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映画「静かなる男」(52)、ずいぶん昔にテレビ洋画劇場で見て以来、数十年ぶりにDVDで鑑賞したのですが、これは素敵な映画でした。 前に見た時はそれほど感銘を受けなかったけれど、年齢を重ねた現在では、このような素朴で暖かい作品が好みになったようです。 くどいようですが、「静かなる男」のジョン・ウェインさんはけっしてミスキャストではありません。 ミスキャストだとおっしゃる人はゲイリー・クーパーだったら良いとのことですが、ジョン・フォード監督作品でゲイリー・クーパーの出演はありえないし、考えようもないことです。ジョン・フォード監督はゲイリー・クーパーを好みの俳優ではなかったのか使ったことがないですね。「静かなる男」が成功したのはフォード監督と息の合ったジョン・ウェイン主演、モーリン・オハラ共演だからこそだと思います。 ジョン・フォード John Ford 1894年2月1日生まれ、1973年8月31日没 アメリカ/メイン州ケープ・エリザベス出身 ジョン・フォードは私の年齢以上の人、父親たちの年代の映画ファンに馴染みがあったようで、私の年齢ではリアルタイムでその作品に接しようがなかった映画監督です。 かろうじて「シャイアン」(1964)を中学1年だったかの時に学校から団体鑑賞で見に行った(65年春以降か?北国シネラマ会館)、それのみです。 リチャード・ウィドマーク、キャロル・ベイカー主演。合衆国政府の政策でインディアンが居留地に押し込められていた。誇り高いシャイアン族は自由を求めて居留地を抜け出し故郷へ帰ろうとする。それを追う騎兵隊。横暴な白人たちに追われるインディアンの悲哀を描いた西部劇で、160分もある超大作でした。中学生に見せるには教育としては良いけれども、娯楽を求める中学生の年代には難しい内容だったようです。 映画館で見たジョン・フォード作品は、この「シャイアン」と1973年にリバイバル上映された「駅馬車」(39)の2本だけなので、私にはやはり遠い位置にある映画監督と言えそうです。 でもDVDなどで容易にその作品に触れることができる現代では、ジョン・フォードを知らない、見たことがないとは言えないし、アメリカ映画を代表する映画監督であり、まだ見ていない作品も多く、少しずつでも見てゆこうと思います。 これまでに見たジョン・フォード監督作品では、やはり「黄色いリボン」と「リオ・グランデの砦」。それと「駅馬車」と「荒野の決闘」、「騎兵隊」「バファロー大隊」などの西部劇。 好みの点では「わが谷は緑なりき」よりも「静かなる男」の方が断然良かったです。
2015年01月31日
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1953年外国映画興行成績です。 金額は配給収入。1位「地上最大のショウ」 2億270万円 2位「シェーン」 1億8175万円 3位「クォ・ヴァディス」 1億5251万円 4位「グレン・ミラー物語」 1億3422万円 5位「シンデレラ」 1億2714万円 6位「機動部隊」 1億2182万円 7位「地上より永遠に」 1億1472万円 8位「遠い太鼓」 1億686万円 9位「静かなる男」 1億627万円 10位 「ライムライト」 1億540万円「わが谷は緑なりき」(41)が1950年12月に公開され、「静かなる男」(52)が1953年3月に公開。 この時期はジョン・フォード監督作品が「荒野の決闘」(1947年公開)や騎兵隊三部作を始め、多く日本公開されているようです。 太平洋戦争が終わって、アメリカ映画が日本にワッと入って来た、そんな時期だったのでは? 生まれ故郷アイルランドの小村イニスフリーに戻ってきた背の高いアメリカ育ちの元プロボクサー ショーン・ソーントン(ジョン・ウェイン)が、村の美しい女性メアリー・ケイト(モーリン・オハラ)に恋をして巻き起こす騒動の物語です。美しいアイルランドの田舎の風景を背景に情感あふれる恋愛ドラマをコメディタッチで描いた素敵な映画。 ショーンとメアリーが、さまざまな障害を乗り越えて恋を成就させ、幸福な結婚に至るか。愛し合う男女が困難を克服し結婚するというありふれた物語ですが、ジョン・フォード監督のこれこそが撮りたかった映画であり、最もフォード的な世界であるということでしょうか。 主人公ふたりの恋路の最大の障害はメアリーの兄レッド(ヴィクター・マクラグレン)。根は人の良い大男だが乱暴者でへそ曲がり。彼は新たに村にやって来てたちまち人気者になったショーンが気に入らない。 ジョン・フォード監督が1936年に映画化権を獲得(原作は新聞小説)し、ずっと映画化を望んでいたのですが、興行価値がないとして映画会社が相手にしてくれなかったそうです。 1948年にリパブリック社がフォード監督と3本の映画製作契約を結び、その時でも「静かなる男」の製作には難色をしめされ、ようやく、まず1本目が成功を収めることを条件として認められたとか。 その条件となった1作目が「リオ・グランデの砦」(50)で、ジョン・ウェインとモーリン・オハラが初共演し大成功。その結果、念願の「静かなる男」が撮られることになったそうです。 原題は「The Quiet Man」。「静かなる男」で、大スター ジョン・ウェインさんの大らかで明るい魅力あってこその作品だと思うのですが、世の中にはよほどジョン・ウェインが嫌いなのか、彼がミスキャストだと言う人がいる。 ジョン・フォード監督がジョン・ウェインとモーリン・オハラの二人をイメージしてキャラクターを創ったとされるのにミスキャストだとはいったい何を言ってるんだろう? 好漢ジョン・ウェインが「静かなる男」らしくないというのが理由らしいけれども、「静かなる男」の意味を解していないのではないか?「寡黙な男」という意味ではなく、「持っている強拳を封印した男」という意味だと思われるのに、映画を見ていてなぜそれが理解できないのだろう? かつてボクシングの試合で相手を死なせてしまった。それが理由でプロボクサーを引退して故郷へ帰ってきた男が、ある女性に恋をして、彼女を得るために、反対する大男の兄貴と殴り合いをすることになる。恋のためにやむをえず封印を解くことになる話です。 アイルランドの小村を舞台にした恋愛ドラマ。主人公の周りに登場するのはみな好人物ばかりで、なんやかんやと世話を焼く。見ていて気持ちの良い人たちばかりで、アイルランドには悪人がいないのではないかと思ってしまうくらいです。 ジョン・ウェイン、モーリン・オハラ、ヴィクター・マクラグレン、ウォード・ボンド、バリー・フィッツジェラルド、ミルドレッド・ナトウィック。 撮影のウィントン・C・ホック、アーチー・スタウトも、音楽のヴィクター・ヤングもジョン・フォード監督とは気心の知れた人たちですね。 見たのは「わが谷は緑なりき」との2枚組DVD(宝島社 500円)。「わが谷は緑なりき」の画質は良好でしたが、この「静かなる男」は色彩はきれいだがピンぼけ。いつか美しい画質で見たいものです。
2015年01月30日
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「わが谷は緑なりき」(1941) HOW GREEN WAS MY VALLEY監督 ジョン・フォード製作 ダリル・F・ザナック原作 リチャード・リュウエリン脚本 フィリップ・ダン撮影 アーサー・C・ミラー作曲 アルフレッド・ニューマン出演 ウォルター・ピジョン、モーリン・オハラ、ドナルド・クリスプ ロディ・マクドウォール、アンナ・リー 本編118分 モノクロ スタンダードサイズ ジョン・フォード監督の西部劇は、先日来の「アパッチ砦」(48)「黄色いリボン」(49)やもう少し古い「駅馬車」(39)「荒野の決闘」(46)などは何度も見ているのですが、西部劇ではない、文芸ものの「怒りの葡萄」(40)「わが谷は緑なりき」(41)「静かなる男」(52)はずいぶん前にテレビ(NHK教育だったか?)で一度見たきりです。 そういえばDVDを持っていたはず、と思い立ったがなんとやらで、「わが谷は緑なりき」を見ることにしました。数年前に買った安いDVDで、「静かなる男」との2枚組(宝島社、500円税込)です。「静かなる男」とのカップリングは最適の組合わせではないか。この宝島社の2枚組DVDは最近は書店で見かけることがなくなりました。著作権切れDVDの格安販売ブームは終わったようです。 19世紀末の南ウェールズにある炭鉱町を舞台に、ある炭鉱夫の家族を描いた作品。 父も4人の兄もみな炭鉱で働いているモーガン家。その末っ子ヒュー(ロディ・マクドウォール)の回想として彼の視点から描いた家族劇です。 炭鉱の経営者から一方的に人員削減と賃下げを言い渡された鉱夫たちは組合を結成して対抗しようとする。モーガン家の息子達も組合運動に参加するが、昔堅気の父親が反対する。 父親と意見が衝突した息子たちは家を出て行ってしまい、ヒューと姉アンハードだけが父母と残される。 アンハードは牧師グリフィド(ウォルター・ピジョン)に秘かに恋しているが、禁欲的な彼とは結ばれることなく炭鉱主の息子との不本意な結婚を承諾し、南米へ渡ってゆく。 労働争議のある夜、極寒の川に落ちた母を救けようとして凍傷から脚が不自由になったヒューを牧師グリフィドは親身に励まし、以来、ヒューとグリフィドとは師弟的な固い絆で結ばれ、彼の奨めでヒューは病床で文学の世界に目覚めてゆく。 やがて長兄が炭鉱で事故死。学校を優秀な成績で卒業したヒューは進学せずに炭鉱で働く決心をする。 姉アンハードが実家に戻った時、グリフィドとの心ない噂が立つが、牧師は悪意と好奇の目で見る人たちの卑しく汚い心を偽善者だと責め、教会を去っていく。その同じ日、炭鉱で落盤事故が起きて父親が死んでしまう。 ヒューにとっては不幸なことばかりの少年時代だが、成長した彼には暖かい家族と過ごした月日は懐かしく尊いものとして記憶される。 家族は時には衝突してしまうこともあるけれど、心の中では互いに思いやって慈しむ。家族に慕われて威厳がある父親。労働争議のなかで亭主を裏切り者扱いする炭坑夫に敢然とくってかかる母親。切ない恋愛に苦しむ優しく美しい姉アンハード。 いくつかのエピソードで語られるモーガン家の歴史が、つらく哀しい話のなかに笑いやユーモア、優しさを織り交ぜて語られる。 そして初めは病弱でおずおずとしていた少年ヒューが、しだいに父や兄のようにたくましく成長してゆく。 1941年(昭和16年)のアメリカ映画。日本公開は戦後の1950年(昭和25年)。 白黒の作品ならではの美しい画面で、これが総天然色だったら興ざめかもしれない。モノクロ映画の美しさを感じます。 信頼と尊敬で結ばれる家族愛と人間愛。ただきれい事だけを描いた映画ではなく、汚く醜い人たちもいる。こういうのを見ると、人間はいいなとも思うし、人間って嫌だなとも思う。 少年ヒューを演じるのは子役時代のロディ・マクドウォール(「猿の惑星」でチンパンジーのコーネリアス博士を演じた人)。 姉アンハードはジョン・フォード監督のお気に入りのモーリン・オハラさんが好演。
2015年01月29日
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「アパッチ砦」(1948) 日本公開1953年1月 「黄色いリボン」(1949) 日本公開1951年11月 「リオ・グランデの砦」(1950) 日本公開1951年12月 ジョン・フォード監督の「騎兵隊三部作」とされる3本の西部劇映画ですが、この3作では「黄色いリボン」が最も人気があるようです。 もうすぐ定年退職という年齢の男性が見れば、きっと身につまされる内容だからということでしょう。若い部下の成長を頼もしく感じながらも、自分の定年退職をさみしく思う。「老兵は死なず、ただ去りゆくのみ」です。 ついでこの「リオ・グランデの砦」をあげる人が多いようで、私も「黄色いリボン」と「リオ・グランデの砦」、どちらも甲乙付けがたく思っています。 3作とも騎兵隊の生活を描いた映画であるのが共通ですが、「アパッチ砦」は指揮官が功を焦って部下を道連れに戦死するという、無能な指揮官が部下を犬死にさせてしまう後味の悪さがあって、人気度は落ちるようです。「リオ・グランデの砦」は父親が15年ぶりに再会した息子と妻。主人公のヨーク中佐(ジョン・ウェイン)はたくましく育った息子に会って、ギクシャクした関係ながらも感無量。また別居中ながらも妻を愛しているし、でも気高く美しい妻の気の強さには辟易している? ヨーク中佐は息子を自分の手元に置いておきたい。妻は息子を危険な軍隊から除隊させて連れ戻したいと思っている。息子をめぐって対立する2人ですが、15年ぶりに会った2人の間に再び愛の炎が燃え上がります。 映画の冒頭で砦を訪れたシェリダン将軍と遠征から帰還したヨーク中佐が一緒にコーヒーを飲むシーンがあって、将軍が「君とコーヒーを飲むのは15年ぶりだ」と言う。 ヨーク中佐が「シェナンドアの戦い以来です」と答えます。 南北戦争のシェナンドアの戦いは1864年だから、この映画の背景は1879年ということになる。 そしてヨーク中佐は、妻と息子とは15年ぶりの再会であり、15年前のシェナンドアの戦い以来ということになります。 ヨーク中佐の妻キャサリン(モーリン・オハラ)は南部人で、シェナンドア渓谷に屋敷と農園があってアイルランドから移民してきた由緒正しい家柄であると。 その家屋敷農園を夫のヨーク大尉(当時)が命令を受けて焼き払った。その時に妻が息子を連れて出て行ったとか。 わからないのは、だとすればヨーク大尉(当時)は南部人なのか北部人なのか? 上官のシェリダン将軍は北軍の軍人で、その部下だから北部人なのか?、だとすればなぜ南部の女性と結婚していたのか?、ここんとこがよくわからない。 その時に命令を受けてキャサリンの農園を焼き払ったのが夫の部下であったクインキャノン(ヴィクター・マクラグレン)で、砦を訪れたキャサリンがいまは曹長になって夫に仕えているクインキャノンを見て「放火犯をまだ使っているの?」と言い、それを聞いた曹長が情けない顔をする。 このクインキャノン曹長を演じているヴィクター・マクラグレンがとても良い味を出しています。「アパッチ砦」と「黄色いリボン」にも下士官の役として出演していて、ジョン・フォード監督のお気に入り俳優なんですね。
2015年01月28日
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1951年外国映画興行成績です。 金額は配給収入。1位「白昼の決闘」8231万円2位「サムソンとデリラ」7401万円3位「キング・ソロモン」7217万円4位「駅馬車」6812万円5位「ダラス」6712万円6位「リオ・グランデの砦」 6536万円7位「血と砂」 6092万円8位「黄色いリボン」 6006万円9位「三銃士」 5745万円10位「北西騎馬警官隊」 5606万円 1952年外国映画興行成績。 同じく金額は配給収入。1位「風と共に去りぬ」 1億3336万円2位「硫黄島の砂」 1億1436万円3位「誰が為に鐘は鳴る」 1億425万円4位「サムソンとデリラ」 9172万円5位「キング・ソロモン」 8648万円6位「遠い太鼓」 7771万円7位「ダラス」 7296万円8位「リオ・グランデの砦」 7077万円9位「血と砂」 6653万円10位「三銃士」 6550万円 同じ作品が2年にわたって入っているのは、当時の映画興行は全国一斉公開ではなく、地方によっては数ヶ月、1年遅れも珍しくなかったからだと思われます(データに誤りがないとすれば)。 ジョン・フォード監督の騎兵隊三部作とされる、その第2作「黄色いリボン」(49)は1951年11月公開。第3作「リオ・グランデの砦」(50)は1951年12月公開。ともに地方での公開はいつだったのかは不明です。「リオ・グランデの砦」(1950) RIO GRANDE監督 ジョン・フォード製作 ジョン・フォード、メリアン・C・クーパー原作 ジェームズ・ワーナー・ベラ脚本 ジェームズ・ケヴィン・マッギネス撮影 バート・グレノン、アーチー・スタウト音楽 ヴィクター・ヤング出演 ジョン・ウェイン、モーリン・オハラ ヴィクター・マクラグレン、ベン・ジョンソン、クロード・ジャーマン・Jr ハリー・ケリー・Jr 本編105分 モノクロ スタンダードサイズ テキサスとメキシコの国境を流れるリオ・グランデ川近くのスターク砦を守る騎兵隊の生活を描いた西部劇の傑作です。 砦の指揮官ヨーク中佐(ジョン・ウェイン)はインディアン相手に日夜戦っているのですが、荒らし回っては追われるとメキシコ側へ逃げ込んでしまう敵に騎兵隊は切歯扼腕している。 そんな時、ヨーク中佐は砦を訪れたシェリダン将軍から息子ジェフ(クロード・ジャーマン・Jr)が士官学校を退学になったと知らされます。 そして、砦にやって来た補充兵の中に、その15年間も会わなかった息子ジェフの姿を見いだして驚いたのもつかの間、これも15年間別居していた妻キャサリン(モーリン・オハラ)までもが息子を連れ戻しに現れた。 立派に成長した息子を見て感慨深く、そして久しぶりにあった妻は相変わらず美しく気高い。複雑な心境のヨーク中佐です。 そのヨーク中佐に下された任務はメキシコへ逃げ込んだアパッチを追って国境を超えろというシェリダン将軍の独断命令です。 失敗すれば軍歴に関わる厳しい任務。とりあえずヨーク中佐は砦の女性や子供たちを他の砦に避難させようとするのですが、その隊列がインディアンに襲われて子供たちが乗った馬車を拉致されてしまう。 明日に続きます。
2015年01月27日
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西部劇映画でおなじみの合衆国騎兵隊(USキャヴァリイ)ですが、くわしく知りたいと思ってもよくわかりません。 ネットで調べても、知りたいと思う肝心なことがまったくわからない。 南北戦争後に、それまでの第1~第6騎兵隊に加えて第7から第10騎兵隊までが新設されたそうで、第9、第10騎兵隊は下士官以下は黒人で編成されていたとか。映画「バファロー大隊」がその話ですね。 ところが、その合衆国騎兵隊ですが、どれくらいの人員で構成されていたのか?、現代の陸軍における中隊、大隊、連隊に例えると人数的にどれにあたるのだろうか? 1個騎兵隊の総人数や編制は?、指揮官の階級は?、その隊の編制もまったくわからない。映画を見てこれくらいか?と推測するしかありません。こういう疑問を解決するには文明の利器インターネットもまったく役立たずです。「アパッチ砦」 指揮官はオーウェン・サーズデイ中佐(ヘンリー・フォンダ)で、その下にカービー・ヨーク大尉(ジョン・ウェイン)とコリングウッド大尉がいる。他に士官学校を出たすぐの新任のマイケル・オローク少尉(ジョン・エイガー)。 下士官ではオローク少尉の父親であるオローク曹長(ワード・ポンド)と4人の軍曹(ヴィクター・マクラグレンやペドロ・アルメンダリス)がいる。「黄色いリボン」 指揮官はオールシャード少佐(ジョージ・オブライエン)で、その下に古参のネイサン・ブリトリス大尉(ジョン・ウェイン)。他に若いフリント・コーヒル中尉(ジョン・エイガー)とロス・ペネル少尉(ハリー・ケリーJr)。 下士官では乗馬の達人タイリー軍曹(ベン・ジョンソン)とブリトリス大尉と古いなじみのクインキャノン軍曹(ヴィクター・マクラグレン)がいる。「黄色いリボン」の指揮官は少佐で、これは「メジャー」と言ってるし、まちがいのないところ。「アパッチ砦」の指揮官サーズデイ中佐(大佐?)とは正反対の人物で、古参大尉のジョン・ウェインの言うとおりに従っていれば大丈夫とした温厚な人物です。 砦に姪(ジョーン・ドルー)が来ていて、彼女を妻といっしょに東部へ帰したいと考え、駅馬車の中継地までブリトリス大尉に護送を命令する。大尉は女性連れの任務は足手まといだと反対し、軍を私的に利用することだと抗議します。少佐は大尉の抗議に「書類にして出しておくように」とあっさりしたもの。 このような軍隊内での人間関係がユーモアをまじえて描かれていて、このジョン・フォード監督の「騎兵隊三部作」はおもしろい映画です。「黄色いリボン」で、騎兵隊が出発する時に、クインキャノン軍曹が兵隊たちを並ばせて、今回はご婦人が一緒だからお前ら言葉遣いに気をつけろ!と言うと、並んだ兵隊の誰かが「お前こそ気をつけろ!」と言い返す。 整列した兵隊たちの足下に寝転んだ犬がいて、そんなところに寝ていると踏まれるぞと思うのですが、この犬が隊列のあとさきに付いてくるのがアクセントになっていて、こまかい演出がされています。
2015年01月26日
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「ゾンビランド」(2009) ZOMBIELAND監督 ルーベン・フライシャー製作 ギャヴィン・ポローン脚本 レット・リース、ポール・ワーニック撮影 マイケル・ボンヴィレイン音楽 デヴィッド・サーディ出演 ウディ・ハレルソン、ジェシー・アイゼンバーグ アビゲイル・ブレスリン、エマ・ストーン、アンバー・ハード ビル・マーレイ 本編88分 総天然色 シネマスコープサイズ 近くの家電量販店でブルーレイソフトとDVDソフトが1枚500円(+税)というワゴンセールをやっていて、これはお買い得だとばかり、いっぱい買ってしまった。「レインマン」「スペースカウボーイ」「父親たちの星条旗」「エイリアンVSプレデター」「スーパーマンリターンズ」「フライト・オブ・フェニックス」「ハリー・ポッターと謎のプリンス」「60セカンズ」などのブルーレイソフト。 中古品でなく、いちおう開封されていない新品(アウトレット品?)。新しいソフトは少ないけれども欲しいと思っていたものばかりなので、かなり得した気分です。 数日にわけて何度か買いに行き、そのなかの1枚が、これはDVDだけれども「ゾンビランド」。2010年7月に日本公開されたゾンビ映画で、見たいと思っていたので、500円で買えてラッキー。 ゾンビ・ウィルスに汚染されたハンバーガーを食べた人がゾンビになったのが発端で、2ヶ月後にはアメリカだけでなく世界中が人食いゾンビだらけになったという設定。 主人公の引きこもりぎみのゲームオタク青年コロンバス(ジェシー・アイゼンバーグ)は自分で決めた32のルール、「人を見たらゾンビと思え」「ゾンビは二度撃て」や「車ではシートベルトをしろ」「後部座席を確認しろ」「ヒーローになるな」「トイレに用心」などを守ることでゾンビが跳梁する世界をなんとか生き延びていた。 父母のことが気になった彼は故郷のコロンバスへと旅立ちます。 その道中で、ゾンビ退治を生きがいにしているかのような危ないオッさんのタラハシー(ウディ・ハレルソン)と出会って彼の車に同乗させてもらうことになる。 お互いの事情に深入りしない事にした二人は、それぞれの目的地であるコロンバスとタラハシーという名で呼び合う。 さらにウィチタとリトルロックという姉妹が加わり、4人組になった彼らはゾンビがいない場所とウワサされているロサンゼルスの遊園地を目指すことになる。 ゾンビだらけの世界を、この男女4人組が車で旅するというロードムービーです。 臆病で神経質なオタク青年が旅の途中で出会ったキレたオッさんや、詐欺をしながら旅をしている姉妹と出会って、最初はお互いに信じ合わず(というより他人を信じない)お互いに深入りしない関係で話が進むのですが、ゾンビ相手に戦っているうちに信頼感が芽生え、なくてはならない家族のような関係になってゆく。 ゾンビ映画がとくに好きというわけではないけれども、このゾンビ映画「ゾンビランド」は面白かったです。 いま流行のイケてないオタク青年とイケてる美少女の恋もちゃんとあるし、ホラー映画というよりヒューマン・コメディ・ロードムービーといった感じ。もちろんゾンビ映画ならではのエグイ場面もちゃんとあるし。 特筆すべきなのは本人役で登場するビル・マーレイの迷演。 ハリウッドのビバリー・ヒルズに到着した彼らが無断で(無人だから。町にいるのはゾンビだけ)入り込んだのがビル・マーレイの豪邸。「ゴーストバスターズ」のノリノリ音楽が流れ、ビル・マーレイがゾンビ姿で登場する、この遊び心が楽しい。 これは愉快なゾンビ映画でした。
2015年01月25日
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ジョン・フォード監督、ジョン・ウェイン主演の「騎兵隊三部作」とされる、その第1作「アパッチ砦」(1948)。「黄色いリボン」「リオ・グランデの砦」と続きますが、ともに騎兵隊の生活が描かれていて興味深いものがあります。 「アパッチ砦」(48)予告編はこちら。 時代は南北戦争が終わってすぐの頃でしょうか。 物語の中で「南軍だった者はいるか?」とか、「黄色いリボン」でも南軍の将校だった人が騎兵隊の下士官や兵になっていたり、「リオ・グランデの砦」ではヨーク中佐(「アパッチ砦」と同じ名前)の奥さんが南部の人で、農園を焼かれたのを今でも根に持っている、というふうになっていますね。 辺境の守備隊が駐留するアパッチ砦に赴任してきた新指揮官オーウェン・サーズデイ中佐(ヘンリー・フォンダ)。 その階級は日本語字幕では中佐となっていますが、先日、日本語吹替え音声の入ったDVD(500円)を見ているとサーズデイ大佐と言っていて、あれ?と思いました。 日本語字幕は「中佐」でしたが、英語字幕では「Col.Owen Thursday」となっているし、英語の発音もカーネル・サーズデイと言っているように聞こえるのので「大佐」の方が正しいのかもしれない(中佐だとLieutenant ColonelでLt. Col.になる) ジョン・ウェイン扮するヨーク大尉はいつものジョン・ウェインさんのままですが、ヘンリー・フォンダのほうは「荒野の決闘」(46)の保安官ワイアット・アープとはうって変わった厳格な軍人ぶりです。部下たちがカウボーイハットをかむっているのを見て、「お前たちは農夫や牛追いではないぞ!」と厳しく叱り、新任のオローク少尉(ジョン・エイガー)の士官学校卒業して任官したばかりの正しい制服姿を見て、彼を見習え、と言う。 規律正しく厳格なのは軍隊として当然だろうけれども、この新指揮官サーズデイ中佐が部下の意見をきかず、居留地を出たアパッチを力で押さえつけようと無謀な戦いを挑んでゆき、多くの部下を死なせてしまうのは、こんな上司がいたら部下はたまらんぞ、というのがこの映画のテーマなのでしょうか。 ヨーク大尉はインディアンと話し合って平和的に解決しようとし、スペイン語を話せる軍曹(ペドロ・アルメンダリスが好演)を通訳に、いっしょに白旗持って交渉にでかける。 そんな彼の努力を無視し、インディアンを野蛮人と決めつけて、やっつけてしまえ!と攻撃を仕掛けるサーズデイ中佐です。「四列縦隊で突撃する!」との命令に大尉が「自殺行為です!」と反対すると「お前のような腰抜けはいらん!後方で補給部隊を指揮しておれ、あとで軍法会議だ」と。 サーズデイ中佐は部下を率いて突撃し、待ち構えたアパッチの集中射撃をあびて全滅する。 部下の意見をきかず、自分の決めた通りにならないと気が済まない上司です。 会社だと部下は死なずにすむけれども、戦争でこんな上司を持つと部下は犬死にすることになる。 厳格だけど作戦指導では無能なサーズデイ中佐(ヘンリー・フォンダ)と、実戦経験が豊富で頼りになるヨーク大尉(ジョン・ウェイン)の対比。 ヴィクター・マクラグレンやペドロ・アルメンダリス演じる古参の軍曹たちが好演で、普段はおバカなとぼけたキャラクターだけれども戦闘では優秀なのでしょう。このようなベテランの兵隊たちが、この騎兵隊三部作の基礎をしっかりと固めています。 交易所で悪党の商人がインディアンにライフルや粗悪なウィスキーを売っていたのを摘発。 サーズデイ中佐に「その酒を処分しろ」と命じられた古参軍曹たちが、捨てるのはもったいないと飲み干してしまって、二日酔いで営倉入りになる。こういうユーモアある場面は良いな。
2015年01月24日
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「アパッチ砦」(1948) FORT APACHE監督 ジョン・フォード製作 ジョン・フォード、メリアン・C・クーパー原作 ジェームズ・ワーナー・ベラ脚本 フランク・ニュージェント撮影 アーチー・スタウト音楽 リチャード・ヘイグマン出演 ジョン・ウェイン、ヘンリー・フォンダ、シャーリー・テンプル ペドロ・アルメンダリス、ジョン・エイガー、ヴィクター・マクラグレン ウォード・ボンド 本編128分 モノクロ スタンダードサイズ 1月23日にIVCから「アパッチ砦」と「黄色いリボン」のニューマスター版DVDが発売されました。 共に著作権切れの低価格DVD(250~500円)が各社から発売されていて、私も何枚か持っていますが、今回、新たに発売されたニューマスター版を興味津々で購入しました。「黄色いリボン」はこれまでのものと大差がない感じですが、「アパッチ砦」は格段にきれいになっています。と言っても、これまでのものがあまりにも画質が悪かったのが、これでようやく普通の画質になったというところです。 しかし、現段階で、このIVCの新盤が最も画質がいい「アパッチ砦」のDVDである、と言えるようです。 ジョン・フォード監督の「騎兵隊三部作」とされる「アパッチ砦」と「黄色いリボン」「リオ・グランデの砦」。「アパッチ砦」(1948) 日本公開1953年1月「黄色いリボン」(1949) 日本公開1951年11月「リオ・グランデの砦」(1950) 日本公開1951年12月 製作順とは違って、日本での公開は「アパッチ砦」がいちばん後です。 辺境のアパッチ砦に赴任してきた新指揮官サーズデイ中佐(ヘンリー・フォンダ)が対インディアン戦で手柄を立てて中央に復帰しようと、古参のヨーク大尉(ジョン・ウェイン)の意見を無視して無謀な戦いを決行し、多くの部下を道連れにして戦死する、という話です。 ネットにあるサイトやDVDジャケットに書かれている解説文を見ると、「南北戦争で失策をおかしたためにサーズデイは将軍から中佐に階級を下げられアパッチ砦に左遷された」と書かれたものが多いようです。 しかし映画のなかでは南北戦争で失策をおかしたとはひと言もいっていません。 砦に向かう駅馬車の場面でサーズデイ中佐は「これまでの功績が評価されない。こんな辺境に赴任とは俺も陸軍省に見くびられたものだ」と憤慨している。 自分の実績が正当に評価されていないことを悔しく思っているだけで、南北戦争で失策したとか、そんなことはこの映画ではまったくいわれていない。 砦に到着すると、みんながダンスパーティーに興じていて、中佐が新指揮官としてやって来るとは知らされていなかった。サーズデイはなんということだと、連絡がまったく届いていない、こんな僻地に飛ばされるなんて情けないと。 その時に砦での古参将校であるヨーク大尉が「ようこそ、サーズデイ将軍」と挨拶するのですが、「私は将軍ではない。中佐だ」と言うと、大尉が「失礼しました。戦争の時は将軍でしたので」と。 将軍から佐官に階級を下げられたというのは、この場面で語られるだけですが、降格の理由は失策とかそんな問題ではないようです。 そもそもアメリカの軍隊では戦時中の昇進は戦争が終わると元の階級に戻されることになっている。だから戦争中に准将か少将かわからないけれども、になったけれど、終戦後は元の階級に戻されたというだけのことです。 なんで南北戦争で失策をおかしたために左遷させられた、とか言われるのか? 書いた人はこの映画を実際に見たのだろうか?
2015年01月23日
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訃報が続きます。 作家の平井和正さんがお亡くなりになったのを今朝の新聞で知りました。「ウルフガイ」シリーズ「狼の紋章」「狼の怨歌」「狼のレクイエム第1、第2部」「アダルト・ウルフガイ」シリーズ「狼男だよ」「狼よ、故郷を見よ」「狼のバラード」「魔境の狼男」「人狼戦線」「狼は泣かず」「死霊狩り」「幻魔大戦」「アンドロイドお雪」「サイボーグ・ブルース」「メガロポリスの虎」短編集では「虎は暗闇より」「怪物はだれだ」 ・・・・など。 SFとヴァイオレンスとアクションとハードボイルドを一緒くたにしたような面白い世界で、夢中になって読んだのはもう40年くらいも前になるでしょうか。 初めて読んだのはハヤカワSF文庫の「狼男だよ」でした。「狼よ、故郷を見よ」「リオの狼男」「人狼地獄篇」を続けて読んで、アダルトでない少年犬神明の「狼の紋章」「狼の怨歌」を連続して読んで、私が読書でこれだけ熱中したのは珍しいことでした。 このハヤカワSF文庫版は絶版になっています。 というより現在では平井和正さんの作品は書店では入手困難な状況で、ブックオフなどで探すしかないようです。 写真は私が現在持っている本で、祥伝社の新書判とハルキ文庫、角川文庫の「アダルト・ウルフガイ」と「ウルフガイ」のシリーズです。すべてブックオフの105円コーナーで見かけるたびに買った古い本で、ハルキ文庫は2000年の本だから比較的新しいけれども、祥伝社のは昭和52年の版、これは貴重本です。 平井和正さんの名を知ったのはずっと古く、週刊少年マガジンに連載されていた「8マン」の原作者としてです。 他にも「幻魔大戦」の原作者でもあり、作画は前者は桑田次郎さん、後者は石森章太郎さんで、桑田次郎さんとは「超犬リープ」という作品もありました。 平井和正さん。平成27年1月17日、ご逝去。 私にSF小説の面白さを教えてくださった作家であり、ヴァイオレンス・ハードボイルド小説の面白さを教えてくださった作家です。 ・・・・ ご冥福をお祈りいたします。
2015年01月19日
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俳優・声優の大塚周夫(おおつか・ちかお)さんが1月15日にお亡くなりになったそうです。 大塚さんの記事にチャールズ・ブロンソンの写真を出してどうするんだ?とお思いでしょうが、大塚さんは私の大好きなブロンソンの声を長年にわたって担当していて、ブロンソン=大塚周夫さんのイメージが強いからです。 かつてテレビ洋画劇場でブロンソン主演・出演作品が放送されるたびに、大塚周夫さんの声に親しみました。ブロンソンさんのキャラクターに大塚さんの渋い声がピッタリ合っていて、まったく違和感がない。お見事な日本語吹替えでした。 写真は「狼の挽歌」(1970)のブロンソン。 大塚周夫さんの吹替え音声が入っている「バルジ大作戦」のDVDソフトが安価で発売されていますが、現時点では他にも「荒野の七人」(60)「大脱走」(63)「特攻大作戦」(67)「ウエスタン」(69)「狼の挽歌」(70)「夜の訪問者」(70)「レッド・サン」(71)「バラキ」(72)「狼よさらば」(74)「ブレイクアウト」(75)「軍用列車」(75) などで大塚周夫さんの渋いお声を聞くことができます。 私の最も好きな1本である「さらば友よ」(68)のDVDには日本語音声が入ってないのがまことに残念なことで、大塚さんの声で「イエ~い」を聞いてみたいものです。 大塚周夫さんはブロンソンさんの声の他に、リチャード・ウィドマークの声も担当していて、テレビのゴールデン洋画劇場などでよく耳にしたものです。 ジョン・ウェインの小林昭二さんやランカスターの久松保夫さん、ドロンやジェンマやマッカラムの野沢那智さん、ヘストンやヘンリー少尉の納谷悟朗さん、そしてブロンソンとウィドマークの大塚周夫さん、かつての外国映画で名優たちの声を日本語に吹き替えることで、外国映画に親しませてくださった方々。そのお声を聞けなくなるのは寂しいですね。 ご冥福をお祈りいたします。
2015年01月18日
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「グローリー」(1989) GLORY監督 エドワード・ズウィック製作 フレディ・フィールズ原作 リンカーン・カースティン ピーター・バーチャード ロバート・グールド・ショー脚本 ケヴィン・ジャール撮影 フレディ・フランシス音楽 ジェームズ・ホーナー出演 マシュー・ブロデリック、デンゼル・ワシントン、モーガン・フリーマン ケイリー・エルウィズ、ジミー・ケネディ、アンドレ・ブラウアー 本編122分 総天然色 ビスタサイズ 南北戦争を背景にした、黒人で編成されたマサチューセッツ歩兵第52連隊の物語です。 戦争とともに南部からの逃亡奴隷の数が増え、北軍は彼らの志願を募って黒人部隊を作る。(実際は逃亡奴隷だけでなく北部の自由黒人たちの方が多かったそうです) その指揮官としてロバート・グールド・ショー大佐が任命され、演じるのはマシュー・ブロデリック。 初めて見たときは、どちらかといえばその童顔(お坊ちゃんタイプ)に口ひげと顎ひげが似合わない感じで部隊指揮官としては貫禄不足。年齢的にもミスキャストではないか?と思ったのですが、このショー大佐は実在人物で、実際にも25歳くらいの年齢だったとか。だとすればミスキャストとはいえないようです。 黒人兵の役でデンゼル・ワシントンとモーガン・フリーマンが出ていて、現在では両人ともアメリカ映画を代表する黒人スター俳優。この演技派2人の前ではさすがに若いマシュー・ブロデリックはかすんでしまいます。 指揮官と士官(中隊長や小隊長)は白人だが、下士官以下の兵たちはすべて黒人。しかし部隊が誕生したのに制服も軍靴も支給されない。 ショー大佐が物資担当士官を脅迫してやっと制服と靴を入手し、本格的に訓練を開始する。 厳しい訓練が続けられ、ショー大佐は、兵たちのリーダー格存在であるローリング(モーガン・フリーマン)や白人を憎むトリップ(デンゼル・ワシントン)、射撃が上手なシャーツ(ジミー・ケネディ)たちとの交流を通して、初めは反感を受けるが厚い信頼関係を築いてゆきます。 最初は後方での労働作業ばかり割り当てられていた第54連隊も、ようやく実戦に加わってその実力を認められる。 ショー大佐は、難攻不落の南軍のワグナー砦の攻撃を部隊の全滅を覚悟で志願します。 ワグナー砦を攻めるには海岸に沿って進むしかなく一個連隊しか近づけない。当然大きな損害を受けるのは必至である。 戦いの前夜、兵営で焚き火を囲んでゴスペルを歌う兵隊たち。彼らは自分の思いを語ります。「明日死ぬかも知れないが、俺たちは自由のために死ぬんだ」「俺は第54連隊が好きだ。俺には家族はいない。お前らみんなが俺の家族だ。俺は第54連隊が好きだ」「明日戦う俺たちには誇りがある。人間の誇りだ」「今まで家畜同然に扱われてきた、これは自分たちの誇り高い栄光のための戦いなのだ」と。 そして彼らは白人部隊の先頭となって海岸に築かれた南軍のワグナー砦の銃陣と砲列の前へ隊伍を整えて突撃してゆきます。 壮絶な死闘の末、ショー大佐は敵弾を受けて戦死。第54連隊は半数の死傷者を出して壊滅する。後続の白人部隊も多大な損害を出して退却し、ワグナー砦の攻略は達成できなかったという。 しかし第54連隊の勇敢な戦いは北軍に多くの黒人兵が参加するきっかけとなり、その勝利に大きく貢献したとされます。 白人の兵隊は給料が13ドルなのに黒人兵は10ドルで、被服費として3ドル天引きされて7ドルしか支給されず(どこかのブラック企業みたい)、黒人兵たちは受取りを拒否したそうです。 映画の中ではショー大佐もみんなと一緒に給与受取りを拒否し、黒人兵たちは大佐も味方だと認めるようになります。「戦争で死ぬのは白人も黒人も同じなのに、黒人だからという理由で給与に格差があるのは納得できない」と、彼らはその後も給与受取りを拒否し続けるのですが、映画ではそこまでの描写はありません。 主演のマシュー・ブロデリックは年齢が近いショー大佐(戦死した時は26歳)をよく演じています。実戦は甘いものではないということを兵たちに厳しく教え込もうとし、それが黒人差別のように受け取られて反感を受けるのですが、やがてその厳しい訓練に耐えることで鍛えられ、激しい戦いの中で生き残れるのだということを理解されてゆく。
2015年01月13日
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「サハラ戦車隊」(1943) SAHARA監督 ゾルタン・コルダ脚本 ジョン・ハワード・ローソン ゾルタン・コルダ撮影 ルドルフ・マテ音楽 ミクロス・ローザ出演 ハンフリー・ボガート、ブルース・ベネット ロイド・ブリッジス、レックス・イングラム J・キャロル・ネイシュ、ダン・デュリエ 本編98分 モノクロ スタンダードサイズ 1942年の北アフリカ戦線を舞台にした作品。製作されたのが1943年なので、ほぼ同時期のできごとを映画の題材にしています。 ドイツ軍の猛攻で英軍は壊滅的打撃を受ける。生き残ったアメリカ派遣軍のガン軍曹(ハンフリー・ボガート)のM3中戦車は、味方の前線に合流しようと砂漠地帯の突破をこころみる。 2人の部下と、途中で6人の英軍兵や、イタリア兵捕虜を連れたスーダン兵や、ドイツ人パイロットの捕虜などを加えて、熱砂の砂漠を進む一台のM3中戦車。 前半は砂漠を井戸を求めて進むサバイバル映画。後半は井戸のあるオアシスに陣取った主人公たちとドイツ軍との戦闘で、多勢に無勢、味方は一人、また一人と倒れてゆく。 砂漠ではいかに水が重要か、直接生命にかかわることをあらためて認識。攻撃側のドイツ軍も水不足に乾き、苦しんでいる。戦闘の結果、乾きに耐えかねたドイツ軍が集団で降伏してきます。 第二次大戦真っ最中に陸軍の協力を得て作られた作品で、戦意高揚目的という感じはなく、ハンフリー・ボガート主演のせいかけっこう硬派な映画である。 実物のM3中戦車が見られる貴重な作品。車体右側面に75ミリ主砲、車体に載った37ミリ砲の砲塔、その上に機関銃塔と、三段重ねの珍しいデザインで、お正月のお鏡餅みたいな面白い形をしています。側面ドアからの乗降や、内部の様子も描写される。 戦闘で部隊が全滅してしまい、生き残った兵隊たちが味方の前線に向かって敵中突破する道中を描いたもので、昨日の「アンツィオ大作戦」も同じだし、戦争映画の一つの定型ですね。 砂漠の中、井戸を求めてある廃墟に入るのですが、同じことはドイツ軍も考えていて、水を求めて大部隊が接近してくる。最初は滴がしたたるくらいだった井戸がやがて枯れてしまい、ドイツ軍には水浴びをしているふりをして水が豊富にあるように見せかける。 圧倒的な数の差がある戦いとなって一人また一人と倒れていくのですが、その時ドイツ兵たちが乾きに耐え切れなくなって銃を捨てて降伏。水がないのがバレたらどうなるん? ご都合主義のような結末だけれど、いかにも王道を行くクラシック映画らしくていいのではないか。 愛車にルルベルと名前を付けている戦車長のガン軍曹を演じるハンフリー・ボガートの、さすが映画スターらしい頼もしさが良い感じ。 部下の2人が何かというと5ドル賭けるのが可笑しいです。
2015年01月12日
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映画「アンツィオ大作戦」(1968)のDVDを再見したのですが、前に見た時よりおもしろく感じました。 主人公の従軍記者エニス(ロバート・ミッチャム)は7年ものあいだ危険な戦場に立って自らの目で兵隊たちの生死を見てきた。彼はなぜ人間は戦争をするのか?の答えを探しています。 人間が地球上に現れて集団生活を営むようになった時から現在にいたるまで、数十万年、数万年、数千年もの長いあいだ、お互いに争い、殺しあって来た、人間の歴史は殺しあいの歴史であり、闘争の歴史です。 なぜ人間は殺しあうのか?、なぜ人間は戦争をするのか? この映画では主人公の従軍記者が自ら銃を取って敵兵と向かい合うことで、その答えを得る。もちろんその答えがすべてではなく、一つの答えであるにすぎないだろうけれども。 彼は敵の狙撃兵と銃を持って向かい合うことで、それは命を賭けたゲームであり、スリルに満ちて面白いからだと。 登場人物の一人にピーター・フォーク演じる伍長がいるのですが、彼は戦場に立つことで生きていることを実感できる、それが病みつきになってしまったと言います。 人間が戦争をするのは、それが人間だからだと私は思っています。人間性とは、「自分と姿形が異なる者、考え(思想)の異なる者を許せない」「他人の持っているものを欲しがる、際限の無い欲望」「暴力と破壊を好む」「自分が中心であり、排他的」 このようなことが人間の性質だとすれば、人間が人間でなくならないかぎり、永遠に戦争が絶えない。 戦争は人間性を失うとか、人間性のかけらもないというけれども戦争こそ最も人間らしい行為だといえるのでしょう。 夏目漱石先生の「草枕」に「人の世が住みにくいとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くばかりだ」とあります。 すべての人間が「人でなし」になることで、やっと争いのない平和な世界になるとすれば、人間とはなんと罪深い存在なのだろう。 銃など武器・兵器を持って戦うことが戦争ですが、人間の争いは戦争だけではない。私たちの日常生活のなかで争い事は茶飯事であり、ただそれを大規模にしたものが戦争であるにすぎない。「気に入らないヤツをやっつけたい。やっつけることで溜飲を下げる」 けっきょくはそのような人間の悪性がなくならないかぎり戦争のない平和な世界を実現できないのではないか。 映画「アンツィオ大作戦」にはもう一つテーマがあります。 戦場における指揮官の資質です。 ナポレオンの言葉だという、「部下を案ずる将軍は敗北する」。 イタリアのアンツィオに上陸した米英連合軍。予期したドイツ軍の反撃がまったくないことで、指揮官はそれが敵の罠だと判断し、内陸部への前進をためらって上陸地点の防備に専念してしまいます。 敵の姿がない今こそ好機であり、一気にローマまで軍を進めるべきだという部下の意見を退けてしまう。 虚を突かれた敵に体勢を立て直す時間を与えてしまったことで自軍が大損害を受けてしまう結果になるのですが、一気に攻勢に出るか守備を固めるかの判断、選択を一人の将軍に負わせるのは荷が重すぎるのかもしれない。 ドイツ軍の将軍が、連合軍が上陸地点から動かずに守備を固めていると聞いて「軍人の面汚しだ」と言います。 猪突猛進型の将軍と慎重型の将軍、どちらがいいのか?
2015年01月11日
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「アンツィオ大作戦」(1968) ANZIO!監督 エドワード・ドミトリク製作 ディノ・デ・ラウレンティス原作 ウィンフォード・バウハン・トーマス脚本 ハリー・A・L・クレイグ撮影 ジュゼッペ・ロトゥンノ音楽 リズ・オルトラーニ 出演 ロバート・ミッチャム、ロバート・ライアン ピーター・フォーク、アーサー・ケネディ アール・ホリマン 本編117分 総天然色 シネマスコープサイズ 日本公開は1968年7月。 劇場公開されたのは知ってますが、当時は見てなくて、初めて見たのはテレビのゴールデン洋画劇場(1973年1月12日放送)です。 この映画、妙な感じがしますね。監督はアメリカ人だし出演者もアメリカ人。しかし製作のディノ・デ・ラウレンティスはイタリア人です。撮影地はイタリア(チネチッタ撮影所か?)とスペインあたりではないかと。当時、アメリカ資本のマカロニ西部劇があったように、これもアメリカとイタリア、スペインの合作ではないだろうか。 1944年1月。米英連合軍はイタリア ローマの南にあるアンツィオに無血上陸しました。 ドイツ軍の抵抗がまったくないことを罠だと判断し、前進せずに腰を据えて防御戦の準備に取り掛かる。 従軍記者のエニス(ロバート・ミッチャム)はジープを借りてあたりを走り回るが、どこにも敵の姿がない。試しに道を北上してみると、敵の抵抗がないままローマ市内に入ってしまった。 出会った市民に訊ねるとローマにドイツ軍はいないと言う。エニスはその事実を司令部にもたらすが、敵の罠だと恐れる将軍(アーサー・ケネディ)は塹壕を掘るばかりで動こうとしない。 上陸から数日が無為に経過し、いなくなっていたドイツ軍が戻ってきて展開を完了してしまう。 その時になってやっとアメリカ軍はレンジャー部隊を前進させるのですが、敵との最前線は静寂に包まれていて、それこそが罠だった。野積みされた藁の山や薮に隠されたドイツ軍機関銃陣地の銃火を浴び、さらに戦車の群れが現われる。 戦闘の末、包囲された700人以上いたレンジャー部隊は瞬く間に7名になってしまう。その光景を目撃した従軍記者エニスは無線で司令部に連絡をとって、将軍に「臆病者め!お前のために部隊が全滅したではないか!」と罵ります。 生き残ったエリスと7名の兵隊たち(ピーター・フォーク、アール・ホリマンら)は連合軍の戦線まで戻ることになり、その途中でドイツ軍が強力な防衛線を築いている現場を目撃する。 その防衛線建設工事に徴発された父の帰りを待つイタリア人母娘と別れたあと、彼らはドイツ軍狙撃兵に狙われて釘付けになってしまいます。 ロバート・ミッチャム扮する従軍記者エニスは7年間も危険な最前線を渡り歩いてきた。彼はなぜ人間は戦争をするのか?と考えていて、その答えを自分が戦場に立つことで探している。 クライマックス場面で、彼は銃を取ってドイツ軍狙撃兵と向かい合うことでその答えを知ります。 明日につづく。
2015年01月10日
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フレッド・アステア Fred Astaire 1899年5月10日生まれ 1987年6月22日没(88歳) MGMミュージカル映画の大スターです。 私が知ったのは映画「ザッツ・エンタテインメント」(1974)を見た時で、その天才的ダンスにすっかり魅了され、大ファンというより尊敬の対象になってしまいました。神様のようなもの? パニック映画「タワーリング・インフェルノ」(75)にゲスト出演していたのを見た時は、有名な俳優なのにまだMGMミュージカル映画になじみがなかったので、名前を聞いてもどのような人なのか知らなかった。 その直後に「ザッツ・エンタテインメント」を見、数年かけて「2」と「3」を見て、どんなにすごい人なのかようやく知った、という具合です。 本名はフレデリック・オスターリッツ Frederick Austerlitz。 父母はドイツ系移民で、ネブラスカ州オマハの生まれ。 YouTubeにある「踊るニュウ・ヨーク(Broadway Melody of 1940)」の場面。 素晴らしいタップダンスです。相手役のエレノア・パウエルさんも最高で、息の合ったダンスは涙が出そうになるくらいに感動的。 この映画は戦前の1940年(昭和15年)に日本でも公開されているんですね。 この時期の1930年代のジンジャー・ロジャースさんとコンビを組んだ「トップ・ハット」(35)「有頂天時代」(36)や「踊らん哉」(37)などや、この「踊るニュウ・ヨーク」(40)、ちゃんとした形で見てみたいものです。 フレッド・アステアさんは礼儀正しい紳士だったそうです。 ボストンの富豪令嬢フィリス・ポッターという女性に恋をし、1933年に結婚。フィリスは1954年に病死し、アステアは愛妻を失ってその後ずっと独身を通したそうで、ハリウッド映画スターにはめずらしい誠実な人なんですね。 晩年に女性騎手ロビン・スミス(35歳)と知り合って、1980年に再婚。年齢差のために周囲に反対されたそうですが、1987年に88歳で亡くなるまで幸せな生活を送ったとか。 映画評論家の淀川長治さんがアメリカのホテルの玄関でドーンとぶつかったそうで、「あんたアステア?」と聞いたら「オフコース」言うんで、サインください、手より足のサインください言ったら靴脱ぎ出したんで、そのままでいいと靴の形を画用紙にとらせてもらったとか。 来日したときに、淀川さんが電話したら、ホテルから編集部まで本人がテクテク歩いて訪ねてきたそうで編集部のみんながキャーと言ったとか。その時に、編集部で、淀川さんのすぐ前で踊ってくれたとか。 このような話を聞くと、ますますその人柄がうかがえて、ますます好きになります。
2015年01月08日
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「バンド・ワゴン」(1953)THE BAND WAGON監督 ヴィンセント・ミネリ製作 アーサー・フリード、ロジャー・イーデンス脚本 ベティ・コムデン、アドルフ・グリーン撮影 ハリー・ジャクソン音楽監督 アドルフ・ドイッチ音楽 ハワード・ディーツ、アーサー・シュワルツ出演 フレッド・アステア、シド・チャリシー ジャック・ブキャナン、オスカー・レヴァント、 ナネット・ファブレイ 本編112分 総天然色 スタンダードサイズ「ザッツ・エンタテインメント」(1974)1975年3月公開「ザッツ・エンタテインメントPART2」(1976)1977年2月公開「ザッツ・エンタテインメントPART3」(1994)1994年11月公開「ザッツ・エンタテインメント」はMGMミュージカル映画の総集編というか、ハイライト名場面を集めて紹介した映画ですが、この3本を公開時に映画館で見て以来MGMミュージカル映画の大ファンになりました。 いつだったか、このDVDが家電量販店で600円ばかりの値段で売られていて哀しい気持ちになったことがあり、安く買えるのはありがたいけれども、これだけの名作・傑作、素晴らしい映画がたった600円ばかりの価値しかないのか、と。 私たちの年代では1930年代、40年代、50年代のミュージカル映画を知るよしがなく、なのでその総集編である「ザッツ・エンタテインメント」は嬉しい企画です。この映画がなければフレッド・アステアさんもジーン・ケリーさんも知ることができなかったでしょう。「バンド・ワゴン」(53)は天才的タップダンサーであるフレッド・アステアさんの代表作。 1930年代にはジンジャー・ロジャースとコンビを組んだ「有頂天時代」(36)「踊らん哉」(37)「カッスル夫妻」(38)などがあって、これらは見たいと思いながら今でも見られずじまいです。 そんなわけで比較的新しい?、戦後の「イースター・パレード」(48)「バンド・ワゴン」(53)「パリの恋人」(57)「絹の靴下」(57)。 そしてジーン・ケリーの「巴里のアメリカ人」(51)「雨に唄えば」(52)、シナトラとの「踊る大紐育」(49)のDVDは私の大切な宝物になって本棚に鎮座しています。これらのDVDソフトは「ザッツ・エンタテインメント」と同様にワーナーの正規盤で、600円~800円くらいで買いました。 「バンド・ワゴン」(1953)予告編はこちら。「バンド・ワゴン」は、落ち目のミュージカルスター トニー(フレッド・アステア)が友人の脚本家夫妻(オスカー・レヴァントとナネット・ファブレイ)の協力を得て再起をかけた舞台を作り上げる話です。 集まったのはギリシャ悲劇専門の新進演出家(ジャック・ブキャナン)と、ミュージカルとは毛色のちがうバレエダンサー(シド・チャリシー)。 投資家や舞台の裏側、登場人物たちの世代ギャップなども織り込みながら、一度は大失敗してしまったそのミュージカルをどう作りかえて成功に導くのか、を歌と踊りとユーモアで明るく楽しく、見る人を幸せな気持ちにさせてくれる作品です。 このようなミュージカル映画はストーリーなどどうでもよく、歌と踊りの場面を楽しめばそれで充分なのかもしれない。 アステアとシド・チャリシーが夜のセントラルパークで踊る「ダンシング・イン・ザ・ダーク」。 アステアがハードボイルド私立探偵を気取り、悪女気分のシド・チャリシーと踊る「ガール・ハント・バレエ」。 シド・チャリシーさんの曲線の動きの濃艶さ。 そしてエンディングのナンバー「ザッツ・エンタテインメント」が最高です。 このような映画は一度見ただけではその面白さが伝わらないようで、何度も繰り返し見ることで面白さがわかって好きになってゆく、ようです。 惜しいのはアステアさんのタップダンスが見られないこと。
2015年01月07日
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「プロデューサーズ」(2005) THE PRODUCERS監督 スーザン・ストローマン製作 メル・ブルックス、ジョナサン・サンガー脚本 メル・ブルックス、トーマス・ミーハン 撮影 ジョン・ベイリー、チャールズ・ミンスキー 衣装デザイン ウィリアム・アイヴィ・ロング振付 スーザン・ストローマン 作詞作曲 メル・ブルックス 音楽 パトリック・ブレイディ 出演 ネイサン・レイン、マシュー・ブロデリック ユマ・サーマン、ウィル・フェレル、ゲイリー・ビーチ ロジャー・バート、マイケル・マッキーン 本編136分 総天然色 シネマスコープサイズ これは楽しい映画でした。ミュージカル映画でも「ウエスト・サイド物語」や「サウンド・オブ・ミュージック」のようなものではなく、昔懐かしいフレッド・アステアやジーン・ケリーのタップダンスが好きな人にはこたえられないオーソドックスな正統派ミュージカルです。 コメディ映画のメル・ブルックス監督。 よく知られる有名な映画監督(脚本、製作、俳優も) ですが、「ヤング・フランケンシュタイン」(74)くらいしか見たことがないので、私にはあまり馴染みがありません。 そのメル・ブルックス監督のデビュー作品が1968年の「プロデューサーズ」というコメディ映画。ブロードウェイミュージカルを題材にした映画で、2001年にブロードウェイでミュージカル上演されて成功し、同年のトニー賞で史上最高の12部門を受賞したそうです。 それを再び映画化したのがミュージカル映画としての本作品です。 1950年代のブロードウェイ。プロデューサーのマックス(ネイサン・レイン)は最近はヒット作もなく落ち目。 金持ちの老婦人の相手をすることで何とか食いつないでいる状況です。 そこへ現れたのが会計士のレオ・ブルーム(マシュー・ブロドリック)。 帳簿を調べていたレオは「舞台公演が初日で打ち切りになると儲かる」という経理上のカラクリに気づき、それを聞いたマックスは史上最低のミュージカルを制作することを思いつく。 最低の脚本に最低の演出家、最低の役者を使って、初日で打ち切りになれば儲かる?(ってどういうこと?、とにかくそういうことらしい) そんなマックスとレオの事務所にスウェーデンから来たウーラという変な女の子(ユマ・サーマン)が色っぽいので秘書として雇われる。 彼らが「史上最低の作品」上演のために選んだのは「Springtime For Hitler (春の日のヒトラー)」という脚本。ユダヤ人が多いブロードウェイの世界ではヒトラーを扱った作品はタブーとされているらしく、そのヒトラーをナチスの視点から肯定的に描くミュージカル。これなら絶対にヒットするはずがない。これで「史上最低の作品になって、確実にコケるから大儲けできる」と目論んだ二人でしたが。 主演役者が脚を骨折したために急遽代役としてオカマの演出家が役者として舞台に立つことになる。 その結果、最初はナチスの黒い制服や鉤十字に「悪趣味だ」と顔をしかめて席を立つ観客が多かったけれど、そのオカマさんが愉快に演じるヒトラーが登場すると観客は大爆笑。 ヒトラーを茶化していると誤解した観客によってマックスとレオの思惑ははずれて大成功、大ヒットしてしまう。 ミュージカル・コメディ映画ですが、これは何度も繰り返して見てしまう、不思議な(でもないけど)楽しさに浸れる至福の時間が得られます。 変な人がいっぱい出てきて笑わせてくれて、ミュージカルショーが最高に楽しい。
2015年01月06日
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「アベンジャーズ」(1998) THE AVENGERS監督 ジェレマイア・チェチック製作 ジェリー・ワイントローブ脚本 ドン・マクファーソン撮影 ロジャー・プラット音楽 ジョエル・マクニーリイ出演 レイフ・ファインズ、ユマ・サーマン ショーン・コネリー、ジム・ブロードベント、フィオナ・ショウ 本編90分 総天然色 ビスタサイズ アメコミ・ヒーロー大集合の「アベンジャーズ」とまぎらわしいタイトルだけれど、こちらは昔の英国製テレビドラマ「おしゃれ(秘)探偵」の映画化リメイク作品です。「おしゃれ(秘)探偵」(おしゃれマル秘探偵)は1960年代に英国やアメリカで大人気だったそうで、日本では放送された時(1967年頃?)に視聴率がとれず、途中で放送打ち切りになったとか。私はテレビで一度も見たことがありません。 007映画でおなじみのオナー・ブラックマンさんやダイアナ・リッグさんが出演していたそうで、ぜひ一度は見たいと思っているのですが。 英国の防空システムである気象防護プログラム「プロスペロ」の施設が何者かに破壊され無力化される。 緊急事態に秘密諜報機関「ミニストリー」の局長マザー(ジム・ブロードベント)は諜報員ジョン・スティード(レイフ・ファインズ)に「プロスペロ」システムを開発したエマ・ピール博士(ユマ・サーマン)といっしょに事件調査にあたるよう指令を出します。 2人はかつて「ミニストリー」と関係のあった天才科学者オーガスト・デ・ウィンター卿(ショーン・コネリー)が怪しいとにらみ屋敷を訪問する。 デ・ウィンター卿は世界の気象を自由に操る技術開発に成功していて、世界の要人に「気象を買え。でないと何億もの人が死ぬぞ」と脅迫する。まずは手始めに英国全土を寒冷化させ大雪を降らせます。 ジョン・スティードとエマ・ピールはデ・ウィンター卿の陰謀を阻止しようと彼の気象制御秘密基地へと乗り込んでゆく。 この映画、評価が低いですね。でも私はとても気に入っていて、これまでにDVDで何度か見ています。アメリカ映画にはないイギリス映画らしさが横溢していて、もともとヨーロッパ映画が好きなせいか、楽しんで見ています。 気象科学者でありながらフェンシングの達人でもあるエマ・ピールを演じるユマ・サーマンさんがとても魅力的。そのファッションも目の保養です。 ジョン・スティードの英国紳士ファッション。登場する車も、エマのジャガーEタイプや悪役の子分たちが乗って追ってくるミニクーパーも英国らしくてカッコいい。 1960年代にテレビで放送された英国のスパイ物や探偵ドラマらしさ、たとえば「セイント天国野郎」や「ザ・バロン」、「秘密指令S」など、現在ではヌルい感じもするような、他愛ないようなドラマだったけれど、毎週夢中になって見ていた、そんな頃の昔懐かしい感じもして、この映画「アベンジャーズ」は好きだな。 ショーン・コネリーの悪役は、めずらしい。
2015年01月05日
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「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」(2003) PIRATES OF THE CARIBBEAN THE CURSE OF THE BLACK PEARL 1930年代から60年代初頭にかけてアメリカ映画には「海賊映画」のジャンルがあって、たくさんの海賊映画が製作されたそうです。 マカロニ西部劇が作られる前のイタリア映画でもアメリカにならって海賊映画がいくつもあったとか。「海賊ブラッド」(35)「海賊黒ひげ」(52)「海賊旗を上げろ」(61)「海賊魂」(62)などのタイトルがあるのですが、このような作品は現在では見ることができるのでしょうか?(DVDになっているか不明) 私のような者にとっては、海賊は小学生の時に学校の図書室で読んだスティーヴンソンの「宝島」と、ディズニーアニメ映画「ピーターパン」くらいでしか知りません。「黒ひげ大旋風」(67)という、海賊黒ひげの幽霊が現れて珍騒動を展開する愉快な映画があったけれど、海賊映画とはいえないですね。 そんなわけで2003年に公開された「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」は私にとっては初めての海賊映画かもしれない。 海賊映画は製作費が高くなって、それを回収できないかもしれないという危険があって、近年は作られなくなったジャンルだそうです。 そんななかで「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」をあえて製作したジェリー・ブラッカイマーさんの意図はどのようなものだったのでしょうか?「カットスロート・アイランド」(95)が歴史的大赤字の結果におわった前例も当然のこと頭にあったはずです。それをあえて1億4000万ドルもの製作費をかけて挑戦したのは、成功させる自信があったのだろうと思われます。「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」の原題は「PIRATES OF THE CARIBBEAN:THE CURSE OF THE BLACK PEARL」です。「THE CURSE OF THE BLACK PEARL」は「ブラックパール(船名)の呪い」というような意味でしょうか? 昔、征服者コルテスが虐殺をおこなったとき、アステカの人々が虐殺をやめてもらおうと黄金で作られた882枚の金貨を石櫃に入れて捧げたという。コルテスはアステカの人々の願いを無視して虐殺をつづけ何千人もの人を皆殺しにした。兵士だけでなく、女も子供もみんな殺され、アステカの大地は悲鳴と涙と血に覆われた。アステカの神々は怒り、アステカの民の怨念を黄金に託して呪いをかけた、という。 海賊バルボッサたちはその呪われた金貨が納められた石櫃を発見し、その金貨を湯水のように使って快楽を得ようとしたのですが、呪いの結果、生きる亡者になってしまった。 それが邦題の「呪われた海賊たち」の意味となっています。 映画の導入部ではイギリス植民地の港町ポート・ロイヤルの様子が描かれて、風や空気の振動、空の黒い雲などで不吉な予感を表現して雰囲気を盛り上げます。 海賊映画の王道である、海賊船の砲戦や剣戟アクションだけでなく、新しくVFX映像を取り入れて、「生きる死者」として呪われた海賊たちが月の光を浴びてガイコツ姿に変貌する描写の新趣向が成功の要因になったのでしょうか。 それとジョニー・デップ、オーランド・ブルームの2人にはさまれたキーラ・ナイトレイさんが現代ふうのイケてる強い女性を演じて存在感がありますね。
2015年01月04日
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2003年の外国映画興行成績です。 金額は興行収入。1位「ハリー・ポッターと秘密の部屋」 173億円2位「マトリックス・リローデッド」 110億円3位「ターミネーター3」 82億円4位「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」 79億円5位「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」 68億円6位「マトリックス レボリューションズ」 67億円7位「マイノリティ・リポート」 52億4000万円8位「HERO」 40億5000万円9位「チャーリーズ・エンジェル フルスロットル」 35億円10位「シカゴ」 35億円 近年、海賊映画はめずらしいのですが、その海賊映画「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」がアメリカだけでなく日本でも大ヒットしました。日本公開は2003年8月2日。「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」(2003) PIRATES OF THE CARIBBEAN: THE CURSE OF THE BLACK PEARL監督 ゴア・ヴァービンスキー製作 ジェリー・ブラッカイマー脚本 テッド・エリオット、テリー・ロッシオ、ジェイ・ウォルパート撮影 ダリウス・ウォルスキー音楽 クラウス・バデルト、ハンス・ジマー出演 ジョニー・デップ、オーランド・ブルーム、キーラ・ナイトレイ ジェフリー・ラッシュ、ジョナサン・プライス、ジャック・ダヴェンポート 本編147分 総天然色 シネマスコープサイズ 製作費は1億4000万ドル。全米での興行収入3億500万ドル、日本で68億円、全世界で6億5400万ドルの興収を得ました。 同じ海賊映画でありながら「カットスロート・アイランド」(95)が1億ドルの製作費をかけて全米での興収が約1割の1000万ドルでしかなかったという、歴史的大赤字を呈したのと比べるとなんという大きな差でしょうか。 海賊映画はヒットしないというジンクス?があったそうですが、「カットスロート・アイランド」が失敗した原因は海賊映画だから売れなかったということだけではないようです。 正直言って「カットスロート・アイランド」という映画があったのを最近まで知らなかったし、金沢で公開されたのかどうかも知らない。それに比べると「パイレーツ・オブ・カリビアン」は私でさえ劇場へ足を運んで鑑賞したくらいです。宣伝の差なのかも? 例えば両作品のDVD(ブルーレイでも)ソフトを並べて置いて、どちらを買うか?見たいか?とすると、圧倒的に「パイレーツ・オブ・カリビアン」の方が選ばれるだろう。購買客の関心を引きつける印象という点で大きな違いが感じられます。 上の写真は主演ジョニー・デップのジャック・スパロウ船長を中心にオーランド・ブルームとキーラ・ナイトレイ、それに悪役のジェフリー・ラッシュ(バルボッサ船長)を横一列に配しています。 下の「カットスロート・アイランド」は爆発する海賊船とタイトルを大きく描き、その中心にジーナ・デイヴィスとマシュー・モディーンの小さな写真を配しただけ。 ジーナ・デイヴィスとマシュー・モディーンが主演では観客の関心を引かないのでは?と思えるのに加えて、ポスター等のデザインがこれでは映画館に観客が集まらないのは当然だったのかもしれません。(せっかくジーナ・デイヴィスさんが頑張ったのに) つづく。
2015年01月03日
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「カットスロート・アイランド」(1995) CUTTHROAT ISLAND監督 レニー・ハーリン製作 ローレンス・マーク、ジェームズ・ゴーマン ジョエル・B・マイケルズ、レニー・ハーリン製作総指揮 マリオ・カサール脚本 ロバート・キング、マーク・ノーマン撮影 ピーター・レヴィ音楽 ジョン・デブニー 出演 ジーナ・デイヴィス、マシュー・モディーン フランク・ランジェラ 本編124分 総天然色 シネマスコープサイズ いま読んでいる海洋冒険小説「パイレーツ-掠奪海域-」 がらみでDVD鑑賞した「カットスロート・アイランド」です。 海賊映画ですが、「CUTTHROAT ISLAND」って? CUTとTHROAT(昔、ディープスロートって題のポルノ映画があったっけ)、「切る」と「咽喉」。 喉を切る → 喉切り→ 喉を切る殺し屋となって「人殺し、殺人者、殺人的な」という意味らしく、この映画の場合は「喉切り者の島」といった感じだろうか?「ダイ・ハード2」(90)や「クリフハンガー」(93)のレニー・ハーリン監督が自らも製作に参加した海洋冒険アクション映画です。 約1億ドルの製作費をかけて、それが1千万ドルの興収しか上げ得ず、歴史的な大赤字映画として記録されています。 内容的には海賊映画の剣戟と帆船同士の砲撃戦、大嵐、財宝が隠された島の地図をめぐる争奪戦などの海洋冒険の王道を行くもので、現代のようなCGを多用した作りではなく、実際に俳優たちが危険なアクションをこなしている。世に言われるようなつまらない映画ではないと思います。 主人公は女海賊のモーガン船長(ジーナ・デイヴィス)。「カットスロート・アイランド」という島があって、主人公モーガン船長の祖父が強奪した金銀財宝が隠されているとされる。 その財宝を手に入れようとする悪党の叔父ドーグ(フランク・ランジェラ)の手にかかって殺された父の頭に刺青された一枚の地図を手に入れたモーガンは二枚目の地図を持つもう一人の叔父モデカイと手を組んで、カットスロート・アイランドに隠された財宝を目指します。 しかし、極悪非道の海賊である叔父ドーグがモーガンたちの持っている地図を奪いに来る。 地図がラテン語の文字で書かれていたため、ラテン語が読める奴隷ショウ(マシュー・モディーン)をポート・ロイヤルの奴隷市場で誘拐したモーガンは、ドーグやポート・ロイヤルの知事が率いる軍隊の追撃を逃れてカットスロート・アイランド島へと向かう。 このような海賊映画は近年はめずらしく、どうしても製作に莫大な費用がかかるためか、商業的にも大ヒットが見込めないためか、あまり作られなくなったジャンルです。 つまらない映画ではないけれども、大コケしたのもわかるような気がする。 たしかに主演の女海賊モーガンを演じるジーナ・デイヴィスさんはジャッキー・チェンのようなアクションをこなして頑張っているが、大衆受けするようなヒロインかというと、ちょっと首をかしげざるをえない。 女海賊モーガンといっしょに行動するショウなる男(マシュー・モディーン)も、正体は大泥棒のようだが、キャラクターが弱く印象に残る個性が感じられません。財宝を狙う叔父ドーグもイマイチといった印象で、登場人物に魅力がないのが最大の難点のようです。 アクションはかなり派手で盛大ですが、もったいないことに編集がそれを活かしていないですね。 でも、この映画、昔たくさんあった(私が知らない1940年から1960年ごろ)海賊映画ジャンルの復活とはならなかったけれど、剣を取ってのチャンバラなど、こういう剣戟アクション映画もたまには良いものです。
2015年01月02日
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100円(税込み) の古本で買った「パイレーツ-掠奪海域-」(マイクル・クライトン著 酒井昭伸訳 ハヤカワ文庫) を読んでいます。 その邦題のとおり海賊ものの海洋冒険小説ですが、マイクル・クライトンの作品としては異色な感じがします。「アンドロメダ病原体」「緊急の場合は」、そして「ジュラシック・パーク」と、続編「ロスト・ワールド」 、「タイムライン」くらいしか読んでいないけれども、私が持つイメージは、最新科学知識を活かした医療ものやSFものの作家です。 それが今作は一転して歴史ものであり、中世カリブ海域の私掠人を主人公にした海洋冒険小説であり、敵地に潜入して破壊工作する戦争冒険活劇ものでもある。 1665年のジャマイカ。海賊ものでは必ず登場するポート・ロイヤルという英国の植民前進都市。私掠人のハンター船長はジャマイカ総督のサー・ジェイムズ・オルモントから財宝を満載した一隻のスペイン船がある島の港に嵐をさけて避難しているという情報を得ます。 その港とはスペインの強大な要塞がある難攻不落の地形。 ハンター船長は腕利きの仲間を集め、そのスペイン船から財宝を奪うために出港するのですが、航海の途中でスペイン艦に拿捕されてしまう。 主人公をただの海賊ではなく「私掠人」としているのが新しい点でしょうか?「私掠人」とは、英国国王から「海賊行為」を容認されている人物のことで、もちろんスペイン船を対象にした掠奪のみです。 英国国王が船や資金提供をして海賊を容認する。中南米の植民地から財宝を積んで帰国するスペイン船を襲って積荷を奪い、その掠奪した財宝の何割かをスポンサーの英国政府に納めるという契約が交わされている。 マイクル・クライトンさんは2008年にお亡くなりになりましたが、その没後にパソコン内からほぼ完成状態の本作が発見され、2009年12月に早川書房から単行本として刊行。 私が読んでいるのはその文庫版で、2012年3月に出たもの。発売当時に書店で見かけたけれど定価960円+税と高価なため購入を見送っていた本です。 まだ新品同様のきれいな本を100円で買えてラッキー。 スティーブン・スピルバーグ監督が映画化を企画しているそうで、たしかに映画的な小説です。
2015年01月01日
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