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May 26, 2017
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カテゴリ: 教授の読書日記
ラッセル・コンウェルという人の書いた『ダイヤモンドを探せ』という本を読了しましたので、心覚えをつけておきましょう。

 ちなみにこの本、原題は『Acres of Diamonds』と言うのですが、もともとは講演の中で話されたことで、コンウェルは生前、世界中でこの話を6152回話したとのこと。本としては1890年に出版され、ものすごいベストセラーになっております。

 さらにちなみにですが、ラッセル・コンウェルは日本にもサテライトがある「テンプル大学」の創立者でありまして、その大学も、この本の売り上げから来る収入だけで作っちまったというのですから、どんだけ売れたんだと。大学一つ作るだけの印税って、想像を超えてくるよね・・・。

 で、もともとこの「ダイヤモンドを探せ」というのは、コンウェルがイラクを旅していた時に、ラクダを引くガイドから聞いた話なんですと。

 で、そのガイドの話というのはこうです。昔、インダス川のほとりにアリ・ハフェドという裕福な男が居て、広く豊かな畑、美しい妻、大勢の子供たちに囲まれて楽しく暮らしていたと。と、そこへ仏教の僧侶(聖書に出てくる東方の三博士の一人)がやってきて、天地創造の話をしてくれた。その僧侶によると、神様が霧状の世界に指を突っ込んでクルクル掻き回しているうちに塊ができ、それが冷えて地球になったのだけど、その地球の鉱物の中で最後に固まったのがダイヤモンドだと。で、それは非常に貴重なものなので、親指の先ほどのダイヤがあれば、あんたが今持っている財産の数倍の価値があるし、一つかみのダイヤがあればあんたの子供を王様にすることすらできる。まあ、そんな感じのことを語ったと。

 で、この話を僧侶から聞いたアリ・ハフェドは、今まで幸せだと思っていたものが途端に色褪せて見えてきたと。で、結局財産を売り払い、妻や子は親戚に預けて、ダイヤモンドを探しに旅立ち、そのまま帰ってこなかった。

 で、その際、ハフェドから土地を売ってもらった男が居たわけですが、ある時この男が、自分の買った土地を流れる小川の中に、何かキラリと光る物体があるのに気づくわけ。と言えばお分かりの通り、それは巨大なダイヤモンドであった。

 アリ・ハフェドは馬鹿だねえ、自分の目と鼻の先にダイヤがあったのに・・・。青い鳥は、自分の家に居たのに。

 で、この話のポイントは何かというと、イラクのガイドによる遠まわしの皮肉だったんですな。アメリカの若いボンボンが、イラクなんぞに何しに来たのか。アメリカにそのまま居ればいいものを。そういう皮肉だった。



 で、彼はバプティスト派の牧師であったにも関わらず、以後、富の福音を説く自己啓発家となります。そしてまず、「お金というものは、いいものだ」ということを説く。確かに金の亡者になるのはよろしくない。だけど、お金があるという状況は幸せの基本だと。正直な、まっとうな手段で、適正にお金を稼ぐことに何の障碍があろうかと。

 で、ラッセルの自己啓発スピーチの基本は、例示です。実際にあった話、実際にゼロから身を起こした人の話をしながら、「あなたもこれにヒントを得て頑張りなさい」というスタイル。

 その際、私の見るところ、ラッセルは割と「商売人」と「発明家」を重視します。で、この両者に共通するのは「人のニーズ」ね。商売人として成功するためには、発明家として成功するためには、いかに人々のニーズを察知するかにかかっていると。

 例えば不動産業のアスターはどうやって富を得たか。彼は最初ニューヨーク裏通りで、客に入りが悪いために倒産した小さな帽子屋を、居抜きで、店員ごと買い取るわけ。で、店員に店を任せて自分は通りに腰かけて街を行く人々を観察していた。

 そんなアスターの目に留まったのは、小粋な女性です。で、その小粋な女性がかぶっていた洒落た帽子をじーーーっくり観察したんですな。で、女性が行ってしまうと店に戻って、今見たばかりの洒落た帽子と寸分たがわぬものを作るよう命じ、自分はまた通りで観察再開。

 すると、これまたステキな帽子をかぶった女性が通りかかったので、その帽子を観察し、店に戻って同じ型のものを作るよう指示。そうやって、今、街で洒落た女性がかぶっている最先端のお洒落な帽子を自前で作り、他の高級店よりも安く販売し始め、これが当たって店は大繁盛。ここから不動産王アスターの基礎が作られたと。

 アスターがやったことはただ一つ、女性は今、どんな帽子に憧れを持っているか、それを理解しようと努めたことだけ。つまり、ニーズはどこにあるのかを掴もうとしたわけですよ。

 あるいはこんな話もある。ラッセルの自己啓発講演会に出席したある女性が、ラッセルの話に促されて自分も何か身近なニーズを発見しようとしていたわけ。で、講演会から家に戻って服を着替えた時、シャツの一番上の首元のボタンがなかなか外れず、脱ぐのに苦労してしまったと。で、「これだ!」と思った彼女、簡単につけ外しができるボタンに代わるものを発明しようと頭をひねったんですな。で、完成したのがスナップだったと。もちろん、彼女はスナップの発明で大金持ちに。彼女にとって、ダイヤモンドは自分の首元にあったのだと。

 そんな感じで、ニーズを見出して金持ちになった人の面白い話を羅列しながら、ラッセルは富の福音を説き、これが人気を博して彼自身も大学を作るくらいの大金持ちになりましたとさ。

 で、この本はそれこそ「聖書に次ぐ」ほど売れ、人々に富をもたらしたと言われているのですけど、20世紀の自己啓発本ライターのビッグネームの一人、デール・カーネギーがこの本に影響を受けたというのは、非常に分かるような気がします。というのも、スタイルが同じだからね。カーネギーも、良く知られた成功者の例を引きながら、「こうすればあなたも成功できますよ」と説くわけだから。

 ただ、ラッセルが「商売人」と「発明家」を重視するのに対し、カーネギーの場合は、「人間関係の円滑化」を重視する。そこが違うんですな。それは多分、時代の差なんじゃないでしょうかね。昔は単独の「起業家」を想定していたけれど、カーネギーの時代、すなわち20世紀半ばでは、「会社で働くサラリーマン」が主たる想定読者だからね。「起業人」じゃなくて「企業人」が対象なわけよ。企業で出世するにはどうすればいいか、となった場合、カーネギーが説くように、「他人に愛される人格」を形成することが一番ですからね。




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Last updated  May 26, 2017 02:00:06 PM
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Comments

釈迦楽@ Re[3]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  ああ、やっぱり。同世代…
丘の子@ Re[2]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 釈迦楽さんへ そのはしくれです。きれいな…
釈迦楽@ Re[1]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  その見栄を張るところが…
丘の子@ Re:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 知らなくても、わからなくても、無理して…
釈迦楽 @ Re[1]:京都を満喫! でも京都は終わっていた・・・(09/07) ゆりんいたりあさんへ  え、白内障手術…

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