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「METライブビューイング」というオペラ映画のシリーズから、プッチーに作曲の「ラ・ボエーム」を見ました。読んで字のごとく、MET/ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場の公演を録画したもので、合間に指揮者や出演者のインタビューがはいっています。舞台裏から映した映像もあって、指揮者が呼び出されてオーケストラピットにはいったり、出番を終えたプリマドンナが機嫌良く戻ってきて、カーテンコールに出て行ったりするさまも見ることができました。 1幕目のロドルフォとミミの出会いの場面は、結末を知っているだけに、美しい音楽に涙を誘われそうになりました。字幕を見ながらだと、以前見た時の印象よりもっと複雑な部分が見える気もします。ふたりの出会いは初々しいようだけれど、ロドルフォはけっこう恋多き詩人のようだし、ミミも清楚な娘といっても、ひとりで刺繍で身を立てていられたのか、疑問がわいたりして。ミミ役のゲオルギウは、このゼフィレッリの演出に合わせて清楚な役づくりにしているけれど、本当はそうは思わないと幕間のインタビューで言っています。 大道具の転換も映し出されましたが、舞台の奥行きがあるので、1幕目の屋根裏部屋と2幕目のクリスマスの街角の舞台装置の転換は、そっくりできあがっていて人が乗っている状態で台車で入れ替えていました。昔上野文化会館で見たスカラ座の引っ越し公演では、2幕目では、奥行きを出すために紗の向こうにおとなの衣装を着せた子どもを歩かせていましたが、そんな必要もないのですね。 昔見たフレーニのミミは、ごく自然に純情可憐だったのですが、ゲオルギウはかわいく演じようとしすぎてちょっと不自然に感じました。でも、出演者全員が美声であぶなげない歌唱で、映画と言っても音もよくて、オペラを堪能することができました。 ロドルフォと別れて暮らしていたミミがロドルフォのもとで死にたいと言って、戻ってくる場面では、ロドルフォ役のラモン・ヴァルガスが、その前の幕間のインタビューで7歳の息子をなくしてから財団をつくった話をしているのを聞いたあとだけに、なんだか胸が痛くなりました。 思いつくまま、まとまりがない文章になってしまいました。まだいろいろなオペラをこのシリーズでは見ることができるようです。METライブビューイングEduardo Vargas Memorial Fund
May 29, 2008
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大変遅くなりましたが、前回の日記に続き、9条世界会議では、インドから来日したボーンフリーアートスクールのジョン・デバラシさんのお話を聞きました。 ボーンフリーアートスクールはNGOではなく、個人の運動であり、率いるのは子ども達と若者、ということです。児童労働から解放された子どもたちが、苦しんでいる子ども達を解放することをミッションとしています。世界には2億4600万人の児童労働者がいますが、その50パーセント以上がインドにいます。元児童労働をしていた子ども達はこのアートスクールで芸術をとおして失われた子ども時代を取り戻し、学校に戻ります。子ども達はそこで音楽や美術の才能を開花させています。 会場ではドキュメンタリー「歴史の旅 働く子ども達の歴史を探る」の短縮版が上映されました。 元児童労働者の子ども達が手に手にカメラを持って自転車で出発します。写されたのは インドではポピュラーなお米のお菓子マンダキの工場。古チューブを燃やしてお米を炊いているのですが、そこで働いていて、大釜に落ちて大やけどを負ってなくなった子がいます。決して珍しいことではなく、記録に載らない事故が起きているようです。 マンガン採掘場で粉まみれになって石を砕く幼児。ラップトップや携帯に遣われているそうです。 7歳で結婚している子。 1日にバラを1万本切る子ども。日本にも輸出されています。安売りのバラはこれのようです。 カレーに欠かせないターメリックや唐辛子の収穫にも子ども達が働いています。 親がヤギをもらうかわりに年季奉公で山羊番をしている子ども達。 なぜ子どもが使われるかと言えば、おとなより安いからです。5分の1の賃金だったりします。学校に行くことも遊ぶこともできず、長時間労働を黙々とさせられています。デバラシさんは、これらは、欲深いおとながこどもにしかけるテロ、内戦だと言います。 また、児童労働は戦争と直接関わっている、と言います。インドでは軍事費が8300億ルピーであるのに対し、教育費は1830億ルピー、子ども一人につき年間たった277ルピー(748円)ということです。デバラシさんは、軍事費を減らして教育にまわしてほしい、憲法9条をインドの憲法に取り入れるよう働きかける、と話していました。インドにとって、パキスタンとの関係が平和に重要なので、子ども達はパキスタンを訪問する予定とのことでした。 携帯やコンピューターを使うとき、恋人にロマンチックなバラを贈るとき、私たちを思い出して、という働く子ども達が印象に残っています。 関連サイト働く子どもの「遺産と伝説』キャンペーン児童労働ではありませんが、PFCさんが異文化理解とジャーナリストの使命について、「マイティ・ハート」という映画について教えてくださいました。こちら
May 14, 2008
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ご報告が遅くなりましたが、5日に幕張メッセの9条世界会議に行ってまいりました。出遅れてお昼近くに到着したところ、当日券はとっくに売り切れていました。あきらめて帰ろうとしたら、知り合いのかたにお会いして、余分なチケットをお持ちということだったので、入ることができました。前日は一万数千人が来場して、3千人もはいれないかたがいらしたそうです。 いろいろな団体のブースを少し見てから、時間的にちょうどよいので『戦争をしない国 日本」という映画を見に行きました。ダイジェスト版です。はじめに監督のお話がありましたが、前日NHKのニュースでは、さすがに無視はできなかったのだろうが、ノーベル平和賞受賞者が参加して平和について考える会が開かれました、という言い方をして、9条世界会議の名は言わなかったということでした。 平和憲法が制定されてわずか2年後、アメリカは日本に自分たちと一緒に戦う軍隊を持たせる方針に転換したものの、憲法とポツダム条約によって不可能だったため、まず治安を守るためと称して警察予備隊をつくらせました。 1948年アメリカ国防総省により、日本の限定的再軍備計画が作られました。その中には次のようなことばが書かれています。『戦略的な位置にある日本本土を米国が支配することは、共産主義の膨張に対抗し、われわれの戦争計画を達成するにも欠かすことはできない」「日本の軍隊の創設は、米国の限られた人的資源の効率的活用をもたらすものとして、望ましい。」「…そうした軍隊は米国により組織され、諸訓練を受け厳しく監督されるべきであり…」「日本の軍備を認めるという立場から、新憲法の改正を実現するための探求を行うべきである」そしてマッカーサーの「許可」に応えて、吉田内閣は警察予備隊を創設しました。 『安保条約」によりかえって戦争に巻き込まれる懸念を感じた十万人もの人たちが連日国会前におしかけたのに、条約が結ばれてしまいました。そして占領時代よりたくさんの米軍基地が全国に作られました。先頃の「米軍再編」とは、沖縄の基地の軽減というより、日本全土が沖縄化する、ということなのです。日本が、「不安定な弧」と呼ばれる中東にかけての広い地域に出動する基地にされるということで、しかも、費用は日本が持たされるのだそうです。上に引用したアメリカの計画がちゃくちゃくと進められてここまで来てしまったのです。『有事」となれば、全国の港湾や道路が使われてしまうのです。「国民保護法」では、必要とあらば、個人の所有する木を切られたり、家なども使用されてしまうことになりました。本当に日本が襲われるというときなら、正当防衛でも、集団的自衛権となると、アメリカが今までどれだけ自衛を名目にした戦争をしてきたか考えるなら、非常に危険と思わざるを得ません。映画『戦争をしない国 日本」(予告編もかなり内容が濃いです) 映画のあと、児童労働に関する活動をしているインドのかたのお話を聞きましたが、それは次回に。9条世界会議とは直接は関係ありませんが、天木さんのブログもご参照くださいませ。こちら
May 7, 2008
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後期高齢者医療制度の問題については、やっと最近広く知られるようになり、怒りを呼んで自民公明政権の支持率を下げる原因のひとつになっています。それでも制度としては悪くないなどという声も耳にしますが、そういうかたはまだまだわかっていないのではないかと思います。 なけなしの年金からも天引きされるという金銭的な面だけが問題なのではなく、後期高齢者になると医療費の一定枠が決められてしまい、手術など高額な治療ができなくなるかもしれないのです。与党は保険料もかえって安くなる人もいると言っていますが、今のところ、というだけで、だんだんと値上げされるということです。 高齢者がこれからどんどん増えていくので若い人の負担が大変になるから、と与党は言います。分断して対立させようという作戦でしょうか。けれども、若い人は桃の中から出てきたり木の幹から生まれたわけではないのですから、当然父母や祖父母、もしかしたら曾祖父母がいるのですよね。もし祖父母の生活がたちゆかなくなったら放っておけないでしょう。それに、同居している親族の収入が一定以上の場合、後期高齢者の収入が少なくても保険の負担率が高くなるんです。老人が払えなければ家族が払えという発想ですよね。それなら同じことではないでしょうか。それとも冷たい人間関係を推奨するというのでしょうか。 さらに問題がありそうなのは、終末期医療の相談に対して医師に診療報酬2000円が支払われることです。保坂展人さんのどこどこ日記「後期高齢者はやがて避けようのない死を迎える?」 今日歯医者さんの待合室で週刊ポストの今週号を見ました。スクープとして載っているのをみてびっくりしました。終末期になったとき、人工呼吸器をつけるか?ということは、母が入院したときにも聞かれました。ところが、後期高齢者料制度では、輸液とか、栄養をいれるか、などまで聞かれる項目にはいっているのです。安楽死についての議論もまだ十分でないのに。 身の回りの人誰に聞いても、自分は気管切開だの人工呼吸器だのはしないでほしいと答えます。私もそう思います。母の場合、本人の意思が確認できない状態だったのですが、おそらく望んでいないと判断して、気管切開はしないでもらいました。痛みもあるというので、回復の見込みがある人なら痛みも我慢する価値があるけれど、そうでないなら、苦痛が増えるだけではないかと思いましたから。でも、目の前で実際苦しそうに呼吸しているのをみると、これでよいのだろうか?という疑問を抱かずにはいられませんでした。ただでさえ、簡単なことではないのに、一律に方向を国家に決めてほしくありません。しかも、点滴をしないということは、飢え死にさせるといことではないですか? 週刊ポストには、終末期医療についてといいながら、それなら、なぜ75歳以上だけなのか、という疑問が呈されていました。 後期高齢者医療制度は75歳以上のかたのほかに、65歳以上の障害者も含まれます。老人と障害者を切り捨てようなんて、まるでナチスの発想で、ぞっとします。 怒りついで?にさらに340億円の税金が消える!後期高齢者医療制度で厚労省が新・天下りポストをつくっていた!さて、希望を持てるような話題がほしいですよね。ブロガー仲間のかたたちも書いていらっしゃいますが、4日、5日と、幕張メッセにて9条世界会議が開かれます。詳細はこちら
May 2, 2008
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