏) 東証REIT指数はここ10年ほど1400~2200円のレンジで推移しているため、「投資妙味がある」との声も聞かれるが……。 「注意すべきは、どの立地にどんな物件を継続保有しているか。過度な借り入れをしていないか。災害リスクに対して分散が利いているか。親会社がコンプライアンスの利いた大手企業か。これらすべてが適正な場合、総じて利回りは低いですが、万が一の場合でも安定運用される可能性は高い」(長谷川高氏) ― 引用終わり ― REITにどれほど影響するのか不明だが、外国人や外資系企業による日本の土地購入について、安全保障上の問題を中心に問題視され、一定の制限が求められている。 2022年9月には「重要土地等調査規制法」が全面施行された。重要な施設などの周辺の土地については、外資による所有や利用を実質的に調査・規制することが可能になった。外資による日本の土地購入を問題視する声は、法施行後も消えていない。 2024年3月、在日本中国大使館の報道官は、日本の一部メディアが外国からの中国への投資状況を歪曲して解読したと数字を挙げて反論した。 報道官は、「中国はハイレベルの対外開放を堅持し、市場化、法治化、グローバル化の一流のビジネス環境を引き続き構築し、各国企業の対中投資と事業の立ち上げにより多くの支持と利便性を提供していく」と述べた。 当局は、不動産バブル崩壊による、建築作業員だけでなく、鉄鋼、建築資材の供給過剰による生産停止が失業者を増大させている。ウイグル問題、反スパイ法など政府による締め付けが外資の撤退と新規投資の激減を招いている事態から国内外の目を逸らすのにやっきになっている。 共産党独裁のもと好き勝手にやっている中国も、経済が世界中で結びついていることを考慮せざるを得なくなった。 外資撤退論は「曲解」=中国が反発時事通信 2024年3月9日 在日中国大使館は9日までに、対中直接投資が激減したというデータを基に外資の撤退が進んだと指摘した報道について、「状況を曲解している」と反発する報道官談話を発表した。景気が冷え込む中、さらなる投資縮小などを警戒しているもようだ。 2月に公表された国際収支統計によると、2023年の海外からの対中直接投資は前年比8割減の330億ドル(約4兆9000億円)と、30年ぶりの低水準だった。これは通常、外資の撤退や投資の縮小、中国企業による海外上場の減少を意味する。 ― 引用終わり ―
2024年03月22日
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2021年11月、半導体受託生産の世界最大手、台湾・TSMC(台湾積体電路製造)は、熊本進出を発表。2022年4月、東京ドーム4個分を超える菊陽町の約21ヘクタールの地で24時間態勢の突貫工事が開始。 ソニーグループとデンソーも出資したJASMの投資額は約86億ドル(現在の為替レートで約1兆2千億円)で、このうち国が最大4760億円を助成。オフィス棟の一部は2022年夏にオープン。工場棟は2023年9月竣工。1700人を雇用し、第1工場は2月24日に開所式を行う。 2024年末に製品を出荷する予定。 2024年2月6日、TSMCは、熊本県に先端半導体などを生産する第2工場を建設すると発表。2024年末までに着工し、27年中の稼働開始を目指す。 第1工場と合わせた総投資額は200億ドル(約3兆円)超の見通し。トヨタ自動車も、工場を運営するTSMC子会社「JASM」に2%出資し、供給網強化につなげることを狙う。 第2工場は同県菊陽町の第1工場の近くに立地するとみられている。 第1工場と合わせ、自動車や産業用などの回路線幅6~40ナノメートル(ナノは10億分の1)相当の半導体を製造する。二つの工場で先端技術を持つ3400人以上の雇用創出が見込めるとしている。TSMCは第2工場の建設で「サプライチェーン(供給網)の効率化」が期待できると強調した。 第2工場が建設に着手する前、早くも第3工場建設も取り沙汰されている。 JASMは新卒初任給をメガバンクより高い最大28万円と設定し、人材獲得に奔走。24年春には約250人が入社予定。異例の好待遇は地元企業の賃金相場を押し上げ、他産業の人手不足に拍車をかける。 熊本ではTMSCバブルが生じている。 時給1800円のバイトも!4万人の町に「半導体」の世界的企業進出地元民「めちゃくちゃバブルっすね」2024年2月20日TBS NEWS DIG 熊本県の人口4万3000人の町に台湾の巨大な半導体企業が進出してきました。IT機器から家電まで、多くの製品に欠かせない「半導体」の世界的企業の登場に、町の暮らしや経済には大きな変化が生まれています。 無人駅で通勤ラッシュ 熊本の町で何が?喜入友浩キャスター: 「一気に通勤客が出てきました。長い列をなして、電車から降りてきます」 東京の通勤ラッシュの光景ではありません。熊本県の無人駅です。バスにも長蛇の列。人口4万3000人の菊陽町を中心に今、異変が起きているのです。 地元の飲食店では…飲食店の客 「町の雰囲気、めちゃめちゃ変わりましたね。活気もあるし」 「もう熊本はめちゃくちゃバブルっすね」 スーパーには「台湾食材コーナー」が…スーパー店員 「こちらのパイナップルケーキとピーナッツ類が売れています」喜入キャスター 「今、台湾の方、この店で増えていますか」スーパー店員 「確実に増えていると思います。結構、大量に買われるんですよ。とってもありがたく思っております」 町が変わった原因を、地元の人たちに聞いてみると… 菊陽町や大津町の人たち 「TSMCが」「TSMC関係とかで」「TSMCだって」 台湾の巨大企業「TSMC」 アップルやインテルなどの顧客から注文を受け、「半導体」を生産する世界シェアトップの企業です。IT機器から家電まで、暮らしに欠かせない様々な製品に「半導体」は使われています。 業界の巨人が半導体製造が盛んな熊本に進出。その余波が広がっているのです。 キャベツ畑の近くに来週開所する新工場の建設費は約1兆円。既に300人以上の転勤者が台湾からやってきました。 休日返上でのホテルの建設ラッシュも 小さな町の通勤ラッシュは過熱し、マンションなどの建設ラッシュも始まっています。 喜入キャスター: 「きょうは祝日なんですが、工事が行われています。何を作っているんでしょうか。全国的に展開するホテルですね」 そのすぐ先でも…喜入キャスター: 「こちらも建設工事が行われていますね。『東横イン阿蘇くまもと』と書かれています」 国内外からやってくる出張者を狙って、休日返上でホテルが建てられていました。 今あるホテルは満室状態が続いており、新たに台湾出身の従業員を雇ったところもあります。 エアポートホテル熊本 蔡孟君さん 「このホテルは台湾人がいっぱい泊まっていますから、サポートしています」 台湾からの出張者は1か月から半年ほどの長期滞在が多く、体調不良になるケースもあります。蔡孟君さん 「病院の案内をします。症状を聞いて『どこどこ病院があります』と案内します」 賃金相場も上昇 工場の清掃の時給の最高は1800円 世界のトップ企業の進出は、地域の雇用にも大きな影響を与えています。 半導体関連企業 採用担当者 「3年前までは大体(半導体の)エンジニアは月25万円という市場だったんですけど、今、ざっくり月30万円ぐらいです。やはり、(TSMCの)進出で、(人材)獲得の難易度が急に上がってしまった」 県内の半導体関連企業は、激しい人材獲得競争にさらされています。 さらに…喜入キャスター: 「半導体の工場が立ち並ぶ地域のハローワークです。熊本県の現在の最低賃金は898円。全国的には低い水準です」 ところが、その状況がTSMC関連では全く異なります。喜入キャスター: 「工場の清掃、最高は時給1800円があります。社員食堂の調理補助は1300円以上ですね」 新工場での仕事は都市部並みの高給が並びます。 台湾で半導体技術者を養成 大学に「日本人用コース」 一方、TSMCの地元・台湾でも新たな動きが… 台湾のシリコンバレー・新竹市にある大学。台湾初の半導体学部に「日本人専用のコース」を新設しました。日本の技術者を台湾で養成するのだといいます。 明新科技大学 劉國偉学長 「日本に今(半導体製造を担う)人材がいると思いますか?いないのです。そこで、私たちは日本のために人材を育てようと思いました。TSMCや台湾企業のためでもあるのです」 半導体の技術を学ぶため、18歳で日本からこの大学に飛び込んだ松田さんです。明新科技大学2年 松田堂志さん(20) 「すごく競争意識というか、他の人よりもいいものを作ろう、他の人よりも頑張ろう、そのために何も惜しまないという精神の人が結構たくさんいるので、僕はそういうところがすごいと思っています」 夢を実現するために、台湾で勉強を続けています。松田堂志さん 「半導体を使った『空飛ぶスケートボード』を作りたくて、僕は今、ここで半導体の勉強をしているので」 TSMCは2月、熊本に第二工場を建設する計画を発表しました。年内にも工事を開始する予定です。 巨大半導体企業、なぜ熊本に 巨額の補助金も山本恵里伽キャスター: そもそもどうして熊本にTSMCが工場を建てることになったのでしょうか。喜入友浩キャスター: 大きく2つ理由があるようです。まず1つは熊本の「きれいな水」です。 半導体の製造には大量の純度の高いきれいな水が必要だということです。山本キャスター: 熊本市の場合は水道水が100%地下水で賄われているので、蛇口をひねったら天然水を飲むことができます。だからそれが半導体製造にも適しているから、元々、熊本は半導体関連企業が多い地域なんですよね。喜入キャスター: 水を大量に使うということで今後、水環境がどう変わるか、それは注意しないといけないと。山本キャスター: 有限ではありますから、対策はしていかないといけないと思います。喜入キャスター: 理由の2つ目が「補助金」です。 TSMC第1工場の建設費は約1兆円ですが、約半分を日本政府が補助しています。今後建つ、第2工場と合わせると約1兆3000億円を日本政府が補助しているということになります。 news23ジャーナリスト・経済担当の片山薫記者は「1つの企業、特に海外企業への税金の投入は異例。費用対効果も不透明」だとしています。約1兆3000億円、単純計算で1人1万円ぐらい払っていると。 「産業のコメ」誘致合戦が激化 半導体バブル?山本キャスター: ただ、日本としてこれだけの補助金を出しているということは、メリットを見越しているからということなのでしょうか。喜入キャスター: 背景にはやはり半導体不足があります。 いろんなものに使われている半導体は「産業のコメ」とも言われていますけれども、2020年以降、半導体が不足しているという状況なんです。ですから日本政府としても自国で安定的に供給できる工場を持ちたい狙いがあったので、TSMCを誘致したということになるんです。 こういった動きは世界に広がっていて、TSMCの誘致合戦がありました。日本だけでなく、ドイツ、アメリカにも今後TSMCの工場が建つ予定です。山本キャスター: そうなると、台湾としては技術の流出という懸念はありませんか?喜入キャスター: たしかに懸念する声も上がっているんですが、昨今の台湾の情勢、中国との緊張関係がありますから、その中で半導体を通じてドイツやアメリカと関係を深めていくことで守ってくれるのではないか、ある意味、半導体で同盟を作っていくような動きが台湾にはあるということです。山本キャスター: 熊本だけの話ではなく、日本全体の話というふうに認識しないといけないですね。 ― 引用終わり ― 作った半導体が捌けなければ、バブル崩壊となる。需要は十分なのだろうか?
2024年03月03日
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2024年に入ってから中国の株安傾向が止まらない。習近平政権の経済・社会政策に対する不信感から、2023年から外国投資家の中国株式市場離れが本格化していた。 中国株は「ナショナルチーム」とよばれる、政府が株式を保有し管理下に置く金融機関や大企業が株式市場を下支えしてきた。 1月30日、中国の香港、上海の株式市場が大暴落したことを受けて、中国国内では「ナショナルチームが力尽きた」という見方が広がっている。 2015年以来、習近平主席は不動産バブルを封じ込めるため、資金を株式市場に誘導する政策をとってきた。2015年夏の株価大暴落は上海株災難と呼ばれた。 市場は投資家の信頼を失った。その後、党の主導・管理を強化することで、株価を維持し株式市場への資金誘導を続けるため「ナショナルチーム」を活用し、株価が暴落した時、デフォルト寸前の企業に資金注入し、株価を下支えした。結果、実質公有企業が増え、市場の不透明性は一層増した。 「ナショナルチーム」が力尽きるとは、株価を下支えするものが存在しないということ。 新NISAも導入開始もあり、2024年に入り日経平均は順調に上げを続けてきた。 熊本県のTSMCの半導体製造工場の竣工、1月24日の開所式も日本の製造業にとっての朗報であり半導体関連株に弾みをつけた。 2024年2月22日、日経平均は3万9098.68で取引を終え、バブル経済時期だった1989年12月29日(3万8915.87)以来、34年2カ月ぶりの最高値となった。 連休が明けた26日、日経平均株価は一時3万9300円台で終わり、2営業日連続で史上最高値を更新した。 先週末、株式市場は日米ともに史上最高値を更新した。円安のためドルベースで日経平均は高値を更新していないとの声もあり外国投資家の買いは続くとみの観測もある。今後は、春闘の賃上げによる内需拡大、日銀のマイナス金利政策解除がポイントとなる。 市場では大台の「4万円」台のせが取り沙汰されている。 株価「4万円台」は十分あり得る専門家が指摘2024年2月26日 ニッポン放送 NEWS ONLINE アセットマネジメントOne株式会社の村上尚己氏が2月23日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。2月22日に34年ぶりに史上最高値を更新した日経平均株価について語った。 株価が史上最高値3万9098円、日経平均34年ぶりのバブル期超え 2月22日の東京株式市場は、日経平均株価がバブル期だった1989年12月29日の水準を上回り、約34年ぶりに史上最高値を更新した。22日の終値は、前日比836円52銭高の3万9098円68銭。取引時間中には一時3万9156円97銭をつけた。飯田) 日経平均株価が史上最高値を更新しましたが、どうご覧になりますか?村上) 年内にはこれくらいの水準まで上がると想定していたのですが、予想以上にピッチが早いです。年初から18%ぐらい上がっているので、「少し早すぎる」という感じで見ています。ただ、時間の問題だとは思っていたので、驚きはありません。バブル期と並んだからどうだと言われても、他国だと株価は高値を更新し続けるのが当たり前なので、日本もようやく普通の国と同じような状況になったという意味では、よいことだと見ています。 … (略) … 中国から安全な日本株へ資金が流入飯田) 海外筋も入ってきているという話もありますが、中国からの資金シフトは見られていますか?村上) データで確認すると、この1月、確かに外国人勢が買っているようです。中国からどのくらい抜けているのか、客観的なデータを出すのは難しいですが、起きていることからすると米国中心に安全保障の枠組みが変わっており、日本は米国陣営の方に入っています。そのサプライチェーンのなかで当然、日本は重要な役割を果たさなくてはいけない。お金も中国株からの退避で「より安全なのはどこか」と考え、日本だとされた可能性はありますし、それに伴う投資も起きているのだと思います。 半導体ブームに乗って日経平均が押し上げられている部分もある飯田) 21~22日のマーケットをみると、AI向け半導体メーカー「エヌビディア」の決算が効いたという指摘もあります。半導体に関してはいかがですか?村上) 日経平均が上がっているのは、この半導体絡みです。半導体関連の銘柄で押し上げられている部分が大きい。もう少し幅広い指数のTOPIXで見ると、日経平均ほどは上がっていないので、半導体ブームに乗って日経平均も押し上げられている部分はあります。AIブームが株式市場で評価され、期待が高いから、このような株高が起きていると考えていいでしょう。 … (略) … 経済全体が崩れなければ、年末にかけて「4万円台」は十分あり得る飯田) 今年(2024年)も始まったばかりで難しい質問かも知れませんが、日経平均株価と日本経済は、年末にはどうなると思いますか?村上) 結果的に4万円台に乗るというのはあり得る話です。去年も年間2割以上上がっているので、2年連続で年間2割の株高になるかも知れない。今年は日本銀行が金融政策を変え、これからマイナス金利を解除するでしょう。株高は長期的に見ればトレンドに沿ったいい動きですが、短期的に見ると円安で押し上げられる部分があるので、日本銀行の政策が変わると、為替市場で超円安が少し巻き戻される。それらが現在の勢いを少し抑える感じになると思います。それでも年末にかけ経済全体が崩れなければ、4万円台も十分あり得るのではないでしょうか。 ― 引用終わり ― 中国に関しては中国・人民元建て債の海外保有拡大のニュースもあった。 中国政府は人民元の暴落を防ぐべくドル=米国債を売り、人民元を買い支えている。 中国国有銀行、オンショア市場でドル売り人民元下支え=関係筋ロイター編集2024年1月31日 ロイター 中国の主要国有銀行は31日、オンショア外国為替市場で大規模なドル売りを行った。3人の関係筋が明らかにした。これを受けて人民元はほぼ横ばいで推移している。 関係者の1人は、1ドル=7.1820元付近の水準を守るためにオンショアスポット市場で「非常に強力な」ドル売りが行われたと述べた。 ― 引用終わり ― 経済実態と為替が乖離していることが、ドル/人民元のヘッジコストを低下させているようだ。 中国人民元建て債、1月も海外勢保有拡大トータルリターンに妙味2024年2月26日 ロイター 中国人民銀行(中央銀行)上海総部が23日発表したデータによると、1月の中国オンショア人民元建て債券の外国人保有高は5カ月連続で増加した。ヘッジコスト考慮後のリターンが魅力的と見なされた。 同月末時点で、中国の銀行間市場で取引されている債券のうち、外国機関の保有額は3兆8700億元(5376億6000万ドル)と、前月の3兆6700億元から拡大した。 市場関係者によると、資金流入の大部分は為替ヘッジによるものだという。 現在のドル/人民元1年物フォワードスワップはマイナス2691ポイントで取引されており、1年後に元が対ドルで上昇することを示唆。中国のオンショア債券のリターンはFXスワップを通じた通貨上昇分と合算されるため、米国債を保有するよりもトータルリターンが魅力的になる。 ナティクシスのアジア太平洋担当シニアエコノミスト、ゲーリー・ング氏は米中利回り差が広がっている限り、このようなスワップのインセンティブは存在するだろうと述べた。 ― 引用終わり ― 2月2日、IMF(国際通貨基金)は、2024年の中国の経済成長率が4.6%に鈍化するとの見通しを示した。 中期的にはさらに低下し、2028年に約3.5%になるとした。 中国の「バブル」崩壊は、日本以上のハードランディングになるとの見方が強くなっている。
2024年03月01日
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2024年1月2日のニューヨーク株式相場は、ヘルスケア株に買いが入り、小反発した。 優良株で構成するダウ工業株30種平均は前営業日終値比25.50ドル高の3万7715.04ドルと、2営業日ぶりに過去最高値を更新して終了。ハイテク株中心のナスダック総合指数は続落、245.41ポイント安の1万4765.94で引けた。 2024年、辰年の日本の株式市場は上向きの予測だった。 辰年は十二支で最高のパフォーマンス 日経平均4万3000円も夢じゃない!…の根拠日刊ゲンダイDIGITAL 2024年1月2日 新年相場はどうなるか。市場は明るい兆しであふれている。 2024年は辰年。干支別に日経平均の騰落率を見たとき、最もパフォーマンスが悪いのは丑年(マイナス4.7%)で、反対に最高なのは辰年。なんと28%アップとなっている。前回の辰年(12年)は22.9%上昇だった。 野村証券は24年前半は特に株価上昇が強いと予想。背景は「デフレからの脱却に向けた動き」「企業統治(ガバナンス)の改善」などだ。そして、24年末の日経平均を3万8000円とはじいている。 大和証券は24年10~12月を「3万6000~3万9000円」と予想。1~3月は「3万3000~3万7000円」とした。 日経平均の過去最高値は1989年12月の3万8915円。大手証券は24年後半にはその水準に達すると読んでいるのだ。 ― 引用終わり ― 上記は2023年に書かれた記事なのだろう。 1月1日、北陸は電子機器産業の重要地があり、能登半島地震発生によりまたもやパワー半導体を含む電子産業のサプライチェーン危機が訪れるかもと想定された。 北陸には液晶パネルを生産するジャパンディスプレイの石川工場、東芝の半導体製造拠点やKOKUSAI ELECTRICの半導体製造装置の生産工場がある。 電源大手のサンケン電気も石川県に国内最大のパワー半導体製造拠点がある。 ほぼすべての電子機器に使われるのが積層セラミックコンデンサー(MLCC)という電子部品の世界シェア約4割を持つ電子部品大手の村田製作所はMLCCの主力工場の1つが福井県にある。同社は、石川県、富山県に電子部品の生産拠点がある。 北陸地方の多くの工場の多くが、年末年始休暇により操業を停止していた。 休み中から休み明けに欠けて被害の状況確認が行われ、復旧活動がすすめられた。1月9日時点で生産再開の報も入りつつある。 1月8日時点で、世界銀行は能登半島地震の影響を評価するに時期尚早としながらも、日本経済に与える影響は最小限との見込みを示した。 世界大戦の本格化を前に、一国の一地域の大地震の影響はさほどないということだろう。 日本で今後発生する大規模自然災害はこれで終わりということではないので、日本としては復興・復旧が急がれるし、今後の大規模自然災害に備えた準備も怠ることはできない。経済は皮肉なもので、いろいろと災害に備えた準備をすすめるとGDP=景気は拡大する。 地球規模の大規模自然災害であれば、世界経済は一気に停滞する。 一方、世界大戦といえども、国の経済面での主要地域が戦場と化すか、化さないかで、その国の経済に与える影響は正反対になることがある。 紅海の物流障害を懸念=能登地震の影響は最小限―世銀エコノミスト時事通信 2024年1月9日 世界銀行のコーゼ副チーフエコノミストは8日、時事通信のインタビューに応じた。中東の紅海周辺でイエメンの武装勢力フーシ派による相次ぐ商船攻撃で物流障害が起きていることについて、「世界経済にとって最も望ましくない問題だ」と懸念を示した。 コーゼ氏はまた、最大震度7を観測した能登半島地震が日本経済に及ぼす影響の評価は「時期尚早」と指摘。打撃は「今のところ最小限にとどまりそうだ」としつつ、サプライチェーン(供給網)に障害が生じる可能性を含め、注視すると語った。 パレスチナ情勢を巡っては、イスラエルとイスラム組織ハマスの激しい戦闘が続く。これを受け、フーシ派による商船攻撃が頻発し、海上輸送の要衝である紅海を避け、南アフリカの喜望峰へ迂回(うかい)する船が増えている。 コーゼ氏は迂回で遠回りになる結果、中国と北欧間の航海時間が約4割延びると指摘。時間に加えて「コストが膨らむ影響は極めて大きい」と強調した。 ― 引用終わり ― 水不足で通行料を制限している閘門式のパナマ運河とともに、海上物流コストの増加で世界の物価は上昇基調となる。これは短期的には景気拡大要因。 世界経済の景気の大きな後退要因は、中国景気の減衰、または経済的破綻。 新興EV企業は補助金の支給停止とともに続々と市場から姿を消している。頼みのEV輸出は上記のような物流面の理由とEU・米国による自国EV産業保護策から将来が不透明。 大手不動産企業は多額の負債を抱えたまま破綻。地方政府財政は不動産開発関連の融資平台の返済不能で破綻する時期も間近となったとみられている。マンション建設の停止により製鉄業を筆頭に、各種不動産関連製造業も供給過剰による構造不況状態となっている。 「一帯一路」政策も破綻し、高金利で諸国に融資した頼みの外貨が返済不能で中国に入らなくなり、海外の不採算事業を抱え込む状態になっている。 中国政府の締め付け強化で外資企業は続々と脱中国をすすめ、外資も入らなくなり、既に失業者が急増している。 2024年1月30日、IMF(国際通貨基金)は、世界経済見通しを更新し、今年のアジア新興国・途上国の経済成長予測を5.2%とした。昨年10月時点の予測から0.4%ポイント上方修正した。 2024年の中国の経済成長予測は0.4%ポイント上方修正し4.6%とした。政府支出の拡大が理由で2023年の5.2%は下回る見通しを示した。 2月2日、IMFは、中国経済の年次報告を発表した中で、不動産開発企業の整理・再編などの対応が遅れれば、2024〜25年の実質経済成長率が4%を割り込む恐れがあると予測した。 内政の乱れが向かう矛先は、領土・権益拡大を謳う外交政策、即ち武力を用いた戦争と予想される。 中国の政治経済が大きく揺らげば、地理的に近い日本経済、新NISAで好調な株式市況は冷え込むことが予想される。
2024年02月20日
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コロナ禍が収束傾向となって経済が正常化すると思われたが、実態はインフレの世界的広がり。半世紀ぶりに地球上の様々な国で同時発生的にインフレが起きている。 インフレ発生の主な理由は、コロナ禍による需給の不均衡、ロシアのウクライナ侵略による穀物供給の不足とエネルギー資源の受給不均衡とされる。 IMF(国際通貨基金)は2022年7~9月期に世界の総合インフレ率はピークに達したとの見解を示している。 欧米の中央銀行は高インフレに対処するために、金利を引き上げる、つまり、金融引き締めを行っているものの金融引き締めによるインフレ鎮静化は、2024年までは見られないと予測している。 コロナ明けから続く「世界インフレ」はいつ終わるのか?「ウクライナ侵攻」収束後も暗雲【元IMFエコノミストが予測】THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) 2023年12月6日 ロシアによるウクライナ侵攻は、世界中で同時発生的に起こっているインフレに拍車をかけました。本記事では、元IMF(国際通貨基金)エコノミストで東京都立大学経済経営学部教授の宮本弘曉氏による著書『一人負けニッポンの勝機 世界インフレと日本の未来』(ウェッジ社)から、現状続いているインフレについて解説します。 ロシアのウクライナ侵攻がインフレに拍車 … (略) … ウクライナ進攻によってエネルギー価格も高騰 … (略) … インフレに強い影響を与えているのは需要要因?供給要因? ここまで見てきたように、現在のインフレは新型コロナウイルスが引き金となり、ロシアによるウクライナ侵攻が拍車をかけています。 インフレの要因としては、サプライチェーンの寸断や人手不足などの供給要因、また、ペントアップ需要やサービスからモノへの需要シフト、さらには政府の政策など需要要因の両方が挙げられます。 では、供給要因と需要要因のどちらがより強い影響を与えているのでしょうか。 コロナ明け…「自粛中にため込まれた貯蓄を消費しよう!」→需要主導型インフレへ … (略) … 2023年1月のインフレ要因では、需要要因が約5割、供給要因が約3割となっています。サンフランシスコ連銀は、航空運賃やホテル宿泊費などの旅行関連部門が、需要主導型インフレの最も根強い要因であると指摘しています。 これは、サービス業が再開し、ロックダウン中にため込まれた貯蓄を消費しようとする動きと一致しています。 ウクライナ進攻による混乱が収束した後も、インフレは続く見込み 一般的に、需要主導型インフレは供給主導型インフレよりも持続性があると考えられています。 これは、パンデミックやロシアによるウクライナ侵攻による供給の混乱が収束した場合でも、インフレが持続する可能性が高いことを示唆しています。そのため、インフレ抑制のための金融政策の引き締めが今後も必要であることが予想されます。 もっとも、需要要因、供給要因のどちらかに分けることができない「曖昧な要因」も2割程度となっており、価格に対する需要と供給の影響を切り離すことは簡単ではないことがわかります。 なお、ユーロ圏についても、2021年半ば以降のインフレ率の急上昇は、異常に拡大した需要環境と逼迫した供給環境の組み合わせによって引き起こされたと考えられていますが、ユーロ圏が世界的なエネルギー価格の不利なショックにより大きくさらされていることと整合的に、供給側の役割がやや大きくなっていることが指摘されています。 ― 引用終わり ― ロシアが侵略戦争を放棄したとしても、穀物生産の拡大やエネルギー資源供給が順調に再開する見込みは現状ない。反プーチン勢力による破壊活動、人的・物的要因からメンテナンス不足となった各種施設は壊れつつあり、天然ガスのパイプラインを含めて復旧には時間を要すると思われる。 イスラエルによるパレスチナ人に対する圧政を、イスラム諸国が許すとも思われない。 中国の国内経済社会の不安定化、新たな大規模感染症の発生があれば、安定的な供給拡大という予測の大前提が不成立となる。 安定的で高リターン投資先を見出すことができず、莫大なマネーは市場を混乱させる方に動き続ける。 需給の不均衡と富の偏在による、終わりなきインフレの継続が想定される。
2023年12月15日
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遠い昔「バブル」と呼ばれた時代、飛ぶ鳥を落とす勢いだったフジテレビ(CX)は、今年11月のゴールデンタイムの平均視聴率が「テレビ東京(TX)」を下回った。 万年最下位のテレビ東京をもとに「振り向けばテレ東」という言葉があったが、CXが振り向いても誰もいなくなった。 CXは他局以上に個人視聴率および各局が設定する「コア視聴率」重視に移行した。その結果、長寿番組でも躊躇なく打ち切り続けた結果が現在の結果を招いた。 視聴率は、テレビ番組やテレビCMが放送されていた時間(リアルタイム)に「どのくらいの世帯・人々に見られたか」という視聴量の大きさを表す指標。 地上波の民間TV局は広告時間を売る商売なので、視聴率の低下は業績の低下に直結する。 1日(全日)の平均視聴率とともに視聴率の時間帯区分により、19:00~23:00をプライムタイム、プライムタイムのうち19:00から22:00での時間帯をゴールデンタイムと呼んで重視している。 CXは1982年から1993年まで、2004年から2010年まで、プライムタイム、ゴールデンタイムの視聴率が在京キー局首位だった。 日本のTV局において、ゴールデンタイム、プライムタイムと全日(6:00~24:00)の視聴率の平均視聴率がトップの放送局を「三冠王」と呼ぶ。 フジテレビ、ついに民放在京キー局最下位の視聴率に。前時代的なビジネスモデルのままでは一気に崩壊も=今市太郎2023年11月28日 MONEY VOICE 民放・在京キー局ともなれば何かと話題に持ち上がるのが視聴率の問題です。スポット広告も個別の番組提供も視聴率が下がれば元の値段では売れなくなりますから、この数字次第で経営状態は著しく悪化してしまうのが現実。 そして、今年の10月改編で大失敗を喫してしまったのが「フジテレビ(CX)」です。 レギュラーの新番組が始まった11月にはすでにゴールデンタイムの平均視聴率が万年ビリだった「テレビ東京(TX)」を下回る結果となり、振り向いてもすでにテレ東はいないという衝撃の状況に陥っていることが報道されはじめています。(『 今市的視点 IMAICHI POV 』今市太郎) … (略) … 視聴率低下は即広告売上低下というビジネスモデル 民放地上波のテレビ広告販売モデルは、開局当時からおおむね2つで構成されています。 1つは、特定枠を2クール(つまり6か月)以上提供する契約となる「番組提供」のモデル。もう1つは、特定期間に15秒のスポット広告を購入する「スポット広告」です。 番組提供料は本来キー局の売り上げとなる「電波料」に、地方局への売り上げの分け前となる「ネット費」、さらに「制作費」という3つの項目で構成された請求額が設定されてきましたが、80年代のバブル期のあたりからその価格はかなりどんぶり勘定になり、60秒提供なら月額6,000万円とか7,000万円とかいうようにバルクの価格でやり取りがされるようになりました。 … (略) … 電波利用の在京キー局は5局でそれ以上増えることはまったくありませんでしたから、需給の逼迫で料金が上がることはあっても、下がることなどない時代が長く続きました。しかし、21世紀に入ってそれが崩れ始めており、足元では相当深刻な状況に陥っていることが覗かれる状況です。 とくにゴールデンやプライムの時間帯にテレビを見ない人間が激増するという社会が到来することはこの業界関係者は全く予想していなかった状況で、全般的に番組視聴率がとれなくなってしまった足元の状況ではかつての月9のような看板枠であっても逆に価格の正当性を失う結果となってしまい、高い料金で番組提供をする広告主は大幅に減少、結果的に価格は下がり売れ残りの枠はスポットにばらして販売して凌ぐ状況が常態化しはじめています。 … (略) … 視聴者離れに対応できないフジテレビ 放送法では、番組の最大1割が広告と上限を決められています。そのため、売上が足りないから空き枠をすべてスポットにして売るなどということもできませんし、時間が過ぎれば在庫として保存しておくこともできない、凄まじい水物ビジネスになっていることが垣間見える状況です。 それでも長年低視聴率の中を生きぬいてきたテレビ東京などは限られた原資で番組を制作して放送するという術を身に着けています。 しかし、長年勢いだけで派手な番組制作を続けてきたフジテレビのような局にとっては、足元の状況はどうすることもできない様子。 とくにかつて華やかな成功体験を得て幹部になった経営者は、まったくこの危機的状況に適切な戦略を打ち出すことができないまま、視聴者離れに直面していることがわかります。 … (略) … キー局はホールディングカンパニー化してとにかく大きな会社に見せている 在京キー局の決算見てみますと、とにかく5社すべてがホールディングカンパニー化して、その下に売上がつくあらゆる事業をぶら下げて企業規模を大きく見せており、実情を知らない投資家が見れば、それなりの成長がはかられているかのような錯覚に陥るところです。 しかしながら、過去から続く放送事業だけ取り出してみますと、儲かっていないところがほとんどで、しかも事業規模は上述のようなビジネスモデルの中で本当はどんどん縮減していることが見えてきます。 HDカンパニーの決算は実態をデフォルメするのに相当適していますから、各社ともにそんなことはおくびにも出さずに経営を続けています。 そして、もう電波を使った同報配信の放送事業などはさっさとやめて、不動産業に経営資源を集中したほうがよろしいのでは……と思われるような会社も存在しているのが現状。 残念ながらフジテレビも、いい加減放送事業やめたら?という時間帯に突入しているように見えて仕方ありません。 ― 引用終わり ― 2010年代、景気後退の深刻化、YouTubeなどインターネット経由の動画配信(Googleの)やインターネット経由の番組配信(Netflix、Amazon Prime Videoなど)が一般化した。これにより、地上波や衛星放送の「テレビ番組」の視聴率(視聴時間)は低下傾向にある。 2023年7月、ビデオリサーチはTVerやYouTubeなどの動画配信プラットフォームを視聴率測定の対象に含める取り組みを行うことを発表した。 2024年4月から関東地区で試行された後、2025年10月から全国32地区で正式サービスが開始される予定。 地上波TVは放送媒体、広告媒体の中心ではあるが、その領域は着々とネット媒体にむしばまれている。 状況の変化についての感度が在京キー局中最も鈍く、かつ製作費が高い番組を排除し短期的な収益を追い続けたの結果、CXの視聴率が低下したとみられる。 固定費を下げ、投資を避ける経営を続けるCXは、日本のかつての栄光を抱え続けた企業群の縮図のようだ。
2023年12月08日
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安い日本は金利も低い。銀行の預入金利も低ければ、長期の貸付けである住宅ローン金利も低い。 なかでも市中の金融機関に比べて法人利用の比率が低く、管理費を抑制することのできるネット銀行の住宅ローン金利は低く設定されている。 世界的な金利上昇の中、日銀も姿勢も姿勢も変わりつつあり金利の大幅上昇の観測が出始めている。 金利上昇時の住宅ローンについて、ネット銀行の雄である住信SBIネット銀行と楽天銀行の姿勢が対局となっているという。 住信SBIは「(現状マイナス水準の)短期金利が0.25%まで上昇すれば、(利ザヤの拡大を通じて)収益が45%増える。0.25%程度の上昇であれば、住宅ローンの需要が減ったり、貸し倒れが増えたりすることは想定しない」と金利小幅上昇時の住宅ローンは収益源として有望としている。 楽天銀行は「金利が上がれば、住宅ローン関連の貸し倒れが増える可能性が高い。もともと、中所得・高所得の顧客に絞って住宅ローンを提供していたが、今後はターゲットとする所得層をもう一段上げる」とし、住宅ローンについて路線変更するとしている。 住信SBIは主力商品である住宅ローンについて薄利多売によるスケールメリットを追求。 楽天銀行はリスクを減らし収益を優先する傾向。 国内金利が本格的に上昇に転じた場合、楽天銀の住宅ローン金利の方が先に上昇すると、東京経済の市井記者はみている。 住信SBIと楽天銀「住宅ローン」方針が真逆の背景 金利上昇で住宅ローンの貸し倒れは増えるのか東洋経済オンライン 2023年11月12日 7時20分 ネット銀行で双璧を成す住信SBIネット銀行と楽天銀行は11月7日、そろって今2024年3月期の上期(2023年4~9月期)決算を発表した。経常利益は住信SBIが163億円(前年同期比14%増)、楽天銀が225億円(同25.4%増)と、ともに快走を続ける。 好調の影で浮き彫りとなったのが、「住宅ローン」に対する両極端の姿勢だ。3月末と比較した9月末時点での残高は、住信SBIネット銀が10%超増加したのとは対照的に、楽天銀は微減となった。低金利政策が転換しつつある中、住宅ローンの先行きをめぐる銀行の判断が割れ始めた。 金利上昇は得か損か「今後の金利上昇を考えると、アセットの伸び(運用資産の増加)はとても重要だ」。 住信SBIネット銀の円山法昭社長は7日の決算説明会で、力を込めてそう語った。同行の9月末時点における住宅ローン残高は5.8兆円で、3月末から5749億円増加した。 先高感のある国内金利の先行きにも、期待をにじませる。「(現状マイナス水準の)短期金利が0.25%まで上昇すれば、(利ザヤの拡大を通じて)収益が45%増える。0.25%程度の上昇であれば、住宅ローンの需要が減ったり、貸し倒れが増えたりすることは想定しない」(円山社長)。 他方、金利上昇に対して身構えるのが楽天銀だ。 「金利が上がれば、住宅ローン関連の貸し倒れが増える可能性が高い。もともと、中所得・高所得の顧客に絞って住宅ローンを提供していたが、今後はターゲットとする所得層をもう一段上げる」と、楽天銀行の永井啓之社長は同日の決算説明会でこう説明した。 同行の9月末時点の住宅ローン残高は8394億円と、3月末から46億円減少した。カードローンや法人融資、買入金銭債権などそれ以外の残高が伸びる中で、唯一の減少だった。「金利が上がったとしても確実に返済できる顧客に絞った結果、住宅ローンの実行件数が減った」(永井社長)。 住宅ローンは金利競争が激しいため、利ザヤの拡大をもたらす金利上昇については、銀行にとっては本来歓迎すべき出来事だ。貸し倒れが増えたとしても、担保物件を売却して資金を回収しやすく、大きなリスクになるとは考えられていない。 それでも、住信SBIネット銀が今後も住宅ローン実行額を拡大させる構えに対して、楽天銀はそれとは真逆となる、住宅ローンの絞り込みを全社方針として掲げる。 住宅ローンに対する戦略の相違 方針が対照的となった背景には、住宅ローンに対する戦略の相違がある。 住信SBIネット銀は、貸出金の8割を住宅ローンが占める。申し込み手続きを代理店に委託することで、事務コストを削減。審査にはAI(人工知能)を駆使し、貸し倒れの発生を抑制している。薄い利ザヤを見越して、経費圧縮や信用リスクの低減を図りながら、貸出残高を拡大させて収益を上げているというわけだ。 対する楽天銀は、住宅ローン金利の過度な引き下げには消極的で、2022年頃から住宅ローン残高の伸び率が鈍化していた。代わりに注力するのが、投資用マンションローンやカードローンといった「ミドルリスク」資産だ。貸し倒れリスクは高いが、厚い利ザヤが見込める。 利ザヤを重視する楽天銀の方針を象徴するのが、カードローンの保証(金を借りた人が返済できなくなったとき、第三者が借主に代わり返済する保証)を2020年に外したことだ。 楽天銀のカードローンには、元々楽天カードが保証を付けていた。楽天銀が楽天カードに保証料を支払う代わりに、万が一貸し倒れた場合は楽天カードが損失を肩代わりするリスクヘッジ策だった。カードローンの利回りは10%程度で、楽天カードへの保証料は5%。つまり、楽天銀の手残りは5%となる。 2020年4月からはその保証を外し、自ら貸し倒れリスクを負うことを選んだ。楽天銀によれば、カードローンの貸倒率が足元では3%以下で推移している。5%の保証料を支払うよりも、自らリスクを追って3%の貸し倒れを甘受するほうが得だと踏んだ。 運用利回りと資金調達利回りの差である総資金利ザヤを比較すると、9月末時点で住信SBIネット銀は0.13%に対して楽天銀は0.53%。低利の住宅ローン市場で覇権を握ろうとする住信SBIネット銀と、ミドルリスク・ミドルリターンを求める楽天銀の姿勢が数値に表れている。 楽天銀の住宅ローン離れには、別の事情も見え隠れする。あるネット銀関係者は「融資手数料への依存度が異なる」と指摘する。 昨今の住宅ローンは金利が低い代わりに、顧客が借り入れ時に融資手数料を支払う商品が主流だ。住信SBIネット銀の手数料は借り入れ額の2.2%で、5000万円の融資を受ける場合は110万円を支払う。対する楽天銀は借り入れ額にかかわらず、一律30万円。手数料への依存度が低い楽天銀は、住宅ローンを絞る抵抗が薄かったと言える。 楽天銀のほうが先に金利が上がる? 日本銀行は早ければ来春にも、マイナス金利を解除する観測がある。国内金利が本格的に上昇に転じた場合、楽天銀の住宅ローン金利の方が先に反応しそうだ。 住宅ローン金利は、基準金利から顧客属性に応じて優遇幅を引き下げた水準が実際の適用金利となる。住信SBIネット銀、楽天銀の両行とも変動金利型が大半を占めるが、優遇幅は契約時点で決まっているため、実行済みの住宅ローン残高の金利水準は基準金利の動向が左右する。 基準金利は住信SBIネット銀が最優遇貸出金利を指す短期プライムレート(短プラ)、楽天銀が市場金利にあたるTIBOR(東京銀行間取引金利)を参照している。 一般に、金利上昇局面ではTIBORが迅速に追随する一方、2009年から横ばいの短プラは、現状マイナスの短期金利がゼロないし2009年当時の0.1%水準に戻っても反応しない可能性がある。つまり住信SBIネット銀よりも、楽天銀のほうが基準金利が先に上がりそうなのだ。 はたして住宅ローンの貸し倒れは増えるのか。住信SBIネット銀と楽天銀のどちらの見立てが正しいか、早ければ来年にも明らかになりそうだ。 一井 純:東洋経済 記者 ー 引用終わり ー 見立ての正しさの判定は、金利上昇後の決算、収益の確定まで分からない。
2023年11月18日
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2023年10月12日、東芝は12月20日に上場廃止になると発表した。日本産業パートナーズ(JIP)を中心とした国内連合による買収が9月に成立し、安定株主の下で経営再建を目指す。 日本の財界の中核企業であった東芝は、優良企業だったのか。 東芝は組織的な不正で問題企業となったから上場廃止せざるを得なかったように思われる。 外資に買われたり、ばら売りされたりして困る技術があったから生き残りがはかれた。 わが国を代表する優良企業だった東芝は、なぜ上場廃止に追い込まれる「問題企業」に劣化したのか2023年10月2日 プレジデントオンライン■年内にも上場廃止になる見通し 9月21日、東芝は、“日本産業パートナーズ(JIP)”など国内の企業連合による株式公開買い付け(TOB)が成立したと発表した。株主のTOBに対する応募比率は78.65%、成立に必要な66.7%を上回った。今後、必要な手続きを経て、年内にも東芝は上場廃止になる見通しだ。東芝の経営再建に向けた取り組みは一歩前進したといえる。 ただ、重要なポイントは、なぜ、わが国を代表する優良企業だった東芝が、上場廃止に追い込まれることになったかだ。その原因を一言でいえば、経営の失敗といえるかもしれない。一時期、同社の経営者は短期間の過度な利益追求や、不正経理の発生を防ぐことができなかった。世界的に高い技術力を持つ企業であったとしても、経営が失敗すると企業の存続は難しくなる。 上場廃止によって東芝は、“モノ言う株主”など一部の利害関係者の影響を受けづらくなる。JIPを中心とする企業連合の支援もあり、東芝の経営再建は加速するだろう。やりようによっては東芝が思い切った施策を打ち、わが国の産業界、経済にプラスの影響が波及する展開も想定される。先行きは楽観できないが、東芝経営陣がJIPとともに出資者の利害を調整し、早期再建を実現することを期待したい。 … (略) … ■東芝の経営者は何をすべきだったか 債務超過から脱し、上場を維持するために、東芝は公募増資を実施した。モノ言う株主が増資に応じたことによって、株主との利害調整の難しさは増した。上場を維持することも難しくなった。経営は失敗した。 経営者の役割とは、既存分野から成長期待の高い分野にヒト、モノ、カネを再配分し、無理なく、長期にわたって収益を増やすことと定義できるかもしれない。成長戦略をめぐり株主などと考えが異なる場合、迅速に納得を取り付けられるよう説明責任を果たす。 その上で、組織の士気を高めつつ、最先端分野での成長機会を見出すセンスを持つ人材を発掘し、後継者を育成する。そうした経営者の役割、責任のまっとうが、企業の社会的な責任を果たすために欠かせない。東芝はそれが困難になり、破綻に近い状態に陥った。 ■“オール日本株式会社”のような企業体になる 今後、東芝は上場廃止になる見込みだ。経営再建は新たなステージを迎えた。上場の廃止に伴い、東芝は多くの株主の目にさらされなくなる。 一時、モノ言う株主は東芝株の3割を取得したとみられる。そうした株主は今回のTOBに応じたようだ。上場廃止をきっかけに、経営陣は、これまでのように一部の株主との利害調整にエネルギーを割く必要性は低下するだろう。それは経営の改革を加速するチャンスだ。 また、JIPは、わが国を代表する主要企業約20社から出資を取り付けた。事実上、東芝は、わが国主要企業連合が主導する“オール日本株式会社”のような存在になるといってもよい。非上場化のメリット、出資企業の協力を生かすことによって、思い切った施策を打ち出せる可能性は高まる。半導体などわが国の産業政策が修正されたことも、東芝にとってプラスだ。 ■経営再建へ“茨の道”はつづく 今後の展開次第で、東芝の今後の事業戦略がわが国経済に明るい兆しをもたらすことも考えられる。熊本県菊陽町では台湾積体電路製造(TSMC)などが、北海道千歳市では次世代半導体の製造を目指すラピダスが工場建設に着手し、近隣地域で需要が盛り上がった。 東芝が経済安全保障面で重要性の高まるインフラや通信機器の製造拠点などを国内で建設する機運が高まれば、同社の成長期待だけでなく、経済にもプラスの影響がもたらされるはずだ。 これから、東芝トップの意思決定の重要性は一段と高まる。東芝のトップは、投資ファンドを運営するJIPとの連携を強化し、出資企業とのより円滑なコミュニケーションを強化しなければならない。その上で、ヒト、モノ、カネをより成長期待の高い分野に再配分し、収益を獲得できる分野を拡充することが求められる。 先端分野での技術を最大限に生かす意味で、東芝の再建は日本経済の将来がかかっている案件でもある。経営者がその役割を理解し、発揮して再建を成功に導くことを祈りたい。 ー 引用終わり ー 非公開化は従来型の産業が停滞を続ける日本のトレンドなのだろうか。 非公開化したすかいらーくから創業家は放逐された。ポッカはサッポログループの一員となった。非公開化した時に臨んでいたこととは思えない。 株式を公開して社会で勝負できてこそ、優良企業ということなのだろう。 「経営立て直し」ということであれば、非公開化もやむを得ない手段なのだろう。非公開になったからといって、経営の思い通りにことが進むわけではないいのは、公開していた時と同じ。 東芝だけじゃない大手企業の非公開化が増加、経営立て直しに集中黄金崎 元2023/8/27 産経新聞 74年の上場の歴史に幕を閉じる公算が大きい東芝に限らず、国内大手企業による株式の非公開化が増えている。アクティビスト(物言う株主)からの圧力を回避したり、株価動向を気にせず経営の立て直しに集中したりするため、上場廃止を選択。東芝のケースとは異なるが、MBO(経営陣による自社買収)という形での非公開化も目立つ。 半導体材料大手のJSRは6月に国が出資する産業革新投資機構による9千億円超のTOBを受け入れた。JSRは外国人株主が過半を占めており、非公開化で成長への投資や事業再編をしやすくする狙いがある。 SBI新生銀行は6月にSBIホールディングス(HD)によるTOBが成立した。9月に臨時株主総会を開き、株主をSBIHDと国だけになるように決議し、同月に上場廃止を目指す。経営の自由度を高めることで公的資金の返済の道筋を付けたい考えだ。 パソコン専門店のピーシーデポコーポレーションもMBOを実施し、10月に非公開化する予定。 ー 引用終わり ー
2023年11月02日
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リーマンショック後は再び上昇した石油価格は、2015年にはアメリカが40年ぶりに原油輸出を解禁したことで109円まで低下。 再び上昇したのち、コロナ禍による原油需要低下で下落。 現在は、経済回復による原油需要と原油生産が噛み合わなくなりつつあるところへ、ロシアのウクライナ侵略とそれに伴う経済制裁で供給バランスが崩れて石油価格は高止まりしている。 石油価格の乱高下には、需給要因のほかに世界的な投資・投機資金(マネー)の余剰が要因の一つとなっている。戦争、紛争、内乱などに乗じて、多額のマネーが動くことで資源価格の乱高下が誘発される。 国際的な原油価格の指標のひとつであるニューヨーク市場のWTIの先物価格は、投機による在庫の増から価格を下げた前週から、パレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃とそれに対するイスラエル軍の報復作戦の展開により、大幅に値上がりした。 乱高下する原油価格の行方は!?2023年10月9日 財経新聞●米WTI原油先物価格が急落 米WTI原油先物価格は10月4日、前日比1バレル5ドル以上の下落となった。翌5日も下落し、82ドル台まで下落している。 9月は一時、1バレル=95ドル台まで上昇し、100ドルを超えるのも時間の問題と見られていたが、急降下した。 石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非加盟国で構成されるOPECプラスの既存の減産枠に加え、サウジアラビアとロシアは、年内に独自の減産を実施すると公表しているにも関わらず下落した。 原油需要の大きい中国やインドでの需要が伸び悩んでいることなどが大きな原因と見られているが、年末にかけてどうなるのだろうか? ●リビアの洪水、ナイジェリアとイランの生産増も影響 北アフリカのリビアでは9月10日からの大雨により、上流の2つのダムが決壊。街が大洪水に見舞われ、数千人が死亡し、数万人が行方不明となる大惨事となった。 リビアは、日量100万バレルを超える世界トップ20以内の産油国だ。多数の港湾で輸出が不可能となったことにより、WTI原油価格は約2%以上値上がりするなど、大きな影響が出ていた。 ロイター通信の調査では、ナイジェリアとイランが大幅増産したという報道があり、4日には米エネルギー情報局によるガソリン在庫が増加したという発表により、原油価格が急落した。 ●先行きは? これからは米FRB(連邦準備制度理事会)の利上げが、原油価格にも大きな影響を与えるだろう。そして原油価格もまた、FRBの利上げに大きな影響を与える。 10月6日に発表された9月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が予想を大きく上回る前月比33万6000人増となり、米国景気が決して悲観する状況でないことが証明された。 雇用統計発表後にWTI原油先物は買いが入った。 原油価格はインフレ率にも大きな影響を及ぼし、1バレル90ドルを超えるとインフレ加速に拍車がかかると懸念される。 FRBの利上げは、年内にもう1回あると見られているが、利上げで原油価格が下落する場面もあるだろう。 年内は米国の利上げ、UAWのスト、イスラエル情勢、サウジアラビアとロシアの動向など、様々な要素が原油価格に影響しそうである。 ー 引用終わり ー 戦争や大規模自然災害など世界情勢の混乱に乗じて、石油や各種の天然資源の相場が大きく動くタイミングで荒稼ぎしようと大量の資金を抱えるファンドなどが虎視眈々と狙っている。 大量の投機資金の中には、石油大国の資金も相応に含まれている。戦争や内紛が起きて儲かるのは、兵器産業や死の商人や民間軍事会社ばかりではない。 開発途上国は、経済的側面から売り物になる天然資源を持つ国と、持たない国に分かれる。国際取引市場で売り物になる天然資源を持つ国は、いろいろな意味で危機にさらされているし、危機を起こす側にもなりやすい。 大きな混乱が生じた方が資源価格が上昇するため、ウクライナ侵略戦争が終わったとしても、工業面で途上国で資源国でもあるロシアが国連の常任理事国であることは、世界平和にとっての大きな危険要素であり続ける。
2023年10月22日
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2023年8月、国際エネルギー機関(IEA)はOPECプラスによる供給削減によって年内に石油在庫が減少し、石油価格が一段と上昇する可能性があるとの見方を示した。2024年には経済的な逆風によって世界的な石油需要の伸びが制限されると見込んでいた。 10月、SDGs、EVの普及拡大などで減少するとみられていた石油の中長期需要見通しは反転し、引き上げられた。 OPECが中長期石油需要見通し引き上げ新規投資中止に警鐘2023年10月10日 ロイター 石油輸出国機構(OPEC)は9日、世界の中長期の石油需要見通しを引き上げた。 「2023年世界石油見通し」によると、2045年までに見込まれる総需要は日量1億1600万バレルで、昨年見通しに比べて約600万バレル上方修正された。27年時点の総需要見通しも、昨年の1億690万バレルから1億900万バレルになった。 OPECのガイス事務局長は「新規の石油プロジェクト向け投資中止を呼びかけるのは間違いで、エネルギーと経済の分野に混乱をもたらしかねない」と警告し、石油セクターが45年までに必要とする投資額の見積もりも昨年の12兆1000億ドルから14兆ドルに引き上げた。 ー 引用終わり ー 2023年10月7日早朝、パレスチナ自治区のガザ地区を実効支配するイスラム武装組織ハマスが、イスラエルに向けて数千発のロケット弾を発射。ハマスの戦闘員がイスラエルに侵入して南部を襲撃した。 イスラエルのネタニヤフ首相は「戦争状態にある」としてガザ地区に激しい空爆を行った。 イスラエルは、ガザ地区からハマスの完全排除を狙っている。 微妙なバランスのもとで戦争を回避していた中東に火種が起こった。ロシアによるウクライナ侵略で危機を迎えた石油需給は、新たに危機を重ねた。 たとえ石油需要の伸びがなくとも、石油価格は高止まりを続ける要素が加わった。 シオニズムとイスラム原理主義が全面戦争とならないことを願うばかりだ。 大規模な紛争が起きるたびに金と石油の価格が上昇する。オイルマネーが投資先を求めて蠢いていることと無縁ではないように見受けられる。
2023年10月19日
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2023年8月28日、楽天モバイルは2020年4月に開始したMNOサービスの契約数が500万回線を突破したと発表した。 楽天モバイルは、KDDIとの新ローミング契約による新プラン「Rakuten最強プラン」を6月にスタート。KDDIのネットワークを利用して、自社回線のみでは98.4%にとどまる人口カバー率を99.9%までに拡充、法人への販売強化などで回線数の増加をすすめていた。 総務省からの割り当て前提ではあるものの、同社初のプラチナバンド(700MHz帯)について早ければ23年12月にも電波を発射する予定と公表していた。 携帯電話業界で1GHz以下の周波数帯を指す「プラチナバンド」は、障害物を回避しやすく建物の中や遠方に飛びやすいので、少ない基地局で広範囲をカバーできることから携帯電話会社にとって最も重要な周波数とされている。そのプラチナバンドの免許を現在保有しているのは、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3社。 2019年に新規参入した楽天モバイルは、既に有効活用できるプラチナバンドの空きがなかったこともありプラチナバンドの免許を保有していない。 楽天モバイルにとってプラチナバンドの免許は、悲願であり楽天グループの浮沈をかけても勝ち取るべきものだった。 プラチナバンド割り当て申請は「楽天モバイル1社のみ」と判明 2023年10月3日 ITmedia NEWS 総務省は10月3日、「プラチナバンド」ともいわれる700MHz帯を使った基地局開設の認定について、申請は楽天モバイル1社だったと発表した。総務省は申請について審査したのち、10月23日にも電波監理審議会に諮問を実施。問題がなければ、楽天モバイルのプラチナバンド獲得が濃厚となる。 プラチナバンドとは1GHz未満の周波数帯域のことを指し、建物の奥まで電波が届きやすいなどの特徴を持つ。特に都市部などのエリアだとつながりやすさに直結する帯域でもあることから、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクは複数のプラチナバンドを運用している。一方で、楽天モバイルは現在プラチナバンドを保有しておらず、エリア対策において同帯域の獲得は必須となっている。 もし認定されれば、楽天モバイルは700MHz帯(3MHz×2)として、上り715~718MHz、下り770~773MHzの帯域が利用できるようになる。楽天モバイル親会社の楽天グループは、2023年度第2四半期決算において、プラチナバンドが獲得できれば早くて2023年12月から電波を発射できると明かしている。 もともとは各キャリアが保有するプラチナバンドを楽天モバイルに再割り当てする方向で議論が進んでいたが、“虎の子”ともいえるプラチナバンドを一部手放すことになるうえ、3社合計で3000億円近くともいわれる再割り当て関連コストも負担する必要があり、ドコモ、KDDI、ソフトバンクは反発していた。 その後、NTTドコモの提言により特定ラジオマイクや高度道路交通システム(ITS)で使われている、700MHz帯周辺にある3MHz幅×2の空きを新規で割り当てられないか検討を開始。フィルターの挿入など各種対策を施すことで共用が可能であると判明したことから、同帯域幅を割り当てる方針となった。 総務省では今回の開設指針案で、絶対審査基準に加え、複数からの申請があった場合を想定した比較審査基準を設けているが、「公平性・競争促進」のなかに「いわゆるプラチナバンドの割当てを受けていないこと」などの項目があり、楽天モバイルに有利な条件となっていた。 ー 引用終わり ー
2023年10月10日
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日本の行政は、2007年に行なわれた日本郵政公社の民営化を代表に、2000年ごろから行政や自治体のサービスについて民間委託の導入の流れが活発化した。 現在、広い範囲で行政や自治体に民間委託が導入されている。 代表的な民間委託は、ゴミ収集、学校給食といった現場で行う行政サービスと行政や公共施設の窓口業務。 行政主導のイベント運営、行政によるアンケート調査といった、行政プロジェクトの運営などが民間委託されている。東京オリンピック2020のように、実質的な電通による運営が明らかになった例もある。 安倍内閣主導の法令の改正により、図書館や保育園といった行政が運営する施設の運営や管理も、民間委託の導入の範囲がひろげられている。 行政や自治体が民間委託を導入するメリットは行政サービスにおけるコスト削減効果、行政サービスの質の向上などがあげられる。 コストの削減は、公務員の異動や削減。サービスの向上は、行政にない民間のサービスを取り込みによる行政サービスの質を向上などだ。 行政が実施することによる制度運営の安定性の視点はない。 民間企業なので廃業、破綻することもあり、そのときの行政サービスの提供の継続性は確保されていない。 学校給食の停止、全国で相次ぐ供給会社が破産手続き2023年9月5日 共同通信 県立高校や寮に給食などを提供している食堂運営会社「ホーユー」(広島市中区)は5日、同社が供給する全国約150施設のうち、約半数への提供を停止していると明らかにした。2学期から停止しているケースが相次いでおり、同社の山浦芳樹社長は取材に「給食を提供できなくなったのは申し訳ない」と謝罪、現在は破産手続きを進めているとした。 広島県や広島市によると、1日午前にホーユーの調理員から、会社と連絡が取れず昼から食事を提供できないと三次高に連絡があり、同校が県に伝えた。県内で計7校の寮生向けの食事提供が滞り、各校で弁当を手配するなど対応しているという。県の担当者は取材に、「会社とは全然連絡が取れない状態。このような事態は初めてだ」と困惑した様子で話した。 静岡県は5日、県立の特別支援学校など5校で、2学期から給食が提供できなくなっていると明らかにした。生徒らに弁当を持参させるなどして急場をしのいでいる。 静岡県によると、8月末以降、ホーユーの関係者と連絡が取れなくなり、給食提供を断念した。 ― 引用終わり ― 公立学校の給食などは行政のやることで、機動的な価格引き上げへの対応はほぼ不可能。 もともと財務体質が悪かったこともあろうが、極端に安い価格で契約したホーユーが食材の全面的な価格上昇に耐えられなかったのだろう。 「けた違いの金額で入札」 同業者が語るホーユーの食事提供停止問題 2023/9/8 広テレ! … (略) …■食堂運営会社の元社長 「ホーユーさんと一緒になった時は、けた違いの金額で入札していた。かなり安い。これで本当にできるのかと」 県立高校4校との契約について、県教委は「学校が経費の内容などを調査したのち、問題ないと判断して契約した」としています。 ■日本給食経営管理学会(龍谷大学農学部教授)朝見祐也 広報部長 「安い金額で仕事を受けることは、質の悪い食品を使ったり、安全安心をおろそかにすることにつながる。学校給食なら保護者など食材料費を支払う人たちにも理解を得る必要がある」 ー 引用終わり ー 基準価格もなく入札を行うと、安ければ良いとなる。安い日本は、高速鉄道やBEVで安さを誇る中国の産業界に近づこうとしている。 ホーユーは500人以上の従業員解雇し、近く広島地裁に破産申請をするとのこと。 敗者は市場から去るのが資本主義のルール。社会インフラは継続することの価値をみて行政が運営してきた。 株式会社ホーユー公式サイト
2023年09月11日
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現在ドイツの与党はオラフ・ショルツ首相を擁する社会民主党(SPD)、同盟90/緑の党(B90/Gr)、自由民主党(FDP)で構成されている。 ドイツ経済の発展を謳歌したメルケル前首相時代と異なり、海外からの直接投資が急減しているという。 経済の不調は、コロナ禍、米中対立、ロシアのウクライナ侵略などに起因するが、他の国々よりドイツは強い反動があった。 経済がボロボロになっても脱炭素に固執する…「EUの優等生」だったドイツが世界の投資家から見捨てられたワケプレジデントオンライン / 2023年8月28日 7時15分 … (略) …■脱ロシア、中国排除で経済停滞は避けられない ドイツ経済研究所(IW)によると、ドイツへの投資が減少している主な理由は、同国の電力事情が不安定化していることにある。2022年のドイツは、ロシア発のエネルギーショックが直撃し、歴史的な物価高騰を経験した。一方ショルツ政権は、B90/Grのイニシアチブの下、脱原発・脱炭素・脱ロシアの三兎を追う戦略に邁進した。 すでにドイツでは消費者物価の上昇は一服したが、ショルツ政権による急激な再エネ・LNGシフトで電力供給が不安定性を高めているため、エネルギー価格がエネルギーショック前の水準に戻る展望は描きにくくなっている。こうした状況から、外資系企業は、ドイツに対する投資に慎重にならざるを得なくなっているようだ。 ドイツ経済の復調には、外国からの投資流入が必要不可欠である。にもかかわらず、B90/Gr出身のロベルト・ハーベック副首相兼経済・気候相は、中国を念頭に、ドイツ向け投資に対する規制の強化を模索している。ショルツ首相や経済界は中国との関係を重視しているが、ハーベック副首相はそれとは真逆のスタンスを貫いている。 ■ショルツ政権の足並みを乱す環境政党 投資政策のみならず、財政政策の在り方に関しても、B90/Grは連立政権の足並みを乱している。ショルツ政権は8月16日、数十億ユーロ規模の法人税を減税することで経済成長を後押しする「成長機会法案」を審議した。自由主義の立場から「小さな政府」を良とするFDPの肝いりの法案だったが、B90/Grの反対で合意に達しなかった。 より正確には、B90/Grに属するリザ・パウス家族・高齢者・女性・青少年相が、この成長機会法案に基づく減税措置と同時に、児童手当の拡充を声高に求めたため、3党間の合意に達しなかったのである。FDPは小さな政府を良とする立場から減税は支持するが、歳出の拡大には反対の立場である。そのため、議論がまとまらなかったわけだ。 そもそもショルツ政権は、財政拡張志向の左派の2党(SPDとB90/Gr)と健全財政志向のFDPという「水と油」の関係を内包する連立政権であることから、発足の当初から早々に空中分裂するのでないかという懸念があった。実際にこれまでの政権運営で、FDPは、SPDとB90/Grが志向する政策に対して、たびたび疑義を呈してきた。 ■経済よりも「脱炭素」に固執 例えばSPDとB90/Grは、電気自動車(EV)シフトを重視する立場だが、FDPの主張を受けて、2035年以降も新車供給に合成燃料(e-fuel)を用いた内燃機関(ICE)車を容認する道が拓かれている。FDPは連立政権の足並みを乱すというよりも、左派勢力による理念先行の政策を、現実的な方向に修正してきたようにも見受けられる。 SPDは左派政党だが、責任政党としての経験が豊かであり、現実的な対応ができるしかし責任政党としての経験に乏しいB90/Grの場合、SPDとの違いを明確する必要があるとはいえ、理念先行の主張に終始している。これまでのところ、3党連立の足並みを乱しているのは、FDPではなく、むしろB90/Grといって差し支えない。 … (略) … ■急激な脱炭素政策に、有権者は不満を募らせている 環境政党あるいはラジカルな環境・エネルギー政策に対して有権者の不満が募っていることは、7月に行われたスペイン総選挙でも明らかとなった。ペドロ・サンチェス首相を擁する中道左派の与党・社会労働党(PSOE)は1議席を増やしたが、最大野党である中道右派の国民党(PP)が48議席を積み増し、第1党に返り咲いたのだ。 当初は、ラジカルな環境・エネルギー政策を批判する極右政党ヴォックス(VOX)の台頭が予想されたが、同党は結局19議席を失う大敗となった。直前に有権者が、VOXよりも現実的なPPに期待を寄せたことが、VOXの大敗につながったようだ。またPSOEと協力関係にある極左政党スマル(Sumar)も、改選前から7議席を減らし敗北した。 英国でも、首都ロンドン西部で行われた下院補選で、劣勢が伝えられていた与党の中道右派・保守党の候補が勝利を収めた。保守党の候補が、中道左派のロンドン市長が進める環境対策に対する反対票の受け皿となったわけだ。このように、環境政党あるいはラジカルな環境・エネルギー政策に対する有権者の不満は、各地で確実に高まっている。 ― 引用終わり ― ドイツは東西統一で経済の勢いを失ったが、EU結成で勢いを取り戻した。中国への自動車製造の進出でさらに勢いを増した。ロシアからパイプラインで低価格の天然ガスの供給も約束された。これらがすべて裏目に変わった。 気候変動の激しさなどから低炭素化は社会のトレンドであり続けるだろうが、地球温暖化防止策と経済の折り合いをつけなければ、政治は迷走することになる。失業者が短期間に多数発生するような政策・政党は、国民的支持が得られにくい。 ドイツの経済不振は社会の不安定化を導き、もともと不安定なフランスとあわせEUは体制の不安定化する。日本にとっても良いことではない。
2023年09月04日
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企業別組合が圧倒的多数の日本の労働組合は、ストライキなどの組合員に分かりやすい経営との争いをしないことで、御用組合と呼ばれることも多い。 現在の日本ではユニオンショップ協定に基づく企業別組合が組織されている企業は、コンプライアンスに配慮がある待遇の整った企業が多い。 よりよい労働条件を実現するため、労使協調路線で臨む労働組合も多い。 労使協調路線の中で経営施策に労働組合が経営施策に協力するためには、一般に公開されているより詳細な経営情報の提供が前提となる。 その経営施策が組合員にとって、良いものか悪いものかを事前に判断しなければならないからだ。 情報が十分ではないとき、労使交渉は難航し、決裂する可能性が高まる。特に雇用に関わる経営施策については、ストライキという交渉手段も想定される。 「そごう・西武」で異例のストライキ?経営側の十分な情報開示なく、従業員は不信感「売却計画」自体への影響もあるか?2023年7月17日 J-CAST会社ウォッチ セブン&アイ・ホールディングス(HD)が検討している傘下の百貨店「そごう・西武」の売却計画に絡み、「そごう・西武労働組合」がストライキを実施する検討に入った。大手百貨店のストは1950年代に実施されたことはあるが、近年では極めて異例だ。 背景には、経営側が従業員に対する情報開示に応じないことがある。従業員の不信感が高まっているとされ、売却自体の行方にも影響が及ぶ可能性もある。 当初から従業員の反発大きく 人員削減の懸念、店舗イメージが変わることへの不満そごう・西武労組は2023年7月3日、スト権確立の是非を問う投票の実施を組合員に告示した。結果は25日に公表される見通し。賛成が過半数となれば、スト権が確立される。同百貨店の従業員は約5000人にのぼり、うち8割が組合員だ。 セブン&アイHDは2022年11月、米ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに「そごう・西武」を売却すると発表した。フォートレスは、ヨドバシカメラの持株会社であるヨドバシホールディングス(HD)と組み、「そごう・西武」の店舗運営を行う方針とされている。 この売却計画に対しては当初から、従業員の反発は大きかった。大幅な店舗閉鎖や人員削減が不可避とみられたからだ。また、旗艦店である西武池袋本店(東京都豊島区)にはヨドバシカメラが出店する可能性が高く、同本店の売り場縮小による影響だけでなく、百貨店のイメージが変わることへの不満の声も上がっていた。 しかし、経営側はフォートレスなどに対する「守秘義務」があるとして、従業員への十分な情報提供を行ってこなかった。同労組が異例ともいえるストの検討に入ったのは、経営側に説明を求めるためには、実力行使に打って出る必要があると判断したからだ。 同百貨店の全国10店舗で実際にストが実施されれば、客だけでなく、取引先やテナントなど多方面に及ぼす影響は大きく、経営側は何らかの対応を取らざるを得ないとみられる。 ― 引用終わり ― 賛成が過半数にのぼればストライキ権が確立される。全国に10店舗を持つ大手の百貨店がストライキを行えば、異例の事態となる。スト権投票でスト権が確立されても、即ストライキ実施ではない。今後の労使交渉がストライキの実施するかどうかのトリガー。ストライキ実施の判断をするのは、労働組合の執行部、執行委員会。 交通関係のストライキでは国労(国鉄労働組合)のストライキが伝説となっており、「親方日の丸」の象徴のように語る者も多かった。 大規模なストライキは闘争資金の使用などで組合の財政力を奪う。ストライキを実施しても成果が不十分な場合、執行部は組合員との信頼関係を失う。 国鉄の労働者は、それほど良い労働条件を得ていなかった。「親方日の丸」は争いをそこまで激化させた国鉄経営陣にふさわしい冠だ。 セブン&アイHDの経営陣も、争議がそれほどエスカレートするとは思っていなかったのだろう。 7月24日、セブン&アイ・ホールディングス(7&iHD)は、売却を予定している百貨店事業のそごう・西武について、9月1日に約2100億円で米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに売却する方向で最終調整に入り、長期化した交渉が最終決着に向けて動き出したことが報じられた。 7月25日、そごう・西武労働組合の投票は、賛成93%でスト権が確立された そごう・西武労働組合は、労使協調路線の組合が多い、連合系の日本サービス・流通労働組合連合に加盟している。ストライキを実施することが必ずしもプラスではないことをよくわかっているはずだ。
2023年08月03日
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欧米の金融不安や相場の急変によって富裕層が資産運用に苦しみ始めているという。 ハイリターン金融商品はハイリスクであることが「常識」となっているが、金融不安や相場の急変によって資産運用に苦しむ富裕層も少しはいるのだろう。大きな金額を投じれば、リスクが減ると勘違いしていることはないと思うが…。 米国やスイスの大手金融機関の破綻が続いても、さして関係なさそうな報道の風景が日本では続いている。 出典:三菱UFJモルガン・スタンレー証券 公式サイト永久劣後債(えいきゅうれつごさい) 破産や会社更生手続きの開始などの「劣後事由」が発生した場合の弁済順位が普通社債より劣る分、高い利回りを期待できる劣後債のうち、満期が定められていないタイプ(通常、期限前償還条項が付帯)。満期が定められていないことに加え、期限付劣後債より弁済順位が後位のため、一般に同劣後債より高い利回りを期待できる ― 引用終わり ― 投資するにあたっては、高利回りを狙って高リスクには目をつむるものであることが明確に描かれている。優雅な人が経済的に苦しむ様が注目されるという風でもないが、下記の記事は文字で煽っている。 悲劇の舞台は「仕組み債」から「永久劣後債」へ 富裕層らが2.4兆円の大損!海外債券投資の罠2023年6月19日 東洋経済オンライン 優雅に達観した生活を送っているように見える富裕層。ただ陰では投資や税金対策に頭を抱え、時にもがき苦しむ様子が垣間見える。6月19日発売『週刊東洋経済』の特集「富裕層のリアル 国内150万世帯、受難の時代」では、富裕層の偽らざる実像に迫った。 「こちらがドル建て債券に関する資料です。足元で金利が軒並み上昇している状況なので、円債に比べて高い利回りを確保できます」 今年初め、ある国内証券会社の営業マンは富裕層の顧客にそう言って1枚のリストを見せていた。提示したリストに載っているのは、海外の銀行などが発行するドル建ての「永久劣後債」だ。 劣後債は発行した企業などが倒産した場合に、弁済する優先順位が普通社債などに比べて後回しになる(劣後する)債券のことだ。 中でも永久劣後債は、5年後や10年後といった満期の定めがない。そのため、投資家にとってはかなりリスクが高く、その分利回りも相対的に大きいハイリスク・ハイリターンの商品だ。 投資リスクが高いAT1債 先ほどのリストには6〜7%台の商品がずらりと並んでいるが、その中で10%超というひときわ高い利回りを示していた債券がある。スイス金融大手クレディ・スイス・グループの永久劣後債だ。別名「AT1(その他ティアワン)債」とも呼ばれる。 クレディ・スイスといえば、富裕層でなくとも投資家であれば誰でも耳にしたことがある、世界的な金融グループだ。その債券で10%もの利回りを得られるとあって、多くの富裕層が飛びつくようにして購入していった。 それが一転して、紙くずになってしまったのは今年3月のこと。クレディ・スイスは経営不安が一気に高まり、同国金融最大手のUBSグループと株式交換による救済的な買収で合意。さらに、中央銀行のスイス国立銀行から流動性支援(臨時の資金供給)を受けた。スイス連邦金融市場監督機構はそうした支援策が、クレディ・スイスのAT1債が規定する「元本削減条項」に抵触するとして、無価値化すると判断したわけだ。 紙くずになったAT1債の総額は約160億スイスフラン。日本円に換算すると約2.4兆円にも上る。金融庁の調べでは、日本では富裕層を中心に約1400億円分が販売されていた。そのうち約950億円分を販売していた、三菱UFJモルガン・スタンレー証券に対しては、金融庁が顧客対応などについて報告するよう命令を出すなど、騒動は広がるばかりだ。 仕組み債でも損失の悲劇 急転直下の事態を受け、4月に入ると日本でも企業や富裕層から悲鳴が次々と上がった。 ゲームソフトなどの開発を手がけるコーエーテクモホールディングスは、AT1債への投資によって41億円の損失を計上。「箱根駅伝」で名をはせた青山学院大学陸上競技部の原晋監督は、「平均年収のウン倍」を失ったとインターネット番組で嘆き、大きな話題になった。 足元では金融分野に強い弁護士事務所の間で、被害を受けた富裕層に広く声をかけて集団訴訟に持ち込もうとする動きが広がり始めている。 訴訟に向けて弁護士らが着目しているのが、販売していた証券会社が元本削減条項などのリスクについて、どれだけ説明責任を果たしていたかという点だ。 … (略) …仕組み債でも大きな損失 金融庁の幹部は、AT1債で被害を受けた顧客の中には「仕組み債においても、大きな損失を被った人が一定数いる」と明かす。 仕組み債とは、債券と金融派生商品(デリバティブ)取引を組み合わせた金融商品のこと。デリバティブ取引は個別株価や株価指数、為替相場などに連動しており価格変動が大きいことから、債券ではあるもののかなりハイリスクな商品だ。商品設計が複雑なため、投資初心者はリスクの認識が難しい。 それを地方銀行などが「高利回り商品」などとして販売。富裕層や高齢者に過剰なリスクを取らせていたことが問題となり、規制が強化されてきた経緯がある。 その規制の抜け穴として、証券業界で脚光を浴びたのが、まさにAT1債だった。そこで大きな悲劇が発生するのは、もはや時間の問題だったのかもしれない。 ― 引用終わり ― 金融分野に強い弁護士事務所には、大きな獲物(賠償が巨額、専門性が高い案件)なのだろう。 「仕組債」は、一般的な債券にはみられないような特別な「仕組み」をもつ債券。 「仕組み」とは、スワップ(固定金利と変動金利、通貨と通過を交換する取引)やオプション(あらかじめ約束した価格で、定められた期間後に売ったり買ったりできる権利)などのデリバティブ(金融派生商品)を利用することにより、投資家や発行者のニーズに合うキャッシュフローを生み出す構造を指す。こうした「仕組み」により、満期やクーポン(利子)、償還金などを、投資家や発行者のニーズに合わせて比較的自由に設定することができるとともに、リスクの所在、大きさがよく分からなくなる。
2023年07月08日
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2023年6月9日、スイスの銀行UBSグループ(本部所在地:スイス・チューリッヒ・バーゼル)は、クレディ・スイス・グループ(本部所在地:スイス・チューリッヒ)救済買収から生じ得る損失を90億スイス・フラン(約1兆4000億円)まで政府がカバーする協定に調印したことが報じられた。 6月12日、UBSグループは、業績不振の噂から資金流出が続いたクレディ・スイス・グループ買収を完了した。2008年の金融危機以降で最大規模の銀行合併となり、富裕層向け資産運用事業の分野で巨大金融機関の誕生となる。 スイス政府は、クレディ・スイス・グループの破綻を防ぐことができ、金融機関の破綻に際し政府の保護措置が早期・適切に機能することを知らしめ、秘密主義のスイスの金融機関の対外的信用を保つことができた。合意に基づく損失補填を受けるためには合併後の銀行は本部をスイス国内に置き続ける必要がある。 UBS、クレディ買収完了=167年の歴史に幕2023年6月12日 時事通信 スイス金融最大手UBSは12日、経営難に陥った同業クレディ・スイスの救済買収を同日完了したと発表した。スイス政府の指導の下、手続き開始からわずか3カ月で経営統合を果たした。ロイター通信によると、5兆ドル(約700兆円)の資産を管理する巨大金融グループが誕生する一方、1856年設立のクレディは167年の歴史に幕を下ろした。 UBSのケレハー会長は声明で「われわれは今や単一のスイスのグローバル企業であり、共により強くなる」と述べた。グループ全体の従業員は計12万人となるが、UBSは効率化の一環として人員削減に取り組む方針を明らかにしている。 ― 引用終り ― 買収後、統合作業がすすめられ、人員削減は数千人規模になるとみられている。 買収にあたり、数年に及びかねない経営統合のリスクが指摘されていた。 金融不安の震源地となった米国では、預金の流出に歯止めが掛かり、銀行は不動産向け融資も絞ってはいないので、金融不安は終息方向となったとの見方もある。 一方、金融不安は長期化傾向との見方もある。実体経済から離れた大量のマネー(投資資金)が世界に溢れているので、超過利潤を求めて彷徨うマネーにより、金融は不安定化を続けるとの観測もある。 金融不安は長期化の公算大危機の火種になり得るノンバンクの監督強化を小林俊介:みずほ証券 エクイティ調査部 チーフエコノミスト2023.5.22 DIAMOND online … (略) … 加えて、今後起こり得る危機の震源は銀行に限らず、ノンバンクの存在も忘れてはならないだろう。 ノンバンクは、リーマンショック以降に強化された銀行規制をかいくぐって膨張を続けている。実際、世界全体でノンバンクが保有する金融資産残高は2021年末時点で239.3兆ドル(3.2京円)、全体の49.2%に相当する。 強力な規制・監督下に置かれている銀行と比べれば、ノンバンクは総じて資産と負債の残存期間(デュレーション)のミスマッチや流動性の問題、あるいは負債レバレッジの高さなどの脆弱性を有している。大規模な金融危機を予防するためには、ノンバンクへの監督を強化すべきではないか。 ― 引用終り ―
2023年06月27日
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三菱重工は原発の輸出政策で失敗、豪華客船建造でも失敗したところへ、中型旅客機・三菱リージョナルジェッ(MRJ)ト改め三菱スーパージェット(MSJ)が米国の型式認定を得ることができず撤退のダメ押しとなった。MSJの開発担当の子会社三菱航空機のプロジェクト凍結時、2021年3月期決算の債務超過額は5,559億円。2022年3月期の債務超過額は、5,647億円に拡大。 誤った決断を続けた経営陣により「オワコン」とされた三菱重工は、地道な現場の努力が実り、2023年3月期決算は絶好調。ガスタービン事業は、新たに世界シェアトップとなった。24年3月期は過去最高益を更新する見通し。 参謀クラスの能力が低いのは日本の悪しき「伝統」なのかもしれない。 “オワコン扱い”だったのになぜ?三菱重工の決算が「絶好調」な理由2023年5月19日 ITmedia ビジネスオンライン … (略) …●ガスタービン事業が世界シェアトップに 特筆すべきは、ガスタービンの世界シェアがついにトップとなったことだろう。 近年、同社はグローバルなエネルギーシフトや脱炭素社会への舵切りに向けて、水素ガスを利用した大型のガスタービンをはじめとした、環境負荷の低い高効率なタービン事業が躍進している。高効率なガスタービンは、化石燃料から再生可能エネルギーへの移行期における中間エネルギー源として注目を集めているのだ。 同社の決算内容をみても、ガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)事業が特に業績を伸ばしている。同事業の売上収益は前年同期比19%増の7368億円を達成。三菱重工の全社における売上収益は4.2兆円であったことから、全社売上のうちおよそ2割がガスタービンによるものとなっているといえるだろう。 ガスタービンの世界シェア争いは、ドイツのシーメンスやアメリカのゼネラル・エレクトリックと競争を繰り広げており、19年には3位だった世界シェアが、およそ4年で33%までシェアを伸ばしてトップとなったのである。 特に中国や米国、そして日本でも大型・高効率のガスタービン需要が拡大している。アフターコロナに伴う経済活動の再開に伴って、効率がよく、環境負荷のできるだけ小さい三菱重工のガスタービンが選ばれているようだ。 日本では緩和的な金融政策の継続によって大幅な円安が発生しているため、為替要因によって業績が押し上げられているのではないかという懸念もある。しかし、ガスタービンの世界シェアは出力ベースで調査がなされていることから為替要因以上に国内外からの受注が好調であることの表れであり、事業として健全に成長しているといって差し支えないだろう。 現に、三菱重工における同社の円安に伴う収益の増加要因は3000億円といわれているが、この影響を控除したとしても受注高は前年度比で増加している。他企業の間では賃上げや物価高に伴う原価や販管費の高騰によって為替要因で辛うじて増収増益、実質的には減益となっている者も少なくない中で、同社は着実に健全な成長を続けていることが分かる。 では、今年撤退を発表したMRJは全社業績の足を引っ張ってしまったのだろうか? 結論からいえば、そういうわけでもなさそうだ。 ●MRJが産んだ新たなビジネス 付箋に欠かせない「貼って剥がせるのり」が、強力な接着剤の製作過程における失敗作から誕生したように、単体でみれば一見失敗したようにみえるビジネスであっても、そこから収益の基盤を生み出す例は決して少なくない。 MRJの失敗も例に洩れず、三菱重工業にとって、新たな門出を告げる契機となった。その経験から学んだ教訓は、事業のリスク管理と経営戦略の再構築に大いに役立ったのである。また、MRJ開発に関わった技術者の知識や経験は、他の航空宇宙関連事業に生かされている。 ― 引用終り ― MSJの開発について国は507億5千万円の補助金=税金を出した。債務超過額と補助金を足しただけで1兆円を超える出費となっている。 記事は航空機のMRO(メンテナンス、リペア、オペレーション)事業の成長に大いに役立っているとしているが、投入した金額と得られる利益のバランスが全く取れていない。 MRO事業が含まれる「航空エンジン」事業の売上収益は前年同期の716億円から1265億円にしか増加したに過ぎない。 基盤となる既存事業を軽視し、企業の存続を危ぶまれるものとした経営の判断は、正しく批判、総括されるべきだろう。東芝やシャープのようにならなかったのは、不幸中の幸いとすべきこと。パナソニック、東芝、ソニー、日立製作所、三菱電機、三菱重工、IHIといった日本の電機、重工業業界を中心とした大企業は、「選択と集中」で象徴されるGEを手本とした。近年の業績の推移をみると、GE「お手本」としたことは到底正解とは言えない。自画自賛の方針で大博打を三つも打って外した三菱重工の経営陣は頭を切り替えることができるだろうか。ギャンブル癖は中々治らないと聞くだけに気になる。 熱効率が優れていることを誇るべきガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)事業に対して、頭脳明晰な三菱重工経営陣は、経営資源を適切に振り向けられるだろうか?
2023年05月30日
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2023年3月8日、仮想通貨(暗号資産)分野に注力し、苦境に陥ったシルバーゲート銀行の持ち株会社の「シルバーゲート・キャピタル」は、銀行業務を終了し、任意清算に踏み切ると発表した。 2023年3月10日、シリコンバレー銀行が経営破綻した。シリコンバレー銀行は、米国・カリフォルニア州に本社を置く銀行で、主にテクノロジー業界に特化した金融サービスを提供していた。 3月12日、米国・ニューヨーク州金融監督当局はシグネチャー・バンクの事業を同日付で停止したと発表した。シグネチャー・バンクは暗号資産(仮想通貨)関連企業との取引で知られていた。 5月1日、米金融当局は、経営不振に陥っていたファースト・リパブリック銀行(FRC)を公的管理下に置き、事業の大部分をJPモルガン・チェースに売却すると発表した。FRCの破綻は、アメリカの銀行破綻としては史上2番目の規模。 爆発に向けたカウントダウン──米銀行の連続破綻は必然だったInevitable Collapseニティシュ・パーワ(スレート誌ライター)2023年5月11日 Newsweek … (略) … 一連の破綻についてFRBは、大手金融機関への監視が強まる一方で、より小規模な銀行が監視を免れたことなどが原因と分析し、規制改革を求める材料にするだろう。 今回の一件で、SVBの破綻から6週間以上が過ぎても、米金融システムがその打撃から立ち直っていないことがはっきりした。相次いだ破綻は「伝染」ではない。FRCという火種の爆発に向けたカウントダウンは、はるか前から始まっていたのだ。 ― 引用終り ― 金融機関が破綻したとき、日本では、普通預金や定期預金といった預金が保険対象となり、一定限度額まで保護される(ペイオフ制度)。ペイオフ制度の限度額は、原則として「1金融機関につき元本1000万円と破綻日までの利息分」。金利のつかない当座預金などについては、全ての預金が保護される。 米国では、FDIC(連邦預金保険公社)が預金補償する。対象は、普通預金、貯蓄預金などで、補償額は25万ドル。しかし、この補償は日本では全額が保証される決済用預金などの金額も合わせた部分も含まれる。 米地銀でさらなる合併も当局は容認の公算=イエレン財務長官2023年5月15日 ロイター イエレン米財務長官は13日、銀行業界の現在の環境と一部地銀の収益への圧力から、米地銀業界ではある程度の合併・買収(M&A)が起こる可能性があり、規制当局はそうした合併を容認する公算が大きいと述べた。 主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議の合間にロイターのインタビューに答えた。 イエレン氏は、預金保険対象の預金に占める割合が高い小規模な地銀に圧力がかかっていることを示す証拠はなく、ほぼ全ての銀行は預金保険対象外の預金の予期しない流出に備えて十分な流動性を確保していると自信を示した。 しかし、地方の中規模銀行のセクターではある程度の合併が生じる可能性があると指摘。「今の環境ではさらに合併が起こるかもしれないし、そうなれば規制当局も受け入れると思う」と述べた。 また「残念なことに、いったん銀行株に圧力がかかると、その銀行が十分な自己資本と流動性を備えているにもかかわらず、預金保険を受けられない預金者の間で懸念が生じることがある」と述べ、銀行株への圧力で預金保険制度対象外の預金者に不安が生じる可能性を指摘した。 ― 引用終り ― イエレン米財務長官は、預金は補償されており不安になる必要はないが、金融機関の破綻は妨げることができないと言った。 救済合併が決まっていても、預金が補償されていても、「破綻懸念」の情報が流布されたとたん、大量の預金がネットを通じて引き出され、金融機関が破綻する構図が示された。この傾向に歯止めをかけることは、今のところほぼ不可能。 資本主義の根幹をなす金融制度は、ネット社会の進展により著しく不安定なものとなった。 この脅威は、大手の預金額が大きい金融機関であればあるほど深刻だ。
2023年05月25日
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少子化が本格化し、国内各地で大学の閉校のニュースが報じられるようになった。 少子化は本質的な閉校理由ではないとする見解もある。女子大、短期大学は、その存在理由を失ったということもあるのだろう。国立女子大学のお茶の水女子大学、奈良女子大学は大丈夫かな。 女子大と短大が消えていく少子化・定員割れで募集停止、閉校相次ぐ2023年5月6日 J-CASTトレンド 女子大や短大の募集停止、閉校が目立っている。恵泉女学園大(東京都多摩市)、神戸海星女子学院大(神戸市灘区)、上智大学短期大学部(神奈川県秦野市)、岐阜聖徳学園大短大部(岐阜市中鶉)・・・。入学者数の定員割れが続いていたため、苦渋の決断を強いられたようだ。 共学・大規模校志向も影響 恵泉女学園大学・大学院は3月22日、2024年以降の学生募集停止を公表した。18歳人口の減少、とくに近年は共学志向など社会情勢の変化の中で、入学者数の定員割れが続いたことを理由としている。「存続のためにあらゆる可能性を模索し、将来のありかたについて慎重に検討を重ねてまいりましたが、このたび閉学を前提とした募集停止という苦渋の決断に至りました」とウェブサイトに記している。 神戸海星女子学院大学も4月17日、24年度以降の学生募集を停止すると発表した。学生がすべて卒業する27年3月に閉校する予定だという。 大学側は朝日新聞の取材に、「18歳人口の減少、特に近年の女子の実学志向、共学志向、大規模校志向などで定員確保に苦慮してきた」と理由を説明。担当者は「在学生への責任を果たすため、このタイミングで苦渋の決断をした」と話している。 ― 引用終り ― 少子化は1990年代から始まっている。一方、1990年には372校だった大学は、2022年に620校と1.6倍になり増加し続けた。2000年以降で募集停止となった私立大学は16校。 閉校になる大学の特徴は3つ。 小規模校、立地に問題がある、入学定員の充足率が低い。 募集停止・廃校となる大学は何が敗因か~16校の立地・データから分析した・前編石渡嶺司大学ジャーナリスト2023/3/30 YAHOO!JAPANニュース ◆少子化だけではない募集停止※本シリーズは全4回です 募集停止・廃校となる大学は何が敗因か~16校の立地・データから分析した ・中編(2023年4月4日公開)募集停止・廃校となる大学は何が敗因か~16校の立地・データから分析した ・後編(2023年4月10日公開)募集停止・廃校となる大学は何が敗因か~16校の立地・データから分析した ・最終章(2023年4月18日公開) 恵泉女学園大学の募集停止を受けて、先日、関連記事を出しました。 女子大氷河期サバイバル~私立女子大65校の未来像をデータから検証(2023年3月25日公開) その前に、ヤフトピ入りした毎日新聞記事についても、コメントを入れたこともあり、しばらくメディア取材が続きました。 その中でよく言われるのが「少子化を理由としない専門家は石渡さんくらい」とのこと。 恵泉女学園大学はプレスリリースの中で少子化を理由にしています。 それを受けて、少子化だから募集停止となった、とするコメントが多くあります。 前記事でも出しましたが、恵泉女学園大学が募集停止となったのは少子化だけではありません。 いや、少子化が前提としてあることは私も同意します。しかし、それで終わらせるのは、募集停止の当事者はともかく、中立の視点を持つ専門家としてはちょっと情けない。そう思います。 経済評論家が企業倒産の理由を聞かれて「不況ですからね」で終わらせるでしょうか? 小・中学校教員や塾講師が児童・生徒の成績不振について「勉強しなかったからでしょう」で終わらせます?また、そういう説明で納得できますか? 不況であっても、倒産しない企業がある以上、もう少し踏み込んだ説明が経済評論家には求められるはず。 生徒・児童が勉強していなくても、そのうえでなぜ勉強に手が付かないのか分析することが小・中学校教員や塾講師の仕事であるはずです。 そもそも、少子化が理由で大学が募集停止になるなら、大学数はもっと少なくなっています。 ― 引用終り ― 募集停止、閉校の原因の深堀はよいことと思う。 多くの大学が研究機関としての機能を失い、大学教育のための教育機関としての役割を失いつつある時代に、少子化=学生数の減少が明らかなのに、学問としての専門性に欠ける大学が増え続けた理由、金の流れの方(関係者の皮算用)に興味がわく。 2012年11月、田中真紀子元文部科学大臣は2012年に大学新設を認めないと述べたことを猛烈に批判され、結果、更迭された。行政手続きとしての適不適は別として、この時点で大学が多過ぎることは明らかだった。 自民党は政権与党として、大学の独立行政法人化をすすめ国立大学への交付金を減額する一方で、文部科学省を通じて、大学の設置を認可し続けた。 2017年5月、朝日新聞が「これは総理のご意向」等と記された加計学園の獣医学部新設計画に関する文部科学省の文書の存在を報道した。安倍元首相は、森友学園問題とともに認可などのプロセスをモリカケ疑惑として追及され続けた。怪しいことこの上ない。 田中眞紀子大臣、大学新設3校認めず…審議会の抜本的な見直しへ 田中眞紀子文部科学大臣は、大学設置・学校法人審議会の抜本的な見直しを決め、審議会が答申した3校の大学新設は認可しないことを11月2日の定例記者会見で述べた。2012.11.2 リセマム 田中眞紀子文部科学大臣は、大学設置・学校法人審議会の抜本的な見直しを決め、審議会が答申した3校の大学新設は認可しないことを11月2日の定例記者会見で述べた。 主な理由として、全国約800ある大学の質の低下や、定員不足を海外からの留学生でカバーするなど大学運営に問題があることを挙げた。堀越学園では、8年間で40億円もの借金を抱え、このような事態が発生する状況では、大学設置・学校法人審議会に任せられないという。 今回の答申のうち、短大を廃止して4年制大学を新設する3校については認可しない。また、4年生大学の学部の変更16件は認可する。学部の変更については柔軟に対応していくという。 田中大臣は、「本当の学力のある自立した人物を育成することが重要で、早いうちから自分に何が向いているかを知って欲しい。」と述べた。 ― 引用終り ― 「優秀な官僚」は、悪事の証拠を残さない。このようなことが続くと三権分立の建前が崩壊し、民主主義は外形さえ保てなくなる。 森友問題、佐川氏ら不起訴共同通信, Kyodo2023年2月3日 ロイター 東京地検特捜部は27日、森友学園問題を巡り、学園側と財務省近畿財務局との交渉記録などの情報開示請求に対し「不存在」との虚偽の理由で不開示決定をしたとして、虚偽有印公文書作成・同行使の疑いで告発された財務省元理財局長の佐川宣寿氏ら3人を嫌疑不十分で不起訴とした。「対象文書が残存しているとの認識を認めるに足りる証拠がなかった」としている。 決裁文書の改ざんを苦に自殺した近畿財務局の元職員の妻らが告発状を提出。「文書の保有が確認できなかった」との理由で17年3~5月の不開示に携わったとして佐川氏、当時の理財局総務課長と国有財産審理室長を告発対象としていた。 ― 引用終り ―
2023年05月23日
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世界経済の3つのヤバいできごと。 その① アメリカのファースト・リパブリック・バンクが5月1日に破綻した(日時はことわりのあるものを除き現地時間)。「しかし、JPモルガン・チェースが買収した。金融システムは大丈夫だし、金融市場もこれで落ち着く」という有識者のコメント。 その② 5月3日にFED(アメリカの中央銀行)が、0.25%の利上げを発表、「今後の利上げに対しては中立的」というメッセージを出した。だが、株式市場や債券市場関係者の多くは、それでも「今後は年内に利下げに転じるはずだ」と解釈している。 その③ 日本銀行の植田新総裁という人物および、彼の初の金融政策決定会合後の記者会見を、世間が現状であまりに礼賛している。 3つの「世界同時多発『ヤバい』」が起きている 実はアメリカよりも日本のほうがもっと深刻だ2023年5月6日 東洋経済オンライン 今、世界では3つの「同時多発『ヤバい』」が起きている。 「3つの事件」の影響は深刻だ ヤバいその①:アメリカのファースト・リパブリック・バンクが5月1日に破綻した(日時はことわりのあるものを除き現地時間)。「しかし、JPモルガン・チェースが買収した。金融システムは大丈夫だし、金融市場もこれで落ち着く」という有識者のコメントが「ヤバい」。 これはまったくの間違いだ。これからアメリカ、そして世界の金融市場は静かにどんどん悪くなる。 ヤバいその②:5月3日にFED(アメリカの中央銀行)が、0.25%の利上げを発表、「今後の利上げに対しては中立的」というメッセージを出した。だが、株式市場や債券市場関係者の多くは、それでも「今後は年内に利下げに転じるはずだ」と解釈している。これもまったくの間違いだ。 つねに願望で動く株式市場が、わざと誤解して盛り上がっているのはいつもどおりだが、合理的で理論派のはずの債券市場も、理屈でなく願望で動いており、利下げ願望を織り込んでいる。債券市場の投資家まで願望で動いているのは相当ヤバい。株式・債券の暴落は今後何度でも起きる。 ヤバいその③:日本銀行の植田和男新総裁がすばらしい人物であることは私も知っている。だが、植田新総裁という人物および、彼の初の金融政策決定会合後の記者会見を、世間が現状であまりに礼賛しているのがヤバい。 彼がどんなにすばらしい人格者だとしても、どんなに優秀でも、それと無関係に、日本経済も日本金融市場も国債市場もすでに事実として追い込まれており、身動きできない。「ソフトランディング」はできない。その事実からほとんど目をそらしているに等しい日本社会、日本の論壇がヤバい。 今挙げたように、この1週間前後のうちに、ほぼ同時に起きた「3つの事件」の影響は深刻で根深い。なぜなら、こんなにも重要な3つの問題が同時に噴出したのに、投資家たちは、目をつぶるばかりか、正反対の楽観的な方向に解釈して逃げ切ろうとしているからだ。 そして実際、市場はこの楽観的な願望解釈をもとに動き始めたからだ。これらの問題はどうやっても解決することはできず、ダメージを甘受するしかないという意味で深刻である。 ― 引用終り ― 記事の筆者は「世界の金融市場がヤバい。しかし、どんな手を打っても完全に「詰んでしまった」というのに近い日本が、いちばんヤバいのだ」と記事を結んでいる。日本経済の論壇は以前から十分にヤバいが、日銀総裁の評価を誤っていることぐらいで、そんなにヤバいことになるとは思えない。世界中で巨額のつけ(負債、債権)を積み増している中国は、本当にヤバそうに見える。プーチンのロシアがばらばらに解体されても、世界経済は破滅的な打撃を受けないと思われる。 トマ・ピケティは『21世紀の資本』で資本主義が詰んでいることを世界に示した。勘違いのせいで、日本の金融市場が詰んだ後の世界、経済社会の先陣を切るということだろうか。 マネー、投資資金をワイワイ騒いで無理やり上げ下げしているバブル経済がいつまでも続くはずがないわけだが、終わりの兆しを見た、口火を切るのは日本、巨額の債務を抱える日本政府ということか。 「過去の事例とは違うから今回は問題ない、問題は大きくならない」「市場はよい方向に向かい回復する」などの一連の発言に疑問を唱えて、警鐘を鳴らす記事であることは分かる。 日本政府と日銀は、日本経済がヤバい状態を続けていることは先刻承知しており、自分たちが、延命策を続けていることも自覚している。エリート、支配層が、衆愚に知らせないだけのことだ。
2023年05月11日
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ロシアに関する金融制裁、米国経済のインフレが話題になっている。経済界では大きな出来事が起こりニュースにもなっているが、大きな話題にはなっていないと感じる。 2023年3月10日、米国のシリコンバレーバンクが経営破綻した。総資産が2022年末の時点で、およそ2090億ドル、日本円でおよそ28兆円。 3月12日、米国のシグネチャーバンクが経営破綻した。総資産は2022年末の時点でおよそ1103億ドル、日本円でおよそ14兆7800億円。 米国の銀行の破綻として史上2番目と3番目の銀行破綻がわずか3日の間に起きたことなります。 3月16日 、全米14位、カリフォルニア州を地盤とする中堅銀行のファーストリパブリック銀行に米大手11行が経営支援のため計300億ドルの無保険の預金大手行が共同で資金支援。3月24日に発表した1~3月期決算で巨額の預金流出が明らかになった。3月28日、米ニューヨーク株式市場で同行の株価は一時、前日終値に比べ5割安の2ドル台に暴落、終値は同43.3%安の3.51ドルで破綻が懸念されている。 3月19日 経営危機のクレディ・スイスグループをUBSグループが30億フラン(4,260億円)買収すると発表。 4月24日、スイスの金融大手クレディ・スイスは、第1・四半期に610億スイスフラン(680億ドル)の資金が流出したと発表した。 4月1日、ファースト・リパブリック銀行が経営破綻。連邦預金保険公社(FDIC)は同行を管理下に置いた。ファースト・リパブリック銀行の全84店舗は1日午前から、JPモルガンの支店として営業する。 クレディS、第1四半期680億ドル資金流出UBS買収前に歯止め掛からず2023年4月24日 ロイター スイス金融大手クレディ・スイスは24日、UBSによる買収を控えて第1・四半期決算を発表、差し引き610億スイスフラン(680億ドル)の資産が流出したと明らかにした。 「現在は流出ペースが緩やかになっているものの、2023年4月24日時点でまだ反転していない」とした。 第1・四半期に預金は670億フラン減少した。 クレディ・スイスの旗艦ウェルスマネジメント部門が運用する資産は3月末時点で5025億フランと、前年同期の7070億フランから減少した。 UBSによる買収にあたり、スイス国立銀行(中央銀行)は、両行に2000億フランの流動性支援措置を策定した。 クレディ・スイスによると同措置を利用した純借入残高は第1・四半期末時点で1080億フラン。 またマイケル・クライン氏の投資銀行事業を1億7500万ドルで買収する契約は双方の合意に基づき解消したと明らかにした。 ― 引用終り ― 「6月金融危機」説なども流れているが、世界的な金融危機の再来は、今のところないとされている。
2023年05月06日
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シリコンバレー銀行の破綻、クレディスイスグループの米・USBによる買収の影響は、じわじわと金融界を揺さぶっている。 金利の引上げで破綻したシリコンバレー銀行(SVB)は、銀行運営において何を間違ったのか。経営不振のクレディスイス(CS)は経営は何が問題だったのか。 プロが指南する「個人投資家が狙いたい優良投資先」シリコンバレー銀行にクレディ・スイス…金融不安連鎖で急落する「日本の銀行株」は買いなのか2023.03.24 プレジデントウーマン … (略) … SVBは、銀行ALM(資産・負債のリスク管理)の初歩ができていなかったために破綻しました。SVBは、テック系新興企業との取引で知られていました。テック系新興企業から預金を預かり、融資をする銀行でした。 ところが、テックバブルで、テック系企業にはベンチャーキャピタルなどから、巨額の資金が供給されていました。すぐに使う予定のない現金をたくさん持つ新興企業が、SVBに多額の預金をしていたため、SVBは預金過多で貸付金が不足していました。そこで、SVBは、期間の長いMBSや米国債など債券投資にのめり込んでいき、金利上昇(債券価格下落)で一気に財務が悪化しました。 通常、金利が上昇しただけで銀行は破綻しません。そうならないように、金利上昇リスクを管理しているからです。具体的に言うと、資産のデュレーション(平均運用期間)と負債のデュレーション(平均調達期間)の乖離かいりが大きくなり過ぎないように管理しています。それが銀行ALMの初歩です。 もう少しわかりやすく言うと、1年定期預金で集めたお金で30年の固定利付住宅ローンを出すようなことはしない、ということです。金利が上昇した時、調達(預金)金利だけ上昇して逆ザヤになるリスクがあるからです。このリスクを避けるため、日本の銀行は30年の固定利付住宅ローンを出したら、金利スワップを使って固定金利を変動金利に変換します。そうすることで、金利上昇リスクに備えます。SVBは、そんな銀行経営の初歩ができていなかったから破綻しました。 もう1つの破綻原因 SVB破綻のもう1つの原因は、負債サイド(預金)にあります。逃げ足の速い大口の法人預金中心に資金調達していたことも、破綻の原因です。信用が低下すると、すぐに預金の引き出しが集中しました。 銀行ALMにおいて、同じ流動性預金(普通預金や当座預金)でも、個人預金はデュレーションが長い(長い年月にわたって滞留する)ことがわかっています。出入りの激しい法人預金と違って、給与振り込みやクレジットカードの引き落としに指定された個人口座は、長期に滞留するので「コア預金」と呼ばれます。 預金保険制度の存在も、個人預金がコア預金となる要因です。銀行が破綻した場合、日本では1人1000万円まで、米国では1人25万ドル(約3300万円)まで、普通預金や当座預金の残高が保護されます(預金保険機構に加入している銀行)。個人預金は保証額を下回る金額が多いので、信用不安の噂が出てもすぐ引き出しに走ることはありません。ところが、SVBは大口の法人預金を中心に資金を調達していたため、信用不安の噂が出ると、預金の流出が増えて、資金が行き詰まりました。 ― 引用終り ― 2023年3月13日の朝の演説で、米国のバイデン大統領は、破綻したSVBの顧客が預金を取り戻す際、その費用を払うのは納税者ではないと述べた。 銀行が連邦預金保険公社(FDIC)の預金保険基金に支払っている手数料によって、顧客の預金は回復すると述べ、10日に起きたSVBの破綻の影響拡大が懸念される中、アメリカの銀行システムに対する信頼回復を図るメッセージを発した。 金利上昇がSVB破綻のきっかけになり、信用不安を引き起こしているにもかかわらず、米・FRBは金融危機への対応よりも、インフレ抑制を重視する姿勢を継続し、3月22日のFOMC(公開市場委員会)で0.25%の利上げを実施した。 シリコンバレー銀行、クレディスイスは何が問題だったのか?【特別レポート】2023年3月20日 トウシル 米国でシリコンバレー銀行(総資産全米16位)、シグネチャー銀行(同29位)が破綻しました。また、欧州ではスイスの金融機関最大手UBSが同2位のクレディ・スイス・グループの買収を発表するなど、海外の銀行にも不安が拡がっています。 一部には、リーマンショック後のような金融危機の可能性を心配する向きもあります。 今回は、これらの銀行のケースを念頭に、今日の銀行の問題を考えるポイントを幾つか整理してみたいと思います。 事態はまさに現在進行形で流動的であり、問題の幾つかについてはまだ定説がありません。以下は、現時点での筆者個人の意見であることを強調するために、架空のインタビューに筆者が答える想定の会話調でお届けします。 五つのカテゴリーのQ&Aを用意しました。(1)シリコンバレー銀行(SVB)は何がまずかったのか?【質問】 「シリコンバレー銀行(以下「SVB」)は何がまずくて破綻したのでしょうか。経営内容が特殊で他の米銀とは異なっているので、他行に連鎖的に波及する問題ではないと言う向きもありますが、そう考えていいものなのでしょうか?」【回答】 「SVBはIT企業との取引が多いことで知られる銀行で、他の銀行とちがって経営が不安定化しやすい要素を幾つか持っていました。 SVBは円換算で約28兆円程度の総資産を持つ、必ずしも小さくない銀行でした。日本の銀行と比べると、地銀大手の横浜銀行(単体)の総資産が15兆円台(2021年度末)なので、その倍近くの規模があります。 しかし、同行はその名前から想像できるように、ベンチャー企業をはじめとしたIT業種の新興企業との取引を預金と融資と両面で多く抱えていました。 融資が特定の業種に偏ることは一般論として銀行経営にとってリスク要因です。ただ、今のところ融資先の大きな破綻などが直接の引き鉄になってSVBの経営が傾いたわけではありません。 SVBの場合、融資以前に取引先から集中した預金を持て余したことが破綻の遠因になったようです。銀行経営で、預金額に対する融資額の比率を預貸率と呼びますが、この銀行の場合43%程度でした。貸し付けに回らない多額の資金を運用する必要があり、具体的にはその多くを債券に投資していました。 ところが、昨年来のFRB(米国連邦準備制度理事会)による急激な利上げに伴う債券利回りの上昇によって、運用に大きな含み損を抱えました。ご承知のように、債券では利回りの上昇とは、債券価格の下落を意味します。 但し、債券運用のある銀行の経営が、金利の上昇で必ず傾くかというとそういう訳でないことは注意しておきたいと思います。銀行の主な資金源である預金は預金者によって短期で出し入れされる短期の資金なのに対して、通常は長期の債券の方が利回りが高い。ここで欲張って、長期の債券での運用を増やしすぎると、期間のミスマッチが起こって、金利の上昇でバランスシートが一気に傾くことが起こり得ます。こうしたリスクを管理することをALM(アセット・ライアビリティ・マネジメント)と称しますが、これは銀行経営の常識です。 つまり、SVBには銀行として本来当然なはずのリスク管理が十分できていなかった可能性があります。 リスク管理がしっかりしていれば、金利の上昇は銀行経営にとって、融資の利回りが上昇して資金運用の利ざやが拡大することで、むしろプラス要因に働きます。金利が上昇して銀行株が買われるのは、そうした理由からです。 また、SVBの預金構造には、同行にとってもう一つ不利な要因がありました。それは、取引先が法人顧客中心で一口あたりの預金額が大きく、また預金者の数が資金量に比べて少ないため、同行の経営に不安を持った法人預金者の預金引き出しが集中すると預金の流出スピードが速かったことです。 相次いで破綻したシグネチャー銀行についても、取引先に暗号資産関連の業者が多く、SVBと似た経営構造を持っていたことが指摘されています。 両行は、米銀の中でも些か特殊な経営構造を持っていたということは言えると思います。つまり、同じ理由での連鎖的破綻は起こりにくいと考えられます。 また、リーマンショック後の金融危機への反省を切っ掛けに、米国をはじめとする世界の大手銀行は、自己資本比率を高く保つことや、高いレバレッジ倍率を用いた投機的な取引を控えることなどが規制に盛り込まれて、かつてよりも財務体質が大幅に強化されています。」(2)クレディスイス(CS)の経営は何が問題だったのか?【質問】 「クレディスイス銀行(以下「CS」)の経営不安は、SVB破綻の影響ということなのでしょうか。 また、同行の名前は近年何度かニュースで目にした記憶があります。この銀行に特有の経営上の問題はなかったのでしょうか?」 【回答】 「CSは、近年不祥事が複数起こっていて、SVBの問題以前から、経営に問題のある銀行でした。欧州でも中央銀行が利上げに動いていることなど、SVBの破綻と似た背景もありますし、心理的な影響も少しはあるでしょうが、もともとあった経営不安にSVBの問題もあってスポットライトが当たった、と考えるのが妥当でしょう。 もともとCSは出自が秘密主義と厳格な口座管理で知られるスイスの伝統あるプライベートバンクの一つでした。富裕層向けのプライベートバンク・ビジネスを世界で展開していて、それなりに大きな存在感を持っています。CSを買収する企業にとってこのビジネスと顧客は魅力的でしょう。また欧州の銀行経営の特徴であるユニバーサル・バンク(銀行業と共に証券業も一緒に行う銀行経営)の代表格でもありました。本来は堅実経営の大銀行のはずでした。 しかし、1990年代に欧州の銀行の経営が大いに米国化した時に、おそらくその影響を最も強く受けた銀行がCSでした。欧州銀行の米銀化とは、具体的には大規模なトレーディングや、株式の引き受けM&Aの仲介などの業務に自己の資本を積極的に投入して関わる「投資銀行」業務への傾斜と、行内経営上は収益を上げた個人が極端に大きな報酬を得る仕組みの導入でした。 率直に言うと、トレーダーやM&Aのディールメーカーのような個人が、銀行の資本をリスクに晒しながら大きなリスクを取る取引を行って、大きく稼いで大きな報酬を取る「銀行員個人のビジネスモデル」に制御が効かなくなったと考えられます。このビジネスモデルは、リーマンショックをもたらした根本原因の一つだったともいいますが、未だ根絶できていません。CSの株主は、その犠牲者です。 ブルガリアの麻薬取引に関わるマネーロンダリング(有罪が確定)、顧客情報の漏洩問題、日本の大手証券も大きな損失を被った米国のアルケゴス・ファミリー・オフィスとの取引での巨額損失など、近年の不名誉かつ損失としても重大な事件では、CSの米銀化の悪い面が強く残っていて顕在化したと言えるでしょう。 私見をはっきり言わせて貰うと、行内に悪い個人がたくさんいて、彼らに「銀行がカモられている状態」です。リーマンショック以前の米国の所謂投資銀行の悪いところを集中的に真似してしまいました。かつてのリーマン・ブラザーズがそうだったように、CSも金融マンの食い物にされてしまった。 一方、米国の大手金融機関は、リーマンショックを何とか生き延びると共に、その後は、自己資本を積み増しつつ規制当局の指示に従って、言わば社内のギャンブラーの連中に簡単にカモられるような経営モデルから、少なくとも表面上は、足を洗ったように見えます。 米国の「投資銀行」は、かつて日本の大手銀行や大手証券が、田舎者がやみくもに都会に憧れるごとく、目指しては失敗を繰り返した「憧れのビジネスモデル」でした。今にして思うと、彼らは一体何に憧れていたのでしょうか。 話が些か脱線しましたが、CSはSVBとは違った意味で、特殊な金融機関でしたし、少なくとも早急に経営を刷新すべき金融機関でした。同行が大規模な破綻を経ずに処理されるなら、世界の金融にとってはむしろ安心材料だと言えるでしょう。 大きな銀行なので、「安心材料」は言いすぎかも知れませんが、CSが特殊な経営体質の金融機関であったことは確かです。」 ― 引用終り ― 続けてトウシルの記事は、リーマンショック、サブプライム問題と今回の金融機関の破綻とは状況が大きく違うとしている。 「多くの投資家にとって、「注視すれども、行動せず」、「売りも、買いも、しない」といった態度が最適解になる公算が大きいように思います」としている。 昨今の金融市場は先行きの心理情勢を取り込み、事が起きる前に動く。結果として何も起こっていない時も多く観察される。資金移動は、頻度が多く、額が大きい。 トウシルの市場が冷静であるとする(あって欲しいと希望する)読みは当たるかな……。
2023年04月04日
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英国のEU離脱に伴って実施した外国人客に対する付加価値税(VAT)免税措置の廃止によって、大英帝国の観光が落日を迎えようとしている。 多くの先進国にとって、外国人観光客の消費は経済、雇用に与える影響が大きく、英国も例外ではない。 EUに対する優遇措置と考えていた付加価値税(VAT)免税措置の廃止が、思わぬところで自らの足元、英国経済に火をつけた形となっている。 アングル:ロンドン高級店に激震、免税廃止で仏・伊に客流出ロイター 2023年3月19日 英国が2020年、外国人買い物客向けの免税措置を廃止した影響で、外国からの客がパリやミラノに流れ始めた。高級小売店は、ロンドンが人気あるショッピング都市としての地位を失うのではないかと懸念を募らせている。 外国人客に対する付加価値税(VAT)免税措置は、英国が欧州連合(EU)を離脱した際に廃止された。ハント財務相による15日の予算案発表を前に、ハロッズ、ハーベイ・ニコルズ、高級ショッピング地区チェルシーの不動産会社カドガン、レーンズバラ・ホテルなど数百社が、免税措置の復活を求めている。 高級店が軒を並べるナイツブリッジとキングズロードの商業会議所のステーブ・メドウェイ会頭はロイターのインタビューで「店舗の投資先として、パリの方を優先していると言うブランドもある。売り上げを見ての判断だ」と語った。 メドウェイ氏によると、外国人旅行客は英国の国内総生産(GDP)に年間284億ポンド(345億ドル)寄与しており、ナイツブリッジとキングズロードがその大きな部分を占める。 国際的な免税サービス企業、グローバルブルーのデータによると、英国を訪れる米国人旅行客の支出は昨年、コロナ禍前の2019年並みに戻ったが、フランスは19年の256%、イタリアは226%と2倍以上に増えている。 さらに厄介なことには、英国の消費者自体も税還付が受けられるEU域内での買い物を増やし始めている。 業界は、免税措置が不在のままではホテルやレストラン、タクシー、美術館、劇場を含む観光業界全体に影響が及ぶと訴える。 これに対して政府は、旅行者は購入品を直接海外の住所に送れば今でも免税を享受できると主張。免税措置の廃止は、観光業に大きな影響は及ぼさないとの評価結果に基づき、税収を増やすために実施した経緯があると説明している。 <オウンゴール> 英国最大の高級小売りブランド、バーバーリーは昨年、VATの規定が原因でロンドンは他の欧州都市に負けつつあると警鐘を鳴らした。ハンドバッグのマルベリーは先月、目抜き通りボンド・ストリートの店舗を閉鎖する際、免税措置の廃止を主な要因に挙げた。 600社が所属する業界団体ニュー・ウエスト・エンド・カンパニーのコミュニケーション担当ディレクター、サラ・ジャコネッリ氏は、英国は盛大なオウンゴールを決めたと手厳しい。「欧州大陸に行けば20%値引きされるというのに、行かない手があるだろうか」と話す。 グローバルブルーのデータでは、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)といった湾岸諸国からの旅行客による買い物支出は、2019年水準の65%にしか戻っていない。これに対し、フランスは19年比で198%、イタリアは166%、スペインは158%に増えている。 2019年に欧州を訪れた中国人旅行客1万人を対象にグローバルブルーが実施した調査でも、英国の魅力が衰えていることが示された。これは将来に向けてひときわ心配な兆候だ。 調査によると、19年時点で英国は欧州の大国の中でフランスに次いで最も人気の高い旅行先だった。しかし、現在は英国旅行を計画していると答えた割合が42%と19年の70%から減り、スペイン、イタリア、ドイツの割合が増えている。 メドウェイ氏は「中国人はこれまで常に最も価格に敏感だったため、一番注視していくべき重要な層になるだろう」と指摘。「だからこそ免税は、彼らにとって非常に重要だ。そして、わが国は欧州で免税を提供していない唯一の国になってしまった」と語った。 ハロッズのマイケル・ウォード総支配人は、何も行動を起こさなければロンドンのホテルやレストランにも影響が広がるとの懸念を示した。これらの店では既に外国人客の不在ぶりが目立っているという。 カドガンのヒュー・シーボーン最高経営責任者(CEO)は「海外旅行の促進に注力すべき時だというのに、われわれは近隣EU都市に対して明確かつ不要なハンデを背負っている」と訴えた。 ― 引用終り ― ハロッズの主要株主はカタールの投資庁であるが、外国人客不在で業績不振となり大英帝国の空洞化(外国資本化)がさらに進むかもしれない。 コロナ禍後の世界は情報により敏感になり、流動化の度合いを高めた。古さだけの権威などの評価は低下した。西欧中心でまとめられた世界史の観点から、重要な歴史上の遺産、文物を多数有する英国の観光の価値も相対化されている。 地球温暖化阻止に世界各国が積極的に取り組み、ウクライナ侵略戦争が長期化し、食糧不足による飢餓が心配され、トルコ・シリア大地震の被害の大きさと復興が憂慮される中、観光による経済効果の大きさが深刻な問題として取りざたされるのも「現実」。 花より団子
2023年04月01日
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米国ではプラントベースのミルク(豆乳、アーモンドミルクなど)の消費が急増し、牛乳の消費量が大きく減少しているという。 日本でも、学校の長期休暇、コロナ禍による緊急事態宣言下などで、日々搾乳する牛乳が余っていると報道されている。 牛乳が余っているにも関わらず、輸入飼料の高騰で牛乳は値上げするという。 一方、乳価の問題は別として、需給緩和のためになる製品であるバターは、クリスマス時期に毎年のように不足してる。 余っているのに値上げし、「酪農家が大変だ」、酪農家維持のために牛乳を積極的に消費しろという。国家資本主義あるいは、社会主義ならぬ会社主義の日本では、アダム・スミスが唱える価格決定の見えざる手は一切働かないらしい。 資本主義経済らしからぬ牛乳の価格決定、バターの供給量決定のメカニズムが下記の記事に表されている。 牛乳は捨てるほど余っているのに、なぜ値上げなのか…平均所得1000万円超の「乳牛農家」をめぐる深い闇2023年3月8日 プレジデントオンライン 輸入飼料の高騰で「酪農家が苦境にある」との報道が相次いでいる。キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は「酪農家の平均所得は2015年から2019年まで1,000万円を超えて推移している。もっとも高かった2017年は1,602万円、100頭以上をも つ乳牛農家は北海道で4,688万円、都府県で5, 167万円だった。数年前まで輸入飼料は安く、 酪農経営はバブルだった。バブルがはじけたからといって、 国民に助けを求めるのはフェアではない」という――。 ■捨てるほど余っているのに、なぜ値上げなのか「酪農家が大変だ」としきりに報道されている。 国際的な穀物相場が高騰してエサ代が上昇しているうえ、乳製品(脱脂粉乳)が過剰になって余った生乳を廃棄したり、減産せざるを得なくなっているというのである。1月23日のNHKクローズアップ現代は、「牛乳ショック、値上げの舞台裏で何が」と題して報道していた。しかし、生乳は捨てるほど余っているのに、なぜ乳価は上がるのだろうか? 供給が多ければ価格が下がるというのが経済学だ。これについて、クローズアップ現代は、何も答えていない。経済の基本原理に反した動きがあるときは、必ず人為的な力が働いている。それを明らかにしなければ、問題の真相に切り込んだことにはならない。 ■牛乳(加工乳)=水+バター+脱脂粉乳 問題の真相を理解するには、まず「牛乳」という商品について知る必要がある。 牛乳は面白い商品だ。水を取るとバターと脱脂粉乳ができる。できたバターと脱脂粉乳に水を加えると、元の牛乳に戻る。これは“加工乳”と表示されているが、牛乳と成分に違いがあるわけではない。 生乳からバターと脱脂粉乳が同時にできる。これが生乳と乳製品の需給を複雑なものにする。2000年に汚染された脱脂粉乳を使った雪印の集団食中毒事件が発生して以来、脱脂粉乳の需要が減少し、余り始めた。脱脂粉乳の需要に合わせて生乳を生産すると、バターが足りなくなる。2014年のバター不足の根っこには、この需給関係がある。 ■バター不足を招いた農林水産省による輸入制限 当時、日本ではバターが足りなくなったが、世界では余っていて価格も低迷していた。国内の不足分を輸入しようと思えば、安い価格でいくらでも輸入できた。 それが輸入されなかったのは、制度的にバター輸入を独占している農林水産省管轄の独立行政法人農畜産業振興機構(ALIC)が、国内の酪農生産(乳価)への影響を心配した農林水産省の指示により、必要な量を輸入しなかったからである。なぜ農林水産省はALICに輸入させなかったのだろうか? バターを間違って過剰に輸入して余らせると、それを国内で余っている脱脂粉乳と合わせて加工乳が作られる。牛乳市場で加工乳を含めた供給が増える。これだけでも価格の下げ要因となる。 さらに、問題を複雑にするのは、農林水産省の制度によって、生乳価格は一物一価ではなく、バターや脱脂粉乳の原料となる「加工原料乳」の価格は「飲用牛乳向け」の価格より33%も安いことだ。このため、もともとは加工原料乳を原料とする加工乳のコスト・価格は飲用牛乳より安くなる。安い加工乳が多く出回ると、飲用牛乳の価格も下げざるをえない。 当然乳業メーカーは乳価の引下げを酪農団体に要求する。そうなると、酪農団体や農林族議員は農林水産省にバターを輸入しすぎたせいだと批判する。かれらの気分を害すると出世できなくなることを恐れて、役人は十分な量のバターを輸入させない。酪農団体も乳製品の輸入に反対し続けてきた。 ALICではなく自由な民間貿易に任せていれば、十分な量が輸入され、バター不足は起きなかった。結果的に多く輸入されても、バターや生乳の価格が下がるだけで消費者は困らない。 ■「生乳廃棄」は酪農団体が自ら招いた問題 脱脂粉乳の在庫が増大し、生乳を廃棄したり、生乳生産を減少したりしなければならなくなったことを、酪農家は国の場当たり的な政策のせいだと言う。 バター不足の後、農林水産省は、バターの供給が足りなくならないよう、酪農団体に生乳生産増加を指導した。バターの需給が均衡すると、脱脂粉乳が過剰になり在庫が増大した。そこで今度は減産を指導している。 脱脂粉乳が過剰にならないようにすれば、国産ではバター全てを供給できないので、不足分を輸入すればよい。しかし、輸入には酪農団体が反対する。このため、農林水産省がバターを全て国産で供給できるよう生乳生産増加を指示した結果、脱脂粉乳が過剰になったのである。 酪農家なら、乳製品の需給関係も理解すべきである。増産と減産を繰り返したくないなら、一定量のバターの輸入を認めるしかない。自らの政治活動が生乳廃棄、減産を招いたのだ。 … 引用終り … 輸入飼料で作る、高価な国産牛乳の価格を維持するために、政管の庇護のもと、乳業メーカーと生産者団体とは量を調整している。 政管とは、農林族議員と農林水産省を指す。 誰のためにやっているのかよく分からない価格と需給の不自然な決定方式が、時期により必要ないもの(牛乳)が高値で余り、時期により必要なもの(バター)が定期的に不足する。 海外の飼料に依存する生産者団体は、税金の投入なしに存続し得なくなり、政管を頼らざるを得なくされている。 米の食管制度は、日本の農業の自立を助ける意味で理解できるが、海外の飼料と燃料と税金によて成り立っている酪農は、どうしても日本に必要なのだろうか? この後には、酪農家の高齢化で廃業が増えて後継者不足になり、国産の乳製品の供給不安が生じると思われる。現在の構造が維持されれば、乳製品の供給不足は続き、物価は上昇する。
2023年03月27日
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2023年2月21日、日本郵政が傘下のゆうちょ銀行株式を売却する方向で調整に入ったことが報じられた。同時に、規模は1兆円を超える可能性がある、年度内の売却を想定し近く是非を判断すると報じられた。 3月4日、ゆうちょ銀行の株式売却が決まったことが報じられた。 ゆうちょ銀行の流通株式は11%で、東証プライムの上場要件(時価総額の35%以上)を満たしていない。特例扱いで上場が認められているが、流通比率を高める必要があり、今回の売却で上場要件の35%を超える。 ゆうちょ銀行株式を売却の狙いの一つは、国民資産の切り売りではなく、東証プライムの上場要件を満たし、上場を維持することにある。 日本郵政によるゆうちょ銀行株売却、その狙いは?財経新聞 2023年3月4日 ●日本郵政がゆうちょ銀行株を売却 日本郵政は2月27日、ゆうちょ銀行株の一部を3月に売却すると発表した。出資比率は現在の89%から65%未満になる見込みとしており、売却価格は未定だが、規模は1兆円程度になる可能性がある。 発表を受けて、ゆうちょ銀行株は一時5%近く上昇する場面もあった。対して、日本郵政株は軟調だった。鳴り物入りで2015年に上場した郵政3社だが、株価は右肩下がりで、期待を裏切っている。 日本郵政のゆうちょ銀行株の狙いはなんだろうか?●日本郵政とゆうちょ銀行 2005年に郵政民営化法案が可決され、2007年から民営会社として日本郵政はスタートした。現在は日本郵政の傘下として、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の3社がある。 傘下の3社は、2015年11月に東証1部(当時)に上場した。売り出し額は3社で1兆4000億円に上り、時価総額もソフトバンクを超える12兆円と、21世紀最大の新規上場案件とも言われた。 ゆうちょ銀行の総預金残高は約190兆円で国内1位となっている。だが1999年代のピークからは3割近く減少している。 2021年からは日本郵政グループと楽天グループが資本・業務提携をしている。 ― 引用終り ― 楽天モバイルへの先行投資で財務体質が厳しくなっている「楽天グループへの出資」はないか。 3月3日の終値1220円で試算した売却総額は約1兆3200億円。売却規模は10年以降の公募・売り出し案件で4番目の大きさ。80%を国内、20%を海外で売り出す。 これに応募するため投資家の既存銘柄の換金売りなどで株式需給バランスが崩れ、株価指数が下落する公算もあるとみられている。行く先のない投資資金の避難場所になるのだろう。
2023年03月17日
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2030年の冬季オリンピックの開催候補地がゼロになったという。商業主義に塗れたオリンピックに世界から「ノー」が突き付けられたという意味でよいことである。 ワシントン・ポスト紙が「東京2020大会に関連した汚職事件が、もう一度日本で大会を開催しようという熱意を希薄にした」と報じるなど、五輪招致への関心が低下している現状は海外でも取り上げられている。 元東京オリンピック担当大臣の橋本聖子氏は2022年12月、東京オリンピック2020についての汚職疑惑の捜査に積極的に協力する意向を示す一方、札幌の招致活動は「非常に厳しいと思う」と述べている。現状では地元・札幌や北海道の住民の理解を得られないとする認識を示した。 IOCは、通例冬季五輪の開催都市が正式決定する7年前を控え、2022年12月に1都市に絞り込む目算だったらしい。ところが有力なホスト候補がない異例の事態となった。 IOCは金づるを探さなければならない。 世界各地で「オリンピック嫌い」が広がっている…2030年冬季大会が「立候補都市ゼロ」になった当然の理由IOCは札幌に押しつけるはずだったが…PRESIDENT Online青葉 やまと フリーライター・翻訳者 バンクーバーもソルトレイクシティも招致を中止 冬季五輪の開催都市が決まらない――。こんな異常事態が発生している。 2030年冬季大会をめぐっては、もともと世界でも3都市しか立候補がなかった。そのひとつである日本の札幌は、昨年秋から冬ごろにかけて続々と発覚した東京2020大会の汚職スキャンダルが引き金となり、招致活動は一時停止となった。 … (略) … IOCは日本人が汚職事件を忘れるのを待っている IOCは開催都市決定の延期理由を、気候変動による影響などによるものだと説明している。だが、札幌の世論が沈静化するまでの単なる時間稼ぎではないかとの指摘がある。 カナダ・パシフィック大学のジュールズ・ボイコフ教授(政治学)はCBCに対し、気候変動はIOCにとって「二の次、三の次」であり、贈収賄スキャンダルを受けた「時間稼ぎの類い」だと述べている。ボイコフ教授は、(東京大会の汚職をめぐる)刑事裁判の進行とともに有罪が確定してゆく可能性があり、こうなればIOCはオリンピックの組織的な問題ではなく、個人的な問題にすり替えやすくなると指摘する。 ところが、まるでIOCの目算に反するかのように、時間が経つにつれ新たな不都合な事実が浮かび上がってきた。開催費用の問題である。 AP通信は昨年12月、冬季大会の開催費用が1年前の見積もりよりも20%ほど増加し、1兆7000億円にまで膨れ上がる見通しであると報道。汚職が招いた不信感に加え、コスト面での課題が明らかとなった。 ワシントン・ポスト紙によると、夏季大会の平均超過コストは当初予算の213%にのぼるという。IOCが収益確保のために精巧な施設やイベントを義務付け、開催都市に費用を押し付けているためだと指摘。こうした事情を踏まえ、「IOCとの取引を希望する国がますます少なくなっている」と報じている。 … (略) … 「ぼったくり男爵」の利権を改める好機が来ている 閉鎖的に選出されるIOC委員らも「五輪貴族」とも揶揄やゆされ、特権的な地位を盾に過剰な接待を受ける悪習が問題化している。 多数の開催候補都市がわれ先にと接待合戦を繰り広げることで生じていたが、少なくとも冬季大会に関しては開催地の選択肢が限定的であり、構図が変化するのも時間の問題だ。五輪貴族への歓声はいつしか波が引くように静まりかえることだろう。 開催都市が現在よりも強い立場を示すことが可能になれば、不平等な開催契約の見直しも夢ではない。パンデミックでも開催を取りやめることができないという、公衆衛生を犠牲にして五輪貴族に与くみする異常な契約は、改められるべき時が来ている。 CBCは昨年12月、温暖化で候補地の調整が難しくなっている冬季五輪について、IOCが従来よりも柔軟な運営を検討していると報じている。少数の都市での輪番開催などの可能性が議論された模様だ。IOCとしても、候補地が貴重になりつつあることを認識しているとみえる。 ― 引用終り ― モノ忘れが早い日本人ではあるが、円安が続けば、日本での開催はさらに難しくなる。 世界は広い。カネを求めた末、中近東や中央アジアの産油国での冬季オリンピック開催となったりして…。中国やロシアなどの全体主義国家だって有力候補だ。 投機オリンピック。
2023年03月04日
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十二支相場格言は、「辰巳(たつみ)天井」からはじまる。 辰巳(たつみ)天井、午(うま)尻下がり、未(ひつじ)辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ、戌(いぬ)笑う、亥(いのしし)固まる、子(ねずみ)は繁栄、丑(うし)つまずき、寅(とら)、千里を走る、卯(う)跳ねる 2022年の壬寅は、千里走ってウクライナ方面にでも行ったのだろうか? 陰陽五行説では水性の陽で海のような水のありようを表すとされる。 2023年の癸卯もどこに向かって跳ねるのか、たぶん誰も知らない。相場が底打ちしていれば上に向かうしかないのだろうが、底打ちしている風もない。 癸は陰陽五行説では水性の陰で滴のような水のありようを示すとされる。 IMF、世界経済「厳しい年に」 成長率見通し引き下げか2023年1月2日 共同通信 国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は1日の米テレビで「世界の多くにとって、今年はこれまでよりも厳しい年になりそうだ」との見通しを示した。IMFは月内に経済見通しを改定する予定で、2023年の世界の成長率を昨年10月時点の2.7%から引き下げる可能性もありそうだ。 IMFは、先進国の中央銀行で相次ぐ政策金利の引き上げなどを理由に、昨年10月に見通しを下方修正した。米国などで利上げは続いており、景気後退への懸念は高まっている。 ゲオルギエワ氏は世界経済のマイナス要因について「米国、EU、中国が同時に減速している」と指摘した。 ― 引用終り ― 易で年の変わり目は節分。 今年も戦乱、大規模自然災害など相場にプラスにならないことは続きそうだ。 世界的に長期金利が跳ね上がることは、ありそうに思える。
2023年02月01日
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日本のコンビニが発達したのは様々の要因があるが、レジを利用した顧客分析もその一つ。 顧客分析、天候の推移」、気温の予測、地域のイベントなど多様な要素を踏まえた発注管理もその一つ。 これらの分析のためコンビニチェーン本部は莫大なシステム投資を繰り返してきた。 コンビニのAI活用は、それらが頂点を極めようとしていることを示している。 コンビニ業界 AI活用の動き広がる店の運営などアドバイス2022年12月19日 NHK コンビニエンスストア業界でAI=人工知能を活用する動きが広がっています。店の運営へのアドバイスや売れ行きの予測などを人にかわって助けます。 コンビニ大手のファミリーマートは、AIが商品の発注や売り場作りなど店の運営についてアドバイスを行う新たな業務支援システムを導入します。 店長がタブレット端末の画面に現れる人型のAIと音声で対話をすると、来店客数や商品の売れ行きのデータなどを瞬時に示します。 さらに、AIはふだんのやり取りなどから店長の特性を学習します。例えば、事業の拡大に意欲的な店長には、競争意欲を促すために地域での売り上げ順位を伝えます。 また、新商品の発注を忘れがちな店長には、おすすめの商品を提示してアドバイスを行います。会社では、来年度末までに全国およそ5000店に導入する計画で、中村弘之店舗業務企画本部長は「店長の気付かないところまでAIがカバーすることで、売り上げ増加への効果も期待できる」と話していました。 また、ローソンは弁当などの売れ残りを減らすためにAIを導入しています。 売れ行きを予測して値引きを行うシステムで、去年の実証実験をへて対象商品の数を従来の4倍以上に増やしました。来年度からは順次全国で導入する計画で、コンビニの業界の間でAIを活用する動きが広がっています。 ― 引用終り ― セブンイレブンのデータ活用戦略は、狭い売り場を最大限活用する小売には向いているようだが、スーパーマーケットやGMSには最適ではないようで、イトーヨーカドーは苦戦が続いている。 今後は、専門店などの売れ筋だけではない品揃えについても、役に立つAI分析ができるようになるのだろう。
2022年12月28日
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楽天モバイルの基地局整備に多額の投資が必要な楽天は、2021年以降、ユーザーに不利に働く制度改定を行った。 「楽天ひかりのSPU率の撤廃」、「楽天アフィリエイトの報酬率の減少」、「楽天ゴールドカードSPU率引き下げ」などを実施し、ネットでは「楽天経済圏オワコン」、「楽天経済圏脱出」の声が多く聞かれた。 2022年、楽天グループは、個人向け3年債「楽天モバイル債」の年利率を0.72%に決め、5月30日に発行(総額1500億円)を始めた。 11月21日、楽天カードは個人投資家向け普通社債「楽天カードマン債」を発行すると発表した。 楽天モバイルの基地局整備などで引き続き巨額の投資を必要とする楽天グループは、楽天モバイルの巨額赤字をグループの規模の拡大でカバーする算段らしい。 個人向け社債「楽天カードマン債」発行へ総額500億円調達ITmedia NEWS 2022年11月22日 楽天カードは11月21日、個人投資家向け普通社債「楽天カードマン債」を発行すると発表した。12月16日払い込みの5年債で、総額500億円を調達する計画だ。 年利率は1.20~1.80%の間で、12月2日に決定する。買付単位は10万円。 購入100万円につき1口として、抽選で300人に3万円相当の楽天ギフトカードをプレゼントする。 ― 引用終り ― 楽天グループは今年6月、個人向け3年債「楽天モバイル債」(総額1500億円)を発行した他、傘下の楽天銀行・楽天証券の上場準備を進めるなど、資金調達を強化している。 楽天はグループをあげて、楽天モバイルのプラチナバンド獲得の大勝負にかけている。 下記に記事は、楽天グループの復活の数値的な検証を行い、復活の可能性を見出している。 楽天は「オワコン」か、復活できるか?コンサルが決算資料を本気で分析鈴木貴博:百年コンサルティング代表2022.11.25 DIAMOND online楽天グループが過去最大の赤字を記録しています。いわゆる「改悪」も目立ち、経営を不安視する声も多い状況です。楽天グループは今後どうなってしまうのでしょうか。決算資料を読み解くと、復活の鍵が見えてきました。(百年コンサルティング代表 鈴木貴博) 楽天が過去最大の赤字苦しい現況のワケは 2022年11月11日に発表された楽天グループの第3四半期の決算発表数字が芳しくありません。 問題は二つあって、一つは営業赤字2870億円と過去最大の赤字を記録している点。もう一つは最近の楽天グループに改悪が目立つことです。特に目につくのは楽天モバイルが無料プランを廃止したことと、楽天ポイントの改悪が相次いだことです。そのことで「経営が苦しいのではないか」という臆測も呼んでいます。 … (略) … お荷物の「楽天モバイル」に求められていること ざっくりと構造を説明すると楽天グループのセグメント別収益は、楽天市場などで約580億円の黒字、楽天カードなど金融事業で約740億円の黒字をたたき出していながら、楽天モバイルが約3800億円の赤字を出しているのです。 足元の構造としては、楽天本体の業績は実は堅調なわけですから復活するかどうかは、楽天モバイルが大幅な黒字化することができるかどうか次第です。 「なぜ大幅な黒字が必要なの? 赤字がなくなればいいじゃない」と思うかもしれませんが、インターネット通販と金融の黒字を投資しているのですから、当然投資家からはその投資を回収して巨額の利益が上がるレベルに育つことが楽天モバイルには要求されます … (略) … そうなると先ほど出した「楽天モバイルの加入者数を5年で3000万人に持っていく」という私が勝手に出した数字は、実は楽天グループの戦略的に大きな意味があることも理解していただけると思います。 つまり、狙いとしては、楽天カードの会員数とほぼ同じ規模に楽天モバイルの契約数が増加する未来を目指すという数字です。 なぜ私がこの数字を重視するかというと、それがそもそも楽天グループがモバイルに参入した当時に描いていたであろう、カードとスマホが両輪となることで、楽天市場を中心とする楽天経済圏を回していく新しい未来につながるからなのです。 現実的にはそのゴールに到達するためには毎月50万件ペースで4年間、加入者が純増し続ける状況が必要になります。今の延長線上のペースではなく、どこかで強い風が吹かなければその状況は起きないでしょう。しかし、ポテンシャルとしては風を吹かせる下地は作られている。それを念頭に、楽天グループの復活を楽しみにこれからの推移を見守らせていただきます。 ― 引用終り ― 楽天グループはいつも「始まり」のようだ。
2022年12月12日
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キャッシュレス化の進展により「ポイ活」を意識する機会が増えてきた。 決済をはじめ、メッセージ、配車、ネット通販など、日常的に使うサービスの大半がポイントに関わっている状態だ。 ポイントの獲得、効果的な利用を意識した行動から、ポイントの名称を付した「○○経済圏」なる言葉も一般化した。 2022年11月14日、モバイル市場専門の調査会社「MMD研究所」が、「2022年10月経済圏のサービス利用に関する調査」を発表した。 楽天グループ全体での赤字が続いており、最近では以下のようなポイント付与の改悪が続いた。・お買い物マラソンでの上限ポイントが1万ポイントから7,000ポイントに・楽天ゴールドカードで楽天市場での買い物決済が+4倍から+2倍に・最大16倍のポイント付与が最大14倍に・公共料金の支払いは還元率1%から0.2%に・楽天証券での投資信託積立の楽天カード決済によるポイント還元率が一部1%→0.2%に それでも使い勝手の良さから、楽天経済圏は国内トップに位置している。 現在活用しているポイント 3位「Pontaポイント」、2位「Tポイント」、1位は?ITmedia ビジネスオンライン / 2022年11月26日 16時53分 消費動向を調査する「MMD研究所」を運営するMMDLabo(東京都港区)は、5つの経済圏のメイン利用者である18~69歳の男女を対象に、「2022年10月経済圏のサービス利用に関する調査」を実施した。現在、活用しているポイントを聞いたところ、1位は「楽天ポイント」(60.3%)だった。「Tポイント」(52.7%)、 「Pontaポイント」(42.0%)が続く結果となっている。 また、最も活用しているポイントは何かという問いに、最も多かった回答は「楽天ポイント」(34.7%)だった。次いで「dポイント」 (12.9%)、「PayPayポイント」(9.9%)だった。 ●5つの経済圏のいずれかを意識している? 5つの経済圏(楽天経済圏、ドコモ経済圏、au経済圏、PayPay経済圏、イオン経済圏)のいずれかを意識しているか尋ねたところ、 「意識している」と答えた人は56.2%と、4月と比較して7.7ポイント増加した。 5つの経済圏のいずれかを「意識している」と答えた人に、最も意識している経済圏を聞いたところ、1位は「楽天経済圏」(47.8%)、次いで「ドコモ経済圏」(16.9%)、「PayPay経済圏」(16.0%)だった。 ― 引用終り ― ポイントの運営主体は利用促進のため、ポイントの獲得できる手法を増やし、利用できる領域を広げるので、それぞれのポイントが経済圏と化すことが多い。 経済圏サービスは群雄割拠の状態でありその帰趨はみえないが、流通のあり方に大きな影響をもたらしていることは事実。 現在のところはグローバルな広がりは見られず、日本特有の現象となっている。 「Tポイント」と「Vポイント」統合 新ポイントサービス開始へ臼田勤哉2022年10月3日 Impress Watch VポイントとTポイントが統合に向けた準備を開始し、日本最大級の決済・ポイント経済圏の創出を目指す。 三井住友フィナンシャルグループと三井住友カード、カルチュア・コンビニエンス・クラブ、CCCMKホールディングス(CCCMKHD)が、SMBCグループとCCCグループとの間の資本・業務提携に関し、基本合意書を締結した。今後、VポイントとTポイントの統合に向けた準備を進める。 ― 引用終り ― ポイント経済圏の戦国時代は続く。
2022年12月11日
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アマゾンが1万人、メタが1万1000人以上、ツイッターが3700人以上を解雇するなど大手IT企業で大規模な人員削減が続いている。 グーグルの親会社アルファベットは、アクティビスト・ファンドから、コスト削減の必要があると強く迫られていること報じられている。 株式時価総額でトヨタを凌駕したテスラの株価は、年初から半分以下になっている。 人員削減による株価上昇を狙っている、大型破綻の予兆などの声がある。今のところ世界大戦の予兆とは言われていないようだ。 株価の低下でビリオネアの資産が大きく減少していることが、人員削減の最大の原因と思われる。 2022年に大きく資産が減少したビリオネア13人2022/11/20 BUSINESS INSIDER 世界の富豪10人は、1年間で合計約4分の1兆ドル(約140兆円)の損失を出した。 メタバースや仮想通貨に投資しているテック企業のCEOたちが、最大の敗者としてランクインしている。 ブルームバーグ・ビリオネアーズ・インデックス(Bloomberg Billionaires Index)によると、これらの億万長者たちは世界で最も純資産が減少したという。 以下は、2022年11月18日現在の数字をもとにしたランキングだ。 1.イーロン・マスク(テスラCEO) 年初からの資産減少額:▲897億ドル 2.マーク・ザッカーバーグ(メタCEO) ▲829億ドル 3.チャンポン・ジャオ(バイナンスCEO) ▲802億ドル 4.ジェフ・ベゾス(アマゾン創業者 ) ▲743億ドル 5.ラリー・ペイジ(グーグル共同創業者) ▲376億ドル6.セルゲイ・ブリン(グーグル共同創業者) ▲365億ドル 7.マッケンジー・スコット(慈善家) ▲342億ドル 8.ビル・ゲイツ(マイクロソフト共同創業者) ▲253億ドル 9.ロビン・ゼン(CATL 創業者) ▲230億ドル 10.フィル・ナイト(ナイキ共同創業者)とその一族 ▲220億ドル 11. フランソワーズ・ベタンクール・メイエール(ロレアルの相続人) ▲218億ドル 12. ベルナール・アルノー(LVMH CEO ) ▲206億ドル 13.スティーブ・バルマー(元マイクロソフト CEO) ▲194億ドル [原文:15 billionaires who have seen their net worths drop the most this year](翻訳:大場真由子、編集: Toshihiko Inoue) ― 引用終り ― IT業界はコロナ禍でも業績は良かった。 業績低下は、ロシア・プーチン大統領がウクライナ侵略戦争を始めたことが引き金だ。
2022年11月29日
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2022年5月24日に開催されたシダックス株式会社の2022年3月期決算・中期経営計説明会の中で、業績は「V字回復」を達成、事業ポートフォリオの構築で「3つの柱」を構築、早期の「復配」を実現、と将来の安定した成長を示唆する内容が語られていた。 そのシダックスに対するTOBを巡り、創業家は連携強化に賛成、利害関係者である創業家を覗く取締役会ではTOB反対と内部対立が発生した。 オイシックスのTOBに反対=シダックス取締役会、創業家と対立時事通信 / 2022年9月5日 給食大手シダックスは5日、食品宅配のオイシックス・ラ・大地が実施中のシダックスに対するTOB(株式公開買い付け)に反対することを取締役会で決議したと発表した。企業価値を侵害すると判断したためで、敵対的TOBとなる。 ただ、志太勤一会長兼社長らシダックス創業家はオイシックスとの連携を深めたい意向で、TOBをめぐり経営陣の対立が表面化した格好だ。 オイシックスはシダックスの大株主である投資ファンド「ユニゾン・キャピタル」が保有する27.02%の株式取得を目指している。 ユニゾンはシダックスの経営危機を契機に2019年に資本参加。その際、創業家がユニゾンに対し、指定する相手へ株式を売却するよう請求できる契約を締結しており、今回オイシックスが指定された。 TOBへの反対は、利害関係者に当たる創業家出身者ら3人を除くシダックス取締役3人で決議。オイシックス以外からも協業の提案を受けており、売却先は慎重に検討する必要があることなどを理由に挙げている。 オイシックスも5日、反対表明を受けてコメントを発表。シダックス創業家との契約に基づきユニゾン側にはTOBに応じる義務があると指摘、「引き続き手続きを進めていく」としている。 ― 引用終り ― 2022年9月7日、オイシックスはユニゾン・キャピタルが保有しているシダックス株(27.02%)について、オイシックス以外の第三者への譲渡を禁じる仮処分命令を出すようにシダックス創業家が申し立て、東京地方裁判所がそれを認めたことを発表した。 シダックス株式会社は、外食産業、学校給食・企業食堂事業を展開する持株会社。 1959年1月5日、志太勤氏が創業した。2001年4月、持株会社「シダックス」を設立し、その株式を店頭登録した。 現在の代表者は志太勤氏の長男の志太勤一代表取締役会長兼社長。 かつては「レストランカラオケ SHIDAX」としてカラオケボックス事業も行っていたが、郊外型の大型店を主に展開し,食事を伴う高単価客を対象としていたため売上が低下し不採算店舗が増えたこと、飲酒運転の厳罰化、飲食を提供しない低価格カラオケ店の台頭や一人カラオケの流行によりカラオケ業界の客単価が低下したことなどにより、「カラオケ館」を運営するB&Vに事業を売却し、カラオケ事業から撤退した。 シダックスの主要株主は、2020年3月31日現在、志太ホールディングス(株) 29.62%、(株)シダ・セーフティ・サービス 4.42%、志太勤一 3.07%。
2022年09月19日
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1960年9月、OPEC(石油輸出国機構)は、中東などの産油国が石油の供給量を協力して調整し、石油価格の高値安定で産油国の利益を守るため設立された。 OPECプラスは、石油輸出国機構(OPEC)加盟国と、ロシアなどOPEC非加盟国が2016年12月に設立を合意した。 設立の背景は、OPEC加盟以外の産油国が増加し、各国のシェア拡大のため増産競争による石油価格の急落し、 サウジアラビアなど加盟国と、ロシアなど非加盟の10カ国が参加し、世界の石油生産の4割超を占める。 OPECプラスを主導するのは、サウジとロシア。OPECは米国のシェールオイルで価格支配力(=高値安定)に陰りがみられたが、ロシアと連携することで価格支配力を取り戻した。 2017年1月から協調減産を始め、2020年1~3月は日量170万バレルの減産に取り組む。 約束した減産量を順守していない国もあり、サウジは価格下支えのために目標量を超えて大幅に減産している。 電気自動車(EV)の普及など脱石油へとエネルギー転換が進むなか、エネルギー転換に産油国としてどう対応するのかという共通の課題も抱えている。 9月5日、OPECプラスは、オンラインで閣僚級会合で、原油価格の下落を受け、10月に日量10万バレルの減産に踏み切ることで合意した。 OPECプラス来月以降に日量10万バレル減産で合意…オンライン閣僚級会合で読売新聞 2022年9月5日 石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国による「OPECプラス」は5日、オンラインで閣僚級会合を開き、10月に日量10万バレルを減産することで合意した。OPECプラスはこれまで増産を続けてきたが、原油価格の下支えのため、一転して減産に踏み切った。 OPECプラスは9月に前月比で日量10万バレル増産することで合意したが、元の水準に戻す。OPECは会合後の声明で「市場の動向に対処するため、必要に応じて再び会合を開く」とした。次回会合は10月5日の予定だが、原油価格が下落すれば緊急会合を開き、追加減産を協議する可能性がある。 OPECプラスはコロナ禍で原油価格が急落した2020年5月に日量970万バレルという過去最大の減産に踏み切った。その後は世界経済の回復と原油需要の増加を受け、減産幅を段階的に縮小する形で増産を続けてきた。だが、中国でロックダウン(都市封鎖)が行われ、欧米でも物価高を背景に景気が悪化するとの懸念から、原油需要が減るとの見方が広がった。 今回の減産合意を受け、5日のニューヨーク原油先物市場で、テキサス産軽質油(WTI)の価格は一時、2日終値に比べて約4%高い1バレル=90ドル台をつけた。 ― 引用終り ― サウジアラビアはイエメン内戦に関与を続けている。 IEAによると、ロシアが欧州への石油・ガスの輸出で得た収益は、ウクライナへの侵攻開始以来、950億ドル、13兆円で、例年の2倍に膨らんだという。石油とガスの価格が上昇したことが理由だ。 エネルギー価格全般の上昇を招いた、ロシアによるウクライナ侵略戦争は、産油国と投機筋の原油価格引き上げの陰謀か?
2022年09月17日
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コロナ禍でリモートワークも増え、個の確率が叫ばれている。 企業に頼らない職業人生は、以前から憧れ、逃げとしての注目度が一層高まった。 コロナ禍は成り行き任せの中小企業にとどめを刺しているようだ。 沈む一方の経済、企業業績のため、耐えきれない企業の倒産も増加している。 日銀による金融緩和の時代の今も、企業の継続の止めとなるのはキャッシュフロー、資金繰りのようだ。 企業倒産の予兆…85%の経営者「1年以内」には感じていた!?「預金通帳残高の大幅減少」「大口得意先の倒産」など2022年7月11日 まいどなニュース コロナ禍による景気の冷え込みに加えて、ウクライナ情勢が追い討ちとなり、2022年5月の全国の企業倒産件数は2ヶ月連続で増加しているといいます。 倒産に追い込まれる理由はさまざまですが、実際はどのようなものなのでしょうか。直近10年以内に倒産経験がある全国の経営者(元経営者)1003人に「企業の倒産理由や原因」を聞いたところ、倒産の原因については、約半数の人が「販売・客足の低下」と回答したそうです。また、85%の経営者が、倒産の予兆を倒産前1年以内には感じていたといいます。 クラウド型経営支援ソフト『bixid(ビサイド)』を提供する株式会社YKプランニングが2022年6月に実施した調査です。 「倒産した時期」を聞いたところ、「コロナ前」(46.7%)、「コロナ後」(53.3%)と、ほぼ半々の結果となりました。また、「倒産した原因」については、「販売・客足の低下」(49.8%)が最も多く、以下、「原材料の高騰や供給不足」(19.7%)、「売掛金の回収不能」(18.2%)、「人手不足」(17.7%)、「怠慢経営のしわよせ」(14.3%)、「関連企業の倒産」(8.5%)、「不測の事態(病気や事故、天災など)」(8.4%)と続きました。 「どのくらい前に倒産の予兆を感じましたか」と聞いたところ、「~6ヶ月前」(28.8%)、「~3ヶ月前」(24.9%)、「~1年前」(17.1%)、「~それ以前」(15.0%)、「~2ヶ月前」(8.0%)、「1ヶ月前」(6.2%)という結果となり、倒産前1年以内には感じていたという回答が85%にのぼりました。 また、「予兆を感じた理由」については、「預金通帳残高の大幅減少」(29.7%)が最も多く、以下、「大口得意先の倒産」(15.0%)、「競合他社へ徐々に顧客を奪われる」(8.1%)、「顧問税理士からの示唆」(7.6%)、「エース・キーマンの退職」(7.0%)、「原材料の高騰や供給不足」(7.0%)といった回答が続いたそうです。 調査結果から同社は、「預金通帳残高の大幅減少や大口得意先の倒産、競合他社へ徐々に顧客を奪われるなど、さまざまな予兆があるようですが、これらを総括すると『キャッシュフロー(現金の流入と流出)の枯渇』に原因があるのかもしれません」と説明しています。 … (略) … 最後に、「経営者個人だけでは倒産を防ぐための具体的な対策を立てることは難しいと思いますか」と聞いたところ、「とても難しいと思う」(50.5%)、「やや難しいと思う」(37.6%)を合わせると、88.1%の人が「難しいと思う」と回答しました。 また、「“やっておけば良かった"あるいは"倒産を防ぐことができた”と思うこと」については、「不測の事態を考慮した内部留保(資金留保)」(38.5%)、「行き当たりばったり経営でなく計画的な事業の推進」(30.0%)、「経営戦略面での決断(新しい事業への転換、新市場への参入、不採算事業の撤退など)」(25.0%)、「顧問税理士・会計士に早めの事前相談」(12.2%)、「事業の一部売却による資金化」(12.0%)』と続きました。 ― 引用終り ― 今も昔も、変わらずに続けることは難しい。 成長・拡大する市場が前提とされないので、計画的な事業推進、業績を反映した経営が重んじられている。 かくして、押しなべて日本の経営者は、業績の良しあしにかかわらず、実績のない新たな分野への投資を警戒し、内部留保を貯めこむ。 日銀が金融緩和しても、日本は人口減=消費市場減社会であり、企業が大規模な投資をしたくなるような市場が海外であれば、国内に目は向かない。 黒田バズーカは不発に終わり、ロシア発の戦争による物価上昇によるスタグフレーションが発生する。 行き詰まる資本主義経済の中、我慢強い日本国民は「安定」という名の「守旧」を選択するので、失われた経済は継続する。 国内の不景気は安定的に継続する。「旧」を守るため様々の資源が投じられるので、将来に向けた施策は不十分となり、少子高齢化も続く。 安易に人まねして起業すると、おおよそ痛い目にあって終わる。
2022年07月15日
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現代の産業の「コメ」とよばれる、半導体の供給不足が緩和傾向に転換しつつあるとの報道。 不足が緩和すると、大幅値崩れ、在庫増に転換する可能性をはらんでいる。 ブルウィップ効果(むち効果)は、供給不足が供給確保のために需要者が先行して発注することから、需要を増幅し、供給過剰に転ずると、需要者が過剰在庫を抑制するため、大幅な需要減を招く作用を示す言葉。 コラム:緩み始めた半導体不足、供給過剰もサムスンは納入減要請Robert Cyran2022年6月30日 ロイター 自動車からスマートフォンに至るまで、あらゆるメーカーを悩ませる根強い半導体不足が緩み始めている。 生産の増加、需要の低迷、さらにはサプライチェーン(供給網)で川下の需要変動が上流に伝わるにつれて増幅される「ブルウィップ効果」により、半導体市場はまもなく供給不足が解消し、過剰に転じるかもしれない。 欧州の自動車メーカー最大手フォルクスワーゲン(VW)は28日、半導体不足が緩和しつつあり、その結果、今年下半期に電気自動車(EV)の生産を増やすと明らかにした。調査組織3Dセンターによると、暗号資産(仮想通貨)のマイニング(採掘)やゲーム用パソコンで使用されるグラフィックカードの価格は、新型コロナウイルスのパンデミック期には大きなプレミアムが乗っていたが、今ではほとんどが定価で販売されている。日経アジアによると、売上高で半導体製造世界最大手のサムスン電子は今月、在庫が膨らんでいるとして、納入業者に出荷を減らすよう要請した。 半導体企業は一斉に設備投資拡大に乗り出している。ハイテク業界の調査会社ガートナーの推計によると、半導体メーカーが今年計画している設備投資額は世界全体で1850億ドル。これは昨年より2割以上多く、2020年の1100億ドルを大きく上回る水準だ。 一方で需要も打撃を受けている。中国はロックダウンにより消費者の間でスマートフォンの新規購入意欲が減退。米クアルコムのパルキワラ最高財務責任者(CFO)は今月開かれたバンク・オブ・アメリカのイベントで、巨大な中国市場での需要軟化は世界が早期に半導体需給を均衡させるのに役立つと指摘した。 世界が景気後退に見舞われれば、需要はもっと大きく落ち込むだろう。 ― 引用終り ― EVを量産すれば、EVへの電力供給インフラの遍在とエコな電力の不足が明確になるだろう。 ボトルネックが解消すれば次のバトルネックが明らかになる。
2022年07月04日
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敗戦後の日本で昭和の時代、普通、平均であれば中流家庭というような意識が支配的だった。 「普通の家(家庭)」は父、専業主婦の母、子ども2人のイメージが強かった。 当時でも「ふつうの家」がどれほど普通であったかは分からない。 定年までの雇用契約(正規雇用)が減り、夫婦共働きが多くなるにつれ、「ふつう」が何か分からなくなってきた。 「普通」「ふつう」が好きな日本人は、世の中が不確かで不透明とより強く感じるようになった。 昔から世の中は「不確か」で「不透明」だったのだが……。 貯蓄平均は1079万円、中央値420万円。この差をどうみるかで、貧富の差が大きいのか小さいのか、二極化の是正の必要があるのか、ないのかが決まるようだ。 年収400万円は「ふつうの世帯」?!みんなの貯蓄の平均と中央値を大解剖2022年5月9日 LIMO 日本人の平均年収ラインの人はいくら貯金があるのか このところ連日為替のニュースが続いていますね。「円安」という報道も多くなっています。 輸出企業にとっては業績にプラスとなりますが、家計で見ると、日本は食糧やエネルギーを輸入に頼っているため、生活へのマイナス影響もこれから目立ってきそうです。 電気やガスなど光熱費が追加で値上がりする可能性があり、ガソリンや、エネルギーを使うさまざまなサービスの価格についても、上昇圧力となりそうですね。 通常、賃金の上昇と物価の上昇には強い相関がありますが、現在の日本では賃金が上がらないなか、物価は上がるという厳しい状態となっています。 そんななか、今回は日本の「ふつうの世帯」ともいえる年収400万円台に注目し、収入に対する貯蓄事情を見たうえで、できる対策を考えてみたいと思います。 世帯の所得・中央値は年収400万円台 … (略) … 平均所得金額は552万3000円ですが、平均は一部の大きな金額に影響されるため、中央値の437万円がより実態に近いといえます。 では、年収400万円台の貯蓄について確認していきましょう。 年収400万円台の働く世帯、みんなの貯蓄・負債は? まずは総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和2年)」から、年収400〜450万円と450~500万円の働く世帯の家族背景と貯蓄事情をみていきます。 年収400万~450万円(平均年収423万円) 世帯人員:3.23人(うち18歳未満人員0.87人) 世帯主の年齢:50.6歳 女性の有業率:39.4% 平均貯蓄額:911万円 平均負債額:555万円(うち「住宅・土地のための負債」508万円) 純貯蓄額:911万円(貯蓄)-555万円(負債)=356万円 年収450万~500万円(平均年収474万円) 世帯人員:3.05人(うち18歳未満人員0.81人) 世帯主の年齢:50.1歳 女性の有業率:49.5% 平均貯蓄額:813万円 平均負債額:601万円(うち「住宅・土地のための負債」560万円) 純貯蓄額:813万円(貯蓄)-601万円(負債)=212万円 世帯人員は3人で、世帯主の年齢は約50歳。女性の有業率をみてみると共働き世帯が半分を占めます。そして、これから大学などへ進学予定の子どもが1人いると考えられますね。 貯蓄は800~900万円ほどですが、負債を引いた純貯蓄で見ると決して貯蓄が多いとはいえない状況です。 次に、より実態に近い中央値の金額をみてみましょう。 より実態に近い中央値はいくら? 金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和2年(2020年)調査結果」から、年収300~500万円未満世帯の貯蓄を確認します。 年収300万円台世帯も含まれますが、平均とともに中央値も載っているので参考までに確認しましょう。 【年収300~500万円未満世帯】(金融資産非保有世帯を含む) 貯蓄平均1079万円・中央値420万円 金融資産非保有:17.9% 100万円未満:8.4% 100万円~200万円未満:7.3% 200万円~300万円未満:7.8% 300万円~400万円未満:4.9% 400万円~500万円未満:5.5% 600万円~700万円未満:7.4% 700万円~1000万円未満:6.4% 1000万円~1500万円未満:8.8% 1500万円~2000万円未満:6.5% 2000万円~3000万円未満:8.5% 3000万円以上:8.4% 無回答:2.3% 平均は先ほどと近い水準で約1000万円ですが、中央値は420万円まで下がりました。 内訳も見てみましょう。最も多いのは金融資産がゼロの世帯で約18%。次に「1000万円~1500万円未満」(8.8%)「2000万円~3000万円未満」(8.5%)「100万円未満」と「3000万円以上」(ともに8.4%)でした。 金融資産ゼロの世帯が17.9%であり、2000万円以上保有している世帯も16.9%と同じような割合です。貯蓄が二極化していることがうかがえます。 ― 引用終り ― たぶん今重要なのは、「ふつう」がどの水準であることよりも、購買力平価の国際比較で日本の「普通」が世界の中でどのような位置づけかということだろう。 日本は先進国で比較的豊かな国と思っている人が多く、貧乏もみんなで暮らせば怖くない(仕方ない)、と思っている人はまだ少ないと思う。
2022年05月18日
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「有事の円買い」という言葉が使われていた日本円が、下落を続けている。 コロナ禍で世界が冷静になったのか、低金利政策、雇用の不安定化で賃金抑制をはかり、高齢化、少子化とともに内需が伸びなくなった日本の「円」は、エネルギー価格高騰とともに、世界から見放されつつある。 短期的な国内経済安定策、景気刺激策を積み重ねた結果であり、ちっともうまくいかなかったアベノミクス、黒田バズーカを是正しなかった当然の、経済的帰結。 日本円はもはや安全資産ではないのか…1ドル=117円台後半に急落で5年2カ月ぶり安値2022年3月15日 日刊ゲンダイDIGITAL … (略) … それにしても、なぜ安全資産だったはずの円が買われず、売られているのか。 円が国際的に安全資産とみなされてきた理由は、日本が多額の“経常黒字”を稼ぎ、世界最大の“対外純資産国”だったからだ。ところが、アベノミクスの失敗によって日本の足元は大きくグラつきはじめている。2022年1月には史上2番目の“経常赤字”が記録された。赤字は2カ月連続である。このままでは、いずれ“純資産”も切り崩さざるを得なくなる可能性がある。円はまだまだ下落していくのか。 経済評論家の斎藤満氏がこう言う。 「日銀の黒田総裁は、“悪い円”を指摘されても、いっこうに金融政策を見直そうとしない。ますます日米の金利差が開き、円は下落していく恐れがあります。円が“安全通貨”とみなされていたのは、日本には“稼ぐ力”があると評価されていたからです。ところが、アベノミクスの失敗によって、日本は稼ぐ力を失ってしまった。アメリカのようにGAFAといった新しい成長産業も生み出せなかった。いまや日本の労働生産性は、OECDに加盟する38カ国中23位です。日本の国力も日本円のステータスも急落しているのが実態です」 安倍政権の8年間の失政によって、国力は落ち、日本人はどんどん貧しくなっている。 ― 引用終り ― 情報氾濫社会であり、根拠のないものが高値をつけることは増えたが、それを継続することは難しい。 EVメーカーであ米国のテスラの株価など、人気投票の一種と思えるほどの、数少ない高値継続の成功例だ。 アベノミクスと日銀黒田バズーカによる円安は続く。 これまでとまったく違うヤバい円安が起きているデフレマインドに支配されているのは日銀だけ小幡 績 : 慶應義塾大学大学院准教授 2022/04/02 東洋経済ONLINE 円安はヤバい。 このままでは、日本経済は破綻への道をまっしぐらだ。 … (略) … つまり、本来あるべき姿=通貨の番人たる一国の中央銀行にとってもっと重要なことは、自国通貨価値を維持すること、守ることであり、通貨価値を安易に毀損しようとする政治的勢力と戦い、通貨を「ポピュリストたち、経済を理解していない人々」から守り、価値を死守することが、唯一最大の役割なのである。 そのために、中央銀行の政治的独立性が重要なのであり、日本銀行も独立性を獲得するために、悲願だった日銀法の改正を21世紀に入る寸前、1997年になってようやく達成したのである。 「通貨の番人」が自ら通貨価値を下落させようとしたそれにもかかわらず、皮肉なことに、日銀自らが通貨価値を下落させることに躍起になり、政治家たちがそれを止めようとしているのである。これがこの世の終わり、日本経済の終わりでなくて何であろうか。 ― 引用終り ―
2022年04月11日
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内戦が続く中東イエメンで、暫定政権を支援するサウジアラビア主導の有志連合軍と、イランが後ろ盾の反政府武装勢力フーシが4月1日、2カ月間の停戦に合意した。 翌4月2日午後7時から全土で停戦した。イスラム教のラマダン(断食月)入りに合わせて国連が仲介した。 エネルギー価格の上昇が世界各国の内政を不安定化している。 世界的エネルギー価格の上昇要因にイランとサウジアラビアの代理戦争の様相を呈しているイエメン内戦も影響している。 イエメン内戦がもたらすエネルギー価格上昇―不安定化するUAEの安全保障環境敬愛大学国際学部教授水口 章2022年2月15日 国際情報ネットワーク分析 IINAInternational Information Network Analysis 原油価格の指標となるWTI原油が、2月3日、ニューヨークの商品取引所で2014年10月以来の1バーレル90ドル台まで上昇した。2014年10月以来の高値である。その背景には、石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国で構成されるOPECプラスによる3月も現行の増産ペース(月量40万バーレル)を維持するとの決定、ウクライナをめぐる原油・天然ガスの輸出国であるロシアと欧米との緊張などに加え、中東の湾岸地域での緊張の高まりがある。 1月17日、24日、31日にアラブ首長国連邦(UAE)がイエメンのシーア派反政府組織であるフーシ派から攻撃を受けるという出来事が起きた。フーシ派が「イエメン・ハリケーン」作戦と呼ぶこの攻撃は、イエメン内戦において、サウジおよびUAEが支援する勢力とフーシ派との戦闘が激化する最中に行われ、UAEだけでなく関係国にも少なからぬ衝撃を与えた。 以下、本稿では、イエメン情勢が世界有数の産油国であるUAEの安全保障に与える影響について検討する。 ― 引用終り ― エネルギー価格の上昇は、一時的に工業国の経済を停滞させるが、最終的に、コストを価格転嫁できにくい低開発国の困窮に帰結する。 ロシアによるウクライナ侵略とロシア発のエネルギー危機に世界の目は注がれており、シリア内戦、イエメン内戦、ミャンマー軍政・ロヒンギャ難民問題、中国の民族浄化政策(少数民族問題)などは注目されずにいる。 エネルギー問題でもある中国の海洋進出問題、領土侵略問題である台湾問題も、世界の目を逃れている。 北朝鮮に至っては、自国のプレゼンスを世界に示そうとするかのように、弾道ミサイルを次々と打ち上げている。 対立する人目を避けて、これらの問題・課題は着々と進行している。 ロシアが起こしている核戦争の危機は、それごど重大な危機だが、他にも数多く「危機」がある。
2022年04月08日
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DX、デジタル化でメガバンクが体制を大きく変える。 メガバンクをはじめ、人員の削減、店舗の削減を大きくすすめて固定費の削減をすすめている。 メガバンクは生き残るために、銀行業を放棄したように映る。 変わる3メガバンク 3万人超の銀行員が消えるコスト削減で支店も激減2022年3月13日 マネーポストWEB 銀行を取り巻く環境は大きく変わっている。あわせて「預金者は銀行の支店に行ってサービスを受けられる」という当たり前だった光景も様変わりしようとしている。 マイナス金利政策による利ざやの縮小に加え、ITによる業務の効率化などを背景に、メガバンク3行が大規模な人員・業務量・店舗数の削減計画を打ち出したのは、2017年末のことだった。 同年12月、全国銀行協会会長だった平野信行氏(三菱UFJフィナンシャル・グループ社長=肩書きはいずれも当時)は会見で、「強い危機感を持って事業改革に取り組まないといけないことが、より明確になった1年だった」と危機感を表明。その時期に前述の大規模な削減計画が打ち出された。 人員面では2024年までの間にメガバンク3行で合わせて3万人超の人員減が見込まれている状況がある。 最も踏み込んだのがみずほ銀行だ。同行の人員は21年度末に1万1000人減(2016年度末比)に達する見込みで、2026年度末までに計1万9000人減(同)を目指す構造改革を進めている。 バブル時代に大量採用された人員を主な対象に、転出などで組織のスリム化を図るなどしており、予定通りに進めば、2026年度末までにパートを含めたもともとの従業員数の4分の1が削減されることになる。「公表しております計画については自然減と新卒採用の抑制をベースに策定しており、早期退職や退職勧奨については現時点においては検討しておりません」(みずほFG広報室)というように、メガバンク3行はいずれも「希望退職などの積極的なリストラではない」ことを強調する。とはいえ、銀行内での受け止められ方は深刻なようだ。 融資も「AIが判断」へ 金融ジャーナリストの浪川攻氏が語る。「新規採用を大幅に抑制することで、メガバンク各行の人員数は実際に減少しています。しかし、そのような人員削減に踏み切ったことによる先行きへの不安で、中堅・若手の辞職や転職が誘発されている。みずほの場合、昨年の大規模システム障害発生後のドタバタに嫌気がさした中堅層の行員の退職が相次ぎました。なかには将来を嘱望された人材が辞めたケースもあり、中期的には“現場力”の弱体化が懸念されるような状況です」 人員削減の前提となるのはデジタル技術の導入による省力化と効率化だが、その導入と定着、現場への浸透には課題が多い。課題が解決される前に人手が減ってしまえば、逆に現場の負担が増えてしまう。 ― 引用終わり ― 店と人を捨ててしまうだけなら、残るのは規模だけ。 稼ぐための智恵は、ネットバンクの方が長けていると思われ、メガバンクはメガバンクの優位性を放棄したように見受けられる。 銀行は金の融通、金貸しなのだが、銀行が不要になるのは、金を貸す機能を失っているからだという。 バブル崩壊後、金を貸すことを銀行がリスクだと思う傾向は強まったままだ。 金を貸さない金貸しは不要、というのは、確かに成立しない。 銀行の9割、銀行員の99%は「消える」──なぜもう「銀行はいらない」のか?2019年10月8日 FinTechビジネスモデルの崩壊によって銀行の9割、銀行員の99%は「消える」──衝撃的な予測を掲げるのが『もう銀行はいらない』(ダイヤモンド社)を上梓した上念 司氏だ。その思いは、実は上念氏自身が銀行員だった1990年代から抱いていたという。「銀行が消える日」までのシナリオとはどのようなものか? 上念氏に聞いた。 … (略) … 要するに銀行は、今、お金を持っていない人には資金を貸さないということです。 本来の金融というのは、チャレンジしたい、でも資金がないという人を支援するのが役割だと思うのですが、銀行というのは、その人がお金を持っているか、持っていないかしか見ないのが現実です。 確かに口座を悪用したり、マネーロンダリングに使ったり、振り込め詐欺のような犯罪目的で開設したりするのは問題です。 その一方で、ビジネスでチャレンジしようという人は、大抵実績もゼロですし、お金も持っていない。そういう人が銀行口座を開設できずに報酬を銀行振込でも得られないというのは、私からいわせれば「嫌がらせ」以外の何者でもありません。 日本経済が高度経済成長を達成する辺りまでは、かろうじて銀行の存在意義はあったわけですが、それ以降は、ほとんどなくなってしまったと思います。 高度経済成長の時代は、監督官庁の言うとおりにしておけばよかったのです。銀行からお金を借りたい人はたくさんいたので、堅そうな人に上から順番に貸していけばビジネスは安泰。ですから、銀行の中では預金を集めてくる営業マンが最も偉かったわけです。 そのモデルが1973年に崩れて、企業も成長も一段落し、借り手が少なくなってきた。そうすると今度は融資する営業マンの地位が高くなった。これがバブル期まで続きました。 この頃はゴルフの会員権や株を買うのに融資するくらいの無茶がまかり通っていました。 その後、バブルが崩壊すると、今度は運用難の時代。債券ディーラーの地位が高くなり、リーマンショック後は、今度はまた融資を増やさなければならないということで、債券ディーラーと融資部門の戦いが始まります。私から言わせれば何の主体性もない後追いしているだけの経営だということです。 ― 引用終り ― メガバンクの解体は、産業革命以降の資本主義形態の末期を思わせる。
2022年03月26日
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パナソニックと京セラが、分割所有する三洋電機の旧住道工場(大阪府大東市三洋町)の土地を、日本郵政不動産とSMFLみらいパートナーズ、住友生命保険の3社連合に600億円程度で売却することが報じられた。物流拠点に活用されれる。 パナソニックと京セラ三洋電機の旧住道工場の土地を売却…600億円規模か2022年3月15日 読売新聞オンライン パナソニックと京セラが、分割所有する三洋電機の旧住道工場(大阪府大東市三洋町)の土地について、日本郵政不動産とSMFLみらいパートナーズ、住友生命保険の3社連合に売却する契約を結んだことがわかった。売却額は600億円程度とみられる。 物流大手の拠点として活用される見通しで、工場周辺の地名の由来にもなった三洋電機の主力拠点は、姿を消す。 旧工場の土地は計約11万平方メートル。JR住道駅から徒歩10分ほどの場所にあり、第二京阪道路や近畿自動車道のインターチェンジにも近い。今春にも土地を引き渡す方針で、3社連合は国内の物流大手にリースする方向で調整しているとみられる。 ― 引用終り ― 三洋電機株式会社は、パナソニックグループの日本の電機メーカーで、同社の機能子会社。 2011年に株式交換により完全子会社としてパナソニック傘下に入る以前、創業から68年にわたり大阪府守口市に本社を置いていた。 旧本社第一ビルは2015年に大阪府守口市役所に売却され、市庁舎として使用されている。 2021年3月31日、エアコンとエコキュートの一部機種を除き、SANYOブランド製品の修理受付を終了。 三洋は休眠状態となっている。
2022年03月26日
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2月7日、東芝は、大株主の反発により、会社を3分割する計画を修正し、デバイス事業だけを切り出して2分割にすると正式に発表した。空調子会社の東芝キヤリアを、合弁相手である米国の空調大手に約1千億円で売却することも発表した。 一部大株主の反発は、分割は東芝の価値を損なうとしたものであり、東芝の経営陣は、分割に固執した。 米グラスルイスも反対推奨 東芝分割案、逆風強まる3月臨時総会2022/3/11 JIJI.COM 東芝が今月24日の臨時株主総会で提案する同社の分割計画に関する議案をめぐり、米議決権行使助言会社グラスルイスが東芝株主に反対を推奨したことが11日、分かった。 議案には別の米議決権行使助言会社も反対を推奨しており、実現に向けて逆風が強まっている。 東芝はグループを2分割する戦略的再編を進めるかについて、総会で株主の意見を確認する議案を提案している。 グラスルイスは分割計画やその策定過程が「投資家の支持を得るには極めて不十分だ」と指摘。「株式の非公開化」など、一部株主が求める分割以外の選択肢についても「検討は限定的で、外部の関心を排除し投資家からの明確な要求を退けている」と非難した。 ― 引用終わり ― 社内の論理に固執し、会計不正を行うに至った倫理面の反省が微塵も感じられない振る舞いだ。 投資家は東芝は一体でこそ企業価値が上げられると信じている。 短期業績重視で保守的な経営陣は、長期的展望の不確実性をおそれ、今ある企業価値は分割してこそ大きくなると信じている。 夢を描くこと、夢をみることができない日本の経営者、銀行家は、大きな成果を得ることができない。
2022年03月19日
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確実に役立つ機能を備え、安価で耐久性が高く、カラフルなワークマンの衣類、雨具類は、山歩き、デイキャンプなどでの利用が増えていた。 この度本格的にキャンプ市場に参入することが発表された。 既に多くのユーザーが、ワークマンの製品をキャンプに利用していることだろう。 【ワークマンの車グッズ】車中泊キャンプでも大活躍「買って正解」暖か楽ちん5選2022.01.03 LIMO … (略) …寒さ対策ばっちり!車中泊アイテムヒーターマルチブランケット 価格:2,900円(税込) サイズ:幅135×丈65cm カラー:ブラック、ダークグリーン 素材:表地/ポリエステル、中わた/ポリエステル、裏地/ポリエステル、フリース部分/ポリエステル 電熱シートが搭載されたマルチブランケットがあれば、寒い時期の車中泊でも気持ちよく眠れます。また、ポンチョ・ベスト・ハーフパンツ・マフラー・ラップスカートなど、全6通りの使い方も可能です。 REPAIR-TECH(R)(リペアテック)洗えるフュージョンダウン ライトパンツ価格:1,900円(税込) サイズ:S~LL カラー:ブラック、カーキグリーン、テラコッタ 素材:表地・裏地前裾部分/ナイロン、ニット部分/ポリエステル、中わた/ダウン・ポリエステル・アクリル・フェザー、裏地上側部分/ポリエステル 去年、即完してしまったライトパンツ!天然ダウンと吸湿発熱わたにより、中わた100%と比べ約2℃も体感温度がアップ。裏地には保温性の高いブラックアルミを採用しています。ひざ周りにストレッチニットをプラスし、脚の曲げ伸ばしも楽ちん。 ― 引用終り ― 残り3点は、スウェットシェルインサレーションパンツ、スウェットシェル ピステ、裏フリースダウン風スリッポン。冬キャンプにも最適だろう。 コロナ禍でキャンプの市場は幅広くなり、冬キャンプも流行し、季節を問わずキャンプを楽しむ人々が増えている。 ワークマンの参入は、キャンプグッズのコスパの基準となり、機能に沿った価格帯を革新することだろう。 「ワークマン」がキャンプ市場に本格参入「周回遅れ」で繰り出す販売戦略2022/2/23 Sankei Biz プロの職人向けでコストパフォーマンスに定評のある作業服・関連用品の専門店「ワークマン」がキャンプ市場に本格参入した。テントや寝袋などの基本アイテムから焚き火用品まで、合計130アイテムを22日から一挙に展開。ワークマンならではの品質とリーズナブルな価格を強みにビギナー層の取り込みを狙う。キャンプブームが叫ばれて久しいなか、「ワークマンがいま参入?」といぶかる向きもあるが、同社の土屋哲雄・専務取締役は「その“周回遅れ”が当社の強みとする『ユーザーイノベーション』を生む」という。 ■「声のする方に進化する」 作業用ウェアの市場でトップの売り上げを誇る一方、2016年に立ち上げた一般向けのプライベートブランド(PB)がヒットし、話題となったワークマン。2018年にはスポーツウェアに特化した店舗「ワークマンプラス」をオープンし、2020年には「#ワークマン女子」といった女性をターゲットとした店舗を展開してきた。アウトドアブームを追い風に、PBアウトドアウェアの売り上げは2019年からの2年間で約4倍の516億円にまで拡大した。 「実はキャンプギアに関しても4~5年前からニーズはあった」という土屋氏。ここ数年は「業態変化による急成長でキャンプ部門に注力できなかった」との事情もあったようだが、商品開発を進める準備期間にもなったという。 開発過程で特に力を入れてきたのが、同社が「消費者の声の中央値」と考えるアンバサダーの声を生かしたマーケティングだ。商品開発に係わっている公式アンバサダーはワークマンの“ファン”であり、ユーチューバー等各分野で精通・活躍している面々。契約料等は一切発生せず、その分「欠点に対する指摘も含め、リアルな品評を交えながら情報を発信してもらっている」(土屋氏)という。 同社によると、現在展開中の全PB製品の3分の1がアンバサダーの開発協力によるもので、売り上げの8割を稼ぎ出しているという。こうした消費者の声から生まれた製品(ユーザーイノベーション)に対する同社の評価は高く、「将来的に全PBの半数をアンバサダー開発協力製品にしたい」というほど手応えを感じている。 力の入れようは、現在40人いるアンバサダーのうちの15人がキャンプ分野に携わっていることからも分かる。消費者の声を聞くためにはある程度市場が醸成される期間が必要となるが、「『声のする方に進化する』のが同社のモットー」という土屋氏。求められているサービスにワークマンとして答えを出す。それに伴う出足の遅さは、周回遅れにようにも見えるが「必然」だという。 ■初心者向けセットが1万円以下で 商品開発にあたって着目したのは増加著しいビギナー層だ。 遊びとはいえ、ギアにプロ品質が求められている市場に、ウェアで培ってきた高機能素材とワークマンならではの低価格で切り込む。投入した130アイテムのうち、特に開発に注力したのがテントや寝袋、チェアやテーブルといったファニチャー類だ。購入しやすい価格帯や、リーズナブルでも譲れない機能等について経験豊富なアンバサダーの意見を徹底的に取り入れ、作り上げた。 主力製品の一つが、ウェアにも採用されている撥水素材を使いながら4.900円に抑えた1人用テントだ。ローチェア1780円、スリーピングバッグ1500円等と組み合わせれば1万円以下で一通りの必需品を揃えることができる。 土屋氏が「一押し」するアイテムは、ワークマンで一番人気の防寒ジャンパーをそのまま応用した寝袋だ。羽毛に化繊綿を加えることで保温と吸湿の双方を両立。足元には反射熱で温める銀素材を採用するなど細部にもこだわって税込み7800円に抑えた。土屋氏によると、こうしたウェアにもギアにも応用できる生地の「横展開」が低価格を実現できる強みでもあるという。 キャンプギアの販売はウェブで注文を受け付け、店頭で受け取るという無在庫販売方式を採用する。 店頭での「販売スペースの限界」という物理的な問題もあるが、「フランチャイズ展開で各店舗の売り上げを維持するという狙いもある」(土屋氏)という。現在全国に970店舗ある受取拠点は2030年までに1500店舗に拡充する方針。都心への出店も順次予定しているという。 キャンプギア部門の初年度の売り上げは40億円を見込むが、主力製品に関しては反応次第では増産体制も可能だという。土屋氏は「130アイテムを展開するなら将来的には100億程度の売り上げを目指したい」と意欲を示している。 ― 引用終り ― ワークマンの欠点は、通信販売を含め、人気商品がすぐ欠品になること。 規模が大きくなれば、店、ブランドの信頼性を高めるために売切りご免ばかりでなく、定番商品が欲しくなる。 「ワークマン+」に続いて「ワークマン・キャンプ」なり「ワークマン・レジャー・デポ」のような系列店を設定するのはどうだろうか。
2022年03月09日
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世界的に原油、資源、輸送価格が高騰し、日本の貿易収支が悪化、巨額の貿易赤字を記録するに至った。 貿易収支は、付加価値を加えたものが、最終的に黒字となる。 製造業の現地化がすすんだ日本で、いつまでも賃金・物価を低水準に押しとどめ、円安政策を続けた結果、この体たらくとなった。 コラム:巨額貿易赤字円安材料になる日は来るのか田巻一彦2022年2月17日 REUTERS 1月の日本の貿易収支が2兆1911億円の赤字と過去2番目の大きさとなった。この基調が続けば、2022年に10兆円規模の赤字を記録する可能性もある。円安材料になるはずの現象を市場は完全に無視し、17日のドル/円は小幅円高で反応したが、筆者はいずれ遠くない将来に市場が貿易赤字と円安をリンクさせて動く日が来ると予想する。 … (略) …<円安と貿易赤字がリンクする3つの理由> この市場に無視された日本の貿易赤字膨張が、いずれかの時期に注目材料として浮上してくると見るのはなぜか。 1つ目は、FRBの利上げスタンスが明確で、3月から始まる過程でFRBの引き締め加速が明確になった場合、ドル高/円安が進みやすくなるからだ。 3月以降は日本の貿易赤字が膨らめば、円売り材料の1つとして認識されるだろう。 また、欧州中銀(ECB)が年内の利上げに含みを持たせるスタンスを見せるようになったことで、日米欧の中銀の中における日銀の緩和姿勢がこれまで以上に目立つようになった。「円が最も弱い通貨」とアピールして、ヘッジファンドなどが円売りを仕掛けやすくなったと予測する通貨専門家もいる。 2つ目は、1月貿易統計で判明した中国経済の変調ぶりだ。1月の対中輸出は前年比マイナス5.4%と10カ月ぶりに前年割れに落ち込んだ。数量ベースでは、昨年10月から前年比マイナスに転落していたが、今年1月は前年比マイナス17.7%と大幅に落ち込んだ。 北京冬季五輪を前にした「ゼロコロナ政策」に基づく厳しい行動制限や、脱炭素政策の推進などによる工業生産の抑制などの影響が表面化してきた可能性が高い。この2つの要因による経済下押し効果は短期間で収束するとは予想できず、当面はマイナス効果が残存しそうだ。日本の輸出が伸び悩み、貿易赤字体質が鮮明になる方向で働くとみている。 3つ目は、17日の東京市場を見てもわかるように、ウクライナ情勢が仮に戦争突入にならなくても、緊張関係をはらんだままの状況が継続し、原油価格など資源価格の高止まりが長期化する様相を強めている点だ。 一部のエコノミストは、原油高や資源高は4月以降に緩和されると見ているが、地政学リスクは短期間で解消されないだろう。また、世界的な脱炭素の流れの中で石油採掘への投資に対する資金供給に多くの制約が課されるようになった現状では、原油の需給が簡単に供給過多に戻ることは不可能に近くなったと指摘したい。 このように見てくると、円安と貿易赤字はリンクしながら少なくとも今年半ばあたりまでは進行するのではないか。 ― 引用終り ― 円安がすすむと食料など日本の物価は上昇、円安を理由に企業が賃上げを渋ると、賃金は相対的にさらに低下する。日本の景気浮揚はさらに遠のき、国民は保守化、自公連立政権は安泰。将来世代へのツケとなる国の借金は増える一方となる。 保守化した日本人は、繰り返すことが大好きだ。
2022年03月03日
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中国の不動産開発大手、中国恒大集団は香港・元朗地区の未開発の土地を、管財人が指名された後も売却に向けた取り組みを続ける。 恒大は、復活を諦めていない。 中国恒大香港の土地売却に向け取り組み続ける=関係筋ロイター編集2022年2月4日 REUTERS 中国の不動産開発大手、中国恒大集団は香港・元朗地区の未開発の土地を巡り、管財人が指名された後も売却に向けた取り組みを続ける。関係筋が明らかにした。 管財人の選任はグループの再建プロセスに影響を与えることはないとも述べた。 元朗地区については、米投資会社オークツリー・キャピタル・マネジメントが中国恒大集団に土地開発資金を融資している。 関係筋はこの土地が「比較的近いうちに」売却される可能性が高いとし、売却収入でオークツリーへの融資を返済し、残りは中国恒大が得ると述べた。 中国恒大は1月30日、元朗地区の土地を巡り管財人が指名されたと発表した。 香港証券取引所への開示で、元朗地区の土地は同グループが2021年1月に借り入れた5億2000万ドルの資金調達取引で担保になっていると明らかにした。債権者の名前は記載されていなかった。 ― 引用終り ― 恒大の許家印会長が、債務返済に向けて住宅建設の完全再開すると表明した。そして資産の投げ売りをしない方針を示したことで、2月10日の香港株式市場で、恒大集団の株価が急伸した。 中国の投資家は、バイタリティに満ちている。1990年代のバブル崩壊後、投資家も大企業経営者・生活者の多くも保守的で安全志向が強くなった日本と、大いに異なる。 中国恒大株が急伸会長が事業立て直しに意欲ロイター編集2022年2月10日 REUTERS 10日の香港株式市場で、中国の不動産開発大手、中国恒大集団が急伸している。許家印会長が、債務返済に向けて住宅建設の完全再開すると表明する一方で、資産の投げ売りはしない方針を示したことが材料。 恒大株は一時7.2%上昇し、1月25日以来の高値となる1.79香港ドルを付けた。 関係者や一部報道によると、許会長は6日の社内会議で、建設作業や販売活動を完全に再開するのが債務をなくす道で、資産を投げ売りすることではないと主張。建設活動を今月中に100%再開することを目指すと述べ、集合住宅の引き渡し目標を60万戸に設定した。 ― 引用終り ―
2022年02月18日
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幾度も経済の停滞、バブルの崩壊の可能性が指摘されながら、中国経済は成長を続けている。 一方、1990年代のバブル崩壊以降、日本経済は停滞を続け失われた○○年を更新している。 日本が静かに衰退を続ける理由は、成長を前提とした資本主義経済の中で、日本が保守的姿勢を続けたのためという記事が下記。 日本経済が衰退した要因それは「保守的」すぎること=中国報道2022年1月31日 サーチナ … (略) … 中国メディアの網易はこのほど、「日本経済の衰退の過程を研究すれば、中国は同じ過ちを避けることができる」と題し、日本経済衰退の原因とそこから学べる教訓について考察する記事を掲載した。 記事は、日本経済衰退の要因は一言で言うと「保守的」なところにあると分析した。そのため、例えば半導体分野では一時は米国をしのぐほど繁栄したものの、競争の舞台がメモリからパソコン向けマイクロプロセッサに移行するとあまりの進歩の速さに保守的な日本は後れをとるようになったと主張している。日本人の保守性は非常に深刻で、品質を過度に重視するあまりにスピードを犠牲にすることもあって、世界の発展のスピードについていけなくなったと説明した。 記事によると、日本人の保守性については、自動車分野にもよく表れているという。中国をはじめ、世界中で電気自動車(EV)へと移行する流れになっているのに、日本はいまだに内燃機関車にこだわっていると主張した。これは、部品数の少ないEVへシフトすると、自動車関連産業で働く多くの人が失業してしまう恐れがあるためだと分析している。 ― 引用終り ― 高度経済成長時代、日本経済は成長を求めて革新を選択した。 政治的保守主義者さえ、伝統よりも成長のための革新・刷新を選択した。 現代の日本は、過去を損なうことを恐れて、新しい一歩が踏み出せずにいる。 成長に向かうべき力は、衰退する産業を維持することに割かれた。 収益の源泉を原価の削減、とりわけ労務費の削減に求めた結果、高齢化と相まって内需は停滞を続け、投資は海外に向かった。 失うことを恐れるあまり、将来どころか現在も失いつつある日本社会の精神構造は、コロナ禍が明けたとしても、簡単には変わらないのだろう。 もちろん、日本の選択も悪いことばかりではない。 成長で失った多くの物事を取り戻しつつあるからだ。 中国は大きく発展したのに多くの中国人が今なお日本で暮らす理由2022-01-05 サーチナ … (略) … この女性は「自分が日本に来た理由」と「そのまま定住することにした理由」について、質問に答える形で説明している。中国国内の大学を卒業したものの、そのまま就職しても給料の高い仕事には就けそうになく、日本に行ってみようと思い立ったそうだ。結局、日本では大学院まで進み、卒業後も日本に留まることにしたという。 この女性によると、「中国は確かに大きく発展した」とはいえ、大学を卒業したのに就職先がない人も少なくないそうだ。この女性が日本に留まることにしたのは「日本なら豊かな暮らしができる」からであり、豊かになった中国ではチャンスも多いだろうが、そのぶん競争が激しく、ストレスも大きいことが日本に留まる中国人が多い理由と言えるだろう。 ― 引用終り ― より人間的な暮らし、生活の質をどうとらえるかは様々だが、成長一辺倒の社会から日本が向けだそうとしている動きを、コロナ禍が促進していることは確かだ。
2022年02月09日
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12月26日、恒大は、最近、月平均1万戸未満の引き渡しにとどまっていた住宅の建設を加速すると公表した。国内の混乱を防ぐためとみられている。 1月1日、中国・海南省儋州市が恒大に対し、建設許可が違法に取得された(環境規制違反)として、開発中の39の建物を10日以内に解体するよう命じたと報じられた。 1月3日、香港証券取引所は恒大の要請により同社株の取引を停止した。 中国恒大株、取引停止=「内部情報」公表へ―香港市場2022年1月3日 時事通信ニュース 香港証券取引所は3日、経営危機に陥っている中国不動産開発大手・中国恒大集団の要請を受け、同社株の取引を停止した。恒大は声明で「内部情報」を公表すると説明しており、巨額債務問題などで何らかの動きがあった可能性もある。 中国メディアによると、恒大は同日夜、海南島のリゾート施設について、地元当局から違法建築として39棟の建物の撤去を命じられたと明らかにした。他の施設には影響はないとしている。 恒大は約190億ドル(約2兆2000億円)の外貨建て債務を抱えているが、一部社債の利払いが滞り、デフォルト(債務不履行)の瀬戸際にある。同社は債務再編に向けて債権者との協議に入る意向を示す一方、地元の広東省政府の実質的な管理下で経営再建を目指している。 恒大は先月上旬に猶予期限が切れた子会社発行のドル建て社債の利息8250万ドルを支払えなかったとされ、格付け大手のフィッチ・レーティングスとS&Pグローバル・レーティングは恒大が部分的なデフォルトに陥ったと認定した。 ― 引用終り ― 恒大集団は広東省政府の関与のもと、外貨建て債務の再編や住宅プロジェクトの完工・引き渡しを目指しているが、一部プロジェクトの頓挫によって損失や解体などの追加費用が発生、資金繰りがさらに悪化する可能性があり、経営再建に向けた不透明感は一段と高まった。 2022年1月5日、恒大集団は、7~10日にオンライン形式で2020年に発行した人民元債の社債権者集会を開くと発表した。議案は繰り上げ償還期日の半年延期など。
2022年01月09日
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2022年の干支は、『壬寅(みずのえ・とら)』。 十二支にまつわる兜町の相場格言 『辰巳(たつみ)天井、午(うま)尻下がり、未(ひつじ)辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ。 戌(いぬ)笑い、亥(い)固まる、子(ね)は繁盛、丑(うし)つまずき、寅(とら)千里を走り、卯(うさぎ)は跳ねる』 2022年、日本経済は、新型コロナ禍を乗り越え、デジタル時代が本格化して新たな成長を始める年とすることができるだろうか。 丑年、世界では日本経済に大きく影響する出来事が続いた。 1973年、第4次中東戦争が勃発し、「第1次オイルショック」が発生。 1985年、G5(先進5カ国)サミットでプラザ合意が成立し、円・ドル相場が1ドル=200円台から110円台に高騰。 1997年、香港が英国から中国に返還。ペルー沖でそれまでの観測史上最大規模のエルニーニョ現象が発生し、世界規模で干ばつや洪水などの異常気象が発生した。 2009年、WHO(世界保健機関)は、新型インフルエンザの警戒水準を最高の「6」に引き上げ、パンデミック(世界的大流行)が宣言された。世界同時不況で電機や自動車が大幅な赤字となったほか、GM(ゼネラルモーターズ)が破綻、連邦倒産法第11条適用を申請。 2021年はコロナ禍による世界のサプライチェーンの分断だろうか。 過去、丑年の障害から経済は回復してきたが、2022年がそうなる保証はない。 2022年は、米中間選挙で、過去をみると経済の伸びが小さい年。 最近は「相場は格言の通りには動かない」とするのが主流。 寅はどこに走るか分からない。
2022年01月02日
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LCCで縮まった世界は、コロナ禍で距離が広がった。 共産党の引締め強化も加わって中国企業の海外投資も絞られ、日本と中国は縁遠くなりつつある。 拡大する中国EV市場を狙ってトヨタ、日産、ホンダは生産能力の拡大をはかっているが、日本の観光業と不動産業の支えとなっていた中国は復活しないようだ。 人口減少、デフレ、伸びない内需になど、土地・建物の価格が下がる理由に満ちている日本から、中国(人)が手を引いたなら、そのショックは一段と大きくなる。 日本の「不動産価格」がいよいよ下がり始める理由中国人はしばらく日本には戻ってこない渡邉 哲也2021/12/18 東洋経済 ONLINE コロナ禍前の日本経済を支えていたのは間違いなくインバウンドだった。中国人が高級ブランド店で「爆買い」する姿はバブルの再来を想起させた。コロナウイルスワクチンが行き渡り、再び外国人が日本を訪れるようになれば、あの景色が戻ってくるのか。本稿では、人気経済評論家・渡邉哲也氏の新著『世界と日本経済大予測2022-23』より、2022年以降のインバウンド事情についてたっぷりと解説する。 もう中国人は来ない 東京五輪が開催される予定だった2020年、日本は年間4000万人の訪日観光客を目標としていたが、その目論見は、新型コロナウイルス禍ですべてご破算となってしまった。 2021年10月1日に緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が解除され、観光業界の復活戦も始まりつつあるようだが、残念ながらコロナ以前のインバウンドはもう完全には戻らないと言っていい。なぜならその中核を占めていた中国からのインバウンドは戻らないからだ。 中国は、海外からの文化輸入をさせたくない。現在の中国は文化的な鎖国状況に近い。習近平が恐れるのはズバリ「自由の味」だ。香港の例を挙げるまでもなく、一度自由の味をしめれば、中国政府に反旗を翻す者が増加するのは当然の成り行きだ。そのため、国民を外国になど自由に行かせたくない。こうした中国政府の姿勢に最も素早い反応をしたのが、いまや中国企業傘下となったラオックスである。 2021年8月、早々と全国13店舗のうち7店舗を閉店してしまった。コロナ禍の影響で外国人が入国できず、売り上げ回復の目処が立たないからとしている。2020年2月に111人が希望退職に応じたのに続き、同年夏には社員、契約社員を対象に250人程度の希望退職者を募っている。かなりあわただしい撤退戦である。 コロナ禍の影響による撤退に擬態しているが、中国企業傘下にあるラオックスが真っ先に逃げ出したことには注目したほうがいい。この先、中国からのインバウンドに未来はないと知る「上からの指示」に違いなく、中国系企業の日本撤退の連鎖は止まらないだろう。 東京五輪後は不動産価格が下がると、以前から予想していたが、やはりそれがいよいよ現実になろうとしている。今後、賃貸を含め、都心の不動産がどんどん値下がっていく。 まず2021年秋の時点で、中国がビジネスビザの発行を停止した。したがって中国人が外に出られなくなってしまった。この状況が続く限り、中国人が海外の不動産を保有する意味がない。当然、中国人はこれまで買いあさった不動産を売却する動きに出るだろう。 一方で、香港や台湾からの物件購入の動きが目立つ。 一番人気が台湾(香港人が購入)。言語も、文字(繁体字)も一緒で住みやすいのは間違いない。続いてシンガポール、日本と続く。同じアジアで、安全保障が保たれている地域を選ぶ傾向にある。そうした事情もあって、アジアの金持ちのセカンドハウスとして日本の人気は高まっている。 しかし、そのような需要は、アメリカを上回る1億人の富裕層(2018年、クレディ・スイスの調査)を擁するという中国のポテンシャルとは比べものにならない。 今後、中国人の手放した不動産を台湾や香港の金持ちが購入する可能性は高いが、需要が供給を上回る事態には決してならないだろう。不動産価格の低落が起こらないという観測は不可能である。 都心のオフィスが消えていく 都心部のオフィスの需要も急激に減少している。 三鬼商事の調べでは、2021年9月の都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)のオフィス空室率は、平均6%を超えた。5%超えは2015年6月以来5年8カ月ぶり。5区の中でも差異はあり、大規模ビルが多い港区やIT系が多い渋谷区の空室率が高く、製造業の本社が多い千代田区は比較的低い。 ― 引用終り ― コロナ禍でリモートワークが盛んになり、東京中心部への人口集中が緩和されると、暮らしやすいよい街になるのかもしれない。 といいながらもGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が買い支える、REIT(不動産投資信託)は底堅く推移しているとのこと。 当面不動産価格の雪崩式の下落はないということか。 国内リート見通し(2021年11月1日)2021年11月01日 明治安田アセットマネジメント … (略) …投資環境見通し (2021年10月)東証REIT指数は底堅く推移 コロナ禍で1年以上が経過し、業容拡大に向けてオフィスを増やそうとする動きも出始めている一方で、定期借家契約が多い大企業からの解約の動きが国内リート市場の重しとなりそうです。しかし、緊急事態宣言の解除によりホテルや都市型商業施設を中心に業績の回復が期待されるほか、物流施設は良好な事業環境が続いており、住宅は底堅い値動きを予想しています。 日銀の低金利政策が続く中、利回りを求める資金は引き続き多いとみており、公募増資の増加が予想される中でも需給の緩みをこなしながら東証REIT指数は底堅く推移すると予想します。 ― 引用終り ー
2022年01月01日
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