お霊参り2
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上松さんが子供のころの話である。八月に入って間もない頃、学校の近くの森の中を仲間とともに歩いていた。目的は、上級生から聞いた噂を確かめるためである。森の奥に石でできた箱があるのだが、それは古代の棺桶で、中にはミイラが入っているというのだ。二十分ほど歩いたところで、木々の間からそれらしきものが見えてきた。鉄柵に囲まれていたが、難なく乗り越えられた。一辺が一メートル程度の正方形の石の箱。高さが、上松さんの胸あたり。蓋に使われているも同じ石で、厚さが十センチほどあり、押したくらいではビクともしない。全員で力を合わせ、少しずつ、少しずつ動かすと、ようやく隙間が空いた。上松さんはリュックサックから懐中電灯を取り出すと、箱の中を照らしてみた。中には古びた布が一枚と、茶碗のような容器が一つ。急につまらなくなり、帰ることにした。来た道を引き返すと、背後の石から音がした。振り返ると、蓋が動いている。蓋が閉まる最後の瞬間、下から押し上げている手が見えたそうだ。とても小さい手だったという。
2019.08.04
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