投資の余白に。。。
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妻をなくしたひとり暮らしの年金生活者がいる。シチリアに住み74歳になる彼は、イタリア本土に散らばる5人の子どもを訪ねる旅に出る。「みんな元気。子どもたちはシチリアの誇りだ」。旅から帰った彼は妻の墓前に報告する・・・この言葉、「みんな元気」がこの映画のタイトルだ。トルナトーレのこの映画を観るのに正月ほどふさわしい時期はないと思う。幸福そうな見かけの陰で、中年になった5人の子どもたちはそれぞれに問題を抱えている。最も聡明だった長男など、実は自殺していた。「みんな元気」どころではなかったのだ・・・もう何度目になるのか、今回強く感じたのはフェリーニの影響。フェリーニに特徴的なのは、イタリアやイタリア人のダメなところ、醜いところをさりげなくデフォルメすることで、逆にダメで醜いイタリア及びイタリア人のすばらしさを描くやり方。こうした点において、今回はトルナトーレはフェリーニのコピーとさえ言えるのではないかと感じた。「マレーナ」でも、トルナトーレはさんざんダメで醜いイタリア人を描く。しかし、夫と共に帰郷したマレーナを、市場の女たちは厚情をもって迎える。この女たちを通じて、トルナトーレはダメで醜く愚かなシチリアの庶民の本質的な暖かさを描くことに奇跡的に成功している。「マレーナ」は、このシーンがなかったら駄作とさえいえると思うが、このシーンのおかげでかけがえのない映画になっている。それにしても「みんな元気」のマストロヤンニのすばらしさと言ったらどうだろう。食卓の前で独演する冒頭の数分。これと同じ演技をさせて、彼の10分の1でも表現できる俳優がいるだろうか。こういうシーンを何度も繰り返して観ることができるHDやDVDは便利。
January 1, 2005
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