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フランス映画の大スターだったアラン・ドロンさんが18日にお亡くなりになりました。88歳でした。フランス人には珍しい親日家で、何度も来日しています。 これまでにも「アラン・ドロンの魅力」や「アラン・ドロンの引退」のタイトルで何度か書きましたが、今日は訃報記事です。 アランドロン Alain Delon 1935年11月8日 - 2024年8月18日 アラン・ドロンさん。私が小学校低学年の頃に姉が読んでいた芸能雑誌で、映画は見てなくても、その名前と顔はよく知っていたほどの大スターです。 初めて見たのは1968年の、「あの胸にもういちど」か「太陽が知っている」か「世にも怪奇な物語」か、そのどれが最初か記憶がないけれど、おそらくどれかです。「太陽がいっぱい」(60)で人気映画スターになり、「地下室のメロディー」(63)が話題となり、1966年頃にはアメリカ映画に進出して「名誉と栄光のためでなく」「泥棒を消せ」「テキサス」などに出演したが、あまりうまくいかなかった。1967年の「サムライ」と「冒険者たち」で復活し、アラン・ドロンはやはりフランス映画でないとなー、とファンを安心・納得させました。 1968年から69年頃に自身のマルコヴィッチ殺人事件という大スキャンダルをうまく利用して、自分の「悪」のイメージ作りに成功しました。現在の映画界では、とくに日本映画界では思いもよらないことではないか。 当時、私が愛読していた映画誌「スクリーン」と「ロードショー」では新作が封切られるたびに特集記事が組まれ、そして「アラン・ドロンの新作映画」を期待して上映館へ見に行った。映画誌の読者人気投票でも、スティーブ・マックイーンと第一位を競う、トップ争いの常連スターでした。「さらば友よ」(68)「シシリアン」(69)「仁義」(70)「レッド・サン」(71)は私にとってはベスト級の作品。比較的新しい?「フリック・ストーリー」(75)も傑作だと思っています。
2024年08月21日
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英国の冒険小説家アリステア・マクリーンの「荒鷲の要塞」ハヤカワ・ノヴェルズ版を懐かしい思いで読んでいます。 これまでに同じことを何度も書いていますが、映画が公開される直前の昭和43年12月、新刊を書店で目にして買ったのがアリステア・マクリーンを知った最初です。 今回、古本で買ったのは昭和44年10月31日第4版で、初版から1年後くらいのものです。50年以上も経った本にしてはシミや傷みが少ない。かつて買った初版はとっくに処分してしまったけれど、現在まで持っていたとしても、状態は何倍も悪くなっていることでしょう。「荒鷲の要塞」アリステア・マクリーン ハヤカワ・ノヴェルズ版 平井イサク 訳 定価360円 文庫化されたのが昭和51年12月31日で、ブックオフの108円コーナーで見つけて買ったのは、昭和61年6月30日七刷 定価420円の文庫本。 このハヤカワ・ノヴェルズ版とハヤカワ文庫版を読み比べてみると、何か所かで文章の修正や単語の言い換えがなされています。最も目についた大きな修正は、 早川ノヴェルズ版 ハヤカワ文庫版 シュマイザーの自動ピストル → シュマイザーのマシン・ピストル (野鹿亭にドイツ軍が踏込んで来た場面) 虎戦車 → ティーゲル戦車(郵便バスで脱出する場面) です。「シュマイザーの自動ピストル」の「自動」に「マシン」と振り仮名があるので、原文はマシンピストルとなっているのだと思いますが、「自動ピストル」と訳されています。「短機関銃」のことを、ドイツではマシンピストル、イギリスはマシンカービン、アメリカはサブマシンガンと云うらしい。「八点鐘が鳴る時」では、マシンピストルを初めは「機関拳銃」、クライマックス場面では「短機関銃」と訳されている。翻訳の矢野徹さんはラストで海兵奇襲隊員が格好良く現れる場面のために「短機関銃」という言葉は最後までとっておきたかったのだと書いています(訳者あとがき)「荒鷲の要塞」のラスト場面に「軽機関銃」という語が出てきますが(ノヴェルズ版、文庫版共に)、「ステンガン」と振り仮名があるので原文は「ステンガン」らしい。ステンガンはイギリス軍の短機関銃の名称で、マシンカービンでもサブマシンガンでもどちらでも良いのだろうけど、これをまったく別物の「軽機関銃」と訳するのは間違いです。 ノヴェルズ版と文庫版の、他に目につく違いでは、ゲシュタポのフォン・ブラウヒッシュ大尉がヘリコプターのパイロットがいないのを不審に思い、衛兵に「パイロットを見かけたか?」と問う場面で、衛兵が「いいえ、少佐殿」と答えるのを、「いいえ、大尉殿」に正しく直されている。 階級の誤記は巻頭にもあって、ランカスター爆撃機の機長 カーペンター空軍中佐を副操縦士のトリメーン中尉が「大佐」と呼ぶのだが、修正されずに文庫本でも「大佐」のままになっています 小説「荒鷲の要塞」。シベリアのボイラー工場の方がましだという、英軍のランカスター爆撃機が吹雪の視界不良をついて夜間飛行する場面から始まり、目的地への落下傘降下、ドイツアルプス軍団が駐留する山麓の村への潜入、シュロス・アドラー(鷲の城)にケーブルカーの凍って滑る屋根上にへばりついて侵入、目的を果たして郵便バスで逃走、オーベルハウゼン飛行場に迎えに来たモスキート爆撃機で脱出するまでの話を、映画では描き切れない、舞台となる山岳地帯の雪に覆われた極寒の大自然や、登場人物の心理的内面やキャラクターを細部まで描出しています。 冒険スパイアクション映画の傑作「荒鷲の要塞」を120(150、200?)パーセント楽しむには、この原作小説「荒鷲の要塞」は欠かせないのではないでしょうか。
2024年08月15日
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「街の書店が消えてゆく」「書店の減少に歯止めがかからない」「書店のない市町村」などと云われています。私が住んでいる地域では、近くにある大型ショッピングモール内にある書店のみになっていて、買い物の際に立ち寄っても、本を買うことがありません。読みたいと思うような本が一冊もない。昔は本屋が街に何店もあり。その各店の雰囲気が好きで、読みたい、興味のある本がたくさんあったはずなのに。 こないだからネット通販Amazonで、かつて持っていて、うかつにも処分してしまった冒険小説の古本を何冊か買いました。 英国の冒険小説家アリステア・マクリーンの作品で、「八点鐘が鳴る時」「荒鷲の要塞」「北極戦線」「最後の国境線」「北海の墓場」の早川ノヴェルズ版です。「八点鐘が鳴る時」148円 昭和43年12月15日初版「北極戦線」61円 昭和47年3月15日4版「最後の国境線」99円 昭和43年9月15日初版「荒鷲の要塞」1283円 昭和44年10月31日4版「北海の墓場」99円 昭和46年12月31日初版 の5冊。 1冊が数十円からの安い価格で買えたのですが、送料が1冊につき250~300円くらいかかります。「荒鷲の要塞」のみが1283円と、他に比べて高額なのは人気作だからか?「ナヴァロンの要塞」など2000円以上の価格が付けられています。 このような本は現在はすべて絶版で、書店では買うことができない。古本屋で探すしかありません。 これらの本が書店の棚に並んでいたのは、1970年頃です。あの頃は冒険小説、ミステリ小説、時代小説など、読みたいと思う魅力のある本がたくさんありました。 他に先日、ブックオフの110円コーナーで、柴田錬三郎の時代小説「人間勝負」新潮文庫(上下巻)と「血汐笛」講談社文庫。西村寿行の「帰らざる復讐者」角川文庫 を買ったけれど、このような柴田錬三郎さんや西村寿行さんの本なども、今の書店で買えないのはなぜだろう? 今の書店には、近年の新しい作家の、新しい作品しか置いてありませんね。 アリステア・マクリーンの「荒鷲の要塞」は1968年12月に、映画が公開される直前だった時に、私が初めて買った小説単行本で、定価は360円。それまでは学校の図書室にある本か、学研と旺文社の学習雑誌の付録にあった薄いダイジェスト本しか読んだことがなかった。 その後、今回古本で買った作品を含めて、「ナヴァロンの要塞」「ナヴァロンの嵐」「黄金のランデブー」「麻薬運河」「軍用列車」あたりまでは刊行されるたびに買って読んだけれど、ジャック・ヒギンズやギャビン・ライアル、ディック・フランシスなどを知ることによって、マクリーンの新刊を買わなくなっていきました。
2024年08月07日
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