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ユダヤ系ギャングの半世紀に及ぶ友情・愛・裏切りをノスタルジックに描く一大叙事詩。20年代初頭のニューヨークに住む少年ヌードルス(スコット・タイラー)は、仲間を率いて貧困街で悪事の数々を働いていた。ある日その町に越して来たマックス(ラスティ・ジェイコブス)と運命的な出会いを果たした二人は禁酒法の隙間をぬって荒稼ぎを続け、やがて大人になりギャング集団へとして伸し上がっていくが……。レオーネ監督の遺作。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「ウエスタン」のレルジオ・レオーネfilm。通常でも3時間半の大作ですが、今回観たのはいつかBSで放映された完全版で4時間近い作品。途中2度のインターミッションを挿みます。西部劇の巨匠であるレオーネ監督は、「ウエスタン」もこちらも、まさに男気映画という印象。男の世界、男の友情。骨太で、哀愁漂い、情緒ある音楽にじっくり見入った4時間でした。十代で敵対するギャングのボスを殺し、刑務所に入るヌードルス。大人になり、出所してきた彼が見たものは、禁酒時代に酒を振るまう高級酒場の事業の成功と、変わらぬ友情でした。しかし、仕事を選らばなくなっていた親友マックスの非情さに、いつしか二人の間に深い溝が生まれます。そんな時、マックスの情婦からそそのかされるままに、マックスを思って警察への密告を決意したヌードルス(デ・ニーロ)でしたが……結局、仲間は皆殺されてしまうのでした。自責の念に駆られ、そのまま30年間も育った街を離れていたヌードルス。ある日、そんな壮年の彼に突然に届いた謎の手紙をきっかけにして、故郷の街を再び訪れることとなるのです。数え切れないほどの思いを抱え、手紙に隠された真実を探して――「回想シーンのデボラ(ジェニファー・コネリー)」前半のほとんどを占める少年期のシーンが、あまりにノスタルジックで瑞々しく胸を打つので、中盤からのデ・ニーロやジェームズ・ウッズの熱演が色あせて見えるほどでした。20年代初頭のニューヨーク。裏社会でのし上がろうとする少年たちの、背伸びした青春や友情や性への目ざめ。どれもまっすぐに心に響いて、色んな思いが湧き上がります。どのエピソードも、今もこれからだってきっと褪せはしない素晴らしいシーン。少年の頃からヌードルスがずっと愛し続けたたったひとりの女性デボラを演じたのは、これがデビュー作だったジェニファー・コネリー。彼女の美しさと存在感は圧倒されるほどで、少年期のエピソードを更に良くしているのではないでしょうか。大人になっても大切な役を担うデボラ、演じたのはこちらも美しいエリザベス・マクガバンでしたが、ジェニファー・コネリーの魅力の前では、やっぱり色あせて感じるほどでした。「左・マックス(ラスティ・ジェイコブス)と 右・ヌードルス(スコット・タイラー) 少年たちの演技にも注目」ギャングだった半生を捨てたヌードルスに届く手紙の謎は、サスペンスの味わい。30年前のあの悪夢の日。仲間と貯め続けていたはずの大金が消え、仲間が皆が殺られたあの日。本当は何があったのか――驚きの真実が明かされるサプライズは、今回少しだけ弱く感じました。ここまでがあまりに長いので、これだけ?と思えてしまうのかもしれません。デ・ニーロをはじめ、知人たちの老けメイクは違和感なくて、半世紀に及ぶ物語を興ざめすることなく魅せ続けてくれます。音楽はとにかく秀逸。「成人したマックスとヌードルス」 「同じくデボラ」ラストシーンが印象的でした。アヘン窟でのデ・ニーロのワンシーンは、冒頭の伏線も利いていて素晴らしいです。不謹慎だけれど、映画などで使われる阿片というものになにか惹かれます。ほかの麻薬には全く興味ないのに。阿片窟は古くはシャ-ロック・ホームズ、「フロム・ヘル」のジョニデ、「スワロウテイル」などなど、描かれ方がよく、経験してみたものだと思ってしまいます。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 監督 セルジオ・レオーネ 製作 アーノン ミルチャン 製作総指揮 クラウディオ・マンシーニ 脚本 レオナルド・ベンヴェヌーチ 、ピエロ・デ・ベルナルディ セルジオ・レオーネ 、ピエロ・デ・ベルナルディ エンリコ・メディオーリ 、フランコ・アルカッリ フランコ・フェリーニ 、レオ・ベンベヌーチ 原作 ハリー・グレイ 撮影 トニーノ・デリ・コリ 音楽 エンニオ・モリコーネ 出演 ロバート・デ・ニーロ 、ジェームズ・ウッズ エリザベス・マクガバン 、ジェニファー・コネリー ダーラン・フリューゲル 、ジョー・ペシ
2006.11.30
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失業中の母が新しい仕事を見つけるまでの間、一時的に田舎の祖母の家で暮らすことになった少年サンウと祖母の交流を綴った感動ドラマ。都会育ちで反抗的な少年と、どこまでも寛容で愛情溢れる老婆が、心を通わせ絆を深めていく過程を、叙情豊かにかつノスタルジックに描く。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 静かでノスタルジックでとても感動しました。嘘っぽくなくて自然で、なにより視線が温かい。少年役以外は素人の方々なのだそうです。初めて行く母の実家はド田舎。ひとりで暮らすおばあちゃんは口が利けず耳も聞こえません。母とふたり暮らしのサンウは、いつも一人でいることに慣れているこしゃまくれた少年で、おばあちゃんと暮らすはめになった2ヶ月、何もかも勝手の違う生活にさっそく耐えられなくなります。水道も水洗トイレもない生活。なにもかもが気に食わないサンウは、おばあちゃんの耳が聞こえないのをいいことに「バーカ」とか「きたない!」とか悪口言い放題です。自然の中で過ごしたことのない彼にとっては毎日が暇。ゲームばかりして、そのうちに電池が切れて、とうとう都会から持ってきた色んな物が使い物にならなくなります。彼の生意気さも、反抗心も。年老いたおばあちゃんにしてみたら、孫のサンウは未知の存在です。世代の違う都会の子ども相手に、お金もなく、言葉でコミュニケーションもとれません。それでも孫になにかしてあげたい気持ちはいっぱいあって、その素朴な優しさは、次第にサンウにも伝わってゆくのでした。少年は、おばあちゃんの家にきて初めて、愛情のぬくもりとか安心感を肌と心に感じたのではないでしょうか。はじめは腹が立つほどクソ生意気なガキンチョなのですが、ひねくれてめんこくないからこそ、思いやりを持てるようになってくる描写が生き生きと感じられました。少年は田舎でささやかな恋をして、本当の優しさを身に着けて、おばあちゃんが大好きになって帰って行きます。ラストは涙がぼろぼろでした。なにもないド田舎でも、互いにしてあげられることはいっぱいあります。必要なのはお金でも言葉でもありません。いつも針に糸を通せなくて困っていた後姿、字が書けないおばあちゃんを思って、夜中遅くまで精一杯のお礼を残していこうとするサンウの心に泣けました――田舎や年寄りが持っているぬくもり、故郷のようなあったかさに、最後は観てる自分まで包まれて、暫く幸せな余韻でいっぱいになりました。冒頭で「すっごいめんこくない!」と思っていたサンウですが…帰れる場所ができて、待っていてくれる人ができて「ほんと良かったね!」とラストに思えてしまうのが~なんともいいです~イ・ジョンヒャン監督作は前作「美術館の隣の動物園」との2作品だけのようですね。どちらも好き。次回作が楽しみです♪ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・監督・脚本 イ・ジョンヒャン 製作 ファン・ウヒョン 、ファン・ジェウ 撮影 ユン・ホンシク 出演: キム・ウルブン 、ユ・スンホ サンウ ミン・ギョンフン 、イム・ウンギョン トン・ヒョフィ
2006.11.27
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2001年9月11日、空港を飛び立った旅客機4機が、ほぼ同時にハイジャックされる。うち3機はワールド・トレード・センター、国防総省ペンタゴンに激突炎上した。しかし残る一機はターゲットに到達することなくペンシルヴェニア州に墜落。本作はこのユナイテッド航空93便の乗客たちと、必死で事態の掌握に務める地上の航空関係者たちの緊迫のやり取りを、極限の臨場感で描き出した衝撃のノンフィクション・サスペンス。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5年前の9.11事件。あの時アメリカの航空機関でなにがあったのか――ドキュメンタリーを多く手がけてきた、イギリス人ジャーナリストでもあるポール・グリーングラスが、徹底したリアリティーで描き出すノンフィクションドキュメンタリー。あの日、ハイジャックの可能性を知り、にわかにどよめきだった地上の航空関係者たちがいました。ワールド・トレード・センターの惨事に釘付けとなっていた頃、その裏では民間機の安全のために、どれほど管制官らが力を尽くしていたことか……知らなかった事件の側面に驚かされました。無線の通じない機が続出し、レーダーから消息を絶つ機が続々と増えていくパニック。窓の外に広がるワールド・トレード・センターから噴上がる煙に唖然とする関係者たち。パニックになった真実の反応や当事者たちの動きは、まさにこうだったのだろうと思います。人は突然起こった危機的な状況を簡単には理解できない生き物なのですよね。。そのうろたえが、十分すぎるほど伝わってきました。タイトルとなっているユナイテッド93便は、テロリストに抵抗を試み、爆発目的地まで到達するのを食い止めた、唯一の機でした。トレード・センターで起こった民間機爆発も、テロであることも、自分たちの運命さえも知ってしまった乗客乗員約50名がとった行動は、死ぬ気になって奮い起こした勇気ある抵抗。わずかでも生き残る望みがあるならばと、団結して奮い起こした最後の勇気でした。脚色の無い真実に基づいているからこそ、鬼気として迫ってくるものがある。電話での最期の別れも、恐怖感も、この臨場感の中で、自分のものとなって襲い掛かってくるようでした。本編の映像とは関係ありません。ポール・グリーングラス監督は前作「ボーン・スプレマシー」で、ブレとぐるぐる回る映像の多さに好き嫌い分かれましたが、私はとても好きでした。今回もリアリティの追及と臨場感を極限まで高めた感じで、カメラのブレが気になる部分もありました。でもそこを超えてしまうと、もう監督の意図にずっとのって行けるのではないでしょうか。この映画を観る意味、それはチラシから拝借するなら「今生きていることの大切さを感じる」「事件を生かしておく」ということなのかもしれませんが、それと同じくらい、テロの犯人イスラム過激派がいる背景を知っていくきっかけとしても大事だと思いました。グリーングラス監督は「ボーン・スプレマシー」の他に、アイルランド・デリーでカトリック系住民のデモに政府が発砲し死者を出した事件の映画化「ブラディ・サンデー」、風変わりな純愛映画「ヴァージン・フライト」も大好きです。この監督だからこそ観たかったのでもあります。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・監督・脚本 ポール・グリーングラス 製作 ティム・ビーヴァン 、エリック・フェルナー ロイド・レヴィン 製作総指揮 ライザ・チェイシン 、デブラ・ヘイワード 撮影 バリー・アクロイド 音楽 ジョン・パウエル 出演 ハリド・アブダラ 、ポリー・アダムス オパル・アラディン 、ルイス・アルサマリ デヴィッド・アラン・ブッシェ
2006.11.24
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10歳の少年が繰り広げる冒険の数々を、子どもの目線で描いたハートウォーミング・ストーリー。様々な冒険に満ちた日常が、好奇心いっぱいで少し大人びた主人公のモノローグでユーモラスに綴られていく。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ドラマに分類してしまうとありがちに感じますが、コメディという目で見れば柔らかい笑いが楽しめるのではないでしょうか。少年の成長録であり、冒険の日々であり、恋のメロディである物語。家族の絆とぬくもりが微笑ましくて爽やかです。欧州映画の‘少年もの’はやっぱり良いですね~ 「セザールの両親。母は妊娠中、父はちょっと訳あり?」学校でも目立たないセザール・プチは10歳半でちょっと太めの男の子。容姿抜群でしっかり者のモルガン(マボ・クヤテ)とは親友同士。ふたりは揃って転校生サラに恋心を抱いています。セザールの早とちりで起こったパパの刑務所騒動や、ロンドンにいるというモルガンの父親探しの旅を通して、彼らが成長する様子を描いたヒューマンコメディ。視点はずっと子どもたちの元にあって、セザールのナレーターならぬ独り語りが、とてもユニークです。「左から モルガン、セザール、サラ」子どもたちが、ラストまでに大人の意識を変えてしまう展開もほのぼの見物。広いロンドンで、上手い具合に父親探しに協力してくれるミス・カリーナ(アンナ・カリーナ)に出会えるあたりは、ご都合主義的ではありますが、これもコメディなら簡単に受け流してしまえそうですね。短い時間に意外と盛り沢山な内容が、うまく詰め込まれていると思います。恋に家族に友情に。流れを良くする為カットしたシーンを特典映像で観ることができました。これだけすっきりした作品が出来上がったのは、編集のセンスなどもあるのでしょう。監督はフランスの俳優で、長編映画の監督はこれがたぶん初めてのリシャール・ベリ。少年たちのマドンナ・サラを演じたのは実の娘ジョセフィーヌ・ベリです。太めのセザール、じつは特殊メイクで詰め物をしていたのだそう。それもそのはず、前年の作品「バティニョールおじさん」では普通の少年でしたね。彼の母親を演じたマリア・デ・メディロスは、個性的な面立ちが素敵。どこかで見た記憶があるとおもったら「ヘンリー&ジューン」の女優さんでした。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 監督 リシャール・ベリ 製作 ミシェル・フェレ 脚本 リシャール・ベリ 、エリック・アスス 撮影 トマ・ハードマイアー 音楽 レノ・イザーク 出演 ジュール・シトリュク 、マリア・デ・メディロス ジャン=フィリップ・エコフェ 、ジョセフィーヌ・ベリ マボ・クヤテ 、アンナ・カリーナ ジャン=ポール・ルーヴ
2006.11.22
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神経症気味の妻を持て余しながらも、深い愛情から一人で家庭を切り盛りする、労働者階級の中年男。しょっちゅう家を空ける夫に、妻の気持ちは次第に昂ぶり、ついに狂気の世界へ足を踏み入れる。彼女もまた、抑えきれない強い愛情から、夫を苦しめてしまうのだった。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 初めて観るジョン・カサヴェテス作品でした。久しぶり、完全にノックアウトされた鑑賞後。こんな風に人の内面を、こんな風な切り口で見せてくれる作品は珍しいのではないでしょうか。ある労働者階級の一家に起こった、妻であり母であるメイビルの精神の乱れを、取り巻く周りの人々や日常の中に描いた傑作でした。カサヴェテスの妻であったジーナ・ローランズの演技には目を見張るものが。上手く感情をコントロールできずにいるメイビルは、顔や手足が小刻みに動き、始終落ち着きがなく、ヒステリーの発作に苛まれています。ジーナは演技を超えたものを感じるくらいの力演。彼女あって、ピーター・フォークあっての傑作といえそう。彼女を深く愛する夫ニック(ピーター・フォーク)は、誰が見ても尋常ではないメイビルをそうとは認めず、なんとか自分の愛情で以前の妻に戻そうと、必死に苦労の日々を過ごしているのです。以前の妻とはいっても、それを見られるシーンなどなく、始まりから終わりまで一貫してメイビルの心の病は続きます。その理由さえも語られることなく、ただ後半わずかに登場する無関心そうな彼女の父親に、何らかの関係を思わせる台詞がひとつ。「パパ、私のために立ち上がって・・」と。父親は無意識で席を立ちますが、彼女の意図した気持ちにはなにも気づかず、「意味がわからん」を繰り返すだけ。立ち上がるというのは、何かをするために腰を上げて動き出すこと、彼女はその無関心のことを言っていたように見えたシーンでした。――とはいっても、ここがあまり重要ではないのがこの作品のすごいところではないでしょうか。普通の映画なら、こころの病が癒えたときの感動を謳いあげたりしがちかもしれません。けどこちらは、とりあえず愛し合う一組の夫婦がいて、幼い3人の子供たちがいて、夫の同僚たちがいる。周りには親族が、ドクターが、親友らがいる。みんなで一人の女性の病に振り回されて、夫婦の勝手にも振り回されて、幾度も気まずい中に置かれていくのに、繋がりが一切切れることなく、どうにかなっていく登場人物たちの柔軟さにこそ面白さがあります。ズバっとものを言う西洋の良い面を存分に楽しめ羨ましくもなる人間ドラマでありました。日常にあるさりげないカットがドキュメンタリーみたいにリアルで生々しい。夫ニックの工事現場シーンなどはリアリティありすぎるほどでした。そこに描かれていくからこそ、とても身近な、人の営みの妙を存分に味わえる作品になっているのかもしれませんね。作業員が歌うプッチーニのオペラ、存在感たっぷりの情緒あるピアノ曲。訳もなく沁みるシーンに溢れていて、目が離せませんでした。正気とは思えない短いスカートを履いて、右往左往しているメイビルが痛々しいのだけど、子どもたちを傷つけ不安にさせてもなお、心から愛している母親としての顔が、ほんとうに印象に残ります。まわりの人々が、そんな彼女を愛していることを感じるのが、何よりとてもよかった。考えられないような修羅場に居合わせる子どもたちでさえ、母親を慕って、苛ついて手を上げる父親から彼女を守ろうとします。イライラにヒステリーに、暴力に怒鳴り声。とんでもなく不快な映画のはずなのに、感じるのが「愛」であるこの作品はまさに傑作かも。監督をはじめとする作り手たちの手腕以外のなにものでもありません。半年間の入院を経て、久しぶりに自宅へ帰ったメイビルは、神経質になっている親戚家族の面々に戸惑いながらも、必死に自分を抑えて耐えます。しかし、張り詰めていた糸がブツリと切れた時、再会もパーティも、突然の彼女の奇行でお開きに。来客をみんな帰して、家族5人残された家では、壮絶な狂乱のはじまり。幼い子どもたちも巻き込んで、怒鳴り狂う父、血を流す母。それが愛と確認して静まった時、嘘のような静寂と幸福の時がやっとこの家族に訪れるのでした――ただ愛する夫とふたり。誰にも邪魔されないで過ごすことができれば、心穏やかになるメイビル。人の心の脅威を超えた微笑ましさが、ただただ余韻となって心地よく漂う愛のあるラストシーンなのでした。 『死ぬまでに観たい映画1001本』・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・監督 ジョン・カサヴェテス 製作 サム・ショウ 脚本 ジョン・カサヴェテス 撮影 マイク・フェリス 、デヴィッド・ノウェル 音楽 ボー・ハーウッド 出演 ジーナ・ローランズ 、ピーター・フォーク マシュー・カッセル 、マシュー・ラボルトー クリスティーナ・グリサンティ 、ニック・カサヴェテス
2006.11.20
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考古学研究者の佐々木とネパールから来たクリシュナは、交通事故をきっかけに出会い、共同生活を始めることに・・・。 国境を超えた友情物語をドキュメンタリータッチで描いた意欲作。 映像や衣装も役者さんたちも、いたるところが、1998年製作とは思えないほど古臭さのある作品でした。35mmで撮影したそうです。見る価値があったのかどうか…正直がっかり。ネパールから来た陽気な男クリシュナと、考古学者の佐々木の友情を描いていますが、残るものがありません。クリシュナという名をあえて付けたことに、なにか意味があったのか? まったく伝わらないまま。特典映像には、ネパール人青年を演じたサンジャイのプロモーションみたいなものが収録されていましたが、本編とは関係なし。ただ、ネパールの人々や風景を収めたフォトは気に入りました。人付き合いの苦手な根暗な男が、交通事故をきっかけに知り合ったネパール人の青年と共同生活をして、すこし前向きになる。かなり陽気で惚れっぽいクリシュナも、観てるだけで陰鬱になってくるような加藤賢崇の演技も、どうも好きになれないで残念。ネパールの魅力や人々の魅力を描きたかったのなら、それなら少しは伝わったのだけれど、、。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 監督 高岡茂 原案 飛来はゆく 脚本 太田和司 、高岡茂 音楽 ACHYUTRAM BHANDARI PETER LAI 制作 カトウダイジ 出演 加藤賢崇 、SUNJAY DHYAKO 藤田はな子 、伊藤猛 、螢雪次朗
2006.11.19
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明日最終日ということで、行ってきました。『FIX・MIX・MAX!現代アートのフロントライン(最前線)』 どちらかといえば、古い絵画や彫刻を見るほうが身近だったけれど、こんなふうに、作者の方が会場に居て触れ合うことができる近代アートも、とってもいいものでした。美術館で笑ったのは初めてかもしれません。可笑しな作品が多く、意味不明なものもあり、驚かされるようなアイディアの空間もたくさんありました。狭い闇の空間を巧く利用した入り口が、まず心を捉えます。扉が開かれるたび、何があるものやらわからなくてドキドキして、まるで「注文の多い料理店」状態です。(そこまで扉の数は多くないけれど、)入場者には美大生が多かった中、ひとりお坊さんもおられました。きっとお世話になっているなんぜんたろうさんもこんな感じで鑑賞なさっているのかもしれないなと思いながら、観ておりました。真っ暗い個室。外のような空間。床には落ち葉が敷きつめられていていい匂いがします。闇の中でスケッチする手だけがテーブルの上で光っていて、遠くには小さな月が出ているよう…「黎明への深夜過ぎ」という、真砂雅喜さんの作品です。手だけが出ているそのベンチの反対側には、蝋人形がひとりじっと座って暗い壁を見つめています。と思ったけど、後からもう一度その空間へ入ってみるとなくなってる!人形と思ったのは、鑑賞中の方だったんです。近づいてまじまじと見つめていたのに、身じろぎひとつしないなんて、よっぽど作品の雰囲気に深く入り込んでいたのでしょうね。驚きました。それくらい何があるかわからない面白さがありました。出口には、似顔絵で有名な黒田晃弘さん、京都在住のアーティスト祭太郎さん、そして高幹雄さんによる似顔絵コーナーがありました。1000円で3人にそれぞれ似顔絵を描いてもらえるということで、すこし混んでいましたが、なかなかないチャンスなのでお願いしました。真ん中が似顔絵のプロ黒田さんの作品、息子です。右がわたし、左が娘。どちらも祭太郎さんの作品です。似てるかなぁ。相方が見て、祭さんの絵はどちらも娘だと思ったそうです。私と知って大笑い。「ナナより幼い」と言っては笑っていました。わたしも黒田さんに描いていただきたかったな~高さんの場所はちょっと混んでたので、祭太郎さん二枚になりました。
2006.11.18
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初期のチャップリン映画。笑いにペーソスを織り込む、諸名作の原典ともいえる作品。浮浪者チャーリーは職安に出かけるが、周りの連中との競走に敗れ、職は決まらずじまい。ふて腐れる彼の前にやがて野良犬同士のケンカが始まる。一匹の犬に自分と同じ姿を見出したチャーリーは、たまらずにその犬を助け出し、彼と犬との共同生活が始まって行く……。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30分の短編。チャップリンらしい悲喜劇の繰り返しに、体を張った笑いが多く盛り込まれています。なんでもないように見えて、実は神業と言えるようなカットがいっぱい。柵を使った警官とのバトル、職安での立ち回り、泥棒を二人羽織で騙すシーン、どれも名場面ですね。バーの若手歌手(エドナ・パーヴィアンス)が歌う懐メロに聴き惚れている客のおば様が、蛇口をひねったように泣くのですが、このちょちょ切れ涙、チャップリンが原点なのかもしれませんね!こんなに古い作品で見られるとは思いませんでした。喧嘩に負けている弱気な捨て犬を自分と重ね合わせ、たまらず拾って一緒に暮らし始めたチャーリー。一人と一匹はどこへ行くにも一緒です。破れたズボンの穴から、わんこの尻尾がゆらりと飛び出して、すれ違う人々を驚かせてみたり、置いてある太鼓を叩いてみたり、コンビネーションの良さに笑いました。バーで愛らしい新米歌手と知り合ったチャーリーは、彼女に恋して「お金はあるから、一緒に田舎暮らしをしよう」と誘います。実はそのお金、二人組の泥棒が酔っ払いからスッて隠しておいたものを、わんこが偶然‘ここほれわんわん’と掘り起こしたのでした。泥棒に見つかって取り返され、また取り返しては取り返され……他人を巻き込んだ騒動の結末は、わんこの活躍でちゃっかりハッピーエンドと相成ります。片田舎に拡がる大きな畑。そこにはひとつずつ丁寧に種をまくチャーリーの姿が。食事時には可愛い妻が、温かな部屋で手料理を用意して待っています。――これぞ幸せの情景。そのかたわらには、相棒のわんこが子犬たちに囲まれている姿が絵に描いたように微笑ましいのでした。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 監督 チャールズ・チャップリン 出演 チャールズ・チャップリン 、エドナ・パーヴィアンス チャック・ライスナー 、ヘンリー・バーグマン シド・チャップリン
2006.11.14
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激動のビルマを舞台に、ひとりのアメリカ人女性の生への闘いをダイナミックな筆致で綴った実話の力作。1988年、姉に連れられてビルマ(現ミャンマー)にやって来たローラ。強盗に夫と子供を殺された彼女の心は暗く閉じているが、現地のガイド、アウン・コーとの出会いがローラに変化をもたらしていく。しかし検問でローラをかばったアウン・コーが逮捕されそうになり、彼女は命がけで救出し軍からの逃れ、ふたり国境を目指す過酷な逃亡が始まるのだった……。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ アウンサンスーチーという女性の名をよくニュースで聞いていたのは、この頃だったのかもしれません。ミャンマーの民主化を求めて、銃口に素手で立ち向かった勇気ある女性。軟禁されたり開放されたりを繰り返していることは、報道番組などでその都度聞いていましたが、現在でも自宅軟禁状態であり、ミャンマーの軍事独裁政権が続いていることはよく知らないままでした。数千人に及ぶ学生や市民が虐殺された80年代激動のミャンマーで、ツアー旅行に参加していたアメリカ人女性ローラが体験した実話の映画化です。社会派のアクションドラマで、脚色も多いとは思いますが、当時のミャンマー(ビルマ)を知るにはかなり大きな役割を果たすのではないかと思います。それゆえ、劇場未公開だったことも、DVD化されていないことも残念です。強盗に夫と幼い息子を殺され、心に癒えない深い傷を負っている女医のローラ。僧侶たちの姿、軍事政権に立ち向かう民衆の力強さ、そして何よりも国民の中心となり軍力に屈せず闘う勇敢なアウンサンスーチーとの偶然の出会いが、次第にローラを変えはじめます。国の情勢が日に日に悪化するミャンマー。出国前日、雑踏でパスポートを紛失したローラはひとり、不穏な状況下で足止めを食うことになります。再発行されるまでの数日。その数日が、恐ろしい悪夢へと化すのでした。観光中のローラと逃亡中のローラ パトリシア・アークエットが熱演しています雇ったもぐりの観光ガイド、アウン・コーは、じつは元大学教授であり、民主化運動で投獄された過去があります。彼を通して知り合った学生らとともに、タイまで逃げ延びるまでの決死の逃亡劇。容赦なく銃口が向けられる逃げ場のない恐怖が恐ろしかった…デモを起こしても軍力にはかなわず殺されていく市民たちには、救いがありません。異国の地にもかかわらず、今なにが正しくて何が間違っているのか、自分の生き方まで瞬時に見つめなおした彼女の強さには目を見張りました。亡き家族の元へ逝きたいと望んでいたローラが、今は正義を信じて他民族と共に闘っている――その姿は、人種を越えているし、並々ならぬ強い勇気ある行動であることが、観る者の心を動かします。主演のパトリシア・アークエットは演技派の好きな女優さんです。「トゥルー・ロマンス」の娼婦役が有名ですね。聖痕がテーマのホラー「スティグマータ」はB級でありながら彼女の印象がとても残る作品でした。こちらでも、異国の地で、いつ殺されるかわからない恐怖を、全身で演じているので注目です。喪失感から、生きようとする気持が持てなくなっていた女性が、困難な中でも精一杯前向きに生き抜いているミャンマーの人々に出会って変わっていく――リアルで、尺も短く、ローラとアウン・コーの間に友情が芽生えるあたりは展開が早すぎるように感じましたが、全体通して充実した内容となっています。隠れた佳作といえるのではないでしょうか。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 監督 ジョン・ブアマン 製作 バリー・スパイキングス 、エリック・プレスコウ ジョン・ブアマン 製作総指揮 ショーン・ライアーソン 脚本 アレックス・ラスカー 、ビル・ルーベンスタイン 撮影 ジョン・シール 音楽 ハンス・ジマー 出演 パトリシア・アークエット 、ウー・アウン・コー フランシス・マクドーマンド 、スポルディング・グレイ アデール・ラッツ 、チャーリー・ブアマン
2006.11.12
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小説を読んで久しぶりに溜息がでるほどの感慨のなかにいます。今の自分が知りたいこと、今の自分が求めてるもの、それがほとんど集約されてあるような物語でした。「深層意識への道 グーテンベルクの森」で知った本で、クリスチャンだった遠藤周作の宗教観が、何もわからないなりにすごく身近でした。ぼんやりと抱き続けてきた思いや疑問は、登場人物・大津の生き方が答えでもあるようで・・・短い本なのにすごく深く、インドの匂いまで感じるようです。 愛を求めて、人生の意味を求めてインドへと向かう人々。自らの生きてきた時間をふり仰ぎ、母なる河ガンジスのほとりにたたずむとき、大いなる水の流れは人間たちを次の世に運ぶように包みこむ。人と人のふれ合いの声を力強い沈黙で受けとめ河は流れる。 癌で死んだ妻の生まれかわりをインドで探す磯辺、人生に冷めている美津子、童話作家の沼田、戦時中ビルマのジャングルで戦った木口――それぞれの理由と目的を抱いて、インドツアーに参加した人々の物語です。仏教の誕生した国でありながら、今ではヒンズー教徒がほとんどを占めるカースト制度の残る国。舞台はなぜインドなのでしょう。それは読むとすぐに分かりました。死を連想させる国の大河で、彼らが感じたこと見たものは、まさにインドでなければならないこと、来るべきして来たんだと。TVや本で見るガンジス河の濁った流れが、読んでいる間中ずっとちらついて、きっといつか自分も行きたくなるような気がしました。この本を読んだだけでインドが大嫌いになる人もいるのかもしれません。でも私にはさらに惹かれる国になりました。どの人物もおざなりになることなく描かれる中、美津子の周囲に登場して誰よりも印象に残ったのが大津という男でした。カトリックの家に生まれ、敬虔なクリスチャンで真面目で人の良すぎる大津は、大学時代に美津子に誘惑され棄てられた過去があります。あまりに情けなく描かれる大津は、東洋的な観念を西洋ではねつけられ、いつまでも神父になれず、最後にやっと辿り着くのがインドの修道院なのです。道端でのたれ死んでいく者を担いで、川辺にある火葬場へ運ぶ毎日。やっと神父になれても、それを隠して河へ通います。大津に会うためにはるばるインドまで来た美津子には、最後までその不器用な生き方は理解できません。ただ彼が信じ続けた‘神'についてはやっと理解できるのでした――宗教のことは、私には難しくてわかりません。ただ宗教が戦争を生んでしまうのはとても悲しい。大津が求めた神は、どんな宗教にも存在している神でした。どこにでもいて、どの宗教の中にもいて、まるで輪廻していくように人々の心に宿っているもの。‘玉ねぎ’と呼んだっていいと言いました。彼のように生きる人がいたら、それは本当にすごいと思います。どの宗教がいいとかではなく、彼の辿り着いた考えをみんなが持つことができたら、きっと争い事は減るのではないでしょうか。知りもしないでハチャメチャに書いてしまいましたが...そう感じました。輪廻転生のこと、インドという国の魅力。私がいま知りたいことが次々物語に登場して、夢中で読み進めました。河合隼雄さんおすすめなだけあって、氏の物事の捉え方と共通したところが多かった気がします。心のもっと奥に魂というものがあるとして、そこに響いてくるような、そんなずっと大切にしたい本になりました。
2006.11.10
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映画好きでなくても皆知っている、シンデレラ・ストーリーの定番です。ウォール街きっての実業家ルイスが、気まぐれに一週間のアシスタント契約を結んだコールガールのビビアン。しかし、彼女は瞬く間にエレガントな女性に変身。その美しさと勝気な性格にルイスは次第に心魅かれていくのですが……。先日BSでは珍しく、ハリウッドヒット作のこちらが放映されると知って、懐かしさのあまり続編の「プリティ・ブライド」と合わせて録っておきました。記憶に浮かぶシーンは幾つかあるけれど、細部はすっかり忘れています。知らないシーンもあったし、際どいシーンの多さに驚いたし、なによりささやかにダークな気分になる内容だったことすら忘れていました。学生の頃以来、久々の鑑賞ですが、ジュリアとギアの官能的なシーンは、どう考えても小中学生には早いくらいでした……ビビアンの陽気な笑い声や笑顔の裏では、ブティックでドレスを売ってもらえなかったり、ルイスの同僚に娼婦扱いされたりする辛い出来事があります。そこを前向きに健気に乗り切っていくビビアンにも、演じた若き日のジュリア・ロバーツにも好感もてました。買ってもらった洋服で着飾ってぐんぐん素敵になる姿は観ていてハッピー。女の子なら誰だって思う存分オシャレがしてみたいと心のどこかで必ず思っているはず。お店丸ごと買っていいよ、と言わんばかりのリチャード・ギアがまたキザです(笑)下品で口の悪い彼女ですが、飾らない姿に魅力を感じる人も多く、愛されるキャラなのも人気のひとつですね。ルイスが宿泊する超一流ホテルの支配人(ヘクター・エリゾンド )は、彼女にテーブルマナーを教えたりします。目を見張るほど美しくエレガントに変身していくビビアンを、遠くから微笑ましくみている支配人は、ルイスとの恋のキューピット役にもなるキーパーソン。客室係の青年とか会社関係の人々など、脇役の存在感もよく、映画として良くできていたんだってことも、今回はよくわかりました。この泡ブロはかなり有名なシーンですね!ところで、大人気の反面‘絶対に許せない’という感想も多いようです。お金でコールガールを買って、服飾品をいっぱい与えて、最後には「ニューヨークに戻るけど部屋を借りるからたまに会おう。体を売らないですむ」なんて言うルイス。たしかに酷いといわれても仕方ないような内容ではありますよね…この映画。すでに互いに惹かれあっているけど、プライドからビビアンはその申し出を断り、一週間の契約金を受け取って高校に通い直すことを決心します。そしてあとはもう、超有名なあのラストシーンが待つばかり――ボロアパートで旅立ちのバスを待つビビアンの元に、リムジンに乗って彼がパラの花束を持って迎えにくる。16年も前の作品を久しぶりに大人になった目で見るというのも、いいものですね。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・監督 ゲイリー・マーシャル 製作 アーノン・ミルチャン 、スティーヴン・ルーサー 製作総指揮 ローラ・ジスキン 脚本 J・F・ロートン 音楽 ジェームズ・ニュートン・ハワード 出演 リチャード・ギア 、ジュリア・ロバーツ ローラ・サン・ジャコモ 、ラルフ・ベラミー ジェイソン・アレクサンダー 、ヘクター・エリゾンド エリノア・ドナヒュー
2006.11.09
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瀬戸内の小島で大阪の芸者・ふみと出会った寅次郎。生き別れの弟に会うのをためらうふみをけし掛けて、寅次郎は一緒に会いに行く。しかし、弟はもはやこの世にはいなかった。悲しむふみに寅次郎はなにもしてやれなくて……。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 久しぶりに寅さんシリーズを書きます。24作目からアップしないでいましたが、相変わらず楽しく観ています。こちらは27作目。また寅さん~ という感じですがしばしお付き合いくださいねマドンナは松坂慶子さん。この年こちらと「青春の門」に出演してブルーリボンと主演女優賞を総なめにしています。キラキラ輝いていて存在感あって、あまりに美しい姿とお声には男でなくてもうっとりしてしまいますね。そんな松坂さんが演じる‘ふみ’に、頼られ思慕を寄せられる寅さんはかなりの幸せ者・・・のはずでしたがそう巧くはいかないのがこのシリーズの宿命です。芸者のふみは幼少の頃生き別れた弟に会うため、寅次郎に付き添ってもらい職場を訪ねていくのですが、僅か前に発作で倒れてこの世を去ったと聞かされるのです。仲間達に手厚く葬られ、可愛い恋人までいた弟に、孤独ではなかったと安心するふみでしたが、心の支えであった唯一の肉親を亡くした彼女は、喪失感でいっぱいになります。その夜、芸者の仕事も手に付かず酔ってふらりと寅次郎のいる旅館を訪れたふみは――「寅さんの膝で泣いてええ?」絶世の美人が倒れこむように寅さんの膝に泣き崩れるシーン。もうとっても艶っぽくてドキドキで、どうするの!寅さん!とこちらまで動揺・・・もちろん頼りになる寅さんはそつなく場を逃れますが、一緒に寝るわけにもいかず、寝息を立てるふみを一人残しその部屋を去ってしまいます。小さな行き違いから叶いかけていた恋がダメになるパターン、幾度目でしょうか。ほんとに切ないですね~再会を果たすことがいつも救いでありますが、今度はヒロインが婚約したことを話すために‘とらや’を尋ねてくるからたまりません。失恋には慣れっこの寅さんでさえ、今度の仕打ちは辛くて辛くて、ひとり部屋に帰ってグチとも文句ともつかぬ台詞を言うあたりは、シリーズでも珍しいシーンなのではないでしょうか。ふみがわざわざやって来たのは、もう一度顔が見たかったから会いたかったからだと、寅さんは何時ごろ気付いたのでしょうね~結局は、2度目の再会が用意されていて、吹っ切れた寅さんの満面の笑顔がみられるいつもの後味の良いエンディングを迎えるわけですが、そんな寅さんの前には涙ぐむふみの顔が……切なさを誘います。台詞のよさ、脚本のよさがより多く感じられた27作目。大阪での物語は、言葉の楽しさから始まり、関西人と関東人の恋愛観の違いにまで及びます。引き際が肝心なのか、バカといわれてもアホといわれても地獄の底までついていくのか……どっちもいいけれど、北国の私は引き際かと思ってしまう方かもしれません。。でも寅さんもそうだからこの恋を失ってしまったのですね~~この回から満男役が吉岡君に変わりました(どうしても‘くん’を付けてしまう)前の年の作品で山田洋二監督の「遥かなる山の呼び声」に出演していた彼。きっと監督がピンときたのでしょうね。満男はこれから存在感が増して、最後の方には寅さんと満男のツーショットを多く見る事になります。これまで演じてきた子は、ただ撮影所の近くに住んでいた子だそうで、吉岡君になってなかったらと思うと少しこわいかも。交代があって良かったと思います。この翌年から「北の国から」の撮影が始まったのだそうです。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 原作・監督 山田洋次 製作 島津清 、佐生哲雄 脚本 山田洋次 、朝間義隆 音楽 山本直純 出演 渥美清 、倍賞千恵子 、松坂慶子 、吉岡秀隆 下絛正巳 、三崎千恵子 、前田吟
2006.11.08
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越して来て2ヶ月。紀伊国屋など、大きな書店へ行きやすくなったのも嬉しいことです。たくさんの本。タイトルを見ているだけで楽しくなりますね。昨日も本好きな娘を連れて雨の中、大きな書店へ出かけてきました。今まで、実家に帰る時には必ず足をのばしていたお店がこちらコーチャンフォー。札幌にも2店舗あって、どこの企業がやっているのかと思ったら、釧路が本社の道内企業でした。大きな本屋に、画材道具、専門的な文具や和紙、雑貨、銀座 伊東屋なども入った総合店。雑貨や伊東屋は面白く、充実していて見応えあって、男の書斎をテーマにした売り場が、女のくせにとても好きだったりします。いつか相方の部屋をこんな風にしようと心の中で妄想しながらウィンドウショッピング。ところで探していたのは、この「魔女からの手紙」という児童書。著者は「魔女の宅急便」の原作者で有名な角野栄子さんです。3年前まで住んでいた町の図書館で、まだ小さかった子どもたちの為に借りて読んだのが初めてでした。今から3~4年前のこと。20人の画家が描いた絵と、つかみ所のないキュートな内容と、ちょっとした仕掛けが面白くて、子ども達より私がより気に入った本でした。それから引っ越して、なんとなく思い出しては、新しい町の図書館で探したり、出先の書店で探したりしていましたが、どうしても買いたいわけではなく、もう一度手にとって読みたいな~と気ままに探し続けて見つからなかった一冊でした。この度、やっぱり欲しい気持が募って、レジ横のPCで検索したら、ちゃんとあるではありませんか~もっと大きな本だと記憶していたのに普通サイズ。カスレちゃんという魔女にとどいた20人の魔女からの手紙。現在活躍中の著名な画家陣が魔女のイメージで描いた絵に角野栄子が手紙文をつけた注目の絵本。 〈画家陣〉 荒井良二/ディック・ブルーナ/いとうひろし/大島妙子/鴨沢祐仁/和田誠/市川里美/五味太郎/黒井健/児島なおみ/スズキコージ/橋本淳子/国井節/長新太/高林麻里/宇野亜喜良/西巻茅子/杉浦範茂/スーザン・バーレイ/太田大八/ ある日、ヤヤのもとに手紙が届きます。見たこともない切手が貼られた古びたその手紙は<ふもりカスレ>宛て。カスレって、ヤヤのひいおばあちゃんです。ヤヤはおばあちゃんから聞いていた、カスレさんの不思議なお友達のことを思い出します。さっそく、薄暗い屋根裏部屋に上って、眠っているカスレさんの思い出の品を開くと……そこには20通の不思議な手紙が入っていました。頁をめくる度に、鮮やかに、可愛らしく、奇妙に、視覚を楽しませてくれるこの絵本。書いてある内容は、どれも取り留めなくて、カスレちゃんが受け取った‘魔女からの手紙’の意味不明さや可笑しさがいっぱいです。久しぶりに読み聞かせたら、やっぱり4年前と同じところで笑う子どもたち。そして自分が好きな頁も変わっていません。ささやかな仕掛けがさらに味わいある一冊にしています。 月のおでこにはこの言葉。ツカ ツカチャツキ ツカチャワレ ツカチャソレ ツカチャそして小さなしかけ扉には――ここはさかいめもりのはじまりやみふかくひかりさえるふしぎあっていのちあってなんともいいではありませんか。幾ばくかのダークさが私をトリコにしているのかもしれません。本の終わりには封筒が付いていて、それぞれの絵に貼られていた切手がシールになってついているのも、子どもは喜ぶかも「魔女国特製切手シール」だそうです。漢字の多い頁もありますが、全部ふりがな付きなので、小さいお子さんでも読めると思います。大きな本屋さんの児童書売り場へ足を運ぶ機会がありましたら、是非一度手にとってみてはいかがでしょうか。
2006.11.07
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トム・ハンクスとメグ・ライアン共演「ユー・ガット・メール」の元ネタとなった作品。プラハの雑貨店で販売主任をしているクラリック(ジェームズ・ステュワート)は、いきなり店にやって来ていつの間にやら店員として居座っていたクララ(マーガレット・サラヴァン)と反目しあってばかり。彼には会うのを楽しみに文通する女性がいて、そしてクララにもまだ見ぬ文通相手がいた。しかし、いざ蓋を開けてみると……。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ お世話になっているタケ88フミさんが、先日紹介してらした作品です。面白そうだったので早速オンラインでレンタルしてみました。ルビッチ監督作は初鑑賞。とても評価の高い有名な方なのですが「ニノチカ」しか知りませんでした。たくさん撮っている方なんですね!好人物というイメージのジェームズ・スチュワートが、優しいやりての男を演じ、ほのぼのした恋愛劇を見せてくれます。お相手はマーガレット・サラヴァン。可愛らしくて、スチュワートに負けないくらい良く動く口で掛け合うところなんか、とても楽しむことができました。「一緒に働いていても、なぜか犬猿の仲のふたり」クラリックは長年店で働いてきた販売主任。最近、気難し屋の店主(フランク・モーガン)から事あるごとに冷たくあしらわれ当惑する日々を送っています。そんなある日、彼の元に客を装った職探し中の娘が現れます。彼女は持ち前の達者な口舌で、いつの間にかクラリックの部下として店の一員となるのですが、なにかとふたりはかみ合わず、喧嘩ばかりの日々となるのです。それぞれには想いを寄せる文通相手がいて、似ても似つかない互いにイライラしているのですが……実は、その相手こそ紛れもなく自分たちなのです。どたばた恋愛劇の行方は、ご覧になってのお楽しみ。「オルゴール付き煙草ケースでもめる店主とクラリック。この煙草ケースも最後まで粋な小道具として登場します」店主がなぜ突然クラリックに冷たくなったのかは、納得できる理由が中盤で明かされることとなります。こういったささやかなサプライズが好きです。驚きました~めまぐるしく変わる店の様子とか、年末の忙しい店内とか、映像もおはなしも流れる流れる。心温まるストーリーには勢いがあり、お決まりのハッピーエンディングまであっという間でした。大の男が、まだ見ぬ文通相手に心トキメかせる姿なんて、今ではちょっとみられない光景ですね。クララのほうも、まだ顔も知らない相手と婚約する気満々でいたりして。昔のプラトニックな交際風景がとにかくほのぼのさせてくれました。文通の相手が誰かを知ってしまうタイミングもいいですね~お店の従業員たちはそれぞれ個性的で、昔のアメリカ映画特有の善良さがいっぱい。これからの季節、雪の日やクリスマスに観るのも素敵な作品かもしれません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・監督 エルンスト・ルビッチ 製作 エルンスト・ルビッチ 原作 ニコラウス・ラズロ 脚本 サムソン・ラファエルソン 撮影 ウィリアム・H・ダニエルズ 音楽 ウェルナー・リヒャルト・ハイマン 出演 ジェームズ・スチュワート 、マーガレット・サラヴァン フランク・モーガン 、ジョセフ・シルドクラウト フェリックス・ブレサート 、ウィリアム・トレイシー
2006.11.06
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敗戦直後の東京を舞台に描いた青春音楽ドラマ。かつての敵国アメリカ進駐軍を相手に演奏する希望に満ちた5人の若きジャズメンが、様々な問題に直面しながらも、アメリカ兵との交流や音楽を通して成長していく姿を、リアルな戦後風景の中に力強くエネルギッシュに描く。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ リアルな戦後の風景が印象に残る作品でした。戦後生まれの監督ですが、今までに見たことがなかった視点から風俗が描かれていて新鮮でした。誤りのないよう、注意深く作り上げた、CG一切なしの戦後日本。それが現実か、間違いが含まれているのかは判りかねましたが、きっと当時の日本はこんなふうではなかったかと思いながら見ていました。孤児が生きるために集団を作ってたむろする姿、アメリカに媚をうる者、兵士だったことから抜けきれないとち狂った飲んだくれ、お金のため身体を売って生きる娼婦たち、そして自国を負かしたアメリカ兵の為にジャズを弾く主人公の若者たち……その葛藤と青春を、時代の移り変わりの中に描いた作品です。とにかくリアルに良くできた情景でしたが、音楽映画にもかかわらずダメな音楽と歌が、この作品を一番ダメにしているような気がします。トランペッターを演じたMITCH以外は、初めて楽器を演奏する役者さんばかりだったそうです。高い報酬に惹かれて素人同然でバンドに入った者もいれば、大好きなジャズをやることが目的の者もいるという設定。演奏がダメなのはストーリー上違和感ないのですが、白けさせるのは残念。「スウィング・ガールズ」の演奏とか「ウォーターボーイズ」の演技とか、少し趣旨は違ってしまいますが、本気の見せ場が見応えあるだけで、映画の感想としても変わってくることがあると思います。情熱やエネルギーなどはあまり感じません。困難な時代に生きた若者を中心にして描いた群像劇に、小さな笑いとか悲しみとか別れとか再会を織り込んだ物語。アメリカ兵との友情物語など、ありがちな内容で残るものは少ないけれど、魅力ある俳優陣の演技がみられるのは嬉しいです。邦画に出演する外国人俳優さんは、浮いて見えることが多いですが、この作品でははまっていて好印象です。ちゃんとした役者さんを起用したからであるかもしれませんね。オダギリジョー、松岡俊介、村上淳は好演。トランペッターであり、映画初出演のMITCHは存在感大きくよかったです。主人公の萩原聖人だけは、いつもと変わらぬ演技と眉間に寄せるシワの一本調子で、お世辞でも上手いとはいえないかも……。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 監督・脚本 阪本順治 音楽監督 立川直樹 出演 萩原聖人 、オダギリジョー 松岡俊介 、MITCH 、村上淳 ピーター・ミュラン 、シェー・ウィガム
2006.11.01
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