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2014.10.19
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史書続きで。
今回は『後漢書』から。

『後漢書』華佗伝 2。『後漢書』華佗伝 1。
『華佗字元化、沛國譙人也、一名旉。遊學徐土、兼通數經。曉養性之術、年且百歲而猶有壯容、時人以為仙。沛相陳珪舉孝廉、太尉黃琬辟、皆不就。精於方藥、處齊不過數種、心識分銖、不假稱量。針灸不過數處。若疾發結於內、針藥所不能及者、乃令先以酒服麻沸散、既醉無所覺、因刳破腹背、抽割積聚。若在腸胃、則斷截湔洗、除去疾穢、既而縫合、傅以神膏、四五日創愈、一月之間皆平復。』(『後漢書』方術列伝 )
→華佗(かだ)、字(あざな)は元化、沛国・譙(しょう)の人である。またの名を「旉(ふ)」という。徐州にて遊学し、数々の経典に通じていた。養性の術に明るく、百歳に近づいていても容姿は壮年の頃と変わらなかったため、時の人々は彼が仙人となったと思っていた。沛国の相、陳珪(ちんけい)は、華侘を孝廉に推挙し、太尉の黃琬(こうえん)も彼を招いたものの、固辞された。方藥に精通しているが、処方するのは数種のみ。分量は心で識り、秤を用いることもない。針灸を施す場合も数か所のみ。もし、病が人の内から発して、針でも薬でも通じない場合には、まず酒で麻沸散を飲ませ、酔って知覚が無くなってから、腹または背を切り開き、病の集まったところを取り出す。もし病が胃腸にあるならば、切り取ってから洗い、穢れを除き去って縫合し、神膏を塗りこむ。四、五日で治り、一ヶ月で全快する。

華侘(Hua Tuo  140 ? ? 208)。
『後漢書』には方術列伝という列伝がありまして、上記は『三国志演義』にも登場する後漢の名医・華侘(かだ・華陀とも)の「華侘伝」です。日本で言うと卑弥呼の時代のちょっと前。『後漢書』には、華侘が酒と麻沸散という薬を使用して、外科手術を行った記録があります。

碁を打つ関羽と手術する華侘。
小説としての『三国志演義』に、関羽が受けた毒矢の治療のために、腕を切開するというシーンがあります。あれはフィクションですが、麻沸散による手術の方は、史実として『後漢書』に掲載されています。また、「三国志」の有名どころでいうと、「方術列伝」には左慈も出てきまして(左慈の方は「方術」「方士」と呼びやすいです)、神医・華侘も同じ枠組みに入っています。

参照:中国哲学書電子化計画 後漢書 方術列傳
http://ctext.org/hou-han-shu/fang-shu-lie-zhuan-xia/zh

『後漢書』華佗伝 1。
『廣陵太守陳登忽患匈中煩懣、面赤、不食。佗脈之、曰「府君胃中有蟲、欲成內疽、腥物所為也。」即作湯二升、再服、須臾、吐出三升許蟲、頭赤而動、半身猶是生魚膾、所苦便愈。佗曰「此病後三期當發、遇良醫可救。」登至期疾動、時佗不在、遂死。曹操聞而召佗、常在左右。操積苦頭風眩、佗針、隨手而差。
 有李將軍者、妻病、呼佗視脈。佗曰「傷身而胎不去。」將軍言間實傷身、胎已去矣。佗曰「案脈、胎未去也。」將軍以為不然。妻稍差百餘日復動、更呼佗。佗曰「脈理如前、是兩胎、先生者去、血多、故後兒不得出也。胎既已死、血脈不復歸、必燥著母脊。」乃為下針、并令進湯。婦因欲產而不通。佗曰「死胎枯燥、埶不自生。」使人探之、果得死始、人形可識、但其色已黒。佗之絕技、皆此類也。』(『後漢書』方術列伝 )

 曹操はこの話を聞いて華佗を召し抱え、常に左右に彼を置いた。曹操は、日ごろからめまいや頭痛に苦しんでいたが、華佗が針を施すと、手で払い取ったようにすっかり快癒した。
 李将軍という者がいて、その妻が病気ということで、華侘はその脈を診た。華佗曰く「流産をしているが、まだ胎児が胎内におります。」將軍は、妻が流産したが、胎児も流れたと聞いていると答えた。華佗曰く「脈から案ずるに、胎児は流れてしまってはおりませぬ。」将軍は華侘の診断を承服しかねた。妻の様子は少しよくなっていたが、百余日経つと悪化したため、再び華佗を呼んだ。華佗曰く「脈は前と変わることはありません。これは双子であったのでしょう。先に流れた胎児の血が多く、後に残された胎児が出てこれなくなったのです。この胎児もすでに死んでおります。残された胎児の血脈が再び戻ることはなく、きっと干からびて母親の背中に貼りついておりましょう。」そこで、針を施し、薬湯を飲ませた。妻は再び産気づいたが出てこない。華佗がいうには「死胎はからからになってしまい、自ずから生れ出ることができませぬ。」他の者の力を借りて探り出したところ、果たして死んだ胎児であった。人の形だとわかるほどであったが、その色は黒一色であった。華佗の絕技は、みなこのたぐいである。

鍼灸術や薬草学にも精通していた彼は、曹操のお抱え医師となります。
『後漢書』華佗伝 1。
『為人性惡難得意、且恥以醫見業、又去家思歸、乃就操求還取方、因託妻疾、數期不反。操累書呼之、又敕郡縣發遣、佗恃能厭事、猶不肯至。操大怒、使人廉之、知妻詐疾、乃收付獄訊、考驗首服。荀?請曰「佗方術實工、人命所懸、宜加全宥。」操不從、竟殺之。佗臨死、出一卷書與獄吏、曰「此可以活人。」吏畏法不敢受、佗不強與、索火燒之。』(『後漢書』方術列伝 )
→華侘の為人は、自分の意にそぐわないことを憎み、また、自分の醫(医)の業を見せるのを恥じるものであった。それに、遠く離れた故郷に帰りたいとも思い、「家にある処方を取りに帰りたい」と曹操に請願した。帰郷した後は、妻の病気を口実に曹操の下に戻ろうとしなかった。曹操は、書状を出し、県令に勅命を下して招聘しようとしたが、華佗は自らの異能を恃み、その命令に服しようとはしなかった。曹操は激怒して、使者を送って調べさせ、妻の病気が詐病であることをつきとめた。その証拠をもとに華侘を召捕って尋問すると、彼は白状した。荀イク(じゅんいく)は「華佗の方術は人の命を左右するほどに巧みです。どうかお許しください。」と助命を嘆願したが、曹操はこれを許さず、遂に華侘を殺した。華佗は死ぬ間際、一巻の書物を獄中で書きあげていた。「この書は人々を活かすことができるものだ。」と獄吏に手渡したが、獄吏は囚人から物を受け取ることで、法を犯すのを恐れた。華佗はそれ以上無理強いはせず、火を求めてこの書を焼いた。

華侘(Hua Tuo  140 ? ? 208)。
華侘は結局、曹操の命令に応じなかったことで、殺されてしまいます。小説である『三国志演義』では、華侘は「青嚢書(せいのうしょ)」という書物を書き上げ、実際には監吏に手渡したという後日談が作られますが、史書としては、華侘は自ら書物を燃やしてしまっています。したがって、彼の優れた医療技術のほとんどは、現在継承されていません。

医療技術以外で、華侘が発案したと記録されているのが、これ。
五禽戯(鳥・猿・鹿・熊・虎)。
『佗語普曰「人體欲得勞動、但不當使極耳。動搖則穀氣得銷、血脈流通、病不得生、譬猶戶樞、終不朽也。 是以古之仙者為導引之事、熊經鴟顧、引挽腰體、動諸關節、以求難老。吾有一術、名五禽之戲:一曰虎、二曰鹿、三曰熊、四曰猿、五曰鳥。亦以除疾、兼利蹄足、以當導引。 體有不快、起作一禽之戲、怡而汗出、因以著粉、身體輕便而欲食。」普施行之、年九十餘、耳目聰明、齒牙完堅。』(『後漢書』方術列伝 )
→華侘が弟子の呉普にいわく「人の身体はよく動かすのが好ましい。ただ、過度に動かすのは弊害だ。運動をすることで穀物の氣はよく取り入れられ、血脈の流れが通じ、病気にならずに過ごせるようになる。戸の枢がいつまでも朽ちないのと同じ道理だ。だから、古の仙者は導引をよくした。熊のように木にぶらさがったり、フクロウのように首を回したり、腰を伸ばしたり、関節を動かしたりして、老いることのないようにしたものだ。私には一つの術がある。名を「五禽之戲(ごきんのぎ)」という。一に虎、二に鹿、三に熊、四に猿、五に鳥。病を退け、足を丈夫にするもので、導引の技法をあてた。身体に不快感があるときに、五禽のうち一禽でもやればよい。汗をかいてくるが、そこは滑石を塗っておく。身体は軽くなり、食欲もわいてくる。」語普はこれをして、九十歳まで生き、耳目も達者で、歯もすべて揃っていた。

荘子 Zhuangzi。
『吹呴呼吸、吐故納新、熊經鳥申、為壽而已矣、此道引之士、養形之人、彭祖壽考者之所好也。』(『荘子』刻意 第十五)


参照:瞑想と煉丹、瞑想と練金。
http://plaza.rakuten.co.jp/poetarin/5147/

猿の真似をする華侘。
動物の動きを真似て、体を動かす形式。『荘子』にも書かれている「導引(道引)」の技法の華侘バージョンで、ほとんど現代人が行っている体操と目的が変わりません。後に、華侘は神仙の中に名を連ねることとなりますが、これは道教の経典よりも、むしろ史書の影響が強いと思われます。

参照:Spiritual Kung Fu 拳精 Seoulpower MV
https://www.youtube.com/watch?v=wgHFhuYy1og

Tai Lung VS Furious Five Fighting Cutscene
https://www.youtube.com/watch?v=hjjJhtR4Phw
ちなみに、メンバーに変化はあれど、五種の動物に当てたのは、華侘が最初でしょうね。


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8F%AF%E4%BD%97

今日はこの辺で。





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Last updated  2014.10.30 23:46:49
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