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パルシネマ
の二本立て、 手帳シリーズ
でした。もう一本は 「最初の晩餐」
で、亡くなったお父さんの手帖の料理でしたが、こっちは生きている お母さん
が 「認知症」
で、記憶を失ってしまいつつあるという設定でした。見たのは キム・ソンホ監督
の 「お料理帖」
です。
韓国映画
を見始めて、早くも二年たちますが、所謂 「ヒューマンドラマ」
は初めてのような気がします。
シッカリ者の母と、人はいいのだけれどボンクラ、まあ、どっちかというと「マザコン」で、文学とかやっている息子とその「家族の物語」といっていいのでしょうね。
ところで、予告編を見た時からの興味は、韓国のお総菜屋さんの店先に並ぶ料理についてでした。こういうと、朝鮮、あるいは韓国料理に詳しいと誤解させるかもしれませんが、実は全く知りません。キムチとかナムルとかいう言葉は知っていますが、具体的に白菜やキュウリ以外にどんな種類があって、どんな味なのか、何も知らないのですが、なんか「食べてみたい」という興味はあるわけです。
特に韓国の映画は、小さな食堂や食卓で食事をするシーンがよくあると思うのですが、そういうシーンを見るたびに、料理はもちろんですが、食べるしぐさとかとても興味を惹かれます。
今回の映画はバッチリでしたね。とりあえずマザコン男が友達を夜中に連れてやって来て食べるのがこれです。酔っ払い二人がスープをうまそうに飲んですすり込んでいました。
映画.com
冷麺でしょうかね。出汁のスープでさっぱりいただく感じ。うまそうですね。
下の写真は、お母さんの 「エラン」さん
が、ボロクソに言う、彼女に苦労だけ残して早死にした夫の好きだったらしい料理。
映画.com
キムチの鍋のようなのですが、具はサバなのですね。もちろん、お魚のサバです。かなり、食べてみたいですね。それから、下の写真、これは、日本料理ならおウドンでしょう。横に添えられているキムチがうまそうでしょ。添えられている箸としゃもじが金属製でないのには理由があるのでしょうか。
映画.com
鶏頭の花の砂糖漬けの料理の途中がこれです。
映画.com
砂糖とか、お酒に漬けた「ジュース」がお店の棚にいっぱいに並んでいます。乾燥野菜や植物の根っことかもあるようです。お店の屋上には大きな壺がたくさんあって、コチュジャンや醤油が自家製で作られています。
映画.com
何の飾り気もないお店の中は、お母さんとなかなかいい感じの店員さんが毎日仕込んでいる宝の山という風情です。
たしかに映画では母と家族をつなぐレシピ帖が、「家族の物語」を紡ぎだす大切な役割を担っていますが、本当にすごいのはこの「宝の山」のように思いました。
ボンクラ息子が母の哀しみの秘密を知らなかったところに、筋立てとしては、少し無理があると思いました。
しかし、最終的には、認知症の母の姿に、不愛想だった母の態度の奥にあった「真の愛情」を発見するという「母恋物語」という定型が評価されているようですが、お母さんの財産の処分をめぐって、現代社会全体にとっての「宝の山」であるこのお店の本質を発見しているところに、作品全体の印象に「深さ」のようなもの、飽きさせない面白さが生み出されていると思いました。
上のチラシの、お団子のようにみえるのが子供用のおにぎり、大鍋いっぱいのスープに見えるのが、ボケてしまった エランさん
が作り過ぎたおかゆです。
それにしても、画面に登場する韓国の女性たちの、「嫁」とか「姑」とか、軽々と飛び越えた本音が飛び交う闊達な物言いがとても気持のいい映画でした。
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