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2021/05/22
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カテゴリ: 木の話


1割とか2割とかの話ではなく、2倍といったレベルの、過去例を見ない値上がりの仕方です。
発端は「輸入材が入らない」ということでしたが、それが国産材にも飛び火して、暴騰が始まっています。
WOODPROとしても、現在、影響度を検討中ですが、さすがに企業努力だけで対応することは困難で、こおそらく近い将来に、商品価格を2割~3割上げざるを得ないと思われます。。

とはいえ、木材業界にいない方には、あまり実感のない話だと思いますので、少しまとめてみます。
・世界的なコロナの影響で、市場縮小。さらに、生産も縮小。
・コロナの影響もあって、世界的な物流の停滞発生。
⇒この状況が長く続きました。

そして今年に入って

・世界的な物流遅延と木材減産の影響で、供給不足のため、木材高騰
・輸入材が日本に入ってきにくくなり、日本国内の木材不足、木材高騰発生
・輸入材の代替材として、国産材の需要が高まるも、急激な供給力アップはできず、国産材も品不足&高騰。
・輸入材の供給の見通しは立たず、木材は不足し、短期間で「値上げ」が繰り返されている状況

アメリカでは、「仕事のリモート化」が進んで、都心から郊外に家を建てて移住する人が急増し、住宅需要が増加、なんて話もありますね。

現在のところ、「天井」が見えません。
そのため、WOODPROが仕入れている製材会社も、夏以降の価格は「確定」できず、すでに、国産材についても、5割アップは確実ではないか、といった状況になっています。
それでも、WOODPRO前年の場合は、実績に基づいた木材の確保ができるのでまだいいのですが、輸入材から国産材に切り替えようする業者の場合は、「売ってもらえない」という状況になっています。
売ってもらえなければ、相場以上にお金を払って手に入れるか、工事を延期するかしかありません。

ということで、現在、住宅業界では「ウッドショック」と言われている状況になっているわけです。
なにしろ、家を建てようにも、材料が手に入らない。

予算も工期も決まっている、
これからの家の受注はいくらで受けたらいいの?
なんてことで、パニックなんですね。
日本の山には、たくさんの木があるにも関わらず、「ニーズがない」から放置されてきました。
そこに突然「ニーズ」が発生。


現在、この状況がいつまで続くのか、業界全体が考えているわけです。
この流れが続くと読めば、国産材は高値で安定し、これまで不採算の代表であった林業にも光があたって、「儲かる」仕事になるかもしれません。
山林、林業への投資も増えて、林業も活性化。
そうなれば、国土の荒廃も防げるし、長い目で見ればいいことでしょう。

しかし、現状、業界全体が疑心暗鬼に陥って、国産材の増産もままならないという話です。
相場が大きく上がるということは、大きく下がるというリスクも抱えています。
今日買ったものを今日売るのであればいいのですが、買ってから売り切るまでには時間がかかります。
高いものを大量に買って、それが残っているうちに暴落したら大損です。
産地では、製材所が年間契約で原木を押さえています。
そのため、おそらく、今流通している材料は、「安く仕入れたものが高く売れている」という状況だと思われます。
ただ、「次の手当て」は、高いものでするようになります。
高い原木を年間契約したりすると、暴落した際には大損。
そのため、「この際、どんどん高い材料を買っておけ!」とも行かないらしい。
山主は高く売りたい。
「もっと上がるかもしれない、でも、暴落するかもしれない・・・」
そんなせめぎあいが、産地である山では起こっているのでしょう。

しかし、建築の現場では「すぐに材料をくれ!」という状況なのですから、「ウッドショック」なんですね。
コロナが流行り始めたころには、中国製の便器が入ってこないから工期が遅れる、なんて話がありましたが、今は、工期は遅れるし予算にもあわない、というダブルパンチになっています。

当然、WOODPROも他人事ではありません。
私がWOODPROに入って20年余りですが、20年間に上がった杉の価格は、せいぜい2割ほど。
それが、今回、それをはるかに上回る価格アップとなっています。

相場があるものは、波が大きいほど、儲かる可能性がある代わりに、損失を被るリスクも大きくなります。
これは、「相場師」の仕事であって、まっとうな製造メーカーとしてはありがたくないことですね。

さて、この先どうなるのか見えませんが、とりあえず、近い将来に値上げを行わざるを得ない状況であることだけ、ご理解いただければと思います。





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Last updated  2021/06/14 07:18:24 AM
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