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「トリコロール/白の愛」(原題:Trois couleurs: Blanc、ポーランド語:Trzy kolory: Biały)は、1994年公開のフランス・ポーランド・スイス合作のドラマ映画です。フランス国旗の青、白、赤の三色をモチーフにした「トリコロール」三部作の2作目で、クシシュトフ・キェシロフスキ監督・共同脚本、ズビグニェフ・ザマホフスキ、ジュリー・デルピーら出演で、性的不能を理由に最愛のフランス人妻に離縁され、一文無しでパリの街に放り出されたポーランド出身の理容師が、故郷で一念発起、恥辱にまみれた過去から立ち上がる様を描いています。第44回ベルリン国際映画祭で監督賞を受賞した作品です。 「トリコロール/白の愛」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:クシシュトフ・キェシロフスキ脚本:クシシュトフ・ピエシェヴィッチ/クシシュトフ・キェシロフスキ出演:ズビグニェフ・ザマホフスキ(カロル・カロル) ジュリー・デルピー(ドミニク・ヴィダル) ヤヌシュ・ガヨス(ミコワイ) ほか【あらすじ】パリ。片言のフランス語しか話せないポーランド人の理髪師カロル(ヤヌーシュ・ガヨス)は、性的不能が原因でフランス人の妻ドミニク(ジュリー・デルピー)に離婚を求められます。カロルは裁判所で時間がほしいと哀願しますが、ドミニクはもう愛してない、突き放します。一文無しで妻に放り出され、異国で地で途方に暮れていたカロルは、地下鉄の通路で同郷のミコワイ(ズビグニエウ・ザマホフスキ)に出会い、友情を温め始めます。人生に絶望して死にたがっている男に手をかす気はないかと、ミコワイがもちかけますがカロルは断わります。カロルはミコワイのトランクに隠れ、パリで見つけた少女の胸像とともにどうにか故郷のポーランドに帰りつきます。兄の元に身を寄せたカロルは再び働き始めますが、美容師稼業に見切りをつけ、やくざな両替屋の用心棒になります。盗み聞きした両替屋たちの土地買収の計画を出し抜くことを狙い、またフランス語も本格的に学び始めます。ミコワイに再会した彼は、殺してほしいと願っている男に会いたいと伝えますが、その男とはミコワイ自身でした。カロルの機転で死の恐怖を味わったミコワイは生まれ変わり、カロルはミコワイから借りた金で事業を回し大成功、ミコワイを共同経営者に迎えます。一方、大金持ちになったカロルが電話をしても、ドミニクは冷淡に電話を切ります・・・。【レビュー・解説】「トリコロール」三部作第二作の中で、唯一、男性を主人公とする本作は、国境や言葉を超える愛における平等について、叙事的悲喜劇のスケール感で大胆かつ象徴的に描いた名作です。晩年はフランスでも活躍したクシシュトフ・キェシロフスキ監督は、ポーランド出身の映画監督・脚本家で、「デカローグ」(1989-1990年)、「ふたりのベロニカ」(1991年)、「トリコロール」三部作(1993-1994年)などで知られています。「トリコロール」三部作はフランス国旗を構成する三つの色、青(自由)、白(平等)、赤(博愛)をモチーフにした、愛をテーマにした作品群で、「トリコロール/青の愛」(1993年)「トリコロール/白の愛」(1994年)「トリコロール/赤の愛」(1994年)からなり、本作「白の愛」」では、国境や言葉を超えた愛における平等をテーマにしています。「青の愛」が女性を主人公とし愛の喪失と再生を欧州統合の為の協奏曲と重ねて叙情的に描いているの対し、男性を主人公に国境を超えた愛をユーモアを交えながら大胆なプロットで描く本作は、少ない登場人物ながら叙事的悲喜劇のスケール感があります。キェシロフスキ監督は晩年、フランスでも活躍していますが、憧れてやってきたポーランドからの移民がフランスでやっていくことの難しさを見聞することは決して少なくなかったでしょう。国境を超えた愛は、金を持ち、相手の言葉を話し、相手が同じ苦労を経験することにより、ようやく相手と通じ合い、対等になれるいう悲喜劇的なメッセージが埋め込まれた本作には、主人公と同じポーランド人としてのキェシロフスキ監督の価値観が強く反映されていると思われます。主人公の名前はカロル・カロルですが、カロルという名前はポーランド語でチャーリーに相当します。これを演じたズビグニェフ・ザマホフスキによると、「キェシロフスキ監督のチャーリー・チャップリンへの傾倒を表しています。彼は私にチャップリンを真似ろとは言いませんでしたが、役作りの基礎としてチャップリンのテクニックを見るように言いました。役者は半分悲劇的で、半分喜劇的でなければならないと、ずっと私に言い続けました。」(ズビグニェフ・ザマホフスキ)冒頭、カロルの歩く足元を映し出すシーンがありますが、これはチャーリー・チャップリンの、歩き方によるユーモア表現を意識したものであることがわかります(歩き方そのものを真似ているわけではない)。本作のテーマ・カラーは白で、かつて相思相愛だった、結婚式の回想シーン雪に覆われた故郷のゴミ捨て場で「ついに帰ってきた」と叫ぶシーン愛するドミニクの代わりに持ち帰った胸像(胸像とは対等になれる)カロルとミコワイが氷の上で戯れるシーンなど、対象との関係が対等であるシーンで使われています。 映画が描かれる以前の背景として、カロルが理容師のコンテストで一位になった時にドミニクと知り合い結婚した。パリの(ドミニクが営む?)理容室で働いているが、フランス語はほとんど話せない。(異郷の地での慣れない生活の為?)結婚してから性的不能になった。兄は故郷ポーランドで理容室を営んでいる。などが明らかになりますが、「青の愛」同様、これらの背景描写は必要最低限で、映画の中のダイナミズムでストーリーが展開していきます。「青の愛」では、主人公ジュリーと同じく自由を求めるルシールが唯一の友人となりましたが、本作でも主人公のカロルと同様、家族に関して悩みを抱えるミコワイが、重要な友人となります。また、伏線や象徴的に表現する手法を用いる点も、「青の愛」と共通しています。冒頭、離婚の申し立てを受けて向かった裁判所の前で、カロルは愛すべき鳩に糞をかけられる。これは、愛する妻に「もう愛していない」と無一文で放り出される屈辱的な体験の予兆。一文なしでパリの街に放り出されたカロルは、地下鉄の公衆電話からなけなしのコインで電話をかけるが、他の男との情事の声を妻に聞かされた彼は我を失い、電話代の2フランを返せと駅員に詰め寄る。故郷の兄の元に身を寄せたカロルは駅員に払い戻させた2フランを捨てようとするが、コインが手に吸い付いて離れないという不思議な体験をし、一念発起、理容師に見切りをつけ、金になる仕事を探し、フランス語の勉強を始める。死を願うミコワイはカロルの機転で再生する。両替屋の土地買収計画を出しぬいたカロルは命を狙われるが、遺産を教会に寄付するという遺書で資産を守る。この命を賭けた再生は、後の展開の伏線となる。「白の愛」は「青の愛」は同時進行する独立したストーリーで、ジュリー(ジュリエット・ビノシュ)が夫の愛人の見習い弁護士を追って入ろうとした法廷で、「白の愛」の離婚申し立ての審理が行われているという設定です。本作では法廷に入ろうするジュリーを、法廷の中からロングショットで捉えています。また、「青の愛」同様、老人が空き瓶を捨てようとして投入口に手がとどかないというシーンも挿入されていますが、「青の愛」では陽の光と戯れ、自由を満喫するジュリーは、老人に気づかない「白の愛」では、寒空のパリに無一文で放り出されたカルロは、老人をせせら笑うという、主人公の異なる反応を描かれています。これらは、三部作を緩く結びつける象徴的要素と言えます。<ネタバレ>カロルは故郷のポーランドで一念発起、金を稼いでフランス語も勉強しますが、ドミニクに電話をかけるも冷たく無視されます。可愛さ余って憎さ百倍となったカロルは、稼いだの財産の相続人をドミニクにした上で、自らの死を偽装、遺産相続でドミニクをポーランドにおびき寄せます。本来は葬儀の前にシンガポールに身を隠す予定でしたが、ドミニクに未練が残るカロルはポーランドに残ります。葬儀で涙するドミニクを遠くから眺めたカロルは、その夜、ドミニクの宿泊するホテルを訪れます。性的不能を脱したカロルはドミニクと愛を確かめ合いますが、翌朝、カロルが去ったホテルに警察が訪れ、遺産相続を目的にカロルを殺害した容疑でドミニクを拘束します。言葉の通じない異郷の地で収監されたドミニクに自らの危険も顧みず会いに行ったカロルに、ドミニクは鉄格子の窓越しに「私が牢から出たら、一緒にパリに行きましょう、いい?あるいはここに残って、また結婚するのよ。」と手話で伝えます。遠くからドミニクを見つめるカロルの目に、喜びの涙が溢れ、頬を伝います。<ネタバレ終わり>ドミニクと対等になる為にカロルは生命を賭さねばならなかった訳ですが、遡ればフランス国旗の意味する「自由・博愛・平等」はフランス革命のスローガンで、まさに民衆が生命を賭して手に入れたものです。そのフランスの人々が今、テロ攻撃により生命を脅かされているのは、国境や文化を超えた「平等」は、今なお難しい課題であることを意味しているのかもしれません。本作の主役はズビグニェフ・ザマホフスキで、ジュリー・デルピーの出番が少ないのが残念です。彼女は「ビフォー」シリーズのセリーヌのイメージが強いのですが、本作では回想シーンの可愛らしい花嫁と、離婚を争う冷淡な妻という大きなギャップのある役を演じています。エンディングで見せる表情も素晴らしいです。彼女はパリ出身の女優、映画監督、脚本家で、両親が俳優、5歳から父の劇団の舞台に立っています。セザール賞有望若手女優賞に二度、ノミネートされますが、フランス映画界のいざこざや内紛に嫌気がさし、アメリカに住み、映画制作を学びます。リチャード・リンクレーター監督と出会い、「恋人までの距離」に出演、高い評価を得、アメリカの市民権を得、映画を監督、歌手としてCDアルバムを発表、「恋人までの距離」の続編で主演のと共同脚本を務め、アカデミー脚色賞にノミネートされます。さらに「ビフォア・サンセット」で自作曲の演奏を披露、「パリ、恋人たちの2日間」では監督・脚本・製作・編集・音楽・主演を務めセザール賞脚本賞にノミネートされるなど、多彩な才能を見せています。1978年 両親が出演したオムニバス映画の一編で映画デビュー1986年 「汚れた血」でセザール賞有望若手賞にノミネート1987年 「パッション・ベアトリス」でセザール賞有望若手賞にノミネート1990年 フランス映画界のいざこざや内紛を嫌い、アメリカに住んで映画制作を学ぶ1995年 「恋人までの距離」がベルリン国際映画祭などで高い評価を得る2001年 アメリカの市民権を獲得2002年 映画を監督2003年 歌手としてCDアルバムを発表2004年「ビフォア・サンセット」主演・共同脚本・自作曲演奏、アカデミー脚色賞にノミネート2007年 「パリ、恋人たちの2日間」監督・脚本・製作・編集・音楽・主演、セザール賞脚本賞にノミネート2009年 第一子誕生2013年「ビフォア・ミッドナイト」主演・共同脚本、アカデミー脚色賞にノミネートズビグニェフ・ザマホフスキ(左、カロル・カロル)とヤヌシュ・ガヨス(右、ミコワイ)ジュリー・デルピー(ドミニク・ヴィダル)【サウンドトラック】 「トリコロール/白の愛」サウンドトラックCD(楽天市場)1. The Beginning2. The Court3. Dominique tries to go home4. A chat in the underground5. Return to Poland6. Home at last7. On the Wisla8. First job9. Don't fall asleep10. After the first transaction11. Attempted murder11. Attempted murder12. The party on the Wisla13. Don Karol I14. Phone call to Dominique15. Funeral music16. Don Karol II17. Morning at the hotel18. Dominique's arrest19. Don Karol III20. Dominique in prison21. The end【撮影地(グーグル・マップ)】カロルが離婚の申し立てを受けて向かう裁判所カロルがミコワイと語り合うパリの地下鉄のホーム 「トリコロール/白の愛」(楽天市場)【関連作品】トリコロール三部作のDVD(楽天市場)「トリコロール/青の愛」(1993年) 「トリコロール/白の愛」(1994年)「トリコロール/赤の愛」(1994年)クシシュトフ・キェシロフスキ監督作品のDVD(楽天市場) 「傷跡」(1976年) 「終わりなし」 (1985年)「殺人に関する短いフィルム」(1988年) 「愛に関する短いフィルム」(1988年) 「デカローグ」 (1989-1990年) 「ふたりのベロニカ」(1991年)ジュリー・デルピー出演作品のDVD(楽天市場)「汚れた血」(1986年) 「僕を愛したふたつの国/ヨーロッパ ヨーロッパ」(1990年) 「トリコロール/白の愛」(1994年) 「恋人までの距離」(1995年) 「ビフォア・サンセット」(2004年) 「ブロークン・フラワーズ」(2005年) 「ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男」(2006年) 「パリ、恋人たちの2日間」(2007年) 「ビフォア・ミッドナイト」(2013年)
2016年12月30日
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「リザとキツネと恋する死者たち」は、2015年公開のハンガリーのダークファンタジー&コメディ映画です。栃木県那須に伝わる「九尾の狐」伝説をモチーフに、ウッイ・メーサロシュ・カーロイ監督、モーニカ・ヴァルシャイら出演で、彼女だけに見える幽霊の昭和歌謡の日本人歌手「トミー谷」と日本の恋愛小説が心のよりどころの孤独で健気な奥手の女性が、キツネの呪いがチラつく不思議な連続殺人事件に巻き込まれる騒動を描いています。世界三大ファンタスティック映画祭のうち、第35回ポルト国際映画祭でグランプリ、第33回ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭で審査員&観客賞を受賞した作品です。 「リザとキツネと恋する死者たち」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:ウッイ・メーサロシュ・カーロイ脚本:ウッイ・メーサーロシュ・カーロイ/バーリント・ヘゲドゥーシュ原作:ジョルト・ポジュガイ「Liselotte és a május」音楽:アンブルシュ・デヴィハージ出演:モーニカ・バルシャイ(リザ) デヴィッド・サクライ(トミー谷) ゾルターン・シュミエド(ヘンリク) ガーボル・レヴィツキ(ゾルタンの上司) サボルチ・ベデ・ファゼカシュ(ゾルタン) ピロシュカ・モルナール(マルタ) ほか【あらすじ】1970年代、ハンガリーの架空の都市。リザ(モーニカ・バルシャイ)は、元日本大使の未亡人マルタ(ピロシュカ・モルナール)の家に住み込み、専属看護師として働いて12年になります。日本の恋愛小説が、孤独なリザの心のよりどころです。彼女にしか見えないユーレイの日本人歌手トミー谷(デヴィッド・サクライ)が唯一の友人で、外出する機会もない彼女を軽妙な歌で元気づけてくれます。おいしいスープを作るリザに、マルタは願いを聞いてあげようと上機嫌です。日本の恋愛小説にあるような甘いロマンスに憧れる無垢で繊細なリザは、30歳の誕生日を迎え、2時間だけ外出することを許してもらいます。さびしそうなトミーを尻目に、リザはおしゃれをして嬉しそうに出かけます。憧れのメック・バーガーで、ハンバーガーにかぶりつくリザには、傍らのカップルがまぶしく見えます。リザのいないマルタの家ではトミーがマルタのそばに座っていますが、マルタには見えません。クッキー缶に手を伸ばしたマルタはベッドから転落し、そのまま動かなくなります。マルタの死後、家の中の調度品をすべて持ち出した親族は、マルタの貯金が在り処をリザに聞き出そうとしますが、何も答えない彼女を見て、貯金目当てにマルタを殺したのではないかと警察に訴えます。悲しみにくれるリザに疑いの目を向ける警察は、地方から転勤してきたばかりの刑事ゾルタン(サボルチ・ベデ・ファゼカシュ)に捜査をまかせます。マルタのいない家に一人住むことになったリザは、新たな人生を歩むべくロマンスを求めますが、出会うのはまずそうな料理を好む男など、個性的個性的な男ばかりで、彼らが恋を始めようとするとキツネの影が忍び寄り、次々と死んでしまいます。ますます疑われるさなか、貯金を使い果たしてしまったリザは下宿人を募集、そこに刑事ゾルタンがおさまります。リザの生活を知るにつれ、ゾルタンは殺人の影がみじんもないことに気付き、いつしかゾルタンの眼差しは疑いから温かいものへと変化していきます。そんなゾルタンを見るトミーに、リザを渡すまいとする嫉妬の炎が燃え上がります・・・。【レビュー・解説】1970年代のレトロなハンガリーを舞台に昭和歌謡風のオリジナル曲をスタリッシュにフィーチャー、 原作の不条理舞台劇に日本の「九尾の狐」伝説を取り込んでダーク・ファンタジーに、さらにロマンティック・コメディへとダイナミックに脚色された本作は、一見、荒唐無稽ですが、無垢で健気な主人公というしっかりとした軸を持ち、アキ・カウリスマキ監督やウェス・アンダーソン監督の作品の様な質の良さを感じる作品です。原作となったジョルト・ポジュガイの舞台劇「Liselotte és a május」は、心優しい30代の孤独な女性があらゆる手を使ってパートナーを得ようとするものの、最初のデートで相手が死んでしまうという、ほろ苦い不条理ブラック・コメディです。当初の脚本は原作に近く、トミー谷も主題歌を唱うだけでしたが、資金源(共同プロデューサー)からの勧めもあり、本作が長編デビュー作となるウッイ・メーサロシュ・カーロイ監督は脚本を大きく書き換え、日本映画や文学、Jポップなど日本のカルチャーに造詣のある彼のCMディレクターとしての才覚が一気に開花した作品です。この映画は原作の舞台劇に、リザだけに見える幽霊としてトミー谷を登場させる日本の「九尾の狐」伝説をモチーフとして取り込む奇妙な人物や料理を登場させることにより、不条理コメディをダーク・ファンタジーに変え、さらにエンディングも変えてロマンティック・コメディになるという荒唐無稽な展開になっています(映画ではやり直す形でふたつのエンディングが描かれています)。最も際立っているのが、トミー谷のキャラクターです。名前からすると舞台芸人のトニー谷がモデルの様ですが、映画のトミー谷は衣装も歌も踊りも実物よりもはるかに洗練されており、曲調と相まってグループサウンズを彷彿とさせます(踊りのステップはエルヴィス・プレスリーを真似ています)。彼の劇中歌の数々は昭和歌謡のカバー曲のように聞こえますが、ハンガリー人の作曲家エリック・スモが作曲したオリジナルだというから驚きです(作詞は日本人)。Doki Doki(Thump, Thump)Dance Dance Have A Good TimeBelieve to the EndOut She Comes up She Goes ・・・リザをフィーチャした曲、Forever(My Love)(featuring Liza)もなかなか良いです。また、トミー谷が歌って踊るシーンはインパクトがあり、CMやPVとしても通用しそうです。一方、三つ編み女子から美しい女性に変貌してくいく、内気で優しく無垢なリザを、舞台俳優でもあるモーニカ・バルシャイがぶれることなく演じ、この映画をしっかりと締めています。派手なトミー谷についつい目が行きますが、私生活でカーロイ監督のパートナーでもある彼女がしっかりしたパフォーマンスで本作の成功に大きな役割を果たしています。因みに、映画が大好評で素晴らしいレビューが載ったと伝えても彼女は素っ気なく、お陰でカーロイ監督は浮かれることなく地に足をつけてデビュー作の成功を迎えることができたそうです。実は彼女は、私生活でもしっかりとしたパートナーなのかもしれません。さらにカーロイ監督は、リザの無垢さに社会主義時代のハンガリーを重ね合わせることにより、映画に厚みをつけています。ハンガリーが旧ソ連の支配から開放されたのは1989年で、本作の舞台となる1970年代はまだ社会主義でした。そこに自由主義世界の象徴とも言えるハンバーガー・ショップや女性ファッション誌のコスモポリタンを登場させて、これに憧れるリザを描くことは、解放当時に同じような思いをしたハンガリーの人々の共感を呼びます。ロシアにせよ、中国にせよ、社会主義の国の市場が自由化されると、決まってマクドナルドの出店がニュースになりましたが、ファーストフードや女性ファッション誌は、庶民が手を伸ばせば届く憧れの自由の象徴であり、1989年というそれほど遠くない過去を懐かしく思ったハンガリーの人々も少なくないのではないかと思います。ファンション誌を手にハンバーガー・ショップに通い、ロマンスを夢見るリザについて、カーロイ監督は次のように語っています。「愛というのはピンク色の夢ではありません。愛を得るためには一生懸命努力しなくてはいけない。けれども、努力する価値のあることであり、努力すればご褒美をもらえるということを、この作品で伝えたいと思います。」(ウッイ・メーサロシュ・カーロイ監督) 因みに、那須の「九尾の狐」伝説とは、インド、中国を荒らし回った妖怪、九尾の狐が日本へ渡来、「玉藻の前」という美女に化身し、帝の寵愛を受けながら帝の命を奪って日本を我が物にしようとしたが、陰陽師に正体を見破られ、「白面金毛九尾の狐」の姿となって那須野が原へ逃げ込んだというと話です。その妖狐の呪いでリザに近づく男性が次々に死んでいくのではないかと、彼女は思い込むわけですが、リザが出会うのは、まずそうな料理を好む男棚に閉じこもる男女と見れば近づく男と個性的な男ばかりです。ロマンスに憧れるリザは男が女に惚れる料理のレシピを手に入れますが、どう見ても美味しそうではありません。鯉のメイプルシロップ煮メロンスープのディル添え、新玉ねぎ入りキノコのジャム煮豚肉入りのチョコプディングミント風味のレバー甘酢入りの紅茶しかし、まずそうな料理を好む男が、吸い寄せられるようにかぶりつきます。悪趣味なメニューがなんとも言えません。<ネタバレ>狐の呪いに取り憑かれたと信じ込んだリザは自殺を図ります。実は、リザを愛するトミー谷は実は死神で、すべては彼女を手元に置く為の策略でした。本当に自分を愛してくれているのはゾルタンだと気づいた彼女は、ゾルタンの元に帰りたいと懇願しますが、一生、ゾルタンにつきまとうとトミー谷に脅されます。ゾルタンを守る為に、リザはトミー谷の元に残ること決意しますが、その途端に呪いが解けて、リザは生き返ります。無私の相思相愛が、呪いを解く鍵だったのです。それから10年たち、リザは愛するゾルタンと娘と一緒に那須を旅しています。車の後ろに潜むトミー谷は、リザがゾルタンの好きなフィンランドの歌、「イエヴァン・ポルッカ」(ロイマツ・ガールのフラッシュ・アニメで有名)を口ずさむのを聞いて、クサリます。<ネタバレ終わり>モーニカ・バルシャイ(リザ)デヴィッド・サクライ(右、トミー谷)サボルチ・ベデ・ファゼカシュ(ゾルタン)ピロシュカ・モルナール(マルタ、日本大使の未亡人、リザの雇い主) ゾルターン・シュミエド(ヘンリク、マルタの甥、女と見ればすぐに近づく)メロンスープのディル添え、新玉ねぎ入り(男が女に惚れる料理)尻尾を出す妖狐【撮影地(グーグルマップ)】リザが住む集合住宅ハンバーガーショップ「メックバーガー」が撮影された場所右側にコスモポリタンを売る店が仮設された。 「リザとキツネと恋する死者たち」のDVD(楽天市場)【関連作品】ハンガリー映画のDVD(楽天市場) 「ヴェルクマイスター・ハーモニー」(2000年) 「タクシデルミア~ある剥製師の遺言~ 」(2006年) 「ニーチェの馬」(2011年) 「ホワイト・ゴッド」(2014年)「サウルの息子」(2015年) 「リザとキツネと恋する死者たち」(2015年)
2016年12月29日
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今年はメインに使っている iMac(mid 2007)に様々な延命策を施しました。メモリ不足:4GB→6GBレスポンスが格段に良くなったブラウジングの際に従来ほどメモリ量を気にしなくなったiMac のメモリ増設!(楽天売れ筋お買い物ランキング)HDDをSSDに換装OS やアプリの起動が早くなったウェブの表示やスクロールが早くなったウェブ入力のレスポンスが良くなったCPU の使用率が下がった電源の温度上昇がゆるやかになったiMac mid-2007 の HDD を SSD に換装!(楽天売れ筋お買い物ランキング)発熱対策(冷却ファン回転数制御)CPU負荷100%時の各部の温度が10℃〜20℃下がり、許容範囲内になったパソコンの発熱対策(楽天売れ筋お買い物ランキング)詳細は上記のリンク先をご参考いただくとして、全体的にかなり改善しました。但し、全く問題がないわけでありません。グーグル・クロームは相変わらずメモリ食いで、タブをドンドン開いて行くと、6GBのメモリをいとも簡単に使い切ってくれます。あるだけ使うという感じですが、メモリープレッシャーがイエローゾーンに入ることはほとんどありません。せっかくSSDに換装したにもかかわらず、どういうわけか、スワップメモリをほとんど使いません。4GBの仕様に対して6GBのメモリを搭載していることが関係しているのか、他に何か原因があるのかはわかりません。一方、ブラウザの起動直後のウェブ接続時や、複数のタブを連続して開いた時に、CPU使用率が100%に貼り付き、ページが表示されるまで時間がかかることがあります。このような場合、GPUの使用率が急に下がり、CPUの使用率が跳ね上がることがあります。MacはGPUでも演算処理を行っていますが、GPUとCPUのタスクの振り分けは機種ごとに違います。開発から10年近く経っているので、最近のウェブとの相性がベストではないのかもしれません。総じて言うと、メモリはなんとかなっているが、CPUのパフォーマンスに余裕がないという感じです。因みに、iMac late 2015 でグーグルストリートビューをぐりぐりした時のCPU使用率は、iMac mid 2007 の約半分でした。iMac late 2015 が10万円+αで買えるこれまでの延命策に約3万円かけていることを考えれば、これから無理してCPUを換装する必要はないかなと思います。無茶な使い方をしなければ、現状で全く問題ありません。最近、日本語入力をことえりからグーグルに変えたのですが、入力の効率が格段に向上しました。ハード面からではなく、こうしたソフト面から使い勝手を考えてみるのも面白いかなと思います。 APPLE iMac Intel Core i5 1.6GHz 1TB 21.5インチ MK142J/A(楽天市場)
2016年12月26日
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「トリコロール/青の愛」(原題:Trois Couleurs: Bleu)は、1993年公開のフランス・ポーランド・スイス合作のドラマ映画です。フランス国旗の青、白、赤の三色をモチーフにした「トリコロール」三部作の1作目で、クシシュトフ・キェシロフスキ監督・共同脚本、ジュリエット・ビノシュら出演で、音楽家の夫と最愛の娘を事故で失い、つらい過去と決別する為に全ての財産を処分、パリでの単身生活を始める女性の苦しみと救いを描いています。第50回ヴェネツィア国際映画祭で、最高賞の金獅子賞、女優賞(ジュリエット・ビノシュ)、撮影賞を、第19回セザール賞で主演女優(ジュリエット・ビノシュ、音楽賞、編集賞を受賞した作品です。 「トリコロール/青の愛」(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:クシシュトフ・キェシロフスキ脚本:クシシュトフ・ピエシェヴィッチ/クシシュトフ・キェシロフスキ/アニエスカ・ホランド出演:ジュリエット・ビノシュ(ジュリー) ブノワ・レジャン(オリヴィエ) エレーヌ・ヴァンサン(ジャーナリスト) エマニュエル・リヴァ(ジュリーの母) フロランス・ペルネル(サンドリーヌ、見習い弁護士) シャルロット・ヴェリ(ルシール、ダンサー) ほか【あらすじ】ジュリー(ジュリエット・ビノシュ)は自動車事故で夫と娘を失います。優れた音楽家で欧州統合祭のための協奏曲を作曲中だった夫との思い出をかき消すように、郊外の田園地帯にある屋敷と家財道具一式、さらには夫が遺した未完の楽譜も処分、パリでの新しい生活を決意します。ジュリーに密かに思いを奇せていた夫の協力者オリヴィエ(ブノワ・レジャン)を空っぽになった屋敷に呼び出したジュリーは、彼と一夜を共にしますが、彼が目覚める前に家を後にし、パリへと向かいます。パリで静かな毎日を過ごすジュリーの脳裏に、夫が作曲していた欧州統合のための協奏曲の旋律が甦ってきて、焦燥感と不安に駆られます。老人ホームにいる母親(エマニュエル・リヴア)を訪ねても、彼女はジュリーを虚ろな目で見ているだけです。そんなある日、ジュリーはオリヴィエがテレビに映っているのを見ます。彼は処分したはずの未完の楽譜を持ち、自分が曲を仕上げると宣言、また、夫が見たこともない若い女性と写っている写真が映し出されます・・・。【レビュー・解説】「トリコロール」三部作第一作の本作は、美しく叙情的な映像、音楽と、ジュリエット・ビノシュの卓越したパフォーマンスで、緻密かつダイナミックに愛の喪失と再生を描き出す、クシシュトフ・キェシロフスキ監督の名作です。 晩年はフランスでも活躍したクシシュトフ・キェシロフスキ監督は、ポーランド出身の映画監督・脚本家で、「デカローグ」(1989-1990年)、「ふたりのベロニカ」(1991年)、「トリコロール」三部作(1993-1994年)などで知られています。「トリコロール」三部作はフランス国旗を構成する三つの色、青(自由)、白(平等)、赤(博愛)をモチーフにした、愛をテーマにした作品群で「トリコロール/青の愛」(1993年)「トリコロール/白の愛」(1994年)「トリコロール/赤の愛」(1994年)からなり、本作「青の愛」」では、過去の愛からの自由をテーマにしています。愛する夫と娘を事故で失った主人公のジュリーは、病院で服薬自殺を図りますが死にきれず、看護師の注意をそらす為にガラス窓を割ったことを詫びます。看護師は「替えるからいいのよ」と言いますが、ジュリーが失った家族に「替え」はありません。死にきれなかった彼女は、退院後、屋敷や家財道具を処分し、すべてを忘れ去ろうとします。唯一、手元の残すのが青いシャンデリアです。青はこの映画のテーマ・カラーで、思い出すのもつらい亡き夫と娘との愛からの自由(解放)を意味しています。彼女がパリに引っ越し、思い出を振り切るように泳ぐプールの色も青です。 事故を目撃した青年が、現場で拾った十字架のネックレスをジュリーに届けに来ますが、ジュリーはこれを青年にあげてしまいます。十字架は愛の証ですが、もはやジュリーには不要のものです。パリの公園で陽の光と戯れ、すべてを忘れて幸せそうなジュリーに、ゴミ箱に空き瓶を捨てようする老婆の姿が何度もカットバックされます。高いところにあるゴミ箱の口にうまく手が届かない老婆の姿は、過去を捨て去ることは容易でないことの暗示でしょう。一人で暮らし始めたパリのアパートの部屋に、同じアパートに住むダンサーのルシールが訪ねてきます。彼女は、青いシャンデリアを見て、ルシール:子供の頃、こんなランプがあった。良くてを伸ばしたわ。触りたくてジャンプしたの。と言います。ルシールも自由を求める女性であることが暗示され、相手を詮索しない彼女はジュリーのパリでの唯一の友人になります。下着をつけずに外出するほど奔放なルシールは、ストリップ劇場のダンサーですが、後にその仕事を選んだ理由を、ルシール:好きなの。誰でもセックスは好きよ。と言います。そんな自由な生活を謳歌するルシールですが、ある夜、劇場の客席に父親の姿を見つけてショックを受け、ジュリーを呼び出したりします。子供がいないアパートを選んだジュリーですが、ある日、ネズミが子供を産んでいるのを見つけます。ジュリーは子供の頃からネズミ嫌いで、またネズミの子供は娘を思い出させます。また、この出来事は後に発覚する事件の予兆ととることもできます。ジュリーは猫を借りて部屋に放ちますが、怖くて部屋に戻れず、ルシールが代わりに始末してくれます。 老人ホームに暮らす母を訪ねたジュリーは、ジュリー:もう、生きがいもないわ。なにひとつ。思い出もいらない。友情も愛も私を縛る罠だわ。と、母に伝えますが、母はジュリーを妹と勘違いし、ジュリーが夫と娘を失ったことも忘れています。ジュリーは、後に、再度、母を訪ねますが、世間への興味を失い、呆然とテレビに見入る母を見て、会わずに帰ります。夫が作曲していた協奏曲の断片が、そんなジュリーの脳裏に甦り、苦しめます。どうしても忘れたいのに、オリヴィエは処分したはずの未完の楽譜を持ち、自分が曲を仕上げると宣言します。彼女がオリヴィエを問い詰めると、オリヴィエ:曲はともかく、教えてやる。一つの手段だ。君を困らせ、泣かせるための。僕が必要かどうか、君から聞き出す手段だ。他に手段があるか?加筆を聴くか?自信が無いんだ。と言います。ジュリーは、絶句してしまいます。<ネタバレ>この事件の後、夫に愛人がいたことが発覚します。かつてのジュリーと同じ十字架のネックレスをした夫の愛人は妊娠しており、事態は大きく展開、ジュリーの心情も変化していきます。夫が作曲していた協奏曲の断片は、同時にジュリーが失った家族との愛の断片を象徴しています。協奏曲の断片がジュリーの頭から離れないように、亡き家族との愛の断片をを消し去ることことはできません。劇中、路傍の老人が演奏するフルートが協奏曲の一部をなしていく様に、愛の断片は亡き家族だけではなく、ネックレスを届けた青年、ルシール、老人ホームの母、夫の愛人、そしてオリヴィエといたるところにあり、愛とは断つことではなく、これらの断片を紡いでいくことなのです。曲の完成とこれらがオーバーラップしながら描かれていき、エンディングの愛の尊さを説く聖書の「コリント人への手紙」13章を詞にしたエンディングの合唱に集約していきます。最愛の家族を失い絶望し、思い出も友情も愛も頑なに拒むジュリーの心情が痛いほどわかる冒頭から、感動的な愛の再生を唱うエンディングまで、象徴的な出来事を積み重ねながら、自然にかつダイナミックに導いていくキェシロフスキ監督の演出は見事というしかありません。ジュリーの激しい痛みを感じながらも、いつの間にか彼女の愛の再生を願わずにはいられない本作は、恋愛映画を超えたヒューマン・ドラマと言っていいかもしれません。<ネタバレ終わり>本作には伏線や象徴的な表現が随所に見られ、ダイナミックな展開を緻密にかつ自然に演出しています。例えば、カフェでオリヴィエがジュリーに告白した際に、ジュリーは白い角砂糖をコーヒーに浸し、角砂糖はコーヒーを吸い上げて茶色に変色します。キェシロフスキ監督によるとこれはジュリーがそうした些細なことにしか関心を持たず、人に愛されることに無関心であることを象徴していると言います。彼は、スクリーニングを行ってこのシーンの意味することが観客に伝わっているかどうかを確かめることはしませんが、角砂糖が変色する約5秒、長すぎず、短すぎないこの時間を観客は感じてくれるといいます。つまり、彼はこうした象徴的表現の解釈を観客に強いるのではなく、気づかずとも自然に感じてもらえるように演出しているのです。そうした配慮のお陰ですんなりと楽しめてしめてしまいますが、繰り返し見ると実はそうした表現の積み重ねによって本作が緻密に構成されていることがわかり、驚かされてしまいます。主演のジュリエット・ビノシュは20代後半で、プライベートでも本作が公開された1993年に第一子が誕生するなど、の大女優に駆け上る最も勢いのある時期の作品です。1983年「Liberty Bell」にハタチそこそこで初出演1985年「ゴダールのマリア」、「ランデヴー」等で人気、セザール賞主演女優賞にノミネート1988年「存在の耐えられない軽さ」でアメリカ進出1991年「ポンヌフの恋人」でヨーロッパ映画賞女優賞を受賞1993年「トリコロール/青の愛」でヴェネツィア国際映画祭女優賞とセザール賞主演女優賞を受賞1996年「イングリッシュ・ペイシェント」でベルリン国際映画祭銀熊賞。アカデミー助演女優賞受賞2000年「ショコラ」でアカデミー主演女優賞にノミネート2010年「トスカーナの贋作」でカンヌ国際映画祭女優賞を受賞、世界三大映画祭女優賞を制覇ジュリエット・ビノシュ(ジュリー)ブノワ・レジャン(オリヴィエ)エマニュエル・リヴァ(ジュリーの母)フロランス・ペルネル(サンドリーヌ、見習い弁護士)シャルロット・ヴェリ(ルシール、ダンサー)【サウンドトラック】 「トリコロール/青の愛」サウンドトラックCD(楽天市場)1. 欧州統合祭のための協奏曲(パトリス・ヴァージョン)2. ブーデンマイヤー~葬送曲(管)3. ジュリー~埋葬のビデオ4. リプリーズ~見つけられたスコア5. カーニバルと四句節の戦い6. リプリーズ~ジュリーとオリヴィエ7. 省略…18. 第1フルート9. ジュリー~アパルトマンで10. リプリーズ~階段でひとり11. 第2フルート12. 省略…213. ブーデンマイヤー~葬送曲(オルガン)14. 同(オーケストラ)15. カーニバルと四句節の戦い216. リプリーズ~フルート (クロージング・クレジット・ヴァージョン)17. 省略…318. オリヴィエのテーマ~ピアノ19. オリヴィエとジュリー~試作20. オリヴィエのテーマ~フィナーレ21. ボレロ~「赤い愛」トレイラー22. 欧州統合祭のための協奏曲(ジュリー・ヴァージョン)23. クロージング・クレジット24. リプリーズ~オルガン25. ボレロ~「赤の愛」【撮影地(グーグル・マップ)】ジュリーが事故を発見した青年に会うカフェジュリーがオリヴィエに会うカフェジュリーがオリヴィエの車を追う通りルシールが働くストリップ劇場サンドリーヌが働く裁判所 「トリコロール/青の愛」(楽天市場)【関連作品】トリコロール三部作のDVD(楽天市場)「トリコロール/青の愛」(1993年) 「トリコロール/白の愛」(1994年)「トリコロール/赤の愛」(1994年)クシシュトフ・キェシロフスキ監督作品のDVD(楽天市場) 「傷跡」(1976年) 「終わりなし」 (1985年)「殺人に関する短いフィルム」(1988年) 「愛に関する短いフィルム」(1988年) 「デカローグ」 (1989-1990年) 「ふたりのベロニカ」(1991年)ジュリエット・ビノシュ出演作品のDVD(楽天市場) 「イングリッシュ・ペイシェント」(1996年) 「サン・ピエールの生命」(2000年) 「隠された記憶」(2005年) 「ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン」(2007年) 「夏時間の庭」(2008年) 「トスカーナの贋作」(2010年) 「カミーユ・クローデル ある天才彫刻家の悲劇」(2013年) ・・・北米版、リージョン1、日本語なし 「アクトレス〜女たちの舞台〜」(2014年)
2016年12月26日
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社員に違法な長時間労働をさせていたとして労働基準監督署から是正勧告を受けたことについて、エイベックス社長の社長が「今の働き方を無視する様な取り締まりを行っていると言わざるを得ない」「法律が現状と全く合っていないのではないか」と批判しています。労基署勧告にエイベックス社長が疑問「今の働き方を無視する様」(Yahoo!ニュース)労働基準法是正勧告とは(松浦勝人オフィシャルブログ「仕事は仕事で 遊びは遊び」)「好きで仕事をやっている人に対しての労働時間だけの抑制は絶対に望まない」「僕らの業界はそういう人の「夢中」から世の中を感動させるものが生まれる」と彼は言いますが、経営者としてちょっと甘えているような気がしないでもありません。労基署から勧告を受けたと言うとは、少なくても彼とは同じに考えていない社員がいるということで、彼の理想する会社が実現できていないといういうことです。法律も完全ではないかもしれませんが、彼の理想も夢物語です。法律に文句をつける前に、法律のお手本となるようなすばらしい組織を作ればいいのです。難しければ、社員など雇わず、個人事業主と契約ベースで仕事をするのが良いかもしれません。 「職場の問題地図 ~「で、どこから変える?」残業だらけ・休めない働き方」(楽天市場)
2016年12月25日
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「或る終焉」(原題:Chronic)は、2015年公開のメキシコ・フランス合作のドラマ映画です。ミシェル・フランコ監督・脚本、ティム・ロスら出演で、終末期の患者をケアする看護師の葛藤をサスペンスフルに描いています。第68回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した作品です。 「或る終焉」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:ミシェル・フランコ脚本:ミシェル・フランコ出演:ティム・ロス(デイヴィッド、主人公、終末医療の看護師) サラ・サザーランド(ナディア、デイヴィッドの娘、医学生) ロビン・バートレット(マーサ、デイヴィッドの患者) マイケル・クリストファー(ジョン、デイヴィッドの患者) デビッド・ダストマルチャン(バーナード、ジョンの息子) レイチェル・ピッカップ(サラ、デイヴィッドの患者) ビッツィー・トルッチ(リディア、ジョンの娘) ほか【あらすじ】デヴィッド(ティム・ロス)は、死期が迫った終末期患者の看護師として働いています。 別れた妻と娘とは、息子ダンの死をきっかけに疎遠となり、一人で暮らしています。彼の生活は患者の在宅看護とエクササイズのみで、患者との親密な関係が彼の生きがいであり、健常な人には興味がありません。 そんなある日、デヴィッドは末期がんで苦しむマーサ(ロビン・バートレット)に安楽死を幇助して欲しいと頼まれます。患者への深い思いと、自身が抱える亡き息子と関わる暗い過去の狭間でデイヴィッドは苦悩します・・・。【レビュー・解説】常に患者の死と向き合う終末医療の看護師の気持ちに注目し、サスペンスフルなドラマに仕上げた脚本と、個性的な悪役を演じることが多いティム・ロスのイメージががらりと変わる作品です。終末医療の看護師の仕事が注目されることはあまりありませんが、2010年に祖母が脳卒中で寝たきりになり、半年後に彼女が亡くなるまで終末医療の看護師の仕事を目の当たりにしたミシェル・フランコ監督は、その仕事に強い興味を覚えました。「祖母にとっては看護師と会話するほうが楽だったのがつらかった。看護師は祖母が話さなくても理解できるんだ。経験だけではない、心が通っていたんだ。彼女はプロだ。患者の家族の様に、警戒したり、傷ついたりはしない。家族は患者から遠ざけられた気がするんだよ。でもそれは、看護師や患者のせいではなく、患者が置かれている状況のせいなんだ。」「祖母の家にいる時に、清拭するので部屋の外に出てくださいと、看護師に言われたんだ。不思議な状況だと、父に言ったよ。見知らぬ彼女に外に出るように言われて、彼女が祖母の世話をしているんだ。彼女を信じる以外にない。思わず父に言ったよ、一体、どんな人がこの仕事をしてるんだ?ってね。」「終末期の患者の世話をする彼女は、常に彼らの死に取り囲まれているんだ。彼女は常にその重荷を背負い、常に抑圧されている。彼女はその仕事を20年も続けていた。何故、別の仕事をしないかと聞くと、これが自分の人生だと言うんだ。彼女の家族も仕事を変えるべきだと言うが、考えたことはないと言うんだ。」「すばらしい仕事だと思う。看護師は、天使の様に描かれるか、恐ろしい人々の様に描かれるかのどちらかだけど、僕はその中間で描いてみたいと思ったんだ。」(ミシェル・フランコ監督)Chronic director Michel Franco: ‘How can we understand life without thinking about dying?’(The Gurdian)フランコ監督がアイディアを写真や衣装にしている時に、ティム・ロスから出演したいという申し出があり、当初、メキシコ人女性だった看護師が男性に書き換わりました。舞台もメキシコから英語圏、特に明確にしていませんが、訴訟を起こされることから、アメリカが想定されています。当初からティム・ロスを想定して書かれた脚本ではないため、ティム・ロスがこれまでとはイメージの異なる役に入り込む形になっています。物語には、看護師が清拭の為に患者の家族に部屋の外に出るように言う家族が訝るほど、親密な看護師と患者の関係看護師が葬式に亡くなった患者の葬式に出席するなど、フランコ監督自身が経験したことが反映されています。その一方で、愛する息子を失った看護師の内面の反映として、冒頭、とある女性の後を密かに追う亡くなった患者を、二十年来、連れ添った妻の様に思う建築家の患者を担当すると、建築関連書籍を買い集め、患者の建築物を見に行くといった行動も併せて描いており、一方的に美化するのではなく、一人の人間として看護師を掘り下げています。ティム・ロスは、本作の為に、数ヶ月間に渡って何人もの患者とその看護師ととも働きました。大きな痛みを訴える患者にどう話しかけるか、動けない患者をどう洗い清めるか、彼が学んだ静かでゆったりとした作法が映画の中で披露されています。これまでのイメージを覆すティム・ロスのパフォーマンスとは別に、二人の女優にきらりと光るものを感じました。一人は主人公が最初に看護する女性、サラを演じる、レイチェル・ピッカップです。一挙一投足や視線、言葉遣いがリアルで、本当に介護を必要としている女性が出演しているのか思うほどです。レイチェルは、アメリカとイギリスの舞台、テレビ、映画で活躍する女優で、俳優ロナルド・ピッカップの娘です。特にシェイクスピア劇のヒロインを得意とし、シェイクスピア・グローブ座の「ヴェニスの商人」でジョナサン・プライスの相手役も務めています。ティム・ロスが彼女を抱え起こすシーンが映画のポスターやDVDのカバーフォトにもなっていますが、やはり本物の役者が演じると違います。「或る終焉」のポスター もう一人は、サラ・サザーランド、テレビドラマ・シリーズ「24 -TWENTY FOUR」で一躍有名になったキーファー・サザーランドの娘です。かつて「24 -TWENTY FOUR」のADとして働くも、父親譲りの(?)の態度の悪さでクビにされたといういわくつきの娘ですが、本作では主人公の可愛らしい医学生の娘を演じきっています。ドナルド・サザーランド(俳優) シャーリー・ダグラス(女優) I I I キーファー・サザーランド(俳優) キャミリア・キャス(女優) I I I サラ・サザーランド(女優)なるべくして女優になったかの観もありますが、役のなりきり方も申し分なく、今後の活躍が楽しみな女優です。なお、原題の「Chronic」は慢性的なという意味で、愛する息子を失って以来、終末医療の看護師の彼に長期に渡って蓄積しているストレスを暗示していると思われます。ティム・ロス(デイヴィッド、主人公、終末医療の看護師)愛する息子を亡くし、妻と離婚、患者の世話とエクササイズだけの生活に明け暮れている。サラ・サザーランド(右、ナディア、デイヴィッドの娘、医学生)別れた妻との間の娘。別居しており、ほとんど行き来がない。レイチェル・ピッカップ(右、サラ、デイヴィッドの患者)最初に登場するデイヴィッドの患者。マイケル・クリストファー(右、ジョン、デイヴィッドの患者)二番目に登場するデイヴィッドの患者。デビッド・ダストマルチャン(左、バーナード、ジョンの息子)デイヴィッドとジョンの親密な関係に不信感を抱くようになる。ビッツィー・トルッチ(右、リディア、ジョンの娘)デイヴィッドとジョンの親密な関係に不信感を抱くようになる。ロビン・バートレット(マーサ、デイヴィッドの患者)三番目に登場するデイヴィッドの患者。デイヴィッドに安楽死の幇助を依頼する。」【撮影地(グーグルマップ)】看護師の娘が通う大学エンディングが撮影された通り 「或る終焉」のDVD(楽天市場)【関連作品】ミシェル・フランコ監督作品のDVD(楽天市場) 「父の秘密」(2012年)ティム・ロス出演作品のDVD(楽天市場) 「レザボア・ドッグス」(1992年) 「パルプ・フィクション」(1994年) 「世界中がアイ・ラヴ・ユー」(1996年) 「キング・オブ・マンハッタン 危険な賭け」(2012年) 「グローリー/明日への行進」(2014年) 「ヘイトフル・エイト」(2015年)
2016年12月24日
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「コックと泥棒、その妻と愛人」(原題:The Cook, the Thief, His Wife & Her Lover)は、1989年公開のイギリス・フランス合作のドラマ映画です。ピーター・グリーナウェイ監督・脚本、リシャール・ボーランジェ、マイケル・ガンボン、 ヘレン・ミレンら出演で、ある高級フレンチ・レストランを舞台に、その店のオーナーで常連である泥棒とその妻、妻の愛人である学者の、4人の男女の10日間の出来事をアイロニカルに描いています。衣装はジャン=ポール・ゴルチエが、料理はイタリア人シェフのジョルジオ・ロカテッリが手がけ、部屋やシーンが変わるたびに赤、青、黄、緑とセットや衣装の色が丸ごと変わっていくなどの趣向が凝らされています。 「コックと泥棒、その妻と愛人」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:ピーター・グリーナウェイ脚本:ピーター・グリーナウェイ出演:リシャール・ボーランジェ(リチャード、シェフ ) マイケル・ガンボン(アルバート・スピカ、泥棒団の頭目) ヘレン・ミレン(ジョジーナ・スピカ、アルバートの妻) ティム・ロス(ミッチェル、アルバートの手下) アラン・ハワード(マイケル、レストランの客、本屋、学者) キーラン・ハインズ(コリー、アルバートの仲間) ほか【あらすじ】泥棒でオーナーのアルバート(マイケル・ガンボン)とその妻ジョージーナ(ヘレン・ミレン)の一行は、毎夜、フランス料理店「ル・オランデーズ」を訪れます。フランス人コック長リチャード(リシャール・ボーランジェ)は、グルメを気取るものの味が分からず、身勝手で粗暴なアルバートを嫌いますが、美しい料理が最大の興味の彼は、アルバートを恐れ、追い出すことはありません。アルバートの妻ジョジーナは夫から虐待されており、彼女も夫を恐れています。そんなある日ジョージーナは、常連客の本屋で学者のマイケル(アラン・ハワード)と知り合います。お互い魅かれあったふたりはレストランの化粧室で抱きあい、やがて関係は深まっていきます。フランス人コック長リチャードは、そんなふたりに厨房を情事の場所として提供します。やがて彼らの関係はアルバートの知るところとなり、ジョージーナとマイケルは、アルバートを逃れてマイケルの書庫で愛し合いますが、アルバートに居場所を突き止められてしまいます・・・。【レビュー・解説】サッチャリズムへの非難から始まったというこの映画は、弱肉強食的世界観への痛烈なアイロニーや、消費文明に対する風刺が見られる一方、有名デザイナーやシェフによる豪華な衣装と料理、色彩感溢れる食堂や厨房など壮大な舞台セット、粗野で強欲なキャラクターや全裸での演技も厭わぬ俳優たちの熱演、芸術性の高い演出が際立つ、大胆でパワフルな作品です。1975年にイギリスの首相となったマーガレット・サッチャーは、従来の労働党による「ゆりかごから墓場まで」と言われた社会福祉の厚い社会民主主義路線から、新自由主義的な市場原理主義路線に大きく舵を取り、様々な施策が打たれます。そのひとつに1986年に提案されたコミュニーティ・チャージ(人頭税)があり、1988年に法制化、1989年に施行されます。コミュニーティ・タックス(人頭税)とは、「民主主義国家は国民1人1人が支えるものだから、全員同じだけ税金を負担すべき」という考え方で、住んでる家族の頭数分だけ税金を課すものです。これは、大邸宅に住む一人暮らしより、狭いアパートに住む子だくさん家族の方が何倍も高い税金を支払うことになるもので、とんでもない不公平感を生み出しました。税負担能力がない人間にも負担を求めることになり、大規模な不払い運動や暴動まで発生しました。本作は、そんな流れの中で制作、公開されたものです。本作はサッチャリズム信奉者への非難から始まった、彼の唯一の政治的な映画かもしれないとピーター・グリーナウェイ監督は語っており、批評家の間には登場人物に関して次のような解釈も見られます。シェフのリチャード:例え間違ったことでも、指示されればその通り実行する公務員、或いは忠実な市民。泥棒のアルバート:サッチャリズム信奉者の傲慢さ、無神経さ、貪欲さ。妻のジョージーナ:サッチャー支持者によって虐げられるイギリスの象徴。愛人のマイケル: 理屈ばかり言い、行動を起こして変化を起こそうとしない知識人による役立たずの野党。しかしながら、こうした解釈は必ずしも決定的なものではありません。また、イギリスと歴史背景は異なっても、市場原理、競争原理に突き動かされる現代社会は弱肉強食そのものであり、本作の強烈なエンディングはそんな現代社会への強烈なアイロニーであり、普遍的なものです。資本主義 vs 社会主義という議論は、旧ソ連の崩壊、冷戦構造の終焉とともに下火になり、経済的効率性という意味では資本主義の勝利が誰の目にも明らかになりましたが、資本主義的なことがすべて正しいかと言うと必ずしもそうではありません。我々が陥りやすいそうした誤謬に、本作は強力な楔を打っていると言えます。こうした政治的な意味合いは別にしても、ジャン=ポール・ゴルチエによる衣装、ジョルジオ・ロカテッリによる料理駐車場、レストラン、厨房、化粧室をぶちぬく壮大なセットとこれらをまたぐ長回し豪華で色彩感溢れる食堂や厨房など、部屋ごとにテーマカラーを変える色の饗宴粗野で強欲なアルバートを演じるマイケル・ガンボンのパフォーマンス全裸も厭わぬヘレン・ミレンとアラン・ハワードの熱演象徴的で芸術性の高い演出と、本作は見どころ満載で、様々な楽しみ方ができる映画です。マイケル・ガンボン(右、アルバート・スピカ、泥棒団の頭目)とヘレン・ミレン(左、ジョジーナ・スピカ、アルバートの妻)マイケル・ガンボンは、アイルランドのダブリン出身の俳優。王立演劇学校を卒業後、ロンドンのナショナル・シアターに所属し舞台で数々の賞を受賞。映画デビューはローレンス・オリヴィエの「オセロ」(1965年)。「ハリー・ポッター」シリーズでは、リチャード・ハリス亡き後にダンブルドア校長役を務めた。2015年、記憶力低下の為、舞台から引退、テレビ、映画には引き続き出演する。1998年、大英帝国勲章を受勲、「サー」付で名前を表記されることがある。ヘレン・ミレンは、ロンドン生まれのイギリスの女優。父親はロシア革命で亡命したロシア帝国貴族、母親はイギリス人。ナショナル・ユース・シアター、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーで舞台女優としてキャリアを始め、その後、映画・テレビなどで活躍、「第一容疑者」(1991-2007年)でエミー賞を3回受賞、「キャル」(1984年)と「英国万歳!」(1994年)でカンヌ国際映画祭女優賞を受賞、「英国万歳!」と「ゴスフォード・パーク」(2001年)でアカデミー助演女優賞にノミネート、「クィーン」(2006年)で第79回アカデミー主演女優賞を受賞、2015年には舞台「The Audience」でトニー賞演劇主演女優賞を受賞。2003年、大英帝国勲章を受勲、「デイム」付で名前を表記されることがある。リシャール・ボーランジェ(リチャード、シェフ )フランス出身の俳優。個性的な監督の作品に出演することが多い。「L'Addition」(1984年)、「 フランスの思い出」(1987年)で、それぞれでセザール賞助演男優賞、主演男優賞を受賞している。アラン・ハワード(マイケル、レストランの客、本屋、学者)イギリスの俳優。主に舞台で活躍した。ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーのメンバーで、後にロイヤル・ナショナル・シアターで多くの舞台の主演を務めた。2015年、ロンドンで肺炎の為、77歳で逝去。ティム・ロス(ミッチェル、アルバートの手下)イギリスの俳優・映画監督。1983年に映画デビュー、長年売れない俳優であったが、クエンティン・タランティーノ監督のデビュー作である「レザボア・ドッグス」(1992年)で準主役を、「パルプ・フィクション」(1984年)でカップル強盗の役を演じ、注目される。「ロブ・ロイ/ロマンに生きた男」(1995年)でアカデミー助演男優賞にノミネートされている。 「コックと泥棒、その妻と愛人」のDVD(楽天市場)【関連作品】ピーター・グリーナウェイ監督作品のDVD(楽天市場) 「THE FALLS」(1980年)「英国式庭園殺人事件」(1982年) 「建築家の腹」(1987年)・・・北米版、リージョン1、日本語なし 「数に溺れて」(1988年) 「コックと泥棒、その妻と愛人」(1989年) 「レンブラントの告発 ~名画「夜警」に隠された31の秘密~」(2008年) ・・・北米版、リージョン1、日本語なしマイケル・ガンボンxヘレン・ミレン共演作品のDVD(楽天市場) 「ゴスフォード・パーク」(2001年)マイケル・ガンボン出演作品のDVD(楽天市場) 「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」(2004年) 「レイヤー・ケーキ」(2004年) 「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」(2005年) 「ハリーポッターと謎のプリンス」(2009年) 「英国王のスピーチ」(2010年) 「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」(2011年)ヘレン・ミレン出演作品のDVD(楽天市場) 「熱く長い週末」(1980年) 「エクスカリバー」(1981年) 「キャル」(1984年) 「英国万歳!」(1994年) 「クィーン」(2006年) 「消されたヘッドライン」(2009年)
2016年12月23日
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「ファインディング・ドリー」(原題:Finding Dory)は、2016年公開のアメリカのアニメーション映画です。カクレクマノミのニモと愉快な仲間たちによる冒険を描いた「ファインディング・ニモ」(2003年)の続編として、アンドリュー・スタントン/アンガス・マクレーン共同監督、アンドリュー・スタントン脚本で、前作から1年後の世界を舞台に、なんでもすぐに忘れてしまうドリーが唯一忘れなかった大事な家族を捜す為、様々なキャラクターとともに繰り広げる冒険の旅を描いています。ニモとマーリンの親子やカメのクラッシュなど「ファインディング・ニモ」でおなじみのキャラクターも登場します。 「ファインディング・ドリー」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:アンドリュー・スタントン/アンガス・マクレーン脚本:アンドリュー・スタントン制作:リンジー・コリンズ/ジョン・ラセター(総指揮)出演:ドリー ナンヨウハギの雌。主人公。記憶障害を持つが、知能が高く、人間やクジラの言葉も理解できる。はぐれた両親と再会する為に旅に出る。マーリン カクレクマノミの雄。前作の冒険以降、無茶なことは極力避けるようになり、当初はドリーの両親を探す旅にも消極的だった。ニモマーリンの息子。ドリーの一番の理解者で、彼女が何か忘れてもすぐにフォローする。ドリーの両親を探す旅に協力する。ハンク ミズダコの雄。脚が7本しかない。環境に合わせて体の色を変える能力を持つ。研究所に保護されたドリーと出会い、タグと引き換えに両親の捜索を手伝う。デスティニージンベエザメの雌。水族館の水槽に住む。視力が弱く、よく水槽の壁にぶつかる。ドリーにに、「私のこと覚えてる?」と声をかける。ベイリー シロイルカの雄。デスティニーの隣の水槽に住む。頭をぶつけた影響でエコロケーション(音の反響で周囲の状況を知ること)が出来なくなったと思い込む。チャーリーとジェニー ナンヨウハギの夫婦。ドリーの両親。愛する一人娘とはぐれてしまい、ドリーの帰りを待ち、道標の貝殻を並べ続ける。フルークとラダー 岩の上で昼寝をするのが大好きなアシカのコンビ。大きくて黒い方がフルークで小さくて茶色い方がラダー。ジェラルドが岩の上に乗ろうとする度に追い払う。ジェラルド 太い繋がり眉毛が特徴のアシカ。よくフルーク&ラダーが昼寝している岩の上に乗ろうとしては追い払われる。ベッキーフルーク&ラダーの相棒のアビ。普段から何も考えておらずで、肝心なところでなかなか役に立たない。【あらすじ】子供の頃に両親とはぐれたことを思い出したドリーは、改めて両親を探すことを決心、唯一覚えていた「カリフォルニア・モロベイの宝石」という言葉を手掛かりに、ニモ、マーリンと共に両親を探す旅に出ます。3匹はモロベイに着きますが、ドリーが人間に捕まり、海洋生物研究所の隔離棟に連れて行かれます。隔離棟にいたミズダコのハンクよると、研究所の生き物は適切な処置を受けて自然へ還されるが、クリーヴランドの水族館に送られるものにはタグが付けられるといいます。自然界にいい思い出がないハンクは水族館での隠居を望み、ドリーのタグと引き換えに家族の元へ連れて行くことになります。途中、ジンベエザメのデスティニーとシロイルカのベイリーが、ドリーの家はオープン・オーシャンという展示水槽にあると教えます。「カリフォルニアモロ・ベイの宝石」は、ドリーが育った海洋生物研究所がある場所でした。ドリーはハンクにタグを渡してオープン・オーシャンに入り、ハンクは隔離棟へ戻ります。水底に並べられた貝殻を見たドリーは、それが家への道しるべとして両親が置いてくれたものであることを思い出し、実家にたどり着きますが、しかしそこはもぬけの殻でした。ナンヨウハギは全て隔離棟に移されたと聞いたドリーは、パイプを通って再び隔離棟へ向かいます。ドリーはパイプの中でニモ、マーリンと再会、ハンクの助けを借りて隔離棟のナンヨウハギの水槽に入ります。ドリーの両親はかつてドリーを追って隔離棟へ行き戻らなかったことを知り、ドリーは動揺します。ハンクが3匹を水槽から出そうとした時に職員に見つかり、ドリーは海につながるパイプへ転落、水槽に残されたニモとマーリンはクリーヴランド行きのトラックに載せられてます・・・。【レビュー・解説】名作「ファインディング・ニモ」に続く「ファインディング・ドリー」は、水中の風景が美しく、ユーモラスで感動的、それでいてちょっと考えさせられる、前作に匹敵する傑作です。最近のディズニー・アニメのヒット作、「ズートピア」では種族間の差別がひとつのテーマとなっていましたが、本作では障害やキャラクターが抱える様々な問題がひとつのテーマとなっています。もっとも明確に描かれているのがドリーの記憶障害ですが、ドリー自身のみならず、ドリーの将来を心配するドリーに必要なスキルを教えるあるがままのドリーに愛情と喜びを示すなど、障害を持つ子の両親の言動まで丁寧に描いています。その他のキャラクーも、問題を抱えています。ミズダコのハンクは自然界にいい思い出がなく水族館で隠居したいと考えていますジンベエザメのデスティニーは、視力が弱く、壁にぶつかってばかりいますシロイルカのベイリーは、頭をぶつけたために、イルカの特技であるエコロケーション(音の反響で周囲の状況を知ること)ができなくなったと思い込んでいます仲間はずれにされているアシカのジェラルドは、暖かい岩の上に登ろうとする度に、同じアシカのフルークとラダーに追い払われてしまいます何も考えないアビのベッキーは、なかなか、人の役に立てませんなかなかよく出来たアニメですが、ともすればミズダコのハンクが目立ってしまうのは計算ずくでしょう。エンド・クレジットで数々の擬態の業を独演するという破格の取扱です。これは考えようで、あまりにドリーにフォーカスすると話が教訓じみてしまいますが、ハンクが活躍することにより、可笑しさが倍増、より楽しい娯楽作品になっていることは間違いありませんが、ハンクが主人公になってしまわないよう、ドリーとのバランスが微妙に調整されています。幼いころのドリードリーの両親(チャーリー&ジェニー)ドリー(上)、ニモ(下)、マーリン(右)ミズダコのハンクジンベエザメのデスティニーシロイルカのベイリーアシカのフルークとラダーアシカのジェラルドアビのベッキー ファインディングドリー フィギュア 9個入り(楽天市場)【撮影地(グーグルマップ)】制作の参考にしたカリフォルニアのモントレーベイ水族館モロベイに小さな水族館があるが、制作に当たっては同じカリフォルニアのモントレーベイ水族館を参考にしている。 「ファインディング・ドリー」のDVD(楽天市場)【関連作品】ジョン・ラセターが監督・プロデュースした主な作品のDVD(Amazon) 「トイ・ストーリー」(1995年) 「バグズ・ライフ」(1998年)「トイ・ストーリー2」(1999年)「モンスターズ・インク」(2001年) 「ファインディング・ニモ」(2003年) 「Mr.インクレディブル」(2004年) 「レミーのおいしいレストラン」(2007年) 「WALL・E/ウォーリー」(2008年) 「カールじいさんの空飛ぶ家」(2009年) 「プリンセスと魔法のキス」(2009年) 「トイ・ストーリー3」(2010年) 「塔の上のラプンツェル」(2010年) 「くまのプーさん」(2011年) 「シュガー・ラッシュ」(2012年)「アナと雪の女王」(2013年)「ベイマックス」(2014年)「ズートピア」(2016年)「ファインディング・ドーリー」(2016年)
2016年12月21日
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「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」(原題:Sweeney Todd: The Demon Barber of Fleet Street)は、2007年公開のイギリス・アメリカのミュージカル映画です。スティーヴン・ソンドハイム/ヒュー・ウィーラーが手掛けたブロードウェイの傑作ミュージカル「スウィーニー・トッド」の映画化作品で、ティム・バートン監督、 ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーターら出演で、実在したとも言われる怪奇小説の連続殺人犯、理髪師スウィーニー・トッドの復讐劇をスリリングに、時にコミカルに描いています。 「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:ティム・バートン脚本:ジョン・ローガン原作:スティーヴン・ソンドハイム/ヒュー・ウィーラー出演:ジョニー・デップ(スウィーニー・トッド/ベンジャミン・バーカー) ヘレナ・ボナム=カーター(ミセス・ラベット) アラン・リックマン(ターピン判事) ティモシー・スポール(役人バムフォード) サシャ・バロン・コーエン(アドルフォ・ピレリ/デイビー・コリンズ) エドワード・サンダース(トビー) ジェイミー・キャンベル・バウアー(アンソニー・ホープ) ローラ・ミシェル・ケリー(ルーシー・バーカー/物乞いの女) ジェイン・ワイズナー(ジョアンナ・バーカー) ほか【あらすじ】19世紀のロンドン。フリート街にベンジャミン・バーカー(ジョニー・デップ)が帰って来ます。かつて街の理髪師として妻と娘に囲まれ幸福な日々を過ごしていた彼は、妻に横恋慕した悪徳判事ターピン(アラン・リックマン)の陰謀によって無実の罪を着せられ流刑となります。命からがら脱獄し、アンソニーという船乗りに助けられた彼は、風貌を変えて「スウィーニー・トッド」と名乗り、15年ぶりに舞い戻ったのです。彼はかつて家族と共に暮らしていた家の大家で、通称「ロンドン一不味いパイ屋」の女主人ミセス・ラベット(ヘレナ・ボトム=カーター)と再会しますが、彼を待っていた事実は残酷でした。愛する妻は毒をあおり、娘はターピンの養女となって幽閉されているという、残された家族がたどった悲惨な運命を聞かされて怒り狂ったトッドは、ターピンへの復讐のために生きることを誓います。ミセス・ラベットと手を組んだトッドは、再びパイ屋の2階に理髪店を開業します・・・。【レビュー・解説】カミソリによる殺人、流血のシーン、焼殺シーン、加えて食人に関する描写があるなど、下手をすればえげつない大衆向けの都市伝説ホラー劇になりかねませんが、ティム・バートン監督のアーティスティックな演出と、ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーターらの卓越したパフォーマンスが、妻子を奪われた男の行き場を失った激しい憎悪の情念をドラマティックで芸術性の高いミュージカルに昇華させています。スウィーニー・トッドは、大衆向け恐怖小説「The String of Pearls」を初めとする19世紀中頃のイギリスの様々な怪奇小説に登場する架空の連続殺人者で、ロンドンのフリート街に理髪店を構える理髪師です。トッドの理髪店の椅子には仕掛けがしてあり、剃刀で裕福な人物の喉を掻っ切ては地下に落として殺害、身に着けていた金品を奪い取ります。物語のバージョンによっては、パイ屋の女主人が死体を解体してトッドの犯罪を隠匿し、その肉をミートパイに混ぜて焼き上げ、何も知らない客に売りさばきます。この話はヴィクトリア時代のメロドラマやロンドンの都市伝説の定番となり、語り継がれ、トニー賞を受賞したスティーヴン・ソンドハイム/ヒュー・ウィーラーのブロードウェイ・ミュージカルによって最も知られています。出所が明確な都市伝説ですが、トッドのモデルが実在したという説もあり、歴史研究家の間で議論されています。元々は冷酷な殺人鬼として描かれたスウィーニー・トッドですが、本作では人間的な側面から描かれています。「モンスターが出てくる映画のほとんどはホラー映画じゃないんだ。彼らは除け者なんだ。私は「フランケンシュタイン」や「キングコング」や「大アマゾンの半魚人」を悪者として見たことがない。彼らは悪者なんかじゃない。本当に悪いのは常に人間なんだ。着包みの彼らがB級映画で殺されるのを見る度に泣きそうになったよ。」(ティム・バートン監督) 「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」のポスター(楽天市場)ジョニー・デップは、テレビドラマシリーズ「21 ジャンプ・ストリート」(1987〜1990年)でアイドル俳優として有名になりました。メイクの濃いティム・バートン作品は、本人が嫌っていたアイドル俳優のイメージを払拭し、デップが「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」(2003年)、「ネバーランド」(2004年)でアカデミー主演男優賞にノミネートされるほどに成長するのに、大きな役割を果たしました。また、「鳩の翼」(1997年)でアカデミー主演女優賞に、「英国王のスピーチ」(2010年)でアカデミー助演女優賞にそれぞれノミネートされているヘレナ・ボナム=カーターは、確実に作品のクォリティを上げています。彼女は私生活でもバートン監督の良きパートナーであり、二人の間に一男一女をもうけていますが、残念ながら2014年に関係を解消しています。また、この二人のメインキャストだけではなく、アラン・リックマン、ティモシー・スポール、サシャ・バロン・コーエンと言った強力な助演陣も本作の魅力となっています。公開年作品名ジョニー・デップヘレナ・ボナム=カーター1990シザーハンズ◯1994エド・ウッド◯1999スリーピー・ホロウ◯2000PLANET OF THE APES 猿の惑星◯2003ビッグ・フィッシュ◯2005チャーリーとチョコレート工場◯◯2005ティム・バートンのコープス・ブライド◯(声の出演)◯(声の出演)2007スウィニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師◯◯2010アリス・イン・ワンダーランド◯◯2012ダーク・シャドウ◯◯二人のメインキャストだけではなく、アラン・リックマン、ティモシー・スポール、サシャ・バロン・コーエンと言った強力な助演陣も本作の魅力です。ジョニー・デップ(スウィーニー・トッド/ベンジャミン・バーカー)ヘレナ・ボナム=カーター(ミセス・ラベット)アラン・リックマン(ターピン判事)ティモシー・スポール(役人バムフォード)サシャ・バロン・コーエン(アドルフォ・ピレリ/デイビー・コリンズ)自ら手がけた舞台作品を守る傾向が強いことで有名な作曲者のスティーヴン・ソンドハイムは、作品の映画化に長く抵抗していましたが、ティム・バートン監督が興味を示した際に、監督の作品へのヴィジョンが気に入り、キャスティングの承認権を条件に態度を軟化しました。ジョニー・デップ以外の主役を考えていなかったバートン監督に対して、ソンドハイムはデップのヴォーカルは「ロック志向」ではないかと恐れましたが(デップはバンドで音楽活動をしている)、オーディションを経てソンドハイムはデップを承認しました。ボナム=カーターは、バートン監督の内輪びいきではないかという噂を払拭するかのように、1ダース以上のオーッディション・テープをソンドハイムに送り、彼女の歌に感銘を受けたソンドハイムは即座に承認を出したと言います。出演者の内、ミュージカルの経験がある者はごく一部でしたが、本作が見事にまとまっているのは、バートン監督の求心力と力量によるものでしょう。ソンドハイムは、本作が映画化を許した唯一の作品だったと後に語っています。【サウンドトラック】 ・・・リンク先で試聴できます。 「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」のサウンドトラックCDS(楽天市場) 1.オープニング・タイトル 2.ロンドンのような街はない 3.ロンドンで最悪のパイ 4.プアー・シング 5.友だち 6.緑の鳥 7.ジョアンナ 8.ピレリの万能薬 9.コンテスト 10.ウェイト 11.美しい女たち 12.救世主 13.リトル・プリースト 14.ジョアンナ 15.ゴッド、ザッツ・グッド! 16.海辺にて 17.僕がついている限り【撮影地(グーグルマップ)】撮影は、イギリスのパインウッド・スタジオで行われています。スウィーニー・トッドの理髪店があったと言われるフリート街186番地 「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」(楽天市場)【関連作品】ティム・バートン監督xジョニー・デップxヘレナ・ボナム=カーターのコラボ作品(楽天市場) 「チャーリーとチョコレート工場」(2005年) 「ティム・バートンのコープス・ブライド」(2005年) 「スウィニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」(2007年) 「アリス・イン・ワンダーランド」(2010年) 「ダーク・シャドウ」(2012年)ティム・バートン監督の著作(楽天市場) 「オイスター・ボーイの憂鬱な死」(1997年) 「ティム・バートンの世界」(2009年) 「ナプキンアート・オブ・ティム・バートン」(2015年)
2016年12月20日
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「ブルックリン」(英題: Brooklyn)は、2015年公開のアイルランド・イギリス・カナダ合作のドラマ映画です。コスタ賞を受賞したコルム・トビーンの同名小説を原作に、ジョン・クローリー監督、ニック・ホーンビィ脚本、シアーシャ・ローナンら出演で、1950年代初頭に、姉の勧めでアメリカのニューヨークのブルックリンに移民した若いアイルランド人女性が、現地と郷里アイルランド、そして二人の男性の間で心揺れる姿を描いています。アカデミー賞では作品賞、主演女優賞(ローナン)、脚色賞の3部門にノミネートされた作品です。 「ブルックリン」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:ジョン・クローリー脚本:ニック・ホーンビィ原作:コルム・トビーン「ブルックリン」制作:フィノラ・ドワイヤー/アマンダ・ポージー出演:シアーシャ・ローナン(エイリシュ・レイシー) エモリー・コーエン(アンソニー「トニー」フィオレロ) ドーナル・グリーソン(ジム・ファレル) ジム・ブロードベント(フラッド神父) ジュリー・ウォルターズ(ミス・キーオ) ブリッド・ブレナン(ミス・ケリー) フィオナ・グラスコット(ローズ・レイシー) ジェシカ・パレ(ミス・フォルティーニ) エイリーン・オイギンス(ナンシー) ほか【あらすじ】1950年代、アイルランドの小さな田舎町に住むエイリシュ(シアーシャ・ローナン)は、美人でキャリアウーマンの姉とは対照的に目立たない存在で、閉鎖的な町での雑貨店で燻っています。彼女の将来を案じた姉ローズ(フィオナ・グラスコット)の勧めでエイリシュはニューヨークへと移住することを決めます。胸を膨らませアメリカ行きの客船に乗ったエイリシュは、見ず知らずの乗客に励まされながら新天地での第一歩を踏み出しますが、ブルックリンの高級デパートでの仕事にはなかなか慣れず、下宿先の既に洗練された同郷の女性たちとは会話もままなりません。激しいホームシックに陥り、アイルランドから届く姉の手紙を読み返し涙に暮れるエイリシュを見かねた同郷の神父(ジム・ブロードベント)は、ブルックリン大学の会計士コースを受講するよう勧めます。学ぶ喜びを知り、少しずつ前向きになっていくエイリシュは、あるパーティーでイタリア系移民のトニー(エモリー・コーエン)と出会います。毎週大学に迎えに来る彼の誠実さに少しずつ心を開いたエイリシュは、最新の水着に身を包み、コニーアイランドでトニーと一時を過ごします。今や立派なニューヨーカーとなったエイリシュはトニーのプロポーズを受け、ふたりは結婚の契りを結びます。そんな矢先、エイリシュに故郷の町から最愛の姉の訃報が届き、急遽、アイルランドに帰郷した彼女は、昔馴染みでトニーとは正反対の青年ジムと再会します。故郷の人々や立派な紳士となったジムに優しく接されるうちに、最愛の姉を失ったエイリシュに、故郷やジムの包容力に身を委ねたい気持ちが育まれていきます・・・。【レビュー・解説】移民が極めて少ない日本と異なり、欧米の映画に移民を描いたものは少なくありません。アメリカは移民の国であり、移民は当たり前ですが、最近では特に移民が増えつつある欧州の方が問題意識が高いようです。こうした国々で作られる映画の多くは文化的な軋轢や移民の苦労を描いたものですが、アイルランド・イギリス・カナダ合作の本作の特徴は、時代背景を丁寧に描写しながら、文化の軋轢や移民の苦労の描写を微妙に押さえ、アメリカに移住した一人の若い女性がアメリカと故郷アイルランド、そしてそれぞれで出会った二人の男性の間で揺れる心にフォーカスしている点です。アメリカン・ドリームが文字通り夢物語であることが自明な昨今、単なるサクセス・ストーリーや問題提起ではなく、移民という二つの国にまたがるスケール感のある設定で、必ずしも裕福ではないひとりの若くて無垢な女性の成長を等身大に描いた点がユニークで、1950年代の時代考証のみならず、映像のカラーマネジメントや衣装も楽しめる作品です。シアーシャ・ローナンが見事に演じる女性の成長に、思わず10年後、20年後の主人公を見てみたいと感じさせる、爽やかな映画です。原作者のコルム・トビーンは、アイルランド出身の小説家、短編作家、随筆家、劇作家、ジャーナリスト、批評家、詩人で、コロンビア大学の教授も務める多才な人で、1950年代に遡って時代考証しながら、移民を題材に二つの国の間で揺れる女心を描くというダイナミックな設定は、彼の多才さの反映と言えます。本作の制作を推進したのがイギリスの女性プロデューサー、フィノラ・ドワイヤーとアマンダ・ポージー、脚本を執筆した同じくイギリスのニック・ホーンビィを加えた三人は、イギリス映画「17歳の肖像」(2009年)を成功させたメンバーで、若い女性の心情にフォーカスし、痛みを伴う経験を経て成長する姿を爽やかに描いている点が共通しています。姉の勧めで移民、密かに結婚するも、姉の死で一時帰郷、以前とは打って変わった故郷の暖かさに心が揺れる女性は、アメリカ的な心情で言えば「受け身でじれったい」のですが、アイルランド出身のジョン・クローリー監督はアメリカ的批判に臆することなく、そうした女性の心情をじっくりと描いています。そして、撮影時21歳のシアーシャ・ローナンの起用が、下手をするメロドラマになり兼ねないこの映画の成功を決定づけています。潜在的にしなやかな強さを持つ、無垢で天真爛漫な主人公の女性が、彼女のイメージにぴっとりと重なります。実は当初、彼女は若すぎるという理由で、ルーニー・マーラが主人公の第一選択でした。しかし、プロジェクトが一年ほど遅れるうちに、シアーシャ・ローナンがギリギリで行ける年齢になったという背景があります。まさに、彼女の旬を活かしたキャスティングとなりました。シーシャ・ローナンはわずか13歳でアカデミー賞主演女優賞にノミネート、本作でも主演女優賞にノミネートされるという素晴らしいキャリアの持ち主ですが、実はアイルランド人の彼女がアイルランド女性を演じるのは本作が初めてで、強いプレッシャーを感じたと言います(生まれはニューヨークですが、アイルランド育ちで国籍もアイルランド、「グランド・ブダペスト・ホテル」でアイルランド訛を話していますが、架空の国の住人という設定です)。映画の中に、WAITER:I hope that when I go through the pearly gates, the first sound I hear is you asking me for the bill in that lovely Irish brogue.店員:天国の門をくぐる時に、君の可愛いアイルランド訛で勘定を聞かれたいよ。というセリフが出てきますが、シアーシャは朴訥で可愛らしいアイルランド訛を披露しています。実は同じアイルランド訛でも、主人公の出身地、エニスコーシーはウェクスフォード訛りで、彼女が普段、地元で話すダブリン訛とは異なります。また、この映画でアイルランドが世界に注目されることは必至で、ローナン現象と言われるほどアイルランドで注目を浴びている彼女には、母国を描いた映画で決してドジを踏めないというプレッシャーがありました。このプレッシャーはサンダンス映画祭でプレミア上映され、スタンディング・オベーションを受けるまで続いたそうです。母国、アイルランドでも「マイケル・コリンズ」(1996年)以来の大ヒット作となり、後にダブリンのネイルサロンでゴールデン・グローブ賞ノミネートの報を受けた際は、嬉しさの余り、ネイルサロンにいた人全員にシャンペンを振舞ったと言います。彼女の地元に根ざした人柄を偲ばせるエピソードです。シアーシャ・ローナン(エイリシュ・レイシー)アイルランドの女優。「つぐない」(2007年)で、わずか13歳でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされる。その後も、「ラブリーボーン」(2009年)、「ウェイバック -脱出6500km-」(2010年)、「ハンナ」(2011年)、「グランド・ブダペスト・ホテル」(2014年)などのヒット作で着実に、キェリアを重ねており、本作で再び、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。エモリー・コーエン(アンソニー「トニー」フィオレロ)ニューヨーク出身のアメリカ人俳優。本作に出演している数少ないアメリカ人俳優の一人だが、主人公と結婚する素直で明るいイタリア系の配管工の青年を好演している。ドーナル・グリーソン(ジム・ファレル)アイルランドの俳優。トニーとは対照的なアイルランド青年を演じている。主人公に求愛し、主人公の心が揺れる。ジム・ブロードベント(フラッド神父)イギリスの俳優。「アイリス」(2001年)でアカデミー賞助演男優賞を受賞している。本作ではニューヨークで主人公を後見する牧師、主人公の良き理解者、支援者の役を演じている。短時間の出演で、まさに優しさの権化と感じさせる存在感が素晴らしい。この時代、見知らぬ土地へ行く移民にとって、牧師の存在は大きかったのかもしれない。ジュリー・ウォルターズ(ミス・キーオ)バーミンガム出身のイギリスの女優。「リタと大学教授」(1983年)でアカデミー主演女優賞、「リトル・ダンサー」(2000年)で同助演女優賞にノミネートされている。本作では厳しい下宿屋の女将をコミカルに演じている。ブリッド・ブレナン(ミス・ケリー)アイルランドの女優。舞台を主に、映画、テレビで活躍している。独りよがりな倫理でコミュニティを支配したがる嫌な老婆を見事に演じている。フィオナ・グラスコット(ローズ・レイシー)アイルランドの女優。妹思いの優しい姉を演じている。妹にアメリカ行きを進めるだけではなく、無垢で天真爛漫な妹の良き理解者として重要な存在である。エイリーン・オイギンス(ナンシー)イギリスの女優。主人公とは対照的に故郷で幸せを掴む、屈託のない友人を演じる。【撮影地(グーグルマップ)】アイルランドのシーンは実際にエニスコーシーで撮影されていますが、ブルックリンのシーンはコニーアイランドを除いてカナダのモントリオールで撮影されています。エイリシュがアイルランドで行くダンスホールエイリシュがブルックリンで暮らした下宿(内装)エイリシュがトニーと出かけたコニーアイランド帰郷した際にエイリシュが仲間とともに行く海岸 「ブルックリン」のDVD(楽天市場)【関連作品】「ブルックリン」の原作本(楽天市場) コルム・トビーン著「ブルックリン」ジョン・クローリー監督作品のDVD(楽天市場) 「BOY A」(2007年)ニック・ホーンビィ脚本作品のDVD(楽天市場) 「アバウト・ア・ボーイ」(2002年) 「17歳の肖像」(2009年) 「わたしに会うまでの1600キロ」シアーシャ・ローナン出演作品のDVD(楽天市場) 「つぐない」(2007年) 「ウェイバック -脱出6500km-」(2010年) 「グランド・ブダペスト・ホテル」(2014年)移民を描いた映画のDVD(楽天市場) 「シェフとギャルソン、リストランテの夜」(1996年) 「少女の髪どめ」(2001年) 「イン・ディス・ワールド」(2002年) 「堕天使のパスポート」(2002年) 「イン・アメリカ 三つの小さな願いごと」(2003年) 「約束の旅路」(2005年) 「クスクス粒の秘密」(2007年) 「この自由な世界で」(2007年) 「パリ20区、僕たちのクラス」(2008年) 「預言者」(2009年) 「最強のふたり」(2011年) 「ぼくたちのムッシュ・ラザール」(2011年) 「ル・アーヴルの靴みがき」(2011年) 「ある過去の行方」(2013年) 「エヴァの告白」(2013年) 「グッド・ライ~いちばん優しい嘘~」(2014年) 「アメリカン・ドリーマー 理想の代償」(2014年) 「ディーパンの闘い」(2015年)
2016年12月17日
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「NARC ナーク」は、2002年公開のアメリカのクライム・サスペンス映画です。ジョー・カーナハン監督、レイ・リオッタ、ジェイソン・パトリックら出演で、危険な潜入捜査に挑む麻薬捜査官のハードな世界を描いた R指定のドラマです。タイトルの「NARC」は、麻薬捜査官(Narcotics Officer)を表すスラングです。 「NARC ナーク」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:ジョー・カーナハン脚本:ジョー・カーナハン製作:レイ・リオッタ/ジュリアス・R・ナッソー/トム・クルーズ/ポーラ・ワグナー出演:ジェイソン・パトリック(ニック・テリス刑事) レイ・リオッタ(ヘンリー・オーク警部補) シャイ・マクブライド(チーヴァース警部) アラン・ヴァン・スプラング(マイケル・カルヴェス刑事) アン・オープンショー(キャスリン・カルヴェス) トニー・デ サンティス(ハーラン医師) ジョン・オーティス(オクタヴィオ・ルイズ) カーソン・ダーヴェン(レオ・リー) ビショップ(ユージーン「Deacon」シェップス) バスタ・ライムス(ダーネル 「Big D Love」 ビアリー) リチャード・シェヴァラウ(ラトロイ・スティーズ) ステーシー・ファーバー(キャスリン・タニー) ほか【あらすじ】デトロイトの麻薬捜査官ニック・テリス(ジェイソン・パトリック)は、任務中に市民を誤射してしまいます。悔恨の念から18か月休職しますが、2か月前に同僚のマイケル・カルヴェス刑事が殺害され、その捜査の為に殺人課の刑事として復職を命じられます。被害者のパートナーであり、荒くれ者で知られる殺人課のオーク警部補(レイ・リオッタ)と組み、事件の容疑者を特定する為に捜査を進めるうちに、二人は信頼で結ばれていきますが・・・。【レビュー・解説】麻薬の潜伏捜査を取り巻く過酷な状況を背景に描かれる刑事の人間ドラマをジェイソン・パトリックとレイ・リオッタが熱演、荒涼とした現実をざらりと描き出す演出が光る秀逸です。ドラッグの潜伏捜査を取り巻く過酷な状況を背景にした刑事の人間ドラマを、ジェイソン・パトリックとレイ・リオッタが熱演、荒涼とした現実と刑事の心理をざらりと描き出す演出が秀逸です。監督・脚本のジョー・カーナハンは、エロール・モリス監督のドキュメンタリー映画「シン・ブルー・ライン」(1988年)に描かれた、アメリカでは珍しくない警官殺害事件とその背後にある人間ドラマに触発され、この映画の脚本を書いたと言います。タイトルの「NARC」は、麻薬捜査官(Narcotics Officer)及び転じて密告者を表すスラングです。アメリカはドラッグの流通が多く、警察官が実際にドラッグを購入して検挙するおとり捜査が広く行われており、「21 ジャンプ・ストリート」(2012年)や「デンジャラス・バディ」(2013年)でも、「おまえ、ナークか?」というネタが出てくるほどポピュラーな言葉です。相対的にドラッグの流通量が少ない日本では、おとり捜査でドラッグを購入できる権限が厚生労働省の麻薬取締官に限定されており、警察官はドラッグを購入できず、かなり状況が異なります。いずれにせよ、悪の組織に潜入して捜査することは危険で過酷な任務であり、本作ではその過酷さがドラマの背景となっています。舞台となるデトロイトは自動車産業で栄えたアメリカ中西部有数の世界都市で、自動車産業の衰退とともに人口が減り、失業率、貧困率が高く、犯罪都市としても有名です。自動車産業関連の職を求めて南部から移住してきた人とその子孫である黒人が、デトロイト市内の人口の8割近くを占めます。裕福な人々が郊外の治安の良い衛星都市に移り住むことにより市内の空洞化に拍車がかかり、市内の住宅の1/3が廃墟か空き部屋で、空き地や巨大な廃墟となったビルが多く見受けられます。貧困率が高く、子供の6割が貧困生活を強いられており、市民の半分が読み書きもできません。フォーブスがアメリカで最も危険な街と名指ししたほど治安が悪く、人手不足のため警官が通報を受けてから現場に到着するまでの平均時間は、一時間近いと言われています。こうした荒んだ舞台、背景の中で、対称的な二人の刑事の人物と心理が描き出されていきますが、極限状態での人間のドラマは俳優の心をくすぐるのか、ジェイソン・パトリックもレイ・リオッタも無給に等しいギャラでこのインディーズ映画に出演しており、脚本を気に入ったというトム・クルーズもプロデューサーに名を連ねて全面的に協力しています。特に、11キロ増量した上に重ね着をし、目の下には人工皮膚をつけて中年のオーク警部補の役作りをしたレイ・リオッタの演技には目をみはるものがあります。リオッタは、マーチン・スコセッシ監督の「グッドフェローズ」(1990年)が出世作となりましたが、「グッドフェローズ」では当時30代の半ばのリオッタを、40代半ば過ぎで油の乗り切ったロバート・デ・ニーロとジョー・ペシが支えています。それから10年以上たち、この映画では逆に30代半ばのジェイソン・パトリックを、40代半ばを過ぎたリオッタを支える立場になっており、リオッタが10年余りの間に重ねてきたキャリアが感じられます。ジェイソン・パトリック(ニック・テリス刑事)レイ・リオッタ(ヘンリー・オーク警部補)デトロイトのイメージがこれ以上、悪化するのを避けるためか、許可がおりず、撮影のほとんどはカナダのトロントで行われています。しかし、巧みに選ばれたロケ地がデトロイトの荒んだ雰囲気がよく出ており、氷点下の寒さの中でのハンドヘルド・カメラによる撮影がリアリティを醸し出しています。デトロイトでは一日だけ、通りでの聞き込みのシーンが撮影されました。エキストラは使わず、実際の通行人に聞き込みをしています。危険な地域での撮影の為、警官のエスコートがつき、バッジが偽物であることがわかると何をされるかわからない為、本物のバッジが貸与されたと言います。スタンバイする本物の警官が駆けつけるのに一分はかかるという状況下で、スリリングな撮影だったようです。【撮影地(グーグルマップ)】二人が会いチームを組んだ店があった場所現在は閉店。二人が犯人を追い詰めた自動車部品店の廃墟があった場所当時の建物は壊され、新しい建物が建てられている。 「NARC ナーク」のDVD(楽天市場)【関連作品】ジョー・カーナハン監督が触発されたドキュメンタリー映画のDVD(楽天市場) 「シン・ブルー・ライン」(1988年)・・・輸入盤、リージョン1,日本語なしジョー・カーナハン監督作品のDVD(楽天市場) 「THE GREY 凍える太陽」(2012年) 「クレイジー・ドライブ」(2014年)ジェイソン・パトリック出演作品のDVD(楽天市場)「ロストボーイ」(1987年) 「スリーパーズ」(1996年) 「僕らのセックス、隣の愛人」(1998年)レイ・リオッタ出演作品のDVD(楽天市場) 「グッドフェローズ」(1990年) 「ジャッキー・コーガン」(2012年) 「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」(2010年)
2016年12月15日
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「ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲」(原題:Fehér isten、英題:White God)は、2014年公開のハンガリー・ドイツ・スウェーデン合作のサスペンス&ドラマ映画です。雑種犬に重税が課せられる法律により飼い主の少女と離ればなれになった犬が、保護施設に入れられた犬たちを従えて起こす反乱を描いています。第67回カンヌ国際映画祭で。「ある視点」部門グランプリとパルム・ドッグ賞をダブル受賞した作品です。 「ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:コーネル・ムンドルッツォ脚本:コーネル・ムンドルッツォ/ヴィクトリア・ペトラニー出演:ジョーフィア・プショッタ(リリー) ジョテール・シャーンドル(ダニエル) ルーク/ボディ(ハーゲン) ほか 【あらすじ】雑種犬に重税を課すという悪法が施行されたある街で、13歳のリリー(ジョーフィア・プショッタ)は、理解のない父親(サンドロ・ゾター)によって愛犬ハーゲン(ルーク/ボディ)を捨てられてしまいます。ハーゲンを取り戻そうとリリーは必死に探し回りますが見つかりません。一方、主人を失ったハーゲンは安住の地を求めて街を彷徨います。人間に捨てられ、裏切られたかつての「人類最良の友」は次々と保護施設へと送られていく中、ハーゲンは虐げられてきた施設の犬たちを従え、人間に対し反乱を起こし始めます・・・。【レビュー・解説】犬を愛する少女と人間に阻害され反乱を起こす犬たちを目を見張るパフォーマンスで描き、人間のマイナリティに対する疎外の責任を問う、リアルでかつファンタジックな作品です。コーネル・ムンドルッツォ監督は、「マイケル・K」(1983年)、「恥辱」(1999年)で英国の権威ある文学賞であるブッカー賞を二度も受賞、さらに2003年にノーベル文学賞を受賞した南アフリカ出身の作家、J・M・クッツェーの影響を強く受けています。彼の小説「恥辱」は、関係をもっていた女学生にセクハラで訴えられた英文学の大学教授が大学を辞して田舎にこもり、「恥辱」に耐える話で、白人上位・男性上位の古い価値観が彼の古い文学観と共に崩れていく物語と解釈されています。「(南アフリカ出身の)彼の描く世界と彼が語る追放、縄張り、人種差別、植民地政策、国による再分配は、私の生まれた東ヨーロッパの現実だと感じた。この映画の考えにとても近いが、遠い部分もあり、全く同じではないが。私は「恥辱」を舞台劇にし、彼の作品をすべて読んだ。」(コーネル・ムンドルッツォ監督)「恥辱」の主人公である元大学教授は犬の収容施設に職を得ますが、この本から最も疎外された人間の下に搾取される知的で分別のある動物がいることに気付いたムンドルッツォ監督は、ブタペストの犬の収容施設を訪れます。「ブタペストの犬の収容施設に行き、そこで見たことにとても心を動かされ、二週間もショックを引きずった。柵の向こうで犬たちがじっと死を待っていることをひどく恥じたんだ。これを是非、映画にしたいと思い、テーマを見つけて、ものすごい勢いで脚本を書き始めたよ。とても心動かされていたから、一ヶ月で脚本を書き上げてしまったんだ。」(コーネル・ムンドルッツォ監督)当初は犬だけの物語にするつもりでしたが、阻害された犬の鏡として反抗的な少女を主人公にすることをムンドルッツォ監督は思い立ちます。社会的な圧力に直面し純粋さを保つのが難しくなる、13歳の少女です。「恥辱」で収容所の犬が元大学教授の伏線となり、彼の疎外が強調されるのと似た構造で、本作は社会が犬や少女に与える圧力をより明確に浮かび上がらせています。劇中に使われているジプシー音階風の主題を持つハンガリー狂詩曲(第二番)も重要な意味あいを持っています。作曲したフランツ・リストはハンガリー生まれですが、両親はドイツ人、ハンガリー語は解せず、最も長い活動地もドイツで、ドイツが先住民のキリスト教化(後の領土拡大)の為に進めていた、いわゆる東方植民の系譜でした。しかし、彼はハンガリーに旅をし、自由をテーマにした曲を書き、マイナリティにアイデンテティを見出します。「フランツ・リストはドイツ人だが、ハンガリーを旅してそこを愛し、自由をテーマにした曲を書き始め、マイナリティにアイデンテティを見出し始めた。ハンガリー狂詩曲はそういう曲だ。自由の曲、マイノリティの曲、彼らの革命の曲なんだ。」「ハンガリーの国粋主義者たちは、何の自由の意味もなくこの曲を使う。だから私は、この曲を繰り返して使うことにより、この曲の精神を主張したかったんだ。」(コーネル・ムンドルッツォ監督)落ちぶれた指揮者が子供たちにハンガリー狂詩曲を演奏させるシーンや、またアニメ「トムとジェリー」のトムがこの曲を演奏するシーンも挿入されていますが、これらの演奏は曲の真の意味を解さぬ空虚なもので、蓄積されていく犬の怒りに対置されています。映画の最後の40分は、映像のトーンががらっと変わります。「暴動を描いているんだ。これは、今のヨーロッパが抱いている暴動への恐怖だ。彼らは恐怖を抱いてしかるべきなんだ。これを表す象徴的な映像をずっと探していた。我々が他の人種、敵対者、マイナリティと共にあることを拒否した時、その先にあるものが見えるようにね。」「問題は誰と連帯するかだ。トルコやハンガリーやメキシコでは、人々は犬と一緒に走ると思う。実に簡単だ。でも、もしドイツやフランスなどに住んでいるならば、正反対かもしれない。視点の問題だ。常に視点の問題だよ、世界のどこから見るのかというね。」(コーネル・ムンドルッツォ監督)ヨーロッパというと支配する側のイメージですが、ムンドルッツォ監督の生まれ育ったハンガリーは、必ずしもそうではありません。ハンガリーは、ヨーロッパのほぼ中央、東ヨーロッパの山岳地帯の中に盆地状に開けた平原にあります。遊牧に適しているため、かつてヨーロッパに繰り返し侵入したアジア系遊牧民集団の多くは、ここに根拠地を置きました。やがてハンガリーはキリスト教世界の一員となり、スラブ人などの周辺民族や、周辺諸国の影響を受けます。16世紀にはトルコとの戦いに破れ、1世紀半ほどトルコの支配を受けます。1867年にはオーストリア・ハンガリー帝国という二重帝国となって、ハプスブルクに支配されます。その後、二度の世界大戦に破れますが、第二次世界大戦ではナチに攻められ、ユダヤ系の人々がアウシュビッツに送られます。ナチから解放されるも束の間、今度はソ連に支配されます。1956年に革命を起こしますが、失敗、1989年に開放されるまで、ソ連の支配が続きました。原題の「Fehér isten」(英題:White God)は、「白い神」を意味し、中南米など世界の古代文化において、現地に来訪した白人が神性として住民の信仰を得たという考え方や神性そのものを指します。この説は白色人種による神格の存在へと拡大解釈され、白人至上主義の根拠とされるに及びました。本作にこの言葉を使用した理由について、ムンドルッツォ監督は次のように語っています。「犬を、彼ら自身の神に仕える、永遠に疎外された者として描きたかった。私はずっと神の特質について興味を覚えていた。神は白人なのか?それとも人々は各々の神を持つのか?白人は植民し統治することしかできないことを、数え切れないほど証明してきた。タイトルの言葉は多くの矛盾を孕んでいる。だから、素晴らしいと思ったんだ。」(コーネル・ムンドルッツォ監督)また、映画の冒頭、オーストリアの詩人、リルケの「恐ろしい物事は愛を必要とする」という言葉が引用されます。この言葉を引用した理由について、ムンドルッツォ監督は次のように語っています。「この映画は、マジョリティと彼らが作り出すマイナリティを映し出しています。私たちがモンスターを作り出し、それにモンスター、野良犬、マイナリティなどとレッテルを貼るのです。リルケの言葉はこれに抗うもので、自身がマイナリティであろうがなかろうが、我々はそれに責任があるという、革命的な言葉です。この言葉で、この映画がどんな映画なのか最初に訴えたかったのです。」(コーネル・ムンドルッツォ監督)ムンドルッツォ監督は特定の事件をモデルにしているわけではありませんが、彼の主張をイスラム過激派に当てはめると、彼らがテロ事件を繰り返すのは欧米諸国がアラブ諸国に対して植民的政策、統治を繰り返してきた為に、彼らが反乱を起こしテロという恐怖を引き起こしているという解釈になります。また、経済的インパクトもあり、欧米諸国に反移民の機運が高まりつつありますが、この映画はそれにタイムリーに警鐘を鳴らすものとしてカンヌ国際映画祭で高く評価されることになります。本作でまるで人間のような細やかな表情を見せる主役、ハーゲンを演じたのは、アリゾナ出身のルークとボディの兄弟犬で、カンヌ国際映画祭で「パルムドッグ賞」を受賞しています。本作のドッグトレーナーのテレサ・アン・ミラーによると、・ハーゲンの役を二匹の個性によって演じ分けさせ、細かい顔の表情はトレーナーが見本を見せ、その顔真似で表現させた・二匹から様々な表情を引き出す為に最も大事にしたのは絶対的な絆を深めることで、「あなたは私にしっかり守られてるんだよ」と信じてもらえるようしたとのことですが、人間と犬の協調のあり方を伺わせるエピソードです。<ネタバレ>リリーはオーケストラの一員で、トランペット担当です。彼女がトランペットを吹く姿は堂に入って凛々しくもあるのですが、何故、彼女がトランペット吹きという設定なのか、その理由がエンディングで明らかになります。反乱を起こして彼女に襲いかかろうとする犬たちに、犬を愛する彼女がトランペットで「ハンガリア狂詩曲」を吹いて聞かせると、犬たちは次々と地に伏せます。音楽で動物たちに話しかける姿は、グリム童話の「ハーメルンの笛吹き男」をモデルしており、リリーは笛をトランペットに持ち替えた設定なのです。やがて彼女もトランペットを置いて、地に伏せ、続いて彼女の父も犬たちを追い払う為に手の持っていた火を置き、地に伏せます。犬が地に伏せる行動をとるのは、・興奮しすぎた自分の気持ちを鎮め、落ち着かせる・争いたくないという危険回避の気持ちの表れと言われていますが、犬を愛するリリーのトランペットで反乱を起こした犬たちが伏せるのは、映画の冒頭にムンドルッツォ監督が引用したリルケの言葉、「恐ろしい物事は愛を必要とする」を体現するエンディングです。因みに「ハーメルンの笛吹き男」は笛で動物に話かけるだけではなく、村の子どもたちにも話しかけ、彼らを連れ去ってしまいます。このくだりに隠された歴史的な出来事について様々な説明がなされていますが、若者達が東ヨーロッパの植民地で彼ら自身の村を創建するために村を見捨て去ったとする説が最も広く支持されています。フランツ・リストの出自同様、東ヨーロッパへの移民が珍しいことではなかったことを感じさせる解釈です。<ネタバレ終わり>ジョーフィア・プショッタ(リリー)本作が映画デビュー作で初主演。犬とコミュニケーションがとる少女を繊細かつ力強く演じている。ジョテール・シャーンドル(ダニエル)ハンガリー出身の俳優。1980年代から、ハンガリーの作品を中心に多くの映画に出演している。「サウルの息子」(2015年)にも医師役で出演している。ルーク/ボディ(ハーゲン)ルークとボディの二頭の兄弟犬がハーゲンを演じている。彼オーナーがちょうど彼らを収容施設に送ろうとしている時に、アリゾナ州のトレーラーハウスで見出された。犬たちが反乱を起こすCGを使用せず、撮影には250頭以上の犬が出演した。多くは保護施設から調達され、撮影後はすべて里親に引き取られた。【動画クリップ(YouTube)】トレーナーのテレサ・アン・ミラーによる犬の演技指導の様子【関連作品】ムンドルッツォ監督が影響を受けた小説(Amazon) J.M. クッツェー著「恥辱」映画で重要な意味を持つハンガリー狂詩曲(Amazon) リスト:ハンガリア狂詩曲集 ハンガリー映画のDVD(楽天市場) 「ヴェルクマイスター・ハーモニー」(2000年) 「タクシデルミア~ある剥製師の遺言~ 」(2006年) 「ニーチェの馬」(2011年)「サウルの息子」(2015年) 「リザとキツネと恋する死者たち」(2015年)
2016年12月10日
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「21ジャンプストリート」(原題:21 Jump Street)は、2012年公開のアメリカのアクション・コメディ映画です。1987年のジョニー・デップ主演による同名の人気テレビ・ドラマ・シリーズを原作に、フィル・ロード/クリストファー・ミラー共同監督、マイケル・バコール脚本、ジョナ・ヒル、チャニング・テイタムら出演で、青年犯罪撲滅のために高校で潜入捜査をすることになった新人警官コンビが、思いのほか高校生活をエンジョイする様子を描いています。アメリカではR指定、日本では劇場未公開ですがソフトで視聴できます。 「21ジャンプストリート」のDVD(楽天市場)【キャスト・スタッフ】監督:フィル・ロード/クリストファー・ミラー脚本:マイケル・バコール原案:マイケル・バコール/ジョナ・ヒル出演:ジョナ・ヒル(モートン・シュミット) チャニング・テイタム(グレッグ・ジェンコ) ブリー・ラーソン(モリー) デイヴ・フランコ(エリック) ロブ・リグル(ウォルターズ先生) デレイ・デイヴィス(ドミンゴ ) アイス・キューブ(ディクソン警部) ダックス・フレイム(ザック) クリス・パーネル(ゴードン) エリー・ケンパー(グリッグス先生) ジェイク・ジョンソン(ダディアー校長 ) ニック・オファーマン(ハーディ副部長) ホリー・ロビンソン・ピート(ジュディ ) ジョニー・デップ(カメオ出演) ピーター・デルイーズ(カメオ出演) ダスティン・ヌエン(カメオ出演) ほか【あらすじ】2005年、オタクのモートン・シュミット(ジョナ・ヒル)とスポーツマンのグレッグ・ジェンコ(チャニング・テイタム)は同じ高校に通っていましたが、仲はよくありませんでした。7年後、ポリスアカデミーで再会した2人はなぜか意気投合します。やがて二人は童顔だからという理由で、少年犯罪撲滅を目的する犯罪特別捜査課に配属されます。彼らは潜入捜査の命を受け、新種のドラッグが流通する高校に潜入、久しぶりの高校生活をエンジョイしつつ、ドラッグのディーラーに接近します・・・。【レビュー・解説】かつての若者向けドラマをリメイク、時代の流れを優しく風刺しながら、ジョナ・ヒルとチャニング・テイタムの警官バディが繰り広げる、愛すべき爆笑アクション・コメディです。オリジナルの「21ジャンプストリート」は、1987年 - 1990年にアメリカで放送されたテレビドラマで、青年犯罪を撲滅するべく、童顔の警官らが麻薬取引、売春、殺人依頼、自殺など様々な事件が渦巻く高校に潜入捜査するというものです。ジョニー・デップの出世作で、この作品で一気にアイドルの地位を築くことになりました。21ジャンプストリートにある教会に潜入捜査班の事務所で、その住所がそのままタイトルになっています。これらの大まかな設定はオリジナルと同じですが、本作ではさらに以下の設定がなされています。1.ジョナ・ヒル扮するシュミットはオタク、チャニング・テイタム扮するジェンコはスポーツマン。2.二人は同じ高校に通っていたが、ジェンコはもてて、シュミットはもてなかった。3.二人ともそれぞれの理由でプロムに出席できなかったという負い目がある。4.高校時代の二人は仲が良くなかったが、ポリスアカデミーでは得意な部分で助け合い、無事卒業。5.二人は高校に潜入するものの、昔とは違いスポーツマンではなく、オタクがモテる時代だった。6.さらに名前が入れ替わり、ジョナ・ヒルがスポーツマン、チャニング・テイタムが秀才役に。1-4.の設定のみだと、如何にもというパターンの展開になりますが、5-6.のダブルのひねりが入り、得意なものを活かせず、・二人はどう事件を解決するのか?・二人の関係はどうなるかのか・というスリリングな展開になる、なかなか良く出来た脚本です。因みにプロムはプロムナードの略で、高校の最終学年に開かれるダンスパーティで、アメリカやカナダの高校生にとってとても重要なイベントです。参加は原則として男女のペアで、男性はタキシード、女性はドレスとコサージュを着用するフォーマルなものです。男子が女子を誘うパターンが一般的ですが、卒業のプロムまでにパートナーを見つけられなかったり、思い通りの相手と組めなかったりすることも多々あります。脚本のマイケル・バコールは、アメリカの俳優・脚本家で、「グラインドハウス」-「デス・プルーフ」 (2007年)、「イングロリアス・バスターズ」(2009年)、「ジャンゴ 繋がれざる者」(2012年)などに俳優として出演する一方で、「スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団」(2010年)などの脚本を書いています。マイケル・バコールとジョナ・ヒルは、二人が好きな警官のバディものアクション・コメディを作りたいと一年ほど案を語り合い、やげてジョナ・ヒルから「21ジャンプストリート」のリメイクにしようと声がかかって、脚本を書き始めました。監督を務めたフィル・ロード/クリストファー・ミラーは、「くもりときどきミートボール」(2009年)、「LEGO ムービー」(2014年)などの監督・脚本を手がけていますが、最終的な脚本は彼らの意見も取り入れれています。4人ともエドガー・ライト監督の「ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!-」のファンなので、パクリにならないように意識して注意せねばならなかったといいます。ヒネった設定の脚本ですが、ジョナ・ヒルとチャニング・テイタムのコミカルでパワフルなパフォーマンスが、観る見る者をぐいぐいと物語に引き込みます。ジョナ・ヒルは、初めての主演作「スーパーバッド 童貞ウォーズ」(2007年)ではやや一本調子でしたが、本作ではかなり印象が異なります。実は彼は、コメディ一本ではなくシリアスな役も演じられるようにと、以前に比べて体重を20キロ近く落としています。本作はコメディですが、シリアスっぽいカットも効果的に挿入されており、彼の芸域が大きく広がっています。「マネーボール」(2011年)、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(2013年)では、アカデミー助演男優賞にノミネートされるほどの大躍進です。共演のチャニング・テイタムはアメリカの俳優で、学生時代はアメリカン・フットボールや陸上競技、バスケットボールなどのスポーツをしていました。映画「シティ・オブ・ドッグス」(2006年)でサンダンス映画祭のインディペンデント・スピリット賞助演男優賞にノミネートされるなど、肉体美を誇るセクシー俳優としてだけではなく、演技力も高く評価されています。本作には、二度断ったものの、ジョナ・ヒルに説得されて出演したそうですが、今までにないチャニング・テイタムの魅力が発揮されており、彼をキャスティングした製作者の眼力が伺われます。ジョナ・ヒル(右、モートン・シュミット)とチャニング・テイタム(左、グレッグ・ジェンコ)もう一人、忘れてならないのが、モリーを演じるブリー・ラーソンです。彼女は「ショートターム」(2013年)で優秀なケア・マネージャー、恋人に愛される女性、父親による虐待の傷が癒えない女性と3つの顔を演じ高い評価を得、さらに「ルーム」(2015年)で子供とともに何年も監禁され続けたシングルマザーを演じて第88回アカデミー主演女優賞を受賞しています。いずれもシリアス系のドラマですが、実はそれ以前の彼女は、「ダメ男がモテる本当の理由」(2009年)、「スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団」(2010年)、「ベン・スティラー 人生は最悪だ!」(2011年)など、コメディ系の映画の出演が多く、本作でもコミカルな演技を披露しています。さらに驚くことに、子供の頃、女優になりたいと言って母親に大笑いされたという彼女は、実はとても内気で、「演技するのは楽しいが、友人のパーティに行くと心臓が止まる」そうです。本作には、パーティのシーンがあるのですが、彼女が演じるモリーはとても楽しそうに見えます。裏を返せば、彼女のパフォーマンスがそれだけ切れるということでしょう。ブリー・ラーソン(右、モリー)子供の頃から演じてきた彼女はとびきり可愛いわけでも、個性的なわけでもなく、なかなか役を貰えず、オーディションでは色気がないとか、受け答えが真面目で面白くないという理由で落とされること多かったそうです。本作でも「スーパーバッド 童貞ウォーズ」でジョナ・ヒルと共演しているエマ・ストーンがモリー役の第一選択でしたが、彼女が「アメージング・スパイダーマン」(2012年)出演の為、日程が合わず、ブリー・ラーソンがモリー役が回ってきました。とびきり可愛いわけでも、個性的なわけでもないという自覚があるせいか、ドラマでも、コメディでも、彼女はやや強めに表情を出してくる印象ですが、演技の思い切りが良い一方でわざとらしさがなく、自然に見えることが彼女の演技の魅力ではないかと思います。デイヴ・フランコ(エリック)エリー・ケンパー(グリッグス先生)アメリカ身の女優、脚本家、コメディアン。・NBCのコメディドラマシリーズ「The Office」(2010年〜)・映画「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」(2011年)・Netflixのドラマシリーズ「アンブレイカブル・キミー・シュミット」(2015年〜)などで知られる。高校生の時、演劇の教師がジョン・ハムだった。ジョニー・デップ(カメオ出演)オリジナルに出演していたジョニー・デップがカメオ出演している。いざ、プロムの会場へ【撮影地(グーグルマップ)】冒頭、シュミットとジェンコがドラッグの売人に遭遇する公園犯罪特別捜査課の拠点(21ジャンプストリート)二人が潜入する高校二人の乗る車がドラッグの売人たちのバイクに追突した場所ドラッグの売人たちに追われて二人が渡る橋 「21ジャンプストリート」のDVD(楽天市場)【関連作品】オリジナルのDVDボックス(楽天市場) シーズン1 シーズン2 vol.1 シーズン2 vol.2 シーズン3 vol.1 シーズン3 vol.2「21ジャンプストリート」の続編のDVD(楽天市場)(フィル・ロード/クリストファー・ミラー監督xジョナ・ヒルxチャニング・テイタム) 「22ジャンプストリート」フィル・ロード/クリストファー・ミラー監督作品のDVD(楽天市場) 「くもりときどきミートボール」(2009年) 「LEGO ムービー」(2014年)マイケル・バコール脚本作品のDVD(楽天市場) 「スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団」(2010年)ジョナ・ヒルxチャニング・テイタム共演作品のDVD(楽天市場) 「ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日」(2013年) 「ヘイル、シーザー!」(2016年)ジョナ・ヒル出演作品のDVD(楽天市場) 「40歳の童貞男」(2005年) 「無ケーカクの命中男/ノックトアップ」(2007年) 「スーパーバッド 童貞ウォーズ」(2007年) 「寝取られ男のラブ♂バカンス」(2008年) 「素敵な人生の終り方」(2009年) 「僕の大切な人と、そのクソガキ」(2010年) 「マネーボール」(2011年) 「ジャンゴ 繋がれざる者}(2012年) 「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(2013年) チャニング・テイタム出演作品のDVD(楽天市場) 「エージェント・マロリー」(2011年) 「マジック・マイク」(2012年) 「サイド・エフェクト」(2013年) 「フォックスキャッチャー」(2014年)ブリー・ラーソン出演作品のDVD(楽天市場) 「スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団」(2010年) 「ドン・ジョン」(2013年) 「ショート・ターム」(2013年) 「The Spectacular Now」(2013年、日本未公開)「ルーム」(2015年) 「Trainwreck」(2015年、日本未公開)
2016年12月08日
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「ルーム」(原題:Room)は、2015年公開のカナダ・アイルランド合作のドラマ映画です。フリッツル事件に触発されたエマ・ドナヒューの小説「部屋」を原作に、レニー・エイブラハムソン監督、ブリー・ラーソンら出演で、拉致され、監禁されたまま一児の母親となった女性が絶望的な状況からの脱出に挑む姿を描いています。第88回アカデミー賞で、作品、監督、脚色、主演女優の4賞にノミネートされ、主演女優賞(ブリー・ラーソン)を受賞した作品です。 「ルーム」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:レニー・エイブラハムソン脚本:エマ・ドナヒュー原作:エマ・ドナヒュー「部屋」出演:ブリー・ラーソン(ママ / ジョイ・ニューサム) ジェイコブ・トレンブレイ(ジャック) ジョアン・アレン(ばあば / ナンシー、 ジャックの実の祖母) ショーン・ブリジャース(オールド・ニック) ウィリアム・H・メイシー(じいじ / ロバート、ジャックの義理の祖父 ) トム・マッカムス(レオ、ナンシーのパートナー) アマンダ・ブルジェル(パーカー巡査) ジョー・ピングー(グラボウスキー巡査) キャス・アンヴァー(ミッタル医師) ランダル・エドワーズ(弁護士) ウェンディ・クルーソン(インタビュアー) ほか【あらすじ】・ママ(ブリー・ラーソン)と5歳の誕生日を迎えたジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)は、天窓しかない狭い「部屋」で暮らしています。体操をして、テレビを見て、ケーキを焼いて、楽しい時間が過ぎていきますが、外に出ることができないこの「部屋」が、ふたりの全世界です。夜、二人がオールド・ニックと呼ぶ男(ショーン・ブリジャース)がやってきて、服や食料を置いていきますが、ママはジャックに洋服ダンスの中に入るよう言います。ママは息子にもっと栄養をと訴えますが、半年前から失業して金がないとオールド・ニックは逆ギレします。さらに真夜中にジャックがタンスから出てきたことで、ママとオールド・ニックは争います。・翌朝、「部屋」の電気が切られ寒さに震える中、生まれてから一歩も外へ出たことがないジャックに、ママは真実を語ります。ママの名前はジョイで、この納屋に7年も閉じ込められており、外には広い世界があると聞いたジャックは混乱します。考えを巡らせたジャックはオールド・ニックをやっつけようとママに持ち掛けますが、ドアの暗証番号はオールド・ニックしか知りません。ママは「モンテ・クリスト伯」をヒントに、死んだフリをしたジャックをオールド・ニックに運び出させることを思いつきます。練習でカーペットにくるまれたジャックは癇癪を起こしますが、「ハンモックのある家と、ばあばとじいじがいる世界」に行ける、ママは励まします。しかし、「ママは?」と尋ねられ、2度と息子に会えないかもしれないと思うと、ジョイは言葉に詰まります。・やがてオールド・ニックがやってきて、脱出を決行、ジャックの記憶と出会った人たちの機転で、思わぬ展開を迎えますが・・・。【レビュー・解説】凄惨なフリッツル事件に触発されながらも独創的で、トラウマとファンタジー、緊張感と暖かさが入り交じる中、リアルでスリリングな展開をブリー・ラーソンとジェイコブ・トレンブレイが好演、母と子の関係を繊細に描きながら、深く洞察する作品です。冒頭、5歳の誕生日を迎える朝、ジャックはママより先に目覚めます。ジャック(語り):昔々、僕が降りてくる前、ママは毎日泣きながらテレビばかり見ていてゾンビになった。そして天国の僕が天窓からおりてきた。ママを中からドカンドカンと蹴ったんだ。僕が目をバッチリ開けて絨毯に出てきたから、ママがへその緒を切って、「こんにちは、ジャック」って言ったんだ。というジャックのモノローグに続き、ベッドを後にしたジャックが部屋の中の様々な「物」に話しかけます。ジャック:おはよう、スタンドさん。おはよう、植木さん。おはよう、卵ヘビさん。おはよう、敷物さん。おはよう、洋服ダンスさん。おはよう、テレビさん。おはよう、洗面台さん、トイレさんも。おはよう、みんな。監禁は母親ジョイにとってトラウマ以外の何物でもありませんが、5歳のジャックにとっては生まれた時から母とともに過ごすこの部屋が世界の全てで、そこに童話的な世界を構築しています。父親に24年間も地下室に監禁され、7人も子供を産んだオーストリア女性の話(フリッツル事件)を原作者のエマ・ドナヒューが聞いた時、ドナヒューの関心は事件の全体像ではなく、子供たちに向けられました。監禁された女性エリザベートは、上の階に連れ出された年長の三人と生まれて間もなく死亡した一人を除く、三人の子供と地下室で暮らしており、最も年下のフェリックスは5歳でした。幼い少年の視点で語られ、サイコパスと犠牲者の話や性的虐待の話ではなく、「SFや童話に近い、一つの世界から別の世界への旅」という本のアイディアが、この時、閃光の様にドナヒューの脳裏にひらめきました。子供目線の童話的要素を感じさせる本作は、その半ばでジャックが監禁から脱出、続いて二人の取り巻く環境と心理の変化が刻々とスリリングに描かれていきます。大きく環境が変わる映画の前半と後半を貫くものは、親子関係のあり方です。「今作で描かれているのは、普段は目にはしないような極端な状況ではあるものの、普遍的な話でもある。実は子育てという「子どもと親の絆」が掘り下げられている物語なんだ。」「通常であればパートナーや子どもの友達といった周りの人間、学校などの機関があって子育てをするものだけど、この極端な物語の中では母親がその負荷を全部担っている。教育やメンタル面のサポートなど、子どもの世界の全てを母親ひとりが提供しなければいけない、一緒に作っていかなければいけないという状況に置かれている。」「ふたりが閉じ込められたあの部屋から出られただけで、問題の深層は解決されたわけじゃない。ジャックとママはまだ自由になれたわけじゃない。」「前半部分では、ママとジャックにとっての問題は、ふたりを閉じ込めた男、通称オールド・ニックだけだった。後半では、問題はもっと大きなものになる。それは私たちみんなが直面している、または、直面したことがある問題だ。最悪なことにどう対峙するのか、それでもその世界で生きていくのか?どうやって心地よい単純な幼少期を終え、混沌とした大人の人生と向き合うのか?子供と自分に変化が訪れた時、親はどうやって関係を再構築するのか?」「外の世界に出てみれば、(ジョイは)実のところ17歳の少女のままだった。彼女は息子と上手く接することができず、彼との距離も離れてしまうんだ。」(レニー・エイブラハムソン監督) アメリカの現代文学の代表的小説家のひとりで、映画「ノーカントリー」(2007年)の原作者コーマック・マッカーシー(「血と暴力の国」)は、「ザ・ロード」という世紀末小説を書いています。この作品は、世紀末のアパラチア山脈を舞台に、ほとんどの動植物が絶滅、文明も消滅、生き残る人類の大部分は食肉人種という過酷な環境の中、飢餓や凍死の危機など様々な恐怖を経験しながらも、父と息子が倫理や理想を捨てずに南に進み続けようとする物語で、2007年にピューリッツァー賞フィクション部門を受賞した作品です。原作者のエマ・ドナヒューは、コーマック・マッカーシー同様、過酷な状況下で、親であること 、親子の関係のあり方について問いかけています。「私が本作を書き始めたのは、ちょうどコーマック・マッカーシーの「ザ・ロード」を読み終えた時よ。私もマッカーシーも、最も人生を変える経験、即ち親であることを叙事詩的に表現しようとしているわ。彼は殺伐とした世界に生きる父と子を、私は監禁されて未だ妊娠中のように共に生きる母と子をね。」「すべての親は、拘束と保護の間で揺れるのよ。」(エマ・ドナヒュー) エマ・ドナヒューが原作を発表した時、「フリッツル事件のトラウマを利用している」という批判を受けましたが、本作は終始一貫して深い洞察と鋭い眼差しで親子関係を描いたものであり、監禁事件の悲惨さや解放後の適応障害を主眼にしたものでもなければ、お涙ちょうだいでも単純な「めでたしめでたし」でもありません。それが本作を普遍的で、より価値あるものにしています。ジョイはジャックにとって強く暖かい特別な存在ですが、一方で、例えば、 ・5歳になるジャックに母乳を与えている・「ジャックは誰のものでもない、私のものなの」(インタビューでジャックに父親を教えたかと問われて)・「私の子供の育て方に口を出さないで」(ジャックに優しく接するべきと母親のナンシーに言われて)といったジョイの言動から、彼女に共依存的な傾向があることも描かれています。もちろん、二人きりで監禁され共依存ににならざるを得ない部分もありますが、「すべての親は拘束と保護の間で揺れている」というのが原作者の視点です。それが最も厳しい形で表出するのが、インタビュアーの質問です。インタビュアー:犯人にジャックを連れ出してもらおうとは思わなかったの?そう、誰かに見つけてもらえるように、病院の前に置いてきてもらうとか?ジャックは自由になれるわ。正常な子供時代を過ごして欲しいと思わなかった?あなたと一緒にいることが彼にとって最良のことだった? 「ルーム」はフリッツル事件の実際に拘泥することなく、「監禁から開放へ」という設定の大きな変化の中、終始一貫して母子の関係を描くという独創的なアプローチで、二人の環境と心理の変化を類まれなる想像力で緻密かつ繊細に構成しています。「フリッツル事件のトラウマを利用している」というドナヒューに向けられた当初の批判とは裏腹に、親子関係を描くという確固たる信念と、映画としての完成度の高さがひしひしと感じられる作品です。<オチバレ>インタビュアーの問に動揺したジョイは睡眠薬自殺を図り、入院します。回復して退院したジョイに、ジャックは自分の世界のすべてであった「部屋」に戻りたい、ひと目見たいとねだります。荒れ果てた「部屋」を一通り観た後、ジョイに急かされたジャックは「部屋」に別れを告げます。ジャック:「さよなら、植木さん。さよなら、椅子1号さん。さよなら、椅子2号さん。さよなら、テーブルさん。さよなら、洋服ダンスさん。さよなら、洗面台さん。さよなら、天窓さん。ママも「部屋」にさよならして。」オープニングと対をなしつつ、最後の一言でママの立ち直りへの希望を感じさせる、見事なエンディングです。<オチバレ終わり>ブリー・ラーソン(ママ / ジョイ・ニューサム)ジェイコブ・トレンブレイ(ジャック)ジョアン・アレン(ばあば / ナンシー、 ジャックの実の祖母)ショーン・ブリジャース(オールド・ニック)ウィリアム・H・メイシー(じいじ / ロバート、ジャックの義理の祖父 )トム・マッカムス(レオ、ナンシーのパートナー)【撮影地(グーグルマップ)】裏庭の物置にジョイとジャックを監禁したオールド・ニックの家ジャックがオールド・ニックのトラックから逃げ出した場所ジョイとジャックが運び込まれた病院ジョイの母ナンシーとそのパートナーが住む家ジョイとジャックが行くハンバーガーショップジョイとジャックが屋外スケートリンクジョイとジャックが歩く海岸 「ルーム」のDVD(楽天市場)【関連作品】「ルーム」の原作本(楽天市場) エマ・ドナヒュー著「部屋」(上) エマ・ドナヒュー著「部屋」(下)レニー・エイブラハムソン監督作品のDVD(楽天市場) 「What Richard Did」 (2012年、日本未公開) 「FRANK フランク」(2014年)ブリー・ラーソン出演作品のDVD(楽天市場) 「スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団」(2010年) 「21ジャンプストリート」(2010年) 「ドン・ジョン」(2013年) 「ショート・ターム」(2013年) 「The Spectacular Now」(2013年、日本未公開) 「Trainwreck」(2015年、日本未公開)
2016年12月04日
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「スーパーバッド 童貞ウォーズ」(原題:Superbad)は、2007年公開のアメリカのコメディ映画です。卒業を間近に控えた童貞の高校生3人組がパーティーに誘われたことを機に、それぞれ意中の女子生徒と初体験を目指して奮闘する姿を、下ネタ満載で描いています。 「スーパーバッド 童貞ウォーズ」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:グレッグ・モットーラ脚本:エヴァン・ゴールドバーグ/セス・ローゲン製作:ジャド・アパトー/ショーナ・ロバートソン出演:ジョナ・ヒル(セス ) マイケル・セラ(エヴァン) クリストファー・ミンツ=プラッセ(フォーゲル) ビル・ヘイダー(スレイター) セス・ローゲン(マイケルズ) マーサ・マックアイサック(ベッカ) エマ・ストーン(ジュールズ) アヴィヴァ(ニコラ) ほか【あらすじ】口だけは達者な高校生のセス、エバン、フォーゲルの童貞3人組は、初体験のことで頭がいっぱいです。進路も決まり卒業間近となった彼らは、同級生の女の子からパーティーに誘われます。セスは大見得を切って酒の買い出しも引き受けたものの、まだ酒を買える年齢ではありません。これを童貞喪失の絶好のチャンスと思い込んだ3人は、酒をゲットするためあの手この手を尽くします。2人組のおかしな警官とのハチャメチャな連行劇や、他人のパーティーに紛れ込むなど、様々なハプニングを経て何とか酒を手に入れ、セスたちはようやくパーティー会場に駆けつけます・・・。【レビュー・解説】実話のリアルさを残しながら下品さと誠実さを巧みにバランス、極端な状況の中で高校生の友情や気まずさもうまく捉え、粒ぞろいのキャストのパフォーマンスが光る、お馬鹿コメディを超えた心温まる作品です。セス・ローゲンは13歳の時にスタンダップ・コメディアンとしてデビュー、この頃からエヴァン・ゴールドバーグと共に本作の脚本を書き始めます。映画の出来事の多くは実際にあったことで、キャラクターのセス、エヴァンは、それぞれ、脚本を書いたセス・ローゲンとエヴァン・ゴールドバーグがモデルで、フォーゲル(マクラヴィン)も実際に彼らとつるんでいた親友です(フォーゲルは映画の道には進まなかった)。なお、フォーゲル(マクラヴィン)はいじられ役として描かれていますが、実際はエヴァンの方がいじられていたという説もあります。エヴァン本人はこれを認めていませんが、エヴァン役にマイケル・セラが決まってから脚本が書き換えられており、フォーゲルがオタクっぽいいじられ役にされてしまったというのが真相のようです(実際のフォーゲルは美男子でオタクっぽくない)。セス・ローゲンは自らセスを演じたかったのですが、もともと老け顔と言われており、年齢的にも高校生は無理ということでジョナ・ヒルが起用され、セスは警官役を演じています。ジョナ・ヒルは2004年に映画デビュー、「40歳の童貞男」(2005年)、「もしも昨日が選べたら」(2006年)などでキャリアを重ね、2007年公開のヒット作、「無ケーカクの命中男/ノックトアップ」と本作で飛躍、後の「マネーボール」(2011年)、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(2013年)でアカデミー助演男優賞にノミネートされるなどの実力派俳優に成長しました。左からマイケル・セラ(エヴァン)、クリストファー・ミンツ=プラッセ(フォーゲル)、ジョナ・ヒル(セス )本作はジョナ・ヒルの一人舞台というよりは、アンサンブル・キャストに近くマイケル・セラ扮するエヴァン、クリストファー・ミンツ=プラッセ扮するォーゲル(マクラヴィン)も実に魅力的で、いい味を出しています。特に撮影時時17歳のクリストファー・ミンツ=プラッセは、オタクっぽい高校生を映画初出演とは思えぬほど見事に演じており、彼が偽造IDに使用したマクラヴィンの名は流行語になるほどでした。因みに、彼にはベッドシーンがあるのですが、法規制により彼の母親が撮影に立ち会ったそうです。「恋人たちの予感」(1989年)で、母親の前でメグ・ライアンにフェイク・オーガズムの演技指導をしたロブ・ライナー監督もバツの悪い思いをしたそうですが、クリストファー・ミンツ=プラッセも微妙な心境だったに違いありません。撮影時に見られているので完成した映画を母親と観るのは平気だったそうですが、二人の間でこのシーンが話題になることは決してないそうです。左からビル・ヘイダー(スレイター)、セス・ローゲン(マイケルズ)マイケル・セラは一見、堅気で優等生っぽいのですが、真面目で可笑しく、ジョナ・ヒルとのからみも最高です。彼は、本作と同じ年に公開された「ジュノ」(2007年)で主人公の相手役を務めています。警官を演じたビル・ヘイダーは、アメリカのテレビバラエティ番組「サタデー・ナイト・ライブ」で三度、エミー賞にノミネートされたアメリカの俳優・コメディアン・声優・作家で、「無ケーカクの命中男/ノックトアップ」(2007年)など数々のコメディ映画の他、「インサイド・ヘッド」(2015年)、「ファインディング・ドリー」(2016年)などのアニメーション映画の声優としても活躍しています。マーサ・マックアイサック(ベッカ) ベッカ、ジュールズ、ニコラは、エヴァン、セス、フォーゲルのお目当ての女子高生ですが、彼女らも実際の名前のようです。もっともセス・ローゲンによると、当時は怖くて女の子と口がきけなかったそうなので、映画での彼女らとのやりとりがどこまで本当かはわかりません。また、セスとエヴァンは高校を卒業して離れ離れになるのですが、彼らはさっぱりしたものでセンチメンタルになることはなかったとのこと。さらに、脚本では実際に当時の高校生が使っていた強烈なセリフが使用されていますが、ジャッド・アパドーが映画としてドラマティックに構成することを指導、下品さがうまくバランスされ、単なるお馬鹿コメディを超えた作品に仕上がっています。彼なくして、本作の成功はなかったかもしれません。エマ・ストーン(ジュールズ、何故か右目の周りに青あざ) ベッカ、ジュールズ、ニコラは、それぞれマーサ・マックアイサック、エマ・ストーン、アヴィヴァが好演していますが、映画初出演のエマ・ストーンがその後、出世頭となり、素晴らしい活躍をすることになります。11歳の時から舞台に立ち、即興コメディ劇団にも参加していたという彼女は2004年にタレント発掘番組で役を勝ち取ったのを皮切りにテレビに出演するようになり、本作の映画初出演を皮切りに、「ゾンビランド」(2009年)「小悪魔はなぜモテる?!」(2010年)「ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜」(2011年)「アメイジング・スパイダーマン」(2012年)「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(2014年)「ラ・ラ・ランド」(2016年)などに出演、「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」ではアカデミー助演女優賞にノミネートされるまでに成長しました。アヴィヴァ(ニコラ)全米で初登場1位となり、公開4週目で興行収入1億ドルを超えるヒットとなった本作は、キャリアを築きつつあったセス・ローゲン、ビル・スレーターに加え、その後、大活躍することになるマイケル・セラ、クリストファー・ミンツ=プラッセ、そして後にオスカー候補となるジョナ・ヒル、エマ・ストーンといった粒ぞろいの俳優が、大きく飛躍する契機となっと素晴らしい作品でもあります。【撮影地(グーグルマップ)】エヴァンの家セスらが通う高校セスらが授業の前に立ち寄るコンビニセスらが最初に酒を買おうとするスーパーセスらが酒を買おうとする酒屋酒を入手するためにセスらがパーティに紛れ込んだ家 「スーパーバッド 童貞ウォーズ」のDVD(楽天市場)【関連作品】グレッグ・モットーラ監督作品のDVD(楽天市場) 「アドベンチャーランドへようこそ」(2009年)ジョナ・ヒルxセス・ローゲン共演作品のDVD(楽天市場) 「40歳の童貞男」(2005年) 「無ケーカクの命中男/ノックトアップ」(2007年) 「素敵な人生の終り方」(2009年) 「ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日」(2013年) 「22ジャンプストリート」(2014年)ジョナ・ヒル出演作品のDVD(楽天市場) 「寝取られ男のラブ♂バカンス」(2008年) 「僕の大切な人と、そのクソガキ」(2010年) 「マネーボール」(2011年) 「21ジャンプストリート」(2012年) 「ジャンゴ 繋がれざる者}(2012年) 「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(2013年) 「ヘイル、シーザー!」(2016年)セス・ローゲン出演作品のDVD(楽天市場) 「50/50 フィフティ・フィフティ」(2011年) 「スティーブ・ジョブズ」(2015年)エマ・ストーン出演作品のDVD(楽天市場) 「ゾンビランド」(2009年) 「小悪魔はなぜモテる?!」(2010年) 「ラブ・アゲイン」(2011年) 「ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜」(2011年) 「アメイジング・スパイダーマン」(2012年) 「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(2014年) 「ラ・ラ・ランド」(2016年)
2016年12月02日
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